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ウラジミル・プーチン露大統領は中国政府の招待で5月16日から17日にかけて同国を訪問、習近平国家主席と会談する予定だ。3月に行われたロシアの選挙で圧勝したプーチンは5月7日に新たな任期をスタート、その最初の訪問先に「戦略的同盟国」の中国を選び、その絆を世界に示そうとしているのだろうが、10年ほど前まで中国とロシアはそのような関係になかった。 1972年2月にリチャード・ニクソン大統領(当時)が中国を訪問、北京政府を唯一の正当な政府と認め、台湾の独立を支持しないと表明して米中は国交を回復させているが、それは中国とソ連とを引き離すことも目的のひとつだった。 1980年には新自由主義の教祖的な存在だったミルトン・フリードマンが北京を訪問、中国で新自由主義が広がる。その推進役だった趙紫陽が1984年1月にアメリカを訪問、ホワイトハウスでロナルド・レーガン大統領と会談して両国の関係は緊密化していくように見えた。 新自由主義は社会的な強者に富を集中させる仕組みであり、中国でも貧富の差が拡大、労働者の不満が高まる。社会は不安定化して胡耀邦や趙紫陽は窮地に陥り、胡耀邦は1987年1月に総書記を辞任せざるをえなくなり、89年4月15日に死亡した。新自由主義を支持する学生はその日から6月4日までの期間、天安門広場で中国政府に抗議する集会を開いた。 1989年1月からジョージ・H・W・ブッシュがアメリカ大統領となったことも学生の動きに影響している可能性が高い。就任直後にブッシュはイギリスのマーガレット・サッチャー首相とソ連を崩壊させることで合意しているが、矛先は中国にも向いていただろう。 ブッシュはジェラルド・フォード政権時代の1976年1月から77年1月にかけてCIA長官を務めているが、彼はエール大学時代、CIAからリクルートされたと言われている。同大学でCIAのリクルート担当はボート部のコーチを務めていたアレン・ウォルツだと言われているが、そのウォルツとブッシュは親しかった。しかもブッシュの父親であるプレスコットは銀行家から上院議員へ転身した人物で、ウォール街時代からアレン・ダレスと親しかった。言うまでもなく、ダレスはOSSからCIAまで秘密工作を指揮していた人物だ。ブッシュは大学を卒業した後にカリブ海で活動、1974年から75年まで中国駐在特命全権公使(連絡事務所長)を務めている。 大学時代にジョージ・H・W・ブッシュと親しかったジェームズ・リリーは1951年にCIA入りしたと言われているが、そのリリーをブッシュ大統領は中国駐在アメリカ大使に据えた。リリーは中国山東省の青島生まれで中国語は堪能だ。そして中国で反政府活動が始まるが、これをを指揮していたのはジーン・シャープ。背後にはジョージ・ソロスもいたとされている。学生たちと結びついていた趙紫陽の後ろ盾は鄧小平だ。 こうした動きはあったものの、中国労働者の新自由主義に対する怒りは強く、軌道修正が図られた。それでも地方の実力者たちは新自由主義を捨てず、中国ではアカデミーやビジネスの世界に対するアメリカ影響力は強いままだった。 そこで、日本の「識者」たちはアメリカと中国との関係は絶対的で、壊れることはないと主張していた。アメリカの支配層は中国のエリートについて、自分たちに背くことはないと信じていたようだ。 そうした考えをひっくり返す出来事が2013年11月から14年2月にかけてウクライナで引き起こされた。バラク・オバマ政権がネオ・ナチを利用して仕掛けたクーデターだ。このクーデターで東部と南部を支持基盤とするビクトル・ヤヌコビッチ大統領の排除に成功した。 このクーデターにはいくつかの目的がある。アングロ・サクソンの支配者が19世紀から計画していたロシア征服の実現がひとつの目的。ロシアからEUへ天然ガスを運んでいるパイプラインがウクライナを通過しているが、ウクライナを支配下に置くことで天然ガスの輸送を止め、ロシアとEUとの関係を壊そうとしたことも目的だ。ロシアの安い天然ガスを奪うことでEUを弱体化させ、EUというマーケットを奪うことでロシアの経済を破壊できるとアメリカの支配層は計算したと考えられている。 EUの弱体化には成功したものの、ロシアは中国への接近を図った。ウクライナの状況だけでなく、2014年9月から12月にかけてアメリカとイギリスの情報機関、つまりCIAとMI6は香港で反中国運動、「佔領行動(雨傘運動)」を仕掛けたことも中国がアメリカへの信頼を失う一因になった。 中国もロシアへの接近を図り、両国は戦略的同盟関係を結ぶ。その関係を強化するために天然ガスのパイプラインや交通システムを建設、両国は経済的に強く結びつくことになった。 2015年には中国とロシアが「一帯一路」を「ユーラシア経済連合(アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタン、ロシア)」と連結させると宣言、中国とロシアを中心とするSCO(上海協力機構/上海合作組織)やBRICSは世界各国を引き寄せ、アメリカ中心の支配システムを揺るがしている。 ところで、1991年12月にソ連が消滅した後、ネオコンはアメリカが唯一の超大国になったと考え、好き勝手に行動できるようになったと信じた。そこで米英の私的権力はロシアの富を盗むと同時に世界制覇プロジェクトをスタートさせる。 その青写真とも言うべき存在が1992年2月に作成されたDPG(国防計画指針)草案。大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツだったが、ウォルフォウィッツが中心になって草案は書き上げられた。そこで、この草案は「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 目的のひとつは新たなライバルの出現を防ぐことにあり、警戒する地域には旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジア、西南アジアが含まれる。また、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れ、「民主的な平和地域」を創設するともしている。このプランに基づき、日本は1995年にアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。 日米欧の支配層は今でも自分たちを世界の覇者になったと信じているのかもしれないが、それは妄想にすぎない。核兵器で脅し、生物兵器の準備を進めているようだが、彼らの計画通りに進むとは思えない。
2024.05.16
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オーストラリアのSAS(特殊空挺部隊連隊)に所属する25名の隊員がアフガニスタンで民間人や捕虜39名以上を殺害したことを示す証拠をABC(オーストラリア放送協会)へ渡したデイビッド・マクブライドに対し、キャンベラの連邦判事は5月14日、機密情報を開示したとして懲役68カ月(5年8カ月)を言い渡した。オーストラリアの警察当局はこの件でABCを家宅捜索している。 オーストラリア軍は2001年にアメリカ軍やイギリス軍などとアフガニスタンへ軍事侵攻している。SASによる虐殺が2009年から13年にかけての時期にあったことはオーストラリア軍も2020年11月に提出した報告書の中で認めているのだが、そうした軍の犯罪行為を明らかにすることをオーストラリアの裁判官は許さないという決意を今回の判決は示したと言える。オーストラリア政府も当初から殺害に参加した軍人を処罰する意思を示していないが、その軍人は今でも自由の身だ。 アメリカは2003年にイラクを軍事侵攻したが、その作戦にもオーストラリア軍やイギリス軍は参加している。そのイラクで2007年7月にアメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターが非武装の一団を銃撃、ロイターの特派員2名を含む十数名が殺された。 内部告発を支援してきたWikiLeaksがその様子を撮影した映像を2010年4月に公表したのだが、その映像を含む情報を提供したアメリカ軍のブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵は逮捕された。 WikiLeaksの象徴的な存在であるオーストラリア人のジュリアン・アッサンジは2019年4月11日、エクアドル大使館の中でロンドン警視庁の捜査官に逮捕され、イギリス版グアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所で拘束されている。 アメリカの当局はアッサンジをハッキングのほか「1917年スパイ活動法」で起訴している。本ブログでは繰り返し書いてきたが、ハッキング容疑はでっち上げだ。アッサンジがアメリカへ引き渡された場合、懲役175年が言い渡される可能性があるのだが、オーストラリア政府は自国民であるアッサンジのために動いているとは思えない。 アメリカ、イギリス、オーストラリアのような国々は「知る権利」を認めていないと言えるが、この3カ国は2021年9月、AUKUSなる軍事同盟を創設したと発表した。中国やロシアを仮想敵としているはずだ。 その際、アメリカとイギリスはオーストラリアに原子力潜水艦の艦隊を建造させるために必要な技術を提供するとも伝えられたが、そうした潜水艦を動かすためにはアメリカの軍人が乗り込む必要があり、事実上アメリカ海軍の潜水艦になる。山上信吾オーストラリア駐在大使はキャンベラのナショナル・プレス・クラブで2022年11月14日、日本がオーストラリアの原子力潜水艦を受け入れる可能性があると表明した。 岸田文雄政権は2022年12月16日に「国家安全保障戦略(NSS)」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」の軍事関連3文書を閣議決定、2023年度から5年間の軍事費を現行計画の1.5倍以上にあたる43兆円に増額して「敵基地攻撃能力」を保有することを明らかにしているが、その日本政府はAUKUSへ参加しようとしている。 AUKUSが言論の自由や基本的人権を否定、国際的なルールを無視していることは明確であり、勿論、民主的でもない。日本政府が言論統制を強化しているのは必然だ。
2024.05.15
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ロシアのウラジミル・プーチン大統領は新内閣の陣容を明らかにしているが、中でも国防大臣の交代が注目されている。2012年から国防相を務めていたセルゲイ・ショイグを安全保障会議の書記へ移動させ、副首相を務めていた経済を専門とするアンドレイ・ベローゾフを後任に据えた。この人事は先月、国防副大臣だったティムール・イワノフが収賄の容疑で逮捕されたことと関係があると推測する人もいる。この逮捕がショイグにも影響を及ぼしているはずだ。 ロシアがウクライナに対する攻撃を初めて間もない2022年夏にイワノフはスベトラーナ・マニオビッチと離婚しているが、これは西側によるイワノフへの「制裁」を回避することが目的だったと言われている。ヨーロッパで贅沢な生活をしていた「元妻」はイスラエルとつながりがあり、息子が留学している(徴兵逃れと言われている)というイギリスへ渡ったとも伝えられていた。 当然のことながら、ロシアでは軍事予算が膨らんでいる。イワノフが行ったような行為は許されない。彼の事件を利用してプーチン政権は軍の粛清を実行したのではないだろうか。 ベローゾフを新国防大臣に据えた理由は「軍事経済を国民経済とより深く統合する」ことにあるという。軍事予算が一般経済に悪影響を及ぼすことがないよう、先手を打ったのかもしれないが、軍事分野で進む技術的な革新を一般経済へも波及させる意図があるのかもしれない。 ロシアを壊滅させるのは簡単だとアメリカの好戦派、いわゆる「チキン・ホーク」は信じ、ロシアを「国を装ったガソリンスタンド」、「核兵器を持ったガソリンスタンド」だと表現していた。アメリカ支配層の広報誌的な存在である「フォーリン・アフェアーズ」の2006年3/4月号に掲載された論文には、アメリカのエリートはアメリカが近いうちにロシアと中国の長距離核兵器を先制第1撃で破壊する能力を持てると主張する論考が載っていた。 また、ロシアについて詳しい専門家とされていたアン・アップルバウムは2018年春、プーチンたちが「技術革新と起業家精神を阻害する腐敗した経済」を作り上げ、ロシアを貧困化させたとしていたが、実際は逆だ。大多数のロシア人を地獄へ突き落とし、富を欧米の私的権力へ流していたボリス・エリツィン政権の仕組みを壊し、生活を向上させてロシアを繁栄させている。アップルバウムが西側で引っ張りだこになった理由は、西側の人びとが聞きたい話をしたからにすぎない。 プーチンがロシア経済を復活させたということは、西側の私的権力が甘い汁を吸えなくなったことを意味する。しかも軍事力も再建、アメリカ/NATOは軍事力で世界を脅すことができなくなった。プーチンに罵詈雑言を浴びせたくなる気持ちがわからないでもない。 その私的権力は2022年2月にロシアをウクライナでの戦乱に巻き込むが、先制攻撃で叩くことには失敗した。彼らはロシアに対する「経済制裁」でロシア経済は崩壊すると信じていたようだが、ロシア経済は成長し、経済の崩壊が始まったのはヨーロッパで、アメリカでも悪い影響が現れている。 エリツィン時代のロシアでは西側資本の手先になったグループが大儲けし、オリガルヒと呼ばれるようになった。例えばミハイル・ホドルコフスキー、アレックス・コナニヒン、ロマン・アブラモビッチ、ボリス・ベレゾフスキーたち。ソ連が消滅した1991年当時、ベレゾフスキーは45歳だが、その他は25歳から28歳と若い。 その背後にはソ連消滅を画策したKGB人脈が存在していたとも言われている。KGBの頭脳とも言われていたフィリップ・ボブコフのようなKGBの幹部だ。オリガルヒは犯罪組織を後ろ盾にしていたが、その組織にはソ連時代の情報機関員や治安機関員が加わっていたという。ちなみに、ミハイル・ゴルバチョフはボブコフのプランに従ってペレストロイカを進め、1990年に東西ドイツの統一を認めている。【追加】 ロシア国防省人事局長のユーリー・クズネツォフ中将が拘束され、家宅捜索が実施されたと伝えられている。クズネツォフは2010年から23年まで参謀本部第8局長を務め、国家機密保護業務を担当している。主要人事局長に任命されたのは2023年5月だという。ウクライナでの勝利が確定的になる中、軍内で掃除が始まったようだ。
2024.05.14
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日本で「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」が11月28日に承認され、その決定をメーカーもその事実を発表した。これは一種の人口ウイルスで、動物の種を超えて感染する可能性が指摘されている。「ワクチン」というタグがつけられているものの、実際は遺伝子導入剤。この薬剤の承認を「不名誉」だとする声が世界から聞こえてくるが、日本の専門家も危険性を具体的に指摘している。 承認申請したメーカーはMeiji Seikaファルマで、同社は武田薬品系のアルカリスと共同でmRNA技術を利用した製品の製造工場を建設福島県南相馬市に建設、そこでアルカリスが開発した遺伝子導入剤「ARCT-154」を作る計画だ。 アルカリスはアークトゥルスとアクセリードが共同で設立したmRNA医薬品CDMO(医薬品受託製造)会社であり、アクセリードは武田薬品の湘南研究所が2017年にスピンオフして誕生した。 武田薬品には興味深い人物が関係してきた。例えば山田忠孝はビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団を経て同社へ入った人物で、父親の山田忠義は渋沢敬三の秘書などを経て1952年に八幡製鉄へ入社している。 戦争中の1940年代の前半、ヨーロッパから日本へ上海経由で神戸に辿り着いたユダヤ系の若者、ショール・アイゼンベルグを忠義は世話している。神戸へ着いた時、アイゼンベルグは19歳か20歳だった。その若者をなぜ日本の財界が面倒を見たのかは謎だ。 財界の大物たちに守られたユダヤ人難民のアイゼンベルグは大戦後、アメリカ第8軍のロバート・アイケルバーガー司令官に可愛がられる。そのコネクションを活かし、アイゼンベルグはペニシリンの販売で大儲けしたという。 その後、アイゼンベルグは日本から追い出されるが、イスラエルの情報機関モサドの幹部としてさまざまな秘密工作に関わり、イスラエルと中国を結びつけたと言われている。似た境遇にあったジョージ・ソロスと緊密な関係にあったことでも知られている。 山田忠孝と同じようにビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団を経由して武田薬品に入ったラジーブ・ベンカヤも興味深い人物だ。財団ではグローバル・ヘルス・プログラムのワクチン・デリバリー・ディレクターを務め、武田薬品ではグローバル・ワクチン・ビジネス・ユニットを率いた。 財団に入る前、ジョージ・W・ブッシュが大統領だった2002年から03年にかけての時期にホワイトハウス・フェローを務め、さらにバイオ防衛担当ディレクターを経て大統領特別補佐官およびバイオ防衛担当シニアディレクターとして活動、バイオ・テロリズム研究グループを率いている。 ホワイトハウス時代、ベンカヤはフランシス・タウンゼント国土安全保障担当補佐官の直属で、その時、ロックダウンを考え出したという。その一方、Gavi(ワクチンアライアンス)の理事を務め、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)やIAVI(国際エイズワクチン推進構想)の理事会メンバー。CFR(外交問題評議会)の終身会員でもある。なお、今年3月からアエイウム・セラピューティックのCEOに就任している。 医薬品業界で研究開発に関わってきたサーシャ・ラティポワによると、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動はアメリカ国防総省がバラク・オバマ政権の時代に始めた作戦だ。彼女は情報公開法によって入手した文書を分析、この結論に至ったという。 アメリカの国防総省はウクライナで生物化学兵器の研究開発を行っていたことが判明している。ロシア軍のイゴール・キリロフ中将によると、ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)が管理する研究施設が約30カ所あり、生物兵器の研究開発を行っていた。 昨年2月24日からロシア軍はミサイルなどでウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設などを攻撃、その際に機密文書を回収。その中に生物化学兵器に関する約2000文書が含まれていた。そうした文書を分析するためにロシアは議会に委員会を設立、ロシア軍の放射線化学生物兵器防衛部隊と連携して分析、アメリカはウクライナで「万能生物兵器」を研究していたことが判明したという。 万能兵器とは、敵の兵士だけでなく動物や農作物にもダメージを与えることができる兵器だという。そうした病原体を拡散させることでターゲット国を完全に破壊し、民間人、食糧安全保障、環境にも影響を与えることを目的としている。アメリカの国防総省は人間だけでなく動物や農作物にも感染できる万能の遺伝子操作生物兵器の開発を目指しているのだ。レプリコン・ワクチンをWHOが言うところの「疾病X」だと考える人もいる。
2023.12.17
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イギリスのデイビッド・キャメロン外相やフランスのエマニュエル・マクロン大統領はロシアを軍事的に挑発したが、ロシア政府から警告を受けた後、おとなしくなった。これは本ブログでも書いたことだが、ドイツからも好戦的な声が聞こえてくる。 アンネグレート・クランプ-カレンバウアー国防相(2019年7月から21年12月まで)の首席補佐官を務め、今はミュンヘン安全保障会議のシニア・フェローを務めるニコ・ランゲは、ロシアのミサイルやドローンを撃墜するため、ポーランド領内のパトリオット対空システムを使うべきだと主張している。壊滅状態のウクライナの防空システムを補うつもりなのだろう。 そのアイデアに賛成している議員も複数いて、その中にはCDU(キリスト教民主同盟)のローデリヒ・キーゼベッター、同盟90/緑の党のアグニェシュカ・ブルッガーやアントン・ホフライター、自由民主党のマーカス・ファーバーも含まれている。元NATO事務次長のハインリッヒ・ブラウス中将も同じだ。 イランは4月13日、ドローンとミサイルを組み合わせてイスラエルの軍事施設を攻撃した。イスラエル軍が4月1日にダマスカスのイラン領事館を空爆し、IRGC(イスラム革命防衛隊)の特殊部隊と言われているコッズのモハマド・レザー・ザヘディ上級司令官と副官のモハマド・ハディ・ハジ・ラヒミ准将を含む将校7名を殺害したことに対する報復だ。 イラン軍はイスラエルのネバティム空軍基地、ラモン空軍基地、そしてハルケレン山頂にある「サイト512」基地のAN/TPY-2 Xバンドレーダー施設を攻撃したが、その際にドローンを囮に使った。大半のミサイルはイスれるの防空網やアメリカ/NATOの戦闘機による迎撃を突破、目標に命中したと言われている。ネバティムの場合は滑走路が損傷を受けていることを示す衛星写真、ラモンの場合はミサイル攻撃を受ける様子を撮影した映像が公表された。 ウクライナでもこれと同じようにNATO軍のミサイルや戦闘機を使えると考えているのかもしれないが、相手がイランでなくロシアだということを忘れてはならない。ロシアのウラジミル・プーチン大統領はF16戦闘機がNATO諸国の飛行場で運用された場合、その飛行場は攻撃の標的になると警告している。 ドイツで外務大臣を務めるアンナレーナ・ベアボックは2022年にプラハで開かれた「フォーラム2000」で、「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人びとを支援する」と発言、昨年1月には欧州議会で「われわれはロシアと戦争している」と公言している。 NATOは今年1月から7月にかけて「ステッドファスト・ディフェンダー」と名付けられた軍事演習を実施中だが、これをロシア側はNATOが攻撃の準備をしていると考えているはずだ。直接的な軍事衝突が現実になった場合、現在の戦力ではアメリカ/NATO軍がロシア軍に勝つことは不可能だ。 この演習中、ロシア軍はバルト海周辺で電子戦のテストを実施、63時間にわたり、どの程度かは不明だが、NATOのハイテク機器に影響が出たと言われている。こうした攻撃はNATO側も想定していたはずで、どのように対応するかをロシア軍は見たかったのだろうと推測する人もいる。 アメリカの好戦派であるネオコンは1992年2月、国防総省のDPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇計画を作成した。いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。その中でドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、新たなライバルの出現を防ぐことが謳われている。「第3次世界大戦」が始まったのだと言う人もいる。日本がアメリカの戦争マシーンに組み込まれたのは1995年だ。 フランクリン・ルーズベルトが1945年4月12日に急死するとニューディール派の力が弱まり、ナチスを支援していたウォール街が実権を奪還した。ドイツが降伏するのはルーズベルト急死の翌月だ。 第2次世界大戦でドイツの敗北が決定的になったのは1943年1月のことである。ドイツ軍がスターリングラードで降伏したのだ。ドイツ軍は1941年9月から44年1月にかけてレニングラードを包囲、アドルフ・ヒトラーは市民を餓死させると宣言していた。その包囲戦で死亡したり行方不明になったソ連人は100万人を超したとも言われている。 包囲戦が始まって間もない1941年10月頃、ヘイスティング・ライオネル・イスメイはアドルフ・ヒトラーと同じようにモスクワは3週間以内に陥落すると推測、高みの見物をきめこんでいた。イスメイはイギリスの首相を務めていたウィンストン・チャーチルの側近で、NATOの初代事務総長になる。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015) ドイツにとって戦況が思わしくなくなっていた1942年冬、SS(ナチ親衛隊)はアメリカとの単独講和への道を探りはじめ、密使をスイスにいたOSS(戦略事務局)のアレン・ダレスの下へ派遣、ルーズベルト大統領には無断で交渉を始めた。 ダレスたちが接触した相手にはSA(突撃隊)を組織、後にヒトラーの第一後継者に指名されたヘルマン・ゲーリングも含まれる。ウォール街人脈はゲーリングを戦犯リストから外そうとしたが、ニュルンベルク裁判で検察官を務めたニューディール派のロバート・ジャクソンに拒否され、絞首刑が言い渡された。処刑の前夜、彼は何者かに渡された青酸カリウムを飲んで自殺している。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) 1944年になるとOSSのフランク・ウィズナーを介してダレスのグループがドイツ軍の情報将校、ラインハルト・ゲーレン准将(ドイツ陸軍参謀本部第12課の課長)と接触している。ゲーレンはソ連に関する情報を握っていた。ちなみに、OSS長官のウィリアム・ドノバン、ダレス、そしてウィズナーは全員、ウォール街の弁護士だ。 ダレスたちは1945年初頭にカール・ウルフなる人物に隠れ家を提供した。ウルフはハインリッヒ・ヒムラーの側近で、ナチ親衛隊の高官。さらに北イタリアにおけるドイツ将兵の降伏についての秘密会談が行われている。「サンライズ作戦」だ。(Christopher Simpson, “The Splendid Blond Beast”, Common Courage, 1995 / Eri Lichtblau, “The Nazis Next Door,” Houghton Mifflin Harcourt, 2014) 1945年5月にドイツは無条件降伏、それと同時にゲーレンはCIC(米陸軍対敵諜報部隊)に投降、携えていたマイクロフィルムには東方外国軍課に保管されていたソ連関連の資料が収められていた。 ゲーレンを尋問したCICのジョン・ボコー大尉はゲーレンたちを保護したが、彼の背後にはアメリカ第12軍のG2(情報担当)部長だったエドウィン・サイバート准将、連合国軍総司令部で参謀長を務めていたウォルター・ベデル・スミス中将がいた。(Christopher Simpson, “Blowback”, Weidenfeld & Nicloson, 1988(クリストファー・シンプソン著、松尾弌之訳「冷戦に憑かれた亡者たち」時事通信社、一九九四年)) サイバート准将とゲーレン准将は1946年7月に新情報機関の「ゲーレン機関」を創設、ナチスの残党を採用していく。ゲーレンはダレスのグループに守られ、組織は肥大化していった。 大戦後にアメリカの内部では軍の内部でソ連に対する先制核攻撃が計画され、国務省はコミュニズムに反対する亡命者、つまりナチスの元幹部や元協力者の逃走を助け、保護し、雇い入れる。1948年に始まった「ブラッドストーン作戦」だ。 この作戦で助けられた人物の中には親衛隊の幹部だったオットー・スコルツェニーやゲシュタポ幹部で「リヨンの屠殺人」とも呼ばれていたクラウス・バルビーも含まれている。この作戦を実行するための指令がNSC10/2。この指令に基づいて破壊工作を担当した極秘機関OPC(政策調整局)も設置されている。 スコルツェニーは大戦が終わってから裁判にかけられたが、拘束される前にナチスの仲間をアルゼンチンへ逃がす組織ディ・シュピンネ(蜘蛛)を設立している。1948年7月には収容施設から逃亡することに成功した。 この逃亡にはアメリカ軍憲兵の制服を着た元親衛隊将校3名が協力しているのだが、スコルツェニーはアメリカ政府が協力したと主張している。ナチスの幹部を逃走させる組織としてODESSAが知られているが、これはアメリカで使われていた逃走組織の暗号名だという。 また、アメリカの情報機関人脈は1945年から59年にかけてドイツの科学者や技術者16000名以上をアメリカへ運び、軍事研究に従事させている。「ペーパー・クリップ作戦」だ。そうした研究者の中にはマインド・コントロールに関する研究者も含まれていた。 ダレスを含むウォール街人脈がナチスの高官を保護、逃亡させ、雇用しているわけだが、そもそもウォール街はナチスのスポンサーだった。CIA長官を経て大統領になったジョージ・H・W・ブッシュはエール大学時代にCIAからリクルートされたと言われているが、ジョージの父親であるプレスコット・ブッシュは上院議員になる前、ウォール街の銀行家で、アレン・ダレスの友人だった。 プレスコットが結婚したドロシーはウォール街の大物、ジョージ・ハーバート・ウォーカーの娘。プレスコットは1924年、ウォーカーが社長を務める投資銀行A・ハリマンの副社長に就任している。この銀行を所有していたのはハリマン家だが、その一族のW・アベレル・ハリマンはプレスコットの友人。この人脈は1924年、ナチスへ資金を流すためにユニオン・バンキングを創設、プレスコットたちが重役になった。 ナチスが台頭して以来、ドイツはウォール街の支配下にあるが、支配の仕組みの中にナチス人脈も組み込まれている。そうした支配構造は今も生きているのだ。明治維新以降、現在に至るまで日本が天皇制官僚体制にあることに似ている。その天皇制官僚体制の上に存在しているのが米英金融資本だ。
2024.05.13
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ネゲブ砂漠にあるイスラエル軍の軍事基地には収容所があり、パレスチナ人が劣悪な環境の中で拘束され、拷問されているという。その様子をCNNが伝えている。ネオコンの広報機関のひとつとみなされているメディアがこうした話を明らかにしたのだ。アメリカとイスラエルとの間に亀裂が入っていることは事実なのだろう。 何千人もの人びとが拘束されているが、その多くはイスラエル当局が適切な手続きを経ていない。それでも無期限に投獄できる法律が作られている。CNNによると、拘束されている人びとは人間扱いされず、拷問だけでなく、常に手錠をかけられていたために負傷し、手足を切断される人もいて、放置された傷口の腐敗臭が充満していたという。 アメリカのジョージ・W・ブッシュ政権は2003年3月、アメリカ主導軍を使ってイラクを先制攻撃し、サダム・フセイン体制を破壊して100万人を超すと見られるイラク人を殺害した。 その際、アメリカの軍や情報機関は戦闘員も非戦闘員も関係なく拘束して拷問を繰り返し、少なからぬ人が殺されたと言われている。そうした行為を正当化するため、ブッシュ政権は「敵戦闘員」というタグを考え出し、捕虜の待遇について定められたジュネーブ条約(第3条約)も刑事訴訟手続きも無視することにした。 アメリカによる拷問の実態が初めて発覚したのはイラクのアブ・グレイブ収容所において。アブ・グレイブを含むイラクの収容所で拷問が横行、死者も出ているとAPが2003年11月に報道、軍隊の内部でも調査が始まった。 この収容所ではCACI、タイタン、ロッキード・マーチンのようなアメリカ企業の社員が尋問官や通訳として働き、人道に反する方法を使っていたことが明らかにされた。(William D. Hartung, “Prophets of War”, Nation Books, 2011) アブ・グレイブ収容所を管理していたのはアメリカ軍の第800憲兵旅団であり、その司令官を務めていたのはジャニス・カルピンスキー准将。2004年1月に停職になったが、その5カ月後、BBCに対し、収容所内で拷問が行われていたセクションを管理していたのは軍の情報部であり、彼女は実態を把握していなかったと主張する。当時、収容所内で撮影された写真が外部に漏れていたが、これについて彼女は兵士が独断で撮影することはありえないと主張、収容所にイスラエル人の尋問官がいたともしている。カルピンスキーは告発した後の2005年5月、准将から大佐へ降格になった(BBC, 15 June 2004) アメリカでは軍だけでなく警察も治安対策をイスラエルに学んでいる。パレスチナ人弾圧の手法がアメリカへ持ち込まれているのだ。収容所にイスラエル人の尋問官がいても不思議ではない。アメリカやイスラエルの収容所における残虐行為とガザでの虐殺は関連している。 現在、ガザで殺されているパレスチナ人はイスラエル軍とハマスとの戦闘に巻き込まれたのでなく、イスラエル軍に虐殺されているのだ。これは民族浄化作戦だ。その作戦を支えてきたのがアメリカ、イギリス、ドイツをはじめとするNATO諸国、あるいはインドなどにほかならない。 アラブ系の人びとが住んでいたパレスチナでシオニストがイスラエルの「建国」が宣言したのは1948年5月14日のこと。シオニストとはエルサレムの南東にあるシオンの丘へ戻ろうという「シオニズム運動」の信奉者で、ユーフラテス川とナイル川で挟まれている地域はユダヤ人の所有物だと考えていた。その計画を実現するため、破壊と虐殺を続けているのだ。ヨーロッパから移住してきた人びとがアメリカで行ったことを繰り返しているとも言える。 イタリアのジェノバに生まれたクリストバル・コロン(コロンブス)がカリブ海のグアナハニ島に上陸したのは1492年。ピューリタンたちを乗せたメイフラワー号がにマサチューセッツのプリマスに到着したのは1620年12月。「ピルグリム(巡礼者)・ファーザーズ」と呼ばれているプリマスについたピューリタンは「新イスラエル」を建設していると信じていたという。 イギリスでは16世紀に自分たちを「失われた十支族」の後継者だと信じる人が現れた。旧約聖書の記述によると、イスラエル民族の始祖はヤコブ。彼には12人の息子があり、それぞれ支族を形成するのだが、そのうちユダ族とベニヤミン族の後裔とされる人びとが「ユダヤ人」と呼ばれている。残りは行方不明で、旧約聖書を信じる人びとから「失われた十支族」と呼ばれている。勿論その話は神話であり、背景に史実が隠されているのかどうかは不明だ。 スチュワート朝のジェームズ6世も自分を「失われた十支族」の後継者であり、イスラエルの王だと信じていたという。そのジェームズ6世の息子、チャールズ1世は「ピューリタン革命(17世紀半ば)」で処刑されたが、その「革命」で重要な役割を果たした人物がピューリタンのオリヴァー・クロムウェル。その私設秘書を務めていたジョン・サドラーもジェームズ6世と同じように考えていた。シオニズムはこの時代から始まる。これがイギリスの権力者がパレスチナを侵略し、アラブ系住民を虐殺してきた背景でもある。 イギリス政府は1838年にエルサレムで領事館を建設、その翌年にはスコットランド教会がパレスチナにおけるユダヤ教徒の状況を調査し、68年2月から12月、74年2月から80年4月までの期間、イギリスの首相を務めたベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収した。買収資金を提供したのは友人のライオネル・ド・ロスチャイルドだ。(Laurent Guyenot, “From Yahweh To Zion,” Sifting and Winnowing, 2018) ディズレーリは1881年4月に死亡、その直後からフランス系のエドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルドがテル・アビブを中心にパレスチナの土地を買い上げ、ユダヤ人入植者へ資金を提供しはじめた。 シオニズムという用語を1893年に初めて使用したのはウィーン生まれのナータン・ビルンバウム。近代シオニズムの創設者とされている人物は1896年に『ユダヤ人国家』という本を出版したセオドール・ヘルツルだが、いずれも「熱心なユダヤ教徒」ではなかったようだ。
2024.05.12
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日本では「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」が昨年11月28日に承認された。製薬会社は今年の秋、または冬に接種する予定だという。「COVIDワクチン」とは遺伝子導入剤で、古典的なワクチンではない。しかも「レプリコン・ワクチン」は一種の人工ウイルスにほかならず、動物の種を超えるだけでなく、植物と動物との間でも感染する可能性があると指摘されている。これだけ危険な薬剤の接種を日本政府はなぜ強行しようとしているのだろうか? 承認申請したメーカーはMeiji Seikaファルマで、同社は武田薬品系のアルカリスと共同でmRNA技術を利用した製品の製造工場を建設福島県南相馬市に建設、そこでアルカリスが開発した遺伝子導入剤「ARCT-154」を作る計画だ。 アルカリスはアークトゥルスとアクセリードが共同で設立したmRNA医薬品CDMO(医薬品受託製造)会社であり、アクセリードは武田薬品の湘南研究所が2017年にスピンオフして誕生した。 ロシア議会の委員会は昨年4月、アメリカの国防総省がウクライナで「万能生物兵器」を研究開発していたと発表している。敵兵、つまり人間だけでなく動物や農作物にダメージを与えることができるため、これらの病原体の拡散によって影響を受けた国を完全に破壊し、民間人、食糧安全保障、環境にも影響を与えることができる。「レプリコン・ワクチン」と特徴が似ている。アメリカは昆虫、哺乳類、野鳥を利用して人間を攻撃する病原体の伝播に特別な注意を払っているようだ。 ロシア軍は2022年2月24日にウクライナを攻撃しはじめ、機密文書を回収、その文書を1年がかりで分析した上での結論だ。万能生物兵器とは「核の冬」に匹敵する深刻な被害をもたらすような遺伝子組み換え兵器だとされている。 万能生物兵器と似た特徴を持つ「レプリコン・ワクチン」を承認した国は日本だけだという。生態系を破壊する可能性がある危険な薬剤を承認しないのは当然で、日本政府が正気だとは思えない。 日本の政治家、官僚、「専門家」、マスコミなどを狂わせているのは製薬会社のカネだと考える人は少なくないが、それ以上に強力な要因がある。アメリカ国防総省の計画だ。 医薬品業界で研究開発に関わってきたサーシャ・ラティポワは情報公開法で入手した文書を分析、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動は国防総省がバラク・オバマ政権の時代に始めた作戦だとしている。 ロシア軍が回収した文書の分析を指揮したイゴール・キリロフ中将によると、ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)が管理する研究施設が約30カ所あり、そこで生物兵器の研究開発を行っていた。研究テーマのひとつが万能生物兵器だ。 日本政府は人類の存続を危うくしかねない薬剤を人びとに接種、すでに深刻な副作用が現れている。日本以外の国では2022年の春、つまりロシア軍がウクライナで生物兵器に関する機密文書を回収した直後から遺伝子導入剤の接種を止めているのだが、日本政府は「レプリコン・ワクチン」の接種を強行するつもりだ。正気の沙汰ではない。 アメリカの国務省は歴史的にファシストの巣窟だが、1970年代にネオコンが台頭すると、その影響を受けるようになる。1990年頃になると国防総省もネオコンに支配されるようになった。ネオコンはシオニストであり、シティやウォール街、つまり米英金融資本の影響下にある。ネオコンが1995年に日本をアメリカの戦争マシーンに組み込んだことは本ブログで繰り返し書いてきた。
2024.01.08
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アメリカの好戦派、いわゆる「チキン・ホーク」はロシアについて「国を装ったガソリンスタンド」、「核兵器を持ったガソリンスタンド」だと表現、自分たちはタフ・ガイぶっていた。アメリカ支配層の広報誌的な存在である「フォーリン・アフェアーズ」の2006年3/4月号に掲載された論文には、アメリカのエリートはアメリカが近いうちにロシアと中国の長距離核兵器を先制第1撃で破壊する能力を持てると主張する論考が載っていた。 2008年8月、北京オリンピックの開幕に合わせてジョージア軍は南オセチアを奇襲攻撃したが、ロシア軍の反撃で完敗している。ジョージア軍にはイスラエルが2001年から武器/兵器を含む軍事物資を提供、将兵を訓練、のちにアメリカの傭兵会社も訓練に参加している。奇襲攻撃の作戦はイスラエル軍が立てたとも言われている。つまり、南オセチアではアメリカ軍やイスラエル軍がロシア軍に負けたのだ。 アメリカのバラク・オバマ政権は2011年春、アル・カイダ系武装集団を利用してリビアやシリアへの軍事侵略を開始、リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制はその年の10月に倒すことに成功、カダフィ本人はその際に惨殺。並行してシリアへも軍事侵略していたが、バシャール・アル・アサド政権を倒せないでいた。 アメリカ政府は2012年からシリアのアル・カイダ系武装集団への支援に集中、14年にはダーイッシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)を生み出した。ダーイッシュは拘束した人物の斬首を演出するなど、残虐さをアピール、それを口実にしてアメリカ/NATO軍が介入する動きを見せていたが、その前にシリア政府の要請で2015年9月末にロシア軍が介入してアル・カイダ系武装集団やダーイッシュを敗走させた。その際、ロシア軍は戦闘能力と兵器の性能が高いことを世界に示している。 オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでネオ・ナチを利用してクーデターを仕掛け、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。ヤヌコビッチが支持基盤にしていた東部や南部の人びとはロシアの保護下に入ったり武装抵抗を始めたが、ロシア軍は介入しなかった。内戦は反クーデター軍が優勢でロシア軍が住民を保護する必要はないとクレムリンは判断したのだろう。実際、アメリカ/NATOはクーデター体制の戦力を高めるために8年を要した。 そして2022年2月、アメリカ/NATOを後ろ盾とするクーデター軍がドンバスを攻撃しようとした直前にロシア軍が介入、2月末にはウクライナ軍の敗北が明らかになり、イスラエルやトルコを仲介役として停戦交渉が行われ、ほぼ合意した。これを壊したのはイギリス政府やアメリカの政府や議会だ。 この段階から2023年途中までアメリカ/NATOはロシア軍を降伏させられると本当に信じていたようだ。西側でもウクライナの敗北は避けられないと分析されていたが、チキン・ホークは違ったようだ。言うまでもなく、彼らの見通しは間違っていた。ウクライナ軍は戦死者が膨らみ続け、国外へ脱出したウクライナ人を帰国させたり、外国人戦闘員を増やそうとしている。 ここにきてイギリスのデイビッド・キャメロン外相は、「ウクライナにはイギリスの武器を使い、ロシア領土を攻撃する権利」があると発言し、フランスのエマニュエル・マクロン大統領はNATOの地上軍をウクライナへ派遣すると口にしている。フランス軍は約1000名の兵士をオデッサへ入れ、さらに同程度の部隊が送り込む予定だとも伝えられている。 これに対し、ロシア外務省はイギリスのナイジェル・ケイシー大使を召喚、モスクワはウクライナ領の内外にあるイギリスの標的に対して報復攻撃を実施すると警告したという。具体的な話があったとも言われている。フランスのピエール・レビ大使も召喚され、警告された。 イギリス、フランス、あるいはドイツなどの政府はロシアに対して敵対的な姿勢を示し、軍事攻撃も示唆してきた。ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相は2022年8月31日に「フォーラム2000」で「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人びとを支援する」と発言、23年1月24日に「われわれはロシアと戦争している」とPACE(総州評議会議会)で口にしている。オラフ・ショルツ独首相はアメリカ政府の圧力でロシアとの軍事衝突に向かって歩いている。簡単にロシアに勝てると信じていたのだろうEU諸国の政府はパニック状態になっているようだ。 要するにアメリカやEUの「エリート」は思考力にかけている。それをカバーするために利用したAIの判断が間違っていた可能性がある。「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」、つまり遺伝子操作薬の問題でも彼らは見通しを間違っていたのかもしれない。 COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動はアメリカの国防総省が始めたプロジェクトであり、その目的は「COVID-19ワクチン」なるタグをつけた遺伝子操作薬を世界の人びとに接種させることにあった可能性が高い。 日本のみで治験計画が進められている「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」は一種の人工ウイルスで、動物の種を超えるだけでなく植物へも伝染、生態系を破壊する可能性がある。ウクライナでアメリカ国防総省が研究開発していた「万能生物兵器」なのかもしれない。その治験で彼らが見通しを誤っていた場合、人類、最悪の場合には地球の全生態系が死滅することもありえる。
2024.05.11
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非戦略核戦力を実戦で使用する能力を高めるための演習をロシア軍南部軍管区に所属するミサイル部隊は近い将来に実施するとロシア国防省は5月6日に発表した。航空機や艦船も参加するようだ。ウラジミル・プーチン露大統領の指示によるものだという。 この発表はロシアに対する挑発的な発言が増えている西側諸国に対する警告だと考えられ、ロシア外務省はイギリスのナイジェル・ケイシー大使を召喚した。デイビッド・キャメロン外相が「ウクライナにはイギリスの武器を使い、ロシア領土を攻撃する権利」があると発言したことに対する警告だ。キャメロン外相はキエフを訪問した際、ウクライナはイギリスの武器を使ってロシア国内を攻撃する「絶対的な権利を持っている」と述べている。 それに対し、ロシア外務省は「ウクライナがロシアの領土でイギリスの武器を使って攻撃した場合、ウクライナ領土内外のイギリスの軍事施設や設備が攻撃される可能性がある」と警告したという。 また、フランスのピエール・レビ大使も召喚された。同国のエマニュエル・マクロン大統領はNATOの地上軍をウクライナへ派遣すると口にし、フランス軍部隊約1000名がオデッサへ入ったと伝えられている。さらに同程度の部隊が送り込まれる予定だともいう。セルゲイ・ナリシキンSVR(ロシアの連邦対外情報庁)長官は3月19日、フランス政府がウクライナへ派遣する部隊を準備しているとする情報を確認、初期段階では約2000人を派遣する予定だとしていた。 この程度の戦力で戦況が変化することはなく、ロシア政府は容認すると考え、「タフ・ガイ」を演じられると思ったのかもしれないが、戦闘部隊をウクライナへ入れる行為自体を許さないということだ。「この程度」を許せば、エスカレートしていく。 言うまでもなく、ロシア政府の英仏両国の大使召喚は非戦略核戦力の演習計画発表と関係している。 すでにウクライナ軍は壊滅状態で、徴兵の年齢制限をさらに緩和するだけでは間に合わず、国外へ脱出したウクライナ人を帰国させたり、外国人戦闘員を増やすしかない状態。西側からの資金供給が途絶えれば夏頃にはデフォルトだと言われている。 ロシア軍は1月16日にハリコフを攻撃した際、軍事施設のほか旧ハリコフ・パレス・ホテルを破壊したが、この旧ホテルは西側の情報機関や軍関係者に使われていて、爆撃された際、200人近くの外国人傭兵が滞在していたと言われている。その攻撃で死傷した戦闘員の大半はフランス人傭兵で、そのうち約60名が死亡、20人以上が医療施設に搬送されたと伝えられている。 ここにきてアメリカは最大射程距離300キロメートルの戦術ミサイルシステム「ATACMS」をウクライナへ供給したが、アメリカが開発された「HIMARS(高機動ロケット砲システム)」、英仏で開発された長距離巡航ミサイル「ストーム・シャドー(SCALP-EG)」、戦車はアメリカ製のM1エイブラムス、イギリス製のチャレンジャー2、ドイツ製のレオパルト2などが供給されてきた。西側の宣伝とは違い、いずれも戦場で無惨な姿を晒しているが、こうした兵器を動かす要員も提供国が派遣していたと言われている。 ル・フィガロ紙の特派員、ジョージ・マルブルノによると、ウクライナではアメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)が戦闘に参加、フランス軍も兵士を送り込んでいる疑いがあるとされていた。 バラク・オバマ政権は2014年2月にビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒し、ネオ・ナチ体制を樹立させたが、その直後にCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み、傭兵会社の「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名もウクライナ東部の作戦に参加させていた。2015年からはCIAがウクライナ軍の特殊部隊をアメリカの南部で訓練している。それでも足りず、「ミンスク合意」で時間を稼ぎ、クーデター体制の戦力を強化したわけだ。
2024.05.08
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権力は情報と資金が流れる先に生まれ、強大化していく。新自由主義が世界を席巻していた1980年代、「トリクル・ダウン」なる政策が推進され、強者はより強く、弱者はより弱くなった。富裕層へ資金を流せば貧困層へも流れていくはずはないのだ。権力を握るためには資金と同じように情報を握ることも重要だ。支配者は情報を入手する仕組みを築く一方、被支配者が情報を入手できないようにする。 日本で導入された住民基本台帳ネットワークやマイナンバー制度は個人情報を集中管理するためのものだが、その情報は日本政府を経由してアメリカの私的権力へ伝えられるはずだ。 岸田文雄内閣は昨年10月13日、「マイナンバーカード」と健康保険証を一体化させ、現在使われている健康保険証を2024年の秋に廃止する計画の概要を発表したが、これは「カード取得の実質義務化」であるだけでなく、政府が接種を推進してきた「mRNAワクチン」の副作用を調べるためにも便利な制度だ。治験結果を集め、分析するためにもマイナンバーカード付きの健康保険証は必要なのだろう。 政府や自治体は個人情報を集め、保管しているが、銀行、クレジット会社、交通機関など私企業にも情報は存在している。それらを集めて一括管理、そして分析するシステムを米英の情報機関は開発してきた。おそらく中国やロシアでも研究されているだろう。 1970年代にアメリカではPROMISと名付けられたシステムがINSLAW社によって開発された。不特定多数のターゲットを追跡、情報を収集、蓄積、分析することができ、アメリカやイスラエルの情報機関だけでなく日本の検察も関心を持っていた。追跡するターゲットは反体制派、環境保護派、労働組合、ジャーナリスト、政敵、カネ、プルトニウム、あるいは全国民、全人類でもかまわない。 検察の人間でINSLAW社に接触したのは敷田稔。後に名古屋高検の検事長に就任する。敷田の上司だった原田明夫は後の検事総長。駐米日本大使館の一等書記官だった当時、原田もこのシステムを調べている。法務総合研究所は1979年3月と80年3月、このシステムに関する報告を概説資料と研究報告の翻訳として、『研究部資料』に公表している。 アメリカでは国防総省もそうしたシステムの研究開発を進めてきた。その中心であるDARPA(国防高等研究計画局)が開発したTIAは、個人の学歴、銀行口座の内容、ATMの利用記録、投薬記録、運転免許証のデータ、航空券の購入記録、住宅ローンの支払い内容、電子メールに関する記録、インターネットでアクセスしたサイトに関する記録、クレジット・カードのデータを含むあらゆる個人データが収集、分析されている。(William D. Hartung, “Prophets Of War”, Nation Books, 2011)2001年9月にはMATRIXと名づけられた監視システムの存在が報じられた。(Jim Krane, 'Concerns about citizen privacy grow as states create 'Matrix' database,' Associated Press, September 24, 2003) MATRIXを開発、運用していた企業はフロリダ州を拠点とするシーズント社で、同州知事でジョージ・W・ブッシュ大統領の弟、ジェブ・ブッシュも重要な役割を演じたとされている(Jennifer Van Bergen, "The Twilight of Democracy," Common Courage Press, 2005)が、ACLU(アメリカ市民自由連合)によると、シーズント社はスーパー・コンピュータを使い、膨大な量のデータを分析して「潜在的テロリスト」を見つけ出そうとしていた。 どのような傾向の本を買い、借りるのか、どのようなタイプの音楽を聞くのか、どのような絵画を好むのか、どのようなドラマを見るのか、あるいは交友関係はどうなっているのかなどを調べ、個人の性格や思想を洗い出そうとしたのだ。図書館や書籍購入の電子化、スマートテレビの普及などと無縁ではない。勿論、インターネット上でのアクセス状況も監視される。 かつて封書が通信の中心だった時代もあるが、電話の時代も過ぎ、最近はインターネットが利用されている。電子メールやそれに類する手段が一般的になっているが、このインターネットの前身は、ARPA(後のDARPA)が1969年に開発したARPANET(高等研究計画局ネットワーク)だ。ネットワーク局NBCのフォード・ローワンは1975年にARPANETがアメリカ人を監視するために使われていると伝えた。(Yasha Levine, “Surveillance Valley,” Hachette Book Group, 2018) 電話やインターネットのような電子技術を利用した通信手段を傍受する情報機関が存在する。アメリカのNSAやイギリスのGCHQが代表格である。この2機関は連携、UKUSAという連合体を編成、地球規模の通信傍受システムECHELONを開発した。1988年、この通信傍受システムの存在をダンカン・キャンベルは明るみに出したが、このジャーナリストは1970年代にGCHQの存在も明らかにしている。 カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの電子情報機関もUKUSAに加わっているが、NSAやGCHQの下で活動しているだけ。米英の機関と同等の立場で連携しているのはイスラエル軍の8200部隊だと言われている。この部隊はイスラエル軍の情報機関AMAN(イスラエル参謀本部諜報局)のSIGINT(電子情報)部門だ。 8200部隊は少なからぬ「民間企業」を設立、その一つであるカービンはあのジェフリー・エプスタインと関係が深い。カービンの重役は大半が8200部隊の「元将校」だ。エプスタイン自身もAMANのエージェントだったと言われている。 個人情報を収集するセンサーは人間の体内へ入ろうとしている。国連でも推進されているデジタルIDはチップ化され、それを体内にインプラントする計画があるのだ。 例えば、WEFのクラウス・シュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組に出演し、そこでマイクロチップ化されたデジタル・パスポートについて話している。チップを服に取り付けるところから始め、次に皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合、人間を端末化しようと考えているようだ。 人間をサイバー・システムの一部にしようということだろうが、シュワブたちは、そのサイバー・システムにコンピュータ・ウィルスを蔓延させ、「パンデミック」を引き起こそうとしている疑いがある。
2024.05.07
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ガザでイスラエル軍が行っている軍事作戦(民族浄化作戦)はアメリカ、イギリス、ドイツ、インドなどの支援がなければ不可能である。そうしたガザにおける破壊と虐殺に抗議する活動をアメリカやイギリスの学生がキャンパスで始めた。政府や大学当局は「反セム主義」だと批判、警官隊を導入して弾圧に乗り出したものの、抗議の声は収まっていない。 半年後に大統領選挙を控えているジョー・バイデン政権は「虐殺者」というイメージを払拭しようとしているようだ。ロイド・オースチン国防長官がイスラエルへの高積載弾薬納入を一時停止したと述べたのもそうした理由からだろうが、アメリカ政界における強力なロービー団体のAIPACはそうした話を非難している。 少なからぬ人が指摘しているように、イスラエル軍の攻撃能力はアメリカなどからの支援がなければ急速に低下する。これまでイスラエル軍の攻撃が続いてきたのはアメリカなどからの支援が続いてきたからである。そうした支援の結果、3万数千人以上の人が殺され、そのうち約4割が子どもであり、女性を含めると約7割に達した。食糧支援活動に従事している人びと、医療関係者、ジャーナリストも狙われてきた。 イスラエル軍は5月6日、100万人とも150万人とも言われるパレスチナ人が避難しているラファに対する空爆、それに続く地上部隊の軍事侵攻を始めたが、オースチン長官の発言はそうした中でのこと。その後、イスラエル軍のダニエル・ハガリは、どのような意見の相違も解決できると語っている。アメリカの作戦支援はイスラエルにとって安全保障支援よりも重要だという。ラファへの軍事作戦が「限定的」であり、「制御不能」にならない限り、バイデン大統領は容認するとしているとも伝えられている。アメリカ政府は特定の兵器供給を停止する一方、他の兵器を裏で渡している可能性もある。イギリス、ドイツ、インドなどが供給量を増やしていることも考えられる。 アメリカ政府の承認なしにイスラエル軍が軍事作戦を始めることはないと言われている。イランに対する大規模な攻撃を実施しないという条件でアメリカ政府はイスラエル政府に対してラファ攻撃を認めたとエジプトの高官が語ったと伝えられていた。 イスラエルの「建国」をシオニストが宣言したのは1948年5月14日のこと。シオニストとはエルサレムの南東にあるシオンの丘へ戻ろうという「シオニズム運動」の信奉者で、ユーフラテス川とナイル川で挟まれている地域はユダヤ人の所有物だと考えていた。 シオニズムという用語を1893年に初めて使用したのはウィーン生まれのナータン・ビルンバウムで、近代シオニズムの創設者とされている人物は1896年に『ユダヤ人国家』という本を出版したセオドール・ヘルツルだが、その背後にはイギリスの強大な私的権力が存在していた。 イギリス政府は1838年、エルサレムに領事館を建設し、その翌年にはスコットランド教会がパレスチナにおけるユダヤ教徒の状況を調査している。 1868年2月から12月、74年2月から80年4月までの期間、イギリスの首相を務めたベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収したが、その際に資金を提供したのは友人のライオネル・ド・ロスチャイルドだ。(Laurent Guyenot, “From Yahweh To Zion,” Sifting and Winnowing, 2018)ディズレーリは1881年4月に死亡、その直後からフランス系のエドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルドがテル・アビブを中心にパレスチナの土地を買い上げ、ユダヤ人入植者へ資金を提供しはじめる。 イギリスは第1次世界大戦(1914年7月から18年11月)の最中にフランスと「サイクス・ピコ協定」を結んでいる。オスマン帝国を解体し、両国で分割することを決めていたのだ。これは秘密協定だったが、ロシアの十月革命で成立したボルシェビキ政権によって明るみに出されたのである。 協定が結ばれた翌月の1916年6月にイギリス外務省アラブ局はアラブ人を扇動して反乱を起こさせた。その部署にはトーマス・ローレンス、いわゆる「アラビアのロレンス」も所属していた。その当時、イギリスはエージェントを後のサウジアラビア国王でワッハーブ派のイブン・サウドに接触させている。 パレスチナに「ユダヤ人の国」を建設する第一歩と言われる書簡をアーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ出したのは1917年11月のこと。これがいわゆる「バルフォア宣言」だ。 イギリスは1920年から1948年の間パレスチナを委任統治、ユダヤ人の入植を進めたが、1920年代に入るとパレスチナのアラブ系住民は入植の動きに対する反発を強める。 そうした動きを抑え込むため、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用した。この組織はIRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立され、殺人、放火、略奪など残虐さで有名だった。そして1936年から39年にかけてパレスチナ人は蜂起。アラブ大反乱だ。 1938年以降、イギリス政府は10万人以上の軍隊をパレスチナに派遣する一方、植民地のインドで警察組織を率いていたチャールズ・テガートをパレスチナへ派遣、収容所を建設する一方、残忍な取り調べ方法を訓練した。イギリス軍はパトロールの際、民間のパレスチナ人を強制的に同行させていたともいう。 委任政府は外出禁止令を出し、文書を検閲、建物を占拠、弁護人を受ける権利を停止する一方、裁判なしで個人を逮捕、投獄、国外追放している。この政策はイスラエル政府の政策につながる。 反乱が終わるまでにアラブ系住民のうち成人男性の10パーセントがイギリス軍によって殺害、負傷、投獄、または追放された。植民地長官だったマルコム・マクドナルドは1939年5月、パレスチナには13の収容所があり、4816人が収容されていると議会で語っている。その結果、パレスチナ社会は荒廃、1948年当時、イスラエルの「建国」を宣言したシオニストの武装組織に対して無防備な状態となっていた。 イギリスが中東支配を始めた理由には軍事的、あるいは経済的な側面があるが、それだけでなく宗教的な理由もあった。 16世紀になると、イギリスでは自分たちを古代イスラエルの「失われた十支族」の後継者だと信じる人が現れた。そのひとりがスチュワート朝のジェームズ6世で、自分はイスラエルの王だと信じていたという。そのジェームズ6世の息子、チャールズ1世は「ピューリタン革命(17世紀半ば)」で処刑されたが、その「革命」で重要な役割を果たした人物がオリヴァー・クロムウェル。その私設秘書だったジョン・サドラーも同じように考えていた。 旧約聖書の記述によると、イスラエル民族の始祖はヤコブだとされている。彼には12人の息子があり、それぞれ支族を形成、そのうちユダ族とベニヤミン族の後裔とされる人びとが「ユダヤ人」と呼ばれているのだ。残りは行方不明で、旧約聖書を信じる人びとから「失われた十支族」と呼ばれているのだが、その話は神話であり、史実に基づいているのかどうかは不明である。 旧約聖書が主張したかったのはユダ族とベニヤミン族が「ユダヤ人」だということだが、後の時代にある種の人びとは自分たちの妄想を「失われた十支族」という話の中に投影させたということだろう。 ところで、クロムウェルはキリストの再臨を信じ、「道徳的純粋さ」を達成しようと考えたようだ。そのためにユダヤ人は離散した後にパレスチナに再集結し、ソロモン神殿を再建すると考えていたというが、彼の一派は打倒され、国教会の君主制が復活、ユダヤ人のための国家創設提案(シオニズム)は放棄された。 それが復活するのは18世紀、アメリカにおいてだ。18世紀以降、数秘術などオカルト的な要素が加わり、優生学を結びつくことになる。アメリカを支配していると言われているWASPは白人、アングロ・サクソン、そしてプロテスタントを意味していると言われているが、アメリカの友人によると、「P」はプロテスタントではなくピューリタンのイニシャルであり、WASPはクロムウェルの後継者だともいう。 19世紀の後半、イギリスではビクトリア女王にアドバイスしていたネイサン・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット、そしてセシル・ローズらが大きな権力を握っていた。 イギリスはボーア戦争(南アフリカ戦争/1899年~1902年)で金やダイヤモンドを産出する南アフリカを奪い取ることに成功、ローズはその戦争で大儲けしたひとりだ。その侵略でウィンストン・チャーチルも台頭してくる。 1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出して大儲けしたセシル・ローズはアングロ・サクソンを最も高貴な人種だと考えていた。優生思想だ。 ローズは1877年6月にフリーメーソンへ入会、『信仰告白』を書いている。その中で彼はアングロ・サクソンが最も優秀な人種だと主張、その優秀の人種が住む地域が増えれば増えるほど人類にとってより良く、大英帝国の繁栄につながるとしている。秘密結社はそのために必要だというわけだ。 1890年にローズはロンドンでナサニエル・ド・ロスチャイルドのほか、ステッド、ブレット、ミルナー、サリスバリー卿(ロバート・ガスコン-セシル)、ローズベリー卿(アーチボルド・プリムローズ)たちへ自分のアイデアを説明、そのうちローズ、ロスチャイルド、ブレット、ステッドの4人が協会の指導者になったとされている。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013) ステッドによると、ローズはチャールズ・ダーウィンの信奉者で、トーマス・マルサスの『人口論』から影響を受けたとされている。ダーウィンの従兄弟にあたるフランシス・ゴールトンは優生学の創始者だが、その優生学は人口論と結びつく。人口の爆発的増加を防ぐために「劣等」な人間を削減の対象にしようというわけだ。ハーバート・スペンサーもダーウィンの仮説を社会へ持ち込んだ人物である。ローズも優生学を信奉していた。 貧困問題の原因を社会構造でなく先天的な知能の問題に求め、産児制限を提唱、フェミニストの運動を支持していたマーガレット・サンガーもマルサスの人口論やゴールトンの優生学を信奉していた。彼女は劣等な人間は生まれつきだと考え、そうした人間が生まれないようにしようということになるからだ。 キャロル・クィグリーによると、1901年まで「選民秘密協会」を支配していたのはローズ。彼以降はアルフレッド・ミルナーを中心に活動した。ミルナーはシンクタンクのRIIA(王立国際問題研究所)を創設した人物としても有名で、「ミルナー幼稚園」や「円卓グループ」も彼を中心に組織されたという。アメリカのCFR(外交問題評議会)はRIIAの姉妹組織だ。 こうした歴史を考えると、シオニストはクロムウェルの後継者だと考えるべきで、イギリス、アメリカ、イスラエルは同じ国だということになる。イギリスとアメリカを支配している金融資本がナチスを資金面から支えていたことは明確になっているが、その私的権力と根が同じシオニストがナチズムと親和性が高いことも必然だ。
2024.05.10
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エリック・クラプトンというロックやブルースのギタリストがいる。作詞や作曲も行う伝説的な人物だ。 そのクラプトンが今年2月、イギリスでアストロゼネカの「COVID-19(2019年コロナウイルス感染症)ワクチン」を接種、その直後から深刻な副作用に襲われたという。手足が冷たくなったり、痺れたり、熱くなったりする状態が2週間続き、2度とギターを弾けなくなるのではないかという恐怖を感じたという。 イギリスのMHRA(医薬品医療製品規制庁)によると、アストロゼネカの「ワクチン」を接種した後に疲労感、寒気、頭痛、関節痛は通常のことだが、政府、自治体、有力メディアはそうしたことを伏せ、「ワクチンの安全性」を強調している。そうした姿勢をクラプトンは「プロパガンダ」だと批判している。本ブログでも繰り返し書いてきたが、アストロゼネカに限らず、「COVID-19ワクチン」を接種して間もなく深刻な副作用が現れたり死亡したりする例は少なくない。 こうした指摘がなされる中、アメリカのCDC(疾病管理センター)は「ワクチン」接種後の問題で調査の対象にするのは入院したり死亡したケースに限るとしている。クラプトンのようなケースは、アメリカなら調査の対象外ということになる。 別の会社が製造した「COVID-19ワクチン」を接種した直後に死亡した有名人もいる。例えば1月22日に死亡したハンク・アーロン。「自然死」とされているが、1月5日にモデルナ製の「COVID-19ワクチン」を接種していた。この会社の製品はBioNTech/ファイザーと同じで、mRNA(メッセンジャーRNA)技術が使われている。 死亡したとき、アーロンは86歳だった。深刻な病気を抱えていたとは伝えられていないが、このくらいの年齢になると、一般的に病気を抱えている人が少なくない。 COVID-19が問題になり始めた昨年4月、CDC(疾病予防管理センター)は病気の死因を決めるガイドラインを変更した。死亡した患者の症状がCOVID-19によるものだと考えて矛盾しないなら死因をCOVID-19として良いと通達、同じ時期に同じ趣旨の通達をWHOも出しているのだ。 その新基準でCOVID-19が死因だとされた人の年齢は80歳に近く、心臓病、高血圧、脳卒中、糖尿病、悪性腫瘍(癌)、肺疾患、肝臓や腎臓の病気を複数抱えている人が大半。CDCは昨年8月、COVID-19だけが死因だと言える人は全体の6%にすぎないと明らかにしている。 クラプトンやアーロンのケースは「ワクチン」が原因だと証明されたわけではなく、「ワクチン」推進派はその点を強調する。ところが、その一方でPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で陽性の反応が出ると「感染者」と見なし、死亡すると因果関係の証明なしに原因はCOVID-19であるかのように宣伝されてきた。 PCR検査は、特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する技術であり、その増幅サイクル(Ct)を増やしていけば、医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても検出でき、ミスも起こる。PCRを病原体の検査に使うと「偽パンデミック」を作り出す危険性があるということだが、この問題は2007年にニューヨーク・タイムズ紙が指摘している。 同紙によると、アメリカのニューハンプシャー州にあるダートマース・ヒッチコック医療センターでそうした事態が生じている。2006年4月にひとりの医師が2週間ほど咳き込み、他の医療関係者も咳をするようになり、百日咳の感染が疑われたのだ。 そこで、医療センターで働く1000名近くが簡易検査を受け、勤務から外される。そのうち142名が感染しているとされ、数千名がワクチンを接種する事態になったのだが、本格的な検査を実施しても百日咳菌に感染していた人は確認されず、通常の風邪だった可能性が高いことがわかった。騒動が始まってから8カ月後、関係者は伝染病が発生したとする警報はまちがいだったことを知らされている。こうした間違いを引き起こした原因のひとつがPCRのような高感度の簡易検査だと指摘されている。 PCRを使うにしても、専門家の間ではCt値を25から30に押さえることが好ましく、30から35が限界だと言われていたのだが、2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」を見ると、その値は40だ。 WHO(世界保健機関)も日本の専門家と似たような対応をしてきたが、昨年12月14日にPCRのCt値を高くしすぎないようにと通告した。今年1月20日になると、PCR検査は診断の補助手段であり、その結果が症状と合致しない場合は再検査するようにとしている。 これを受け、今年1月22日には日本の厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部が「医療機関・高齢者施設等における無症状者に対する検査方法について(要請)」の「別添2」にCt値を30~35にするよう書いている。 これが守られているのかどうかは不明で、感染者を増やしたいときはCt値を引き上げ、「ワクチン」接種後に副作用が疑われる症状が出たり死亡したいるしたケースでは数値を引き下げられる可能性がある。
2021.05.20
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100万人とも150万人とも言われるパレスチナ人が避難しているガザ南部のラファに対する攻撃をイスラエル軍は5月6日に開始した。ハマスはエジプトとカタールの停戦提案を受け入れる用意があると発表した直後のことだ。この攻撃でイスラエル軍は検問所を制圧、人道支援の重要ルートを遮断。銃撃が爆撃での殺害はイメージが悪いため、兵糧攻めで人びとを餓死させるつもりだろう。 ガザでは2月29日に小麦粉を積んだ援助トラックがイスラエル軍に攻撃され、少なくとも112名が殺され、数百人が負傷した。援助トラック31台は検問所から北へ向かい、所定の場所で小麦粉や缶詰の入った箱を降ろし始めたところを兵士が自動小銃で銃撃、さらに戦車からの発砲もあった。アル・ジャジーラによると、「発砲後、イスラエル軍の戦車が前進し、多くの死傷者を轢いた」という。犠牲者の多くは胴体や頭に銃弾を受けた状態で病院へ運ばれていることから、兵士は殺害を目的として銃撃していると言われている。 4月2日にイスラエル軍はガザで支援活動に従事していたWCK(ワールド・セントラル・キッチン)のメンバー7名を乗せた自動車の車列をドローンで攻撃、全員を殺害している。そのうち3名はセキュリティーを担当していたイギリスの元軍人で、イギリスのメディアは少なくともふたりは特殊部隊員だったと伝えている。 こうしたイスラエル軍によるガザでの破壊と殺戮をアメリカやドイツと同じようにイギリスも支援している。インド国防省傘下のインディア社が今年1月にイスラエルへ製品を輸出する許可を与えられ、弾薬や爆発物をイスラエルに供給しているとすることがここにきて明らかにされた。また、PEL(プレミア・イクスプロシブ)社がSCOMET(特殊化学物質、生物、材料、設備および技術)のライセンスに基づいて爆発物とその関連付属品をイスラエルに輸出していると伝えられている。 イギリスの元軍人が殺された日もイギリス空軍(RAF)の偵察機がガザ上空から監視飛行を実施、地上を撮影していた。昨年12月からRAFはガザの上空を監視飛行、その回数は200回に達すると言われている。こうしたスパイ飛行はキプロスにあるイギリスのアクロティリ空軍基地から離陸しているという。 2月13日にアクロティリ基地から離陸したイギリス空軍のISR(情報収集・監視・偵察)機、シャドウR1はイスラエルのベールシェバへ飛行しているが、ここにはイスラエル空軍のネバティム基地がある。4月13日にイラン軍はラモン空軍基地、そしてハルケレン山頂にある「サイト512」基地のAN/TPY-2 Xバンドレーダー施設、そしてネバティム基地を攻撃している。イスラエル軍は4月1日にダマスカスのイラン総領事館を攻撃、イスラム革命防衛隊(IRGC)幹部を殺害しているが、それに対する報復だった。
2024.05.09
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武田薬品系のアルカリスが明治グループのMeiji Seika ファルマが共同でmRNA技術を利用した製品の製造工場を建設している福島県南相馬市。ここは双葉郡の北に位置し、2011年3月11日の東電福島第1原発の「過酷事故」で大きな被害を受けている。 言うまでもなく、この事故は三陸沖で発生したマグニチュード9.0という地震が原因。その地震で引き起こされた津波が原因であるかのように言われているが、データを分析すると揺れで破壊されている可能性が高い。この地震で観測された震度は7だ。 その地震で原子炉内にあった核燃料のほぼ全量が溶融、周辺の装置などを含むデブリ(塊)は600トンと言われているのだが、それがどこにあるか明確でない。「チャイナシンドローム状態」で、それを大量の地下水が冷却、高濃度汚染水が太平洋へ流れ込んでいる可能性がある。 事故当初、福島第1原発から放出された放射性物質はチェルノブイリ原発事故の1割程度、あるいは約17%だとする話が流されたが、これは過小評価だと言わざるをえない。 福島第1原発のケースでは圧力容器が破損、燃料棒を溶かすほどの高温になっていた。漏れ出た放射性物質を除去することになっている圧力抑制室(トーラス)の水は沸騰し、水で放射性物質を除去することはできない。しかも急上昇した圧力のためトーラスへは爆発的な勢いで気体と固体の混じったものが噴出したはず。つまり、トーラスで99%の放射性物質が除去されるという計算の前提は成り立たないのだ。 原発の専門家であるアーニー・ガンダーセンが指摘しているように、福島第1原発から環境中へ放出された放射性物質の総量はチェルノブイリ原発のそれを大幅に上回るはず。(アーニー・ガンダーセン著『福島第一原発』集英社新書)漏洩した放射性物質は少なくともチェルノブイリ原発事故の2~5倍、あるいは十数倍以上に達した可能性もある。 放出された放射性物質に関する情報を政府や電力会社は情報を隠したが、そうした中、漏れてきた情報もある。例えば、2011年4月17日に徳田毅衆議院議員は「オフィシャルブログ」(現在は削除されている)で次のように書いている:「3月12日の1度目の水素爆発の際、2km離れた双葉町まで破片や小石が飛んできたという。そしてその爆発直後、原発の周辺から病院へ逃れてきた人々の放射線量を調べたところ、十数人の人が10万cpmを超えガイガーカウンターが振り切れていたという。それは衣服や乗用車に付着した放射性物質により二次被曝するほどの高い数値だ。」 つまり、事故の直後に相当数の人が放射性物質が原因で死んでいる可能性が高い。3月12日には1号機で爆発があり、14日には3号機も爆発、15日には2号機で「異音」がり、4号機の建屋で大きな爆発音があったとされている。 その後、建屋の外で燃料棒の破片が見つかる。この破片についてアメリカのNRC(原子力規制委員会)で新炉局の副局長を務めていたゲイリー・ホラハンは炉心にあった燃料棒のものだと推測すると2011年7月28日に開かれた会合で語っている。 その会議の直後、8月1日に東京電力は1、2号機建屋西側の排気筒下部にある配管の付近で1万ミリシーベルト以上(つまり実際の数値は不明)の放射線量を計測したと発表、2日には1号機建屋2階の空調機室で5000ミリシーベル以上を計測したことを明らかにした。ダメージ・コントロールのために発表したようにも思える。 また、マンチェスター大学や九州大学の科学者を含むチームは原子炉内から放出された粒子の中からウラニウムや他の放射性物質を検出、事故当時に双葉町の町長だった井戸川克隆によると、心臓発作で死んだ多くの人を彼は知っているという。 セシウムは筋肉に集まるようだが、心臓は筋肉の塊。福島には急死する人が沢山いて、その中には若い人も含まれているとも主張、東電の従業員も死んでいるとしている。 週刊ビッグコミックスピリッツ誌の「美味しんぼ」という漫画は井戸川元町長を作品の中で登場させたが、環境省、福島県、福島市、双葉町、大阪府、大阪市などは内容が気に入らないとして抗議、福島大学も教職員を威圧するような「見解」を出した。発行元の小学館は「編集部の見解」を掲載、この作品は次号から休載すると決めたという。 新聞や放送など有力メディアは「権威」とされる学者と手を組み、原発について「安全神話」を宣伝してきた。福島第1原発の事故後も安全宣伝を展開、COVID-19騒動ではあれだけ着用を宣伝したマスクは必要ないという姿勢だった。 その一方、電力会社やメーカーの社員はいち早く避難している。地震から4日後の3月15日朝、第1原発にいた所員の9割にあたる約650人が10キロ南の福島第2原発へ撤退したと伝えられている。制御不能になったと判断、少しでも遠くへ逃げたかったのだろう。 こうした原発関係者に次いで逃げ足が早かったのは有力メディアだったという。自分たちは逃げ出しているにもかかわらず、現地の住民にも心配ないと宣伝し続けていたのだ。政治家、官僚、大企業経営者、医者などの行動バターンはCOVID-19と同じだ。 ロシア科学アカデミー評議員のアレクセイ・V・ヤブロコフたちのグループがまとめた報告書『チェルノブイリ:大災害の人や環境に対する重大な影響』(日本語版)によると、1986年から2004年の期間に、事故が原因で死亡、あるいは生まれられなかった胎児は98万5000人に達する。癌や先天異常だけでなく、心臓病の急増や免疫力の低下、あるいは知能の問題が報告されている。 しかし、日本ではそれ以上に深刻な事態が生じている疑いが濃厚だ。原発事故の影響と似ているが、それ以上に悪い状況が作られると見られている。その原因は「COVID-19ワクチン」の接種だ。 イギリスのタイムズ紙は福島第1原発を廃炉するまでに必要な時間を200年としていたが、これは比較的に楽観的な見方。数百年はかかるだろうと推測する人が少なくない。その間に新たな大地震、台風などによって原発が破壊されてより深刻な事態になることも考えられる。 もっとも、現在行われていることを見ると、人類が数百年後に存在している可能性は大きくない。少なくとも日本人の未来は暗い。
2023.03.12
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政府の政策もあって経済的な環境が厳しさを増している現在、こうしたお願いをするのは心苦しいのですが、このブログを継続させるため、皆さまの御協力をお願い申し上げます。安倍晋三総理大臣、百田尚樹元NHK経営委員のような人びとが「言論の自由」を口実に使って言論を封殺しようとしていることが問題になっていますが、真の意味で言論が保証されていた時代はあるのでしょうか?私が敬愛するジャーナリスト、むのたけじ氏は1991年に開かれた「新聞・放送・出版・写真・広告の分野で働く800人の団体」が主催する講演会の冒頭、「ジャーナリズムはとうにくたばった」と発言したそうですが、全くその通りです。(むのたけじ著『希望は絶望のど真ん中に』岩波新書、2011年)個人的な話になりますが、私がアメリカの情報活動を調べ始めた切っ掛けは、1976年2月に発覚したロッキード事件に関する本質的な情報を日本のマスコミが伝えなかったことにあります。少ないながら、気骨あるジャーナリストはいましたが、マスコミ全体としては言論機関として機能していませんでした。1980年代の半ばになると状況はさらに悪化します。経費とリスクを背負って取材するより、政治家、官僚、大企業、あるいはその取り巻きから情報を得た方がコストは安く、リスクもないという経営判断があったようです。1987年5月3日に朝日新聞阪神支局が襲撃され、小尻知博記者が犠牲になり、犬飼兵衛記者が重傷を負わされた事件もマスコミを萎縮させたのでしょう。そうした過程の中で気骨ある記者は排除され、マスコミは「くたばった」わけです。2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されると、事態は一段と悪化しました。ジョージ・W・ブッシュ大統領を担いでいたネオコンは1992年に作成した計画に基づき、事件と無関係なイラクを攻撃しようとします。ブッシュ・ジュニア政権の国防総省ではイラクだけでなく、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンが攻撃予定国リストに載っていたとウェズリー・クラーク元ヨーロッパ連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官は語っています。イラク攻撃には大義がないうえ無謀だと考える将軍が統合参謀本部でも少なくなかったようで、約1年間、実行までに要したと言われています。ところが、日本ではこうした趣旨の話にマスコミは触れようとせず、好戦的な雰囲気を煽る一方でした。その後もプロパガンダ色を強め、日本を「開戦前夜」のところまで導いてきたわけです。そうしたプロパガンダに対抗するため、是非、お力をお貸しください。お願い申し上げます。振込先巣鴨信用金庫店番号:002預金種目:普通口座番号:0002105口座名:櫻井春彦
2015.07.08
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ポール・ウォルフォウィッツが国防次官時代の1991年にイラク、シリア、イランを殲滅すると口にしていたことは、元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官のウェズリー・クラークが2007年に証言している。(3月、10月) ネオコンは同じことを1980年代には考えていた。まずイラクのサダム・フセイン政権を倒して親イスラエル体制を樹立、シリアとイランを分断した上でシリア、そしてイランを破壊しようとしていたのだ。 それに対し、ジョージ・H・W・ブッシュ副大統領やジェームズ・ベイカー首席補佐官はフセインをペルシャ湾岸産油国の防波堤だと考え、ネオコンと対立。両勢力の対立は暴露合戦になり、イラン・コントラ事件やイラクゲート疑惑が表面化する原因になった。 ブッシュは1989年に大統領となるが、90年8月にイラク軍がクウェートへ侵攻して戦争になる。1991年1月にはアメリカ主導軍がイラクを攻撃、2月に集結するのだが、その際にフセイン政権は倒されなかった。 そこで激怒したのがネオコンだが、その中心グループに所属するウォルフォウィッツはその時の経験から、中東でアメリカが軍事力を行使してもソ連軍は出てこないと考えるようになった。そして1991年5月、クラークは国防総省で3カ国を殲滅するという話を聞いたのだという。この思い込みは2015年9月30日に打ち砕かれ、アメリカは窮地に陥ることになった。 イラク、シリア、イランを殲滅したいネオコンにとって好都合な出来事が2001年9月11日に引き起こされた。ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されたのである。ネオコンに操られていたジョージ・W・ブッシュ大統領は詳しい調査をせずに「アル・カイダ」の反抗だと断定、2003年3月には統合参謀本部の反対を押し切ってイラクを先制攻撃した。 そして2011年春、バラク・オバマ政権はムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心とするジハード傭兵の部隊をリビアやシリアへ侵攻させて体制転覆を図る。西側の有力メディアはこの戦争に「内戦」というタグをつけている。 シリアは1980年代からネオコンが狙っていた獲物だが、リビアは違う。リビアが攻撃された理由はムハンマド・アル・カダフィが2010年にディナールという金貨を基軸通貨として導入すると発表したことにあると見る人は少なくない。オバマ大統領がイスラム同胞団を体制転覆工作に使うことを決め、PSD-11を出したのはこの年の8月だ。 西側の「先進国」はアフリカ、アジア、ラテン・アメリカなどでの略奪なしに現在の体制を維持できない。つまり、こうした国々が真に独立することは許さない。通貨の問題は独立の核心であり、通貨の自立を主張する国はあらゆる手段を使って攻撃される。アフリカの場合、ドルを発行するアメリカだけでなく、CFAフランを発行するフランスにとっても深刻だ。 イラクへの軍事侵攻で親イスラエル体制を樹立することに失敗したネオコンは新たな戦術へ切り替える。調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが2007年にニューヨーカー誌に書いた記事によると、ブッシュ・ジュニア政権はシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラを最大の敵だと定め、スンニ派の過激派、つまりムスリム同胞団やサラフィ主義者と手を組むことにしたという。 そして2008年にアメリカはAFRICOM(アフリカ軍)を創設する。その名の通り、担当する地域はアフリカなのだが、司令部はドイツに置かれた。アフリカには置けなかったということだ。 カダフィが進めていた新しい通貨制度の創設計画ではチュニジアのベン・アリやエジプトのホスニ・ムバラクも重要な役割を果たし、スーダン、南スーダン、赤道ギニア、コンゴ、コンゴ民主共和国、ガボン、南アフリカ、ウガンダ、チャド、スリナム、カメルーン、モーリタニア、ザンビア、ソマリア、ガーナ、エチオピア、ケニア、タンザニア、モザンビーク、コートジボワール、イエメン、アルジェリア、アンゴラ、ナイジェリアの参加が予定されていた。 しかし、アリとムバラクはムスリム同胞団が主導する「アラブの春」で倒され、カダフィはアル・カイダ系武装集団とNATOの連合軍に惨殺された。 現在、リビアはアル・カイダ系武装集団とNATO軍による破壊と殺戮で破綻国家と化し、暴力が支配する無法地帯。アメリカが何をもたらすかを理解した人はアフリカにも少なくないだろう。 そのアフリカの国々と中国は経済的な関係を強め、BRI(帯路構想、以前は一帯一路と言われていた)へ参加する国を増やしてきたが、ここにきて中国の戦略的な同盟国であるロシアも存在感を強めている。ロシアのソチでは10月23日から24日にかけて「ロシア-アフリカ首脳会議」が開かれ、ロシアのウラジミル・プーチン大統領とエジプトのアブドル・ファッターフ・ア-シーシ大統領が議長を務めた。 会議のテーマは経済発展や安全保障などが中心で、鉄道やエネルギーなどインフラの整備についても話し合われたようだ。アメリカはジハード傭兵を投入しつつあるが、それへの対処法を教えることになるかもしれない。
2019.11.06
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ジョージ・ソロスが1月31日にスタンフォード大学のフーバー研究所で講演、その中で自分たちの前に立ち塞がるロシアと中国、特に中国を批判、逆に自分たちに従属する日本を称賛した。最後のところで習近平の排除を訴えている。 ソロスはヘッジ・ファンドを動かす投機家とされているが、その一方で彼らにとって好ましくない体制、政権を転覆させてきた。「開かれた社会」という看板を掲げているが、その前に「略奪者に」という文字が隠れている。自由に略奪できるように体制を作り替えてきたと言える。例えば、2020年にソロスの「オープン・ソサエティ財団」はカザフスタンの政治団体へ約380万ドルを提供していた。 彼の力の源泉は明確でないが、ロスチャイルドのシステムと関係が深いことは確かだ。ニルス・タウブやリチャード・カッツを通じてイギリスの「N・M・ロスチャイルド・アンド・サン」につながり、ジョージ・カールワイツを通じてフランスのエドモンド・ド・ロスチャイルド・グループにつながっている。N・M・ロスチャイルド・アンド・サンは長くジェイコブ・ロスチャイルドとエベリン・ド・ロスチャイルドにコントロールされてきた。 ちなみに、エベリンがヘンリー・キッシンジャーの紹介で結婚したリン・フォレスター・ド・ロスチャイルドは2020年に設立が明らかになった「包括的資本主義会議」の看板的な存在。その年の6月にWEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブはCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動を利用して「資本主義の大々的なリセット」を行うと宣言したが、この「リセット」と結びついているだろう。 2016年に行われたアメリカ大統領選挙の際、公開された電子メールによってリン・フォレスターがヒラリー・クリントンと親しいこと、またヒラリーがソロスから政策面でアドバイスを受けていることも判明した。この選挙でソロスは民主党(事実上、ヒラリー陣営)へ2500万ドル以上を寄付していた。 ジョー・バイデン政権はロシアと中国を脅しているが、目論見通りには進んでいないようだ。現在、台湾の問題を口にしているが、日本列島から台湾、そしてフィリピンにかけての島々は19世紀以来、アングロ・サクソンが中国を侵略するための拠点だ。その先にはロシアの制圧、そして覇権の獲得がある。 ユーラシア大陸の周辺部から内陸部を締め上げるアングロ・サクソンの戦略に対し、内陸の国は陸上での輸送を進めた。シベリア横断鉄道はそのために建設されたが、現在は鉄道だけでなく道路、そしてパイプラインの建設が進められている。こうした輸送のネットワークはロシアと中国の結びつきを強めているが、それがヨーロッパへ伸びようとしている。これはアングロ・サクソンにとって受け入れ難いことだろう。 内陸の輸送ルートで新疆ウイグル自治区から中央アジアにかけての地域は重要な意味を持つ。アメリカがこの地域を不安定化させようと必死なのはそのためだ。カザフスタンのクーデター未遂の背景でもある。 アメリカは新疆ウイグル自治区へもワッハーブ派のジハード戦闘員を浸透させている。同じことはインドネシアやフィリピンでも行われているが、そのひとつの手段としてイスラムの経典であるコーランの翻訳がある。コーランはアラビア語で書かれているが、ワッハーブ派系のコーランを翻訳し、ワッハーブ派を広げるために使っている。 その新疆ウイグル自治区で約100万人のウイグル人が再教育キャンプへ送り込まれ、約200万人が再教育プログラムに参加させられていると「人種差別削減委員会」のゲイ・マクドーガルは発表しているが、その情報源はCHRD(中国人権防衛ネットワーク)。CHRDの情報源は8名のウイグル人である。 CHRDと並ぶウイグル問題の情報源はキリスト教系カルトの信者であるエイドリアン・ゼンズ。「神の導き」でコミュニズムと戦っているという人物。「コミュニズムの犠牲者記念基金」でシニア・フェローとして中国問題を研究していた。 この基金を創設したのはレフ・ドブリアンスキーとヤロスラフ・ステツコ。ステツコはウクライナのナショナリストOUNの幹部。第2次世界大戦中にはナチスと関係があり、1946年にはイギリスの情報機関MI6のエージェントになった。ABN(反ボルシェビキ国家連合)の議長にも就任している。 ABNは1966年にAPACL(アジア人民反共連盟/後のアジア太平洋反共連盟)と合体、WACL(世界反共連盟)になった。WACLはその後、WLFD(自由民主主義世界連盟)に改名された。 ゼンズが「100万人説」の根拠にしているのは亡命ウイグル人組織がトルコを拠点にして運営している「イステクラルTV」。そこに登場するETIM(東トルキスタン・イスラム運動)のメンバーが情報源だ。このETIMはアメリカ政府や国連の安全保障理事会もアル・カイダ系だとしていた。その政治フロントがTIP(トルキスタン・イスラム党)だ。
2022.02.03
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ジェイコブ・ロスチャイルドが87歳で死亡したと2月26日に発表された。家族によると、ユダヤ教の慣習に従って埋葬されるという。 ビクター・ロスチャイルドとバーバラ・ハッチンソンの子どもとして1936年4月に生まれた彼はイートン・カレッジを経てオックスフォード大学へ進み、歴史を学んだ。 1963年からNMロスチャイルドで働き始めるが、投資信託のロスチャイルド・インベストメント・トラスト(その後、RITキャピタル・パートナーズ)の経営権を独立させ、1980年から活動の拠点にしている。彼がファミリー・ビジネスから離れた理由はエベリン・ロバート・ド・ロスチャイルドと経営上の対立が生じたからだという。 RITキャピタル・パートナーズは2012年5月にロックフェラー・ファイナンシャル・サービシズの発行済み株式のうち37%を取得した。ジェイコブ・ロスチャイルドはデイビッド・ロックフェラーと手を組んだのだ。 ジェイコブは2006年に倒産したロシアの石油会社ユーコスを所有していたミハイル・ホドルコフスキーの代理人を務めていたことでも知られている。 ホドルコフスキーは1963年6月、ユダヤ教徒の父親とロシア正教との母親との間に生まれ、ソ連時代に彼はコムソモール(全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟)の指導者を務めていた。 ソ連時代の1989年、ホドルコフスキーはリチャード・ヒューズなる人物と「ロシア人モデル」をニューヨークへ送るビジネスを始めた。ミハイル・ゴルバチョフが始めたペレストロイカ(改革)のおかげなのだろう。この年にホドルコフスキーはメナテプ銀行を設立するためのライセンスを取得するが、違法送金やマネーロンダリングが目的だった可能性が高い。 このビジネスをソ連当局も怪しみ、モデルに対する出国ビザを出し渋るのだが、ホドルコフスキーはKGB人脈を持っていた。そのコネクションに助けられてビザを入手できたという。(Mark Ames, “Russia’s Ruling Robbers”, Consortium news, March 11, 1999) ソ連は1991年12月に消滅、ボリス・エリツィンが西側支配層の代理人としてロシアを支配するようになる。ホドルコフスキーはエリツィン政権を支える顧問のひとりに就任した。 ホドルコフスキーは1995年にユーコスを買収、中小の石油会社を呑み込み、その一方でモスクワ・タイムズやサンクトペテルブルグ・タイムズを出している会社の大株主になっている。 ユーコスは西側から資金を調達していたが、投資会社のカーライル・グループも調達源のひとつ。この投資会社にはジェームズ・ベイカー元米国務長官をはじめ、フランク・カールッチ元米国防長官、ジョン・メジャー元英首相、ジョージ・H・W・ブッシュなどが幹部として名を連ねていた。 その一方、彼はジョージ・ソロスの「オープン・ソサエティ財団」をモデルにした「オープン・ロシア財団」を2002年にアメリカで創設、その際にホドルコフスキーとロスチャイルドはこのプロジェクトに共同で資金を提供している。ホドルコフスキーはヘンリー・キッシンジャーやジェイコブ・ロスチャイルドを雇い入れている。 ホドルコフスキーはユーコスの発行済み株式のうち25から40%をアメリカの巨大石油会社、エクソン・モービルとシェブロンへ売り渡そうとしていたが、ウラジミル・プーチンに阻止された。プーチンの動きが少しでも遅れれば、ロシアは米英支配層の植民地になっていたことだろう。(Natylie Baldwin & Kermit Heartsong, “Ukraine,“ Next Revelation Press, 2015) プーチンが実権を握った後、少なからぬオリガルヒはロシアからイギリスのロンドンやイスラエルへ逃亡するが、ホドルコフスキーはロシアに残った。そして2003年10月、彼はノボシビルスクの空港で横領と税金詐欺の容疑で逮捕された。当時『サンデー・タイムズ』紙が報じたところによると、ホドルコフスキーのユーコス株の支配権は、先に結ばれた「取り引き」によってジェイコブ・ロスチャイルドへ渡っている。 ウクライナでビクトル・ヤヌコビッチ政権がアメリカ政府主導のクーデターで倒された後、同国の経済は破綻し、国債の価格は下落する。フランクリン・テンプルトンというファンドは額面総額50億ドルの国債を買い占めていたが、このファンドを操っているのはロスチャイルド家だと伝えられている。 破綻した国の国債を安値で買いあさり、満額で買い取らせるというのが西側支配層のやり口。ウクライナにはIMFがカネを貸しているが、そのカネでファンドの要求通りに支払うことができる。債権者になったIMFは債務者である破綻国の政府に対して緊縮財政を要求、庶民へ回るカネを減らさせる。規制緩和や私有化の促進で国の資産を巨大資本に叩き売らせ、大儲けさせてきた。 イスラエルとの関係が深いジェイコブは中東でも暗躍、2010年にはジーニー・エナジーの株式5%を取得している。この企業はゴラン高原一帯の独占石油採掘権を獲得したIDTコーポレーションの子会社で、取締役にはメディア王ルパート・マードック、ディック・チェイニー元米副大統領、ジェームズ・ウールジー元CIA長官、ヘッジファンド・マネージャーのマイケル・スタインハート、そしてロスチャイルド自身が名を連ねている。
2024.03.05
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ガザ南部のラファには100万人とも150万人とも言われるパレスチナ人が避難している。そのラファに対する攻撃をイスラエル軍は5月6日に始めた。絨毯爆撃を実施すると同時に地上部隊を軍事侵攻させたと伝えられている。イランに対する大規模な攻撃を実施しないという条件でアメリカ政府はイスラエル政府に対してラファ攻撃を認めたと伝えられていた。ラファに避難している人びとに対し、イスラエル政府は破壊済みの場所へ「避難」するように求めているが、要するに、「立ち退きに応じなければ殺す」と脅しているようなものだ。 攻撃の直前、ハマスはエジプトとカタールの停戦提案を受け入れる用意があると発表している。ハマスによると、この提案にはガザからのイスラエル軍を撤退させ、避難しているパレスチナ人の帰還、さらにはイスラエル人捕虜とパレスチナ人捕虜の交換が含まれているのだが、イスラエル政府はこの提案はイスラエルの要求を満たしていないと主張、話し合いのために代表団を仲介国へ派遣するとしていた。 イスラエル軍によるガザでの破壊と虐殺はアメリカ/NATOの支援なしには不可能。ジョー・バイデン政権はイスラエルにブレーキをかけているかのような演出をし、自らを「善玉」に見せようとしているが、実態は共犯だ。 そのアメリカ/NATOは5月7日にウラジミル・プーチンが大統領に就任するのに合わせ、ロシアに対する大規模な軍事作戦、テロ攻撃、ドイツなどでの偽旗作戦などを実行する可能性があると噂されている。
2024.05.07
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マイケル・フリン国家安全保障担当補佐官が2月13日に辞任した。事実上の解任だ。ヒラリー・クリントンを担いでいたネオコンなど好戦派はロシアとアメリカのと関係改善、いわは「デタント」を推進すると公言していたドナルド・トランプを憎悪、その背後にいたフリンを排除しようと必死だった。 前回も書いたようにフリン攻撃の拠点のひとつはCIAだが、首席戦略官のスティーブ・バノンも同じ立場で、反フリンの波はトランプ政権の内部にも押し寄せていた。そうした波を侵入させるルートのひとつだと考えれているのが大統領の娘イバンカ。彼女が結婚したジャレッド・クシュナーは大統領の顧問を務め、その父親でドナルド・トランプの同業者でもあるチャールズは上級顧問になっているのだが、ユダヤ系なのだ。ユダヤ系の影響力という点では、多額の選挙資金を寄付したカジノ経営者、シェルドン・アデルソンも忘れてはならない。 今回の辞任劇はワシントン・ポスト紙が先陣を切った。トランプが大統領に就任する1カ月ほど前、フリンがセルゲイ・キスリャクと話をし、その中でアメリカがロシアに対して行っている「制裁」を話題にしたことが問題だと報じたのだ。 この「制裁」とはキエフのクーデター政権がクリミアにあるセバストポリの基地を制圧に失敗したことなどに対する腹いせだと言えるだろう。1997年にウクライナとロシアとの間で締結された協定でロシアはこの基地を20年間使え、さらに25年間の延長が認められていた。それに伴ってロシア軍は2万5000名の駐留が可能になり、実際は1万6000名のロシア兵が駐留していた。クーデター直後、西側の政府やメディアは「侵略軍」だと宣伝していたのはこの駐留軍だ。 クーデターを拒否する住民が多かったクリミアでは3月16日にロシアの構成主体になることの是非を問う住民投票が実施され、80%の有権者が参加、その95%以上が加盟に賛成し、すぐに防衛体制に入った。 この住民投票では国外から監視団が入り、公正なものだったことが確認されているが、その投票結果を認めるわけにはいかない西側の支配層は投票に不正があったと宣伝している。ネオ・ナチが憲法の規定を無視して実権を握ったキエフの暫定政権を正当だとする一方、クリミアの「民意」は認めないというわけだ。 このクーデターは2013年11月21日にキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で始まったが、その前日、議会ではオレグ・ツァロフ議員がクーデター計画の存在を指摘していた。ツァロフ議員によると、ウクライナを内戦状態にするプロジェクトをアメリカ大使館はジェオフリー・パイアット大使を中心に準備、NGOがその手先として動くことになっていたという。 抗議活動が広がる中、EUは話し合いでの解決を模索するのだが、それに激怒していたのがビクトリア・ヌランド国務次官補。2014年2月4日にYouTubeへアップロードされたヌランドとパイアットとの会話では次期政権の人事について話し合われ、ヌランドはアルセニー・ヤツェニュクを強く推していたが、その一方で「EUなんかくそくらえ(F*ck the EU)」と口にしている。ちなみに、ヤツェニュクは実際、クーデター後、首相に就任した。 その音声が公開された後、2月18日頃からネオ・ナチが前面に出て来て暴力が激しくなる。棍棒、ナイフ、チェーンなどを手にしながら、石や火炎瓶を投げ、ピストルやライフルで銃撃を始めたのだ。 当時、広場をコントロールしていたのはネオ・ナチの幹部として知られているアンドレイ・パルビー。この人物はソ連が消滅した1991年にオレフ・チャフニボクと「ウクライナ社会ナショナル党(後のスボボダ)」というネオ・ナチ系の政党を創設、クーデター後には国家安全保障国防会議(国防省や軍を統括する)の議長に就任、2014年8月までその職にあった。同年9月にはヤツェニュクたちと新たな政党「人民戦線」を組織して議員になる。 広場では無差別の狙撃があり、少なからぬ犠牲者が出た。西側の政府やメディアは狙撃をビクトル・ヤヌコビッチ政府側によるものだと宣伝したが、スナイパーがいたのはパルビーの管理下にあったビル。2月25日にキエフ入りしたエストニアのウルマス・パエト外相は事実が逆だと報告している。 反大統領派で医師団のリーダー格だったオルガ・ボルゴメツなどから聞き取り調査をした結果で、その内容を26日にEUの外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)だったキャサリン・アシュトンへ電話で報告する。 「全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合の誰かだというきわめて強い理解がある。」 勿論、この報告はアシュトンにとって都合の悪い事実で、封印してしまった。 クーデター後、アメリカの傭兵会社、アカデミ(旧社名はブラックウォーター。2009年からXe、10年から現社名)系列のグレイストーンは400名の戦闘員を派遣、アカデミはウクライナ政府の要請で射撃、市街戦、接近戦、兵站などの訓練をしたようだ。また、アメリカ政府は訓練のためにCIAやFBIの専門家数十名を顧問として派遣、国防総省は戦略と政策の専門家チーム、つまり軍事顧問団をキエフへ送り込んでいる。2014年4月23日には第173空挺旅団をポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニアへ派遣した。 空挺団が派遣される11日前、4月12日にジョン・ブレナンCIA長官がキエフを極秘訪問し、4月22日にはジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪問、それにタイミングを合わせるようにしてオデッサでの工作に関する会議が開かれている。この会議に出席したのは大統領代行、内相代行、SBU(情報機関)長官代行、そしてユーロマイダンの惨劇を演出したパルビー、さらにオブザーバーとしてドニエプロペトロフスクの知事で三重国籍のシオニスト、イゴール・コロモイスキー。 オデッサで反クーデター派の住民が虐殺されのは会議の10日後。その数日前にパルビーは数十着の防弾チョッキをオデッサのネオ・ナチへ運んでいる。その装具を受け取ったミコラ・ボルコフは虐殺の当日、労働組合会館へ向かって銃を発射、状況をキエフの何者かに報告する様子が映像に残っている。 虐殺は午前8時に「サッカー・ファン」を乗せた列車が到着したところから始まる。赤いテープを腕に巻いた人びとがフーリガンやネオ・ナチを抗議活動が行われていた広場へ誘導したのだ。誘導した集団は「NATOの秘密部隊」だと疑われているUNA-UNSOだと言われている。 虐殺を仕掛けたグループは、住民を労働組合会館の中へ誘導、そこが殺戮の舞台になった。殺戮の現場を隠すことが目的だったとも推測されている。48名が殺され、約200名が負傷したと伝えられているが、これは確認された数字で、住民の証言によると、多くの人びとが地下室で惨殺され、犠牲者の数は120名から130名。虐殺の調査をキエフ政権は拒否、その政権の後ろ盾になってきた西側も消極的で、実態は今でも明確になっていない。 オデッサの虐殺から1週間後の5月9日、ソ連がナチスに勝ったことを記念する戦勝記念日にキエフ軍の戦車がドネツク州マリウポリ市に突入、住民が殺された。記念日を狙ったのは心理的なダメージを狙っただけでなく、住民が街頭に出てくることを見越してのことだったと言われている。5月11日に予定されていた住民投票を止めさせることも目的だっただろうが、予定通りに投票は行われ、独立の意思が明確になった。 それに対し、6月2日にデレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りし、そのタイミングでキエフ軍はルガンスクで住宅街を空爆、建物を破壊し、住民を殺し始めた。民族浄化作戦の始まりだ。この戦乱は今でも終結せず、ここにきてNATOがロシアとの国境近くで威嚇的な演習を実施、キエフ軍によるドンバスへの攻撃は激しくなっている。 ロシアを制圧するというアメリカ支配層の目論見は崩れ、その報復として行っているのが「制裁」なのだが、この「制裁」はロシアを助けることになっていると指摘する人もいる。ロシア経済に対する西側巨大資本の影響力を弱め、生産活動を活性化させたというのである。「制裁」の解除をロシア政府は歓迎しないだろうともいう。フリンがこの「制裁」についてロシア側と話し合ったことを問題にするのは、「制裁」がロシアにダメージを与えているという妄想に基づいている。そうした様子を見ている世界の人びとがアメリカに見切りをつける可能性も小さくない。
2017.02.15
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ウェンディ・シャーマン国務副長官が6月末に退任する予定だ。その後任としてビクトリア・ヌランド国務次官が昇格するのではないかと言われている。シャーマンだけでなくNSC(国家安全保障会議)で中国担当シニアディレクターを務めてきたローラ・ローゼンバーガー、そして国務副次官補として中国と台湾の問題を担当するリック・ウォーターズも退任すると言われ、ジョー・バイデン政権の好戦的な色彩は強まると可能性が高い。 ヌランドは父方の祖父母がウクライナからの移民で、夫はネオコンの重鎮であるロバート・ケーガン、義理の弟はフレデリック・ケーガン、フレデリックの妻はISW(戦争研究所)を設立したキンベリー・ケーガン。ヒラリー・クリントンは友人のひとりだという。アメリカ中央軍、ISAF(国際治安支援部隊)司令官、そしてCIA長官を務めたデイビッド・ペトレイアスとキンバリーは親しい。 2013年11月から14年2月にかけてバラク・オバマ政権はネオ・ナチを使ってウクライナでクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。このクーデターで中心的な役割を果たしたのはジョー・バイデン副大統領、ビクトリア・ヌランド国務次官補、副大統領の国家安全保障補佐官を務めていたジェイク・サリバンだ。 現在バイデンは大統領、ヌランドは国務次官、サリバンは国家安全保障問題担当の大統領補佐官。この3人にアントニー・ブリンケン国務長官が好戦的な政策を推進している。そうした中、シャーマンが排除されてヌランドが昇格した場合、その好戦性は強まる。 シャーマンはビル・クリントン政権時代、1993年5月から96年3月までウォレン・クリストファー国務長官の下で国務次官補を務めていた。1997年1月に国務長官がクリストファーからマデリーン・オルブライトに交代するとクリントン政権はユーゴスラビアへ軍事侵攻する方向へ舵を切った。1997年8月、シャーマンは参事官として国務省へ復帰している。 オルブライトは1998年秋にユーゴスラビア空爆を支持すると表明、99年3月から6月にかけてNATO軍はユーゴスラビアへの空爆を実施した。4月にはスロボダン・ミロシェビッチの自宅が、また5月には中国大使館も爆撃されている。 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された後、03年3月にジョージ・W・ブッシュ政権はイラクを先制攻撃するが、泥沼化。そこでバラク・オバマ米大統領は2010年8月にPSD-11を承認してムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を使った体制転覆作戦を始動させ、「アラブの春」が始まる。 しかし、シリアやリビアに対してはズビグネフ・ブレジンスキーが作り上げた「アル・カイダ」の仕組みが使われる。2011年春に両国に対する攻撃が始まり、同年10月にはムアンマル・アル・カダフィ体制が倒された。カダフィ本人はその際に惨殺されている。 そこで戦力をシリアへ集中させるのだが、バシャール・アル・アサド政権は倒れない。そこで軍事支援を強化、登場してきた戦闘集団がダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)。2014年1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルが制圧される。ダーイッシュは残虐さを演出、アメリカに軍事介入させる道を作ろうとしていると考える人もいた。 その当時、オバマ政権には戦争に消極的な人物がいた。例えばチャック・ヘーゲル国防長官やマーチン・デンプシー統合参謀本部議長は上院軍事委員会で直接的な軍事介入に慎重な姿勢を示し、ヒラリー・クリントン国務長官らと対立している。 オバマ大統領が主張する穏健派は存在しないとする報告を出したDIAの局長、マイケル・フリンは2014年8月に退役を強いられていたが、それだけでなくヘーゲルは2015年2月に解任、デンプシーは同年9月に再任を拒否されている。オバマ大統領は戦争体制を整えた。 デンプシーが退役した直後の2015年9月30日にロシアはシリア政府の要請で軍事介入、ダーイッシュを含むアル・カイダ系武装集団を敗走させる。 そこでアメリカはクルドと手を組むのだが、これによってアメリカとトルコの関係が悪化する。現在、アメリカ軍はシリア領内に900名程度の部隊を侵攻させ、10カ所とも20カ所とも言われる数の軍事基地をシリアに建設、不法占領を続けている。 そして今、バイデン政権はまたホワイトハウスを好戦的な布陣にしようとしている可能性がある。簡単に勝てるという思い込みで始めたロシアや中国に対する戦争だが、ネオコンの思惑は外れた。窮地に陥ったバイデン政権は暴走し始めた。6月12日から23日まで実施されるNATOの軍事演習「エア・ディフェンダー23」が注目されたのはそのためだ。 ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は6月13日、ロシアから戦術核兵器をすでに受け取っていると語った。自国が攻撃にさらされれば躊躇なく核兵器を使用するとしている。ルカシェンコの要請に基づくとされているが、少なくともロシアは同意している。ネオコンが攻撃してくれば受けて立つという意思表示だろう。 そうした国際環境の中、日本は夢遊病者のように戦争へと向かっている。すでにアメリカ/NATOはウクライナへ供給する武器弾薬が枯渇、5月には韓国がアメリカ経由でウクライナへ砲弾を提供したと伝えられてるが、ここにきてアメリカ政府は日本政府と155mm榴弾のウクライナへの供給することで話し合ったという。数少なくなったアメリカ支援国として日本に対する要求は強まってくるだろう。
2023.06.17
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アメリカのジョー・バイデン大統領は4月24日、ウクライナ、イスラエル、台湾への援助を含む950億ドルの軍事援助法案に署名した。当初は難色を示していた共和党も4月20日、下院で民主党と同じように承認していた。このうち608億ドルはウクライナ向けだ。内訳はアメリカの兵器在庫を補充するために232億ドル、ウクライナ向け兵器システムの購入に138億ドル、そしてウクライナ周辺でアメリカが実行している軍事作戦に113億ドルだという。私服を肥やしていると西側でも批判されているウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はマイク・ジョンソン下院議長に感謝を表明している。 今回の支援法案の目玉は、最大射程距離300キロメートルの戦術ミサイルシステム「ATACMS」だとされ、国防総省のガロン・ガーンによると、バイデン大統領は2月、ウクライナ領内で使用するミサイルの譲渡を密かに承認し、ミサイルは4月初めにウクライナへ引き渡されたとされている。すでに100機を極秘輸送、ウクライナ軍は4月17日、クリミア半島の飛行場を攻撃した際に使用されたとも言われている。今後、攻撃範囲をクリミアやロシア内部へ広げてロシア市民を殺害、ロシア国内に政府に対する怒りの声を高めようとしているのだろう。 イギリス軍のトニー・ラダキン参謀総長はロシア内部への攻撃が強化されると発言しているが、同国はウクライナへ5億ポンド(6億1700万ドル)相当の軍事支援を発表した。これには長距離ミサイル「ストームシャドウ」が含まれている。 本ブログですでに書いたことだが、フランスのエマニュエル・マクロン大統領はNATOの地上軍をウクライナへ派遣すると口にし、フランス軍部隊約1000名がオデッサへ入ったと伝えられている。さらに同程度の部隊が送り込まれる予定だともいう。セルゲイ・ナリシキンSVR(ロシアの連邦対外情報庁)長官は3月19日、フランス政府がウクライナへ派遣する部隊を準備しているとする情報を確認、初期段階では約2000人を派遣する予定だとしていた。 しかし、こうした軍事支援で戦況が大きく変化することはないと見られている。アメリカ政府はウクライナでの軍事作戦を立てるため、「プロジェクト・メイブン」と名付けられたAIを利用しているというが、これも失敗に終わった。 メイブンは以前から知られている軍事用AIだが、実際に使われたようだ。このAIはウクライナでロシア軍が負けると分析したようだが、結果は全く違った。単純なルールに基づくゲームとは違い、多くのファクターが複雑に絡みあう戦争では有効でない。核戦争のリスクを冒してのテストのつもりかもしれないが、アメリカ軍はベトナム戦争でも戦況の分析にコンピュータを使い、敗北している。 アメリカではウクライナに対する資金援助を目的とし、凍結しているロシアの資産を没収する動きもあるが、これは米英を中心とする金融システムにとって自殺行為とも見られている。このシステムが信頼できないことを示す行為であり、国際金融秩序は崩壊するからだ。日本はアメリカの財務省証券を購入しているが、日本の官僚や政治家はその資産が自国へ戻ってくるとは思っていないだろう。彼らは「絵に描いた餅」で満足している。損するのは何も知らされていない日本の庶民だ。【参考】櫻井ジャーナル「独の長距離ミサイルでクリミア橋を攻撃する計画を独空軍は米太平洋空軍に伝達」
2024.04.26
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中央アフリカの大西洋岸にあるガボンで2023年8月30日にクーデターがあり、アリ・ボンゴ大統領を含む要人らが拘束されたという。最近アフリカではスーダン、マリ、チャド、ギニア、ブルキナ・ファソ、ニジェール、そしてガボンというようにクーデターが続いている。 ガボンは1960年8月にフランスから「独立」しているが、これは帝国の衣替えにすぎない。その後もフランスの影響下にあったが、2022年6月にイギリス連邦へ加わり、アメリカの影響力も強まった。イギリス陸軍は密猟対策という名目でチームを派遣、軍事訓練を行っている。 アリは1967年から2009年までガボンの大統領を務めていたオマールの息子。汚職や人権侵害で評判の良くない人物だが、8月26日に実施された選挙では勝利している。フランス、イギリス、アメリカの利権構造の手先として機能しているボンゴ家は強い。言うまでもなく、こうした欧米の国々がガボンに食い込んでいる理由は石油をはじめとする資源の存在だ。 ニジェールでは7月26日に大統領警護隊がフランスの傀儡と言われているモハメド・バズーム大統領を拘束、国境を閉鎖し、非常事態を宣言した。 これに対し、アフリカの資源を略奪してきた欧米諸国はクーデターを批判、その手先であるECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)は軍事行動を起こすと恫喝、フランス自体が軍事介入する可能性も言われているのだが、ハードルは高い。 ニジェールでクーデターを実行したリーダーのひとりで国土防衛国民評議会の副議長を務めているサリフー・ムーディー師団将軍はマリを訪れた際にワグナー・グループのエフゲニー・プリゴジンと会っている。同グループの支援を要請したのだが、ロシア側は慎重だった。 そのプリゴジンはロシアへ戻った直後、モスクワからサンクトペテルブルグへエンブラエル・レガシー600で向かうのだが、その途中で飛行機が墜落、乗っていた10名が死亡したとされている。 アフリカのクーデターには植民地支配への人びとの怒りがあるだろうが、アメリカがフランスをアフリカから追い出そうとしていると考える人もいる。米英支配層はドイツやフランスを潰そうとしているわけで、可能性はあるだろう。 本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、近代ヨーロッパは略奪の上に築かれている。「十字軍」の実態は強盗団であり、財宝だけでなく知識を盗み出した。その略奪がなければ、14から15世紀のルネサンスは実現しなかっただろう。 15世紀から17世紀にかけての「大航海」も実態は略奪だった。スペインやポルトガルはそのときにアメリカ大陸を侵略、莫大な量の貴金属を盗み、先住民を酷使して鉱山開発も行った。その象徴的な存在がボリビアのポトシ銀山だ。1545年に発見されたこの銀山だけで18世紀までに15万トンが運び出されたとされ、スペインが3世紀の間に南アメリカ全体で産出した銀の量は世界全体の80%に達したと言われている。16世紀の後半にスペインはフィリピンを植民地化、銀を使い、中国から絹など儲けの大きい商品を手に入れる拠点として使い始めた。(Alfred W. McCoy, “To Govern The Globe,” Haymarket Books, 2021) そうした財宝を運ぶスペインの船を海賊に襲わせ、奪っていたのがイギリス。エリザベス1世の時代にイギリス王室が雇った海賊は財宝を略奪しただけでなく、人もさらっていた。ジョン・ホーキンス、フランシス・ドレイク、ウォルター・ローリーといった海賊にはナイトの爵位が与えられている。(Nu’man Abo Al-Wahid, “Debunking the Myth of America’s Poodle,” Zero Books, 2020) 北アメリカでも先住民が虐殺された。その後、植民地のヨーロッパ人とイギリスが対立、1775年にはイギリス軍と植民地軍が軍事衝突し、植民地側は76年に独立を宣言した。 その宣言には「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」と謳われているが、先住民は人間として扱われていない。勿論、奴隷も人間として扱われていない。アメリカの独立とはその程度の代物にすぎない。 イギリスを中心にヨーロッパでは19世紀に資本主義が広まるが、その矛盾を解消するためには他国を侵略し、略奪する必要があった。それが帝国主義だ。イギリスはターゲット国同士を戦わせ、戦力不足を傭兵でカバーしてきた。明治維新の背後でイギリスが暗躍していた理由もそこにある。 第2次世界大戦後、アメリカはターゲット国の軍人を利用したクーデターで略奪システムを築き、1960年代からは傭兵を現地採用している。例えばベトナム戦争では山岳の少数民族が使われ、中東ではムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)で傭兵システムの「アル・カイダ」が作られた。
2023.09.03
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ロシア軍がアブディフカを完全に制圧したとセルゲイ・ショイグ国防相はウラジミル・プーチン大統領に報告したという。 アメリカ/NATOはミンスク合意を利用し、8年かけてクーデター体制の戦力を増強したが、その一環としてドンバス(ドネツクやルガンスク)周辺に要塞線を築いた。地下要塞のあったアゾフ大隊が拠点にしたマリウポリ、岩塩の採掘場があるソレダル、その中間に位置するマリーインカはすでにロシア軍がすでに制圧しているが、その次がアブディフカだ。 アブディフカにはコークス工場を利用した要塞が建設され、ドネツクの市民を攻撃する拠点になってきた。そこが制圧されたことから市民の危険度は軽減されるだろう。 ウクライナ軍のアレクサンドル・シルスキー最高司令官は2月17日にアブディフカからの撤退を決めたのだが、2月8日に就任した際、戦闘の継続を求められていた。前任者のバレリー・ザルジニーはアブディフカからの全面撤退を主張、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と対立していた。そこで大統領はザルジニーを解任、ソレダルやバフムートで自軍の兵士を「挽肉器」に押し込んだと批判されていたシルスキーに交代させたのだ。 撤退のタイミングが遅れただけでなくシルスキー司令官はアブディフカへ「増援部隊」を派遣して傷口を広げ、ウクライナ軍の兵士はロシア軍の激しい砲火の中、泥の中を脱出せざるをえなくなった。そうしたこともあり、犠牲者は膨らんでいる。この惨状をアレクセイ・ナバルニーの死で誤魔化すことはできないだろう。 しかし、米英の傀儡であるゼレンスキーはウクライナ人の犠牲を厭わない。少しでも多くのロシア人を殺し、ロシアを疲弊させるという自分に課せられた任務を遂行しようとしている。 ウクライナの敗北はゼレンスキー本人の破滅にもつながる。すでに不正な蓄財が露見、弾圧したライバルの富豪(オリガルヒ)たちから報復される危険性もあるだろう。 ジョー・バイデン米大統領を含むグループがウクライナで不正を働いていただけでなく、アメリカ国防総省は生物兵器の研究開発を進め、実際に使おうとしていた可能性がある。その一環としてアメリカの研究機関は「万能生物兵器」を開発していたと2023年4月にロシア軍は発表している。人だけでなく動物や農作物にも感染でき、大規模で取り返しのつかない経済的損害を与える遺伝子組換え生物兵器を開発していたというのだ。 この特性は日本で治験が始まっている「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」を連想させるが、そうした生物兵器を秘密裏に標的を絞って使い、「核の冬」に匹敵する結果をもたらそうとしているという。
2024.02.19
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フィンランドとスウェーデンがNATO(北大西洋条約機構)への加盟を検討していると伝えられているが、アメリカの支配層にとって都合の悪い情報を公表してきたウィキリークスのジュリアン・アッサンジを逮捕する切っ掛けを作ったのはスウェーデンにほかならない。 ウィキリークスは2010年4月、アメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターが2007年7月に非武装の一団を銃撃、十数名を殺害する場面を撮影した映像を公開した。犠牲者の中にはロイターの特派員2名が含まれている。その映像を見れば、武装集団と間違ったわけでないことは明白だ。 その情報源だったアメリカ軍のブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵は逮捕され、スウェーデンの検察当局は2010年11月にアッサンジに対する逮捕令状を発行した。 アッサンジにかけられた容疑は「性犯罪」とされたが、もう少し具体的に言うならば、合意の上で始めた行為におけるコンドームをめぐるトラブルだ。アッサンジ側は女性の訴えを事実無根だとしている。このふたりの女性も当局が主張する容疑を否定している。 その話を警察がタブロイド紙へリーク、「レイプ事件」として報道されることになるが、主任検事のエバ・フィンはその翌日、容疑が曖昧だということで令状を取り消してしまう。 そこへ検事局長だったマリアンヌ・ナイが介入、主任検事の決定を翻し、捜査再開を決めた。しかも、捜査資料がメディアにリークされている。アメリカ政府の意向を受けた政治的な決定だとみられている。その捜査をスウェーデン当局は2017年5月に打ち切りを決めたが、アッサンジはイギリス版グアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所で今も拘束、アメリカ当局は引き渡しを求めている。 アッサンジはオーストラリア国籍で、活動はアメリカの外で行ってきた。その人物をアメリカの当局は拘束させ、引き渡しを求めている。そのアッサンジを政治犯だと認め、2012年8月に亡命を認めたのがエクアドルの大統領を務めたラファエル・コレア。ロンドンのエクアドル大使館で保護するが、外へは出られなくなった。 しかし、エクアドルの大統領が2017年5月にコレアからレニン・モレノに交代してから状況が変わる。スウェーデン検察はアッサンジに対するレイプ捜査を終え、逮捕令状を取り消すと発表したが、モレノはアッサンジの亡命を取り消した。アッサンジは2019年4月11日、ロンドンのエクアドル大使館でロンドン警視庁の捜査官に逮捕される。 その1カ月前、2019年3月11日にIMFはエクアドルに対して42億ドルの融資を実施すると発表していた。この融資は亡命取り消しの交換条件のひとつだったとみられている。 アメリカ当局はアッサンジをハッキングのほか「1917年スパイ活動法」で起訴しているが、ハッキングで最も重要なアメリカ側の証人はシギ・トールダルソン。2010年当時、ウィキリークスの活動にボランティアとして参加していたのだが、後にFBIへの情報提供者になった。ウィキリークスはこの人物が寄付のうち5万ドルを横領したと疑っていた。 スウェーデンがアメリカへ従属する道を選んだのは1986年2月。自立の道を歩いていたオロフ・パルメ首相が1986年2月28日、妻と映画を見終わって家に向かう途中に銃撃され、死亡してからだ。 アメリカの支配層から嫌われていたパルメが首相に返り咲いたのは1982年10月8日だが、その直前、10月1日からスウェーデンでは国籍不明の潜水艦が侵入したとして大騒動になっている。潜水艦は捕獲されず、根拠が曖昧なままソ連の潜水艦という印象だけが広められた。ノルウェーの研究者、オラ・ツナンデルによると、西側の潜水艦だった可能性が高い。 その年の11月に日本では中曽根康弘が内閣総理大臣に就任、翌年の1月にはアメリカを訪問している。その際、中曽根はワシントン・ポスト紙のインタビューを受け、「日本列島をソ連の爆撃機の侵入を防ぐ巨大な防衛のとりでを備えた不沈空母(実際は巨大空母だったようだが、本質的な違いはない)とすべきだ」と発言、さらに「日本列島にある四つの海峡を全面的かつ完全に支配する」とし、「これによってソ連の潜水艦および海軍艦艇に海峡を通過させない」と挑発した。 その直後、1983年8月31日から9月1日にかけて大韓航空007便がアンカレッジを飛び立ってから大きく航路を逸脱、NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)が設定した緩衝空域と飛行禁止空域を突っ切ってソ連領空を2度にわたって侵犯、サハリン沖で撃墜されたと言われている。 一連の出来事はスウェーデン人のソ連感に影響を与えた。1980年までソ連を脅威と考える人は国民の5~10%に過ぎなかったのだが、事件後の83年には40%へ跳ね上がり、軍事予算の増額に賛成する国民も増える。1970年代には15~20%が増額に賛成していただけだったが、事件後には約50%へ上昇しているのだ。そして1986年2月28日、パルメ首相は射殺された。(Ola Tunander, “The Secret War Against Sweden”, 2004) アメリカではジミー・カーター大統領の国家安全保障補佐官だったズビグネフ・ブレジンスキーがソ連に対する戦争をアフガニスタンで開始している。1979年7月にはアメリカとイスラエルの情報機関に関係していた人びとがエルサレムで会議を開き、ソ連に対するイメージ戦争について話し合っている。 この会議を主催したのはイスラエルのシンクタンクで情報機関との関係が深いとされているジョナサン研究所。その名称は1976年7月、ウガンダのエンテベ空港襲撃の際に死亡したイスラエルの特殊部隊員、ヨナタン・ネタニアフに由来している。後にイスラエルの首相となるベンヤミン・ネタニアフはその弟だ。 1981年1月にアメリカの大統領となったロナルド・レーガンもソ連に対する軍事的な圧力を強め、イメージ戦争を本格化させる。レーガン大統領はNSDD11に署名、プロジェクト・デモクラシーやプロジェクト・トゥルースがスタートしたのだ。デモクラシーという看板を掲げながら民主主義を破壊し、トゥルースという看板を掲げながら偽情報を流し始めたのだ。今ではインターネット支配も進めている。 こうしたイメージ戦略と並行して支配システムを作り変える動きも勧められている。ひとつの切っ掛けは1957年に作成されたソ連に対する先制核攻撃計画だ。300発の核爆弾をソ連の100都市に落とするという「ドロップショット作戦」が作成され、沖縄が軍事基地化されている。そして1958年、ドワイト・アイゼンハワー政権は核戦争で正規の政府が機能しなくなった場合を想定し、憲法に定められた手続きを経ずに秘密政府を設置する仕組みを作った。いわゆる「アイゼンハワー10」だ。 このシステムはジミー・カーター政権下の1979年にFEMAという形で浮上、ロナルド・レーガン政権ではCOGに発展する。FEMAは2003年から国土安全保障省の下部機関になった。 COGはレーガン大統領がNSDD55を出したところから始まる。そして創設されたのがNPO(国家計画局)。COGは上部組織と下部組織に分かれ、上部組織は「プロジェクト908」。当時、ジョージ・H・W・ブッシュ、ドナルド・ラムズフェルド、リチャード・チェイニー、ジェームズ・ウールジーたちが含まれていた。下部組織は「フラッシュボード」と呼ばれ、ホワイトハウスの役人、将軍たち、CIAの幹部、引退した軍人や情報機関員など数百人で編成された。 スウェーデンはパルメが暗殺された後、アメリカの従属国になった。NATOと緊密な関係を結び、その秘密部隊ネットワークに組み込まれた可能性が高い。あとは公式加盟国になるかどうかだ。
2022.04.18
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東北地方の太平洋沖で発生した大規模な地震によって東電福島第1原発が破壊され、全電源が失われて炉心が溶融したのは13年前の3月11日だった。「過渡期現象記録装置データ」から地震発生から約1分30秒後に冷却水の循環が急激に減少し、メルトダウンが始まる環境になったと元東電社員の木村俊雄は指摘していたが、同じように推測している専門家がいる。「津波」はその事実を隠蔽するために考えられた物語だとしか考えられない。 事故前に原子力安全基盤機構が作成した炉心溶融のシミュレーション映像を見ると、全電源喪失事故から30分ほど後にメルトダウンが始まると推測している。約1時間後には圧力容器の下にデブリ(溶融した炉心を含む塊)が溜まり、約3時間後に貫通して格納容器の床に落下、コンクリートを溶かしてさらに下のコンクリート床面へ落ち、格納容器の圧力が上昇、外部へガスが漏洩し始めるというシナリオだ。 日本は地震国であり、しばしば大規模な地震が起こってきた。地震が起こらない場所はないだろう。そうした場所に建設された原子力発電所が地震で破壊されることは必然であり、炉心溶融のような大事故が引き起こされるのは時間の問題だった。だからこそ少なからぬ原子力や地震の専門家が原発の危険性を訴えていたのだが、彼らも危機が迫っているとは考えていなかったようだ。 ところで、日本の原発は核兵器開発と密接に関係している。日本の核兵器開発は第2次世界大戦中に始まった。理化学研究所の仁科芳雄を中心とした陸軍の二号研究は1943年1月にスタート、海軍も京都帝大とF研究を検討していた。仁科グループは1944年3月に濃縮実験を開始、福島県石川郡でのウラン採掘を決めている。海軍は上海の闇市場で130キログラムの二酸化ウランを手に入れたという。 その日本へドイツは1945年の初め、1200ポンド(約540キログラム)の二酸化ウランを潜水艦(U234)で運ぼうとしたが、5月1日にアメリカの軍艦に拿捕されてしまう。その際、潜水艦に乗り込んでいた日本人士官は自殺、そのウラン化合物はオーク・リッジへ運ばれたとされている。アドルフ・ヒトラーの側近、マルチン・ボルマンはこのUボートに対し、アメリカの東海岸へ向かわせ、暗号などを除く積み荷をアメリカ海軍へ引き渡すように命じていたという。(Simon Dunstan & Gerrard Williams, “Grey Wolf,” Sterling, 2011) 大戦後、日本は核開発を再開する。1954年3月に中曽根康弘は原子力予算(2億3500万円)を国会に提出、修正を経て予算案は4月に可決された。その背景には1953年12月にドワイト・アイゼンハワー米大統領が国連総会で行った「原子力の平和利用」という宣言があり、日本もその主張を踏襲しているが、実態は違った。 岸信介は1957年5月に参議院で「たとえ核兵器と名がつくものであっても持ち得るということを憲法解釈」として持っていると答弁、59年3月には参議院予算委員会で「防衛用小型核兵器」は合憲だと主張。岸の弟、佐藤栄作が総理大臣に就任すると、日本の核武装が具体的に検討され始めた。(Seymour M. Hersh, “The Price of Power”, Summit Books, 1983) NHKが2010年10月に放送した「“核”を求めた日本」によると、1965年に訪米した佐藤首相はリンドン・ジョンソン米大統領に対し、「個人的には中国が核兵器を持つならば、日本も核兵器を持つべきだと考える」と伝えている。こうした日本側の発言に対し、ジョンソン政権は日本に対し、思いとどまるよう伝えたという。 佐藤は1967年に訪米した際、「わが国に対するあらゆる攻撃、核攻撃に対しても日本を守ると言うことを期待したい」と求め、ジョンソン大統領は「私が大統領である限り、我々の約束は守る」と答えたと言われている。この年、「動力炉・核燃料開発事業団(動燃)」が設立された。(「“核”を求めた日本」NHK、2010年10月3日) シーモア・ハーシュによると、1969年にスタートしたリチャード・ニクソン政権で大統領補佐官に就任したヘンリー・キッシンジャーは日本の核武装に前向きだった。彼はスタッフに対し、日本もイスラエルと同じように核武装をすべきだと語っていたという。(Seymour M. Hersh, “The Samson Option,” Random House, 1991) 佐藤政権で核武装を目指し始めたグループは、10年から15年の期間で核武装できると想定、具体的な調査を始める。その中心は内閣調査室の主幹だった志垣民郎。調査項目には核爆弾製造、核分裂性物質製造、ロケット技術開発、誘導装置開発などが含まれ、技術的には容易に実現できるという結論に達している。原爆の原料として考えられていたプルトニウムは日本原子力発電所の東海発電所で生産することになっていたという。志垣らは高純度のプルトニウムを年間100キログラム余りを作れると見積もっていた。(「“核”を求めた日本」NHK、2010年10月3日) 内閣調査室は1952年4月に創設され、国警本部警備第1課長だった村井順が初代室長に就任している。後に綜合警備保障を創設する人物だ。 村井は1953年9月から3カ月の予定で国外に出ているが、その名目は中曽根と同じようにスイスで開かれるMRA大会への出席だった。MRAはCIAの別働隊で、村井が国外へ出た本当の理由は西ドイツのボンに滞在していたアレン・ダレスCIA長官に会い、新情報機関に関する助言を得ることにあったとされている。 核武装については自衛隊も研究していたことが明らかになっている。1969年から71年にかけて海上自衛隊幕僚長を務めた内田一臣は、「個人的に」としているが、核兵器の研究をしていたと告白しているのだ。実際のところ、個人の意思を超えた動きも自衛隊の内部にあったとされている。(毎日新聞、1994年8月2日) 1972年2月にリチャード・ニクソン米大統領は中国を訪問したが、それまでの交渉過程でキッシンジャーは周恩来に対して日本の核武装について話している。シーモア・ハーシュによると、アメリカと中国が友好関係を結ぶことに同意しないならば、アメリカは日本に核武装を許すと脅したというのだ。日本の核武装はアメリカの共和党政権にとって、中国と交渉するうえでの重要なカードだった言える。 ジミー・カーター政権がスタートした1977年に東海村の核燃料再処理工場(設計処理能力は年間210トン)が試運転に入った。2006年までに1116トンを処理、その1パーセントのプルトニウムが生産されるとして10トン強、その1パーセントは誤差として認められるので、0.1トンになる。計算上、これだけのプルトニウムを「合法的」に隠し持つことができる。 しかし、カーター政権は日本が核武装を目指していると疑い、日米間で緊迫した場面があったと言われている。アメリカが疑惑を深めた一因は「第2処理工場」を建設する際の条件だった「平和利用」が東海村の処理工場にはついていなかったことにもある。 日本が核武装を目指していると信じられている一因はリサイクル機器試験施設(RETF)の建設を計画したことにある。RETFとはプルトニウムを分離/抽出することを目的とする特殊再処理工場で、東海再処理工場に付属する形で作られることになった。常陽やもんじゅで生産した兵器級プルトニウムをRETFで再処理すれば、30発以上の核兵器を日本は製造できるということだ。 アメリカ政府が東海村のRETFに移転した技術の中に「機微な核技術」、例えば小型遠心抽出機などの軍事技術が含まれていることがわかっている。この事実は環境保護団体のグリーンピースも1994年に指摘している。(Greenpeace International, "The Unlawful Plutonium Alliance", Greenpeace International, 1994) ジャーナリストのジョセフ・トレントによると、ロナルド・レーガン政権の内部には日本の核兵器開発を後押しする勢力が存在し、東京電力福島第1原子力発電所で炉心が溶融する事故が起こった2011年当時、日本は約70トンの核兵器級プルトニウムを蓄積していたという。(Joseph Trento, “United States Circumvented Laws To Help Japan Accumulate Tons of Plutonium”) 日本の核兵器開発が進む切っ掛けは、CRBR(クリンチ・リバー増殖炉)計画の挫折。1987年に議会はクリンチ・リバーへの予算を打ち切るのだが、そこで目をつけられたのが日本。トレントによると、この延命策を指揮することになったリチャード・T・ケネディー陸軍大佐はクリンチ・リバー計画の技術を格安の値段で日本の電力会社へ売ることにしたのだ。 日本のカネを利用するというプランに国務省やエネルギー省は賛成した。核武装した日本はアジアにおけるアメリカの軍事負担を軽減させると考えた国防総省もプルトニウムや核に関する技術の日本への移転に反対しなかったという。 その後、毎年何十人もの科学者たちが日本からクリンチ・リバー計画の関連施設を訪れ、ハンフォードとサバンナ・リバーの施設へ入る。中でも日本人が最も欲しがった技術はサバンナ・リバーにある高性能プルトニウム分離装置に関するもので、RETFへ送られた。 アメリカのエネルギー省と動燃(現在の日本原子力研究開発機構)との間で取り交わした協定では、核兵器級のプルトニウムをアメリカの同意なしに第三国(例えばイスラエル)へ輸出したり、アメリカの事前承認なしに核燃料を再処理してプルトニウムを取り出したりすることが可能だった。(Joseph Trento, “United States Circumvented Laws To Help Japan Accumulate Tons of Plutonium”) ちなみに、福島第1原発で警備を担当していた会社はイスラエルのマグナBSP。セキュリティ・システムや原子炉を監視する立体映像カメラが原発内に設置、事故時、スタッフを訓練していたとエルサレム・ポスト紙やハーレツ紙が伝えている。 核兵器を保有し、それを使って周辺国を脅せば自分の思い通りになると信じている人たちが日本にはいる。そのひとりが石原慎太郎だった。2011年3月8日付けのインディペンデント紙に石原のインタビュー記事が掲載されているのだが、その中で日本の核兵器保有について語っている。 石原によると、外交とは核兵器で相手を脅すことであり、これさえ保有していれば中国も尖閣諸島に手を出さない。彼に強国と知性で渡り合うという芸当はできず、「暴力手段」を欲しがるわけだ。石原は中国、朝鮮、ロシアを「敵」だと表現、その「敵」を恫喝するために核兵器は必要だと考えている。発想がネオコンと同じだ。 ところで、「核の冬」に匹敵するダメージを敵国に与えられる兵器をアメリカ国防総省は開発しているとロシア国防省は主張している。ロシア政府が昨年4月に発表した報告書によると、兵士だけでなく動物や農作物にダメージを与え、相手国を完全に破壊して生態系に影響を与える「万能生物兵器」をアメリカの研究者がウクライナで研究開発していたとしている。昆虫、哺乳類、野鳥を利用して人間を攻撃する病原体の伝播に特別な注意を払っているという。この「万能生物兵器」を西側では「ワクチン」と呼んでいるのではないだろうか。 ジャーナリストのディリヤナ・ゲイタンジエワによると、アメリカ国防総省はドニプロ、ミコライフ、リビフ、ウジホロド、テルノポリ、ビンニツヤ、キエフに研究施設を2010年から13年の間に建設したとしている。 また、サーシャ・ラティポワは情報公開法によって入手した文書を分析した結果、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動はアメリカ国防総省がバラク・オバマ政権の時代に始めた作戦だという結論に達したという。日本の「ワクチン」政策は国防総省の命令に基づいている可能性がある。
2024.03.13
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日本では5月3日を「憲法記念日」と定め、祝日のひとつにしている。現行憲法は「明治節」の11月3日に公布され、5月3日に施行、それを記念してのことだという。 ちなみに「紀元節(建国記念の日)」の2月11日、天皇誕生日の2月23日、「昭和節(昭和の日)」の4月29日、「新嘗祭(勤労感謝の日)」の11月23日、そして「春季皇霊祭(春分の日)」と「秋季皇霊祭(秋分の日)」も祝日だ。 憲法を掲げる国の基本理念は、その第1条を見れば想像がつく。「日本国憲法」の場合、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」。その後第8条まで皇室に関する規定が続く。 日本人が中国から引き揚げ始めていた1945年3月から46年12月にかけての時期に上海で生活していた堀田善衞は上海の大学で憲法草案について講演させられたという。その際、草案の第1条について「日本人はまだ天皇制を温存するつもりか」と質問されて困ったという。(堀田善衞著『めぐりあいし人びと』集英社、1993年) 「あなた方日本の知識人は、あの天皇というものをどうしようと思っているのか?」と噛みつくような工合に質問されたこともあるという(堀田善衞著『上海にて』筑摩書房、1959年)が、「知識人」を含む日本の人びとは天皇をどうもせず、アメリカと日本の支配層は天皇制を温存させることに成功、大多数の日本人はそれを受け入れた。 加藤周一は大正デモクラシーについて「天皇制官僚国家の構造の民主化ではなく、帝国憲法の枠組のなかでの政策の民主化、または自由主義的な妥協である」(加藤周一著『日本文学史序説』筑摩書房、1975年)と説明しているが、「戦後民主主義」の実態も大差はない。支配構造の民主化を意味しているわけではなく、天皇制官僚国家という枠組みの中における政策的な民主化を意味しているにすぎないということだ。 日本が降服した後、東アジアでは日本軍の将校、下士官、兵士が処刑されているが、支那派遣軍総司令官だった岡村寧次大将や生物化学兵器の研究開発に絡んで生体実験を指揮していた石井四郎中将のような軍人はアメリカ軍が保護している。 そのほか、有末精三陸軍中将、河辺虎四郎陸軍中将、辰巳栄一陸軍中将、服部卓四郎陸軍大佐、中村勝平海軍少将、大前敏一海軍大佐のような軍幹部がアメリカの軍や情報機関の手先として活動、「KATO(あるいはKATOH)機関」と呼ばれていたことは有名だ。大戦前、思想や言論を統制するシステムの中核だった思想検察や特別高等警察の人脈は戦後も生き残り、要職についている。 第2次世界大戦で日本は「ポツダム宣言」を受諾、つまり無条件降伏した。連合国は「戦争犯罪人」を裁く極東国際軍事裁判(東京裁判)を1946年年から48年にかけて実施、7名が絞首刑になっているが、公平性を欠くと批判する人がいるのは当然だろう。 最も奇怪だと言われているのは「最高責任者」が視界から消えていること。東京裁判や新憲法制定を急いだのはアメリカ以外の連合国の日本に対する影響力が強まる前に戦後日本も「天皇制官僚体制」を維持することを決めてしまいたかったからではないのだろうか。 明治維新以降、日本は米英金融資本の影響下にあった。関東大震災の後はウォール街に君臨していたJPモルガンだ。その時代に日本では治安体制が強化されている。 関東大震災の翌日、総理大臣に任命されたのは山本権兵衛。その政府で大蔵大臣を務めた井上準之助と緊密な関係にあったJPモルガンは日本へ多額の融資をしている。その半分以上は電力業界へ流れた。(NHK取材班編『日本の選択〈6〉金融小国ニッポンの悲劇』角川書店、1995年) アメリカでは1932年に大統領選挙があり、ウォール街が担いでいたハーバート・フーバーがニューディール派のフランクリン・ルーズベルトに敗れてしまう。ニューディール派を潰すためにウォール街の金融資本は1933年から34年にかけての時期にクーデターを計画、その際に金融資本はファシズム体制の樹立を口にしていたした。この計画を潰したのは海兵隊の伝説的な軍人だったスメドリー・バトラー退役少将だ。 フーバーは1932年、駐日大使としてジョセフ・グルーを日本へ送り込んだ。その年、血盟団は井上準之助や団琢磨らを暗殺している。 グルーのいとこはJPモルガンを率いていたジョン・ピアポント・モルガン・ジュニアの妻になっていた。グルーの妻、アリスは父親のトーマス・ペリーが慶応大学の教授に就任したことから少女時代、日本で3年ほど過ごし、その間に女学校へ通っている。アリスの曽祖父にあたるオリバーはアメリカ海軍の英雄で、その弟であるマシューは「黒船」で有名だ。 第2次世界大戦でドイツが降伏する直前、1945年4月にルーズベルト大統領が急死、ホワイトハウスの実権をウォール街が奪還した。降伏した後の日本はウォール街の人脈を後ろ盾とする「ジャパン・ロビー」と呼ばれるグループがコントロール、そのグループの中核的な団体が1948年6月に設立された「ACJ(アメリカ対日協議会)」、その中心人物がジョセフ・グルーだった。
2024.05.02
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今から10年前、2014年の5月2日にウクライナのオデッサで反クーデター派の住民がネオ・ナチの集団に虐殺された。ネオ・ナチを操っていたのはアメリカのバラク・オバマ政権だ。 その日の午前8時にオデッサへ到着した列車にはサッカー・ファンの一団が乗っていたのだが、その一団をネオ・ナチの「右派セクター」が挑発、ネオ・ナチ主導のクーデターを拒否していた住民の活動拠点だった広場へ誘導していく。ナチズムが浸透していたサッカー・ファンと反クーデターと反クーデター派住民とは対立関係にあった。その一方、広場に集まっていた住民に対し、ネオ・ナチのメンバーは右派セクターが襲撃してくるので労働組合会館へ避難するように説得、女性や子どもを中心に住民は建物の中へ逃げ込んだ。その建物の中で住民はネオ・ナチのグループに虐殺される。 焼き殺された人もいたが、撲殺したり射殺した後、焼かれた人もいたようだ。その際、屋上へ逃げられないよう、ネオ・ナチはドアはロックしていた疑いがある。このとき50名近くの住民が殺されたと伝えられているが、これは地上階で確認された死体の数にすぎない。地下室で惨殺された人を加えると120名から130名になると現地では言われている。 この虐殺の前、4月12日にCIA長官だったジョン・ブレナンがキエフを極秘訪問、14日にはクーデター政権が東部や南部の制圧作戦を承認し、22日にはジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪れ、その直後から軍事力の行使へ急速に傾斜していった。バイデンのキエフ入りに合わせ、クーデター政権は会議を開いてオデッサ攻撃について話し合っている。5月2日の虐殺をその結果だ。 旧ソ連圏では第2次世界大戦でドイツに勝利した5月9日は戦勝記念日として祝われていた。ウクライナの東部でも住民が外へ出て祝うことが予想されたいたが、バラク・オバマ政権を後ろ盾とするクーデター政権はそれを狙い、キエフのクーデター政権は東部のアルドネツク州マリウポリ市に戦車を突入させ、住民を殺しはじめる。 それに対し、マリウポリの住民は素手で抵抗を始めるが、クーデター政権はネオ・ナチを中心に編成した内務省のアゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)を送り込んで制圧、拠点にした。 6月2日にクーデター政権はルガンスクの住宅街を空爆、住民を殺しているが、その日、デレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りしていた。住宅の爆撃を西側やキエフ政権は否定していたが、インターネット上にアップロードされた映像を見れば、空爆が行われた可能性は高いことがわかる。OSCE(欧州安保協力機構)も空爆があったことを認めていた。
2024.05.04
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アメリカの親イスラエル派、一般に「ネオコン」と呼ばれている勢力はウクライナでも体制を乗っ取ろうとしているわけだが、その手先として最前線で活動中のビクトリア・ヌランド国務次官補は昨年12月13日、工作資金として50億ドルを投入していることを明らかにしている。ウクライナの体制を転覆させるために50億ドル、ざっと5000億円を使っていると公言しているのだ。 ジョン・マケイン上院議員と同じように、ヌランドはウクライナで公然と反ロシア勢力を支援してきた。こうした工作の担当として国務次官補に任命されたとも言える。何しろ彼女が結婚した相手はネオコンの大物、ロバート・ケーガンだ。 このヌランドがジェオフリー・パイアット駐ウクライナ大使と電話で話し合っている内容が今月、YouTubeで明らかにされた。その中でヌランドの口から「EUなんかくそくらえ(F*ck the EU)」という下品な言葉が飛び出し、話題になったが、問題は別のところにある。ウクライナの閣僚をどうするか検討していたのだ。 また、オランダのロバート・セリー元駐ウクライナ大使が国連特使としてキエフへ派遣されるとジェフリー・フェルトマン国連事務次長から聞いたともヌランドは話している。その決定をヌランドは歓迎、そして「EUなんかくそくらえ」という表現が出てくるわけだ。EUより国連の方がネオコンの意向に沿った動きをしているということなのだろう。確かに、シリアなどでもそうだった。 また、欧州対外行動庁(EEAS)のヘルガ・シュミット事務次長と駐ウクライナEU大使のヤン・トムビンスキーとの会話もアップロードされ、その中でシュミット事務次長はアメリカからEUの対応が生ぬるいと言われていることを明らかにしている。 EUを生ぬるいと批判しているネオコンが何をしているかというと、ファシストを使った暴力行為だ。ネオ・ナチの「スボボダ(全ウクライナ連合『自由』)」は反政府行動で棍棒、ナイフ、火焔瓶を手にし、ブルドーザーを持ち出してウクライナ政府を挑発、警官隊と衝突してきた。抗議行動を撮影した映像や写真の中に3本指の旗を見つけたなら、それはスボボダのものだ。ちなみにスボボダの旧党名は「ウクライナ社会ナショナル党」であり、ナチは「ナショナル社会主義党」。 ウクライナのナショナリストはOUNという団体の流れをくんでいる。この団体は1929年に創設され、イギリスの対外情報機関MI6と結びついた後、1938年頃にナチと手を組み、1941年にドイツ軍がウクライナを占領すると「新秩序」の障害になると考えられていた人々、つまりユダヤ人、ロシア人、知識人、コミュニストなどの虐殺していった。このときにOUNは勝手に独立を宣言、ドイツとの関係が悪化するが、1944年にソ連軍と戦うため、ドイツ軍へ合流している。 戦後、OUNの幹部は再びMI6に結びつく。OUNのリーダーだったステファン・バンデラが1948年にMI6に雇われているが、その2年前、1946年にバンデラの側近だったヤロスラフ・ステツコはMI6のエージェントになり、ABN(反ボルシェビキ国家連合)の議長に就任している。この団体は1966年にAPACL(アジア人民反共連盟/後のアジア太平洋反共連盟)と合体し、WACL(世界反共連盟)になった。 反政府行動ではスボボダのほか、アフガニスタン、チェチェン、グルジアといったカフカス地方での戦闘を経験したグループも参加しているようだが、そうした中にはシリアで反政府軍に加わっていた人もいるようだ。今年1月、シリアからウクライナへ約350名が入ったという情報もあり、オリンピック期間中に何らかの動きがあるのではないかと考えている人もいる。
2014.02.16
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イギリスのガーディアン紙はドナルド・トランプ陣営の選対本部長だったポール・マクフォートと内部告発支援グループであるウィキリークスのジュリアン・アッサンジがロンドンのエクアドル大使館で3回会ったとする記事を11月27日に掲載したが、その直後に主張をトーンダウンさせた。匿名の情報源はそう言っているが、編集部は確認していないという曖昧な表現に変更したのだ。最初の記事が出たすぐ後、マクフォートもウィキリークスも報道を全面否定していた。 記事が出た日、マクフォートがFBIに嘘を話したとする話がFBIから出た。今年(2018年)9月にマクフォートは特別検察官のロバート・マラーと司法取引したが、マラーが期待した話を得られなかったようだ。 司法取引が冤罪を生み出す仕組みだということは公然の秘密。支配層が何らかの事情でターゲットを収監したいと考えた場合に使われる。 本ブログでも繰り返し書いてきたように、「ロシアゲート」はヒラリー・クリントンを担いでいたアメリカの支配層やイギリスの情報機関によるでっち上げ。2016年のアメリカ大統領選挙にロシア政府が介入したという主張だが、そうした疑惑の存在を裏付ける事実は示されてこなかった。 アメリカの電子情報機関NSAで最高の分析官のひとりと言われ、同機関の不正を内部告発したことでも知られているウィリアム・ビニーによると、この疑惑が事実ならNSAから通信の傍受記録を取り寄せるだけで決着が付く。NSAは全ての通信を傍受、記録しているからだ。 ビニーを含む専門家が指摘しているように、技術的な分析からクリントンの電子メールはハッキングではなく内部からのリークだった可能性が高いことがわかっている。 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュによると、電子メールをウィキリークスへ渡したのはDNC(民主党全国委員会)のスタッフだったセス・リッチであり、その漏洩した電子メールをロシア政府がハッキングしたとする偽情報を流たのは2013年3月から17年1月までCIA長官を務めたジョン・ブレナンだという。 ブレナンが長官に就任した2013年の夏、NSAの監視システムに関する内部告発を行ったエドワード・スノーデンから受け取ったデータの入ったパソコンをガーディアン紙の編集部は当局の命令に応じて破壊している。 勿論、ガーディアン紙は反体制でも左翼でもなかったが、この一件を境にして単なるプロパガンダ機関になったと見る人は少なくない。実際、中東情勢に関しても偽情報を流し続けてきた。 そうしたガーディアン紙の編集部もすぐ軌道修正しなければならないようないい加減な話に基づく記事を載せる新聞もあるようだが。
2018.11.29
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欧米、より正確に言うならばアメリカとイギリスを拠点にしている強大な私的権力はルビコンを渡った。世界制覇のためにロシア、中国、イランといった国々との戦争に乗り出したということだ。 COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動はこの戦争の一環だろう。この騒動を利用して資本主義を大々的にリセットし、「すばらしい新世界」を彼らは築こうとしている。その推進母体が「バチカンを含む包括的資本主義会議」だと言えるだろう。 しかし、西側は古典的な軍事力による脅しも使っている。2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントンが勝利していれば、実行したであろうことだ。 かつてリチャード・ニクソンは、他国にアメリカが何をしでかすかわからない国だと思わせれば、自分たちが望む方向へ世界を導けると考えた。いわゆる「凶人理論」だ。イスラエルのモシェ・ダヤン将軍は、狂犬のように思わせなければならないと語ったが、その意味するところは同じである。ジョー・バイデンを担いでいるシオニストの一派、ネオコンも脅せば屈すると信じている。 しかし、ロシア、中国、イランといった国々は脅しに屈しない。そうした相手を屈服させようとして脅しをエスカレートさせていくと、核戦争に到達する。ヒラリー・クリントンはそうした道を進もうとしていたが、バイデンも同じ道を歩いている。バイデンがそうした道を進むであろうことは予想されていたことだ。 アメリカ海軍の空母シオドア・ルーズベルトに率いられた打撃群が南シナ海に入り、駆逐艦のジョン・マケインは台湾海峡を航行して中国を挑発したと伝えられている。それに対し、中国軍は8機のH-6K爆撃機と4機のJ-16戦闘機を台湾の防空識別圏近くへ派遣し、アメリカの空母に対する模擬攻撃を仕掛けたという。 1982年に勃発した「フォークランド/マルビナス戦争」で水上の艦船はミサイルの餌食になることは明白になっている。アメリカの空母を中心とする艦隊は「張り子の虎」にすぎない。 アメリカ軍は黒海にも艦船を入れようとしたが、すぐにロシア軍は2機のSu-24、2機のSu-27、2機のSu-30を派遣して模擬攻撃を実施したと伝えられている。 黒海へは2014年4月10日に駆逐艦ドナルド・クックが入り、ロシアの国境近くを航行、それに対してロシア軍のSu-24が艦船の近くを飛行している。その直後にこの艦船はルーマニアへ緊急寄港、それ以降はロシアの領海にアメリカ軍は近づかなくなった。ロシア軍機には最新の電子戦用装置が搭載され、ドナルド・クックのイージス・システムは機能不全になったとする話も流れている。その時よりロシア軍の今回の対応は厳しかったと言えるが、相手がルビコンを渡ったと認識しているからだろう。 STRATCOM(戦略軍)のチャールズ・リチャード司令官はロシアや中国と核戦争になる現実的な可能性があると発言しているが、アメリカの恫喝で世界を支配しようという戦術を改めない限り、その懸念は消えない。 アングロ・サクソンは遅くとも1904年、おそらく19世紀から、ユーラシア大陸の沿岸を支配し、内陸部を締め上げていくという長期戦略を持っている。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もその理論に基づく。 アメリカの支配者は1991年12月にソ連が消滅した際、その戦略が成功したと思ったはずだ。アメリカが唯一の超大国になったという前提で国防次官のポール・ウォルフォウィッツたちは国防総省のDPG草案という形で世界制覇プラン、いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンを作成した。 21世紀に入り、ウラジミル・プーチンが曲がりなりにもロシアを再独立させることに成功、ドクトリンの前提が崩れたのだが、ネオコンはプラン通りに世界を制覇しようとしている。つまりロシアと中国を潰そうとしている。 アメリカの支配システムを支えてきたドル体制が揺らぎ始めている現在、「リセット」しなければシステムは崩壊する。それは現在の支配者にとって地獄だ。彼らはシステムを何が何でもリセットし、新しい体制の支配者になろうとしている。 日本は明治維新でアングロ・サクソンの長期戦略に組み込まれた。その戦略を作り上げたイギリスやアメリカの金融資本がホワイトハウスで主導権を失っていた1933年から45年にかけて日本が迷走したのはそのためだ。 しかし、敗戦後に日本は再びウォール街の影響下に入り、1995年2月にはジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表して以来、アメリカの戦争マシーンに組み込まれた。日本はロシアや中国との核戦争と向き合わされているということだ。それを自覚し、覚悟する必要がある
2021.02.12
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岸田文雄首相は4月8日にアメリカを訪問、10日にジョー・バイデン大統領と会談した。アメリカは1992年2月に世界制覇計画(ウォルフォウィッツ・ドクトリン)をスタートさせ、日本をアメリカの戦争マシーンに組み込む方針を明確にしているが、それをさらに推し進めている。自衛隊はアメリカ軍の指揮に従って動く戦闘組織としての色彩をさらに強めることになる。 しかし、今回の会合で明確になったのは、科学技術や教育などの分野でアメリカが日本を支配する仕組みが強化されるということだ。日本はアメリカの完全な植民地になるとも言えるだろう。1995年2月にジョセイフ・ナイ国防次官補(同)が発表した「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」は日本をアメリカの戦争マシーンに組み込むという宣言だ。そこには在日米軍基地の機能を強化、その使用制限の緩和/撤廃が謳われている。 ウォルフォウィッツ・ドクトリンの中で、ドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、新たなライバルの出現を防ぐことが謳われているのだが、細川護煕政権はその要求に従わず、「国連の機能強化への積極的寄与」を打ち出している。 その姿勢に怒ったネオコンのマイケル・グリーンとパトリック・クローニンは友人のカート・キャンベル国防次官補(当時)を介してジョセイフ・ナイ国防次官補(同)に接触、日本の反抗的な姿勢を訴えた。キャンベルは現在、国務副長官を務めている。 日本では1994年6月に自民党、社会党、さきがけの連立政権が成立するのだが、そこから衝撃的な出来事が相次ぐ。例えば1994年6月に長野県の松本でサリン事件、95年3月には東京の地下鉄でサリン事件、その直後には警察庁長官だった國松孝次が狙撃された。8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われるスターズ・アンド・ストライプ紙が日本航空123便に関する記事を掲載、その中で自衛隊の責任を示唆している。日本政府に対する脅しになっただろう。 日本に対するアメリカの軍事的な支配は1995年に確立され、その仕組みの中で戦争体制が築かれてきたのである。南西諸島に自衛隊がミサイルの発射施設を建設した理由もそこにある。 アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書には、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画が記載されている。そうしたミサイルを配備できそうな国は日本だけだと分析されているのだ。 日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされている。 2016年には与那国島でミサイル発射施設が建設され、17年4月には韓国でTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムの機器が運び込まれ始めた。 2013年2月から韓国の大統領を務めた朴槿恵は中国との関係を重要視、THAADの配備に難色を示していたのだが、朴大統領がスキャンダルで身動きできなくなっていたことからミサイル・システムを搬入できたのである。結局、朴槿恵は失脚した。 THAADが韓国へ搬入された後、2019年に奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも自衛隊の軍事施設が完成、ミサイルが配備されることになる。そうした島々に配備されるミサイルは中国、朝鮮、ロシアに向き、必然的に中国、朝鮮、ロシアのミサイルに南西諸島は狙われる。 岸田政権は2022年12月16日に「国家安全保障戦略(NSS)」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」の軍事関連3文書を閣議決定、23年度から5年間の軍事費を現行計画の1.5倍以上にあたる43兆円に増額して「敵基地攻撃能力」を保有することを明らかにした。 今年4月10日の岸田とバイデンとの話し合いでも軍事問題は話題になったようだが、今回の岸田訪米で持ち上がった話ではない。日本は着実にアメリカの戦争マシーンに組み込まれているということである。今回の会談で目立つのは、先端技術の研究開発、経済協力、外交、教育などだ。 現在、イスラエルはガザで破壊と住民虐殺を繰り広げている。その蛮行を支えているのはアメリカ、イギリス、ドイツをはじめとする西側諸国の支援だ。懸念しているようなことを口にしても行動は破壊と虐殺を支えているのだ。 1982年9月にイスラエルはレバノンのパレスチナ難民キャンプ、サブラとシャティーラでパレスチナ人を虐殺している。実行したのはキリスト教勢力、ファランジスト党のメンバーだが、その黒幕はイスラエルにほかならない。ファランジスト党の武装勢力はイスラエル軍の支援を受けながら無防備の難民キャンプを制圧、その際に数百人、あるいは3000人以上の難民が殺されたと言われている。 今回の虐殺は4万人を超しているとも言われているが、3000人でも虐殺と言える。その虐殺を見て、イギリス労働党の内部ではイスラエルの責任を問い、パレスチナを支援する声が大きくなる。さらに、イスラエルを支えているアメリカへも批判の目は向けられてイギリスとアメリカとの関係に暗雲が垂れ込めた。 そうした情況を懸念したアメリカのロナルド・レーガン政権はイギリスとの結びつきを強めようと考え、メディア界の大物を呼び寄せて善後策を協議。そこで組織されたのがBAP(英米後継世代プロジェクト)だ。アメリカとイギリスのエリートを一体化させることが目的だが、その特徴のひとつは少なからぬメディアの記者や編集者が参加していたことにある。今回の虐殺で西側の有力メディアがイスラエルを後押ししている理由のひとつはここにあると言えるだろう。 そうした中、トニー・ブレアはイスラエルに接近。1994年1月に彼は妻と一緒にイスラエルへ招待され、3月にはロンドンのイスラエル大使館で富豪のマイケル・レビーを紹介された。その後、ブレアの重要なスポンサーになるのだが、言うまでもなく真のスポンサーはイスラエルだ。アメリカだけでなく、イギリスにもイスラエル・ロビーが存在するのである。 そのブレアが労働党の党首になるチャンスが1994年に訪れる。当時の党首、ジョン・スミスがその年の5月に急死、その1カ月後に行われた投票でブレアが勝利して新しい党首になり、1997年5月から2007年6月にかけて首相を務めた。。 こうしたブレアのネオコン的な政策に労働党の党員は反発、2015年9月からジェレミー・コービンが党首を務めることになる。労働党的な政策を推進しようとした政治家で、WikiLeaksのジュリアン・アッサンジを支援、イスラエルのパレスチナ人虐殺を批判している。 そうした姿勢に米英の支配層は怒り、アメリカやイギリスの情報機関はコービンを引きずり下ろそうと画策、有力メディアからも「反ユダヤ主義者」だと攻撃され、2020年4月4日に党首の座から引き摺り下ろされ、キア・スターマーに交代した。 スターマーはイスラエルに近く、妻ビクトリア・アレキサンダーの家族はユダヤ系だということをアピールしている。彼女の父系家族はポーランドから移住してきたユダヤ人で、テル・アビブにも親戚がいるのだということを宣伝していた。イスラエル軍によるガザにおける住民虐殺にスターマーは反対していない。 アメリカの支配層は自分たちの支配システムを強化するため、人のコントロールを重視する。アングロ・サクソンの支配者は留学で有望な若者を集め、自分たちにとって都合が良い考え方をするように洗脳して母国へ送り返すという手法をとってきたが、日本に対しても、その仕組みを強化しそうだ。岸田とバイデンとの会談でも新たな学生交流に力を入れ、日米の次世代リーダーを育成するとしている。 オーストラリア、イギリス、アメリカは2021年9月に「AUKUS」なる軍事同盟を創設したが、そこへ日本とフィリピンを加盟させる意向だとも言われている。 オーストラリアではAUKUSの戦略的意図を実現するため、教育、研究部門を積極的に参加させるとしているが、オーストラリア41大学のうち29大学がアメリカの国防総省から資金援助を受けている。そのうち主要8大学グループが受け取った金額は総額の79%を占めるという。研究自体より、アカデミー支配を目的にしているのだろう。教授たちをカネの力で籠絡するだけでなく、次世代のエリートを洗脳してアメリカの支配システムに組み込もうとしているはずだ。日本でも似たようなことが起こっているだろう。
2024.04.23
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アメリカ下院でウクライナ、イスラエル、台湾への一括支援法案が可決されたのは4月20日のことだった。24日にはジョー・バイデン大統領が署名している。総額950億ドルのうちウクライナ向けが610億ドル、イスラエル向けが260億ドル、台湾など東アジア向けが80億ドルだ。 支援の対象になるウクライナの現体制は2013年11月から14年2月にアメリカ政府がネオ・ナチを利用して仕掛けたクーデターで出現、アングロ・サクソンの支配者が19世紀から計画しているロシア征服に王手をかけようとしたのだが、東部と南部の人びとがクーデターを拒否、東部のドンバスで内戦が始まった。実態はアメリカ/NATOの侵略戦争に他ならない。 イスラエルはイギリスがシオニストを利用し、パレスチナに作り上げた国だ。今では石油が中東支配の大きな目的になっているが、石油発見の前はスエズ運河がイギリスの戦略上、大きな意味があった。 スエズ運河はフランスのフェルディナン・ド・レセップスが1869年に完成させたが、その発端は1798年にナポレオン・ボナパルトが古代の水路跡を見つけたところから始まる。ナイル川から紅海へ抜ける運河が紀元前に建設されていたのだ。 イギリスの首相だったベンジャミン・ディズレーリは友人のライオネル・ド・ロスチャイルドの資金で1875年にその運河を買収。1881年に死亡するが、その直後からエドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルドはテル・アビブを中心にパレスチナの土地を買い上げ、入植するユダヤ人へ資金を提供しはじめた。 1917年にイギリスの外相だったアーサー・バルフォアはウォルター・ロスチャイルドへ書簡を出している。「イスラエル建国」に向かって進む切っ掛けになった「バルフォア宣言」だ。その中で「イギリス政府はパレスチナにユダヤ人の民族的郷土を設立することに賛成する」と約束したのだが、この宣言を実際に書いたのはアルフレッド・ミルナーだと言われている。 ミルナーはセシル・ローズを中心とするグループの主要メンバーだったが、バルフォア自身もローズのグループに所属していた。そうしたこともあり、イギリス支配層はパレスチナ人(先住のアラブ系住民)を弾圧する一方、ユダヤ人の入植を進めた。 それに対し、1920年代に入るとパレスチナのアラブ系住民は入植の動きに対する反発を強めるのだが、そうした動きを抑え込むため、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用した。この組織はIRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立され、殺人、放火、略奪など残虐さで有名だった。 1933年にドイツでは国会議事堂放火事件が引き起こされ、それを利用してナチスが実権を握るが、この年の8月にシオニストはナチス政権との間でユダヤ系ドイツ人をパレスチナへ移住させることで合意した。「ハーバラ合意」だが、「ユダヤ人弾圧」でパレスチナへ向かったユダヤ人はシオニストの予想を下回った。1938年11月にナチスはユダヤ人を襲撃、多くの人が殺され、収容所へ入られ始めるが、それ以降もユダヤ教徒はパレスチナでなく、アメリカやオーストラリアへ逃れている。そこで目をつけられたのがイラクに住むユダヤ教徒だった。 パレスチナに住むアラブ系住民を排除するため、シオニストは1948年4月4日に「ダーレット作戦」を発動、8日にデイル・ヤーシーン村でアラブ系住民を虐殺している。アラブ人を脅し、追い出そうとしたのだ。 この作戦が始まるまでにエルサレム旧市街の周辺へユダヤ人が集中的に移民、人口の3分の2を占めるまでになっていた。この作戦は1936年から39年にかけて行われたパレスチナ人殲滅作戦の詰めだったという見方もある。 ダーレット作戦はハガナ(ユダヤ人の武装グループで、後にイスラエルの国防軍になった)が中心になって実行されたが、その副官を務めていたイェシュルン・シフがエルサレムでイルグンのモルデチャイ・ラーナンとスターン・ギャングのヨシュア・ゼイトラーに会い、ハガナのカステル攻撃に協力できるかと打診している。イルグンとスターン・ギャングは協力することになる。 襲撃直後に村へ入った国際赤十字のジャック・ド・レイニエールによると、254名が殺され、そのうち145名が女性、35名は妊婦だった。イギリスの高等弁務官だったアラン・カニンガムはパレスチナに駐留していたイギリス軍のゴードン・マクミラン司令官に殺戮を止めさせるように命じたが、拒否されている。ハガナもイルグンとスターン・ギャングを武装解除しようとはしなかった。(Alan Hart, “Zionism Volume One”, World Focus Publishing, 2005) この虐殺を知ったアラブ系住民は逃げ出す。約140万人いたパレスチナ人のうち5月だけで42万3000人がガザ地区やトランスヨルダン(現在のヨルダン)に移住、その後1年間で難民は71万から73万人に達したと見られている。イスラエルとされた地域にとどまったパレスチナ人は11万2000人。そして5月14日にイスラエルの建国が宣言された。国際連合は同年12月11日に難民の帰還を認めた194号決議を採択したが、現在に至るまで実現されていない。そして同年5月14日にイスラエルの建国が宣言された。アラブ諸国の軍隊が参戦するのはその翌日からだ。 シオニストの中でも特に狂信的な集団はウラジミール・ヤボチンスキーの「修正主義シオニスト世界連合」。ヤボチンスキーは晩年、アメリカへ移住するが、そこで彼の秘書を務めた人物がベンシオン・ネタニヤフ、現イスラエル首相のベンヤミン・ネタニヤフの父親だ。 このグループはユーフラテス川とナイル川で挟まれている地域はユダヤ人の所有物だと考えている。その地域を実際に支配しようとしてきた。いわゆる「大イスラエル構想」だ。ユダヤ教の宗教書であるトーラー(キリスト教徒が言う旧約聖書のうちモーセ5書)がその根拠だとされているが、トーラーによると土地を所有しているのは神であり、ユダヤ教徒はトーラーを守るという条件の下でその土地に住むことを許されたにすぎない。 ロスチャイルド資本はウクライナでも暗躍している。クーデターの後にウクライナ国債の価格は下落、フランクリン・テンプルトンというファンドは額面総額50億ドルの国債を買ったというが、このファンドを操っているのはロスチャイルド資本だ。 破綻した国の国債を安値で買いあさり、満額で買い取らせるというのが「ハゲタカ・ファンド」のやり口。ウクライナにはIMFがカネを貸しているが、そのカネでファンドの要求通りに支払うことができる。債権者になったIMFは債務者である破綻国の政府に対して緊縮財政を要求、庶民へ回るカネを減らさせる。規制緩和や私有化の促進で国の資産を巨大資本に叩き売らせ、大儲けさせてきた。 現在、欧米の有力企業は「闇の銀行」と呼ばれるファンドに支配されている。どの代表格がブラックロック、バンガード、ステート・ストリートだ。軍需産業も医療産業もその配下にある。 ウクライナの場合、西側から供給される兵器や「復興資金」の使い道についてアドバイスしているのがブラックロックだという。ブラックロックを率いるラリー・フィンクはウクライナとのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と関係が深い。そのほか、JPモルガンやゴールドマン・サックスともゼレンスキー政権は協力関係にある。 ちなみに、クーデターが始まる前年の2012年5月にジェイコブ・ロスチャイルドとデイビッド・ロックフェラーは手を組んでいる。ジェイコブ・ロスチャイルド氏が率いる投資会社RITキャピタル・パートナーズがデイビッド・ロックフェラーのロックフェラー・ファイナンシャル・サービシズが発行している株式の37%を取得すると発表したのだ。 ウクライナにおける怪しげな工作で中心的な役割を果たしていると見られているのが「ブリスマ」だ。この会社はミコラ・ズロチェフスキーが設立したウクライナのエネルギー会社で、その重役には元ポーランド大統領のアレクサンデル・クファシニェフスキー、元CIA高官のジョセフ・コファー・ブラック、ジョー・バイデン大統領の息子であるハンター・バイデンも名を連ねていた。ブラックはブラックウォーター(後にXe、そしてアカデミに名称変更)の副会長を務めている。 2014年4月16日、ハンター・バイデンはビジネスパートナーであるデボン・アーチャーとホワイトハウスで会談し、その5日後にはウクライナを訪問、アーチャーは4月22日に、またハンターは5月12日にそれぞれブリスマの取締役会に加わった。2014年11月から15年11月までの期間、ブリスマはハンターやアーチャーが経営するロズモント・セネカ・ボハイなる会社へ350万ドル支払っている。アーチャーはサリバンと同じようにエール大学の出身。そこでルームメートだった人物がジョン・ケリー元国務長官の義理の息子であるクリス・ハインツだ。 ウクライナでアメリカ国防総省は生物兵器の研究開発を行っていたが、そのプロジェクトにロズモント・セネカ・パートナーズも参加していた。そのほこビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、クリントン財団、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団、ロックフェラー財団、エコヘルス同盟などから資金が出ていた。ジョー・バイデン、バラク・オバマ、ヒラリー・クリントン、ジョージ・ソロス、ハンター・バイデンなどの個人、あるいは医薬品会社も関係していた。 ロシアの調査委員会によると、ブラックウォーターの元副社長であるジョセフ・コーファー・ブラックも役員を務めていたブリスマはCIA主導の破壊工作に関与していた疑いがある。同社を経由した資金は過去数年間にわたり、ロシアでのテロ行為に使用されてきたというのだ。 3月22日にモスクワの北西にあるクラスノゴルスク市のクロッカス・シティ・ホールが襲撃され、銃撃と火災で140名以上が死亡、多くの負傷者が出ている。実行犯はウクライナへ逃げ込む直前に拘束され、相当数の共犯者がロシア国内だけでなく、トルコやタジキスタンで逮捕されている。支援ネットワークが摘発されているわけだ。 ロシア国家反汚職委員会のキリル・カバノフ委員長によると、実行グループが残したデータは、彼らがウクライナの特殊部隊/ネオ・ナチと連絡を取り合っていたことを示しているようだ。アメリカやイギリスの情報機関、つまりCIAやMI6につながる可能性がある。 ちなみに、米英の私的権力は19世紀のアヘン戦争以来、中国を侵略、富を奪おうとしている。その傭兵のような役割を果たしてきたのが日本だ。
2024.04.30
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COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動はアメリカの国防総省が始めたプロジェクトであり、その目的は「COVID-19ワクチン」なるタグをつけた遺伝子操作薬を世界の人びとに接種させることにあった可能性が高い。現在、日本では「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」の治験、接種を推進しているが、これは動物の種を超えるだけでなく植物へも伝染する可能性がある「人工ウイルス」だと指摘されている。 ロシア軍はウクライナの軍事施設や発電システムなどだけでなく生物兵器の研究開発施設を攻撃、機密文書を回収した。その文書を分析するためにロシア議会は委員会を設立、ロシア軍の放射線化学生物兵器防衛部隊と連携して分析したが、その結果、アメリカはウクライナで「万能生物兵器」を研究していたことが判明したという。 万能兵器とは、敵の兵士だけでなく動物や農作物にもダメージを与えることができる兵器だという。そうした病原体を拡散させることでターゲット国を完全に破壊し、民間人、食糧安全保障、環境にも影響を与えることを目的としている。アメリカの国防総省は人間だけでなく動物や農作物にも感染できる万能の遺伝子操作生物兵器の開発を目指しているのだ。この特性は「レプリコン・ワクチン」と同じだ。 接種が始まって間もなく、「COVID-19ワクチン」が深刻な副作用を引き起こし、少なからぬ人を殺していることが判明した。その際、CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)やアルツハイマー病のようなプリオンが原因の疾患を引き起こすとする報告もあった。それによると、mRNAワクチンに含まれるスパイクタンパク質がタンパク質と結合し、プリオンになる可能性あるなどとされていた。CJDもアルツハイマー病も異常ブリオンが関係、伝染する可能性が指摘されている。脳神経がダメージを受けて認知症になるだけではないということだ。この指摘を裏付ける研究結果が発表されている。
2024.05.01
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アメリカのバラク・オバマ政権がウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒すため、ネオ・ナチを手先に利用してクーデターを実行したのは2013年11月から14年2月にかけてのことだったが、ヤヌコビッチの支持基盤だった東部と南部の人びとはクーデターを拒否、そこでアメリカを後ろ盾とするクーデター政権は東部や南部の制圧に乗り出した。 オバマ政権でクーデターを指揮していたのは副大統領だったジョー・バイデン、国務次官補だったビクトリア・ヌランド、そして副大統領の国家安全保障担当補佐官を務めていたジェイク・サリバン。2021年1月にバイデンが大統領に就任すると、サリバンは国家安全保障補佐官になり、ヌランドは同年5月から国務次官を務め始めた。 バイデン、ヌランド、サリバンのトリオは対ロシア戦争を始めたと言えるが、ネオコン(シオニスト)はソ連が消滅した直後、1992年2月に国防総省のDPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇プランを作成している。いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。このプランに基づき、アメリカが日本を彼らの戦争マシーンに組み込んだのは1995年のことだった。 そして1999年3月、アメリカはNATOを利用してユーゴスラビアに対する侵略戦争を開始するが、これはロシア侵略の始まりでもあった。そして2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、それを口実にしてウォルフォウィッツ・ドクトリンは始動する。 2008年8月に南オセチアをジョージア軍が奇襲攻撃、ロシア軍の反撃で惨敗しているが、この攻撃の黒幕はイスラエルとアメリカだ。ジョージアは2001年からイスラエルの軍事支援を受け、武器/兵器を含む軍事物資を提供されるだけでなく、将兵の訓練も受けていた。後にアメリカの傭兵会社も教官を派遣している。事実上、イスラエル軍とアメリカ軍がロシア軍に負けたのだ。 しかし、ネオコンは反省しない。オバマ大統領は中東での軍事作戦をスタートさせる。ムスリム同胞団を使った体制転覆作戦を始動させるため、2010年8月にPSD-11を承認したのだ。そして「アラブの春」は始まった。 2011年春にはサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心とするアル・カイダ系武装集団を利用してリビアやシリアに対する侵略戦争を開始、リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制は同年10月に倒されるが、シリアのバシャール・アル・アサド政権は倒れない。 そこで新たな武装集団としてダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)を2014年に登場させ、15年にロシア軍が介入してダーイッシュを敗走させるとオバマ政権はクルドと手を組むが、それが引き金になってアメリカはトルコとの関係を悪化させる。シリアでもロシア軍の強さが明確になるが、それでもネオコンは反省しない。 中東でダーイッシュを出現させた2014年、オバマ政権がウクライナでヤヌコビッチ政権を倒し、ロシアと中国を接近させることになる。ウクライナのクーデター政権は2014年の5月2日にオデッサで反クーデター派の住民を虐殺、5月9日に東部の都市へ戦車を含む部隊を派遣して住民を殺傷した。 5月9日は旧ソ連圏の戦勝記念日。第2次世界大戦でドイツに勝利した日ということで、例年、ウクライナの東部でも住民が外へ出て祝っている。それを狙い、キエフのクーデター政権は東部のアルドネツク州マリウポリなどに戦車を突入させたのだ。クリミアやオデッサと同様、マリウポリは軍事的にも経済的にも重要な場所である。 デレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りしていた6月2日、クーデター政権はルガンスクの住宅街を空爆、住民を殺している。住宅の爆撃を西側やキエフ政権は否定していたが、インターネットで映像がされている。OSCE(欧州安保協力機構)も空爆が行われたことを認めている。
2024.05.06
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ウォロディミル・ゼレンスキー政権は西側から高性能兵器を供給されている。フランスから供給されたカエサル155mm自走榴弾砲、アメリカから供給されたHIMARS(高機動ロケット砲システム)、またイギリスから供給されたM270 MLRS(M270多連装ロケットシステム)などだが、そうした兵器を使い、ウクライナ軍はドンバス(ドネツクやルガンスク)の住民を狙い、殺傷している。 ドイツの情報機関「BND(連邦情報局)」が分析したように、ゼレンスキー政権が送り込んだ戦闘部隊は7月いっぱいで抵抗を終えざるをえず、ロシア軍は8月にドンバス全域を制圧できるという状態だった。そのため、アメリカ/NATOは高性能兵器を急ピッチで投入、操作技術を訓練してきた。HIMARSやM270 MLRSの射程距離は約80キロメートルだとされている。ロシア軍の攻勢を抑えられないゼレンスキー政権はクリミアをHIMARSで攻撃すると言い始めた。 クリミアは2014年3月16日に実施されたロシアと統合を問う住民投票で圧倒的な賛成でロシアと統合されている。キエフでネオ・ナチが行っている残虐行為を知ったクリミアの住民は住民投票を実施、80%を超える住民が投票に参加して95%以上が加盟に賛成したのだ。そこで、ロシア政府はクリミアをロシア領と考えている。クリミアが攻撃された場合、これまでとは次元の違う攻撃をロシア軍は始めるだろう。 バラク・オバマ政権がウクライナでクーデターを実行したのは2013年11月から14年2月にかけての時期。2010年の大統領選挙で勝利したビクトル・ヤヌコビッチは暴力的に排除された。 ヤヌコビッチの支持基盤、つまりウクライナの頭部や南部の住民はキエフで誕生したクーデター体制を拒否、クリミアはロシアとの統合を選んだ。他の地域でもクーデター体制を拒否する動きが広がり、それを鎮圧するためにネオ・ナチが動いた。オデッサでは住民が虐殺され、5月9日にはドネツクのマリウポリへクーデター政権は戦車部隊を突入させて住民を虐殺している。 それでも住民はクーデターを拒否、5月11日にドンバスで自治(ドネツク)や独立(ルガンスク)の是非を問う住民投票が実施された。ドネツクでは89%が賛成(投票率75%)、ルガンスクでは96%が賛成(投票率75%)している。この結果を受け、ドンバスの住民はロシア政府の支援を求めたが、ロシア政府は助けず、キエフ政権と反クーデター派の住民との間で戦争が始まった。 ウクライナのクーデターは長い準備期間を経て実施されたのだが、同国の政治家、オレグ・ツァロフは2013年11月20日にクーデター計画の存在を議会で指摘していた。そのツァロフは今年2月19日に緊急アピール「大虐殺が準備されている」を出している。 ツァロフはアピールの中でウォロディミル・ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始すると警鐘を鳴らしたのだ。その作戦はロシア語系住民を狙った「民族浄化」で、キエフ政権の軍や親衛隊はこの地域を制圧、自分たちに従わない住民を虐殺しようとしていると主張、SBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行するともしていた。 ツァロフがアピールを出した3日後にロシアのウラジミル・プーチン大統領がドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認、2月24日にロシア軍はウクライナを巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃を開始、航空基地を破壊されたと言われている。同時にウクライナの生物兵器研究開発施設も狙われた。 ロシア軍はターゲットを破壊しただけでなく、部隊を派遣して重要文書を回収している。そうした文書の中には、ゼレンスキーが1月18日に出した指示に基づいて親衛隊のニコライ・バラン上級大将が1月22日に攻撃の指令書へ署名、ドンバスを攻撃する準備が始まっていたことを示すものが含まれていた。2月中に準備を終え、3月に作戦を実行することになっていたとしている。 その計画が始動する直前にロシア軍が動いた。住民をウクライナの親衛隊は人質のとり、脱出を図った人などを殺傷しているが、少なからぬ住民がロシア軍の救出され、アゾフ大隊などクーデター体制側の残虐行為を証言している。 現地には西側のジャーナリストも入っている。ロイターのように住民の証言を切り刻み、西側の好戦派が描くシナリオに沿った話に仕立て直すケースもあるが、独立系のジャーナリストは事実を発信している。 ドイツのシュピーゲル誌の場合、ロイターの記者によるインタビューのオリジナルを流して話題になった。マリウポリのアゾフスタル製鉄所から脱出したナタリア・ウスマノバの証言を3分間の映像付きで5月2日に伝えたのだが、ロイターが流したのは1分程度だった。ロイターが切り捨てた約2分間も含まれていたのだ。そこには残虐な親衛隊からロシア軍が救ってくれたという証言が含まれていた。シュピーゲル誌は慌てて掲載した映像を削除している。(インタビューのロイター版と削除部分の映像:ココ) 独立系ジャーナリストの情報を西側の有力メディアは無視するが、それだけでなく、ウクライナ軍による住民への攻撃を伝えていたドイツのジャーナリスト、アリナ・リップは言論規則に違反しているとして起訴され、懲役3年を言い渡される可能性がある。 ゼレンスキーが行っている言論統制は苛烈だ。今年2月24日にロシア軍がウクライナを攻撃した当初から、キエフ政権の治安機関であるSBU(ウクライナ保安庁)はロシアと話し合いで問題を解決しようと考える市長を処分、ルガンスクのボロディミル・ストルク市長は3月1日に誘拐され、拷問された上で胸を撃たれて死亡している。 3月5日にはロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上でSBUの隊員に射殺され、3月7日にはゴストメル市長だったのユーリ・プライリプコの死体が発見された。ウクライナでは11名の市長が行方不明だとも言われている。元SBU将校のバシリー・プロゾロフによると、SBUには「死の部隊」がある。 SBUのチームによる「国賊狩り」も宣伝されていたが、これはウクライナ国民を恐怖させ、命令に従わせることが目的だろう。4月21日にはウクライナの南部にあるミコライフ州のビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組に登場、「全ての裏切り者を処刑する」と語った。そうした処刑を実行するための秘密部隊を編成、すでに作戦を遂行しているともいう。 キムにとって「裏切り者」とはゼレンスキーの政策に同意しない人びとだ。そのゼレンスキー政権は2022年3月19日に11の野党を禁止、政府の政策を支持する放送局以外のメディアは消えたと言われている。
2022.07.19
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クロッカス・シティ・ホールに対する3月22日の襲撃では銃撃と放火で140名以上が殺され、4人の実行犯がウクライナに近いブリャンスクで逮捕された。アメリカの元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターによると、ロシア当局は襲撃現場で実行犯の携帯電話を回収、そこに記録されていたデータを利用して追跡、ウクライナで実行グループと連絡を取り合い、逃走を支援していた共犯者も特定したという。 実行犯に居住場所や移動手段を提供していたモスクワの支援網関係で11名、今回のテロ事件のためにトルコで戦闘員を募集、訓練、兵站を準備するなどしていた40名も逮捕されたという。そしてSBU(ウクライナ安全保障庁)のバシーリー・マリューク長官に関しても逮捕令状を発行できるだけの証拠があるともいう。 すでに本ブログでも書いたことだが、SBUはGUR(国防情報総局)と同じように、2014年2月にクーデター体制が成立して以来、アメリカのCIAの指揮下にあり、イギリスのMI6(SIS)からも大きな影響を受けている。SBUがテロの指揮系統に入っているということは、必然的にアメリカやイギリスの情報機関が関与していることを意味する。 アメリカ政府をはじめ、西側ではウクライナ政府は無関係で、実行したのはダーイッシュ-ホラサン(IS-KP、ISIS-K)だという宣伝が繰り広げられているが、本ブログでもすでに書いたように、この武装集団はアメリカやその同盟国によって使われている傭兵の集まりで、カルトの信者ばかりではない。今回の実行グループはウクライナへの逃走を図っている上、シャハーダ(信仰告白)の際に左手を使うというイスラム教徒ならありえない行動も確認されている。 アメリカ政府の動きも奇妙な点が指摘されている。例えば3月7日にアメリカの駐露大使館はモスクワでテロの可能性があるので、48時間、大きな集まりに参加しないようにとすると警告を出している。つまり、この警告は3月9日で期限切れ。もし危険な状態が続いているとアメリカ政府が判断しているなら、公式ルートを利用して新たな警告を出す必要があったはずだ。 アメリカ側からロシアに対する挑発的な発言もあった。例えば、統合参謀本部議長を辞めて間もないマーク・ミリーの昨年12月4日における発言。ロシア人は夜中に喉を切り裂かれるのではないかという心配で眠れなくなると語っている また、国務副長官代理を務めていたビクトリア・ヌランドは1月31日と2月22日、ウラジミル・プーチン露大統領はウクライナの戦場で驚きに直面するだろうと発言、アントニー・ブリンケン国務長官は3月5日に彼女の「退任」を発表した。ヌランドは責任を回避するために逃げたのか、ヌランドたちのテロ計画を察知した政府の誰かが解任したのか、あるいは別に理由があるのか、不明だ。 ウクライナでの戦闘でアメリカ/NATOが使ったネオ・ナチ軍はロシア軍に負けた。さらに戦いを続けたいなら、NATO軍をウクライナへ侵攻させるか、米英情報機関が第2次世界大戦後に築いた破壊工作を目的とした秘密組織のネットワークを使うしかなかった。別の地域へ戦乱を広げる手もあるが、可能性が高いのは東アジアだ。
2024.03.29
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小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」によって「尿細管間質性腎炎」が引き起こされたのではないかとマスコミは大騒ぎしている。騒ぎは日本大学医学部の阿部雅紀医師がその疑いを表明したところから始まった。阿部医師が製造メーカーに連絡したのは今年2月上旬だという。 70代の女性と50代の女性2人が腎機能の異常で入院したのだが、同医師によると、3名に「共通するのは同じサプリメントを摂取していたことのみ」だとしている。つまり、その3名は「COVID-19ワクチン」を接種していなかったということなのだろう。万一、その3名がこの「ワクチン」を接種していたなら、「虚偽情報の流布」と言われても仕方がない。 これに対し、「ニコニコ」で「JPSikaDoctor」は「COVID-19ワクチン」が腎機能障害を引き起こした可能性があるとする報告の存在を指摘していた。 長崎大学病院の鳥越健太助教らのグループは「COVID-19ワクチン」が腎機能障害を引き起こしたと考えられる66歳男性の症例を報告する論文を今年1月26日に公表している。その患者は来院前1年以内に尿検査での異常や腎機能障害はなかったが、3回目と4回目の「COVID-19ワクチン」接種後に肉眼で血尿が認められ、腎病理検査でIgANと間質性腎炎が確認されたという。 この「COVID-19ワクチン」は本来のワクチンではなく、実際は遺伝子導入剤。つまり未知の薬剤なのだが、安全性の確認が不十分のまま世界規模で接種、すでに深刻な副作用や死亡が報告され、未曾有の薬害だする人もいる。この副作用は全身で炎症を引き起こすが、腎臓も例外ではない。 言うまでもなく、鳥越健太らの報告は阿部雅紀の場合に比べ、医学的な重みが違う。鳥越らの報告を無視、阿部の話を重視するなら、それなりの根拠を示す必要があるだろう・・・もし、マスコミが情報を生業とする人たちならば。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、「COVID-19ワクチン」はアメリカ国防総省が進めている軍事プロジェクトである可能性が高い。サーシャ・ラティポワによると、COVID-19騒動はアメリカ国防総省がバラク・オバマ政権の時代に始めた作戦。彼女は情報公開法によって入手した文書を分析、この結論に至ったという。 その軍事作戦でウクライナが重要な役割を果たしてきた。生物化学兵器の研究開発施設を建設するだけでなく、医薬品メーカーを巻き込んで人体実験を行なっていたのである。 しかし、2022年2月24日にロシア軍がドンバスへ軍事侵攻しようとしていたウクライナ軍を攻撃、その際にアメリカの生物兵器研究開発施設も破壊した。ウクライナにはアメリカ国防総省のDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が約30カ所あったと言われている。 ロシア政府はアメリカ軍がロシアとの国境に近いウクライナ領内で生物化学兵器の研究開発を行っていることを以前から知っていた。ウクライナでクーデターが始まった2013年、アメリカ国防総省がハリコフ周辺にレベル3のバイオ研究施設を作ろうとしていると訴えるリーフレットがまかれ、実際、建設されている。ディリヤナ・ゲイタンジエワによると、ドニプロ、ミコライフ、リビフ、ウジホロド、テルノポリ、ビンニツヤ、キエフにも施設があり、各研究所は2010年から13年の間に建設されたという。 ロシア軍は施設を破壊しただけでなく、機密文書を回収している。そうした文書の分析でアメリカが「万能生物兵器」を開発していたことが判明したと2023年4月に発表された。アメリカは人間だけでなく動物や農作物にも感染させることができる普遍的な遺伝子操作生物兵器の開発を目指していたというのだ。生態系を破壊し、大規模で取り返しのつかない経済的損害を与える遺伝子組換え生物兵器を開発していたというわけである。 大量破壊兵器を保有しているロシアや中国のような国と軍事的な直接対決が避けられない場合、そうした「万能生物兵器」を秘密裏に使用、アメリカ軍が優位になる状況を作ろうというわけだ。ロシア側の判断では、こうした生物兵器の生産は平和目的の製品であるかのように偽装し、さまざまな企業に分散させることができる。局所的な攻撃では天然痘、炭疽菌、野兎病、ペストなどを利用することもありえる。 ウクライナでアメリカ/NATO軍がロシア軍に敗北したことから、アメリカは生物兵器の研究開発拠点をポーランド、バルト3国、中央アジアなどに移しつつあるようだ。ビジネスやアカデミーの分野をアメリカに支配されている中国でもそうした施設が存在していた。 中国でアメリカの手先として動いていたのはオックスフォード大学に留学していた疾病預防控制中心主任の高福だろうが、COVID-19騒動が始まると軍の陳薇が主導権を握った。今、高福が中国でどの程度力を保持しているかは不明だ。 日本も移転先に含まれている可能性がある。そうした視点から「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」や福島県南相馬市に建設されたmRNA技術を利用した製品の製造工場を考えなければならない。日本政府が強引に生体実験もどきの「COVID-19ワクチン」接種を続けているのは、アメリカ国防総省からの命令があるからではないのだろうか。
2024.04.01
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西側の支配層はメディアを使ってEU信仰、西側幻想を広げ、人びとの感情に訴えて自分たちの強欲な、往々にして違法な政策を正当化してきた。ウクライナやギリシャの国民もそうした政策の犠牲者だ。 そうした状況を理解したギリシャ人びとは国民投票でIMF(国際通貨基金)、ECB(欧州中央銀行)、EC(欧州委員会)、いわゆるトロイカが要求してきた緊縮財政を拒否する意思を示し、その後も怒りは納まっていない。その一方、トロイカ側も硬直した姿勢は崩していない。 以前にも書いたように、ギリシャが財政危機に陥った大きな理由はふたつ。ひとつはアメリカの巨大金融機関、ゴールドマン・サックスがギリシャで行ったいかがわしいビジネスで、もうひとつは第2次世界世界大戦でドイツが行った略奪やアメリカを後ろ盾とする軍事クーデターによる国の破壊。メディアが盛んに宣伝していた年金の話は事実に反している。 ゴールドマン・サックスは2001年、ギリシャが通貨をユーロに切り替えた際に財政状況の悪さを隠す手法をギリシャ政府に教え、債務を膨らませたことが事態を悪化させた理由のひとつ。ちなみに、2002年から05年にかけて同銀行の副会長を務めていたマリオ・ドラギは2011年、ECBの総裁に就任し、今でもその職にある。 2004年にはアテネ・オリンピックというカネのかかるイベントがあり、軍事費も重くのしかかっていたが、ギリシャの債務が急増したのは2006年頃から。この頃、国内で開発がブームになっていた。中には、建設が許可されていない場所で、違法な融資によって開発しようとして中止が命令されていたケースもあり、このブームで業者と手を組んだ役人の中には賄賂を手にしたものが少なくなかったと言われている。 結局、違法開発も含めてIMFはギリシャ政府に返済を迫り、金融機関を救済する。ウクライナの場合と同じで、IMFは相手政府への融資で金融機関の債権を肩代わりし、取り立て屋になるわけだ。 その結果、ギリシャでは年金や賃金が減らされ、社会保障の水準は低下、失業者は大きく増えた。GDP(国内総生産)は2010年から−4.9%、−7.1%、−7.0%、−4.2%と下がり続け、失業率は12.6%、17.7%、24.3%、27.3%。若年層の失業率は60%に達すると言われている。しかも、借金の返済は不可能。こんな状態でトロイカの要求に賛成した人が39%弱もいたことが驚きだ。 アメリカの支配層に逆らう国では指導者が暗殺されたり、クーデターで体制が倒されたりしてきた。NATO加盟国であるギリシャには政府がコントロールできない秘密部隊が存在している。イタリアではグラディオ、ギリシャでは特殊部隊のLOKだ。左派勢力が優勢だと言われた1967年5月の総選挙の前月、ギリシャで軍事クーデターがあったが、今回は銀行が攻撃の主体になるとする噂もある。 今回の国民投票ではトロイカ側の傲慢な姿勢が結果に表れたという見方がある。ギリシャを食い物にしようとする姿勢を変えないなら、ロシアと中国へ接近させることになる。すでにパイプラインの建設やBRICSへの参加などをロシア政府は働きかけているようだ。もしギリシャの離反が不可避になったなら、マケドニアを含め、この地域をカオス状態にしようとするかもしれない。
2015.07.07
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ミントプレスは8月29日にデイル・ガブラクとヤフヤ・アバブネの署名入りで記事を掲載した。この記事をめぐり、ガブラクと編集部との間で、もめ事が起こっている。ガブラクは記事と一切関係ないとする声明を出しているのだが、編集長のムナル・ムハウェシュは次のように反論している。 記事を28日に編集部へ持ち込んだのはガブラク。彼女は同僚のヤフヤ・アバブネがシリアへ入って反政府軍、その家族、ゴータの住民、医師を取材、その結果、サウジアラビアが反政府軍に化学兵器を提供し、それを反政府軍の戦闘員が誤って爆発させたことがわかったと話したという。 ムハウェシュ編集長によると、この情報をガブラクは同僚やヨルダン政府の高官に尋ね、サウジアラビアが化学兵器を反政府軍へ渡していることを確認したと話していたともしている。 記事はガブラクが29日に書き上げ、その日のうちに掲載したと編集長は説明、これが事実ならば、ガブラクは単なる協力者とは言えない。こうした説明を裏付ける電子メールが残っているので、やりとりを証明できるとしている。 ガブラクが記事から自分の名前を削除するように求めた理由は第三者からの圧力があったからで、記事と無関係だということにしないとジャーナリストとしてのキャリアを終わらせると彼女は脅されたという。アバブネに対しても大きな圧力がかかっているとムハウェシュ編集長は主張している。 確かに、サウジアラビアと化学兵器を結びつける記事を書けば、少なくとも「西側」のメディアで仕事はできなくなる可能性は高い。これは本ブログでもすでに指摘した。 権力犯罪に対する認識が甘い日本では、原子力発電だけでなく多くのタブーがある。このことは、福島第一原発の事故で広く知られるようになっただろう。内部告発者も守られないのが日本。「言論の自由」などは、所詮、その程度のものだ。 サウジアラビアが1970年代の後半からアメリカやイスラエルと手を組んで秘密工作を実行してきたことは確かであり、アル・カイダをコントロールしていることもすでに「噂」の段階をすぎている。その秘密工作では単なる戦闘だけでなく、資金を調達するために麻薬や武器を密輸し、銀行を創設して違法な融資や送金も行っている。 今年3月の化学兵器による攻撃でアメリカのローレンス・ウィルカーソン退役大佐はイスラエルが「偽旗作戦」を実行した疑いがあると発言していた。サウジアラビアがシリアの反政府軍に化学兵器を渡しても不思議ではない。 ミントプレスの記事については、もう少し様子を見る必要がありそうだ。新たな重要な事実が発覚する可能性もある。
2013.09.22
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ドイツのジャーナリスト、ウド・ウルフコテが1月13日に心臓発作で死亡した。享年56歳。この人物はフランクフルター・アルゲマイネ紙(FAZ)の元編集者で、ドイツを含むメディアの記者や編集者がCIAに買収されている実態を告発したことでも知られている。ウルフコテによると、彼がジャーナリストとして過ごした25年の間に学んだことは、嘘をつき、裏切り、人びとに真実を知らせないことだ。ヨーロッパの人びとはロシアとの戦争へと導かれ、引き返すことのできない地点にさしかかっていると危惧した彼は2014年2月、この問題に関する本を出している。西側の偽報道は根が深い。 西側の有力メディアとCIAとの関係は1970年代から指摘されている。例えば、ウォーターゲート事件を追及してリチャード・ニクソン大統領を辞任に追い込む記事を書いたことで知られているカール・バーンスタインは1977年、ローリング・ストーン誌に「CIAとメディア」というタイトルの記事を書き、そうした関係を明らかにしている。 その記事によると、400名以上のジャーナリストがCIAのために働いているだけではなく、1950年から66年にかけて、ニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供しているとCIAの高官は語ったという。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977) 400名以上のジャーナリストをCIAが雇っていることは、1975年に設置された上院の情報活動に関する政府工作を調査する特別委員会(フランク・チャーチ委員長)や下院の情報特別委員会(ルシアン・ネッツィ委員長/後にオーティス・パイクへ変更)による調査で判明していた。ワシントン・ポスト紙のウォルター・ピンカスは1967年に自分自身でCIAとの関係を明らかにしている。 記事を書く直前、バーンスタインはワシントン・ポスト紙を辞めている。同紙ではこうした問題を採りあげることができなかったということだが、それは当然。第2次世界大戦後、アメリカの支配層は情報操作プロジェクト、いわゆる「モッキンバード」を始めているのだが、その中心にいたひとりがワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムなのだ。 そのほかの3名はウォール街の大物弁護士で秘密工作の黒幕とも言うべきアレン・ダレス、彼の側近だったフランク・ウィズナーとリチャード・ヘルムズ。ウィズナーは同じ時期に破壊活動を目的とした秘密機関OPCを指揮、ヘルムズは1966年から73年までCIA長官を務めている。(Deborah Davis, “Katharine The Great”, Sheridan Square Press, 1979) ウォーターゲート事件でニクソンを追及していた当時、ワシントン・ポスト紙の社主はフィリップ・グラハムの妻だったキャサリン。世界銀行の初代総裁だったユージン・メイアーの娘でもある。また彼女の親友、ポリーはウィズナーの妻だった。 日本ではワシントン・ポスト紙と並ぶ「言論の象徴」的な新聞と見なされているニューヨーク・タイムズ紙の場合も実態は同じ。例えば、1953年にアメリカ政府がイギリス政府と組んでイランの民族主義政権を倒そうとしていた際、ニューヨーク・タイムズ紙のケネット・ラブ記者は報告書をCIAのアレン・ダレスに提出していた。(Jonathan Kwitny, “Endless Enemies”, Congdon & Weed, 1984) モッキンバードにはCBSの社長だったウィリアム・ペイリー、TIME/LIFEを発行していたヘンリー・ルース、ニューヨーク・タイムズの発行人だったアーサー・シュルツバーガー、クリスチャン・サイエンス・モニターの編集者だったジョセフ・ハリソン、フォーチュンやLIFEの発行人だったC・D・ジャクソンなども協力している。 ちなみに、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺の瞬間を撮影したいわゆる「ザプルーダー・フィルム」を隠すように命じたのはこのC・D・ジャクソンだ。この人物はドワイト・アイゼンハワー政権で大統領特別補佐官を務めているが、第2次世界大戦では心理戦に加わっていた。つまり、メディアの人間がCIAに協力したのではなく、情報機関の人間がメディアを操っていたのだ。 その後、ロナルド・レーガンが大統領になるとプロパガンダを目的とする計画が始動する。アメリカ国内における「プロジェクト・トゥルース」と国際的な「プロジェクト・デモクラシー」だ。後にふたつは合体、1983年にレーガン大統領がNSDD(国家安全保障決定指示)77に署名してからプロジェクトは新しい段階に入った。プロジェクトの中枢機関としてSPG(特別計画グループ)がNSC(国家安全保障局)に設置され、偽情報を流して相手を混乱させ、文化的な弱点を利用して心理戦を仕掛けようとする。(Robert Parry, “Secrecy & Privilege”, The Media Consortium, 2004) 勿論、プロジェクト・デモクラシーは本来の民主主義と無関係。民主主義を口実としてアメリカ支配層が気に入らない国の体制を破壊、自分たちに都合良く作り替えようというのである。軍事侵略やクーデターを正当化する口実を人びとに信じ込ませることが重要な目的のひとつだと言えるが、逆に事実を伝える記者は邪魔になる。 例えば、1982年1月にエルサルバドル軍による虐殺事件を記事にしたニューヨーク・タイムズ紙のレイモンド・ボンナー記者。その事件は前年12月に同国の北部で引き起こされ、女性や子供を含む村民約800名が殺害されている。当時、この地域で生活していたのは約1000名がいたとされているので、約8割が殺されたことになる。殺戮は大人の男性から始まり、若い女性は殺害の前にレイプされ、子供はナタやライフルで頭蓋骨を割られたという。 こうした記事やアメリカ大使館からの報告書をワシントンは無視、国務次官補のトーマス・エンダースとエイリオット・エイブラムスは虐殺に関する記事を誤報だと非難、「民間」のメディア監視団体AIM、あるいはウォール・ストリート・ジャーナルの論説欄がボンナーたちを激しく攻撃、ニューヨーク・タイムズの幹部編集者エイブ・ローゼンタールはボンナーを1983年にアメリカへ呼び戻している。(前掲書) 日本のマスコミが単なる権力者の走狗に過ぎないことは言うまでもないが、こうしたアメリカの有力メディアで支局長を務めていた人物が日本のマスコミを批判する本を書くのもお笑い種。その前に自分が所属している新聞社の実態を問題にする必要があるだろう。それともアメリカの有力メディアが行っている偽報道はかまわないと考えているのだろうか?
2017.01.16
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国の経済という視点から見れば、安倍晋三政権の政策は破綻している。倒産が大きく増えているのもひとつの結果。何しろ、金融市場を支えて投機に参加している富裕層や巨大資本を儲けさせるために自国の通貨や債券市場を破壊し、国民の実質賃金を引き下げようとしているのだ。挙げ句の果てにTPP(環太平洋経済連携協定)に参加、そのISDS(国家投資家紛争処理)条項によって、経済活動にともなう参加国の政策が「国境なき巨大資本」にとって利益になるかで決められる仕組みにしようとしている。東京商工リサーチ ISDS条項によって、直接的な生産活動やサービスのルール、労働条件、環境汚染、食糧の安全などに関する規制、あるいは健康保険や年金など社会保障の仕組みを決める最終的な権限を持つのは巨大資本であり、政府や国会はその支配下に置かれるということだ。つまり、形式的にも民主主義は終わる。 そうした破綻を見据え、アメリカは軍事力を使って世界を制圧しようとしている。計画を立案しているのはネオコン/シオニスト、資金はサウジアラビアをはじめとするペルシャ湾岸の産油国が提供、地上部隊として中東/北アフリカではアル・カイダ、ウクライナではネオ・ナチを使っている。日本は資金と兵士をアメリカへ差し出す体制を整えてきた。その最終段階が集団的自衛権。 そうした目論見の大きな障害になっているロシアのウラジミル・プーチン大統領を排除してロシアを再び属国にしようとしている。メディアを使ってロシアを「悪魔」として描く一方、ロシア政府を挑発して軍隊を使わせようとしている。 西側のメディアはクリミアにロシア軍が侵攻したと大宣伝していたが、真っ赤な嘘だった。最初から嘘は明らかだったが、それでも信じた人はいるようだ。それでも恥知らずな人たちは懲りない。ドネツクやルガンスクにロシア軍がいると証拠も示さずに主張している。 こうした宣伝は「予定稿」だった可能性がある。アフガニスタンでの「成功体験」があるほか、アメリカとイスラエルはグルジアに南オセチアを奇襲攻撃させた際にロシア軍に粉砕された記憶がトラウマになっていて、ロシア軍が国境を越えるという前提でプランを立てていたのではないかということだ。 今のところロシア政府はアメリカの挑発に乗らず、経済戦争へと誘導することに成功しているように見える。その経済戦争でEUは厳しい状況に陥った。原油相場が大幅に下落しても負債が少なく、金の保有量を増やしたこともあってロシアは安定しているが、アメリカはコストの問題で国内の石油産業が苦しくなっている。環境破壊で問題になっているシェール・ガスは採算的にも開発が困難な状況になってきた。追い詰められたアメリカは強引に戦争を始めると予測する人もいる。その戦争に日本は参加するのかしないのか、それも今回の総選挙で問われている。
2014.12.14
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アメリカ支配層の内部で相反するふたつの動きが見られる。 ひとつはロシアとの戦争を回避しようという動きで、例えば、5月12日にジョン・ケリー国務長官がここ2年で初めてロシアのソチでウラジミル・プーチン大統領らと会談したほか、キエフ政権のペトロ・ポロシェンコ大統領に対し、ドネツク空港を奪還するという発言を批判したと伝えられている。2月11日にベラルーシのミンスクでウクライナ、ロシア、フランス、ドイツの首脳が集まって合意した停戦を支持する立場のようだ。 それに対し、ポロシェンコ大統領が設置した国際諮問グループにネオコン/シオニストの好戦派であるジョン・マケイン上院議員が参加。そのグループを率いているのはグルジアの元大統領で刑事事件の容疑者になっているミヘイル・サーカシビリ。4月4日には「右派セクター」、つまりネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)を率いているドミトロ・ヤロシュがウクライナ軍参謀総長の顧問に就任している。 言うまでもなく、サーカシビリは2008年8月、自国軍に命じて南オセチアを奇襲攻撃、ロシア軍の反撃で惨敗するという醜態を演じたことがある。このとき、サーカシビリは南オセチアの分離独立派に対話を訴えた約8時間後、深夜近くにミサイル攻撃を開始している。この攻撃の背後にはアメリカとイスラエルがいたのだが、特にイスラエルの強い影響を受けていた。 グルジアに対し、2001年からイスラエルの会社は武器を提供、軍事訓練を実施、07年には同国の軍事専門家がグルジアの特殊部隊を訓練、重火器や電子機器、戦車などを提供したと言われている。 昨年2月にクーデターで成立したキエフ体制を支援するため、早い段階からアメリカやポーランドの傭兵会社が戦闘員を派遣していたと伝えられている。その中心と考えられているのがアメリカのアカデミ(旧社名はブラックウォーター)系列のグレイストーンで、数百名が戦闘に加わっているとも言われた。CIAやFBIの要員をアメリカ政府はキエフへ派遣、軍事顧問団も入れているとも報道されている。さらに、アメリカの第173空挺旅団の兵士290名やイギリスの軍人75名が「訓練」のためにウクライナへ入り、カナダも200名の「専門家」を送り込むとされている。 以前にも書いたことだが、NATOは「関東軍」的な存在で、ロシアとの戦争に向かって進んでいる。フィリップ・ブリードラブNATO欧州連合軍最高司令官/在欧米空軍司令官やアメリカ政府がNATOへ派遣されているダグラス・ルート大使はキエフ政権への武器供給を支持し、NATO事務局長のジェンス・ストルテンベルグは緊急展開部隊を1万3000名から3万名へ増強するとしていると語っている。 ストルテンベルグ事務局長によると、NATOはキエフ政権へ顧問を派遣、指揮統制や兵站、サイバー防御などの能力を引き上げるなど軍事的な能力を強化しようとしている。そうしたグループのアドバイスを受け、ポロシェンコ大統領はドネツク空港を攻撃して奪い還すという方針を打ち出しているはずで、アメリカの好戦派とケリー国務長官の姿勢は対立していると言えそうだ。 イスラエルから軍事訓練を受け、兵器の提供を受けていたグルジアが南オセチアを奇襲攻撃する2年前、フォーリン・アフェアーズ誌(CFR/外交問題評議会が発行)に興味深い論文が掲載されている。言うまでもなく、同誌を出している外交問題評議会はアメリカの支配層によって設立された団体だ。 その論文とは、キール・リーバーとダリル・プレスが書いたもので、アメリカはロシアと中国の長距離核兵器を第1撃で破壊できると主張している。それだけロシアや中国を軽く見ていたわけで、先制核攻撃を仕掛ければ圧勝でき、アメリカは真の覇者になれると信じていたのだろう。南オセチア奇襲は予行演習だった可能性もあるが、実際はロシア軍の反撃で惨敗した。これはアメリカの好戦派(ネオコン)やイスラエルのとって大きな衝撃だったはずだ。 しかし、経験から学ぼうとしないのがネオコン。自分たちが描いたシナリオ通りに世界を作ろうともがくだけで、旧日本軍の作戦参謀と似ている。その結果、恫喝をエスカレートさせ、世界を核戦争へ近づかせて自らの孤立化を招いた。ウクライナ情勢について「イスラエルの専門家」に分析させていた日本のマスコミもあったが、その意味は重い。 そのネオコンに操られているのが安倍晋三政権。ネオコンやイスラエルの有力スポンサーとされ、戦争の仕掛け人とも見られているシェルドン・アデルソンはカジノ業界の大物でラスベガス・サンズを所有する人物。2013年にはイランを核攻撃で脅すべきだと主張していた。 その2013年にアデルソンはIS議連の細田博之会長(自民党幹事長代行)に対してプレゼンテーションを行い、東京の台場エリアで複合リゾート施設を作るという構想の模型を披露しながらスライドを使って説明したという。その翌月、自民党などはカジノ解禁を含めた特定複合観光施設を整備するための法案を国会に提出、2014年2月にはアデルソンが来日して日本へ100億ドルを投資したいと語っている。安倍晋三首相はすぐに反応、翌月の衆議院予算委員会でカジノを含む「統合型リゾート(IR)」に前向きの発言をした。安倍首相とアデルソンの関係が博奕だけに留まっているとは思えない。
2015.05.14
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シリアに侵略戦争を仕掛けた勢力は手先のジハード傭兵部隊が敗走、この勢力が支配していた東グータは政府軍によって解放されたことで焦っている。シリアでの戦闘はリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制が破壊されて傭兵と武器/兵器がシリアへ移動してから激しくなった。その頃から東グータはアル・カイダ系武装集団が支配している。この集団は2013年からジャイシュ・アル・イスラム(イスラム軍)というタグをつけた。 本ブログでは何度も書いてきたが、ロビン・クック元英外相が指摘しているように「アル・カイダ」とはCIAから軍事訓練を受けた「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル。アル・カイダはアラビア語で「ベース」を意味し、「データベース」の訳語としても使われている。クックはこの指摘をした翌月、保養先のスコットランドで心臓発作に襲われ、59歳で死亡した。 登録されているムジャヒディンの多くはサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団で、リビアやシリアへの侵略戦争に参加した部隊の中心もこうした人々で、ジハードなる看板を掲げているものの、実態は傭兵。1970年代から80年代にアフガニスタンでの工作に参加していた当時の雇い主はサウジアラビアだったが、シリアではいくつかの系統がある。 シリアの侵略戦争を仕掛けたのはアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟、イギリスとフランスのサイクス-ピコ協定コンビ、オスマン帝国の復活を夢想したトルコ、天然ガスのパイプライン建設をシリアに拒否されたカタールなど。シリアでの戦闘が長引き、侵略側に不利な戦況になるとトルコやカタールは離脱、傭兵も分裂を始めた。 掃討作戦を展開中のシリア政府軍は傭兵の化学兵器の製造工場を発見する一方、アメリカが軍事介入の口実として掲げているような化学兵器の攻撃を示す痕跡はないと報告されている。現地で活動してきた赤新月社(イスラム世界における赤十字)も同じ見解だ。政府軍の進撃は侵略勢力が予想したより早く、化学兵器を使った偽旗作戦を実行する余裕がなく、親りゃうせいりょくにとって都合の悪い証拠を残してしまったのではないかと推測する人もいる。 東グータから武装集団はダマスカスを砲撃、そのターゲットにはロシア大使館も含まれていた。そうした行為をいつまでも放置することはないとウラジミル・プーチン露大統領は警告し、今年(2018年)2月25日から始まった東ゴータの武装集団に対する攻撃にはロシア軍の地上部隊が同行したとも伝えられている。重要な拠点に政府軍が迫るとアメリカ軍に攻撃されていたが、今回はそうしたことがなかった。ロシア軍を直接攻撃できなかったという見方がある。 東グータはCIAの影響力が強かったが、ジャイシュ・アル・イスラムを指揮していたのはイギリスの特殊部隊SASやフランスの情報機関DGSEのメンバーで、MSF(国境なき医師団)が隠れ蓑として使われてきたとも報告されている。 今回、WHOは化学兵器の使用で多くの犠牲者が出ているとする声明を出したが、情報源が怪しい。WHOがパートナーと呼ぶ団体の中にはMSFが含まれているのだが、このMSFはアル・カイダ系武装勢力と一心同体の関係にある「白いヘルメット」を訓練している。西側は「白いヘルメット」を善玉として売り出しているが、その主張が事実に反していることは本ブログでも指摘してきた。東グータが解放された後、こうしたグループの宣伝用映像の撮影現場も見つかっている。 MSFは1971年12月に設立されたが、創設者のひとりであるベルナー・クシュネは2011年3月にリビアへの内政干渉を肯定する意見をガーディアン紙に寄稿した人物。リビアへの軍事侵略はその前月に始まった。シリアでもMSFは軍事侵略を支援する偽情報を発信したことを本ブログでも伝えたことがある。 WHOは東グータの情報を「パートナー」から得ているが、そのパートナーは白いヘルメットを情報源にしている。つまり、WHOの話は白いヘルメットの偽情報にWHOというタグをつけただけだ。
2018.04.13
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パレスチナ人のデモ隊に対してイスラエル軍が5月14日に実弾を発射、60名が殺されて数千人が負傷したという。アメリカ政府が自国の大使館をテルアビブからエルサレム(クドス)へ移し、新しい大使館の開館を祝う式典が催されたが、それに対する抗議だった。 アメリカやイスラエルの政府が開館日を5月14日にした理由はこの日が「イスラエル建国70周年」の記念日にあたるからだが、パレスチナ人にとってそれは「ナクバ(大惨事)」を意味する。この「イスラエル建国」に正当な理由があるとは到底思えない。 第2次世界大戦でナチスがユダヤ人を弾圧したが、それでパレスチナへ移住しようと考えたユダヤ人は多くなかった。一部のシオニストだけだ。イスラエル建国はユダヤ人が求めたものではなく、イギリスやフランスの強欲さが根底にある。 シオニストとはシオニズムを信奉する人々で、シオニズムとはエルサレム神殿があったとされる「シオンの丘」へ戻ろうという運動。シオニズムという語句を最初に使ったのはナータン・ビルンバウムなる人物で、1893年のことだとされている。その3年後に『ユダヤ人国家』という本を出版したセオドール・ヘルツルが近代シオニズムの創設者とされているが、1905年まで「建国」の地をパレスチナに定めていない。このヘルツルのほか、モーゼズ・ヘスやレオン・ピンスカーなどのシオニストは当初、聖書には言及していない。 その一方、イギリス政府は1838年の段階でエルサレムに領事館を建設、91年にはキリスト教福音派のウィリアム・ブラックストーンなる人物がアメリカで「ユダヤ人」をパレスチナに返そうという運動を展開、ベンジャミン・ハリソン米大統領に働きかけていた。 中東情勢を考える上で重要な節目はサイクス・ピコ協定だろう。第1次世界大戦の最中にイギリスのマーク・サイクスとフランスのフランソワ・ジョルジュ-ピコの話し合いで作成、のちに帝政ロシアが加わって締結された秘密協定で、オスマン帝国を解体して分割しようという内容で、パレスチナは後日改めて協定を結ぶことになっていた。1917年11月のロシア十月革命で成立したボルシェビキ政権によって暴露されている。この協定は実現されなかったことになっているが、英仏支配層の中では消えていないように見える。 帝政ロシアはロシア二月革命で倒されて臨時革命政府が成立しているが、その中心には帝政ロシアを支えていた柱のひとつだった資本家が存在、そこにメンシェビキやエス・エルが加わっていた。この二月革命にボルシェビキの幹部は参加していない。大半が亡命中か刑務所で拘束されていたからだ。そのボルシェビキの幹部をロシアへ運び込んだのはドイツ。第1次世界大戦で東西ふたつの戦線を抱えていたドイツは、即時停戦を主張していたボルシェビキに目をつけたのだ。 そうした中、1917年11月にイギリスのアーサー・バルフォアはシオニズムを支援していたライオネル・ウォルター・ロスチャイルドへ書簡という形で「ユダヤ人の民族的な故郷」の建設を支持している。いわゆるバルフォア宣言だ。ボルシェビキが革命を成功させる見通しが立った段階ではサイクス・ピコ協定が露見する可能性は高く、それを見越しての宣言だろう。イギリスという立場からみると、サイクス-ピコ協定とバルフォア宣言との間に矛盾は感じない。パレスチナ問題では1915年7月から16年3月までの期間にフサイン・ビン・アリとイギリスのヘンリー・マクマホンとの間でやり取りされた書簡でアラブの独立が認められているが、いずれも当事者であるパルスチナの人々を無視している。 この当時は侵略が当然だったという侵略者の身勝手な理屈は通用しない。侵略は侵略であり、侵略された人々の怒りを力で封じてきただけのことだ。パレスチナ問題の根には大英帝国の支配者やその継承者の利権と戦略が存在する。その勢力はまだ健在だ。 パレスチナ問題で露骨にイスラエルの立場から発言しているサウジアラビアのモハメド・ビン・サルマン皇太子は無一文の状態から短期間に巨万の富を築いた。この皇太子はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相やアメリカのドナルド・トランプ大統領と近く、その経済戦略は新自由主義にほかならない。だからこそ西側で「改革者」と持ち上げられているわけだ。そうした態度は中東の人々からあざけりの対象になっている。 あざけりだけでなく、物騒な噂も流れている。リヤドにある王宮周辺で4月に激しい銃声が聞こえたとする情報が流れたが、何者かが襲撃して警護に当たっていた部隊と銃撃戦になったとする情報も流れた。昨年(2017年)8月にはビン・スルタン皇太子の暗殺未遂が伝えられ、10月にはジッダにある宮殿近くで宮殿への侵入を図った人物と治安部隊との間で銃撃戦があったという未確認情報が流れている。そのサウジアラビアへトランプ大統領の義理の息子にあたるジャレッド・クシュナーがサウジアラビアを秘密裏に訪問、11月に大規模な粛清が始まった。 イスラエルやアメリカがビン・サルマンの後ろ盾になっているようだが、反発している人は少なくない。ビン・サルマン皇太子が姿を見せないと、様々な憶測が飛び交う。
2018.05.21
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オマーン沖で攻撃されたタンカーのうち国華産業が運行する「コクカ・カレイジャス」は魚雷、ノルウェーのフロントラインが所有する「フロント・アルタイル」は磁気機雷に攻撃されたと報道されていたが、国華産業の堅田豊社長は6月14に開かれた記者会見の席上、2発目の攻撃の際に乗組員が「飛来物」を目撃していたことを明らかにした。「間違いなく機雷や魚雷ではない」という。 ドナルド・トランプ政権に限らず、アメリカの政府はこうした際、詳しい調査を行わずに断定的な主張を繰り返す。証拠を明らかにしないことも少なくないが、明らかにしても怪しげなものだ。2003年にイラクを先制攻撃する前、ジョージ・W・ブッシュ政権は「大量破壊兵器」の脅威を宣伝、証拠らしきものを示していたが、すべてインチキだった。 今回、トランプ政権も似たことを行っている。その宣伝活動で中心的な役割を果たしているのはマイク・ポンペオ国務長官だが、この人物、自分が嘘つきだということを公言している。 6月には重要な集まりが続く。すでに終了しているが、6月6日から7日にかけてはサンクトペテルブルクで国際経済フォーラムが開催されてロシアと中国とのつながりを再確認させ、6月14日から15日にかけては中国とロシアを中心とするSCOの首脳会談がキルギス共和国で開かれている。そして6月28日から29日にかけては大阪でG20首脳会議。6月13日には安倍晋三首相がイランの最高指導者アリー・ホセイニー・ハメネイと会談している。 イランとの関係を深めているロシアや中国が存在感を示す会合や催しにぶつけるようなタイミングでタンカーへの攻撃は引き起こされた。 本ブログでも紹介したが、ネオコンの拠点と言われるブルッキングス研究所が2009年に出した報告書には、アメリカ軍による空爆を正当化するイランによる挑発をどのように実行するべきかが書かれている。世界の人びとに気づかれず、イランが挑発しているように見える演出をするということだ。 今回もそうしたシナリオに沿った動きをポンペイたちは実行しているように見えるが、過去のこともあり、見え見え。以前ならアメリカを恐れて騙されたふりをする国が大半だったろうが、今は情況が違う。アメリカ中央軍が公表した「証拠写真」を証拠として不十分だとドイツの外相にも言われている。
2019.06.15
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大学入試共通テストで活用されるとされていた英語の「民間試験」が見送りになったという。「2020年のオリンピック・パラリンピックを見据え」て進めてきた政策が破綻しているのだろう。 私企業に試験を任せるという問題だけでなく、安倍政権が進めてきた英語教育政策に対する批判は英語教育に携わっている学者から批判されてきた。そうした批判は無視されている。 萩生田光一文科相の格差容認発言が「民間試験」見送りの理由にされているが、格差拡大は安倍晋三政権も推進している新自由主義の基本。社会にはさまざまな理由で厳しい生活を強いられる人びとが存在しているが、そうした人びとを切り捨てるのだ。 勿論、こうした考え方を否定する人も少なくない。社会的な弱者を救済するため、仏教には喜捨、イスラムにはザカートやサダカという仕組みが存在する。キリスト教にもそうした考え方があり、ヨーロッパの中世では「世俗の乞食さえも折々は、有産者に慈善という善行の機会をあたえるところから、『身分』として認められ、評価されることがあった」のだ。(マックス・ウェーバー著、大塚久雄訳『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』岩波書店、1989年) こうした考え方を新自由主義は否定、強者による富の独占を推進するのだが、このイデオロギーは資本主義の基本原理。このイデオロギーが広まった19世紀には弱者を救済する仕組みが切り捨てられていく。イギリスでは1834年に新救貧法が導入されるが、この法律は庶民の貧困化を深刻化させた。 貧富の格差が拡大すれば社会は不安定化、それを抑え込むために治安システムが強化され、他国を侵略して植民地化、富を奪うという流れ。その略奪した富も最終的には支配階級へ集中し、強大な私的権力が生み出される。 ウォール街と敵対関係にあったフランクリン・ルーズベルトは大統領時代の1938年4月29日に次のように語った:「もし、私的権力が自分たちの民主的国家そのものより強くなることを人びとが許すならば、民主主義の自由は危うくなる。本質的に、個人、グループ、あるいは私的権力をコントロールする何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」 新自由主義は私的権力に社会を支配させようというイデオロギーであり、ルーズベルトの定義を採用すると、それはファシズム。新自由主義とはファシズムの別名だということになる。 この体制の中心にはアメリカの巨大資本、つまり私的権力が存在している。このアメリカを中心とする支配システムを支えている柱のひとつが基軸通貨としてのドルを発行する権利。その仕組みを維持し、潜在的なライバルを潰して世界制覇を実現するために存在しているのが軍隊や情報機関。そうした支配力によって英語が世界の「共通語」として扱われるようになり、英語を母国語とする人びとは有利になった。 そうした情況を「言語帝国主義」と表現する場合もあるが、少し前からインターネット上の翻訳ソフトの能力が上がり、使えるレベルに達して言語の障壁が低くなっている。ところが日本語が関係すると相変わらず使えない。意図的にそうしているのではないか、つまり日本人が世界の情報に接しにくくしているのではないかという疑惑もある。 この疑惑が事実かどうかは不明だが、日本人が外国へ情報を発信したり、外国の情報を入手すること、日本人が外国人とコミュニケーションすることを日本の支配者は嫌がっている可能性が高く、日本の庶民の英語能力が上がることも嫌がっているのではないだろうか。 英語云々の前に、庶民から教育を受ける権利が奪われつつあることは本ブログでも指摘してきた。進学の仕組みが幼少期から資金を投入できる家に有利で、学費も高騰している。 言うまでもなく、学費が高騰すれば庶民には大きな負担。例えば、2012年にイギリスのインディペンデント紙が行った覆面取材の結果、学費を稼ぐための「思慮深い交際」を紹介する、いわゆる「援助交際」を仲介するビジネスの存在が明らかになり、ギリシャでは食費を稼ぐために女子学生が売春を強いられ、売春料金が大きく値下がりしていると伝えられている。 アメリカ上院のエリザベス・ウォーレン議員によると、アメリカでは教育が生活破綻の大きな原因になっているという。少しでもまともな教育を望むならば、多額の授業料を払って私立へ通わせるか、公立の学校へ通わせるにしても不動産価格の高い住宅地に引っ越す必要がある。低所得者の通う学校では暴力が蔓延して非常に危険な状態で、学習どころではないのだ。 トルーマン・カポーティは『叶えられた祈り』の中でウォール街で働いているディック・アンダーソンなる人物に次のようなことを言わせている。 「二人の息子を金のかかるエクセター校に入れたらなんだってやらなきゃならん!」(トルーマン・カポーティ著、川本三郎訳、『叶えられた祈り』、新潮文庫)「ペニスを売り歩く」ようなことをしなければならないというのだ。 ウォーレンによると、そうした経済的な負担に耐えられなくなり、破産する人が少なくないという。結局、経済的に豊かな愚か者が高学歴になる一方、優秀でも貧しい子どもは落ちこぼれていくことになる。 アメリカはそれより進んでいると見られているが、少し前から話題になっているのは「シュガー・ベイビー」なるシステム。女子大学生(シュガー・ベイビー)と富裕な男性(シュガー・ダディー)を引き合わせ、「デート」のお膳立てをするというビジネス。売春の斡旋と見られても仕方がないだろう。現代版のクルチザンヌだと言う人もいる。 登録している大学のリストを見ると、有力校と考えられている南カリフォルニア大学(583名)、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(614名)、コロンビア大学(1008名)、ニューヨーク大学(1676名)も含まれている。 日本で進められている英語教育の目的は日本人の語学力を引き上げるにことにあるのでなく、英語を利用した支配階級と被支配階級の固定化にあるのではないかとも思える。少なくとも、そうした方向へ動きそうだ。 蛇足だが、1980年代に某大手企業の役員からこんなことを聞いた。アメリカへ進出するにあたり、語学力で送り込む人間を決めたのだが、失敗に終わった。そこで営業力で選んだところ事業は軌道に乗ったという。
2019.11.03
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ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領が2月25日にロシア政府へ交渉を呼びかけたことに伴い、ロシア軍はウラジミル・プーチン大統領の命令で作戦を中断していたが、26日にミハイル・ポドリャク大統領顧問が交渉を拒否しすると発言、ゼレンスキーは飛行機でキエフからリビウへ移動したとされている。それに伴ってロシア軍は作戦を再開した。 Twitterで軍事情報を伝えている「Military Advisor」が掲載した地図を見ると、ロシア軍が入っているのはドンバスを含むロシアとの国境近く。ロシア側の戦力から考えてウクライナ全域の制圧を目指しているとは思えない。無理だろう。 しかし、外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物「フォーリン・アフェアーズ」に掲載された記事でダグラス・ロンドンは、ロシアが東部や南部での軍事作戦で終わらせようと考えてもウクライナ側が戦闘をやめないと主張している。ロシア軍を泥沼へ引きずり込みたいというように読める。 現在、ドンバスではマリウポリがロシア軍に包囲されつつあり、ネオ・ナチは住民を射殺していると伝えられている。2014年2月のクーデターから3カ月の5月2日、黒海に面する港湾都市のオデッサで反クーデター派の市民が惨殺されている。 広場にいた市民に暴徒が襲いかかり、労働組合会館の中へ誘導されたのだが、そこで虐殺され、建物は放火された。50名弱が殺されたと伝えられているが、これは地上階で発見された死体の数で、地下ではさらに多くの人が殺されたと言われている。120名から130名とも言われているが、その大半は運び去られたという。 その1週間後、マリウポリ市に戦車などを入れて市内を破壊、非武装の住民を殺害している。5月9日はソ連がナチスに勝ったことを記念する戦勝記念日で、住民は外で祝っていた。そこへキエフのクーデター軍が突入したのだ。その様子を携帯電話で撮影した映像が世界に発信されたが、それを見ると、住民が丸腰で戦車に向かい、殺されていく様子が映されている。5月11日に予定されていた住民投票を止めさせることも目的だっただろうが、予定通りに投票は行われ、独立の意思が示されている。
2022.02.27
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世界はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動で収容所化が進み、生産活動や商業活動は麻痺、個人経営の店や中小企業を中心にして経営状態が悪化、倒産に追い込まれるケースも少なくない。必然的に失業者が増え、ホームレス、自殺者を増加させることになった。さらにデジタル・パスポートを導入し、世界規模で個人を管理する計画が立てられている。WEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブはマイクロチップ化されたデジタル・パスポートを皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合するという計画を2016年1月にスイスのテレビ番組で語っている。 しかし、COVID-19騒動を演出する道具として使われてきたPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査が病気の診断には適していないことが広く知られるようになり、パンデミック自体が幻影だった可能性が高まっている。 COVID-19の原因とされてきたSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)への感染を確認するため、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は「2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」を利用してきた。ところがCDCはこの診断パネルのEUA(緊急使用許可)を2021年12月31日に取り下げると同年7月21日に発表している。 この診断パネルはインフルエンザA型とインフルエンザB型も検出できるとされていたが、区別できないことを認めざるをえなくなったようだ。EUAの取り下げが発表された際、SARS-CoV-2とインフルエンザ・ウイルスを区別できる別の手段を探すように求めている。PCR検査は無意味だと本ブログでも再三書いてきたが、それをCDCも認めた。PCRが信頼できないなら、「無症状感染者」は幻に過ぎないだろう。 しかし、PCRを感染の診断に使えると信じ、定められた手順で安全性が確認されていないリスクの高い「ワクチン」を打っている人は少なくない。これによって帯状疱疹、⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病、体の麻痺、脳梗塞、心筋梗塞、心筋炎、心膜炎、ADE(抗体依存性感染増強)などを引き起こし、微小血栓によって脳、脊髄、心臓、肺などがダメージを受けているとも言われている。 そうしたリスクは早い段階から指摘されていたが、それでも接種したわけだ。人によって事情はあるだろうが、接種者は権力者や権威に情報を頼り、従順に行動している人が多いだろう。カルトの信者に近い状態だ。 そうした「ワクチン」接種者はウクライナ情勢に関しても権力者や権威に情報を頼り、従順に行動している。こうした傾向があることをカナダではECOSポリティクスのアンケートで確認されている。 そのアンケート結果によると、例えばロシアにより厳しい経済制裁を課すべきかという質問に対し、肯定したのは「ワクチン」を3回以上接種した人は86%、「ワクチン」拒否者は13%だった。プーチン大統領と結びついているロシア人富豪の資産を没収するべきかという質問に賛成したのはそれぞれ85%と13%。ロシアからの石油を断つべきかという質問には肯定が81%と21%、ウクライナへの軍事物資を追加供給するべきだとしたのは82%と18%、戦闘機の供与は52%と15%、軍隊の派遣は30%と11%、飛行禁止空域の設定は、つまりNATO軍にロシア軍機を攻撃させるかという質問にはそれぞれ59%と18%が賛成した。 ウクライナの問題でも「ワクチン」接種者は権力者や権威を信じ、自分で歴史や別の情報を調べたり、自らの頭で考えることをしていないと言えるだろう。
2022.03.23
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米国欧州軍司令部によると、黒海を飛行していたアメリカ空軍の偵察用無人機MQ-9へロシア空軍に所属する2機のSu-27が接近し、衝突してMQ-9は墜落したという。ロシア国防省によると、トランスポンダーをオフにした無人機がクリミア半島へ接近、Su-27は緊急発進した。その無人機はコントロール不能になって海中へ墜落したが、ロシア軍機は搭載した武器を使っていないという。 ロシア軍のECM(電子対抗手段)能力は高い。2013年9月に地中海から発射された2機のミサイルが海中へ落下しているが、これはシリアを軍事的に制圧しようとしていたバラク・オバマ政権の命令による攻撃だったと見られている。イスラエルはミサイルの発射実験を行ったと発表したが、事前の警告はなく、事実ではないだろう。ロシア軍がECMで落としたと推測する人は少なくない。 ウクライナではネオ・ナチによるクーデターで合法政権が倒された2カ月後の2014年4月、アメリカ海軍の駆逐艦ドナルド・クックが黒海へ入り、ロシア領に接近した。ウクライナ全域の制圧を目指すアメリカによる恫喝だったのだろうが、その艦船の近くをロシア軍のSu-24が飛行すると状況が一変した。 ドナルド・クックはすぐルーマニアの港へ入り、その後、ロシアの国境には近づかなくなったのである。ロシアでの報道によると、ロシア軍機は「キビニECMシステム」を搭載、ドナルド・クックのイージス・システムを麻痺させたという。 MQ-9は公海上を飛行していたというが、ウクライナに展開するロシア軍に関する情報を収集していた可能性が高く、その情報はウクライナ軍へ伝えられる。 アメリカ/NATOは2014年2月のクーデターを準備している段階からネオ・ナチを戦闘員として訓練、武器弾薬や軍事情報を提供し、軍事作戦はNATOが立てていたと言われている。こうしたことはアメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターも語っていた。公海上であろうとどこであろうと、MQ-9はロシア軍を攻撃するための情報活動、あるいは軍事侵攻のシミュレーションを行なっていたのだろう。 ウクライナ軍はアメリカが供給したJDAM-ER(射程延伸型統合直接攻撃弾)を既に使用していると言われているが、それに対し、ロシア軍は3月9日から極超音速ミサイル(マッハ12)のキンジャールを含む約80機のミサイルで攻撃し、ウクライナ側に大きな損害を与えた。 リボフの地下80メートル、あるいは120メートルの場所にはNATOの戦略司令部があると言われていたが、その司令部がキンジャールに破壊されたと報道されている。そこには300名以上のスタッフが常駐、その一部はイギリスやポーランドをはじめとするNATO諸国軍の将校で、アメリカ軍の将校もいたという。 司令部は土砂で埋まり、死体の数は確認されていないようだが、相当数にのぼり、「影の参謀」とも言われているNATOの将校数十人が含まれているとも言われている。この事実が表面化すると、NATO軍は文字通りロシア軍と直接、戦争状態にあることが知られてしまう。 ロシア政府は昨年9月21日に部分的動員を発表した。30万人から40万人が集まったと言われ、その大半は軍事訓練に回された。準備が整うまでに半年は必要だと言われているので、3月に訓練は終わると見られている。その部隊が戦線へ投入される日が近づいている。始めてロシア軍がウクライナで姿を見せるということだ。 ちなみに、MQ-9の墜落は事故でなく意図的なものだと考える人がいる。 ロシア政府による警告ということだ。
2023.03.16
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