というわけで、浮き沈みがいろいろとあったソニー・クリスだが、大別して50年代半ば(『ゴー・マン』など)、60年代後半(『ソニーズ・ドリーム』がこの時期に該当)、そして70年代半ばという3度の充実期もしくは好調期が彼にはあった。本盤『アウト・オブ・ノーホエア(Out Of Nowhere)』は、そうしたうちの第3期に当たる、1975年録音の作品の一つである。この第3期を代表する作品としては、『クリスクラフト』というアルバムがあるが、同作がギター入りクインテットであるのに対し、同じ1975年に吹き込まれた本作はワン・ホーン・カルテットの編成ということもあり、自由に伸び伸びと吹くアルト演奏が印象的である。