音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2010年12月25日
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ジャズ




 ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)とクリフォード・ブラウン(Clifford Brown)は、共に偉大なジャズ奏者でありながら、実に異なる人生を歩んだ。本盤はそんな二人の共演盤。ロリンズが 『サキソフォン・コロッサス』 を吹き込むのが1956年6月22日、ブラウニー(クリフォード・ブラウン)が不運の交通事故死を遂げるのはその数日後の同年6月26日。両者とも同じ1930年生まれで、本盤の録音当時は25歳という年齢だった。前者は80歳を迎えた現在も健在で、生きた伝説となり、後者はこの直後に天に召されて神となった。あまりに異なる運命を持った二人が同じ時間を共有し、見事な演奏を繰り広げた好盤がこの『プラス・フォー(Plus 4)』であり、上記それぞれの出来事からおよそ3カ月前の、1956年3月22日に吹き込まれた。

 そのような訳で、本盤は、ロリンズの名義ではあるが、ブラウニーの存在感が大きい一枚である。この同じメンバーでは本盤の録音の1~2か月前(1956年1月と2月)に吹き込まれた演奏もあり、こちらの方はブラウン&ローチ名義の 『ベイズン・ストリートのブラウン=ローチ』 としてアルバム化されている。

 その『ベイズン・ストリート』の項にも書いたように、ドラムのマックス・ローチには“元締め”としての強い存在感があり、随所で演奏を引き締めている。その上で、主役として二管のロリンズ(テナー・サックス)とブラウニー(トランペット)が演奏を繰り広げている。冒頭の1.「バルス・ホット」からして、両者の寄り添うような二管が心に染みる。そして、各曲ともに二人のソロの応酬が聴きどころとなっている。筆者が好きなのは、2.「キス・アンド・ラン」や3.「胸に歌があふれ(アイ・フィール・ア・ソング・カミン・オン)」の両者のソロ。ロリンズは冴えていて、ブラウニーはキレている。

 ロリンズ名義のアルバムということで、ソニー・ロリンズ目当てで手にされる可能性の方が高い盤だろう。けれども、上に書いたような理由で、ブラウニーに興味のある人にも二重丸の推奨盤だと言える。ブラウニーが秀でたサックス奏者と絡むとどうなるか、その見事な成功例がこの演奏だと言っていいように思う。



[収録曲]

1. Valse Hot
2. Kiss and Run
3. I Feel a Song Comin’ On
4. Count Your Blessings Instead of Sheep
5. Pent-Up House


[パーソネル、録音]

Sonny Rollins (ts)
Clifford Brown (tp)
Richie Powell (p)
George Morrow (b)
Max Roach (ds)

1956年3月22日録音

Prestige 7038






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