音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2011年06月18日
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TOTOのシングル曲追想 ~その4~


 この「アイル・ビー・オーヴァー・ユー(I’ll Be Over You)」は、1986年発表のTOTOのアルバム 『ファーレンハイト(Fahrenheit)』 に収められた曲。同年にシングルカットされた。特大ヒットというわけではなかったものの、全米チャートでは 11位(アダルト・コンテンポラリーのチャートでは1位獲得)という結果を残した。同アルバムの前作にあたる『アイソレーション』では途中でボーカリストが交代するという変化がバンドにはあった。新ボーカリストはファーギー(本名:デニス・ハーディ)・フレデリクセンに代わるが、この人物の在籍もこの1作だけに終わり、結局、バンドはジョセフ・ウィリアムスという、さらに新たなボーカリストを迎え入れて上記『ファーレンハイト』の制作に臨むこととなっていた。

 ところが、この曲のリード・ボーカルはスティーヴ・ルカサーなのである。バンドとしては、ちょうど上述のボーカリスト交代(ボビー・キムボールからファーギー・フレデリクセンを経てジョセフ・ウィリアムスへのメンバー変更)の後だったにもかかわらず、ボーカルはギタリストのルカサーという、シングルにして売り出す曲としては、ふつうに考えたらよくわからない人選である。

 けれども、こういうところで、平気でボーカルが入れ替わるのは、前項でも述べたとおり、TOTOの貴重な特色であった。ビートルズみたいに稀有な例はあるものの、以降の一般的なバンドでこのようなことを違和感なく行えたバンドは決して数多くない。つまり、新たなボーカリストを迎えて心機一転となれば、ふつうはこういうことはしないのだが、TOTOはボーカリストが従来の他のメンバーの間でも簡単に入れ替われた。

 この「アイル・ビー・オーヴァー・ユー」は、スティーヴ・ルカサーが外部ライターのランディ・グッドラム(同時期のバラード系では、シカゴの「フェイスフルIf She Would Have Been Faithful」の作者としても知られる)と共作。ルカサーの言によると、どうやら“2~3分で”あっという間に書き上げたらしい。だからといって、即興のお手軽バラードかというと、まったくそんな感じがしない。それどころか、「アフリカ」で成功した、ある種淡々としたトーン、そして、「ロザーナ」で見られた、ギターを絡めた曲展開の妙がここでも発揮されている。少しきれいでコンパクトにまとまり過ぎている気もしないではないが、ここまでの3回の記事で取り上げた各曲( 「99」 「ロザーナ」 「アフリカ」 )に比することのできるTOTOのバラード代表曲の一つと言っていいように思う。

 先に書いたように、TOTOはバンドとしては2008年にその活動を終えた。しかし、その後、メンバーの病気(マイク・ポーカロの筋萎縮性側索硬化症)の救済のために、昨年(2010年7月)にヨーロッパで限定復活しており、今年(2011年5月の予定だったが、震災の影響で9月に延期)は同様の企画が日本でも予定されている。


[収録アルバム]

TOTO /  Fahrenheit  (1986年)

その他、ベスト盤類(例えば下記)にも収録。
TOTO / Past To Present 1977-1990 (1990年)
TOTO / Best Ballads (1995年)


[関連記事リンク]

TOTOのシングル曲追想(その1)「99」

TOTOのシングル曲追想(その2)「ロザーナ」

TOTOのシングル曲追想(その3)「アフリカ」







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