《櫻井ジャーナル》

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2014.01.05
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アメリカの チャック・ヘーゲル国防長官は1月5日に小野寺五典防衛相と電話で会談、アジアの近隣諸国との関係改善に向けた措置を講ずるように強く求めた という。すでに昨年12月26日には安倍首相らがアメリカ側の警告を無視する形で、一宗教法人にすぎない靖国神社を参拝、それに続いて今月1日には新藤義孝総務相も参拝してアメリカ政府を刺激し、ヘーゲル長官の警告につながったのだろう。

 安倍首相は参拝後に「諸外国の戦争犠牲者の冥福も祈った」、あるいは「平和と人権を守っていく」などと語り、新藤大臣は「戦争で命を落とした方々に尊崇の念を込めてお参りした。平和への思いを新たにした」とコメントしたという。東アジア侵略を肯定する神社で「非戦の誓い」をするという矛盾した主張が世界で受け入れられると本当に信じているのなら、相当の虚け者である。

 言うまでもなく、「私的参拝」か「公的参拝」かに意味はない。平和云々の話と同様、「私的」か「公的」かは本人の心の問題であり、それが事実かどうかも検証できず、それを見た人びとがどう感じるかとは無関係な話だからだ。明確なことは、日本が東アジアを侵略した象徴を安倍首相や新藤大臣らが参拝したという事実だけである。

 こうした展開にならないよう、バラク・オバマ政権は日本政府に対してメッセージを出していた。つまり、10月に来日したジョン・ケリー国務長官とヘーゲル国防長官が国立施設の千鳥ヶ淵戦没者墓苑を訪れ、献花している。

 安倍首相らが靖国神社を訪問した直後、 駐日アメリカ大使館 は「日本の隣国との緊張を悪化させる行動を日本の指導者がとったことにアメリカは失望している」という声明を出し、続いて 国務省のマリー・ハーフ副報道官 も、日本の指導層による近隣諸国との緊張を高める行為について、失望を表明している。

 新藤大臣の靖国神社訪問についてハーフ副報道官が「失望」を表明しなかったことを受け、「日米関係の悪化は中国や北朝鮮につけいる隙を与えかねないことから表立った批判は控える見込み」だと報じたマスコミもあるが、そうした見通しが甘いことはすぐに判明する。5日にヘーゲル長官は近隣諸国との関係改善を求めたのだ。関係を悪化させたのは靖国神社訪問であり、こうしたことを2度と繰り返すなと言うメッセージであることは間違いない。

 オバマ政権は東アジアの安定を強調しているが、アメリカ支配層の中には軍事的な緊張を高めたいと願っている勢力も存在する。例えば、2001年にアメリカ大統領となったジョージ・W・ブッシュは「中国脅威論」を叫んでいたが、その大本にいたのは国防総省内のシンクタンク「ONA(ネット評価室)」のアンドリュー・マーシャル室長だと言われている。この人物は親イスラエル派として有名で、サウジアラビアをはじめとするペルシャ湾岸の産油国とも友好的な関係にある。

 戦略の専門家ということになっているが、シカゴ大学では経済学を学んでいた。新自由主義経済の伝道師的な存在であるミルトン・フリードマン、あるいはネオコン(親イスラエル派)の教祖のようなレオ・ストラウスが教えていた大学だ。

 ジェラルド・フォード政権ではCIAの内部で「ソ連脅威論」に好都合な分析をする目的で「Bチーム」が設置されたが、その際、ONAが協力したと言われている。そのBチームを仕切っていたのがハーバード大学教授でネオコンの大物としても知られていたリチャード・パイプス、またチームのメンバーにはネオコンを象徴する存在になるポール・ウォルフォウィッツも含まれていた。

 1991年にソ連が消滅した後、マーシャルたちは中国脅威論を叫び始めるのだが、彼と結びついていた集団は前と同じネオコン。その年、アメリカはイラクを攻撃しているが、ソ連は出てこなかった。そのソ連も消滅してアメリカは「唯一の超大国」と呼ばれるようになる。アメリカの軍事行動を妨げる存在はなくなった、と彼らは考えたようだ。

 ネオコンは1990年代から好戦的な提言を繰り返すが、思惑通りには進んでいない。そうした中、引き起こされたのが2001年9月11日の出来事。それを切っ掛けにネオコンは暴走を開始するのだが、すでに当初の勢いはなくなっている。欧米ではイスラエル・ボイコットが広がり、サウジアラビアとアル・カイダとの関係も知られるようになった。そうした勢力と手を組み、その戦略に従って動くことはきわめて危険である。

【追加】

アメリカ国防総省のニュース・リリース: ココ





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最終更新日  2014.01.06 12:24:24


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