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10月20日午後7時から「としま区民センター」7階会議室で行う「櫻井ジャーナルトーク」のテーマは「土壇場を迎えたアメリカ帝国主義」にする予定です。興味のある方は東京琉球館までEメールで連絡してください。東京琉球館住所:東京都豊島区駒込2-17-8Eメール:dotouch2009@ybb.ne.jp アメリカの支配層は自由、人権、民主主義という看板を掲げながら国外で侵略戦争を仕掛け、国内では管理体制を強化し、富を独占するための支配システムを世界に広げようとし、その切っ先をロシアや中国の喉元に突きつけています。1991年12月にソ連が消滅、「唯一の超大国」になったアメリカは好き勝手に行動できると考えるようになった結果だと言えるでしょう。その帝国主義的な姿勢が中露の反撃を招き、アメリカの支配層は窮地に陥りました。次回の「櫻井ジャーナルトーク」ではそうした状況について考えたいと思います。 アメリカにも憲法があり、人びとの権利が定められていますが、憲法の規定を無効にするためのプロジェクトCOGが1982年にスタートしました。ソ連が消滅した直後の1992年にはアメリカが「唯一の超大国」になったという前提で世界制覇プロジェクトが国防総省の「DPG草案」という形で作成され、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれています。 そのCOGとウォルフォウィッツ・ドクトリンは2001年9月11日から本格的に始動、アフガニスタン、イラク、リビア、シリア、ウクライナというように火をつけ、今、東アジアの軍事的な緊張を高めています。アメリカはイギリスやオーストラリアとAUKUSなる軍事同盟を組織しましたが、彼らは相手が弱小国でない限り、基本的に自分たちが最前線に出て来ることはなくなっています。東アジアにおけるロシアや中国との戦争では日本や韓国が矢面に立たされそうです。 ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」にしろ、ズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」にしろ、ハルフォード・マッキンダーが1904年に発表した理論に基づいていますが、その理論のベースはイギリスが19世紀に始めた「グレート・ゲーム」、つまりロシア制圧プロジェクトです。 19世紀の終盤、イギリスは1899年から1902年にかけてのボーア戦争(南アフリカ戦争)で金やダイヤモンドを産出する南アフリカを奪い取ることに成功、アメリカは先住民を虐殺しながら西海岸に到達、1898年のアメリカ・スペイン戦争で南アメリカやフィリピンを奪いました。 イギリスは1839年から42年にかけて「アヘン戦争」、56年から60年にかけては「第2次アヘン戦争(アロー戦争)」で中国(清)に勝利しますが、内陸部を占領する戦力がありません。イギリスが日本で明治維新を仕掛けた理由はそこにあるのでしょう。 1853年にマシュー・ペリーが指揮する艦隊を江戸湾に送り込んだアメリカは67年にアラスカを手に入れ、ハワイも占領していますが、アメリカ支配層が最も欲しがっていた場所はカリフォルニアのはるか西にある「新たな西部」、つまり中国東北部だったと言われています。 ボーア戦争で重要な役割を果たしていたセシル・ローズは1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出し、大儲けした人物。そのローズはネイサン・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレットらと支配者グループを形成、アルフレッド・ミルナーはその後継者です。 ローズは優生学を信奉していました。1877年6月にフリーメーソンへ入会、その直後に書いた『信仰告白』で彼はアングロ・サクソンは最も優秀な人種であり、その居住地が広がれば広がるほど人類にとって良いことだと主張してます。領土を拡大して大英帝国を繁栄させることは自分たちの義務だというのです。(Cecil Rhodes, “Confession of Faith,” 1877) イギリスでは19世紀にハーバート・スペンサーが適者生存を主張、競争で強者が生き残ってその才能が開発され、その一方で弱者は駆逐されるとしています。弱者に無慈悲であればあるほど社会にとっては「優しい」のだというのです。イギリスの人類学者、フランシス・ゴルトンは「遺伝的価値の高い者を増やし、遺伝的価値の低い者を減らす」ことで社会を改善できると主張していました。このゴルトンは優生学の創始者とされていますが、彼の従兄弟は『種の起源』で知られているチャールズ・ダーウィンです。 こうした思想はローズなどイギリスの支配者グループに影響を与え、アメリカの支配層にも影響を及ぼし、カーネギー研究所、ロックフェラー財団、ハリマン家のマリー・ハリマンらの支援を受けて優生学を広める運動が展開されました。そうした運動に感銘を受け、自国で実践したのがアドルフ・ヒトラーにほかなりません。 アメリカが掲げる自由、人権、民主主義という看板を支えているのはそうした思想なのです。
2023.09.19
アメリカのフィラデルフィアを拠点にするFIRE(個人の権利と表現財団)は9月6日、言論の自由に関する248大学のランキングを発表した。 トップはミシガン工科大学、最下位はハーバード大学、247位は同じアイビー・リーグのペンシルベニア大学だ。「名門校」とされるサウス・カロライナ大学が246位、ジョージタウン大学が245位、ノースウェスタン大学が242位、ダートマス・カレッジが240位、テキサス大学オースティンが239位。エリートを輩出する大学が下位に並んでいる。 アイビー・リーグに含まれる大学は初年度の学費が約6万ドルだとされている。出世の道が開かれているこうした私立大学へ入るためには多額の授業料を支払う資産とコネが必要だ。資産とコネがあれば相当愚かな人物でも入学が認められる。日本でも学費が高騰しているが、その比ではない。 そうした大学へ入るためには有名な進学校へ通う必要があるのだが、そうした学校の授業料も日本で想像できないほど高い。トルーマン・カポーティは『叶えられた祈り』の中でウォール街で働いているディック・アンダーソンなる人物に次のようなことを言わせている。 「二人の息子を金のかかるエクセター校に入れたらなんだってやらなきゃならん!」(トルーマン・カポーティ著、川本三郎訳、『叶えられた祈り』、新潮文庫)「ペニスを売り歩く」ようなことをしなければならないというのだ。アメリカの中では高い給料を得ているはずのウォール街で働く人でも教育の負担は重い。低所得層の子どもは教育を受ける権利を奪われているのが実態だ。 大学へは入れても授業料を支払うことが困難な学生は少なくない。少し前から話題になっているのは「シュガー・ベイビー」なるシステム。女子大学生(シュガー・ベイビー)と富裕な男性(シュガー・ダディー)を引き合わせ、「デート」のお膳立てをするというビジネス。売春の斡旋と見られても仕方がないだろう。現代版のクルチザンヌだと言う人もいる。 体を売らなければ大学へ通えないという状況はアメリカ以外の国でも問題になっている。例えば2012年11月イギリスのインディペンデント紙は学費を稼ぐための「思慮深い交際」を紹介するビジネスの存在を明らかにした。日本では「援助交際」と表現されている行為だ。 こうした状況を改善するためには法律面からの働きかけも必要になるが、そうした問題に取り組むような弁護士が出てきにくいシステムに変えられている。司法試験を受けるまでに多額の資金が必要になり、試験に受かっても司法修習生に対する給付制が廃止になって新人弁護士の多くは借金まみれ。カネになる仕事、カネを出せる人物や組織の仕事を弁護士になってからせざるを得ない。 学資ローンを利用すると卒業時に多額の借金を抱えることになり、その借金を返済するためには高収入の仕事、つまり富裕層のために働かなければならない。その仕事を失えば破産だ。医師や弁護士が権力者の不正に沈黙する理由のひとつはここにある。奨学金を得るには富裕層への従属が認められなければならない。 高等教育を受けようとすれば債務奴隷にならざるをえず、その結果としてアメリカでは教育水準が低下、日本もその後を追っている。かなり前から日本でも技術系学生のレベルが落ち、企業は中国やインドの学生に目をつけているという声を聞く。こうした西側の状況を反面教師にしたのか、中国やロシアではアメリカ方式の教育システムから離脱、成功したという。
2023.09.18
厚生労働省は9月20日から「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の追加接種を始める。この「ワクチン」の実態は遺伝子操作薬にほかならない。東京理科大学名誉教授の村上康文、そして東北有志医師の会の後藤均と駒野宏人は今回の接種について、メカニズムの上からもタイミングの上からも、これまで以上に危険だと警鐘を鳴らしている。 MRNAを細胞の内部へ送り込み、細胞に病気の原因であるスパイク・タンパク質を製造させる「mRNAワクチン」は人間の免疫システムに細胞が病気の原因だと認識させるため、炎症を引き起こす。自己免疫疾患だ。精巣の細胞にmRNAが入り込み、精子でなくスパイク・タンパク質を作り続けるケースも報告されている。接種前からADE(抗体依存性感染増強)を引き起こすのではないかと懸念する人は少なくなかったが、その通りになっているようだ。 免疫システムの「誤作動」による炎症を抑えているために免疫力を体は低下させるが、「ワクチン」にも免疫を抑える仕組みが組み込まれているようだ。いわばAIDS状態になるわけで、「COVID-19ワクチン」はAIDS誘発薬だとも言えそうだ。 VAIDS(ワクチン後天性免疫不全症候群)なる造語も使われ始めた。「ワクチン」を接種した後、それまで感染したことのないさまざまな細菌性の病気にかかる人がいるとイゴール・チュドフは指摘しているが、そうした状態がVAIDSだ。 この危険な「ワクチン」を接種する口実に使われているコロナウイルスが現れた時期は紀元前8000年と言われ、人類との付き合いは長く、深刻な病気を引き起こすとは認識されていなかった。 ところが2003年に重症肺炎を引き起こすSARS-CoV(SARSコロナウイルス)が出現、19年に似た症状を引き起こす病気が中国湖北省の武漢で見つかり、翌年の2月4日には横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」でも似たような症状の患者現れた。 武漢で患者が見つかった後、WHO(世界保健機関)は2020年3月11日に病原体が特定されないままパンデミックを宣言、騒動が始まるのだが、世界規模で武漢やクルーズ船のような患者が出てくるようなことはなかった。 ドイツではSARS-CoV-2の危険性は通常のレベルを超えていないと指摘し、戒厳令的な政策を推進したことは間違いだとする内務省の報告書がリークされた。シュピーゲル誌によると、内務省はこの文書についてステファン・コーンという内務省の官僚が個人的に書いたものにすぎないと弁明しているが、実際は同省のKM4というチームが作成したとものだという。 イギリス政府もSARS-CoV-2に過剰反応するべきでないと考え、3月19日にCOVID-19をHCID(重大感染症)から外している。エボラ出血熱のようなウイルス性出血熱やペスト、天然痘などとは違うと宣言したわけである。 アメリカ上院のスコット・ジャンセン議員は2020年4月8日に放送されたFOXニュースの番組で、病院は死人が出ると検査をしないまま死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいると話していた。COVID-19の患者を治療すると病院が受け取れる金額が多くなり、人工呼吸器をつけるとその額は3倍になるからだという。当局は利益誘導でパンデミックを演出したわけだ。 実際、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は2020年4月、死亡した患者の症状がCOVID-19によるものだと考えて矛盾しないなら、死因をCOVID-19として良いと通達、同じ時期に同じ趣旨の通達をWHOも出している。 パンデミック宣言を正当化するため、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査も利用された。これは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する分析のための技術だが、増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎず、ウイルス自体を見つけることはできない。 増幅の回数(Ct値)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、偽陽性も増える。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。ちなみに、2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40だ。 Ct値をこうした数値に設定したならPCR検査は無意味だが、結果だけは出るので人びとを騙す材料には使える。PCRを開発、1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスもPCRをウイルスの検査に使ってはならないと語っていた。 PCRを診断に使う危険性をアメリカの有力紙も指摘していた。例えばニューヨーク・タイムズ紙は2007年1月に掲載した記事で、PCRのような高感度の簡易検査は、伝染病が蔓延していると誤って判断させる原因になりうると警鐘を鳴らしているのだ。 COVID-19騒動が始まった頃から、死亡者は深刻な複数の持病を抱えている人が多いと指摘されていた。ヨーロッパの中で早く感染が始まったイタリアの場合、死亡した感染者の平均年齢は81歳を上回る。90%は70歳以上。しかも80%以上は複数の慢性的な病気、例えば心臓病、糖尿病、癌などを抱えていたのだ。SARS-CoV-2が死因だと言える人は1%未満にすぎなかったという。 本ブログでは以前にも書いたが、イタリア健康省の科学顧問を務めるウォルター・リッチアルディは、SARS-CoV-2が直接的な原因で死亡した人数は死者全体の12%だとしていた。またこのウイルスが原因で死亡したとされる患者の中で96.3%の死因はこのウイルスではないとビットリオ・スガルビ議員は主張している。 イタリアにおける感染状況は過大に評価されている可能性が高いわけだが、逆に過小評価されている疑いがある国がアメリカ。CDC(疾病管理予防センター)で所長を務めるロバート・レッドフィールドは3月11日、アメリカ下院の公聴会で、COVID-19で死亡した患者がインフルエンザに感染していたと見なされていた可能性があることを認めた。 そのほか「COVID-19ワクチン」にはDNAの混入、mRNAを細胞の内部へ運ぶために使われているLNP(脂質ナノ粒子)の毒性、グラフェン誘導体の混入などだ。LNPは卵巣を含むあらゆる臓器に蓄積、生殖システムが破壊される可能性が指摘されている。 COVID-19はSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)によって引き起こされるとされ、その変異株が発表されてきた。京都大学の宮沢孝幸准教授と大阪医科薬科大学助教の田中淳はその変異株の遺伝子配列を調べ、結果を発表しているが、その論文が世界的な話題になっている。 宮沢らによると、変異の蓄積や相同組換えといった自然界で一般的に観察されるようなゲノム進化の産物ではなく、全く新しいメカニズムで形成されたという結論に達したという。人工的に作り出された可能性が高いということだ。 少なからぬ人が指摘しているように、「COVID-19ワクチン」と名付けられた新薬はすでに多くの人を深刻な副作用で苦しめ、死亡させてきた。生殖能力を破壊するとも考えられている。この「COVID-19ワクチン」接種プロジェクトの中枢はアメリカの国防総省だ。 すでに大半の国では「ワクチン」の危険性を悟り、接種をやめた。いまだに接種を推進している国は日本だけである。次の接種が始まると、「ワクチン」による副作用が現れ、死亡者が増えるだろうが、AIDS化によって様々な病気に感染する可能性がある。そうした状況を利用し、再び「パンデミック」を宣言、選挙どころでなくしてしまうことも考えられる。
2023.09.17
ウクライナで大統領顧問を務めるミハイロ・ポドリャクはインド人や中国人について知的能力が低く、自分たちの行動の結果を分析しないと語ったようだ。科学的な成果を達成していても、世界情勢を理解できていないという。両国がウクライナの思い通りに動かないため、ポドリャクは苛立っているのかもしれない。 インド人や中国人だけでなく、ウクライナ政府には有色人種を差別する傾向がある。今年4月29日には、ウクライナ国防省がツイッターにヒンドゥー教の女神カーリーを嘲笑する絵を投稿して問題になった。 昨年2月24日にロシア軍がドンバス周辺に集結していたウクライナ軍のほか、キエフ側の軍地基地や生物兵器の研究開発施設などをミサイルで攻撃し始めた直後、インド人やアフリカ系の人びとはの国外への脱出を妨害されたり、棍棒で殴打されたり、差別されたりしている。 こうした差別は西側メディアも報道の中で行っていた。「目が青く、ブロンドのキリスト教徒」、要するに北欧系の難民は助けなければならないと叫んでいた記者が何人もいたのだ。 ウクライナで2013年11月から14年2月にかけてクーデターを実行した集団はステパン・バンデラを信奉するネオ・ナチだが、この人びとはドイツのナチスと同じように北欧神話を信じ、アジア人の血が入っているとしてロシア人を蔑視している。 1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出し、大儲けしたセシル・ローズはロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット、そしてアルフレッド・ミルナーらと支配者グループを形成したが、優生学を信奉していたことでも知られている。 優生学の創始者とされているフランシス・ゴールトンは『種の起源』で知られているチャールズ・ダーウィンの従兄弟にあたる。ダーウィンはトーマス・マルサスの『人口論』から影響を受け、優れたものが勝利するという「自然淘汰」を主張していた。 1877年6月にローズはフリーメーソンへ入会し、その直後に書いた『信仰告白』の中でアングロ・サクソンは最も優秀な人種であり、その居住地が広がれば広がるほど、それは人類にとって良いことだと主張していた。(Cecil Rhodes, “Confession of Faith,” 1877) セシル・ローズの意志で1902年にローズ・トラストが創設され、奨学生として選ばれたオックスフォード大学の大学院生に学費や生活費を支払う奨学制度が作られた。現在、アメリカで国家安全保障担当大統領補佐官を務めているジェイク・サリバンはエール大学時代、ローズ奨学生としてイギリスのオックスフォード大学へ留学している。 2009年にバラク・オバマ政権の上級顧問になり、中東から北アフリカにかけての地域で実行された体制転覆工作に加わったマイケル・マクフォール、ビル・クリントンもローズ奨学生としてオックスフォード大学に留学している。マクフォールは2012年1月に駐在大使としてロシアへ赴任した。この年の3月にはロシアで大統領選挙が行われ、ウラジミル・プーチンが当選している。この選挙で反プーチンの工作をマクフォールは指揮、「ロシアのリセット」を目論んだ。ちなみに、1993年1月から2001年1月までアメリカ大統領を務めたビル・クリントンもローズ奨学生だった。
2023.09.16
天然資源に関する問題を調査し、キャンペーンを実施しているNGOの「グローバル・ウィットネス」の発表によると、今年1月から7月までの間にEU諸国がタンカーで輸入したロシア産LNGは昨年の同時期に比べて40%増加したという。スペインはロシア産LNGの世界第2位の買い手であり、ベルギーがそれに続く。勿論、第1位は中国だ。 アメリカはウクライナをクーデターで手に入れ、ロシアからEUへ天然ガスを運ぶパイプラインをおさえた。昨年9月26日にはウクライナを迂回する「ノード・ストリーム」と「ノード・ストリーム2」が爆破されたが、アメリカ政府が実行した可能性が高い。スペインのテレサ・リベラ・エネルギー相は4月、EUの制裁協議にロシアのLNGも加わるべきだと語ったようだが、EU市場を必要としないロシアは傷付かず、ロシアの天然資源が必要なEUは壊滅する。 アメリカのバラク・オバマ政権は2013年11月から翌年の2月にかけてウクライナでネオ・ナチを利用したクーデターを実行、10年の選挙で当選したビクトル・ヤヌコビッチ大統領を暴力的に排除した。 しかし、クーデターではヤヌコビッチの支持基盤でロシア語を話し、東方正教会の文化圏にあるクリミアや東部ドンバスを制圧に失敗した。アメリカ/NATO/ウクライナ西部の支配層はかつてパレスチナやユーゴスラビアで行ったように住民を虐殺し、追い出し、自分たちにとって都合の良い人々を移住させるつもりだったようだが、成功していない。ロシアにとってウクライナがNATOの支配地になるということは、ナチスが始めたソ連に対する軍事侵略、「バルバロッサ作戦」の新たなバージョンにほかならない。 ウクライナのクーデターには別の目的もあった。ロシアとEUを分断し、双方を弱体化させようということだ。ロシアとEUの接近はアメリカやイギリスの支配層にとって脅威である。 ロシアとEUを結びつける最大の要因は石油や天然ガス。EUの経済はロシアが供給していた天然資源なしには維持できない。つまり、ロシアの天然資源をEUから取り上げてしまえば、EUは米英資本に従属せざるをえない。 アメリカでは1970年代から新自由主義を導入、商品の製造を放棄して金融を軸に据えた。金融マジックだが、このマジックは人びとがドルを信仰することで成立する。その信仰を支えてきたのが軍事力と情報力にほかならない。 1991年12月のソ連消滅で新自由主義を推進していた勢力はアメリカが「唯一の超大国」になったと考え、世界制覇プロジェクトを本格化させた。そのベースが1992年2月に作成された「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。ウォルフォウィッツの仲間であるネオコンはNATOを東へ拡大、旧世代の「タカ派」も懸念する事態になる。そうした旧世代のひとりがリチャード・ニクソンだ。 ニクソンは1994年の段階でアメリカの傀儡だったボリス・エリツィンの政治的な影響力が低下していると指摘、ロシア議会で反米機運が高まっていると警鐘を鳴らし、そうした機運の高まりはエリツィンの後継者として反欧米の大統領候補を連れてくる可能性があるとしている。そして登場してきたのがウラジミル・プーチンにほかならない。 2001年9月11日の出来事でアメリカにはそのドクトリンに抵抗する勢力が消滅するのだが、プーチンを中心とする勢力はロシアを再独立させることに成功、状況は一変した。 アメリカの政策はドイツをはじめとするEUの経済を破壊し、人びとの生活は成り立たなくなる。生産活動を維持できなくなる企業に対し、アメリカは拠点の移動を働きかけているようだ。新自由主義で破壊した自国の製造業をEUの企業で補填しようというのだろう。
2023.09.15
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相が朝鮮を突如訪問したのは7月25日のことだった。朝鮮戦争終結を記念する戦勝記念日の行事に出席するためだが、李鴻忠党中央政治局委員を含む中国の代表団とそこで合流している。アメリカが日本や韓国を巻き込んで整備している軍事同盟に対抗することが本当の目的だろう。 フランクリン・ルーズベルト大統領が信頼していたヘンリー・ウォレスが1945年1月20日に副大統領の座から引き摺り下ろされた後、同年4月12日にルーズベルト自身が急死、シオニストを後ろ盾にするハリー・トルーマン副大統領が昇格した。 トルーマン政権は大戦後の中国を国民党に支配させる予定で、20億ドルを提供しただけでなく軍事顧問団も派遣している。ところが1947年の夏になると農民の支持を背景として人民解放軍(1947年3月に改称)が反攻を開始、48年の後半になると人民解放軍が国民党軍を圧倒するようになり、49年1月に解放軍は北京に無血入城した。 大戦の終盤、米英金融資本がレジスタンス対策で組織したジェドバラの流れを汲むOPCは中国で国民党を支援する工作をしていたが、状況の悪化を受けて拠点を上海から日本へ移動する。その中心は厚木基地だった。 中国がコミュニスト体制になることが不可避になり、OPCを動かしていた金融資本は「反転攻勢」を目論む。その兵站拠点は日本であり、朝鮮半島が橋頭堡として想定された。物資を輸送するためには鉄道や港を抑える必要があり、戦争に反対するであろう労働者を抑え込まなければならない。 1949年10月に中華人民共和国が成立するが、その直前、国鉄を舞台とした怪事件が相次ぐ。7月5日から6日にかけての下山事件、7月15日の三鷹事件、そして8月17日の松川事件だ。共産党が実行したというプロパガンダが展開され、組合活動は大きなダメージを受けた。 1950年6月22日、ニューズウィーク誌の東京支局長だったコンプトン・パケナム宅で夕食会が開かれ、アメリカ側からはパケナムのほか、ニューズウィーク誌の外信部長だったハリー・カーン、ドワイト・アイゼンハワー政権で国務長官に就任するジョン・フォスター・ダレス(つまりアレン・ダレスの兄)、ダレスに同行してきた国務省東北アジア課長ジョン・アリソンが、また日本側からは大蔵省の渡辺武、宮内省の松平康昌、国家地方警察企画課長の海原治、外務省の沢田廉三が参加している。その段階で朝鮮半島では軍事的な小競り合いが始まっていたが、朝鮮戦争の開始日とされているのは夕食会の3日後、6月25日だ。朝鮮戦争は米中戦争の第1幕だと考えるべきである。 朝鮮戦争は1953年7月27日に休戦が成立、今年はそれから70年目にあたる。4月26日に韓国の尹錫悦大統領はアメリカのジョー・バイデン大統領と会談、ワシントン宣言を発表した。そこでは「核協議グループ(NCG)」の創設が謳われている。 アメリカは韓国のほか日本をメンバーにする軍事同盟を編成しつつある。すでにアメリカ、オーストラリア、インド、日本で「クワド」を編成しているが、インドはアメリカへの従属度が足りない。オーストラリアやイギリスと3カ国でアメリカは「AUKUS」という軍事同盟を組織したが、東アジアの国ではない。そこで日米韓軍事同盟なのだろう。7月18日にソウルでNCGの第1回会議が開かれた。ショイグの朝鮮訪問はこの直後だ。 勿論、アメリカを中心として軍事同盟国は「防衛」を主張するが、大戦後、アメリカは先制攻撃を繰り返してきた。 朝鮮の場合、ソ連が1991年12月に消滅する前にミハイル・ゴルバチョフから見捨てられていた。それに対し、アメリカ軍は1998年に金正日体制を倒す目的でOPLAN-5027-98を作成、99年には朝鮮の国内が混乱して金体制が崩壊した場合を想定した「概念計画」のCONPLAN-5029が作られ、2003年には核攻撃も含むCONPLAN-8022も仕上げられている。 2010年3月には米韓両軍が合同軍事演習「フォール・イーグル」を実施している最中、韓国の哨戒艦「天安」が爆発して沈没する。韓国と朝鮮で境界線の確定していない海域での出来事だった。 この沈没に関して5月頃から李明博政権は朝鮮軍の攻撃で沈没したと主張し始める。この主張には疑問が多く、CIAの元高官でジョージ・H・W・ブッシュと親しく、駐韓大使も務めたドナルド・グレッグもこの朝鮮犯行説に疑問を投げかけた。 そして11月には問題の海域で軍事演習「ホグク(護国)」が実施され、アメリカの第31MEU(海兵隊遠征隊)や第7空軍が参加したと言われている。そして朝鮮軍の大延坪島砲撃につながった。 日本も中国に対する攻撃の準備を着々と進めている。日本は1995年にアメリカの戦争マシーンへ組み込まれ、アメリカの戦略に基づいて軍事戦略を立てている。 自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島にも作った。2023年には石垣島でも完成させたが、こうした軍事施設もアメリカの戦略に基づいている。 アメリカの国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書によると、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけ。その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにする。そしてASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたという。 これでは間に合わないと判断されたのか、昨年10月、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診している」とする報道があった。
2023.09.14
アントニー・ブリンケン国務長官は9月10日、ABCニュースのインタビューの中で、射程300キロメートルのATACMS(陸軍戦術ミサイルシステム)を近いうちにウクライナへ引き渡すと発言、しかも目標の決定はウクライナが決めることだとした。つまり、ロシア領深くを攻撃することを容認するということである。ATACMSはアメリカがすでに供給済みのHIMARS(高機動ロケット砲システム)で発射できる。 ロシア外務省は昨年9月15日、ウクライナへのATACMS引き渡しは「レッドライン」を越す行為であり、ワシントンを「紛争の当事者」にするとアメリカ政府に警告している。ブリンケン発言はアメリカがロシア政府の設定したレッドラインを越えるという宣言だと見なされている。 アメリカはロシア壊滅を目指して2014年2月に戦闘を始めたが、その思惑は外れ、勝者はロシアだ。この戦闘の結果、兵士の能力、兵器の能力、生産力、資源量などでロシアがアメリカを圧倒していることが確認された。しかも戦闘の過程でロシアは弱体化するどころか、力をつけている。 アメリカやイギリスはウクライナに対し、劣化ウラン弾やクラスター爆弾といった問題の多い武器を供給しているが、その理由のひとつは兵器庫に通常の武器弾薬がなくなったからだとも言われている。 ウクライナでの戦闘でロシアの勝利が確定的な現在、ロシア領に対するテロ攻撃や長距離ミサイルでの攻撃で「戦っている」ことをアピールするしかなくなっている。ウクライナの敗北はジョー・バイデン政権の破滅につながる。破滅を受け入れられないブリンケン国務長官が妄想の中へ逃げ込むのは必然かもしれない。
2023.09.13
朝鮮の金正恩労働党委員長は9月11日、ロシアのウラジオストクに到着した。EEF(東方経済フォーラム)に出席し、ウラジミル・プーチン露大統領と会談するためだ。 アメリカは日本や韓国を引き連れて東アジアの軍事的な緊張を高めているが、そのために朝鮮を利用してきた。朝鮮が相手なら少々のことをしても大丈夫だと高を括っていたのだろうが、これからはそれなりの覚悟が必要になる。 しかし、日本人の大半はそうした覚悟ができていないだろう。ネオコンやその後ろ盾に従属することで自らの地位と収入を維持している日本の「エリート」はアメリカの強さを演出し、そのアメリカに従っていれば日本は心配する必要がないと日本の庶民に思わせたいのだろう。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、ネオコンはソ連が消滅した直後の1992年2月にアメリカの国防総省はDPG草案という形で世界制覇プラン、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」を作成。その中でドイツや日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れ、新たなライバルの出現を防ぐとしている。 このドクトリンに日本を従わせるため、1995年2月にジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表したが、それと前後して奇怪な出来事が相次いだ。 例えば、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件)、その10日後には警察庁の國松孝次長官が狙撃されている。8月には日本航空123便の墜落に自衛隊が関与していることを示唆する大きな記事がアメリカ軍の準機関紙とみなされているスターズ・アンド・ストライプ紙に掲載された。 アメリカの戦争マシーンに組み込まれた日本は必然的に戦争への道を歩み始める。そして自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島にも作った。2023年には石垣島でも完成させている。 この軍事施設はアメリカの戦略に基づくもの。アメリカの国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書によると、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけ。その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにする。そしてASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたという。 ところが、昨年10月、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。日本のミサイル開発を待っていられなくなったのだろう。 トマホークは核弾頭を搭載でき、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートルとされている。中国の内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約は無視されている。 このミサイルを使う自衛隊の戦力は約25万人、予備役は約5万6000年、日本と同盟関係にある韓国軍の戦力は約50万人、予備役は310万人ということになる。アメリカ軍はオーストラリアを拠点にし、航空兵力は太平洋の島に分散させると見られている。 アメリカはユーラシア大陸の東岸で十分の手下を見つけられなかったようで、AUKUSなる軍事同盟を組織した。オーストラリア(A)、イギリス(UK)、アメリカ(US)のアングロ・サクソン同盟だ。そこへ日本は近づこうとしている。 明治維新、そして明治体制の東アジア侵略の背後にはアングロ・サクソン系のイギリスとアメリカが存在していた。琉球併合、台湾派兵、江華島への軍艦派遣、日清戦争、日露戦争と続くが、いずれも米英の戦略に合致している。 日露戦争で日本に戦費を用立てたのは、ロスチャイルド系金融機関のクーン・ローブを経営していたジェイコブ・シッフ。戦争の調停に乗り出したセオドア・ルーズベルト米大統領はハーバード大学出身だが、その先輩にあたる金子堅太郎と親しかった。ちなみに、関東大震災以降、日本に大きな影響力を及ぼすことになった金融機関は親ファシズムのJPモルガンだ。 日本政府の使節としてアメリカにいた金子は1904年にハーバード大学でアングロ・サクソンの価値観を支持するために日本はロシアと戦っていると演説し、同じことをシカゴやニューヨークでも語った。日露戦争の後、ルーズベルトは日本が自分たちのために戦ったと書いている。こうした関係が韓国併合に結びついた。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015) アラスカ、ハワイ、フィリピンを手に入れ、東アジア侵略を視野に入れていたアメリカにとって日本の韓国併合は願ってもないことだった。アメリカが最も欲しがっていた場所はカリフォルニアのはるか西にある「新たな西部」、つまり中国東北部だった。その場所に日本は「満州国」を建国することになる。
2023.09.13
ウクライナ議会の国家安全保障問題委員会に所属するフョードル・ベニスラフスキーは9月8日、ウクライナで医学または薬学教育を受けたすべての女性は10月から軍に登録しなければならないと発表した。同議会は昨年、動員法を改正して女性の軍事登録を可能にし、弁護士、プログラマー、音楽家、ソーシャルワーカー、会計士、ジャーナリスト、ビデオグラファー、科学者、獣医師、経営者などの職業に就いている女性も任意で入隊できるようになった。それだけ兵士不足が深刻だということだ。 ロシア軍は昨年2月24日からウクライナに対する攻撃を始めた。ミサイルや航空兵力が攻撃の中心で、地上部隊はドンバスの現地軍や傭兵のワグナー・グループなどに限られていたようだ。つまりロシアの正規軍はほとんどドンバスへ入っていなかった。ミサイル攻撃の目標は航空基地や生物兵器の研究開発施設だったとみられている。 ウクライナ軍は昨年3月からドンバスに対する大規模な攻撃を始める予定だったする情報がある。実際、昨年の年明け後にウクライナ軍がドンバスの周辺に集結、OSCE(欧州安全保障協力機構)によると、2月17日頃からウクライナ側からドンバスへの攻撃が始まり、18日、19日とエスカレートしている。 ドンバス近くにはウクライナ軍や傭兵だけでなく、アメリカやイギリスなどの国が特殊部隊もいたとみられているが、そうした部隊はロシア軍の攻撃で壊滅的な打撃を受けた。 その後、ウクライナ軍は45歳以上の男性だけでなく少年兵も前線へ送り出していると伝えられたが、今年に入り、60歳程度の男性が街角で拘束され、前線へ送り込まれているとする話も伝えられている。そして女性だ。 ドンバスでの内戦は2014年2月にアメリカのバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチを排除したところから始まる。 ヤヌコビッチは2010年の大統領選挙で勝利したのだが、支持基盤の東部と南部は住民の7割以上がロシア語を話し、正教会の文化圏に入っている。ウクライナ語を話し、カトリック文化圏の西部とは異質で、ウクライナは不安定な国だったと言える。そのバランスを選挙によって維持していたのだが、それをオバマ政権はクーデターで壊した。 クーデター後、ウクライナ軍の将兵や治安組織の隊員は約7割が組織から離脱し、一部は反クーデター軍に合流したと言われている。残った将兵の戦闘能力は低く、西側諸国が特殊部隊や情報機関員、あるいは傭兵を送り込んでもドンバスで勝利することは難しい状況だった。 そこで内務省にネオ・ナチを中心とする親衛隊を組織、傭兵を集め、年少者に対する軍事訓練を開始、要塞線も作り始めた。そうした準備のために8年間が必要だったのだろう。 その8年間にアメリカ/NATOはドンバスの周辺に要塞線を築く。ネオ・ナチを中心に編成されたアゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)が拠点にしていたマリウポリ、あるいは岩塩の採掘場があるソレダルにはソ連時代に建設された地下施設、つまり地下要塞が存在、それを利用して要塞線は作られた。この要塞線はロシア軍に突破されてしまう。 それに対し、ウラジーミル・ゼレンスキー政権は今年6月4日に「反転攻勢」を始めたが、ロシアが構築した「スロビキン防衛線」を突破できない。そこでアメリカ/NATOは「総玉砕」戦法を強要、訓練が十分でない部隊に「バンザイ突撃」させてロシアを疲弊させようとした。 旧日本軍を彷彿とさせる無謀な戦法で突破口を開き、その後で精鋭部隊の第82空挺旅団を中心とする最後の戦略予備軍を投入する計画を立てていたと言われているが、早い段階で投入せざるをえなくなり、その精鋭部隊はロシア軍に殲滅されてしまった。 ところが、アントニー・ブリンケン国務長官はウクライナ軍がロシア軍に占領された領土の50%以上を取り戻し、「反転攻勢」はこ進展が加速していると主張しているらしい。その主張は本気だとも言われている。戦況を少し調べれば、この主張は妄想にすぎないことがわかる。 今から1年前、ゼレンスキー大統領が北東部のハリコフ州へ送り込んだ部隊はロシア軍を敗走させたと信じている人がまだいるようだが、実態は戦略的な撤退で、トラップだった。 この地域はステップ(大草原)で、隠れることが困難。ロシア軍は制空権を握っているほか、高性能ミサイルも保有している。実際、NATO/キエフ軍がハリコフへ深く入り込むのを待ち、ロシア/ドンバス軍は航空兵力やミサイルによる激しい攻撃を開始、侵攻軍に大きな損害を与えたと伝えられている。これをウクライナ軍の「大勝利」ということはできない。 撤退したロシア側の部隊はソレダル、そしてバフムート(アルチョモフスク)を制圧し、アメリカ/NATO/ウクライナが8年かけて築いた要塞線を突破した。ソレダルと同じように要塞線の重要な拠点だったマリウポルもロシア軍が解放している。 戦場にはドイツの「レオパルト2」やイギリスの「チャレンジャー2」といった戦車の残骸が残されているが、早晩、破壊されたアメリカの「M1A1エイブラムス」も戦場に取り残されることになるだろう。近い将来、日本でもそうした光景が見られるかもしれない。
2023.09.12
アメリカのジョー・バイデン政権は9月6日、ウクライナに対する最大で1億7500万ドルに相当する「安全保障」に関する追加支援を発表した。その中にはM1A1エイブラムス戦車用の120mm劣化ウラン弾が含まれている。ウクライナに引き渡されるエイブラムス戦車は31両だという。クラスター爆弾に続く問題兵器の支援だ。 劣化ウラン弾は1991年の対イラク攻撃でアメリカ主導軍によって使われている。メディアにリークされたイギリス原子力庁の秘密報告書によると、戦争中、約40トンの劣化ウラン弾が散布されたと推定されている。戦争後に増加した小児がんや謎の腹部腫脹は、少なくとも放射性砲弾が原因の一部であるとされている。 1999年3月にアメリカ/NATO軍はユーゴスラビアを先制攻撃しているが、その際にも劣化ウラン弾が使われた。ユーゴスラビア攻撃はネオコンが1992年2月に作成した世界制覇プランの幕開けだ。 1991年12月にはソ連が消滅、アメリカの国務省、国防総省、CIAなどを支配していたネオコンは世界制覇プロジェクトを始動させた。彼らはアメリカが唯一の超大国になったと認識、好き勝手なことができると考えたのである。 その世界制覇プランは1992年2月にDPG(国防計画指針)草案という形で作成された。この指針は国防次官だったポール・ウォルフォウィッツを中心に書き上げられたことからウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。 ドクトリンの目的としてまず挙げているのは新たなライバルの出現を防ぐこと。警戒する地域には旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジア、西南アジアが含まれる。そしてドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れ、「民主的な平和地域」を創設するともしている。ドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込むということだ。 しかし、日本側はそうしたプランに抵抗、細川護煕政権は国連中心主義を掲げたが、1994年4月に倒されてしまう。そして1995年2月、ジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表。この報告書を受け入れた段階で日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。この年、日本では衝撃的な出来事が続いた。 アメリカのビル・クリントン政権は当初、旧ソ連圏で戦争を始めることに抵抗していたが、スキャンダル攻勢でホワイトハウスは麻痺状態になる。状況が落ち着くのは、1997年1月に国務長官がウォーレン・クリストファーからマデリーン・オルブライトへ交代する頃から。 1998年4月にアメリカ上院はソ連との約束を無視してNATOの拡大を承認、その年の秋にオルブライト国務長官はユーゴスラビア空爆を支持すると表明し、有力メディアは攻撃を正当化するために偽情報を広めていた。 ユーゴスラビアに対する先制攻撃ではスロボダン・ミロシェヴィッチ大統領の自宅を破壊するだけでなく、中国大使館を爆撃している。大使館を空爆したのはB2ステルス爆撃機で、目標を設定したのはCIA。アメリカ政府は「誤爆」だと弁明しているが、3機のミサイルが別々の方向から大使館の主要部分に直撃していることもあり、中国側は「計画的な爆撃」だと主張している。 アメリカやイギリスがウクライナへ劣化ウラン弾やクラスター爆弾を供給する理由のひとつは、兵器庫に通常の武器弾薬がなくなったからだとも言われている。戦争を推進してきたアメリカやイギリスの政府にとって絶望的な状況なのだが、敗北を認めるわけにはいかない。かれらは「ルビコン」を渡ってしまったのだ。敗北は破滅を意味する。 劣化ウラン弾で戦況が変わる可能性はないが、使われれば住民の健康に深刻な影響が現れ、穀倉地帯が汚染で使えなくなる。アメリカ政府はウクライナ人やロシア人を殺すだけでなく、生態系を破壊しようとしている。
2023.09.11
ウラジーミル・ゼレンスキー政権が6月4日に始めた「反転攻勢」は失敗した。ウクライナでは高齢者を街で拉致して戦場へ送り込んでいるが、ここに来て女性を動員の対象にしようとしているとも報道されている。 ロシアが構築した「スロビキン防衛線」を突破するためにアメリカ/NATOは「総玉砕」戦法を強要、訓練の不十分た部隊に「バンザイ突撃」させてロシアを疲弊させようとしたが、その目的を達成できそうにはない。 旧日本軍を彷彿とさせる無謀な戦法で突破口を開き、その後で精鋭部隊の第82空挺旅団を中心とする最後の戦略予備軍を投入する計画を立てていたと言われているが、早い段階で投入せざるをえなくなり、精鋭部隊はロシア軍に殲滅されてしまった。 ウクライナでの内戦はアメリカのネオコンが仕掛けたのだが、その背後にはウォール街やシティを拠点とする巨大金融資本が存在している。その金融資本は現在、ブラックロック、バンガード、ステート・ストリートをはじめとする「闇の銀行」を中心に動いている。 ウクライナへは膨大な兵器や資金が流入、「URB(ウクライナ復興銀行)」の設立も計画されている。国を破綻させて「民営化」、ウクライナの富を盗もうとしている。その計画の中心はブラックロックやJPモルガンだ。 ブラックロックは西側から供給される兵器や「復興資金」の使い道についてアドバイス、同社を率いるラリー・フィンクはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と関係が深い。JPモルガンやゴールドマン・サックスともゼレンスキー政権は協力関係にある。 2013年11月から14年2月にウクライナではクーデターが実行されたが、その後、ロシアからの支援を失ったウクライナの経済は破綻、ウクライナ国債の価格は下落する。それを買い占めていたフランクリン・テンプルトンというファンドは額面総額50億ドルの国債を買ったという。このファンドを操っているのはロスチャイルド家だ。破綻国にIMFが融資、その資金で二束三文になった国債を満額で買い取らせ、IMFが借金の取り立てるという流れができている。 しかし、約束を守らないアメリカ/NATO/ウクライナとの話し合いをロシアはしないだろう。ミンスク合意と同じように、アメリカやその従属国にとって話し合いは状況が悪い時の時間稼ぎにすぎない。 ウクライナを占領したうえでロシアを倒し、富を独占することは難しいのだが、ネオコンはウクライナ人を利用してロシアを疲弊させるという計画に執着いている。 ロシアにウクライナ攻撃を決断させた理由はNATOの東への拡大とネオ・ナチの存在。ここにきてフランスのニコラ・サルコジ元大統領はウクライナがEUやNATOへ加盟することに反対すると表明、モスクワとキエフの和解を求めた。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、ロシア政府とウクライナ政府は昨年2月末から3月初めの段階で停戦交渉、ほぼ合意に達していた。 停戦交渉を仲介したひとりはイスラエルの首相を務めていたナフタリ・ベネット。彼によると、話し合いで双方は妥協に応じ、停戦は実現しそうだった。 3月5日にベネットはモスクワでウラジミル・プーチン露大統領と数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけ、その足でベネットはドイツへ向かってオラフ・シュルツ首相と会っている。ゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフがウクライナの治安機関SBUのメンバーに射殺されたのはその3月5日だ。 停戦交渉はトルコ政府の仲介でも行われた。アフリカ各国のリーダーで構成される代表団がロシアのサンクトペテルブルクを訪問、ウラジミル・プーチン大統領と6月17日に会談しているが、その際、プーチン大統領は「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と題する草案を示している。その文書にはウクライナ代表団の署名があった。つまりウクライナ政府も停戦に合意していたのだ。 こうした停戦の動きを破壊したのがアメリカ政府とイギリス政府にほかならない。停戦を実現する上で最大の障害はこのふたつの国だ。 この2カ国の情報機関、CIAとMI6は第2次世界大戦後、NATOの内部に秘密工作機関のネットワークを築いていた。そのネットワークはフランスのシャルル・ド・ゴール大統領の暗殺を試み、アメリカのジョン・F・ケネディ大統領を暗殺したと言われている。 NATOがヨーロッパ支配の道具だと理解していたとみられるド・ゴールは、ケネディ大統領が暗殺されてから3年後の1966年にフランス軍はNATOの軍事機構から離脱させ、翌年にはSHAPE(欧州連合軍最高司令部)をパリから追い出した。フランスがNATOの軍事機構へ一部復帰すると宣言したのは1995年。NATOへの完全復帰は2009年にサルコジ政権が決めている。サルコジはフランスをアメリカの属国にしたわけである。
2023.09.10
ニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が2001年9月11日に攻撃された。いわゆる「9/11」だ。その年にスタートしたばかりのジョージ・W・ブッシュ政権は攻撃について詳しい調査をしないまま実行責任者をオサマ・ビン・ラディンだと断定、アメリカ憲法の機能を停止させた。同時にアフガニスタン、そしてイラクを先制攻撃、世界制覇戦争を始めている。 欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官を務めたウェズリー・クラークによると、ポール・ウォルフォウィッツは国防次官時代の1991年にイラク、イラン、シリアを殲滅すると口にし、9/11から10日ほど後にはイラク、ついでシリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイランの名前が記載された攻撃予定国リストを統合参謀本部で見たという。(3月、10月) この9/11の28年前、今から50年前の1973年9月11日に南アメリカのチリで軍事クーデターがあった。1970年の選挙で勝利、大統領に就任したサルバドール・アジェンデはアメリカによる帝国主義的な支配に反対していた政治家で、巨大資本から敵視されていた。そして巨大資本の代理人であるヘンリー・キッシンジャーを後ろ盾とするオーグスト・ピノチェトがアジェンデ政権を倒したのだ。キッシンジャーの手先として動いていたのはCIAの破壊工作部門である。 クーデターの布石としてCIAはチリ軍参謀総長レネ・シュネイデルを殺害した。この軍人は憲法を遵守する考え方の持ち主で、CIAにとって好ましくない人物だった。さらにアメリカの金融機関やIBRD(国際復興開発銀行、通称「世界銀行」)はチリへの融資をストップして経済面から揺さぶりをかけ、労働組合はストライキで社会を不安定化させていた。チリに限らず、CIAは労働組合を支配下に置いている。 CIAやイギリスの対外情報機関MI6は1960年代からイタリアで破壊工作を連続して実行していた。第2次世界大戦中、西ヨーロッパでドイツ軍と戦ったのは事実上、レジスタンスだけ。そのレジスタンスの主力がコミュニストだったことから大戦後もイタリアやフランスはコミュニストが強く、米英の支配層はレジスタンス人脈を嫌っていた。コミュニストではないが、レジスタンスに参加していたフランスのシャルル・ド・ゴールの命が狙われた理由もここにある。 例えば、イタリアでは1969年にパドゥア大学とミラノの産業フェアで爆弾テロ、そしてミラノのフォンタナ広場にある国立農業銀行が爆破された。1970年にクーデターが試みられ、74年にはボローニャ近くで列車が爆破され、80年にはボローニャ駅が爆破されている。 国立農業銀行を爆破したひとりとされているステファノ・デレ・キアイエは1970年のクーデター未遂の後にスペインへ逃げ込み、その後はイタリアとスペインとの間を自由に行き来している。1974年4月には有力貴族でファイスストやCIAとの関係が深いバレリオ・ボルゲーゼとチリを訪問、ピノチェトと会談した。 1975年春にはチリの情報機関DINAのオフィサーだったマイケル・タウンレイが西ヨーロッパへ派遣され、現地の右翼活動家をリクルート、亡命している反体制派を「無力化」する手配をしている。そして1975年10月、ピノチェト体制に反対する運動を組織していたベルナルド・レイトンがローマで銃撃され、重傷を負った。デレ・キアイエの協力を得ての作戦だった。(Jeffrey M. Bale, “The Darkest Sides Of Politics, I,” Routledge, 2018) 1976年9月にはアジェンデ政権で外務大臣などを務めたオルランド・レテリエールがワシントンDCで暗殺された。CIAが暗殺計画を知らなかったとは思えないが、その時のCIA長官はジョージ・H・W・ブッシュ(ジョージ・W・ブッシュの父)にほかならない。 チリのクーデターはオーストラリアの情報機関も協力していた。この事実を知ったゴウ・ウイットラム首相はASISに対してCIAとの協力関係を断つように命令した。 ASIS以外にもオーストラリアには情報機関があり、いずれもアメリカの指令で動いていた。その仕組みをウイットラム政権が揺るがすことを恐れたアメリカ政府はウイットラムの排除を目論む。CIAは1975年11月、イギリス女王エリザベス2世の総督であるジョン・カー卿を動かしてウイットラム首相を解任している。 カーは第2次世界大戦中の1944年、オーストラリア政府の命令でアメリカへ派遣されてCIAの前身であるOSS(戦略事務局)と一緒に仕事をし、大戦後はCIAときわめて深い関係にあった。(Jonathan Kwitny, "The Crimes of Patriots," Norton, 1987) ウイットラムが解任された後、オーストラリア政府が米英支配層の政策に逆らうことはなくなった。
2023.09.09
人類は絶滅の危機に直面している。 1991年12月にソ連が消滅した直後の92年2月にネオコンはアメリカ国防総省の「DPG草案」という形で世界制覇プランを作成、アメリカをロシアや中国との核戦争へと導いてきた。 また、医薬品業界で研究開発に携わってきたサーシャ・ラティポワによると、彼女が情報公開法によって入手した文書を分析した結果、国防総省はバラク・オバマ大統領の時代から「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の接種計画を始めている。この薬の実態は遺伝子操作薬で、すでに深刻な副作用を引き起こし、少なからぬ人を死に至らしめた。人間の免疫システムと生殖能力を破壊しつつあるとも懸念されている。 安全性を調べる通常のプロセスを無視して「COVID-19ワクチン」の接種は始められたが、それを可能にしたのはWHO(世界保健機関)が2020年3月11日に行ったパンデミック宣言。死亡者が爆発的に増えているわけではなかったが、定義の変更で可能になっていた。「豚インフルエンザ」が流行(2009年1月から10年8月にかけての時期に)する直前に「病気の重大さ」、つまり死者数が多いという条件が削られていたのである。 2019年12月の終わりに中国湖北省の武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が発見されてCOVID-19騒動は始まった。翌年の2月4日には横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」でも似たような症状の患者が見つかり、人びとを恐怖させることになるのだが、「SARSと似た重症の肺炎患者」が街にあふれ、死者が急増するという事態にはならない。 しかも中国では軍の陳薇が対策を指揮、短期間に事態を沈静化させることに成功する。陳はSARSが2002年から03年にかけて流行した際にも対策を指揮、その時の経験を活かしてインターフェロン・アルファ2bを使ったところ、効果があった。 この医薬品はキューバで研究が進んでいるもので、リンパ球を刺激して免疫能力を高める働きがあるとされている。吉林省長春にも製造工場があり、中国の国内で供給できた。この事実は中国やキューバなどで報道され、中国の習近平国家主席がキューバのミゲル・ディアス-カネル大統領に謝意を述べたとも伝えられている。(ココやココ) また、駆虫薬として知られているイベルメクチンがCOVID-19に有効だということがメキシコの保健省と社会保険庁によって確認された。また抗マラリア薬のクロロキンがコロナウイルスに対して有効だとする論文が2005年8月22日にウイルス・ジャーナルというNIH(国立衛生研究所)の公式刊行物に掲載されている。 武漢やクルーズ船などで病気を引き起こした病原体と世界の街で流行した病気の病原体はおそらく違うが、いずれも有効な薬が存在、安全性が確認されていない遺伝子操作薬を接種させる必要はなかった。 ネオコンは1990年代にユーゴスラビアを手始めとして、旧ソ連圏に対する軍事作戦を開始、NATOを東へ拡大させ始めている。1941年6月にドイツ軍はソ連に対する奇襲攻撃を始めた。西側には約90万人だけを残し、310万人をソ連に対する攻撃に投入するという非常識なもので、「バルバロッサ作戦」と呼ばれている。ウクライナとベラルーシに対する攻撃から作戦は始まっている。 ロシアのウラジミル・プーチン大統領はバルバロッサ作戦と同じ失敗を繰り返さないと宣言していた。ウクライナとベラルーシにNATOが入ることを許さないということだ。 しかし、その前にネオコンはウクライナ侵略を始めていた。2014年2月にはネオ・ナチを利用したクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除したのだ。そのクーデターにヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の住民が反発、南部のクリミアはロシアの保護下に入り、東部のドンバスでは内戦が始まった。 その内戦はドンバス側が優勢だったため、ドイツとフランスが仲介役になり、「ミンスク合意」が成立する。これはクーデター体制の戦力を増強するための時間稼ぎだったことを後にドイツのアンゲラ・メルケルとフランスのフランソワ・オランドが認めている。 メルケル元首相は昨年12月7日にツァイトのインタビューで、ミンスク合意はウクライナの戦力を増強するための時間稼ぎに過ぎなかったと語り、オランド元仏大統領はその事実を認めている。キエフ政権は合意を守らないのは当然だった。 合意成立から8年、アメリカ/NATOはキエフ側の戦力を増強するために武器弾薬の供給や兵士の訓練を進める。それによってキエフのクーデター体制はドンバスの反クーデター軍に対抗できるようになり、昨年の年明け後、ウクライナ軍がドンバスの周辺に集結した。 ドンバスの周辺にアメリカ/NATOは2014年から8年かけて要塞線を築いていた。ネオ・ナチを中心に編成されたアゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)が拠点にしていたマリウポリ、あるいは岩塩の採掘場があるソレダルにはソ連時代に建設された地下施設が建設されていた。この要塞線を利用してロシア軍を封じ込め、クリミアを別の部隊に攻撃させる計画だったとも推測されている。 しかし、ロシア軍はアメリカ/NATOの計算通りには動かなかった。昨年2月24日から巡航ミサイルなどでドンバス周辺のウクライナ軍を殲滅、さらにウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設などを攻撃している。その際、機密文書を回収した。 その中に生物化学兵器に関する約2000文書が含まれていたが、ロシア軍はそれを分析する。その結果、アメリカはウクライナで「万能生物兵器」を研究していたことが判明したという。敵兵だけでなく、動物や農作物にもダメージを与えられる生物兵器を開発しているのだという。 ロシア軍による攻撃でウクライナ東部にあった研究施設は破壊されたが、西部地域の施設では研究開発がまだ行われているとされている。アメリカ国防総省はそうした拠点をケニア、シンガポール、タイなどで新たに建設しているようだ。日本に作られていないとは言えないだろう。 生物兵器の開発には遺伝子操作の技術が使われる。プーチン大統領は9月1日、新学期を迎えた小学生を前でその技術の話をしている。遺伝子技術は「恐ろしい破壊力を持つ武器」を生み出す可能性があり、倫理的な縛りが必要だと語ったのだ。その発言を撮影した動画がソーシャルメディアに投稿されている。小学生というクッションを置き、世界にメッセージを伝えたのだろう。 現在、「パンデミック条約」で各国から主権を奪おうと画策しているWHOも遺伝子操作に熱心だ。この組織が創立時から協力関係にあるというロックフェラー財団と共同で情報を管理するシステムを築こうともしている。COVID-19騒動を見れば、WHO、そしてビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団などそのスポンサーたちに倫理を尊重しているとは思えない。
2023.09.08
アメリカのジョー・バイデン大統領は8月18日に韓国の尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相をキャンプ・デイビッドに招き、軍事問題について話し合った。中国やロシアとの戦争を想定、日米韓の三国軍事同盟を構築しつつあると言えるだろう。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、自衛隊はアメリカの戦略に基づき、すでに南西諸島でミサイル発射基地を建設している。2016年には与那国島、19年には宮古島と奄美大島、今年3月には石垣島で駐屯地が建設された。 アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書には、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画が記載されているが、そうしたミサイルを配備できそうな国は日本だけだと分析されている。 しかし、その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされている。 ところが、昨年10月、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。自力開発が難しいのか、事態の進展が予想外に早いのだろう。 トマホークは核弾頭を搭載でき、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートルとされている。中国の内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約は無視されていると言えるだろう。このミサイルを使う自衛隊の戦力は約25万人、予備役は約5万6000人、日本と同盟関係にある韓国軍の戦力は約50万人、予備役は310万人ということになる。アメリカ軍はオーストラリアを拠点にし、航空兵力は太平洋の島に分散させると見られている。 アメリカの対中露戦争で日本は最前線の拠点、韓国は大陸侵攻の橋頭堡になる。琉球の併合、台湾への派兵、江華島事件、日清戦争、日露戦争という明治維新後の流れと同じになりつつある。 日本が中国やロシアに向かってミサイルを発射すれば、当然、反撃される。ウクライナでアメリカ/NATOは昨年3月にドンバスを軍事侵攻する予定で、住民を殺戮し、ロシア軍をドンバスへ誘い込もうとしていたという推測もある。 そのドンバス周辺にアメリカ/NATOは2014年から8年かけて要塞線を築いていた。ネオ・ナチを中心に編成されたアゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)が拠点にしていたマリウポリ、あるいは岩塩の採掘場があるソレダルには、ソ連時代、核戦争に備えて地下施設が建設されていた。ソレダルの地下にある岩塩の採掘場は深さが150メートルから280メートル、空間の高さは30メートル、全長は200キロメートルに達し、鉄道も敷設されている。 日本が攻撃されることを想定すると、同じように地下要塞を建設しようと考えても不思議ではない。都市部では50メートル程度、山間部では1400メートル余りの地下施設を建設、そこに高速列車を走らせようとするかもしれない。
2023.09.07
アメリカは8月29日、日本と韓国を引き連れ、朝鮮半島沖で合同ミサイル防衛訓練を実施した。その前、8月18日にジョー・バイデン米大統領は韓国の尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相をキャンプ・デイビッドに招いて軍事問題について話し合い、その直後にアメリカ軍は自衛隊とオーストラリア軍を引き連れて南シナ海で洋上演習を、また韓国軍と乙支フリーダム・シールドをそれぞれ始めている。 それに対し、朝鮮の金正恩労働党委員長は9月10日から13日に開催が予定されているEEF(東方経済フォーラム)に出席するため、ロシアのウラジオストクを訪問すると伝えられている。ウラジミル・プーチン政権は朝鮮との関係を強めつつあり、7月25日にはセルゲイ・ショイグ国防相に率いられたロシアの軍事代表団が朝鮮を訪問、中国の代表団と合流して朝鮮戦争終結を記念する戦勝記念日の行事に出席していた。この3カ国は今後、軍事的なつながりも強めそうだ。 このように現在、東アジアの軍事的な緊張が高まっているのだが、その切っ掛けを作ったのは菅直人政権にほかならない。2010年6月に発足した菅内閣は尖閣諸島に関する質問主意書への答弁で「解決すべき領有権の問題は存在しない」と主張、同年9月に海上保安庁は尖閣諸島付近で操業していた中国の漁船を取り締まり、漁船の船長を逮捕している。 1972年9月に田中角栄と周恩来が日中共同声明に調印しているが、その際、尖閣諸島の問題を「棚上げ」にすることで合意している。その合意を破ったのだ。その時に国土交通大臣だった前原誠司はその月のうちに外務大臣になり、10月には衆議院安全保障委員会で「棚上げ論について中国と合意したという事実はございません」と答えているが、これは事実に反している。 昨年8月2日にはアメリカの下院議長だったナンシー・ペロシが突如台湾を訪問、「ひとつの中国」政策を行動で否定した。1972年2月に大統領だったリチャード・ニクソンが北京で中国を「唯一の正当な政府」と認めたところから始まったアメリカと中国の友好的な関係を傷つける行為にほかならない。 軍事的な緊張が高まる東アジアで最も好戦的な姿勢を見せている国は日本だろう。自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島にも作り、23年には石垣島でも完成させている。 アメリカの国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書によると、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけだと考えている。 その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにする。そしてASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたという。 日本は軍事拠点を作るだけでなく、高性能兵器の開発にも乗り出していると伝えられている。例えばアメリカと共同で音速の5倍以上で侵入してくるHGV(極超音速滑空体)を迎撃するミサイル技術の研究開発を考え、昨年7月24日には宇宙航空研究開発機構(JAXA)が鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所で迎撃ミサイルに必要な速度に到達することが可能だとされるエンジンの飛行試験を初めて実施した。 極超音速で飛行するミサイル自体も研究だと言われ、HGVではなくエンジンによって推進力を得る極超音速巡航ミサイル(HCM)の開発を目指しているという。2026年には九州や北海道の島々へ配備したいようだ。 日本政府は国産で陸上自衛隊に配備されている「12式地対艦誘導弾」の射程を現在の百数十キロメートルから1000キロメートル程度に伸ばし、艦艇や戦闘機からも発射できるよう改良を進めていると昨年8月に伝えられているが、その背景にアメリカのGBIRM計画があった。 日本は射程距離が3000キロメートル程度のミサイルを開発し、2030年代の半ばまでに北海道へ配備する計画だとも伝えられている。それが実現するとカムチャツカ半島も射程圏内だ。 こうした当初の計画では準備が間に合わない事情がアメリカに生じ、トマホークを購入することにしたのだろう。それだけ事態は逼迫しているということになる。 バイデン政権が東アジアで軍事的な緊張を高めている理由のひとつはウクライナにおける戦いでアメリカ/NATO軍がロシア軍に負けたという事実がある。 ウクライナにおける戦闘でアメリカ/NATOに支援されたクーデター体制軍が負けることは明らかで、有力メディアと使って「ウクライナが勝つ」と宣伝してきたジョー・バイデン政権の求心力は衰えてきた。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のスポンサーだったイホル・コロモイスキーが最近、逮捕された。ゼレンスキーにはイギリスの情報機関MI6という後ろ盾が存在しているが、ここにきて反ロシアのネオ・ナチが暴走気味だ。 ゼレンスキー政権が今年6月4日に「反転攻勢」を始めるが、戦況を考えれば、この作戦が成功するはずはなく、予想通りに失敗した。その事実をアメリカの有力紙も認めざるをえなくなっている。例えばワシントン・ポスト紙は自分たちが宣伝していた「反転攻勢」で進展はないことを認めた。 武器弾薬が枯渇、兵士も足りないことからアメリカ/NATOはウクライナ軍に無謀な突撃を繰り返す「玉砕戦法」を命令、ロシア軍を疲弊させ、その上で温存していた「精鋭部隊」を投入するつもりだったようだが、そうした状況を作れないまま「精鋭部隊」を使わざるを得なくなっているとも言われている。その精鋭部隊もすでに殲滅された。第2次世界大戦終盤の日本軍を見ているようだ。 バイデン政権を担いでいるネオコンをはじめとする勢力が危機感を強めているもうひとつの理由はBRICSの影響力が拡大していることにあるだろう。アメリカがロシアや中国に負けていることを理解している世界の国々は、これ以上アメリカの理不尽な要求を受け入れたくないと考えている可能性がある。 ニジェールでフランスの傀儡政権がクーデターで倒された後、クーデターを実行したリーダーのひとりで国土防衛国民評議会の副議長を務めているサリフー・ムーディー師団将軍はマリを訪れた際にワグナー・グループの幹部と会い、支援を要請したと伝えられた。 同グループを率いていたエフゲニー・プリゴジンは8月23日、モスクワからサンクトペテルブルグへエンブラエル・レガシー600で向かう。その途中、その飛行機が墜落して死亡したとされている。 8月21日から24日にかけてBRICSの年次総会が南アフリカのヨハネスブルグでは開かれ、金融問題が議論されていた。その会議にウラジミル・プーチンが参加することをアメリカは妨害したが、ビデオリンクで参加して重要なメッセージを発信していた。基軸通貨を発行する特権を利用して世界を支配してきたアメリカにとって、自らの支配システムを揺るがす事態が進展しているのだ。 ウクライナでの戦闘でロシアを経済的に攻撃するため、アメリカは自分たちが管理している金融システムを利用した。そうした攻撃に対する対策を立てていたロシアは大きなダメージを受けなかったが、アメリカに対する世界の信頼度は大きく低下している。昨年以降、BRICSへの関心は爆発的に高まったという。アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦がBRICSに正式に加盟することを会議の主催者である南アフリカ共和国のシリル・ラマフォサ大統領は発表した。 こうした会議が開かれている日にプーチンがプリゴジンを暗殺することはありそうにない。
2023.09.06
ジョージ・W・ブッシュが大統領に就任した2001年の9月11日にニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された。いわゆる「9/11」である。 その前日、国防長官だったドナルド・ラムズフェルドは軍事予算のうち2兆3000億ドルが行方不明になっていることを認めていた。これは大スキャンダルだったが、9/11のため、この問題は吹き飛んでしまった。 また、ネオコンに担がれていたブッシュ大統領の「財布」と言われていたエネルギー投機会社エンロンの破綻が不可避の状態で、経営内容にメスが入れられようとしていた。ところが倒壊した7号館に保管されていた膨大な関連書類は消えている。 エンロンを生み出した新自由主義的な強者総取りの政策は社会を破壊し、人びとの怒りは高まっていた。2001年7月にイタリアのジェノバではG8サミットが開かれたが、そこへ約20万人が抗議のために集結、取り締まり側は暴力行為をでっち上げる事態になっていた。 また9月10日から11日にかけて、大統領の父親であるジョージ・H・W・ブッシュ元大統領はフランク・カールッチやジェームズ・ベイカー3世とリッツ・カールトン・ホテルでシャフィク・ビン・ラディンと商談していた。 ブッシュたちアメリカ人3名は巨大投資会社カーライル・グループの幹部だったが、商談相手が問題。ジョージ・Wは9/11の直後、詳しい調査をしないまま実行責任者をオサマ・ビン・ラディンだと断定したが、シャフィクはオサマの兄弟だからだ。 ビン・ラディン家はサウジアラビア最大の建設会社を経営、アフガニスタンでCIAは対ソ連戦の主力戦闘員として、サウジアラビアから派遣されたムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を使っていた。その戦闘でビン・ラディン家の会社は建設機械を使い、地下要塞網を建設したと言われている。 ところが、9/11では複数の旅客機がサウジアラビアなど中東出身の人びとにハイジャックされたとされている。証拠はないのだが、そういうことにされ、人びとの目はサウジアラビアに向けられた。 当時、サウジアラビアの駐米大使として赴任していたのはバンダル・ビン・スルタン。「バンダル・ブッシュ」と呼ばれるほどブッシュ家と親しい関係にあった。バンダルは後にサウジアラニアの情報機関、総合情報庁を率いることになる。彼の後任大使になるトゥルキ・ビン・ファイサル・アル・サウドは2001年8月31日、つまり9/11の11日前まで総合情報庁の長官を務めていた。 9/11の直後、ジョージ・W・ブッシュ政権は詳しい調査をしないまま「アル・カイダ」が実行したと断定、その「アル・カイダ」を指揮しているオサマ・ビン・ラディンを匿っているという口実でアフガニスタンへの攻撃を始めている。 その一方、国内では「愛国者法(USA PATRIOT Act / Uniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism Act of 2001)」が制定された。この法律は340ページを超す文書だが、それを議会は提出されて1週間で承認してしまった。 この法律によってアメリカ憲法は機能を事実上停止、令状のない盗聴や拘束、拷問が横行することになった。民主主義を放棄したわけだが、この法律のベースになった法案を1995年2月に提出したとバイデンは自慢している。愛国者法の一部は2015年に失効したものの、「自由法」という形で復活。今ではさまざまな形で愛国者法は生き続けている。 ロナルド・レーガン時代、アメリカでは憲法の機能を停止させる仕掛けをつくっている。「COG」だ。このプロジェクトはロナルド・レーガン大統領が1981年に承認した「NSDD55」から始まる。COGは上部組織と下部組織に分かれ、上部組織は「プロジェクト908」、下部組織は「フラッシュボード」とそれぞれ呼ばれていた。 COGプロジェクトは極秘にされていたが、1987年7月に開かれたイラン・コントラ事件の公聴会において、ジャック・ブルックス下院議員が触れている。オリバー・ノース中佐に対し、「NSCで一時期、大災害時に政府を継続させる計画に関係した仕事を担当したことはないか?」と質問したのだ。この計画とはCOGプロジェクトにほかならない。 ノースに付き添っていた弁護士のブレンダン・サリバンは質問に動揺し、委員長のダニエル・イノウエ上院議員は「高度の秘密性」を理由にして、質問を打ち切ってしまう。イノウエ議員はCOGについて知っていたということだ。 ブルックス議員が取り上げた当時、COGは核戦争を前提にしていたのだが、1988年に変質する。大統領令12656が出され、その対象は「国家安全保障上の緊急事態」に変更されたのだ。そして2001年9月11日、「国家安全保障上の緊急事態」が起こった。9/11だ。 ジョージ・H・W・ブッシュ、フランク・カールッチ、ジェームズ・ベイカー3世、バンダル・ビン・スルタン、オサマ・ビン・ラディンたちを平和的だと表現することはできない。CIAと関係が深いことも事実だ。 しかし、H・W・ブッシュやベイカーは1980年代からネオコンと対立していた。当時、ブッシュやベイカーたちはイラクのサダム・フセイン体制をペルシャ湾岸の産油国を守る防波堤と認識していたのだが、ネオコンはフセインを倒して親イスラエル体制を樹立、シリアとイランを分断して両国を制圧しようと目論んでいた。最終的に「大イスラエル」を樹立、つまり中東全域をイスラエルに支配させようとしていたと言われている。 また、ソ連消滅後、H・W・ブッシュやベイカーはNATOを東へ拡大するつもりはなかったようだが、ネオコンは拡大させてロシアを制圧しようとしていた。ジョージ・H・W・ブッシュが再選されなかった理由はこの対立にあったとも言われている。 選挙でブッシュに勝ったビル・クリントンもCIAと関係が深く、第1期目は旧ソ連圏への軍事作戦に消極的だった。そのクリントンはスキャンダル攻勢にあう。スキャンダルが沈静化するのは1997年に国務長官がウォーレン・クリストファーからマデリーン・オルブライトへ交代してからだ。その後、NATOは東へ拡大、2014年2月にはクーデターでウクライナにネオ・ナチ体制を樹立した。 こうしてみると、ジョージ・H・W・ブッシュ、ジェームズ・ベイカー3世、バンダル・ビン・スルタン、オサマ・ビン・ラディンなどは9/11の実行グループではない可能性があるように見える。一種の予防措置として実行グループが秘密工作に引き摺り込んだのかもしれない。
2023.09.05
中国のファーウェイ・テクノロジーズ(華為)は8月29日に「Mate 60 Pro」と名付けられた新しいスマートフォンを発表、オンラインストアで予約販売を開始した。この携帯電話が搭載する同社のKirin 9000Sは5Gに対応しているとされている。アメリカ政府は2019年からファーウェイがアメリカ企業から先進的なチップやソフトウェアを購入することを制限しているが、そのひとつの回答がこれだ。 アメリカをはじめとする西側には中国だけでなくロシアも過小評価、ハイテク製品を開発する能力がないと信じている人が少なくない。ロシアの戦闘力や生産力は低く、兵器の製造に必要なマイクロチップは回線から間も無く枯渇し、兵器庫は空になって降伏すると好戦的エリートは信じていたという。 生産力の点で中国がアメリカより優っていることを理解しているアメリカ人も存在していた。そのひとりがアップルを率いていたスティーブン・ジョブスだ。 2011年2月、バラク・オバマ大統領はシリコン・バレーの幹部たちと食事をともにした際、ジョブスに対して同社のiPhoneをアメリカで生産しないかともちかけたのだが、拒否されている。 ジョブスによると、アジアでは生産規模を柔軟に変更でき、供給ラインが充実、労働者の技術水準が高いという理由からだという。アップル側の推計によると、iPhoneを生産するためには約20万人の組立工と約8700人のエンジニアが必要で、それだけの陣容をアメリカで集めるためには9カ月が必要だが、中国なら15日ですむという。 アメリカが抱える最大の問題は教育にある。最高レベルの教育は維持されているようだが、生産現場で必要な中間レベルの技術を持つ人を育成できていない。庶民から教育を受ける権利を奪ったアメリカのシステムは国を弱体化させている。アメリカに従っている日本でも学生のレベルが落ちているようだ。 しかし、それでもアメリカは優れていると妄想している人がいる。その中にはジョー・バイデン大統領、アントニー・ブリンケン国務長官、ビクトリア・ヌランド国務副長官代理、ジェイク・サリバン国家安全保障補佐官らが含まれている。 ウクライナでの戦闘でも彼らはロシアがすぐ無条件降伏すると考え、「戦犯法廷」も夢想していたというが、「経済封鎖」は機能せず、武器弾薬が枯渇したのはアメリカ/NATO/ウクライナ。ロシアの勝利は決定的だが、それを認めるわけにいかないバイデン政権はウクライナに「総玉砕」を要求、東アジアに火をつけようとしている。 ネオコンは1991年12月にソ連が消滅した時、アメリカが唯一の超大国になったと考え、世界制覇プロジェクトを始動させた。これは本ブログで繰り返し説明してきた。 ところが21世紀に入るとロシアでウラジミル・プーチンを中心とする勢力が再独立に成功するのだが、それでもアメリカの好戦派は自分たちが世界の支配者だと信じていた。例えば、外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物「フォーリン・アフェアーズ」の2006年3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文もそうした考えが反映されていた。それには、ロシアと中国の長距離核兵器をアメリカ軍の先制第1撃で破壊できるようになる日は近いとされている。 その考えが間違いだということは2008年8月に判明している。イスラエルやアメリカを後ろ盾とするジョージア軍が北京で夏季オリンピックが開かれていた期間を狙い、南オセチアを奇襲攻撃したのだが、ロシア軍の反撃で完膚なきまで叩きのめされたのだ。 イスラエルは2001年からジョージアに武器/兵器を含む軍事物資を提供、将兵を訓練しはじめている。イスラエルから供給された装備には無人飛行機、暗視装置、防空システム、砲弾、ロケット、電子システムなども含まれていた。 当時のジョージア政府にはヘブライ語を流暢に話す閣僚がふたりいたことも知られている。ひとりは奇襲攻撃の責任者とも言える国防大臣のダビト・ケゼラシビリであり、もうひとりは南オセチア問題で交渉を担当しているテムル・ヤコバシビリだ。 そのほか、アメリカの傭兵会社MPRIとアメリカン・システムズが元特殊部隊員を2008年1月から4月にかけてジョージアへ派遣して軍事訓練を実施、同年7月にはコンドリーサ・ライス国務長官がジョージアを訪問している。南オセチアへの奇襲攻撃はその翌月だ。アメリカ政府の承認を受けての奇襲攻撃だったのだろう。 アメリカはアル・カイダ系武装集団を使い、2011年春にリビアやシリアへ軍事侵攻、13年11月から14年2月にかけてウクライナではクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。中東でもウクライナでもロシア軍の兵士や兵器の能力がアメリカ/NATO軍を上回ること明確になり、世界各国のアメリカ離れを促進する一因になった。 アメリカをはじめとする西側は生産力も資源量も軍事力もロシアや中国より劣っているのだが、勝てると信じている。今年7月6日から9日にかけて中国を訪問したジャネット・イエレン財務長官は居丈高な姿勢を示し、強者総取りの新自由主義へ復帰することを要求した。その要求を中国政府が受け入れるとは思えない。
2023.09.04
中央アフリカの大西洋岸にあるガボンで2023年8月30日にクーデターがあり、アリ・ボンゴ大統領を含む要人らが拘束されたという。最近アフリカではスーダン、マリ、チャド、ギニア、ブルキナ・ファソ、ニジェール、そしてガボンというようにクーデターが続いている。 ガボンは1960年8月にフランスから「独立」しているが、これは帝国の衣替えにすぎない。その後もフランスの影響下にあったが、2022年6月にイギリス連邦へ加わり、アメリカの影響力も強まった。イギリス陸軍は密猟対策という名目でチームを派遣、軍事訓練を行っている。 アリは1967年から2009年までガボンの大統領を務めていたオマールの息子。汚職や人権侵害で評判の良くない人物だが、8月26日に実施された選挙では勝利している。フランス、イギリス、アメリカの利権構造の手先として機能しているボンゴ家は強い。言うまでもなく、こうした欧米の国々がガボンに食い込んでいる理由は石油をはじめとする資源の存在だ。 ニジェールでは7月26日に大統領警護隊がフランスの傀儡と言われているモハメド・バズーム大統領を拘束、国境を閉鎖し、非常事態を宣言した。 これに対し、アフリカの資源を略奪してきた欧米諸国はクーデターを批判、その手先であるECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)は軍事行動を起こすと恫喝、フランス自体が軍事介入する可能性も言われているのだが、ハードルは高い。 ニジェールでクーデターを実行したリーダーのひとりで国土防衛国民評議会の副議長を務めているサリフー・ムーディー師団将軍はマリを訪れた際にワグナー・グループのエフゲニー・プリゴジンと会っている。同グループの支援を要請したのだが、ロシア側は慎重だった。 そのプリゴジンはロシアへ戻った直後、モスクワからサンクトペテルブルグへエンブラエル・レガシー600で向かうのだが、その途中で飛行機が墜落、乗っていた10名が死亡したとされている。 アフリカのクーデターには植民地支配への人びとの怒りがあるだろうが、アメリカがフランスをアフリカから追い出そうとしていると考える人もいる。米英支配層はドイツやフランスを潰そうとしているわけで、可能性はあるだろう。 本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、近代ヨーロッパは略奪の上に築かれている。「十字軍」の実態は強盗団であり、財宝だけでなく知識を盗み出した。その略奪がなければ、14から15世紀のルネサンスは実現しなかっただろう。 15世紀から17世紀にかけての「大航海」も実態は略奪だった。スペインやポルトガルはそのときにアメリカ大陸を侵略、莫大な量の貴金属を盗み、先住民を酷使して鉱山開発も行った。その象徴的な存在がボリビアのポトシ銀山だ。1545年に発見されたこの銀山だけで18世紀までに15万トンが運び出されたとされ、スペインが3世紀の間に南アメリカ全体で産出した銀の量は世界全体の80%に達したと言われている。16世紀の後半にスペインはフィリピンを植民地化、銀を使い、中国から絹など儲けの大きい商品を手に入れる拠点として使い始めた。(Alfred W. McCoy, “To Govern The Globe,” Haymarket Books, 2021) そうした財宝を運ぶスペインの船を海賊に襲わせ、奪っていたのがイギリス。エリザベス1世の時代にイギリス王室が雇った海賊は財宝を略奪しただけでなく、人もさらっていた。ジョン・ホーキンス、フランシス・ドレイク、ウォルター・ローリーといった海賊にはナイトの爵位が与えられている。(Nu’man Abo Al-Wahid, “Debunking the Myth of America’s Poodle,” Zero Books, 2020) 北アメリカでも先住民が虐殺された。その後、植民地のヨーロッパ人とイギリスが対立、1775年にはイギリス軍と植民地軍が軍事衝突し、植民地側は76年に独立を宣言した。 その宣言には「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」と謳われているが、先住民は人間として扱われていない。勿論、奴隷も人間として扱われていない。アメリカの独立とはその程度の代物にすぎない。 イギリスを中心にヨーロッパでは19世紀に資本主義が広まるが、その矛盾を解消するためには他国を侵略し、略奪する必要があった。それが帝国主義だ。イギリスはターゲット国同士を戦わせ、戦力不足を傭兵でカバーしてきた。明治維新の背後でイギリスが暗躍していた理由もそこにある。 第2次世界大戦後、アメリカはターゲット国の軍人を利用したクーデターで略奪システムを築き、1960年代からは傭兵を現地採用している。例えばベトナム戦争では山岳の少数民族が使われ、中東ではムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)で傭兵システムの「アル・カイダ」が作られた。
2023.09.03
コロナウイルスは紀元前8000年には存在していたと言われ、人類との付き合いは長い。深刻な病気を引き起こすとは認識されていなかったのだが、2003年に重症肺炎を引き起こすSARS-CoV(SARSコロナウイルス)が出現した。 そして2019年12月、中国湖北省の武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が見つかり、翌年の2月4日には横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」でも似たような症状の患者が見つかると人びとの恐怖は高まる。それ以降、世界を「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)」なる悪霊が徘徊し始めた。 武漢やクルーズ船内ではそうした重篤な肺炎を引き起こす病原体が存在していたのかもしれないが、その後、SARSと似た重症の肺炎患者が世界の街にあふれ、死者が急増するという事態にはならなかった。さまざまな手段を使って「感染者」や「死亡者」を水増し、あるいは捏造してイメージが作られただけだ。感染が広がった何らかの病原体が存在していたとするなら、それは武漢やクルーズ船内で病気を引き起こしたものとは違うだろう。 COVID-19騒動が引き起こした最大の問題は「ワクチン」というタグが付けられた遺伝子操作薬にほかならない。これは全く新しい薬で、安全性の確認はされていない。 最も多く使われた「mRNAワクチン」はmRNAを細胞の内部へ送り込み、細胞に病気の原因であるスパイク・タンパク質を製造させるというもの。人間の免疫システムは細胞を病気の原因だと認識して攻撃、炎症を引き起こす。精巣の細胞にmRNAが入り込み、精子でなくスパイク・タンパク質を作り続けるケースもあるようだ。 そうした炎症を抑えているのが免疫の低下。いわばAIDS状態になるわけで、VAIDS(ワクチン後天性免疫不全症候群)なる造語も使われ始めている。「ワクチン」を接種した後、それまで感染したことのない、さまざまな細菌性の病気にかかる人がいるとイゴール・チュドフは指摘しているが、そうした状態がVAIDSだ。接種が始まる前からADE(抗体依存性感染増強)を懸念する人は少なくなかったが、懸念された通りになっているようだ そのほか「COVID-19ワクチン」にはDNAの混入、mRNAを細胞の内部へ運ぶために使われているLNP(脂質ナノ粒子)の毒性、グラフェン誘導体の混入なども問題だ。LNPは卵巣を含むあらゆる臓器に蓄積、生殖システムが破壊される可能性が指摘されている。 こうした危険な「COVID-19ワクチン」を接種された幼児にも深刻な副作用が出ているが、それだけでなく、「ワクチン」を接種した母親から生まれた新生児にも副作用が出ているという。 「COVID-19ワクチン」の接種を計画していたきた人びと、つまりアメリカ国防総省は、乳児や人間の生殖能力を破壊することで人類の力を破壊、あるいは著しく制限しようとしている。「ワクチン」メーカーは哺乳類の受胎サイクルを破壊する実験を行っていたという。 妊婦は医師から接種を勧められていたが、アメリカのCDC(疾病対策センター)の所長を務めていたロシェル・ワレンスキーも接種を勧めていた。問題の「ワクチン」が安全で効果があり、妊婦が接種することは必要だと信じ込ませる心理作戦のために130億ドルが投入されたとされている。 カネを受け取った団体の中には産婦人科医を監督している産婦人科のNGOも含まれていたという。彼らが取り交わした契約では、「ワクチン」の危険性を語った場合、受け取った全てのカネを返さなければならないことになっているという。日本の政治家、官僚、学者、編集者/記者などがカネに関して潔癖だということはあるだろうか? ところで、ロシアでは昨年7月、外国の巨大医薬品メーカーからロシアの医療関連機関の幹部へ多額の資金が渡っている事実が明らかにされた。ウラジミル・プーチン大統領はユーリ・チカンチン連邦財務監視庁長官と会談、それを問題にしている。連邦財務監視庁はFSB(連邦安全保障局)と共同で医療世界におけるカネのやりとりを止めさせるために調査を始めたという。
2023.09.02
今から40年前、つまり1983年の8月31日から9月1日にかけて大韓航空007便はソ連領へ侵入、重要な軍事基地の上空を飛行した後、サハリン上空でソ連の戦闘機に撃墜されたと言われている。この旅客機はアンカレッジを離陸して間もなく航路を逸脱、NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)が設定したアラスカの「緩衝空域」と「飛行禁止空域」を横切るのだが、その際、NORADは旅客機に対して何も警告していない。担当官が怠慢だったのか、事前に許可をえていたのかいずれかだろう。この出来事はソ連とアメリカとの間で軍事的な緊張が高まっている最中に起こった。 アメリカではジェラルド・フォード政権(1974年8月から77年1月)の時にデタント(緊張緩和)派が粛清され、軍事強硬派がホワイトハウスの実権を握った。その際、台頭してきたのがネオコンだ。ジャーナリストのジョセフ・トレントによると、フォード大統領は日本に対し、日本の核計画に干渉しないと約束していたという。(Joseph Trento, “United States Circumvented Laws To Help Japan Accumulate Tons of Plutonium”) フォード政権で行われた粛清の中でも重要なものは国防長官とCIA長官の交代。国防長官はジェームズ・シュレシンジャーからドナルド・ラムズフェルドへ、CIA長官はウィリアム・コルビーからジョージ・H・W・ブッシュへ替わっている。ブッシュはエール大学時代にCIAからリクルートされたと言われているが、父親のプレスコットはウォール街の銀行家だった時代からアレン・ダレスと親しかった。 そのブッシュを含むアメリカの情報機関人脈は1979年7月、エルサレムでイスラエルの情報機関人脈と会議している。主催したジョナサン研究所の創設者であるベンシオン・ネタニヤフはウラジミール・ヤボチンスキーの秘書だった人物で、イスラエルの首相となるベンヤミン・ネタニアフの父親でもある。 アメリカから会議に参加した人物にはブッシュのほか、CIA台湾支局長を経て副長官を務めたレイ・クライン、CIAでソ連脅威論を宣伝していたチームBのリチャード・パイプス、ジャーナリストを名乗るアーノウド・ド・ボルクグラーブやクレア・スターリングなどが含まれる。なお、チームBにはポール・ウォルフォウィッツもいた。会議ではテロの原因をソ連政府の政策、あるいは陰謀だと主張し、ソ連を国際テロリズムの黒幕として非難している。 1981年1月にロナルド・レーガンが大統領になるが、ブッシュはその政権で副大統領に就任。1982年10月にはスウェーデン領海へ国籍不明の潜水艦が侵入、大捕物が展開された。その潜水艦は捕獲されなかったものの、根拠が曖昧なままソ連の潜水艦という印象が広まり、スウェーデンにおける反ソ連感情は劇的に高まる。 1980年までスウェーデンでソ連を脅威だと考える人は国民の5~10%に過ぎなかったが、事件後の83年には40%に跳ね上がり、軍事予算の増額に賛成する国民の比率は70年代の15~20%から事件後には約50%へ跳ね上がっている。(Ola Tunander, “The Secret War Against Sweden”, 2004) 追跡が始まった1週間後にスウェーデンではアメリカの支配層から嫌われていたオルオフ・パルメが首相として返り咲く。1969年から76年にかけてもパルメは首相を務めているが、その時もこの人物はアメリカ支配層にとって頭痛の種だった。潜水艦騒動はそのパルメを抑え込むことになる。なお、パルメは1986年2月28日に暗殺された。 日本では1982年11月に中曽根康弘が内閣総理大臣に就任、翌年の1月に彼はアメリカを訪問、その際に日本を「巨大空母」に例えている。インタビューしたワシントン・ポスト紙によると、中曽根は「日本列島をソ連の爆撃機の侵入を防ぐ巨大な防衛のとりでを備えた不沈空母とすべきだ」と発言、さらに「日本列島にある4つの海峡を全面的かつ完全に支配する」とし、「これによってソ連の潜水艦および海軍艦艇に海峡を通過させない」と語ったのである。 それから間もない1983年4月から5月にかけてアメリカ海軍は千島列島エトロフ島の沖で大規模な艦隊演習「フリーテックス83」を実施する。この演習には3空母、つまりエンタープライズ、ミッドウェー、コーラル・シーを中心とする機動部隊群が参加した。 演習では空母を飛び立った艦載機がエトロフ島に仮想攻撃をしかけ、志発島の上空に侵入して対地攻撃訓練を繰り返したとされている。米ソ両軍は一触即発の状態になったのだが、この演習を日本のマスコミは無視した。(田中賀朗著『大韓航空007便事件の真相』三一書房、1997年) そした中、大韓航空007便はソ連の領空を侵犯、しかも重要な軍事基地の上空を飛行したのだが、NATO軍はその年の11月、ヨーロッパで大規模な演習「エイブル・アーチャー83」を予定していた。これを軍事侵攻のカモフラージュだと判断したソ連政府は核攻撃に備える準備をはじめるように指令を出し、アメリカのソ連大使館では重要文書の焼却が始まったと言われている。 NATOが軍事演習を計画していた1983年11月、レーガン政権は戦術弾道ミサイルのパーシングIIを西ドイツへ配備、作業は85年の終わりまで続く。その一方、アメリカの情報機関人脈はソ連の情報機関KGB(国家保安委員会)の幹部を買収する工作を進めていた。
2023.09.01
今から100年前の1923年9月1日、東京周辺を巨大地震が襲った。被災者は340万人以上、死者と行方不明者を合わせると10万5000名を上回り、損害総額は55億から100億円に達していたという。復興資金を調達するために外債発行を日本政府は決断、ウォール街を拠点とする巨大金融機関のJPモルガンと交渉する。この巨大金融機関と最も深く結びついていた日本人が井上準之助だ。井上がJPモルガンと親しくなったのは1920年に対中国借款交渉を行った時だという。(NHK取材班編『日本の選択〈6〉金融小国ニッポンの悲劇』角川書店、1995年) JPモルガンを率いていたトーマス・ラモントは3億円の外債発行を引き受け、1931年までの間に融資額は累計10億円を超えたという。必然的にJPモルガンは日本に大きな影響力を及ぼすようになる。日本の通貨を支配するために金本位制を強制、今の用語を使うならば「新自由主義経済」を導入させた。その結果、日本からは金が流出して不況はますます深刻化、東北地方で娘の身売りが増えることになる。 そうした政策に反発する人たちもいた。例えば血盟団は1932年に井上準之助や団琢磨らを暗殺、36年2月26日には陸軍の青年将校が軍事蜂起している。腐敗した政治家や財界人を排除すれば天皇が素晴らしい政治を行ってくれると信じていたようだが、勿論、間違っていた。天皇も彼らの仲間だったのだ。 ウォール街は帝国主義の牙城だが、その中核がJPモルガンにほかならない。そのウォール街を揺さぶる出来事が1932年にあった。大統領選挙で彼らに担がれていたハーバート・フーバーがニューディール派を率いるフランクリン・ルーズベルトに敗れたのだ。 フーバーはスタンフォード大学を卒業した後、鉱山技師としてアリゾナにあるロスチャイルドの鉱山で働いていた。利益のためなら安全を軽視するタイプだったことから経営者に好かれ、ウォール街に目をかけられたという。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013) その当時、大統領の就任式は選挙から4カ月後の3月に行われていた。式の直前、1933年2月15日にルーズベルトはフロリダ州マイアミで開かれた集会に参加したのだが、銃撃事件に巻き込まれている。イタリア系のレンガ職人、ジュゼッペ・ザンガラが32口径のリボルバーから5発の弾丸を発射したのだ。弾丸はルーズベルトの隣に立っていたシカゴのアントン・セルマック市長に命中、市長は死亡したものの、ルーズベルトは無事だった。 ザンガラの足場が不安定だったうえ、そばにいたW・F・クロスという女性がザンガラの銃を握っていた腕にしがみついて銃撃を妨害、すぐ別の人も同じようにザンガラの腕にしがみついたと報道されている。クロスによると、ザンガラはルーズベルトを狙っていた。(‘Woman’s courage foils shots assassin aimed at Roosevelt,’ UP, February 16, 1933) 次期大統領の命が狙われた可能性が高いのだが、徹底的な調査は行われていない。事件の真相が明らかにされないまま、ザンガラは3月20日に処刑されてしまった。 ルーズベルトが大統領に就任した後、ウォール街の住人はクーデターを計画する。1933年から34年にかけてのことだ。この事実は名誉勲章を2度授与されたアメリカ海兵隊の伝説的な軍人であるスメドリー・バトラー少将が計画の詳細を聞き出した上で議会において告発、明らかにされた。(Public Hearings before the Special Committee on Un-American Activities, House of Representatives, 73rd Congress, 2nd Session) バトラーによると、ウォール街の住人たちはドイツのナチスやイタリアのファシスト党、中でもフランスの「クロワ・ド・フ(火の十字軍)」の戦術を参考にしていた。50万人規模の組織を編成して政府を威圧、「スーパー長官」のようなものを新たに設置して大統領の重責を引き継ぐとしていた。動員する組織として想定されていたのは在郷軍人会だ。 クーデターを計画したグループはアメリカに金本位制を復活させようとしていた。ウォール街に利益をもたらすからだ。失業対策として彼らが考えていたのは強制労働収容所にすぎず、労働者の権利を認めたり公教育を充実させるといった政策は考えていない。 クーデター計画を聞き出したところでバトラーは反クーデターを宣言した。50万人の兵士を利用してファシズム体制の樹立を目指すつもりなら、自分は50万人以上を動かして対抗すると応じた。内戦を覚悟するようにバトラーは警告したのだ。(前掲書) 関東大震災から日本の政治経済に大きな影響を及ばしたJPモルガンをはじめとするウォール街の金融機関とはファシストにほかならない。そのJPモルガンは1932年に駐日大使としてジョセフ・グルーを日本へ送り込んでくる。この人物のいとこにあたるジェーン・グルーが結婚した相手はジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア、つまりJPモルガンの総帥だ。 また、グルーの結婚相手であるアリス・ペリー・グルーの曾祖父にあたるオリバー・ペリーは海軍の軍人で、その弟は「黒船」で有名なマシュー・ペリー。ジェーン自身は少女時代を日本で過ごし、華族女学校(女子学習院)へ通ったという。 グルー夫妻は官僚や財界人だけでなく天皇周辺にも強力な人脈を持っていた。例えば松平恒雄宮内大臣、徳川家達公爵、秩父宮雍仁親王、近衛文麿公爵、貴族院の樺山愛輔伯爵、吉田茂、吉田の義父にあたる牧野伸顕伯爵、元外相の幣原喜重郎男爵らがその人脈には含まれていた。(ハワード・B・ショーンバーガー著、宮崎章訳『占領 1945~1952』時事通信社、1994年) しかし、グルーが個人的に最も親しかったひとりは松岡洋右だと言われている。松岡の妹が結婚した佐藤松介は岸信介や佐藤栄作の叔父にあたる。1941年12月7日(現地時間)に日本軍はハワイの真珠湾を奇襲攻撃、日本とアメリカは戦争に突入するが、翌年の6月までグルーは日本に滞在した。離日の直前には商工大臣だった岸信介からゴルフを誘われている。(Tim Weiner, "Legacy of Ashes," Doubledy, 2007) ところで、震災当日、日本の政府は機能していなかった。8月24日に加藤友三郎首相が死亡し、山本権兵衛(ごんのひょうえ)が組閣している最中だったのである。親任式が行われたのは翌日のことだ。 そうした中、震災対策の責任者として活動していたのは水野錬太郎内相と赤池濃警視総監。朝鮮の独立運動を弾圧したコンビだ。 赤池総監は震災当日の午後4時半に東京衛戍司令官の森山守成近衛師団長に軍隊の出動を要請し、皇居、官公庁、駅、銀行、物資集積所などを部隊が警備、憲兵も市内の治安維持にあたった。さらに総監は罷災地一帯に戒厳令を布くべきだと水野内相に進言している。 夕方になると「社会主義者や朝鮮人の放火が多い」とか「朝鮮人が来襲して放火した」、あるいは「不逞鮮人が来襲して井戸への投毒・放火・強盗・●姦をする」といった流言蜚語が飛び交いはじめた。そして9月2日夜に警視庁は全国へ「不定鮮人取締」を打電し、戒厳令も施行されている。 どのようなプロセスで流言蜚語が広まったか不明だが、結果として数千人の朝鮮人や中国人が殺されたと言われている。さらに大杉栄や伊藤野枝を含む社会主義者やアナーキストが虐殺されている。こうした出来事は、少なくとも結果として、中国占領の準備になった。 明治維新以降、日本では民主主義勢力が徹底的に弾圧されていたが、1925年4月には治安維持法が公布され、5月に施行された。1927年5月には第一次山東出兵、28年4月に第二次山東出兵、5月に第三次山東出兵、6月には張作霖を爆殺、31年9月に柳条湖で満鉄の線路を爆破(柳条湖事件)、32年3月に「満洲国」の建国を宣言、そして37年7月の盧溝橋事件というように中国侵略を進めていく。
2023.08.31
新たに見つかったCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)の変異株は恐ろしいという宣伝が始まっている。EG.5(エリス)とBA.2.86(ピローラ)だ。真偽は不明だが、9月以降、航空関係者や旅客機の乗客にマスクの着用が順次義務付けられるとする話も伝えられている。その後、2021年当時のようなソシアル・ディスタンスやロックダウンが求められる可能性があるというのだ。 COVID-19は当初、「2019-nCoV」と呼ばれていた。名称がCOVID-19へ変更されたのは2020年2月のこと。その病気を引き起こす病原体が特定できないまま「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)」と命名された。いわゆる「新型コロナウイルス」だ。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、COVIDを反転させ、それをヘブライ語の文字へ変換させると「死者の霊」という意味になる。反転させる理由は、ヘブライ語がアラビア語と同じように右から左へ書くからだ。 反転させると「DIVOC」になるが、音に基づくと「dybbuk(あるいはdibbuk)」とも表現できる。これは悪霊を意味する英単語だ。ちなみに、ヘブライ語では「V」と「B」を区別しない。そこで、COVIDという名称を見てヘブライ語を理解できる人の一部は驚いたようだ。実際、COVID-19は人びとを脅す悪霊として使われた。 COVID-19を使った悪霊騒動は2019年12月に中国湖北省の武漢においてSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が見つかったところから始まる。翌年の2月4日には横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」でも似たような症状の患者が見つかり、人びとを恐怖させることになったが、「SARSと似た重症の肺炎患者」が街にあふれ、死者が急増するという事態にはならない。 つまり世界的な感染爆発とは言えない状態なのだが、WHO(世界保健機関)は2020年1月30に緊急事態を宣言、3月11日にパンデミックを宣言した。パンデミックを宣言できたのは「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行(2009年1月から10年8月にかけての時期に)する直前に定義の変更があったからだ。「病気の重大さ」、つまり死者数が多いという条件が削られていたのだ。 2020年4月にWHOやアメリカのCDC(疾病予防管理センター)は、医学的な矛盾がなく明白な別の死因がないならば、あるいは適度な確かさがあるならば、COVID-19を死因としてかまわないと通達した。 アメリカ上院のスコット・ジャンセン議員はその年の4月8日にFOXニュースの番組に出て、病院では死人が出ると検査をしないまま死亡診断書に新型コロナウイルスと書き込んでいると話している。COVID-19に感染している場合、病院が受け取れる金額が多くなるからで、人工呼吸器をつけるとその額は3倍になるという。感染者数を水増しするために利益誘導したわけだ。「無症状感染者」なるタグも使われた。 パンデミック宣言を正当化するため、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査も利用された。これは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する分析のための技術だが、増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎず、ウイルス自体を見つけることはできない。 増幅の回数(Ct値)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、偽陽性も増える。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。ちなみに、2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40だ。 Ct値をこうした数値に設定したならPCR検査は無意味だが、結果だけは出るので人びとを騙す材料には使える。PCRを開発、1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスもPCRをウイルスの検査に使ってはならないと語っていた。 PCRを診断に使う危険性をアメリカの有力紙も指摘している。例えばニューヨーク・タイムズ紙は2007年1月に掲載した記事で、PCRのような高感度の簡易検査は、伝染病が蔓延していると誤って判断させる原因になりうると警鐘を鳴らしている。 こうして作り出されたパンデミック騒動を利用し、少なからぬ国が監禁政策(ロックダウン)をとり、社会の収容所化が進んだ。生産活動や商業活動は麻痺、個人経営の店や中小企業を中心にして経営状態が悪化し、倒産に追い込まれるケースも少なくない。サプライ・チェーンはダメージを受けた。 また、個人を監視、管理する仕組みの導入も図られている。その核になるシステムはデジタルIDだろう。欧州委員会は2019年に公表した指針の中で、EU市民向けの「ワクチン・カード/パスポート」を2022年に導入する計画を立てている。 こうした騒動を利用してWEF(世界経済フォーラム)は資本主義の「大々的なリセット」を主張している。そのWEFを率いるクラウス・シュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組に出演、そこでマイクロチップ化されたデジタル・パスポートについて話している。まずチップを服に取り付けるところから始め、次に皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合するというのだ。一人ひとりの感情を監視するだけでなく、思想や記憶の管理も考えている。 シュワブを含む欧米の支配層は彼らの支配システムを維持するだけでなく、高級化するために大多数の人間を巨大コンピュータで操作する世界を築こうとしている。それがリセットだ。 おそらく、彼らは簡単にロシアも中国も屈服させられると考えていたのだろうが、そうした展開にはなっていない。アメリカのくびきを脱する国が増え、アメリカ支配層の内部にも軌道修正を模索する動きが現れている。 何が何でもアメリカを中心とする支配システムを維持したい人びとは来年の大統領選挙でジョー・バイデンのようなネオコンの傀儡を勝たそうと必死だ。それが難しいなら、選挙できない状況を作ろうとするかもしれない。ロシアや中国と直接的な戦争を始められないなら、選挙できないような状況を作るかもしれない。例えばCOVID-19以上の」悪霊」を登場させ、投票所へ行けないようにすることもありえるだろう。
2023.08.30
厚生労働省は8月29日、6月分の「人口動態統計速報」を発表した。それによると死亡者数は11万3500人。「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の接種が始まる前に比べるて大幅に増えている状況に変化はない。
2023.08.30
元CIA分析官のラリー・ジョンソンによると、軍情報部にいる彼の友人はアメリカ軍のトップはウクライナ軍が負けていることに気づいていないと語ったという。アメリカ/NATOには供給できる武器弾薬が底を突きつつあり、十分な軍事訓練を受けた兵士はほとんど残っていないのだが、武器弾薬を供給し、「総玉砕」させれば何とかなると考えているようだ。 現在、ウクライナで繰り広げられている戦闘はバラク・オバマ政権が2013年11月から14年2月にかけてネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除したところから始まる。そのヤヌコビッチ大統領を支持していた東部や南部の住民はクーデターを拒否、クリミアはロシアと一体化し、ドンバスでは内戦になるのだ。 このクーデターをホワイトハウスで指揮していた人物は現アメリカ大統領のジョー・バイデンであり、ウクライナで指揮していたのが国務次官補だったビクトリア・ヌランド。そしてバイデン副大統領の国家安全保障担当補佐官を務めていた人物がジェイク・サリバン。バイデンが大統領になった後、ヌランドは国務次官から副長官代理になり、サリバンは国家安全保障問題担当大統領補佐官だ。ウクライナが、つまりアメリカ/NATOがロシアに勝てないことをこの3名も認めようとしていないようだ。 ヌランドはクーデターが本格化する直前の2013年12月13日、米国ウクライナ財団主催の会合に登場、アメリカは1991年からウクライナに対して50億ドル以上を投資したと語っている。ウクライナの利権を奪うため、それだけのことをしたというアピールだ。 アピールしている相手は演壇に示されていた。アメリカの巨大石油会社、エクソンモービルとシェブロンの文字があったのだ。アメリカはエネルギー資源だけでなく耕作地、そして希少金属の利権を手に入れようと画策してきた。 クーデターの後、ロシアからの支援を失ったウクライナの経済は破綻し、ウクライナ国債の価格は下落する。それを買い占めていたフランクリン・テンプルトンというファンドは額面総額50億ドルの国債を買ったという。このファンドを操っているのはロスチャイルド家だ。 破綻した国の国債を安値で買いあさり、満額で買い取らせるというのが「ハゲタカ・ファンド」のやり口。ウクライナにはIMFがカネを貸しているが、そのカネでファンドの要求通りに支払うことができる。債権者になったIMFは債務者である破綻国の政府に対して緊縮財政を要求、庶民へ回るカネを減らさせる。規制緩和や私有化の促進で国の資産を巨大資本に叩き売らせ、大儲けさせてきた。 現在、欧米の金融資本はブラックロック、バンガード、ステート・ストリートをはじめとする「闇の銀行」が中心になっている。ウクライナの場合、西側から供給される兵器や「復興資金」の使い道についてアドバイスしているのがブラックロックだという。ブラックロックを率いるラリー・フィンクはウクライナとのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と関係が深い。そのほか、JPモルガンやゴールドマン・サックスともゼレンスキー政権は協力関係にある。 金融利権ではロスチャイルド、石油利権ではロックフェラーの名前が頭に浮かぶかもしれないが、クーデターが始まる前年である2012年の5月にジェイコブ・ロスチャイルドとデイビッド・ロックフェラーは手を組んでいる。ジェイコブ・ロスチャイルドが率いる投資会社RITキャピタル・パートナーズがデイビッド・ロックフェラーのロックフェラー・ファイナンシャル・サービシズが発行している株式の37%を取得すると発表したのだ。 WHO(世界保健機関)はデイビッド・ロックフェラーの命令で創設されたと言われている。デイビッドの祖父に当たるジョン・D・ロックフェラーがロックフェラー財閥の祖と言われているが、その父親であるウィリアム・エイブリ・ロックフェラーは興味深い人物だ。 19世紀のアメリカにはインチキ薬の販売を生業とする人物がいたが、そのひとりがウィリアム・レビングストン。石油をベースにした「万能薬」を売っていた。本人は癌の専門家だと名乗り、その薬は癌にも効くと言っていた。その薬を1瓶25ドル、その当時における平均的な収入の2カ月分に相当する金額で売っていたという。 偽薬だということがバレると客からリンチされるが、レビングストンはそうした目にあっていない。ところが1849年、少女をレイプしたとして起訴されている。そして男の本名が明らかになった。ウィリアム・エイブリ・ロックフェラーだ。起訴される10年前に生まれた息子がジョン・D・ロックフェラーにほかならない。
2023.08.29
2015年2月から16年3月にかけてウクライナの検事総長を務めたビクトル・ショーキンが8月25日に放送されたFOXニュースの番組に登場、バイデン親子の汚職疑惑について語った。 2009年1月から17年1月までのアメリカ大統領はバラク・オバマ。その政権で副大統領を務めていたジョー・バイデンは当時のウクライナ大統領ピョートル・ポロシェンコに対し、ショーキンを解任するように圧力をかけたとしている。ショーキンによると、検事総長を解任しろという圧力は2015年終わりから16年初めにかけての数カ月に及んだ。 当時、ウクライナの検察当局はジョーの息子であるハンター・バイデンが役員を務めていたウクライナのエネルギー会社、ブリズマ・ホールディングス(本社はキプロス)の汚職に関する捜査をしていた。ショーキンによると、もし捜査が続けられていたなら、ハンター・バイデンや同社の別のアメリカ人重役だったデボン・アーチャーを含む関係者が汚職行為を働いたことを示す証拠を明らかにすることができ、ジョー・バイデンもポロシェンコもそれを理解していたという。 このスキャンダルが注目される切っ掛けを作ったのはジョー・バイデン自身だ。2018年1月23日にCFR(外交問題評議会)で、10億ドル融資してほしければショーキンを6時間以内に解任しろと恫喝、実際に解任されたと自慢したのだ。 この発言をアメリカ大統領だったドナルド・トランプは2019年7月25日にウォロディミル・ゼレンスキーへ電話した際、話題にしている。それを民主党や有力メディアは問題にした。トランプがゼレンスキーへ電話する前の今年2月の初めにはハンターに対する捜査を再開する動きがあったとも伝えられている。 バイデンは「ウクライナを支援する欧米諸国や国際機関が同国の腐敗問題に取り組む中、同国の検事総長が汚職捜査に消極的だとして解任させようとした」と主張しているが、ショーキンは宣誓供述書の中で、解任の理由はブリスマ・ホールディングスを捜査していたことにあるとしている。 現在ウクライナで繰り広げられている戦闘はオバマ政権が2013年11月から14年2月にかけてネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除したところから始まった。そのヤヌコビッチ大統領を支持していた東部や南部の住民はクーデターを拒否、クリミアはロシアと一体化し、ドンバスでは内戦になるのだ。 そのクーデターが本格化する直前の2013年12月13日、国務次官補を務めていたビクトリア・ヌランドは米国ウクライナ財団主催の会合で、アメリカは1991年以来、ウクライナに対して50億ドル以上を投資したと語っている。ヌランドが立った演壇にはアメリカの巨大石油会社、エクソンモービルとシェブロンの文字があった。アメリカはエネルギー資源だけでなく耕作地、そして希少金属の利権を手に入れようと画策してきた。
2023.08.28
日本政府が強引に推進している原子力発電と「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」には共通の人物が関係している。ビル・ゲイツだ。 言うまでもなくゲイツはマイクロソフトの創業者で「COVID-19ワクチン」の接種を推進しているのだが、2006年には原子力エネルギー開発会社のテラパワーを設立、アメリカのエネルギー省と次世代高速炉の実証プロジェクトに乗り出した。2028年にワイオミング州で運転を開始するという。日本でも高速増殖炉の研究開発が進められてきたが、高速炉「もんじゅ」の廃炉が2016年に決まっている。 もんじゅは1991年から性能試験を始めたが、その4年後に2次冷却系のパイプが破裂、そこから2~3トンと推定される放射性ナトリウムが漏出し、火災が発生して運転を休止してしまう。その際に動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は事故原因が写ったビデオ映像を隠そうとした。2010年には原子炉容器内に筒型の炉内中継装置(重さ3.3トン)が落下するという事故も引き起こしている。 日本原子力研究開発機構と三菱重工は昨年1月、この計画に協力すると発表、高速増殖実験炉の「常陽」や原子力機構の試験施設「アテナ」の活用も検討されている。いずれの施設も茨城県にあり、メルトダウン事故を引き起こした東電福島第一原発を挟んで反対側に「COVID-19ワクチン」の製造工場が作られた。 日本の高速増殖炉開発はアメリカの事情が影響している。アメリカでは1972年からCRBR(クリンチ・リバー増殖炉)計画が始まるのだが、1977年1月から81年1月まで大統領を務めたジミー・カーター大統領は基礎的な研究計画を除いて中止させる。次のロナルド・レーガン政権は1981年に計画を復活させたものの、議会は87年にクリンチ・リバーへの予算を打ち切った。 そこで高速増殖炉の推進勢力は日本に目をつけ、ジョセフ・トレントによると、推進派のリチャード・T・ケネディー陸軍大佐はクリンチ・リバー計画の技術を格安の値段で日本の電力会社へ売ることにする。日本側は核兵器に関する技術を求めた。(Joseph Trento, “United States Circumvented Laws To Help Japan Accumulate Tons of Plutonium”) こうした動きをCIAは懸念するが、国務省やエネルギー省は賛成。核武装した日本はアジアにおけるアメリカの軍事負担は軽減されると考えた国防総省もプルトニウムや核兵器に関する技術の日本への移転に国防総省も強くは反対しなかった。 トレントの記事によると、日本の科学者はクリンチ・リバー計画の関連施設を訪れるようになり、日本側は最も欲しがったサバンナ・リバーにある高性能プルトニウム分離装置の技術を手に入れることに成功している。RETF(リサイクル機器試験施設)だ。RETFは使用済み燃料から核兵器級プルトニウムを分離する施設であり、核兵器級のプルトニウムを製造する中心的な存在である。 トレントによると、2011年3月11日に東電福島第一原発が過酷事故を起こした当時、日本は約70トンの兵器級プルトニウムを保有していたという。自らが生産した可能性もあるが、外国から持ち込まれた可能性もある。 その福島第一原発の警備を担当していたのはイスラエルのマグナBSPで、セキュリティ・システムや原子炉を監視する立体映像カメラが原発内に設置、スタッフをイスラエルで訓練していたとエルサレム・ポスト紙やハーレツ紙が伝えている。 1986年10月にサンデー・タイムズ紙が掲載したモルデカイ・バヌヌの内部告発によると、その当時、イスラエルが保有していた核弾頭の数は150から200発。水素爆弾をすでに保有し、中性子爆弾の製造も始めていたという。中性子爆弾は実戦で使う準備ができていたとしている。後にカーターはイスラエルが保有する核兵器の数を150発だとしている。(BBC, May 26, 2008) また、イスラエルの軍情報機関ERD(対外関係局)に勤務、イツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めた経歴を持つアリ・ベンメナシェによると、1981年時点でイスラエルがサイロの中に保有していた原爆の数は300発以上。水爆の実験にも成功していたという。(Seymour M. Hersh, "The Samson Option", Faber and Faber, 1991) こうした核兵器の開発や製造はネゲブ砂漠にある原子力研究センターで行われている。1990年代の初めにこの施設で大規模な事故があったと噂されている。内部の様子は不明だが、外部から炎が見えたという。 この施設は1990年から94年頃まで閉鎖された。もし深刻な事故が起こったという推測が正しいなら、核兵器の生産が困難になっている可能性もある。そうなると、どこかで核弾頭に使うプルトニウムやウラニウムを製造しなけらばならない。
2023.08.27
日本政府は放射性物質に汚染された水を太平洋へ放出し始めた。この汚染水を生み出す原因は2011年3月11日の東電福島第一原発における炉心溶融事故。東北地方の太平洋沖で発生した大規模な地震によって事故は引き起こされている。 放出する汚染水は「ALPS(多核種除去設備)」によって「トリチウムを除く大部分の放射性核種を取り除いた状態でタンクに貯蔵」しているものだとされているが、トリチウム、つまり三重水素は残っている。またALPSは炭素14を取り除けず、処理した汚染水の8割以上に基準を超える放射性物質が残っているとも指摘されている。炭素14はDNAを損傷させ、突然変異を誘発する可能性があるともいう。 水俣病などの公害が問題になった時も「薄める」という儀式を行われるが、これは意味のない行為だ。排水溝の近くの海から水をくみ上げ、廃液とまぜて濃度を下げるという子ども騙しのようなことも行われた。そこで「総量規制」という考え方が出てきた。福島第一原発の汚染水ではこの考え方が無視されている。 東電福島第一原発に近い福島県南相馬市で、アルカリスと明治グループのMeiji Seikaファルマが共同でmRNA技術を利用した「遺伝子操作薬」の製造工場を建設した。アルカリスは2021年にアルクトゥルスとアクセリードが合弁で設立した会社で、アクセリードは武田薬品の湘南研究所が2017年にスピンオフしてできた。 武田薬品の「グローバル・ワクチン・ビジネス・ユニット」で「プレジデント」を務め、今年3月に退職したラジーブ・ベンカヤはジョージ・W・ブッシュが大統領だった2002年から03年にかけての時期にホワイトハウス・フェローを務め、バイオ防衛担当ディレクターを経て大統領特別補佐官およびバイオ防衛担当シニアディレクターとして活動、バイオ・テロリズム研究グループを率いていた人物。ホワイトハウス時代、ベンカヤはフランシス・タウンゼント国土安全保障担当補佐官の直属で、その時、ロックダウンを考え出したという。 ホワイトハウスを離れたベンカヤはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団でグローバル・ヘルス・プログラムのワクチン・デリバリー・ディレクターを務め、2011年には武田薬品のグローバル・ワクチン・ビジネス・ユニットを率いることになった。 その一方、Gavi(ワクチンアライアンス)の理事を務め、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)やIAVI(国際エイズワクチン推進構想)の理事会メンバー。CFR(外交問題評議会)の終身会員でもある。ちなみに、Gaviはワクチンを推進するため、2000年にWEF(世界経済フォーラム)の年次総会で設立された団体。活動資金はWHO(世界保健機関)、UNICEF(国連児童基金)、世界銀行、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団などから得ている。 WEFやビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団のほか、ウェルカム・トラストなどによって作られたCEPIは「将来の『疾病X』の発生は避けられない」と予測し、将来のウイルス侵入に対する永遠の警戒を呼びかけている。ウェルカム・トラストの理事長だったジェレミー・ファラーは現在、WHOの主任科学者だ。 ウェルカム・トラストは2020年5月、ウェルカム・リープなる会社を創設しているが、そのCEOに選ばれたレジーナ・デューガンはアメリカ国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)で長官を務めていた人物。南相馬のmRNA工場もアメリカ国防総省の匂いがする。 ジョー・バイデン政権は今年7月21日、生物学的脅威や病原体に対する備えと対応を指揮するというOPPR(パンデミック対策対応室)の発足とポール・フリードリックス退役少将のOPPR初代室長就任を発表している。これもCOVID-19とアメリカ国防総省との関係を示していると言えるだろう。 医薬品業界で研究開発に関わってきたサーシャ・ラティポワの分析によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の接種計画はオバマ政権の時代にアメリカの国防総省が始めている。 この「ワクチン」計画は2015年9月に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」と関係している。「SDGs(持続可能な開発目標)」を実現するため、個人を特定するためのシステムに記録されていない人びとを管理する必要があるとされ、デジタルIDの導入が進められることになった。 岸田文雄内閣は昨年10月13日、「マイナンバーカード」と健康保険証を一体化させる計画の概要を発表したが、これも欧米の私的権力が推進しているプロジェクトの一環だろう。 マイナンバーカードはデジタルIDの一種だが、デジタルIDとワクチンは不可分。マイナンバーカードもワクチンの強制接種に使われる可能性がある。 どのようにデジタルIDの導入を進めるかが2016年5月には国連本部で話し合われ、ID2020というNGOが設立された。このNGOにはビル・ゲイツのマイクロソフトも関係している。 こうした計画の実施に最も積極的なのはEUの執行機関である欧州委員会。2019年に同委員会が公表した指針の中には、EU市民向けの「ワクチン・カード/パスポート」を2022年に導入する計画が示されている。 パンデミックを口実にして、欧米の私的権力が全人類を監視、管理する計画が進んでいる。その仕掛けのひとつが「パンデミック条約」。WHO(世界保健機関)が2021年3月に宣伝し始めたもので、各国から主権を奪うことを目的にしている。2022年5月にはスイスのジュネーブで「第75回世界保健総会(WHA)」を開催、その条約について話し合い、来年5月に成立させようと目論んでいるようだ。その仕組みを動かす上で重要な情報を集約する「ハブ」をWHOはロックフェラー財団と作るともされている。
2023.08.26
モスクワからサンクトペテルブルグに向かっていたワグナー・グループのエフゲニー・プリゴジンが所有するエンブラエル・レガシー600がトベリ州で墜落、乗っていた10名が死亡したとされている。搭乗者名簿にはプリゴジンの名前も記載されていたという。墜落の様子を撮影した映像によると、翼の大半が失われているようだ。 NATOの軍事演習「エア・ディフェンダー23」が終了した6月23日にプリゴジンは「反乱」騒動を引き起こしている。ロシアの連邦保安庁(FSB)は武装反乱の呼びかけ容疑でプリゴジンの捜査を開始、ウラジミル・プーチン大統領は「武装反乱」は反逆であると述べ、ロシア軍に対して武器を取った者は誰でも処罰されると約束している。 ところが、24日の午後にはロシアにおけるワグナー・グループの行動を中止することでベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領とプリゴジンが合意し、ロシア政府はワーグナー・グループの幹部に対する訴追を取り下げると発表した。奇妙な決着だ。 ワグナー・グループは創設される際、ロシア軍参謀本部の第1副本部長を務めているウラジーミル・ステパノビッチ・アレクセーエフ中将が背後にいたと言われている。しかも今年5月4日からミハイル・ミジンチェフ上級大将が副司令官を務め、セルゲイ・スロビキン上級大将も関係していた。 プリゴジンと同じようにロシア軍第58統合軍を指揮していたイワン・ポポフ少将もセルゲイ・ショイグ国防相やワレリー・ゲラシモフ参謀総長を批判、解任されたと噂されていたが、実際はシリアに派遣され、ロシア軍の軍事作戦を指揮しているという。ロシア軍の内部で混乱があるような話が流れたのだが、処罰されたという話は出て来ない。 6月23日の「反乱」にはいくつかの見方がある。その中にはプリゴジンによる「広報活動」だというもの、あるいはアメリカ/NATOを混乱させるための「マスキロフカ」、つまり欺瞞作戦を行なっているのではないかというものが含まれる。 今回の墜落にもいくつかの説がある。例えば「反乱」の責任者として殺されたという説があるのだが、ウラジミル・プーチン大統領はプライベート・ジェットが墜落した時、「クルスクの戦い80周年記念式典」に出席していた。プリゴジンを処分するなら早い段階にチャンスはあったわけで、このタイミングで処分するとは考えにくい。 別の説は、プライベート・ジェットは遠隔操作されていて、誰も乗っていなかったというもの。ニジェールでフランスの傀儡政権がクーデターで倒された後、クーデターを実行したリーダーのひとりで国土防衛国民評議会の副議長を務めているサリフー・ムーディー師団将軍はマリを訪れた際にワグナー・グループのエフゲニー・プリゴジンと会っている。同グループの支援を要請したのだが、ロシア側は慎重だった。その後、クーデター指導部はアメリカへ接近していると伝えられている。 勿論、外国の機関による破壊工作だった可能性も否定できない。
2023.08.25
アメリカのジョー・バイデン大統領は8月18日、韓国の尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相をキャンプ・デイビッドに招いて軍事問題について話し合い、その直後にアメリカ軍は自衛隊とオーストラリア軍を引き連れて南シナ海で洋上演習を、また韓国軍と乙支フリーダム・シールドをそれぞれ始めた。8月上旬にはロシアと中国の艦船合計11隻がアラスカ沖や東シナ海をパトロール航行、そこからロシアの艦船は中国を訪問している。 1972年2月にリチャード・ニクソン大統領が中国を訪問して国交を正常化、同年9月には田中角栄が中国を訪れて日中共同声明の調印を実現している。その際、田中は周恩来と尖閣諸島の問題を「棚上げ」で合意した。 アメリカやイギリスはロシア/ソ連とドイツ、あるいは日本と中国の関係が友好的になることを警戒、戦争などで共倒れにしたいはずだ。そうした意味で、米英支配層は田中の行動を許せなかっただろう。 その田中はロッキード事件で失脚したものの、日本と中国の関係は改善され、経済的な結びつきを強めていった。その関係を壊したのが菅直人政権にほかならない。 2010年6月に発足した菅内閣は尖閣諸島に関する質問主意書への答弁で「解決すべき領有権の問題は存在しない」と主張、同年9月に海上保安庁は尖閣諸島付近で操業していた中国の漁船を取り締まり、漁船の船長を逮捕した。 その時に国土交通大臣だった前原誠司はその月のうちに外務大臣になり、10月には衆議院安全保障委員会で「棚上げ論について中国と合意したという事実はございません」と答えているが、これは事実に反している。これ以降、東アジアの軍事的な緊張は急速に高まっていく。 ニクソンはウォーターゲート事件で失脚したものの、アメリカは「ひとつの中国」政策を変えず、アメリカと中国との関係は続いた。その関係を壊したのはナンシー・ペロシだ。下院議長を務めていた昨年8月2日に彼女は台湾を訪問、「ひとつの中国」を否定したのである。 現在、アメリカの外交や軍事をコントロールしているのはネオコンだが、ロシアや中国に対する攻撃を主導してきたのはジョー・バイデン、ビクトリア・ヌランド、ジェイク・サリバン。バイデン政権になってからトニー・ブリンケンが加わった。 ネオコンが台頭したのは、デタントを打ち出したニクソンが失脚して副大統領から大統領に昇格したジェラルド・フォードの時代。後にネオコンの中核になるメンバーはヘンリー・ジャクソン上院議員の事務所でスタッフとして働いていた。その中にはリチャード・パール、ポール・ウォルフォウィッツ、ダグラス・フェイス、エイブラム・シュルスキーなどが含まれている。 ジャクソン議員は民主党に所属していたが、1972年の大統領選挙で同党のジョージ・マクガバン候補を落選させる運動で中心的な役割を果たしている。 マクガバンは戦争に反対していた人物で、彼が民主党の大統領候補に選ばれたことをジャクソン議員だけでなく同党の幹部は容認できなかった。そのため、ジャクソンらは1972年にCDM(民主党多数派連合)を組織している。 ネオコンの思想的な支柱と言われているレオ・ストラウスは1899年にドイツの熱心なユダヤ教徒の家庭に生まれ、17歳の頃にウラジミール・ヤボチンスキーのシオニスト運動へ接近している。1932年に彼はロックフェラー財団の奨学金でフランスへ渡り、中世のユダヤ教徒やイスラム哲学について学んだ後、プラトンやアリストテレスの研究を始めているが、その段取りをしたのはカール・シュミット。1934年にストラウスはイギリスへ、37年にはアメリカへ渡ってコロンビア大学の特別研究員になり、44年にはアメリカの市民権を獲得、49年にはシカゴ大学の教授になった。 ストラウスと並ぶネオコンの支柱とされている人物が、やはりシカゴ大学の教授だったアルバート・ウォルステッター。冷戦時代、同教授はアメリカの専門家はソ連の軍事力を過小評価していると主張、アメリカは軍事力を増強するべきだとしていたが、その判断が間違っていたことはその後、明確になっている。 ネオコンは「元トロツキスト」が多いと言われているが、その原因のひとつはストラウスとも関係があるジェームズ・バーナム。この人物はレオン・トロツキーと親交がある一方、破壊工作を行なっていた秘密機関のOPCともつながっていた。 ネオコンのウィルフォウィッツは国防次官だった1992年2月にアメリカの国防総省はDPG草案という形で世界制覇プラン、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」を作成した。ドイツや日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れて新たなライバルの出現を防ぐとしている。つまり、旧ソ連圏だけでなく西ヨーロッパや東アジアも彼らの「同盟国」ではない。 ネオコンはこのドクトリンに基づく侵略戦争を進めようとしたが、支配層の内部にも反対勢力がいた。そうした反対勢力を沈黙させたのが2001年9月11日に引き起こされたニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎への攻撃、いわゆる「9/11」だ。 それから22年。ネオコンはユーゴスラビアから始まり、アフガニスタン、イラク、リビア、シリア、レバノン、ソマリア、そしてウクライナで戦争を仕掛けた。そして今、東アジアに火をつけようとしている。
2023.08.24
コロナウイルスは変異のペースが速く、現在、EG.5(エリス)なる変異体に感染した人が増えていると報道されている。そうした中、「ワクチン」というタグのつけられた遺伝子操作薬を接種させる新たなキャンペーンが始まるようだ。次の「ワクチン」はこれまで以上に危険だと警告されているが、世界的には接種する人は少なそうだ。例外は日本。日本人は生体実験の「マルタ」だ。「マイナンバーカード」と健康保険証が一体化されれば、どのロットの「ワクチン」を打つとどのような副作用が出るかを簡単に調べられる。 最初から「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」が危険であることは指摘されていたが、WHO(世界保健機関)、医薬品メーカー、アメリカのFDA(食品医薬品局)やCDC(疾病予防管理センター)、各国政府、西側の有力メディアなどによる恐怖キャンペーンの効果で接種した人は少なくなかった。 接種が始まると死亡者を含む深刻な副作用と効果のないことが鮮明になり、世界的に見ると昨年春から接種する人は大きく減少、接種を推進できた国は日本くらいだ。 昨年9月にジョー・バイデン政権が「ワクチン」接種キャンペーンを展開した際、FDAは「時間が足りない」という理由でBioNTech/ファイザーやモデルナがマウスでの実験のみで人間に接種することを認めている。安全性を演出することを放棄したわけで、「ワクチン拒否」は一層広がった。それでも打ち続けているのは日本くらいだろう。いわば、日本で生体実験が行われているのだ。 2019年12月に中国の湖北省武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が発見され、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動は始まった。翌年の2月4日には横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」でも似たような症状の患者が現れている。 2020年2月4日にアメリカのFDA(食品医薬品局)は「2019-nCoVリアルタイムRT-PCR診断パネル」のCDC(疾病予防管理センター)によるEUA(緊急使用許可)を発行したが、病原体は単離されていない。その未確認のウイルスに国際ウイルス分類委員会は2月11日、「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)」という名称をつけた。 この段階では感染爆発が起こっているとは言えず、死亡者が街にあふれているというわけではないのだが、WHO(世界保健機関)は2020年3月11日に「パンデミック」を宣言する。それが可能だったのは、「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行(2009年1月から10年8月にかけての時期に)する直前にパンデミックの定義が変更されて「病気の重大さ」、つまり死者数が多いという条件が削られていたからだ。 それでも死亡者が多いという印象を広める必要がある。そこでWHOやCDCは2020年4月、医学的な矛盾がなく、明白な別の死因がないならば、あるいは適度な確かさがあるならば、死因をCOVID-19としてかまわないとしている。COVID-19の「感染者数」や「死亡者数」は大幅に水増しされ、WHO、医薬品メーカー、アメリカのFDAやCDC、各国政府、西側の有力メディアなどが恐怖を煽るキャンペーンを展開したのだが、このキャンペーンの背後にはアメリカの国防総省が存在していた。 医薬品業界で研究開発に関わってきたサーシャ・ラティポワの分析によると、接種計画はオバマ政権の時代にアメリカの国防総省が始めていることが判明したという。 軍事的なプロジェクトであり、医薬品メーカーやアメリカやその従属国の監督官庁はアメリカの国防総省に命令され、動いているということになる。アメリカ政府やビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団など私的権力の影響下にあるWHO、あるいは西側の有力メディアも同じ指令系統の下で動いているように見える。 COVID-19騒動では中国の武漢病毒研究所(WIV)や武漢大学動物実験センターも注目された。いずれもアメリカの政府機関や大学と関係が深いのだが、鄧小平を後ろ盾とする趙紫陽や胡耀邦が新自由主義を進めた時代に中国のアカデミーはアメリカの私的権力に支配された。例えば中国の北京大学や精華大学はアメリカの影響下にあると言われている。 中国で伝染病対策の責任者を務めている疾病預防控制中心の高福主任は1991年にオックスフォード大学へ留学して94年に博士号を取得、99年から2001年までハーバード大学で研究していた。その後2004年までオックスフォード大学で教えている。また、NIAID(国立アレルギー感染症研究所)の所長を務めてきたアンソニー・ファウチの弟子とも言われている。 武漢でCOVID-19騒動が始まった直後、この高福が前面に出てきたのだが、2020年2月から中国軍の陳薇がCOVID-19対策を指揮した。陳は生物化学兵器の専門家で、2002年から中国で広まったSARSを押さえ込んだのも彼女のチーム。その時の経験からインターフェロン・アルファ2bを使ったところ、2019年のケースでも効果があり、早い段階で沈静化させることに成功した。 インターフェロン・アルファ2bはキューバで研究が進んでいる医薬品で、リンパ球を刺激して免疫能力を高める働きがあるとされている。吉林省長春にも製造工場があり、中国の国内で供給できた。つまり、中国はCOVID-19対策に「ワクチン」が必要ないことを知っていた。 アメリカの私的権力は中国政府の中にもネットワークを広げていることは事実だが、COVID-19騒動で中国に目を向けさせようとするのは正しくない。この騒動を操っているのはアメリカ国防総省やその背後にいる私的権力なのだ。
2023.08.23
アメリカ軍は今週、日本の自衛隊とオーストラリア軍を引き連れて南シナ海で洋上演習を、また韓国軍と乙支フリーダム・シールドをそれぞれ実施する。 洋上演習にアメリカ海軍は空母「アメリカ」を、オーストラリア海軍は強襲揚陸艦の「HMASキャンベラ」を、また海上自衛隊はヘリ空母(多目的空母)の「いずも」を派遣しているようだ。乙支フリーダム・シールドはコンピューター・シミュレーションに基づく指揮所訓練、同時進行の実戦訓練など、さまざまな有事訓練が予定されているという。 バラク・オバマ政権はネオ・ナチを使い、2013年11月から14年2月にかけてウクライナでクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除した。そのクーデターをホワイトハウスで指揮していたのは現大統領のジョー・バイデンであり、その下にビクトリア・ヌランド国務次官補と副大統領の国家安全保障担当補佐官を務めていたジェイク・サリバンがいた。 バイデンが大統領に就任した後、このチームはウクライナで対ロシア戦争を推進、アメリカ/NATOはウクライナ軍へ武器弾薬を供給、兵士を訓練、銃砲を提供してきたが、すでに武器は枯渇、兵士は「バンザイ突撃」を強いられ、戦闘の継続は困難になっている。 西側では有力メディアを利用し、「ウクライナ軍は勝っている」とか「ロシア軍はバンザイ突撃」を繰り返しているという作り話を広めてきたが、そうした話は現実を前にして崩れつつある。本ブログでも書いてきたが、そうした西側の有力メディアも事実を認めざるをえなくなってきたようだ。 つまり、アメリカ/NATOに残された道はウクライナを無条件降伏させるか、NATO軍を投入するしかないと言われているが、NATO軍の兵器庫も空だと見られている。 戦闘が終わると人びとには考える余裕ができ、バイデンを含む高専的なネオコン人脈は戦争責任を問われるだけでなく、並行して進められてきた「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による大量殺戮も問題になる可能性がある。勿論、来年に予定されている大統領選挙でバイデンが勝つことはできない。 彼らはウクライナで戦闘を続け、プロパガンダ機関であるメディアを利用して「われわれは勝っている」というイメージを人びとに植え付けようとしてきたが、それが難しくなっている。新たな戦場が必要だということだ。新たな戦場になる可能性が高い地域は東アジア。実際、アメリカは日本や韓国と合同軍事演習を繰り返している。 ネオコンが世界制覇プロジェクトを始動させたのは1991年12月にソ連が総滅した直後のことだ。アメリカが唯一の超大国になったと認識、国防総省の「DPG草案」という形で世界制覇プランを作成したのだ。作成の中心がポール・ウォルフォウィッツ次官だったことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれてきた。 そのドクトリンではドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、新たなライバルの出現を防ぐとしている。彼らが警戒していた地域は旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジア、西南アジアなどだ。 戦争マシーンに組み込まれることを嫌がっていた日本に進むべき道筋を示したのが1995年2月にジョセイフ・ナイが発表した「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」だが、当時の日本にはそうした道を歩こうとしない政治家もいたようだ。 そうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件)た。その10日後には警察庁の國松孝次長官が狙撃されている。8月には日本航空123便の墜落に自衛隊が関与していることを示唆する大きな記事がアメリカ軍の準機関紙とみなされているスターズ・アンド・ストライプ紙に掲載された。 結局、日本は戦争への道を歩み始め、自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島にも作った。2023年には石垣島でも完成させている。 アメリカの国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が昨年に発表した報告書によると、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけ。 その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにする。そしてASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたという。 日本は軍事拠点を作るだけでなく、高性能兵器の開発にも乗り出していると伝えられている。例えばアメリカと共同で音速の5倍以上で侵入してくるHGV(極超音速滑空体)を迎撃するミサイル技術の研究開発を考え、昨年7月24日には宇宙航空研究開発機構(JAXA)が鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所で迎撃ミサイルに必要な速度に到達することが可能だとされるエンジンの飛行試験を初めて実施した。 極超音速で飛行するミサイル自体も研究だと言われ、HGVではなくエンジンによって推進力を得る極超音速巡航ミサイル(HCM)の開発を目指しているという。2026年には九州や北海道の島々へ配備したいようだ。 アメリカ軍は太平洋からインド洋を統括するため、2018年5月に太平洋軍をインド・太平洋軍へ作り替えたほか、オーストラリア、インド、そして日本を引き入れて「クワド」を編成、さらにオーストラリアやイギリスと3カ国で「AUKUS」という軍事同盟も組織した。オーストラリアはアメリカとイギリスの技術で原子力潜水艦を建造すると報道されている。 このうちインドはアメリカに従属する可能性は小さく、この地域でアメリカの手先になりそうな国はオーストラリアと日本。韓国や台湾の国内にはアメリカの属国になることを拒否する勢力が存在している。太平洋へイギリスが出て来なければならない理由はその辺にあるだろう。 2020年6月にNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長はオーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言、2024年中にNATOの連絡事務所を東京に設置しようという話も出てきた。連絡事務所の計画はフランスの反対にあったようだが、NATOに頼らなければならない状態だということは明らかになった。 こうした動きに対抗するため、ロシアと中国は同盟関係を強化、軍事的な連携を強めている。さらに、中露はアメリカが東アジアを揺さぶる突破口にしようとしてきた朝鮮とも関係の強化をアピールしている。 セルゲイ・ショイグ国防相が率いるロシアの軍事代表団が7月25日から27日まで平壌を訪問したが、その際、中国全国人民代表大会の常務委員会で副委員長を務める李鴻忠が率いる代表団と合流している。両国の代表団は朝鮮戦争の休戦協定締結から70年を記念して行われた行事へ参加、それぞれ金正恩朝鮮労働党委員長と会談した。 その際にロシアのウラジミル・プーチン大統領からは手書きの書簡が、また中国の習近平国家主席からも親書が金正恩委員長へ手渡されたと伝えられている。
2023.08.22
アメリカ軍のトップ、マーク・ミリー統合参謀本部議長は昨年11月、ニューヨークの経済クラブで、ウクライナ軍がロシア軍に勝利する可能性は小さく、この冬はロシアと交渉を始める機会だと語ったが、ウクライナ軍がロシア軍に勝っているというイメージを広めてきたジョー・バイデン政権はミリーの発言を打ち消そうとしていた。 しかし、ロシア軍が勝っているという現実の前にバイデン政権の宣伝は崩れ、アメリカ政府高官や内部関係者の一部はミリーの言うことを聞いておくべきだったと囁いているという。 ウクライナ軍はアメリカ/NATOの命令で玉砕攻撃を繰り返したものの、ロシア軍の防衛ラインを突破できていない。西側が提供した戦闘車両の残骸が増え、死傷者が膨らんだだけだ。 当初の計画では玉砕攻撃で突破口を開いた後で投入する予定だったという精鋭部隊の第82空挺旅団を中心とする最後の戦略予備軍を送り込まざるをえなくなり、その精鋭部隊はロシア軍に殲滅されてしまった。 ロシア軍は昨年秋に部分的動員で約30万人を集め、訓練は終わったはずだが、戦線に投入されたのは数万人にすぎないと言われている。しかもウクライナ軍とは違い、ロシア軍には十分な装備がある。 こうした中、NATOのスティアン・イェンセン事務総長秘書室長は8月15日、ノルウェーで開かれた討論会において、ウクライナでの戦闘を終わらせるため、ウクライナが領土を放棄し、その見返りにNATO加盟させることもありえると話したが、ロシアはウクライナのNATO加盟を認めないだろう。それは「新バルバロッサ作戦」を認め、ロシアの存続を危うくするからだ。ロシアが攻撃を始めた理由のひとつはNATO加盟を阻止することにあった。 それに対し、イェンス・ストルテンベルグ事務総長はクリミアやドンバスを含む地域からロシア軍を追い出すまでウクライナを支援すると主張している。こうしたことが実現できる可能性はほとんどなく、ストルテンベルグはネオコンの妄想の中から抜け出せないでいる。 しかも、ミンスク合意がウクライナの戦力を増強するための時間稼ぎに過ぎなかったことが明確になった現在、ロシア政府が停戦交渉に応じる可能性は小さい。実際、セルゲイ・ラブロフ露外相は戦闘終結に関して西側諸国と交渉することを拒否している。 現在ウクライナで繰り広げられている戦闘は、バラク・オバマ政権が2013年11月から14年2月にかけてネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除したところから始まった。そのヤヌコビッチ大統領を支持していた東部や南部の住民はクーデターを拒否、クリミアはロシアと一体化し、ドンバスでは内戦になるのだ。 このクーデターをホワイトハウスで指揮していたのが現大統領のジョー・バイデンであり、その下にいたのがビクトリア・ヌランド国務次官補と副大統領の国家安全保障担当補佐官を務めていたジェイク・サリバンだ。このチームの下、バイデンは大統領に就任した直後からロシアに対する挑発を繰り返していた。 バイデン政権でこのチームに加わったトニー・ブリンケン国務長官はウクライナでロシアに勝てないことを理解しているが、バイデン、ヌランド、サリバンは認めようとしていないようだ。ルビコンを渡った彼らは敗北するわけにはいかないのだろう。
2023.08.21
このブログは読者の方々に支えられています。これまでの支援に感謝すると同時に、今後の支援をお願い申し上げます。 ウクライナの内戦でキエフ政権が勝利する見込みはないと見られています。ウラジーミル・ゼレンスキー政権が6月4日に始めた「反転攻勢」も予想通りに失敗、その事実をアメリカの有力紙も受け入れざるをえなくなっています。 ゼレンスキー政権に残された選択肢は無条件降伏するか、停戦交渉するか、膠着状態にしてロシアを疲弊させるかだと考える人もいるようですが、いずれも実現しそうにありません。無条件降伏はゼレンスキーを動かしているアメリカやイギリスが認めないでしょうし、停戦交渉はアメリカ政府とイギリス政府が破壊した過去があります。また膠着状態にしようとしてもウクライナは武器弾薬がすでに枯渇、兵士の補充もできない情勢です。NATO軍を投入することも難しく、もし実現できればロシアとの全面戦争になるでしょう。 イギリスやアメリカは2021年9月にオーストラリアと「AUKUS」なる軍事同盟を組織、日本、台湾、韓国を巻き込んで東アジアの軍事的な緊張を高めました。ロシアと中国は連携を強め、イランや朝鮮とも関係を強化しています。また、ニジェールの反植民地クーデターで米英仏のアフリカ利権が揺らぎ始めました。 アメリカを中心とする支配システムが崩壊しそうです。以前からアメリカ帝国の衰退は予想されていましたが、その予想以上に早く壊れ始めているようです。そうした展開になった理由はNATOの強引な拡大、そしてウクライナでのクーデターにあるでしょう。 こうした政策を推進してきた勢力はネオコンと呼ばれています。ソ連消滅直後に世界制覇プランを国防総省の「DPG草案」という形で作成したのもネオコン。1992年2月のことです。この時の国防長官はディック・チェイニー、次官はポール・ウォルフォウィッツ。このウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから「ウォフロウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれています。2001年9月11日の出来事以降、彼らは暴走を始めました。 2014年2月にウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除したオバマ政権のメンバーは副大統領だったジョー・バイデン、国務次官補のビクトリア・ヌランド、そして副大統領の国家安全保障補佐官を務めていたジェイク・サリバン。バイデンが大統領に就任した後、この3名にアントニー・ブリンケン国務長官が加わります。 バイデンは大統領に就任して間もない段階でウラジミル・プーチン露大統領を「人殺し」扱い、軍事的な挑発を繰り返し、ルビコンを渡りました。シーモア・ハーシュによりますと、ネオコンはロシアを無条件降伏に追い込めると信じていたようで、プーチンを「戦争犯罪人」として裁くつもりだったようです。 しかし、アメリカではネオコンが台頭した1970年代から製造業を破壊して金融マジックを軸に据えました。兵器開発は性能ではなく価格の高さを重視、今ではロシアの兵器に太刀打ちできません。しかも戦略物資を外国に依存、中国やロシアから資源が手に入らなければ、アメリカは破綻するのです。教育やメディアを利用して人びとの心理を操作し、自分たちに都合の良いイメージを植え付けていますが、現実と虚像の乖離が大きくなり、心理操作は限界に達しつつあるようです。 心理操作の仕組みを維持しようとアメリカやイギリスの支配層は言論統制を強化していますが、そうした政策に対抗するためにも事実を知ることは重要です。 ブログを存続させるため、カンパ/寄付をお願い申し上げます。櫻井 春彦【振込先】巣鴨信用金庫店番号:002(大塚支店)預金種目:普通口座番号:0002105口座名:櫻井春彦
2023.08.20
10月20日午後7時から行う「櫻井ジャーナルトーク」の会場は「としま区民センター」の7階会議室702・703です。予約の受付は始まっています。興味のある方はEメールで連絡してください。テーマは決まり次第お知らせします。東京琉球館住所:東京都豊島区駒込2-17-8Eメール:dotouch2009@ybb.ne.jp
2023.08.19
イギリスの対外情報機関MI6(SIS)はウクライナのネオ・ナチなど約100名で構成される破壊工作部隊を編成、ニジェールへ送り込むと伝えらえている。その部隊の司令官にはウクライナのGUR(国防省情報局)のビタリー・プラシュチュク中佐が任命されたという。 アメリカ/NATOがウクライナへ大量に供給した兵器の約7割が闇市場へ流れていると言われているが、その一部はアフリカへ運ばれていると噂されていた。アフリカで存在感を強めていた中国やロシアを追い出すため、アメリカ/NATOが作戦として送っていた可能性もある。 第2次世界大戦の終盤、アメリカとイギリスの情報機関はジェドバラというゲリラ戦部隊をレジスタンス対策として編成した。レジスタンスの主力はコミュニストだったことから、その影響力を抑え込むことが目的だった。 戦争が終わった後、その人脈はアメリカ軍の特殊部隊、あるいは極秘の破壊工作組織OPCが秘密裏に組織され、1951年にCIA内に計画局が設置される際にはその中核になった。その計画局を担当する副長官に指名されたのがアレン・ダレスだ。大戦後、ヨーロッパでも同様の秘密部隊をアメリカとイギリスは組織したと言える。 秘密部隊は全てのNATO加盟国に設置され、連携して活動するようになる。そうしたネットワークの中でもイタリアのグラディオは特に有名だ。こうした秘密部隊を指揮しているのは各国の情報機関である。このネットワークはナチズムの信奉者と関係が深い。 2014年2月にウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領をネオ・ナチはクーデター排除した。そのネオ・ナチを動かしていたのがアメリカのバラク・オバマ政権。その政権の副大統領としてクーデターをホワイトハウスで指揮していたのが現大統領のジョー・バイデンであり、その下にいたのがビクトリア・ヌランド国務次官補と副大統領の国家安全保障担当補佐官を務めていたジェイク・サリバンだ。現在、このトリオにブリンケン国務長官を加えたチームが戦争を推進している。 クーデター後、ウクライナでは軍や治安機関の約7割がネオ・ナチ体制を嫌って離反、その一部はドンバスの反クーデター軍に合流したと言われている。そこでウクライナ内務省の内部に作られたのが親衛隊。その中心が「アゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)」だ。 アメリカで起訴された白人至上主義者について、FBIの特別捜査官は2018年10月に提出した宣誓供述書で、アゾフ大隊はネオ・ナチ思想と結びつき、ナチのシンボル主義を使っていると表現している。 アゾフ大隊は2014年3月13日、「右派セクター」を基盤にして組織されている。その右派セクターは2013年11月、「三叉戟」と呼ばれていた団体を中心にして、ドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキーらによって組織された。クーデターを成功させた後、2014年5月2日にこのグループはオデッサで反クーデター派の市民を虐殺している。 ウクライナのネオ・ナチはステパン・バンデラを信奉している。そのバンデラを中心に集まったのがOUN-B。この人脈はのちにKUN(ウクライナ・ナショナリスト会議)を組織、バンデラの側近だったヤロスラフ・ステツコが指揮した。1986年にヤロスラフが死亡すると、その妻だったスラワ・ステツコが引き継ぎ、2003年に死ぬまでKUNを率いることになる。 KUNの指導者グループに所属していたひとりにワシル・イワニシンなるドロボビチ教育大学の教授がいた。その教え子のひとりがドミトロ・ヤロシュにほかならない。イワニシンが2007年に死亡するとヤロシュが後継者になるが、このタイミングでヤロシュはNATOの秘密部隊ネットワークに参加したと言われている。 MI6がウクライナのネオ・ナチで構成される破壊工作部隊をニジェールへ送り込むという話が事実なら、これはNATOの秘密部隊を送り込むことを意味すると言えるだろう。 ニジェールでクーデターを実行したリーダーのひとりで国土防衛国民評議会の副議長を務めているサリフー・ムーディー師団将軍はマリを訪れた際にワグナー・グループのエフゲニー・プリゴジンと会い、同グループの支援を要請したが、ロシア側は慎重な姿勢を見せたと伝えられている。
2023.08.18
ロバート・ケネディ・ジュニアはタッカー・カールソンとの対談で、アメリカがウクライナに生物兵器を開発するための研究所を持っていることを認めた。 愛国者法によって2001年に生物兵器開発競争が再開されると国防総省は生物兵器に多額の資金を投入し始めたが、その当時、ジュネーブ条約に違反すれば絞首刑になるため、彼らは生物兵器の開発を本格化させることに神経質だったという。そこでバイオセキュリティの権限をHHS(米国保健社会福祉省)の一機関へ移したとケネディは説明している。ウクライナを研究開発の拠点にした理由も罰則を回避することが目的のひとつだったのだろう。 昨年2月24日からロシア軍はドンバス周辺に集結していた部隊を含むウクライナ軍を攻撃したが、そのほか軍事施設や生物兵器の研究開発施設を破壊、同時に文書を回収している。その中には生物化学兵器の研究開発に関するものが2万以上存在しているという。 そうした文書の分析を指揮しているロシア軍のイゴール・キリロフ中将によると、ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あり、そこではロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究もしていたという。また2019年からウクライナ兵を被験者としてHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染実験が行われ、覚醒剤やモルヒネなどの薬物も使われていたと発表されている。こうした生物化学兵器の研究開発施設の建設に対する抗議がハリコフやメレファで、遅くとも2013年8月には行われていた。こうした発表の後、ビクトリア・ヌランド国務次官は昨年3月8日、上院外交委員会で行った証言でそうした研究施設の存在を認めている。 医薬品業界で研究開発に関わってきたサーシャ・ラティポワの分析によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」の接種計画はオバマ政権の時代にアメリカの国防総省が始めている。7月21日にジョー・バイデン政権はOPPR(パンデミック対策対応室)の発足とポール・フリードリックス退役少将のOPPR初代室長就任を発表しているが、これもCOVID-19とアメリカ国防総省との関係を示していると言えるだろう。この新組織は生物学的脅威や病原体に対する備えと対応を指揮することになるという。 ジェームス・クラッパーは国家情報長官だった2016年2月9日に発表された情報評価の中で、遺伝子編集を「大量破壊兵器と拡散」の項目で取り上げ、「規制基準や倫理基準が異なる国々が行うゲノム編集の研究はおそらく潜在的に有害な生物学的製剤や製品を生み出すリスクを増大させる」としているが、アメリカがリスクを増大させた疑いが濃厚だ。
2023.08.17
ウラジーミル・ゼレンスキー政権が6月4日に始めた「反転攻勢」が失敗したことをアメリカの有力紙も認めざるをえなくなっている。例えばワシントン・ポスト紙は自分たちが宣伝していた「反転攻勢」で進展はないことを認めた。 アメリカ/NATOの命令でウクライナ軍は無謀な突撃を繰り返す「玉砕戦法」を繰返し、ロシア軍を疲弊させようとした。その上で温存していた「精鋭部隊」を投入するつもりだったようだが、そうした状況を作れないまま「精鋭部隊」を使わざるを得なくなっているとも言われている。その精鋭部隊もすでに殲滅された。 ウクライナの戦乱はバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使い、2013年11月から14年2月にかけて行ったクーデターから始まる。そのクーデターで排除されたビクトル・ヤヌコビッチ大統領を支持していた東部や南部の住民はクーデターを拒否、クリミアはロシアと一体化し、ドンバス(ドネツクやルガンスク)では内戦が始まったのである。 クーデター後、ネオ・ナチ体制を嫌ったウクライナ軍の将兵や治安組織の隊員は少なくない。約7割が組織から離脱し、一部は反クーデター軍に合流したと言われている。 残った将兵の戦闘能力は低く、西側諸国が特殊部隊や情報機関員、あるいは傭兵を送り込んでもドンバスで勝利することは難しい状況。そこで内務省にネオ・ナチを中心とする親衛隊を組織、傭兵を集め、年少者に対する軍事訓練を開始、要塞線も作り始めた。そうした準備のために8年間が必要だった。 その時間稼ぎに使われたのがミンスク合意だということを仲介役を務めたドイツのアンゲラ・メルケル(当時の首相)は昨年12月7日、ツァイトのインタビューでミンスク合意は軍事力を強化するための時間稼ぎだったと認めている。その直後にフランソワ・オランド(当時の仏大統領)はメルケルの発言を事実だと語った。 オバマ政権で副大統領を務めたジョー・バイデンは2021年1月に大統領となり、ロシアに対する軍事的な圧力、挑発を強め、22年に入るとドンバス周辺へ部隊を集結させた。少なからぬ人はドンバスへの大規模な攻勢が近いと考えた。 ドンバスの反クーデター派もそう推測、ロシアに支援を要請し、女性や子どもをロシアへ避難させた。それを国際刑事裁判所は強制移住だと主張、アメリカ下院の外交委員会でも反ロシア宣伝が繰り広げられたわけだ。 のちにロシア軍が回収した文書によると昨年3月にウクライナ軍は本格的な軍事侵攻を始める予定だったが、その直前、2月24日にロシア軍がドンバスで軍事作戦を開始、ミサイルでドンバス周辺に集まっていたウクライナ軍を一気に叩いた。その際、ウクライナ各地の軍事施設や生物兵器の研究開発施設を破壊している。 しかし、ロシア軍は大規模な地上部隊を送り込むことはなかった。地上部隊の中心は現地軍、チェチェン軍、あるいはワグナー・グループ。ロシアの正規軍は多くなかった。戦力を比較するとドンバス側はキエフ側の数分の1だったと言われている。 ロシア軍が攻撃を始めて間もなく、ウクライナ政府はロシア政府と停戦交渉を開始した。停戦交渉を仲介したひとりはイスラエルの首相だったナフタリ・ベネット。彼によると、話し合いで双方は妥協に応じ、停戦は実現しそうに見えた。 3月5日にベネットはモスクワでウラジミル・プーチン露大統領と数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけ、その足でベネットはドイツへ向かってオラフ・シュルツ首相と会っている。ゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフがウクライナの治安機関SBUのメンバーに射殺されたのはその3月5日だ。 停戦交渉はトルコ政府の仲介でも行われた。アフリカ各国のリーダーで構成される代表団がロシアのサンクトペテルブルクを訪問、ウラジミル・プーチン大統領と今年6月17日に会談しているが、その際、プーチン大統領は「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と題する草案を示している。その文書にはウクライナ代表団の署名があった。つまりウクライナ政府も停戦に合意していたのだ。 停戦交渉の進展でロシア軍はウクライナ政府との約束通りにキエフ周辺から撤退を開始、2022年3月30日にはブチャから撤退を完了した。31日にはブチャのアナトリー・フェドルク市長がフェイスブックで喜びを伝えているが、虐殺の話は出ていないが、その後、西側の有力メディアはロシア軍が住民を虐殺したとする宣伝を開始、停戦交渉を壊した。実際に住民を殺したのはウクライナ内務省の親衛隊だったと見られている。ロシアに寛容だと判断させた人びとが殺されている。 ワシントン・ポスト紙はウクライナ軍がキエフ、ハリコフ、ヘルソンで勝利したとしているが、キエフ近くからの撤退は停戦合意に基づくものであり、ハリコフやヘルソンからの撤退は戦力不足で包囲されることを避けるためだった。この当時、ロシア軍の地上部隊はウクライナ軍の数分の1だったと言われている。 ロシア軍の撤退を受け、ウクライナ軍がそこへ入るが、その地域はステップ(大草原)。ロシア軍は航空兵力やミサイルでウクライナ軍部隊を攻撃、壊滅的な打撃を与えた。ロシア軍の撤退はトラップだったという見方もある。 この状況でアメリカ/NATOはウクライナをどうするつもりか?
2023.08.16
1945年8月15日、昭和天皇(裕仁)は「ポツダム宣言」の受諾をアメリカ、イギリス、中国、ソ連の4カ国に伝えたと「臣民」に発表した。7月26日に発表されたポツダム宣言は日本に無条件降伏を要求している。 連合国で無条件降伏という話が出てきたのは1943年1月にカサブランカで行われた米英仏の首脳、つまりフランクリン・ルーズベルト、ウィンストン・チャーチル、シャルル・ド・ゴールの会談においてだ。その直前、ソ連へ攻め込んでいたドイツ軍はスターリングラードで降伏している。 ドイツ軍は1941年6月、ソ連に対する奇襲攻撃を開始。西側には約90万人だけを残し、310万人を投入するという非常識なものだが、これはアドルフ・ヒトラーの命令で実行されたという。 1941年7月にドイツ軍はレニングラードを包囲、9月にはモスクワまで80キロメートルの地点に到達した。ヒトラーはソ連軍が敗北したと確信、再び立ち上がることはないと10月3日にベルリンで語っている。またウィンストン・チャーチル英首相の軍事首席補佐官だったヘイスティングス・イスメイは3週間以内にモスクワは陥落すると推測しながら傍観していた。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015) こうした中、1941年12月に日本軍はマレー半島と真珠湾を奇襲攻撃してイギリスだけでなくアメリカとも戦争を始める。ドイツの勝利を予想して米英と戦争を始めたのかもしれないが、そうした展開にはならなかった。ソ連軍の抵抗でこうした予想通りにことは進まず、ドイツ軍は1942年1月にモスクワで降伏、同年8月にスターリングラード市内へ突入したのだ。 ヨーロッパでドイツがソ連に負けたことを受け、英米仏が開いたカサブランカ会談で無条件降伏が打ち出された。これはドイツや日本の降伏を遅らせることが目的だったと言われている。日本はともかく、ドイツがソ連に負けたというイメージを消し去り、イギリスやアメリカに負けたのだという演出をするには時間が必要だったのだろう。 勿論、日本が戦争を始めたのは1941年12月よりはるか前のことだ。本ブログでは明治維新をイギリスによる東アジア侵略戦略の一環だと考えている。 明治体制になってからイギリスやアメリカの外交官は台湾や大陸を侵略するように焚きつけて軍事技術を提供、その一方で米英金融資本は戦費を融資している。そして明治政府は琉球を併合し、台湾へ派兵、江華島事件を引き起こし、日清戦争、日露戦争、シベリア派兵へと突き進んだ。シベリア派兵はロシアで起こった十月革命への干渉だ。 十月革命は第1次世界大戦と深い関係がある。1914年6月にサラエボでオーストリア皇太子がセルビア人に暗殺され、翌月にオーストリアがセルビアに宣戦布告して第1次世界大戦が始まるのだが、ロシア支配層は戦争に反対する地主階級と戦争に賛成する産業資本家との間で対立が生じていた。 戦争反対派の中心人物は皇后アレクサンドラと大地主を後ろ盾にするグリゴリー・ラスプーチン、戦争賛成派の中心は有力貴族でイギリス支配層と深い関係にあるフェリックス・ユスポフだ。 ロシアとドイツを戦わせたいイギリスにとって目障りな存在だったラスプーチンは1914年6月に腹部を刺され、重傷を負って入院。その間にロシアは宣戦布告していたが、その後も対立は続く。そしてラスプーチンは1916年12月に暗殺された。暗殺者はフェリックス・ユスポフだとされている。 ユスポフは1887年3月にサンクトペテルブルクのモイカ宮殿で生まれているが、その11年前、その宮殿でイギリス人男子が生まれていた。ユスポフ家に雇われていた家庭教師の息子、スティーブン・アリーだ。この人物は後にイギリスの対外情報機関MI6のオフィサーになる。のちにフェリックスはオックスフォード大学へ留学するが、そこで親密な関係になったオズワルド・レイナーもMI6のオフィサーになる。 ロシアで支配層の内紛が展開されている最中、1916年にイギリス政府はMI6のチームをロシアへ派遣したが、その中心メンバーはアリーとレイナーにほかならない。このチームがフェリックスと接触していることは運転手の日誌で明らかになっている。またラスプーチンの殺害に使われた銃弾を発射できるピストルを持っていたのはレイナーだけで、真の暗殺者はレイナーではないかと考える人もいる。 そして1917年3月にロシアでは「二月革命」が引き起こされ、資本家が実権を握った。そのほか、カデット、エスエル、メンシェビキも革命グループに含まれていたが、ボルシェビキは参加していない。その指導者は亡命中か刑務所の中だった。革命で成立した臨時政府は戦争を継続する。 それに対し、両面作戦を避けたいドイツ政府は即時停戦を主張していたウラジミル・レーニンに目を付ける。そこでドイツ政府はボルシェビキの指導者を列車でロシアへ運び、「十月革命」につながった。こうした経緯があるため、ソ連とドイツはアドルフ・ヒトラーが台頭するまで関係は良好だったのである。そして日本はイギリスやフランスの要請で十月革命に干渉、1925年までソ連領内に居座ったわけだ。 その間、1923年9月1日に東京周辺を巨大地震が襲った。被災者数は340万人以上、死者と行方不明者を合わせると10万5000名を上回ると言われている。損害総額は55億から100億円に達していたという。 この資金を調達するため、日本政府はアメリカの巨大銀行JPモルガンに頼った。ロスチャイルド金融資本からスピンオフした金融機関だ。その当時、JPモルガンと最も緊密な関係にあった日本人は井上準之助だと言われている。関東大震災を切っ掛けにして日本の政治経済はJPモルガンから大きな影響を受けるようになった。 地震の当日、総理大臣は不在。山本権兵衛内閣が成立するのは9月2日のことだ。その内閣で井上は大蔵大臣に就任、1924年1月までその職にあった。1927年5月から28年6月までは日本銀行の総裁、浜口雄幸内閣時代の29年7月から31年12月まで、再び大蔵大臣をそれぞれ務めている。 9月1日の夕方になると社会主義者や朝鮮人をターゲットにした流言蜚語が飛び交いはじめ、2日夜に警視庁は全国へ「不定鮮人取締」を打電して戒厳令も施行された。 こうした雰囲気が社会に蔓延、数千人の朝鮮人や中国人が殺されたと言われている。さらに社会主義者やアナーキストが虐殺されているが、そうした犠牲者のひとりがアナーキストの大杉栄だ。彼は妻の伊藤野枝や甥の橘宗一とともに憲兵大尉だった甘粕正彦に殺されたのである。地震当時、東京に住んでいた人の話では、焼き殺された朝鮮人もいたようだ。実行者は日本の庶民にほかならない。 そうした中、JPモルガンは日本に対して緊縮財政の実施と金本位制への復帰を求め、浜口雄幸内閣は1930年1月に要求通りに実行する。緊縮財政で景気が悪化するだけでなく、日本から金が流出して不況は深刻化して失業者が急増、農村では娘が売られる事態になった。 こうした政策を推進した井上は「適者生存」を信奉していた。強者総取り、弱者は駆逐されるべき対象だとする新自由主義的な考え方をする人物だったとも言えるだろう。当然、失業対策には消極的で、労働争議を激化させることになる。浜口は1930年11月に東京駅で狙撃され、31年8月に死亡し、井上は32年2月に射殺された。 1932年に駐日大使として赴任してきたジョセフ・グルーはJPモルガンと深い関係にある。グルーのいとこがジョン・ピアポント・モルガン・ジュニアの妻なのだ。 この年、アメリカでは大統領選挙があり、ウォール街が操る現職のハーバート・フーバーがニューディール派を率いるフランクリン・ルーズベルトに敗れた。慌てたウォール街の住人はクーデターを目論む。計画の中心的な存在である巨大金融機関のJPモルガンは司令官としてダグラス・マッカーサーを考えたが、人望があり、軍の内部への影響力が大きいスメドリー・バトラーを取り込まないとクーデターは無理だという意見が通り、バトラーに働きかけることになる。 ウォール街のクーデター派はドイツのナチスやイタリアのファシスト党、中でもフランスのクロワ・ド・フ(火の十字軍)の戦術を参考にしていた。彼らのシナリオによると、新聞を利用して大統領への信頼感を失わせるようなプロパガンダを展開、50万名規模の組織を編成して恫喝して大統領をすげ替えることにしていたという。 話を聞いたバトラーは信頼していたフィラデルフィア・レコードの編集者トム・オニールに相談、オニールはポール・コムリー・フレンチを確認のために派遣する。フレンチは1934年9月にウォール街のメンバーを取材、コミュニストから国を守るためにファシスト政権をアメリカに樹立させる必要があるという話を引き出した。バトラー少将は1935年にJ・エドガー・フーバーに接触してウォール街の計画を説明するのだが、捜査を拒否している。日本の政治経済に大きな影響力を持っていたJPモルガンはアメリカでファシズム体制の樹立を目論んでいたわけだ。 日本軍は1927年から28年にかけて山東省へ派兵、1931ねんには柳条湖事件、32年に「満州国」建国、37年に盧溝橋事件、39年にノモンハン事件へと続く。その延長線上にマレー半島や真珠湾への奇襲攻撃がある。 JPモルガンが1932年に日本へ駐日大使として送り込んできたグルーは皇族を含む日本の支配層に強力なネットワークを持っていたが、特に親しかったとされている人物が松岡洋右。松岡の妹が結婚した佐藤松介は岸信介や佐藤栄作の叔父にあたり、岸もグルーと親しかった。 そのグルーは第2次世界大戦後の日本のあり方を決めたジャパンロビーの中心人物でもある。この団体の後ろ盾はウォール街だ。つまり、戦前も戦後も支配システムは基本的に同じ天皇制官僚体制であり、「戦前レジーム」だ、「戦後レジーム」だと騒ぐのは滑稽なのである。 アメリカやイギリスの支配層は第2次世界大戦の前と同じように中国やロシアの征服を目論んでいる。
2023.08.15
台湾の頼清徳副総統は8月12日にニューヨークを訪れた。パラグアイのサンティアゴ・ペーニャ次期大統領の就任式に出席するため、同国へ向かう途中に立ち寄ったということになっている。頼は台湾へ戻る際、サンフランシスコに寄る予定だという。 頼は蔡英文総統と同じように台湾を中国から独立させるとしている政治家だが、蔡英文総統の政策が台湾で支持されているとは言えない。昨年11月に実施された地方選挙では蔡英文の民主進歩党が馬英九の国民党に大敗している。 ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相は昨年の8月31日から9月2日にかけてプラハで開かれた「フォーラム2000」で「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人びとを支援する」と発言した。アメリカ政府の命令に従い、「ウクライナの人びとを支援する」ということだが、蔡や頼に残された道はアメリカ政府の命令に従い、「独立を主張する」しかない。ベアボックは「ロシアと戦争している」とも語ったが、蔡や頼は「中国と戦争している」ということだ。 台湾は日本や韓国と同様、東アジアの軍事的な緊張を高めようとしている。昨年8月2日、アメリカの下院議長だったナンシー・ペロシが台湾を訪問、1972年2月にリチャード・ニクソン大統領が中国を訪問してから続いていた「ひとつの中国」政策に挑戦したところからアメリカと中国との関係は一気に悪化した。 しかし、その前に日本も中国との関係を悪化させている。2010年6月に発足した菅直人内閣は閣議決定した尖閣諸島に関する質問主意書の中で「解決すべき領有権の問題は存在しない」と主張、1972年9月に日中共同声明の調印を実現するために田中角栄と周恩来が合意した「棚上げ」を壊したのである。 この合意で日中両国は日本の実効支配を認め、中国は実力で実効支配の変更を求めないことを決めていたわけで、日本にとって有利な内容。それを壊した理由は日本と中国との関係を悪化させることにあったとしか考えられない。 そして同年9月、海上保安庁は尖閣諸島付近で操業していた中国の漁船を取り締まり、漁船の船長を逮捕した。棚上げ合意を尊重すればできない行為だ。その時に国土交通大臣だった前原誠司はその月のうちに外務大臣になり、10月には衆議院安全保障委員会で「棚上げ論について中国と合意したという事実はございません」と答えているが、これは事実に反している。 こうした状況について総理大臣だった安倍晋三は2015年6月、赤坂の「赤坂飯店」で開かれた官邸記者クラブのキャップによる懇親会で、「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたと報道されている。安倍政権下、着々と対中国戦争の準備が進められていることを明らかにしたのだ。 アメリカ軍を前面に出した軍事侵略を展開したジョージ・W・ブッシュ政権に対し、2009年1月から大統領を務めたバラク・オバマは師匠であるズビグネフ・ブレジンスキーに慣い、ムスリム同胞団やネオ・ナチのような手先を使った侵略を始めた。2011年春にはリビアやシリア、13年11月からはウクライナ、14年9月には香港といった具合だ。 ウクライナではネオ・ナチのクーデターで2014年2月にビクトル・ヤヌコビッチ大統領が排除され、その直後からクーデター体制と反クーデター派住民との間で内戦が始まった。この内戦でクーデター軍はドンバスの住宅地を攻撃、2022年までに約1万4000名の住民がころされたと報告されている。 クーデター体制は内務省に親衛隊を組織したが、その中核部隊であるアゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)が拠点にしていたマリウポリ、あるいは岩塩の採掘場があるソレダルにはソ連時代に地下施設が建設されていた。核戦争に備えてのことだったという。それらを利用し、アメリカ/NATO/ウクライナ軍は2014年から8年かけてドンバスの周辺に要塞線を築いている。2022年に入ると、その要塞線近くにキエフ政権の部隊が集結、大規模な軍事作戦が始まると言われていた。後にロシア軍が回収した文書によると、キエフ側は3月に攻撃を開始する予定だったようだ。 その直前、2022年2月21日にロシアのウラジミル・プーチン大統領はドンバスの独立を承認、2月24日にウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設などを巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃しはじめた。部隊がドンバス周辺に集まっていたこともあり、短期間にキエフ政権側は大きなダメージを受け、そして停戦交渉が始まる。 その交渉を仲介したのはイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットだ。そのベネットをインタビューした5時間近い映像が2月4日に公開された。話し合いで双方は妥協に応じ、停戦は実現しそうだった。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はNATOへの加盟を諦めるとしたようだ。 2022年3月5日にベネットはモスクワでプーチンと数時間にわたって話し合い、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけた。その足でベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会っている。ウクライナの治安機関SBUがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺したのはその3月5日だ。 4月に入ると西側の有力メディアはロシア軍がブチャで住民を虐殺したと宣伝し始める。マクサー・テクノロジーズなる会社から提供された写真を持ち出し、3月19日に死体が路上に存在していたと主張しているが、疑問が噴出した。 そうした中、4月9日にボリス・ジョンソン英首相はキエフへ乗り込んでロシアとの停戦交渉を止めるように命令する。そして4月30日にナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めている。ペロシは台湾でもウクライナでも戦火を燃えがらせようとしている。 安倍晋三が「赤坂飯店」で「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にした翌年、自衛隊は軍事施設を与那国島に建設した。2019年には奄美大島と宮古島にも作り、2023年には石垣島でも完成させた。 アメリカの国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が昨年に発表した報告書によると、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけ。その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにする。そしてASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたという。 2021年9月にオーストラリアはイギリスやアメリカと「AUKUS」を創設したと発表。それと同時にアメリカとイギリスはオーストラリアに原子力潜水艦の艦隊を建造させるために必要な技術を提供するとも伝えられた。ジョー・バイデン米大統領はオーストラリアへ売却する3隻のバージニア級原子力潜水艦を2030年代の初めに建造するという。そして2022年1月には「日豪円滑化協定(RAA)」、23年1月12日には「日英円滑化協定(RAA)」が締結された。そして韓国の尹錫悦大統領もアメリカに従属する政策を推進いている。 2013年11月にアメリカのネオコンが始めたウクライナ制圧作戦はすでに破綻している。ドイツなどEUの破壊には成功したが、ロシアは健在であり、しかもロシアと中国を同盟させてしまった。21世紀に入ってアメリカが繰り返してきた軍事作戦は自らの弱さを証明することになり、それまで従属していた国々の離反を招いている。バイデンを含む軍事強硬派は東アジアでの戦争に賭けようとしているのかもしれない。
2023.08.14
今から38年前の8月12日に日本航空の123便が群馬県南西部の山岳地帯、いわゆる「御巣鷹の尾根」に墜落、乗員乗客524名のうち520名が死亡した。運輸省航空事故調査委員会はボーイング社の修理ミスで隔壁が破壊されたことが原因だと主張しているが、再現実験で調査委員会のストーリーは無理だということが確認されている。医学的にありえないのだ。 その墜落から10年後の1995年8月、アメリカ軍の準機関紙である「星条旗」は日本航空123便に関する記事を掲載した。墜落の直後に現場を特定して横田基地へ報告したC-130の乗組員だったマイケル・アントヌッチの証言に基づいている。 その記事によると、大島上空を飛行中にJAL123の異常に気づいたC-130のクルーは横田基地の管制から許可を受けた上で日航機に接近を図り、墜落地点を19時20分に特定、基地に報告している。運輸省に捜索本部が設置する25分前のことだ。つまり、日本の当局が捜索を始めた時点で日本政府は日航機の墜落現場を正確に把握していたはずである。 C-130からの報告を受け、厚木基地から海兵隊の救援チームがUH-1ヘリコプター(ヒューイ)が現地に向かい、20時50分には現地へ到着し、隊員を地上に降ろそうとする。 ところが、この時に基地から全員がすぐに引き上げるように命令されたという。日本の救援機が現地に急行しているので大丈夫だということだった。 しかし、その後もC-130は現場の上空を旋回、21時20分に航空機が現れたことを確認、日本の救援部隊が到着したと判断してその場を離れるのだが、日本の捜索隊が実際に墜落現場に到着したのは翌日の8時半だ。10時間以上の間、自衛隊は何をしていたのだろうか。 墜落後、アメリカ軍の内部では、この出来事に関する話をしないように箝口令が敷かれたというのだが、墜落から10年後にアメリカ軍の準機関紙はその話を掲載した。軍の上層部が箝口令を解除したということだろうが、その理由は何なのか? 記事が掲載される前、1995年2月にジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表、その中で10万人規模の駐留アメリカ軍を維持するだけでなく、在日米軍基地の機能を強化、その使用制限は緩和/撤廃されることが謳われている。沖縄ではこの報告に対する怒りのエネルギーが高まった。普天間基地の返還合意が発表されるのは1996年4月のことだ。 ナイ・レポートが発表された翌月、帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件)、國松孝次警察庁長官が狙撃された。そして自衛隊がJAL123便墜落に関係していることを示唆する星条旗紙の記事。その後、日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。
2023.08.13
西側の有力メディアが宣伝していたウクライナ軍の「反転攻勢」の失敗は明確になった。アメリカ/NATOがロシアを過小評価していたとする解説もあるが、こうした攻勢が始まる前からアメリカでも退役将校や元CIA分析官らは失敗すると見通していた。 この無謀な「反転攻勢」を命じたのはアメリカのジョー・バイデン政権。イギリスの対外情報機関MI6のエージェントだということが明確になったウラジーミル・ゼレンスキー大統領はバイデン政権の命令に従ってきたが、彼も勝利が不可能だと認識しているようだ。キエフで粛清が始まった理由もその辺にあるかもしれない。 バイデンは大統領に就任して間もない2021年3月16日、ABCニュースのジョージ・ステファノプロスからインタビューを受けているが、その際、インタビュアーからウラジーミル・プーチン露大統領を殺人者だと思うかと問われ、「ええ。そうです」と答えている。 バイデンの知能レベルと心配した人も少なくないだろうが、彼の外交政策チーム、つまりジェイク・サリバン国家安全保障顧問、トニー・ブリンケン国務長官、ビクトリア・ヌーランド国務次官のロシアに対する姿勢を反映したものだった。 ウクライナでの内戦は2014年2月にビクトル・ヤヌコビッチ大統領がネオ・ナチのクーデターで排除されたところから始まる。ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の人びとがクーデターを拒否、クリミアでは住民投票を経てロシアと一体化、東部のドンバスでは内戦が始まったのだ。その際、ウクライナの軍や治安機関からネオ・ナチ体制を嫌った約7割が離脱したと言われている。 クーデターの黒幕だったバラク・オバマ政権はキエフに誕生した新政権を支えるためにCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込んだ。そのほか傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名もウクライナ東部の作戦に参加したと伝えられていた。また2015年からCIAはウクライナ軍の特殊部隊をアメリカの南部で訓練し始めたともいう。 しかし、これでは反クーデター軍に勝つことは難しい。そこで内務省にネオ・ナチを中心とする親衛隊を組織、傭兵を集め、年少者に対する軍事訓練を開始、要塞線も作り始めた。そうした準備のために8年間が必要だったのだろう。 その時間稼ぎに使われたのがミンスク合意のようだ。合意が成立した当時から西側では「時間稼ぎに過ぎない」と指摘する人がいたが、この合意で仲介役を務めたドイツのアンゲラ・メルケル(当時の首相)は昨年12月7日、ツァイトのインタビューでミンスク合意は軍事力を強化するための時間稼ぎだったと認めている。その直後にフランソワ・オランド(当時の仏大統領)はメルケルの発言を事実だと語っている。 プーチン大統領はミンスク合意に少しは期待していたようだが、これは大きな間違いだった。アメリカ/NATOに時間を稼がせたことで戦乱は拡大することになったと言える。 ヤヌコビッチ政権を倒したクーデターで中心的な役割を果たしたのはオバマ政権のジョー・バイデン副大統領、ビクトリア・ヌランド国務次官補、副大統領の国家安全保障補佐官を務めていたジェイク・サリバンだ。バイデン政権をロシアと戦争へと導いているチームと重なる。ネオコン人脈とも言える。 ヌランドは父方の祖父母がウクライナからの移民で、夫はネオコンの重鎮であるロバート・ケーガン、義理の弟はフレデリック・ケーガン、フレデリックの妻はISW(戦争研究所)を設立したキンベリー・ケーガン。ヒラリー・クリントンは友人のひとりだという。アメリカ中央軍、ISAF(国際治安支援部隊)司令官、そしてCIA長官を務めたデイビッド・ペトレイアスとキンバリーは親しい。 現在の国務長官、アントニー・ブリンケンの父方の祖父もウクライナ出身。ちなみに、アメリカの反ロシア戦略で重要な役割を果たしたズビグネフ・ブレジンスキーはポーランドの生まれだが、一族の出身地ブゼザニは現在、ウクライナに含まれている。 サリバンはエール大学出身で、ローズ奨学生としてイギリスのオックスフォード大学へ留学している。ローズ奨学生はオックスフォード大学の大学院生に与えられ、学費を支払うローズ・トラストは1902年にセシル・ローズの意志で創設された。 ローズはナサニエル・ド・ロスチャイルドの資金でダイヤモンドや金が発見された南部アフリカを侵略して財を築いた人物で、優生学を信奉していた。ローズは1877年6月にフリーメーソンへ入会、その直後に書いた『信仰告白』で彼はアングロ・サクソンは最も優秀な人種であり、その居住地が広がれば広がるほど人類にとって良いことだと主張している。領土を拡大して大英帝国を繁栄させることは自分たちの義務であり、領土の拡大はアングロ・サクソンが増えることを意味するとしている。(Cecil Rhodes, “Confession of Faith,” 1877) 領土拡大の最終目標は世界をアングロ・サクソンが支配することにあるが、それを達成するためにはロシアを占領しなければならないと彼らは考えている。ソ連(ロシア)へ攻め込んだナチスをシティやウォール街、つまり米英金融資本が支援していた理由もここにある。 ナチスの支配されたドイツは1941年6月、ソ連に対する軍事侵略を開始した。バルバロッサ作戦だ。この作戦で東へ向かったドイツ兵は約300万人、西部戦線に残ったドイツ軍は90万人だけだと言われている。この攻撃の準備には半年から1年は必要だったろう。 ドイツ軍は1940年9月7日から41年5月11日にかけてロンドンを空襲し、4万人から4万3000名の市民が死亡したという。バルバロッサ作戦の準備をしていたであろう時期と重なる。イギリス攻撃の準備をソ連攻撃に転用したとは考えにくい。おそらく陽動作戦だったのだろう。 しかし、ソ連軍の抵抗でドイツ軍は苦戦、1942年8月にスターリングラード市内へ突入するのだが、ここでソ連軍に敗北、1943年1月に降伏した。 この展開を見て慌てたウィンストン・チャーチル英首相は同月、フランクリン・ルーズベルト米大統領とフランスのシャルル・ド・ゴールらとカサブランカで会談、「無条件降伏」という話が出てくる。この条件はドイツの降伏を遅らせる一因になり、米英にはソ連対策を講じるための時間的な余裕ができた。またソ連がナチスに勝ったというイメージを消し去るため、ハリウッド映画が利用されている。 バルバロッサ作戦はウクライナやベラルーシへの軍事侵攻から始まった。ウクライナがNATO軍が入るということはロシアにとって新たなバルバロッサ作戦の始まりを意味する。ウクライナへの軍事侵攻を許したことからソ連は国土を破壊され、多くの人が殺されることになった。それに対し、プーチンは同じ轍を踏まないと明言している。 バルバロッサ作戦の際、ウクライナにもナチスと手を組んだ勢力が存在していた。その中心がステパン・バンデラのOUN-B。現在、ウクライナで大きな影響力を持つネオ・ナチはバンデラを信奉している。 バンデラは1920年代からOUNの幹部だが、この組織は41年3月に分裂、バンデラ派はOUN-Bと呼ばれるようになった。このOUN・Bをイギリスの情報機関MI6のフィンランド支局長だったハリー・カーが雇う一方、バンデラの側近だったミコラ・レベドはクラクフにあったゲシュタポ(国家秘密警察)の訓練学校へ入る。第2次世界大戦後、バンデラはMI6に守られ、レベドはCIAのアレン・ダレスに保護された。MI6やCIAはソ連時代に保護、育成、ソ連が消滅してから「母国」へ送り返している。 ソ連が消滅した直後の1990年代に旧ソ連圏は破壊され、ロシアも米英資本に支配されて弱体化した。その支配体制を壊し、ロシアを再独立させたのがプーチンのグループにほかならない。彼がロシアで支持され続けているのはそのためだ。 それを認められないローズ人脈はロシアを再び属国にし、富を奪おうとしているのだが、彼らはロシアが復活しつつあることを認められず、簡単に倒せると信じてきた。 プーチンが実権を握った頃、イスラエルはジョージアに武器/兵器を含む軍事物資を提供、将兵を訓練しはじめた。ジョージア軍を訓練したのはイスラエル軍のガル・ヒルシュ准将(予備役)が経営する「防衛の盾」で、予備役の将校2名の指揮下、数百名の元兵士が教官としてグルジア入りしていた。イスラエルから供給された装備には無人飛行機、暗視装置、防空システム、砲弾、ロケット、電子システムなども含まれていた。 そのほか、アメリカの傭兵会社MPRIとアメリカン・システムズが元特殊部隊員を2008年1月から4月にかけてジョージアへ派遣して軍事訓練を実施、同年7月にはコンドリーサ・ライス国務長官がジョージアを訪問している。 そしてジョージアは2008年8月に南オセチアを奇襲攻撃するのだが、ロシア軍の反撃で惨敗した。作戦を立てたのはイスラエル軍だとも言われている。 イスラエルやアメリカはロシア軍を過小評価していたのだが、アメリカの支配層は反省できず、バイデンが大統領になってもそうした状況に変化はなかった。そしてバイデンはプーチンを「人殺し」扱いしたのである。その時、バイデンはルビコンを渡った、つまり回帰不能点を超えたのである。 オバマ政権がウクライナでクーデターを引き起こした理由のひとつはドイツとロシアを分断、両国を弱体化させることにあった。両国はビジネスで結びついていたのだが、特に重要なファクターが天然ガス。そのエネルギー資源を運ぶパイプランがウクライナを通過していたのだ。 しかし、両国はウクライナを迂回するルートも建設している。「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」だが、これらが2022年9月26日から27日にかけての間に間に破壊された。 パイプラインが爆破された1分後にイギリスの首相だったリズ・トラスはiPhoneでアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官へ「やった」というテキストのメッセージを送ったと伝えられている。携帯電話がハッキングされたようだ。 ドナルド・トランプ政権下の2020年7月には国務長官のマイク・ポンペオがNS2を止めるためにあらゆることを実行すると発言、バイデンが大統領に就任する直前、テッド・クルズをはじめとする上院議員がロシアの安価な天然ガスという政治的脅威を繰り返し主張している。 大統領がバイデンに交代した後の22年1月27日にビクトリア・ヌランド国務次官はロシアがウクライナを侵略したらNS2を止めると発言している。2月7日にはバイデン大統領自身がNS2を終わらせると主張し、アメリカはそうしたことができると記者に約束した。 そして今年2月8日、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュはアメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りてノードストリームを破壊したとする記事を発表した。 ハーシュによると、アメリカのジョー・バイデン大統領は2021年後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成、その中には統合参謀本部、CIA、国務省、そして財務省の代表が参加している。12月にはどのような工作を実行するか話し合ったという。そして2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を具申している。 破壊工作は特殊作戦司令部のメンバーではなく、海軍の深海ダイバーを使ってパイプライン沿いの爆発を誘発する秘密作戦の計画を練り始めたという。特殊作戦司令部の秘密作戦は議会に報告され、上院と下院の指導部に報告されなければならないからだという。そした計画通り、パイプラインはノルウェー政府の協力を得て破壊された。 そうした中、ドイツで新首相に任命されたオラフ・ショルツが昨年2月、ロシア軍がウクライナをミサイル攻撃する前にアメリカを訪問している。この時、バイデンが作戦についてショルツ首相に説明し、パイプライン破壊についても事前に警告したのかどうかをシーモア・ハーシュは問題にしている。 パイプラインの破壊によって安いロシア産天然ガスを入手できなくなったドイツではエネルギー危機が激化し、低中所得者の生活が厳しい状況に陥っているだけでなく、自動車産業をはじめとする製造業が崩壊の危機にある。 国内の不満を抑えるために補助金を出しているが、EUでは財政赤字に対する厳しい規制がある。ドイツは補助金をカットして産業を失うのか、補助金を出して赤字規則を破るのか、どちらかを選ばなければならない。2030年頃に「グリーンエネルギー」が主流となるとされているようだが、これも実現できる保証はない。バイデン政権はドイツ企業に対し、アメリカへの移転を働きかけている。 ドイツをはじめとするEUを苦境へ追い込んだのは誰なのか、皆知っているだろうが、西側の有力メディアは口にしない。 世界的にヒットしたフィクション「ハリー・ポッター」では、敵役として登場する「ボルデモート」の名を口に出してはならないことになっている。その代わり、「例のあの人」、「名前を言ってはいけないあの人」、「闇の帝王」と呼ばれている。
2023.08.12
インターネット・メディアのインターセプトがパキスタン政府の機密文書を公開した。その文書にはアメリカの国務次官補だったドナルド・ルーやレ・ヴィグリーを含む国務省高官が当時の駐米パキスタン大使のアサド・マジード・カーンと2022年3月7日に行った会談の記録が含まれている。 その直前、2月24日にロシア軍はミサイルでウクライナに対する攻撃を始めたが、首相だったイムラン・カーンは中立の立場を表明した。パキスタンは欧米の奴隷ではないと集会で演説、非同盟の立場を明確にしている。会談はその翌日に行われた。今回、公表された文書によると、その会談でアメリカ政府はパキスタン政府に対し、カーンを排除するように促している。 ルー国務次官補は不信任決議を提案、その決議が採択されば首相のロシア訪問は首相の個人的な決断だとアメリカ政府はみなして全てを許すが、失敗すれば厳しい対応をすると語ったという。そして不信任決議の準備が会議の翌日から始まる。 2022年4月に内閣不信任決議案を提出されるが、下院議長は却下。解散総選挙に打って出るとカーンは表明し、4月3日に議会は解散されたものの、4月7日に最高裁が議会解散を違憲と判断、4月10日に内閣不信任決議案の採決が行われて可決されて軍を後ろ盾にするシャバズ・シャリフ政権が誕生した。 議会や裁判所はアメリカ政府の意向通りに動いたわけだが、国民は強く反発し、大規模な抗議行動や暴動という形で表面化した。そこで軍は市民の自由を大幅に削減し、軍への批判を犯罪化、国内経済における軍の役割を拡大して国内は麻痺した。言論統制のひとつの結果として、アメリカ政府に従属する軍に批判的なジャーナリストが殺害されたり行方不明になったりしている。軍は独裁体制へ向かっている。 昨年11月にカーンは政治集会で銃撃されて足を負傷した。その際、支持者のひとりが殺されている。勿論、カーンを負傷させるために銃撃したわけではなく、暗殺未遂だ。これを認めようとしない人はパキスタンのエリートと同様、アメリカの支配層に従属しているのだろう。 パキスタンでは来年の初めまでに選挙が実施される予定だが、カーンが出馬すれば確実に勝利し、首相に返り咲くと考えられている。そこでカーンや彼の政党を弾圧、弁護士を立ち合わせない裁判で禁錮3年の判決が言い渡された。今後5年間、カーンの立候補を認めないとされている。 アメリカ支配層はこれまでもパキスタンの政治を操ってきた。ズビグネフ・ブレジンスキーの戦略に基づいてCIAは1979年4月にアフガニスタンで秘密工作を始めた。ソ連軍が侵攻する半年以上前のことだ。その工作についてCIAのイスタンブール支局長はパキスタンの情報機関ISIの協力を得ている。 しかし、パキスタンのベナジル・ブット首相の特別補佐官を務めていたナシルラー・ババールが1989年に語ったところによると、アメリカは1973年からアフガニスタンの反体制派へ資金援助し始めていた。その反体制派とはクルブディン・ヘクマチアルだが、その選定をしたのはISIだ。(Robert Dreyfuss, “Devil’s Game”, Henry Holt, 2005) この工作を進めるためにCIAはパキスタン政府の協力が必要だったのだが、ベナジル・ブットの父親、ズルフィカル・アリ・ブットの政権はアメリカ政府にとって好ましくなかった。自立した政策を進めていたからだ。ブット政権は1977年の軍事クーデターで排除され、ブット自身は79年に処刑されている。 クーデターを主導したムハンマド・ジア・ウル・ハク陸軍参謀長はノースカロライナ州のフォート・ブラグで訓練を受けた軍人で、ムスリム同胞団系の団体に所属していた。(Thierry Meyssan, “Before Our Very Eyes,” Pregressivepress, 2019) ところで、カーン排除の原因になったウクライナでの戦闘の原因はバラク・オバマ政権が2014年2月にネオ・ナチを利用して行ったクーデターにある。このクーデターでアメリカに従属することを拒否したビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したのだが、ヤヌコビッチの支持基盤で、約7割が2010年の大統領選挙で彼に投票したウクライナの東部や南部では住民がクーデターを拒否する。クリミアでは住民投票を経てロシアの保護下に入ったものの、対応が遅れたオデッサで反クーデター派の住民が虐殺され、ドンバスでは内戦が始まったのだ。
2023.08.11
ウクライナでは臓器がオンラインとオフラインで取引されているとロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は『ロシイスカヤ・ガゼータ』の2023年8月7日号で批判している。 臓器移植は大きなビジネスだが、そのビジネスは移植する臓器が存在しなければ成り立たない。その臓器を供給する重要な国がウクライナにほかならず、その事実はウクライナ国内でも関心が高まっている。 ウクライナで臓器売買が盛んになったのは2014年2月にバラク・オバマ政権がクーデターでネオ・ナチ体制を成立させてからだと言われ、内戦が続くドンバスで臓器を切り取られた軍人と民間人の遺体数十体を発見したとOSCE(欧州安全保障協力機構)の代表は語った。戦死者から取り出すだけでなく、負傷した兵士も犠牲になったと言われている。 ここにきて指摘されているのは、子どもが臓器売買の犠牲になっているということ。今年6月、生後11ヶ月の子どもを外国に連れて行こうとしてデニス・バロディなる男がウクライナとスロバキアの国境で逮捕された。子どもの臓器を国外で売ることが目的だったという。バロディは孤児院で教師として働いた経験があり、慈善財団の代表を務め、孤児青少年団体を創設していた。 警察の発表によると、男は母親に対し、EU内の善良な人物の養子にすると説得、5000ドルを母親へ支払うことになっていたが、養子縁組の計画はなく、2万5000ドルで移植業者に子どもを売る予定だった。バロディは1歳から2歳の子どもを少なくとも3回売っていたというが、彼は逮捕されて間もなく保釈金100万フルブニャ(約2万7000ドル)を積んで釈放されている。彼は密輸業者として逮捕されたのであり、臓器売買業者としてではなかったようだ。そして彼は姿を消した。ウクライナの女性を「代理母」として子どもを産ませ、その子どもを取り上げて売りさばいているとする話も伝わっている。 ウクライナでは2021年12月、「人体解剖材料の移植問題の規制について」なる法律が成立、生体ドナーとその親族が移植に同意したことを証明する必要ながくなったという。書類があれば、署名の確認や認証は必要なくなり、死体から臓器を摘出する手続きは大幅に簡略化された。 今年3月22日には、ウクライナで「赤ちゃん工場」を発見したロシア兵の証言とされる映像が英語の字幕付きでアップロードされた。そこで生まれた赤ん坊は内臓が摘出されたり、別の犯罪に利用されるとされている。西側ではロシアのプロパガンダだとされたが、その根拠は示されていない。そうしたプロパガンダにもかかわらず、その映像は注目されている。 ウクライナと同じように西側が支配しているコソボでも臓器売買が問題になった。アメリカはコソボで麻薬業者を手先として使ったが、その麻薬業者が中心になって組織したのがKLA(コソボ解放軍、UCKとも表記)にほかならない。KLAを率いてたひとりで、後に首相となるハシム・サチはアルバニアの犯罪組織とつながり、麻薬取引や臓器の密売に関与していたと言われている。 旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷で検察官を務めたカーラ・デル・ポンテは自著(Chuck Sudetic, Carla Del Ponte, “La caccia: Io e i criminali di guerra,” Feltrinelli, 2008)の中で、KLAによる臓器の密売に触れている。 彼女によると、コソボで戦闘が続いている当時、KLAの指導者らが約300名のセルビア人捕虜から「新鮮」な状態で、つまり生きた人間から臓器を摘出し、売っていたというのだ。 この話は欧州評議会のPACE(議員会議)に所属していたスイスの調査官ディック・マーティの報告書にも書かれている。KLAの幹部はセルビア人を誘拐し、彼らの臓器を闇市場で売っていたという。捕虜の腎臓を摘出し、アルバニア経由で臓器移植のネットワークで売り捌いていたともされている。 そして3月17日、ハーグのICC(国際刑事裁判所)はロシアのウラジミル・プーチン大統領と子どもの権利オンブズマンであるマリア・リボバ-ベロバに対する逮捕令状を発行した。 2014年2月にドンバスでクーデター政権と反クーデター派の内戦が始まった。クーデター政権が送り込んだ部隊はドンバスの住宅街を攻撃、約8年間で住民1万4000人が殺されたとも言われている。そして昨年年明け後、ドンバスの近くへウクライナ軍が集結、大規模な攻勢があると見られていた。 アゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)が拠点にしていたマリウポリや岩塩の採掘場があるソレダルには、ソ連時代、核戦争に備えて地下施設が建設されていた。それらを利用してアメリカ/NATO/ウクライナ軍は2014年から8年かけてドンバスの周辺に要塞線を築いていた。その内側へロシア軍を誘い込み、動けなくした上で別の部隊にクリミアを攻撃させようとしていたとも推測されている。 そうした攻勢を予期したドンバスの反クーデター派はロシアに支援を要請、女性や子どもをロシアへ避難させた。それを国際刑事裁判所は強制移住だと主張、アメリカ下院の外交委員会でも反ロシア宣伝が繰り広げられたわけだ。
2023.08.10
アメリカのビクトリア・ヌランド国務副長官代理が8月7日にニジェールの首都ニアメを訪問、ムーサ・サラウ・バルムーなどクーデターを主導したグループの軍人と会談した。席上、クーデターで大統領の座を追われたモハメド・バズームの復権を要求したという。 ヌランドがバルムーと会ったひとつの理由は彼がアメリカの特殊部隊で軍事訓練を受けていたからだが、クーデターを指揮したアブドラフマン・チアニ准将と面会できず、バズームとも会えなかったという。アメリカはニジェールに軍事基地を保有し、約1100人の部隊を駐留させている。 ヌランドの「上司」にあたるアントニー・ブリンケン国務長官は3月にニジェールを訪問しているが、これは中国やロシアのアフリカへの影響力が強まることを抑え込むことが目的だったと言われている。 ニジェールはフランスの植民地だった国だが、西アフリカの中心に位置していることからアメリカ軍は基地を建設し、ドローン(無人機)を飛ばす拠点にしている。この基地はAFRICOM(米アフリカ軍)と連携し、北アフリカや西アフリカにおける軍事作戦の要でもあるが、新しい指導者たちはその基地を閉鎖したとも伝えられている。 クーデター後、ニジェールの代表団がマリでワグナー・グループに戦闘への参加を要請したようだが、ロシアは今のところ慎重。それでもヌランドはクーデターを実行した軍人グループがワグナー・グループを接触することを警戒している。 7月26日にクーデターが実行された翌日、ロシアのサンクトペテルブルクではロシアとアフリカ諸国の首脳が有効的な雰囲気の中、会議した。これもアメリカ政府は意識していると見られている。もしアメリカ政府に服従しないなら軍事介入も辞さないとヌランドは示唆したとされている。 2013年11月から14年2月にかけてアメリカのバラク・オバマ政権はネオ・ナチのグループを使い、選挙で成立したウクライナの政権を倒したが、現場で指揮していたのはヌランド。そのヌランドはニジェールで旧宗主国の手先になっていた大統領を排除したクーデターを批判している。 ウクライナでは排除された大統領を支持していた南部のクリミアでは住民投票を経てロシアの保護下に入り、東部のドンバスでは住民がクーデター体制を拒否、内戦になった。ニジェールの首都ニアメではクーデターの直後に人びとがフランス大使館の周辺に集まり、クーデターを支持する意思表示をした。「フランスを潰せ」、「マクロンを潰せ」、そして「ロシア万歳」と叫ぶ一方、ロシアの国旗が振られていた。 アフリカ諸国はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動で西側医療利権の宣伝に躍らず、「ワクチン」と称する遺伝子操作薬を拒否した。アフリカ諸国は欧米を信用していないのだ。アメリカ、イギリス、フランスなどが2011年にリビアで行ったことも忘れていないだろう。 ニジェールは金やウランで有名だが、石油も地下に眠っている。資源は豊かなのだが、欧米に従属しているため国民は貧困なままだ。欧米諸国は植民地という看板を下ろしたが、収奪システムは維持している。そうした状態からアフリカを抜け出させるため、リビアのムアンマル・アル・カダフィは「ディナール」という金貨をアフリカの共通通貨にしようとしていた。
2023.08.09
日本がアメリカに従属しているとは言えない。従属している相手はネオコンであり、その背後にいるウォール街やシティ、つまり米英金融資本だ。その支配システムの中心に存在しているセシル・ローズ人脈の拠点はシティだったが、現在、その人脈に地理的な拘束はない。 この支配システムは「帝国主義」と呼ばれていたが、現在の日本では「自由と民主主義」というタグが付けられている。「法に基づく支配」が宣伝されているが、その「法」とは米英を支配している人びとの意志にほかならない。「万国公法」が帝国主義の支配を正当化するルールだったように、「法に基づく支配」は米英巨大資本による支配を正当化するために考えられた呪文だ。 かつて地中海沿岸では文明が発達していた。近代のヨーロッパ文明の源流をそこに求める人もいるようだが、地中海文明はヨーロッパ南部から現在のパレスチナ周辺、そして北アフリカにかけての地域で栄えたのだ。その文明を現代ヨーロッパの中心国へ伝えたのは「十字軍」と名付けられた侵略軍、あるいは強盗団だと言えるだろう。 彼らは財宝だけでなく知識を盗み出し、その知識の中にはギリシャ文明に関するものも含まれていた。十字軍による略奪がなければ、14から15世紀のルネサンスは実現しなかったのではないだろうか。 ヨーロッパが富を蓄積し始めるのはその後。15世紀から17世紀にかけての「大航海」は略奪の時代だった。スペインやポルトガルはそのときにアメリカ大陸を侵略し始め、1521年にエルナン・コルテスは武力でアステカ王国(現在のメキシコ周辺)を滅ぼして莫大な金銀を奪い、インカ帝国(現在のペルー周辺)ではフランシスコ・ピサロが金、銀、エメラルドなどを略奪しながら侵略を続けて1533年には帝国を滅ぼしている。 莫大な量の貴金属を盗んだだけでなく、ヨーロッパの侵略者は先住民を酷使して鉱山開発も行った。その象徴的な存在がボリビアのポトシ銀山。1545年に発見されたこの銀山だけで18世紀までに15万トンが運び出されたとされ、スペインが3世紀の間に南アメリカ全体で産出した銀の量は世界全体の80%に達したと言われている。 ただ、略奪の詳細は不明で、全採掘量の約3分の1は「私的」にラプラタ川を経由してブエノスアイレスへ運ばれ、そこからポルトガルへ向かう船へ積み込まれていた。16世紀の後半にスペインはフィリピンを植民地化、銀を使い、中国から絹など儲けの大きい商品を手に入れる拠点として使い始める。(Alfred W. McCoy, “To Govern The Globe,” Haymarket Books, 2021) そうした財宝を運ぶスペインの船を海賊に襲わせ、奪っていたのがイギリスにほかならない。エリザベス1世の時代にイギリス王室が雇った海賊は財宝を略奪しただけでなく、人もさらっていた。 ジョン・ホーキンスという海賊は西アフリカでポルトガル船を襲って金や象牙などを盗み、人身売買のために拘束されていた黒人を拉致、その商品や黒人を西インド諸島で売り、金、真珠、エメラルドなどを手に入れている。こうした海賊行為をエリザベス1世は評価、ナイトの爵位をホーキンスに与えている。 フランシス・ドレイクという海賊は中央アメリカからスペインへ向かう交易船を襲撃して財宝を奪い、イギリスへ戻るが、ホーキンスと同じように英雄として扱われた。女王はそのドレイクをアイルランドへ派遣して占領を助けさせるが、その際、ラスラン島で住民を虐殺したことが知られている。その後も海賊行為を働いたドレイクもナイトになっている。 ホーキンスやドレイクについで雇われた海賊のウォルター・ローリーは侵略者のイングランドに対して住民が立ち上がったデスモンドの反乱を鎮圧するため、アイルランドにも派遣された。ローリーも後にナイトの爵位が与えられている。(Nu’man Abo Al-Wahid, “Debunking the Myth of America’s Poodle,” Zero Books, 2020) 北アメリカへもヨーロッパ人が入り込んでくるが、そこには先住民、いわゆる「アメリカ・インディアン」がすでに生活していた。植民地を建設したイギリス系の人びとはイギリス軍と連合し、アメリカ・インディアンと手を組んだフランス軍と1754年から63年にかけて戦っている。 その後、植民地とイギリスが対立、1773年にはボストン港に停泊していた東インド会社の船に積まれていた茶箱を投棄されている。いわゆる「ボストン茶会事件」だ。1775年にはイギリス軍と植民地軍が軍事衝突、植民地側は76年に独立を宣言した。 その宣言には「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」と謳われているが、先住民は人間として扱われていない。勿論、奴隷も人間として扱われていない。過酷な南部の綿花栽培で使われたアフリカ系の奴隷だけでなく、ヨーロッパ系やアジア系の奴隷もいて、「白人年期奴隷」という表現もある。 ヨーロッパからの移民たちはアメリカ・インディアンを虐殺しながら支配地域を東から西へ拡大させ、1890年12月には「フロンティアの消滅」が宣言された。その時、サウスダコタのウンデッド・ニー・クリークにいたスー族を騎兵隊が襲撃し、150名から300名を虐殺している。「自由と民主主義」を掲げる「正義の国」は虐殺されたアメリカ・インディアンの屍の上に築かれたのだ。 そうした殺戮の最中、徳川政権は日米修好通商条約の批准書交換のために遣米使節団を派遣した。その時に咸臨丸も同行、使節団がサンフランシスコに到着したのは1860年3月のことだ。そこで彼らが見たアメリカを民主主義国と表現することはできない。その使節団に加わったひとりが後にアジア侵略を主張しているが、必然かもしれない。 イギリスはその前に中国(清)を侵略しようとしている。インドを侵略、大儲けしていたイギリスだが、経済力で中国に太刀打ちできない。そこで中国にアヘンを売りつけ、1839年から42年にかけて「アヘン戦争」を仕掛けている。1856年から60年にかけては「第2次アヘン戦争(アロー戦争)」を行った。当時、イギリスとアメリカはライバル関係にあったが、アヘン戦争にはアメリカ人も加わり、麻薬取引で大儲けしていた。 こうした戦争でイギリスは勝利したものの、征服はできなかった。戦力が足りなかったからだ。そこで目をつけたのが侵略拠点としての日本列島であり、傭兵としての日本人だ。イギリスは長州と薩摩を利用して徳川体制を倒す。これが明治維新であり、天皇制官僚体制の始まりだと言えるだろう。この構図は第2次世界大戦後も維持されている。
2023.08.08
ニジェールで7月26日にクーデターがあり、モハメド・バズーム大統領が拘束された。実権を握ったグループのひとりで、国土防衛国民評議会の副議長を務めているサリフー・ムーディー師団将軍はマリを訪れた際にワグナー・グループのエフゲニー・プリゴジンと会い、同グループの支援を要請したと伝えられている。 アフリカの資源を略奪してきた欧米諸国の手先であるECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)は軍事行動を起こすと恫喝、フランス自体が軍事介入する可能性も言われている。こうした動きを警戒してのことだろう。 ECOWASが正式に設立されたのは1975年のラゴス条約によるが、実際は1945年に「CFAフラン」という通貨が創設された時にできたと言われている。この通貨を使用している国はフランスの支配下にあると考えられているからだ。CFAフランを使用している国は外貨準備高の50%をフランスの国庫に保管しなければならないという規定があり、自国の通貨政策をコントロールできない。この支配システムを維持する仕掛けのひとつがECOWASにほかならない。ECOWASは紛争を起こして西側諸国が好む専制君主を守り、腐敗した政府を維持してきた。 このECOWASで最も影響力の大きい国はナイジェリア。ECOWASのボラ・ティヌブ議長はナイジェリアの大統領でもある。1週間以内に拘束された大統領を戻さないならば、軍事的な手段も辞さないと通告しているが、ナイジェリアの議会はティヌブの方針を拒否、ニジェールへの介入に反対している。 こうした議会の意思とは関係なく欧米の命令に従っているティヌブは資産家として知られているが、アメリカのシカゴで麻薬資金のロンダリングで儲けたとされている。ティヌブは長年にわたり米国の資産家であり、ヘロイン売買をする親族のために数百万ドルを洗浄した大規模な麻薬取引の共犯者として名前が挙がっている。彼の親族がヘロインを売買していたという。 マネー・ロンダリングの捜査に危機感を覚えたのか、ティヌブはアメリカを離れてナイジェリアに戻り、政治の世界へ入る。1992年に上院議員に当選、99年から2007年まではラゴス州知事、そして今年5月から大統領を務めている。その間、アメリカ政府に情報を提供し続けた。 アメリカの支配層が使う手先には麻薬業者が少なくない。ベトナム戦争の際には東南アジアで麻薬業者にヘロインを生産させ、マフィアに売り捌かせていた。その後、ラテン・アメリカではコカイン業者を使い、アフガニスタンでもヘロインを生産、コソボの手先も麻薬業者だった。蒋介石も麻薬を扱っていたことが知られている。
2023.08.07
ドイツ軍は1941年6月にソ連に対する奇襲攻撃を開始した。「バルバロッサ作戦」だ。西側には約90万人だけを残し、310万人を投入するという非常識なものだが、これはアドルフ・ヒトラーの命令で実行されたという。その攻撃を準備していたはずの1940年9月から41年5月までの期間、ドイツ軍はイギリスを空爆している。これは陽動作戦だと考えるべきだろう。 1941年7月にドイツ軍はレニングラードを包囲、9月にはモスクワまで80キロメートルの地点に到達した。ヒトラーはソ連軍が敗北したと確信、再び立ち上がることはないと10月3日にベルリンで語っている。またウィンストン・チャーチル英首相の軍事首席補佐官だったヘイスティングス・イスメイは3週間以内にモスクワは陥落すると推測しながら傍観していた。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015) しかし、ソ連軍の抵抗でこうした予想通りにことは進まず、ドイツ軍は1942年8月にスターリングラード市内へ突入する。ここでソ連軍に敗北、1943年1月に降伏した。この段階でドイツの敗北は決定的。ここからアメリカやイギリスは慌てて動き始めたわけで、ナチスに勝ったのはソ連。アメリカはその事実を消し去り、自分たちが勝ったのだというイメージを広めるため、ハリウッド映画を利用した。 それでもアメリカは反ファシズムのフランクリン・ルーズベルトが大統領を務めていたが、このルーズベルトは1945年4月12日に急死する。ドイツはその翌月の上旬に降伏、その直後にチャーチルはソ連への奇襲攻撃を目論む。そこでJPS(合同作戦本部)に対して作戦を立案を命令し、5月22日には「アンシンカブル作戦」が提出された。この事実は本ブログでも繰り返し書いてきたことだ。 その作戦によると、1945年7月1日にアメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で奇襲攻撃、「第3次世界大戦」を始めることになっていた。この作戦が実行されなかったのは、参謀本部が計画を拒否したからである。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) チャーチルは1945年7月26日に退陣するが、大戦後の46年3月にアメリカのフルトンで「鉄のカーテン演説」を行い、「冷戦」の幕開けを宣言した。FBIの文書によると、チャーチルは1947年にアメリカのスタイルズ・ブリッジス上院議員に対し、ソ連を核攻撃するようハリー・トルーマン大統領を説得してほしいと求めている。(Daniel Bates, “Winston Churchill’s ‘bid to nuke Russia’ to win Cold War - uncovered in secret FBI files,” Daily Mail, 8 November 2014) チャーチル自身はイギリスの貴族を父に、またアメリカの富豪を母に持つ人物。父親のランドルフはジョン・スペンサー-チャーチル公爵の3男で、素行の評判は良くない。カネ使いが荒く、親しくしていたネイサン・ロスチャイルド男爵から多額の借金をしていたという。ランドルフは1895年に死亡しているが、死因は梅毒。ネイサンはセシル・ローズのスポンサーだ。 チャーチルが退陣する直前、アメリカでは原子爆弾の開発が最終局面に差し掛かっていた。7月16日にニューメキシコ州のトリニティ実験場でプルトニウム原爆の爆発実験が行われ、成功している。7月24日にハリー・トルーマン米大統領は原子爆弾の投下を許可、7月26日に「ポツダム宣言」が発表された。そして原爆は8月6日に広島、8月9日には長崎へ投下された。宣言の受諾は8月9日の「御前会議」で決定され、翌日には連合国側へ打電されている。 日本がポツダム宣言の受諾を通告してから約1カ月後、アメリカの統合参謀本部では必要なら先制攻撃を行うことが決められた。この決定は「ピンチャー」という暗号名で呼ばれ、1946年6月18日に発効している。(Annie Jacobsen, “Area 51”, Little, Brown, 2011) 原爆を手にしたアメリカの支配階級はソ連を先制核攻撃する計画を立てる。1949年に出された統合参謀本部の研究報告では、ソ連の70都市へ133発の原爆を落とすという内容が盛り込まれていた。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012) アメリカは1952年11月に水爆実験を成功させ、核分裂反応を利用した原子爆弾から核融合反応を利用した水素爆弾に核兵器の主役は移っていく。勿論、核兵器を使うには運搬手段が必要。この当時、原爆の輸送手段は爆撃機で、その任務を負っていたのがSAC(戦略空軍総司令部)だ。1948年から57年にかけてSACの司令官を務めたのは日本の諸都市で市民を焼夷弾で焼き殺し、広島や長崎に原爆を落とし、朝鮮戦争では3年間に人口の20%を殺したカーティス・ルメイ中将にほかならない。 中国を核攻撃する場合、日本や沖縄が出撃拠点になるが、その沖縄では1950年代に「銃剣とブルドーザー」で土地が強制接収され、軍事基地化が推し進められていた。1953年4月に公布/施行された布令109号「土地収用令」に基づき、武装米兵を動員した暴力的な土地接収が実施され、55年の段階で沖縄本島の面積の約13%が軍用地になっている。 SACは1954年に600から750発の核爆弾をソ連に投下、118都市に住む住民の80%を殺すという計画を立て、57年に作成された「ドロップショット作戦」では300発の核爆弾をソ連の100都市に落とすることになっていた。そのころからアレゲーニー山脈の中、ウエストバージニア州のグリーンブライア・ホテルの地下に「地下司令部」、いわゆる「グリーンブライア・バンカー」が建設されている。完成したのは1962年だ。 その頃、アメリカではICBMの準備が進んでいた。統合参謀本部議長だったライマン・レムニッツァーや空軍参謀長だったカーティス・ルメイを含む好戦派は1963年後半までにソ連を先制核攻撃する計画をたてた。まだソ連がICBMの準備ができていない時点で攻撃したかったのだ。その作戦の障害になっていたジョン・F・ケネディ大統領は1963年11月22日にテキサス州ダラスで暗殺された。
2023.08.07
オーストラリア上院の「教育・雇用法制委員会」が8月2日に開いた公聴会にファイザー・オーストラリアのクリシャン・ティル博士とブライアン・ヒューイット博士が出席、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」について語ったが、政府とファイザーとの契約内容は「機密」だとして説明を拒否した。その委員会でマルコム・ロバーツ議員はファイザーが従業員用にTGA(米国医薬品安全庁)の検査を受けていない特別のロットの「ワクチン」を使用しているとする情報が正しいかどうかを確認、ヒューイットは従業員用として特別のワクチンを輸入したと認めた。 デンマークで行われた研究によると、BioNTech/ファイザー製「ワクチン」の最大30%はプラセボ(偽薬)である疑いがあると指摘されている。2020年12月下旬に接種が始まった直後からロットによって副作用の出かたが違うことは指摘されていたが、それが確認されたわけだ。そうした指摘をしたひとりがファイザーで副社長を務めていたマイク・イードンである。 デンマークで使用されたバッチは基本的に3つのグループに分かれ、グラフでは青、緑、黄に色分けされている。青で表示されたバッチは高いレベルの「有害事象」を引き起こし、緑は中程度、黄は「有害事象」がほとんど見られない。青の場合、報告された重篤な「有害事象」の発生率は10回に1件、緑は約400回につき1件。ロット数の比率が最も高いには緑で、60%以上だとされている。プラセボが30%とすると、非常に危険なロットは10%程度。「ワクチン関連死亡者」の50%近くは青ロットだという。 日本の厚生労働省だけでなく、製造メーカーや各国政府はどのロットが危険かを知っているはずで、ファイザーが従業員用に使ったTGAの検査を受けていない特定のロットはプラセボだった可能性がある。特定の政治家、官僚、企業経営者、学者など、つまり支配層の手先もプラセボを割り当てられているかもしれない。 しかし、「ワクチン」を接種していなくても「ワクチン」接種によって生成された抗体が接種者から非接種者へエアロゾルを介して移動する可能性をコロラド大学の研究者が指摘している。 「ワクチン」を接種した研究室のメンバーが1日着用したマスクを調べたところ、「ワクチン」接種者の唾液中とマスクに免疫グロブリンG(IgG)と免疫グロブリンA(IgA)の両方の抗体を確認できたという。この観察結果から、飛沫やエアロゾル化した抗体の移動が個人間で起こるのではないかと研究者たちは考えた。 また、「ワクチン」接種世帯、未接種世帯、COVID-19陽性世帯に住む未接種児の鼻腔を調べたところ、「COVID-19ワクチン」を接種した親とその子供との間でエアロゾルによる抗体の伝播が起こりうること、そして伝播の傾向はワクチンを接種した親から検出された鼻腔または経口抗体の量に直接関係していることを示唆しているという。もしIg抗体が感染するのであれば、「COVID-19ワクチン」によって生成されたスパイク・タンパク質も感染する可能性があるということになる。情報公開法によって開示されたファイザーの機密文書でもその可能性は示唆されていた。プラセボを接種されたファイザーの社員も安心できないということだ。
2023.08.06
今から78年前の8月6日、アメリカ軍はウラン型原子爆弾「リトル・ボーイ」を広島へ投下、その3日後にプルトニウム型原爆「ファット・マン」を長崎へ落とした。 ハリー・トルーマン大統領が原爆投下を許可したのはアメリカ、イギリス、中国が「ポツダム宣言」を発表する2日前、7月24日のことだ。日本が「ポツダム宣言」にどう反応するかを見ずにトルーマンは原爆投下による市民虐殺を決めたわけである。 投下決定の8日前、7月16日にニューメキシコ州のトリニティ実験場でプルトニウム原爆の爆発実験が行われ、成功している。その翌日から始まるポツダム会談を意識しての実験だった。当初の実験予定日は7月18日と21日の間だったが、トルーマンの意向で会談の前日に早めたのである。 核兵器の開発プロジェクトは「マンハッタン計画」と名付けられていたが、最も積極的だった国はイギリス。1940年2月にバーミンガム大学のオットー・フリッシュとルドルフ・パイエルスのアイデアに基づいてプロジェクトが始まり、MAUD委員会なるものが設立された。 この委員会のマーク・オリファントがアメリカへ派遣されてアーネスト・ローレンスと会ったのは1941年8月。そしてアメリカの学者も原子爆弾の可能性に興味を持つようになったと言われている。この年の10月にルーズベルト大統領は原子爆弾の開発を許可、イギリスとの共同開発が始まった。日本軍が真珠湾を奇襲攻撃する2カ月前のことだ。 1943年には核兵器用のウランとプルトニウムを製造するため、テネシー州オーク・リッジに4施設が建設され、そのひとつはオーク・リッジ国立研究所へと発展した。ワシントン州に建設されたハンフォード・サイトではプルトニウムを製造するため、1944年9月にB原子炉が作られている。 この「マンハッタン計画」を統括していたアメリカ陸軍のレスニー・グルーブス少将(当時)は1944年、同計画に参加していたポーランドの物理学者ジョセフ・ロートブラットに対し、その計画は最初からソ連との対決が意図されていると語ったという。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017) 本ブログでは繰り返し書いてきたが、ウィンストン・チャーチルたちの目的はソ連(ロシア)を破壊し、占領すること。ナチスがドイツで実権を握る際、シティとウォール街、つまり米英金融資本が資金援助していたのはソ連を倒させるためだ。 ナチスへの資金援助で特に重要な役割を果たしたのはディロン・リード、ブラウン・ブラザース・ハリマン、ユニオン・バンキングなど。その経営陣にはジョージ・ハーバート・ウォーカー、その義理の息子であるプレスコット・ブッシュ、ブッシュと同じエール大学のスカル・アンド・ボーンズに入っていたW・アベレル・ハリマンも含まれている。そのほかスイスで設立されたBIS(国際決済銀行)や第2次世界大戦が勃発する半年ほど前にドイツへ約2000トンの金塊を渡したと言われているイングランド銀行も仲間だと言えるだろう。 アメリカでは1932年の大統領選挙でウォール街の傀儡で現役のハーバート・フーバーが敗れ、ニューディール派のフランクリン・ルーズベルトが勝利した。ルーズベルトは巨大資本の活動を規制し、労働者の権利を拡大する政策を推進しようと計画、国際問題では植民地やファシズムに反対していた。これはウォール街にとって容認できないことだ。 そこで金融資本は在郷軍人会を利用したクーデターを計画する。計画の中心的な存在は巨大金融機関のJPモルガン。司令官としてダグラス・マッカーサーを考えたが、人望があり、軍の内部への影響力が大きいスメドリー・バトラーを取り込まないとクーデターは無理だという意見が通り、バトラーに働きかけることになる。 ウォール街のクーデター派はドイツのナチスやイタリアのファシスト党、中でもフランスのクロワ・ド・フ(火の十字軍)の戦術を参考にしていた。彼らのシナリオによると、新聞を利用して大統領への信頼感を失わせるようなプロパガンダを展開、50万名規模の組織を編成して恫喝して大統領をすげ替えることにしていたという。 話を聞いたバトラーは信頼していたフィラデルフィア・レコードの編集者トム・オニールに相談、オニールはポール・コムリー・フレンチを確認のために派遣する。フレンチは1934年9月にウォール街のメンバーを取材、コミュニストから国を守るためにファシスト政権をアメリカに樹立させる必要があるという話を引き出した。バトラー少将は1935年にJ・エドガー・フーバーに接触してウォール街の計画を説明するのだが、捜査を拒否している。 ドイツ軍は1941年6月、ソ連に対する軍事侵攻を始めた。「バルバロッサ作戦」だ。1942年8月にスターリングラード市内へ突入するが、ここでもソ連軍に敗北、1943年1月に降伏。この段階でドイツの敗北は決定的になった。この展開にチャーチルは慌てる。 1943年1月にフランクリン・ルーズベルト米大統領とウィンストン・チャーチル英首相はフランスのシャルル・ド・ゴールらとカサブランカで会談、「無条件降伏」という話が出てくる。この条件はドイツの降伏を遅らせる一因になり、米英にはソ連対策を講じるための時間的な余裕ができたわけだ。 その年の7月に両国軍は犯罪組織の協力を得てシチリア島へ上陸、ナチスの幹部はアレン・ダレスたちと接触し始める。「サンライズ作戦」だ。その後、アメリカの軍や情報機関はナチスの幹部や協力者を逃走させ、保護、そして雇用する。「ラットライン」、「ブラッドストーン作戦」、「ペーパークリップ作戦」などだ。 大戦の終盤からウォール街人脈がファシストの大物を救出、保護、逃走を助け、のちに雇い入れている。その時に助けられた東ヨーロッパのファシストもウォール街人脈は助け、後継者を育成した。その中には2013年11月から14年2月にかけてウクライナでクーデターを実行したネオ・ナチも含まれている。 ソ連の対日戦争への参加は1945年2月、クリミアのヤルタ近くで開かれたアメリカ、イギリス、ソ連の首脳による話し合いで決まっていた。ドイツが降伏し、ヨーロッパでの戦争が終結してから2カ月から3カ月後にソ連が日本に宣戦布告する条件を取り決めている。ドイツはルーズベルトが急死した翌月の5月に降伏した。8月上旬にソ連は参戦する。それに合わせ、トルーマン政権は原爆を日本へ投下した。 ドイツが降伏した直後にチャーチルはソ連への奇襲攻撃を目論む。そこでJPS(合同作戦本部)に対して作戦を立案を命令、5月22日には「アンシンカブル作戦」が提出された。 その作戦によると、攻撃を始めるのは1945年7月1日。アメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始める想定になっていた。この作戦が発動しなかったのは、参謀本部が5月31日に計画を拒否したからである。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) アメリカ、イギリス、ポーランド、ドイツ。現在、この4カ国はウクライナでロシアと世界大戦を始めようとしている。
2023.08.05
西アフリカのニジェールで7月26日に大統領警護隊がフランスの傀儡と言われているモハメド・バズーム大統領を拘束、国境を閉鎖し、非常事態を宣言した。マリ、ギニア、ブルキナ・ファソに続き、フランスの傀儡政権が倒されたことになる。ニジェールの新しい軍事指導者たちは同国にあるアメリカ軍基地を閉鎖したとも伝えられている。 これに対し、アフリカの資源を略奪してきた欧米諸国はクーデターを批判、その手先であるECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)は軍事行動を起こすと恫喝、フランス自体が軍事介入する可能性も言われているのだが、ハードルは高い。 ECOWASの加盟国には英語を母国語とするナイジェリア、ガーナ、シエラレオネ、リベリア、ガンビア、ポルトガル語系のカーボベルデ、ギニア・ビサウ、そしてフランス語系のセネガル、ベニン、コートジュボアール、トーゴ、そしてマリ、ギニア、ブルキナ・ファソ、ニジェールの15カ国である。 そのうち4カ国が欧米の支配国に反旗を翻したわけだが、ニジェール以外の3カ国は、ニジェールへの攻撃を自分たちへの攻撃とみなすと警告している。 そのほかのECOWAS加盟国でも国民は欧米の略奪に対する怒りを強めている。ニジェールに軍事介入した場合、自国が不安定化する可能性が高く、しかも北の隣国、アルジェリアもニジェールのクーデターを支持している。 しかし、イギリスやフランスはアフリカでの略奪を止めるわけにはいかない。支配システムを維持できないからだ。 第2次世界大戦中、アメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領は植民地やファシズムに反対していたが、イギリスの首相で帝国主義者のウィンストン・チャーチルは植民地を放棄するつもりはなかった。他の宗主国も同じだ。 帝国主義者にとっては都合の良いことに、ルーズベルトはドイツが降伏する前の月、1945年4月に急死、シオニストをスポンサーとし、ルーズベルトとは考え方が全く違うハリー・トルーマンが副大統領から大統領へ昇格した。 その後、欧米諸国は金融システムを利用して「旧植民地」を支配、略奪を続ける。要するに、高利貸しと同じ手法を使い始める。ターゲット国でCIAがクーデターを実行して独裁者を作り上げ、返済できないような借金をさせ、絞り上げるわけだ。その仕組みが出来上がれば、独裁者が去っても略奪を止められない。「融資」は独裁者がオフショア市場に持つ口座へと沈み、国民のために使われることはない。その仕組みの中で重要な役割を果たすことになるのが世界銀行やIMFだ。欧米の巨大金融機関の「債権」を買取り、借金を取り立てる。 金融システムの根幹は通貨の発行権にある。アメリカが世界に大きな影響力を持っているのは基軸通貨であるドルを発行しているからにほかならない。そのドル体制が揺らいでいるので、支配システムを再構築するために戦争を仕掛け、ロシアや中国との戦争へ向かっているのだ。 アフリカでは欧米から独立するため、アフリカ独自の通貨を作る動きがあった。その中心にいた人物がムハンマド・アル・カダフィにほかならない。2011年2月にリビアをアメリカ、イギリス、フランスなどはサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を使って軍事侵攻、10月にはカダフィを惨殺している。その侵略戦争で地上のアル・カイダ系武装集団LIFG、空のNATO軍が連携していたことが明確になっている。 西側では悪魔化して描かれていたカダフィだが、その体制では福祉が充実していた。例えば大学まで授業料を払う必要がなく、医療費、電気代、水道料も無料、家や自動車を買うときのローンは国が半額を援助することになっていた。しかも北欧のように税率が高いわけではない。「血の弾圧」があったわけでもない。アメリカ/NATOによる侵略戦争の後、リビアは破壊され、無法地帯になった。これが「先進国」が言うところの民主化や人権の実態だ。 リビアには地下に石油が存在しているが、それ以上にアメリカなどが侵略した理由は、カダフィがアフリカ独自の基軸通貨「ディナール」を導入しようと計画していたことにあると見る人は少なくない。 アフリカに独自の基軸通貨を導入する計画で中心的な役割を果たしていたのはカダフィのほか、チュニジアのベン・アリやエジプトのホスニ・ムバラク。イスラムに則った金利を取らない銀行を創設しようと計画していたとされているのだが、アリとムバラクは「アラブの春」で排除された。 こうした計画に参加することが予定された国にはスーダン、南スーダン、赤道ギニア、コンゴ、コンゴ民主共和国、ガボン、南アフリカ、ウガンダ、チャド、スリナム、カメルーン、モーリタニア、ザンビア、ソマリア、ガーナ、エチオピア、ケニア、タンザニア、モザンビーク、コートジボワール、イエメン、アルジェリア、アンゴラ、ナイジェリアが含まれる。(F. William Engdahl, “Hillary Emails, Gold Dinars and Arab Springs,” NEO, 17 March 2016) 金貨ディナールの導入はドル体制への挑戦だけでなく、CFAフランの体制を揺るがすことにもなる。リビア侵略にフランスが積極的だった理由のひとつはこの辺にあると言われている。 イギリスの帝国主義は19世紀の終わりに南部アフリカを軍事侵略、そこで産出される金やダイヤモンドを支配するところから始まる。つまりアフリカでの略奪はイギリスを支える重要な柱のひとつだ。
2023.08.04
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