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眼鏡さん姉さんの襟替と、新たな仕込みさん二人、変化の27巻。先笄に結い上げた眼鏡さん姉さんの、なんて綺麗な事。眼鏡さん姉さんなら鉄漿でニッ♪と、読者に向かって笑ってくれる描写があるかと、ちょっと期待してしまったんだけど…やっぱりNG?表紙の、髪を短くした姉さんへ向ける眼差しが、何とも優しい駒えみちゃん。すっかり成長して、良いお姉さんに。新しくやってきた仕込みさん二人は、とっても元気。「市」がますます賑やかになる。健太がまた一段と逞しくなっていて、目標を見据えて前進中。良い師匠と先輩に恵まれ、良い環境で生きている。周囲が変化していく中、安定のキヨちゃんとすーちゃん。日々努力の人すーちゃんは、ますます磨きがかかり、押しも押されぬ売れっ技。キヨちゃんは着実に一歩一歩、周囲に日々の安心を提供中。さて次巻は、いよいよ京都におばあちゃんがやって来る!
2024年09月14日
浅草公会堂で、尾上右近丈の自主公演『第八回 研の會』を拝見。演目は、「摂州合邦辻」と「連獅子」。この猛暑にも勝る、熱い熱い意志に満ちた舞台だった。「摂州合邦辻」は、腰元奉公をしていた大名家で、正室亡き後に主君の目に留まり継室となった女の物語。主君には脇腹の長子と正室腹の次子がおり、次子が後継ぎとなった為、次子は長子から命を狙われる。それを知った女は、継子ふたりを助ける為に、己の命を懸ける。あらすじを読むと、お家騒動の物語。物語を作った側の意図は、継母の継子に対する邪恋だったのか?現代の感覚からすると何とも理解し難い物語なのだが、演者の解釈と演技で観る側が如何様にも受け取れる。元は武士だが出家した合邦道心の庵を、夜の闇に忍んで女が訪ねてくる。女は合邦の娘で、不義をしでかした娘を父親はまず拒もうとするが、母親はまず娘の無事を確かめその本心を知りたいと思う。女は、次子に対する恋心をあからさまに語り始める…と、なる瞬間、演じる右近の全身から玉手御前という「女」が、ぶわっと立ち昇るように感じた。そこには懸命な意思があって、やはり恋は有ったのかもしれない。でも、女の最期に浮かべた笑みを見た時、それは己の成し遂げるべき事をやり遂げた成就を感じて、この女はまだ二十歳前後の若さだった事を改めて思った。若い女の懸命な、純粋な意思が、独り暴走させた原動力だったかもしれない。それは愚かにも思えるし、聖なるものにも思える。右近の、渾身の玉手御前を観てそんな事を感じた。合邦道心の猿弥の、老いた化粧の様子に三代目の雰囲気があって、嬉しくなった。奴入平の青虎の、きびきびとした姿にも、それは確かにあって、師匠の存在というのは永遠なのだなぁと思った。浅香姫の鶴松が現れた時、自然と綺麗と見蕩れ、純真で美しい姫だった。この人の真摯な様子は時に控えめ過ぎると思った事もあったのだけれど、着実に一歩一歩大切に進んでいるのだなぁと感じた。「連獅子」は、これまで様々な「親子」を観てきた。ただ、不思議と実の親子で観た事は少なく、個人的にはそこに拘りはなかったのだが、事前のインタビューを拝読して、演じる側にはやはり少なからぬ思いがある事を教えて頂いた。今回、右近が仔獅子に尾上眞秀を熱望した心が、舞台のそこかしこに感じられた。凛として高みに己を据える親獅子の、仔獅子に向ける表情の多彩だった事。若々しい親獅子の喜びを感じて、こちらの胸も高まり感動に満ちた。眞秀くんも、はつらつと挑んだ。この人の「目」の良さに、5年前の「実盛物語」で魅了されたのだったが、ますます活き活きと輝き、すらりと伸びた姿も美しい。仔獅子となって出て、そして花道を下がる場面は、危険な事もあり慎重に下がるやり方もあったが、眞秀くんはなかなかなスピードで果敢に下がった。若々しい親子の、未来へ向ける咆哮のような毛振りに、観る側は懸命な拍手で寿ぐ。自主公演は、演者にとっても観客にとっても、未来を見据える格別な舞台。誰よりも熱く意志に満ち満ちて在ろうとし続ける尾上右近の、何て凛々しい事か。終演の挨拶で、晴れ晴れと発せられた「歌舞伎、愛してるぜ!」は、ここに集った観客にとって何よりの芝居土産だった。
2024年09月08日
小説/コミック9月11日『舞子さんちのまかないさん(27)』 小山愛子 9月13日『猫沢文具店の借りぐらし』 谷崎泉 9月17日『脳内チキンバースト!』 児島かつら 9月20日『銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に』 ほしおさなえ 10月8日『魔法使いの嫁(21)』 ヤマザキコレ 10月15日『後宮の人形師 ひきこもりの少女、呪術から国を救う』 猫田パナ 10月31日『こぎつね、わらわら 稲荷神のまかない飯 いただきますっ!(6)』 西実さく 11月15日『しあわせは食べて寝て待て(5)』 水凪トリ BD9月25日『ミュージカル「刀剣乱舞」千子村正 蜻蛉切 双騎出陣ー万の華うつす鏡ー』 11月20日『舞台「刀剣乱舞」心伝 つけたり奇譚の走馬灯』 2025年『ミュージカル「刀剣乱舞」参騎出陣~八百八町膝栗毛~』
2024年09月01日
陶芸作家の旦那さんとファッション雑誌編集長の奥さんの、長距離生活。若いとはいえ、着実に注文が入る陶芸作家の旦那さんは、自然豊かなご近所との関わりも温かい地方で、なかなか丁寧な生活をしている。都会で多忙な日々を過ごす奥さんは、TV出演や他紙からの取材も受ける有名な編集長。ふたりの生活距離は200km、週末になると車を飛ばして奥さんが帰ってくる。旦那さんは料理も丁寧で、一人の食卓もさりげなく手をかける。ご近所との集まりに、手作りのパウンドケーキを持参する心遣い。奥さんは、時に休日も呼び出されるほどの超多忙な毎日で、仕事に社員に心を砕き、反面ついつい部屋も散らかり気味。お互いに、それぞれの生活を尊重して、200kmの距離にも不服はなく、週末に優しく寄り添い、ふたりの暮らしを楽しむ。ほっこりとして、料理が美味しそうで、可愛い物語。この後、それぞれの仕事にもう少し踏み込んだ話が描かれるのか、または、ますます美味しそうな料理描写に熱が込められるのか、どういう展開になっていくのか、楽しみ。ふたりの馴れ初めのお話は、是非読みたい♪
2024年08月24日
元々、苦手な夏、年を重ねる毎、益々しんどい。日々の暑さに、ウンザリ。本もコミックスも、新刊届いてるんだけど…夏芝居も、映画も、外出が億劫で…今日、明日は夏コミ…今年は不参加。どうか、天候も地震も悪さをしませんように。
2024年08月11日
小説/コミック8月7日『いつだって喫茶ドードーでひとやすみ。』 標野凪 8月8日『琴子は着物の夢を見る』 ほしおさなえ 9月11日『舞子さんちのまかないさん(27)』 小山愛子 9月13日『猫沢文具店の借りぐらし』 谷崎泉 9月17日『脳内チキンバースト!』 児島かつら 9月20日『銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に』 ほしおさなえ 10月15日『後宮の人形師 ひきこもりの少女、呪術から国を救う』 猫田パナ 10月31日『こぎつね、わらわら 稲荷神のまかない飯 いただきますっ!(6)』 西実さく BD8月28日『シネマ歌舞伎 刀剣乱舞 月刀剣縁桐』 9月25日『ミュージカル「刀剣乱舞」千子村正 蜻蛉切 双騎出陣ー万の華うつす鏡ー』 11月20日『舞台「刀剣乱舞」心伝 つけたり奇譚の走馬灯』
2024年08月01日
夜の部「裏表太閤記」を拝見。43年前に昼夜通しで上演されたものを、半分の時間で出来るよう作り直された。三代目の初演版の形がどれくらい残っているのか判らないが、お客を楽しませようという意志と熱が確かにあった。高麗屋三代が揃い、花形が個性を発揮して、三代目の新盆をしてくれたのだなぁと思った。物語は太閤記の、豊臣秀吉の出世物語という「表」に対して、明智光秀や備中高松城水攻めなど「裏」を際立たせている。まず松永弾正の爆死、「馬盥」の織田信長の横暴と明智光秀の忍従、本能寺、織田信忠の最期と続き、備中高松城の軍師家族の忠義を描く。本能寺の、彦三郎の信長が憎々しく、松也の光秀の苦しみが伝わる。謀反の場から一転して愛宕山は酒宴も盛り、織田信忠の巳之助の品の良い事。取り巻くお腰元衆に、芝のぶ、笑野、猿紫と並んだのが嬉しく、また久しぶりに右若の姿を観る事が出来たのも嬉しい。お通の右近が登場すると華やかさが増し、美しく凛とした姿に目を見張る。落城寸前の高松城での、命を懸けて和睦を結ぶ軍師とその家族の悲劇は、通し狂言の中幕にこういう場面をたっぷり演じて見せた三代目のやり方を懐かしく思い出す。染五郎が、ずいぶんとお祖父様に似てきたなぁと、夏が来る度見続けてきたその成長ぶりにしみじみしてしまう。中国大返しが海路となり、荒れ狂う海を鎮める為のお通の入水は、新たに作られた場面だそうで、ここはやはり三代目への思いが込められている。今回、何故「裏表太閤記」の上演が決まったのだろうか。三代目が手掛けた数々の復活狂言や新作を、この後も埋もれさせる事なく、様々な形で活かす為の試みであって欲しい。二幕の切、目出度く光秀を討ち取る場面が、大滝での本水の立ち回り。この猛暑に、幸四郎、松也、染五郎が水飛沫を跳ね上げる。どうやら幸四郎が一番楽しそうで、松也が転び掛けたのが心配やら。で、三幕がいきなり西遊記の世界で、孫悟空がひと暴れ。秀吉の「猿」から転じた御趣向の場面、幸四郎の踊りが洒脱。天帝に猿弥、その大妃に門之助、と、「ヤマトタケル」を観てきた者にはちょっと嬉しい。天帝の眷属たちにお弟子さんたちが配役されていて、それもまた嬉しい。今回、たとえば森蘭丸の京純をはじめ、様々な役や場面でのお弟子さん方の存在が印象深い。三代目の部屋子の末っ子、青虎が様々な場面に登場し、まさかの宙乗りまでし、演出捕でもある事が、本当に感慨深い。笑也、笑三郎、猿弥、青虎は、三代目の意志をこの後に繋げ渡していく役目を担う。孫悟空は秀吉の見た夢…で、天下人となった太閤が天下泰平を記念して三番叟を舞う。右近と染五郎が花道から現れキレの良い舞いを見せ、更に松也と巳之助が端正に舞う。そして幸四郎が加わり、五人揃って圧巻の舞い振りを魅せる、その心地良さ。こんなに晴れ晴れと気持ち良い幕切れは、そうそうない。ふわふわと幸福な心持ちで、三番叟を反芻する。五人の舞い振りに、目は巳之助を追う…殊更に何かするのではなく、でも確かに際立っていて、目は追わずにおれない。そして上手側では右近が、ぴしっと、ぱしっと、きらっと決めていて、やっぱり好きだ。五人の中に加わって、若々しい染五郎の、清々しさ…いつか、團子ちゃんと二人三番叟とか…夢だなぁ……
2024年07月24日
小説/コミック8月7日『いつだって喫茶ドードーでひとやすみ。』 標野凪 8月8日『琴子は着物の夢を見る』 ほしおさなえ 9月17日『脳内チキンバースト!』 児島かつらBD8月28日『シネマ歌舞伎 刀剣乱舞 月刀剣縁桐』 9月25日『ミュージカル「刀剣乱舞」千子村正 蜻蛉切 双騎出陣ー万の華うつす鏡ー』 11月20日『舞台「刀剣乱舞」心伝 つけたり奇譚の走馬灯』
2024年07月01日
人の心の空虚に入り込むのか、人の業や欲や孤独が引き寄せるのか、この世の至る所に在りながら、殆どの人には見えず知らずのウツログサと、それを祓う為だけに在る男のいる物語。ウツログサは、その殆どが害のない…植物の妖怪のような…ものであるが、時に人や物に憑りつき、ただ在るだけだったり、寄り添ったり、喜ばせたり、浸食したり、吞み込んだりするらしい。ウツログサがその宿主にとって危険となった時、その地域担当の祓い師が現れたり、あるいは祓い師の在る場所に辿り着くらしい。ウツログサを祓うかどうかは、宿主の意思に委ねられる。ほしおさなえさんの新シリーズは、そんな不思議な物語。でも、ご自身が仰っている通り「ある意味ほかのシリーズものよりリアルかもしれません」という、自分の生活している片隅にも潜んでいるような気がしてしまう読後感だった。祓い師の笹目については、序章で触れられているだけで、本編の5つの物語はそれぞれの宿主たちが語り手となる。宿主たちのそれぞれの人生に、ふと憑りついてしまったウツログサは、それぞれの宿主に相応しい結末をもたらす事になる。それが「虚ろ」となる結末であっても、宿主の本能が無意識に選んだのかもしれず、あるいはウツログサに導かれたのかもしれず、その不思議は底知れない。さて、御多分に漏れず、私自身まずこの新シリーズのタイトルを知った時、「蟲師」っぽい?と思った。手にした表紙を見て、更に「蟲師」っぽい…と思った。この新シリーズを極簡単に説明するには、やはり「蟲師」っぽいと言ってしまう。だから、「蟲師」がお好きな方には、是非お薦めしたい。「蟲師」の物語世界は「鎖国を続けている日本」で、風景や暮らし方などが前時代的な描かれ方をしている。「祓い師笹目」は、高度経済成長期を経てバブル崩壊もしてコロナ禍も経験した、つまり我々の現代が舞台となっている。だから、シリーズが展開されていけば、更なる深淵を覗くかもしれないし、醜い業を突き付けられるかもしれないし、幸福なお伽噺にくるまれるかもしれない。そんな様々な想像が出来て、愉しみでならない。続きが読めますように。
2024年06月24日
小説/コミック6月5日『祓い師笹目とウツログサ』 ほしおさなえ 7月3日『眠れぬ夜のご褒美』 標野凪、冬森灯、他BD8月28日『シネマ歌舞伎 刀剣乱舞 月刀剣縁桐』 9月25日『ミュージカル「刀剣乱舞」千子村正 蜻蛉切 双騎出陣ー万の華うつす鏡ー』
2024年06月01日
京都の奥の、まるで隠れ里のような愛宕家へ呼ばれた兄弟。天狗の家が代々繋いできたものと、家族としての情と、無くなりかけているものと、残したい思いと。先走る拒絶感を乗り越えていく、柔軟な若さが瑞々しい4巻。有意が帰ろうとしなかった「家」の「当主」である「兄」という、ある程度想像がつく展開をして見せながら、実はそれぞれが言葉足らずであり、それぞれに思いやる兄と弟という様子を知る事が出来て、ほっとする。アメリカ育ちの現代っ子であるオンは、当然の事ながら反発をしまくるけれど、オンの「知りたい」意思は自分自身で見て体験する事をやめない。家を守ろうと努めるあまり、厳格で旧式な様子を見せる愛宕家当主だけれど、その内面は素直で素朴。弟と和解出来て、来年の約束も出来て、実は今回一番幸せな人。祭の夜、オンは初々しく舞い、基は炎を纏い穢れを祓う。天狗の末裔としてまたひとつ成長したオンに、一年の区切りが近付いてくる。さて、オンはどのような選択をするのか、次巻が楽しみ。
2024年05月24日
連句と出会った事から、人との繋がり、世界の広がり、更なる縁へ…と、主人公自身が変化していく物語の5巻目。前巻で参加した連句の大会での出会いが、更に広がっていく。若い集まりの連句に参加した事から、主人公は波風立たせずに生きてきた自分自身を顧みる事になる。若い集りが作る同人誌に誘われ、エッセイを寄稿する事になり、彼らがサークル参加した「文芸マーケット」に一般参加して、様々な刺激を受ける。「文芸マーケット」は、つまり「文芸フリマ」。実際に参加した事はないが、若い頃に出会っていたら一般参加していろいろな同人誌を買い込んでいただろうなぁと思う。コミケを始め様々なイベントに参加してきたから、作中での句集を作りイベントで販売する事のいろいろが想像出来る。苦労も侭ならない事も少なくはないけれど、一冊創り上げる喜びを知ると、それが継続の力になる。作中で、連句会の若手が中心となって進んでいく同人誌創りが、会にとっても一人一人にとっても楽しいものとなる事を願っている。「あたらしい人はあたらしい風を運んでくる」と、「変わっていくことが連句」と語られるが、これまでの4巻で、人々が集い、展開と変化をしながら繋がり、一つの作品となる連句は、独りでは生まれない事を教えられた。この5巻で、ひとつの出会いが新たな繫がりへと展開して、何かが芽吹き始めている。今後の物語が楽しみで待ち遠しい。
2024年05月22日
めがねさん姉さんと駒えみが表紙の26巻は、皆それぞれの今と将来を見つめるお話。年が明けて、「春のをどり」へ向けてお稽古が一層厳しくなっていく。そんな中、さりげない日常を過ごし、自分を掴み直すひとときの大切さを噛みしめる。それぞれが年を重ね、それぞれが成長と変化を見せる、一歩一歩前に向かって進んでいく幼馴染の三人。そして、めがねさん姉さんの、岐路。改めて自分自身を見つめ考え迷い、ごはんのお替りも出来なくなってしまうけど、可愛い生意気な妹、駒えみの悪態は、めがねさん姉さんが独りではない事を教える。駒千代さん姉さん、何て良い味わいのお姐さん。こういうベテランのお姐さんのお座敷を遊べるお客こそ、本物。めがねさん姉さんの決心がついて、晴れ晴れとした朝の駒えみリクエストのパンプディングの美味しさは格別。思い切り頬張るめがねさん姉さんを見る駒えみの表情に、こちらの胸も熱くなる。そして次巻は、いよいよ始まる「春のをどり」と、新たな展開の様子…
2024年05月14日
5巻は、原作の「はらぺこ飯」の始まり。加ノ屋の耐震工事の間、あわいの地で本宮の厨担当に料理を教える事になった秀尚。萌芽の館の子狐ちゃんたちは大喜び♪ところが、空間の裂け目から何者かが襲い掛かってきて、薄緋さまと子狐のすーちゃんが囚われてしまった!何と言っても今巻のスペシャルは、ちいさな薄緋さま♪襲ってきた餓鬼に生気を奪われ、すーちゃんを助ける為に消費が激しく、幼い姿になってしまったものの、隙をついてあわいの地へ帰還したのは、さすが日頃から冷静に状況を見ている薄緋さまだからこそ。ちいさい薄緋さま、とっても可愛い~♪いつもは表情が乏しいくらいにクールな薄緋さまだから、ちょっとした表情や仕草の破壊力ってば!原作を読んでいるから、餓鬼の存在を判っていはいたけれど、絵になった姿には、衝撃もあるし哀しさも感じるし…後半を読める日が待ち遠しい。それにつけても、原作の続きが読みたくて堪らない。赤ちゃんに戻ってしまったすーちゃんが、ようやく大きく育ってきたし、子狐たちの可愛い姿が、もっともっと読めて嬉しくなっただろうに…秀尚の作る美味しい料理が、たくさんたくさん読めてお腹が空いただろうに…加ノ屋に集う稲荷たちが、様々な魅力を発揮してわくわくしただろうに…そして、そして……
2024年05月09日
小説/コミック5月10日『舞子さんちのまかないさん(26)』 小山愛子 5月11日『言葉の園のお菓子番 未来への手紙』 ほしおさなえ 5月22日『天狗の台所(4)』 田中相 6月5日『祓い師笹目とウツログサ』 ほしおさなえ BD9月25日『ミュージカル「刀剣乱舞」千子村正 蜻蛉切 双騎出陣ー万の華うつす鏡ー』
2024年05月01日
前巻で、大学進学と将来の目標を定めた茜だったが、今巻は、既に大学4年生で、10ヶ月の英国留学から帰宅する場面から始まる。この物語が「家」の物語である事を、改めて印象付ける。空白の10ヶ月は、多少のギクシャクを生じさせたものの、それはお互いの「今」を意識させる事にもなった。10ヶ月の経験は、茜の視野を広げ心を深め、芯の強さを確かなものにしつつある。最早、保護されるだけの存在ではなくなっている。それは、妹のすみれにも言える事で、この姉妹のしなやかな成長ぶりが清々しい。姉妹の成長に伴うように、ようやく青年たちの心も定まってきた様子。一人は決断して、彼らの「家」を育むべく歩み始めた。それは同時に、展開が早まっている事も感じさせ、急がずゆっくりで良いんだよ…とは、年寄り読者の感慨。さて、どう「家」は変化していくのか、今後も楽しみ。
2024年04月23日
20巻は、「獣狩り篇」のはじまり。長かった「カレッジ篇」が終わって、チセも少しはゆっくり出来るかと思いきや、作者さんがあとがきで仰るように、あちらこちらに物語の仕込みがされていて、読者側も気が抜けない。お客様がいっぱいで、シルキーが嬉しそうなのは何より。本当はもう暫く、こんなカンジを気楽に読んでいたいのにな…な気分ではあるけど、物語はぞわぞわと侵食してくる。次巻は10月。断片集は、アニメの円盤に特典封入されていた短編を、まとめたもの。改めて一冊にしてくれてありがたい。ドラマCDは、「入学前夜」…というより、「魔法使いがやってくる前夜」の、ソワソワとザワザワな15分弱。アニメを見ていたから、声だけでも誰か判ったのにはホッとしたけど、ジャケットなり封入なりでキャストやスタッフの記述は欲しい。アイルランドの物語の2巻。1巻から1年以上経ってるので、すっかり物語を忘れてた…1巻から通して読んで、いよいよ動き出した感。あちらの20巻に登場した御仁が、こちらにも登場。これから更に面白くなっていく期待感満載なのだけど、次巻は案の定1年後。待ち遠しい事!
2024年04月17日
小説/コミック4月9日『桜の木が見守るキャフェ』 標野凪 4月12日『魔法使いの嫁(20)』 ヤマザキコレ 『魔法使いの嫁 断片集(1)』 ヤマザキコレ 『ゴースト アンド ウィッチ(2)』 ヤマザキコレ 4月30日『こぎつね、わらわら 稲荷神のまかない飯 いただきますっ!』 西実さく 5月10日『舞子さんちのまかないさん(26)』 小山愛子 5月11日『言葉の園のお菓子番 未来への手紙』 ほしおさなえ 6月5日『祓い師笹目とウツログサ』 ほしおさなえ BD9月25日『ミュージカル「刀剣乱舞」千子村正 蜻蛉切 双騎出陣ー万の華うつす鏡ー』
2024年04月01日
わんこと暮らした事があるものにとって、らくださんの作品は共感しかないのだけど、この作品は一緒に旅が出来る楽しさを味わわせてくれた。実際に、らくださん夫妻と愛犬ライくんは、キャンピングカーで日常的に出掛け、様々な場所へ旅をしているから、経験に基づいた描写や、いろいろな工夫など、読んでいて興味深く楽しかった。あちらこちらへの旅の様子や、わんこと出掛ける事の楽しさや気付きや、もっともっと読んでみたかったなぁ
2024年03月31日
3月20日、『ヤマトタケル』新橋演舞場公演は千穐楽となった。2月4日の初日から、それはそれは幸福だった2ヶ月が終わってしまった。先週とはもう違う顔を魅せる團子に、また驚かされる。目覚ましい変化に目を見張り続け、その都度心揺さぶられたこの日々は、一観客にとっても特別な、「今」しか得られない経験だった。今回初参加の成駒屋のご兄弟にとっても、このロングランが良い御経験となるよう願ってやまない。タケヒコという役は、この物語で最も魅力的と言って良い。何といっても、中村歌六丈のタケヒコは素晴らしく、毎回見蕩れたものだった。配役発表があった時、福之助のタケヒコが観られる事に期待しかなかったが、実際、あの印象的な出の場面から、素敵なタケヒコだった。姿の良さ、声の良さ、そしてあの涙…何と心暖かなタケヒコだったろう。このところ、魅力的な「悪い顔」を見せてくれていた歌之助だったから、熊襲弟タケルは打ってつけだと、やはり期待しかなかった。今回、錦之助丈が驚愕の若々しさで魅せつけた弟タケルだったが、歌之助の弟タケルのヤンチャな暴れん坊ぶりもまた嬉しいものだった。そして、ヘタルベの愛らしい事。あの最後の、全力で駆ける姿に、どれほどの観客が心掴まれた事か。あのシーンの舞台写真、もちろん大喜びで購入した。今回、初参加が多く若返った座組だったから、これまで経験を積み重ねた面々の、存在感の大きさもまた際立った。倭姫は、初演の澤村宗十郎丈の、あのふんわりと温かくスケールの大きな姿が目に焼き付いている。その役を若くして受け継いだ笑三郎が、とうとう実年齢的にも加味するものがあり、この倭姫在ってこそという、物語の為にも大切な存在になっている。今回、二幕が予言と呪いの色味を濃くしており、改めて感じるものが多かった。熊襲兄タケルのおおらかさと、足元をすくわれる末路。伊吹山の山神の尊厳と、古の遺物である現実。猿弥は彼らを存分に印象付け、この物語の意味を深める。殊に山神の、姥神に呼び掛ける様に心根の慈愛を感じ、その最期が哀しくてならなかった。猿弥の身体能力の高さが発揮される、タケルとの立ち回りは圧巻だった。全身でぶつかっていく團子にとっても、嬉しいものではなかったろうか。蝦夷のヤイレポを演じた猿四郎は、殺陣師としてなくてはならぬ存在。三代目はやりたかったものの、結局タケヒコ一人に任せた焼津の大旗を、今回初めてタケルも振るった。当初、もっと大きな旗を殺陣師は望んだ…とか?鉄と米の意味をタケルに叩き付ける、青虎の凛とした声。颯爽とした佇まいといい、登場場面は少ないものの、存在を焼き付ける。猿弥と並び演出補も担い、上演に至るまでの重責、そして幕が開いた後に続いた代役の調整など、心休まる時がなかったのではないか。これまで、三代目の部屋子の末っ子的な面を、表では見せてきたように思うけれど、演出家としても手腕を発揮しつつあり、存在感がますます増している。お父様であるご先代から引き継いだ皇后と姥神の門之助は、1,000回を超えた上演の皆勤賞の一人。幕開きの皇后の堂々たる美しさに目を奪われ、伊吹山の姥神の愛嬌も魅力的だった。外部からご参加の嘉島典俊さんは、三役を担われた。その巧みさ故に初参加とは思えない馴染み方で、また助けて頂いた。今回新たな演出となった、三幕の幕外での大臣と朝臣のやり取りは、これまでの高圧的な大臣の一人芝居より良かったと思う。出演者お一人お一人に印象深い場面があり、書き連ねたい思いがまだまだある。ご自身はみやず姫を演じた笑野は、ワカタケルとしてご子息が初お目見えとなった。ダブルキャストでみやず姫を演じた三四助は、打てば響く愛らしい姫だった。熊襲の兵士たち女たちの宴の楽しさ、伊吹山の鬼たちの憎めなさ、まだまだ尽きない。そして、今回は役につかず裏に徹した猿紫も、忘れてはならない。この舞台を支えたお一人お一人に、感謝しかない。最後に、大きく翼を広げ飛び立つタケルをその真下から見上げた時、その羽の衣擦れの音が聞こえた。とうとう天高く羽ばたいて行ってしまうのだな…と、心が震えたが、でも、その行方は終わりではなく、始まりなのだ。どうか無事に、晴れ晴れと翔び続けるよう祈ってやまない。万雷の拍手に再び幕が上がり、カーテンコールに慣れない團子の様子に素顔が垣間見れ、一瞬にして劇場中が和んだ。鳴り止まぬ観客の要望で、更に幕が上がり、そこには米吉がただ一人在った。純白の神々しいまでの美しさで、促すように指差したその先、花道から團子が現れた。まっすぐに七三まで来て一礼して、舞台中央に来て米吉に一礼。まだ二十歳の、主役を担い舞台中央で奮闘した若者の、率直な姿だった。そして、米吉から歩み寄るようにして、ヤマトタケルと兄橘姫が寄り添った。離れ離れだったふたりが、ようやく再会出来た祝福の中、幕は下りた。
2024年03月21日
初演以来、通算上演回数が1,000回を超えた。三代目に始まり、代々の役者が引き継ぎ繋げたこの芝居を、今、七人目である團子が演じている。999回目と、1004回目を、拝見。初日以来に観た團子は、その出から顔が違っていて、目を見張った。5日後に観た際は、また更に変化していて、二十歳の可能性の無限な事を思った。観る毎に、演じる毎に、顔も形も綺麗になっていくし、その芝居もどんどん変わる。見逃したくない思いに駆られてしまった。もちろん、課題は多々様々にある。それを一番解っているのは本人であり、周囲は承知して見守り手を差し伸べる。一門の結束はまた、團子だけの為ではない。長くこの御一門を観てきた一観客にとっても思う事は多く、更に観続けねばと決意する。主役の芝居が変化すれば、それを受ける側の芝居もまた変わる。橘の姉妹を演ずる中村米吉の芝居が、更に細やかに、情の変化を魅せる。初演のやり方に戻り、姉妹を早替りで演る米吉の、演じ分けが見事。「今」を担う弟姫と、「未来」を担う兄姫の、それぞれの在りように感動する。個人的に、これまで観てきた走水での弟姫に、ちょっぴり引っかかるものを感じていた。良し悪しではなく、好き嫌いでもなく、でも、何か極僅かに感じてしまうものがあった。米吉の、命懸けの恋をする弟姫を観て、ようやく理解出来たように思う。いつの頃からだったか、米吉の弟姫を観たいと、夢見てきた。それは同時に、ありえない夢でもあった…それまでの状況では。ところが叶ってしまって、自分の奥底で願っていた橘の姉妹を、そんな想像など及ばない以上の兄姫と弟姫を観る事が出来て、正に夢のようだ。今回初演のやり方を様々に感じ、物語の根の素朴さが浮かび上がったような気がする。たとえば、大碓命と小碓命、帝と倭姫、橘の姉妹、熊襲の兄弟、蝦夷の兄弟。たとえば、ヤマトタケルと、兄姫と、弟姫と、みやず姫と。それぞれの関係や、情や想いの在り方などを思いつつ観た。また、中村福之助、歌之助ご兄弟だからこそ、おそらく加えられただろう1場面から、ヤマトタケルと、タケヒコと、ヘタルベの関係について、改めて感じるものがあった。ヤマトタケルとは、何と寂しいものかと思う。初演の、三代目の宙乗りには、志半ばで逝かねばならぬほろ苦いものがあった。再演を重ねるごとに、そこに様々な意志が馳せられていった。先日観た隼人の宙乗りは、切なく慈しみに満ちていた。999回目に観た團子の宙乗りは、微笑みがあり、どこか明るかった。その若さには、絶望は無いのかもしれない。熊襲の兄弟、蝦夷の兄弟への言葉に、ここから先へ馳せる思いを感じた。1,004回目に観た時には、更に変化があり、積み重ねつつあるものを感じた。まだまだ可能性の翼を広げて翔んでいく姿を、追って行きたくて堪らない。
2024年03月15日
小説/コミック3月18日『京都岡崎、月白さんとこ 茜さすきみと、「ただいま」の空』 相川真 3月27日『ぼくもいっしょ!(3)』 らくだ 4月9日『桜の木が見守るキャフェ』 標野凪 4月30日『こぎつね、わらわら 稲荷神のまかない飯 いただきますっ!』 西実さく BD3月20日『舞台「刀剣乱舞」 山姥切国広 単独行ー日本刀史ー』 9月25日『ミュージカル「刀剣乱舞」千子村正 蜻蛉切 双騎出陣ー万の華うつす鏡ー』
2024年03月01日
2月25日昼の部、中村隼人のヤマトタケル最終日を拝見。この日で隼人のヤマトタケルを観るのは、三度目。回を重ねるごとに、大きく、細やかに、強く、情の篭った芝居を魅せてくれ、殊に千穐楽は更に美しく、哀しく、切なさを纏っていた。一幕ごとに積み重ねたヤマトタケルの生き様が、ラストの台詞を感慨深くする。想いや慈しみや万感込めて言い放たれた台詞の、何と優しい事か。そして大きく翼を広げて舞い上がり、あまねく眼差しを投げかけ、旅立った。隼人と中村錦之助丈が繰り広げるヤマトタケルと熊襲弟タケルの闘いを、横内謙介氏は「親子の獅子の情熱的な格闘」と書かれた。錦之助丈の弟タケルの、回を重ねるごと若々しく、何と溌溂としている事か。あの初演時そのままのようで、懐かしくも新鮮にも感じた。錦之助丈は、この後3月千穐楽までご出演下さる。有難い。本来ならば、隼人の今回のヤマトタケル役は無かったのではないか。3月南座の花形歌舞伎が、隼人にとって重要な舞台であるのだから。幻となったステージアラウンドのキャスティングがあったから、完全に無かった話でもないのかもしれないけれど、また澤瀉は助けてもらったのだ。このひと月、ヤマトタケルの姿を團子に見せてくれた事、本当に有り難い。2月26日、返り初日。ここから團子の更なるロングランが始まる。でも、團子は独りではない。思うまま翼を広げて欲しいと願う。
2024年02月26日
これまで二人だった表紙が、四人になった5巻。自分は自分でいいという事、自分が選べるんだという事を、心に抱き留める。それぞれの想いが二人の想いとなった、野本さんと春日さん。同居も始まり、野本さんの気持ちを尊重しながら、これからは「ふたりで」と提案する春日さん。ゆっくりと二人の幸せを積み重ねていくのだなぁ…南雲さんは、受け入れられ、受け止められ、更なる一歩。自分が理解される事を知って、ますます自由になりますように。矢子さん、素敵だなぁ…周囲の心を解放して、背中を押せて、自らの事も省みられる柔軟さ。ここに至るまで矢子さんも、様々な経験を乗り越えてきたのだろう。改めて1巻から5巻まで通して読んで、これはこの4人だけの物語でなくて、数多の人の物語でもあって、皆が幸せでありますように…と思う。ドラマの方も丁寧に作られていて、毎日の楽しみ。
2024年02月21日
誘われて、3月3日まで展示中の三日月宗近に会いに行く。展示室に入ると、意外なほど端近に展示されていて、ちょっと吃驚(列形成の為かも?)。連休中とはいえ、早めの入館だったせいか人も少なめだったので、気持ち的にも急く事なく拝見。つくづく、美しい事を実感。考古展示室が楽しくて、縄文から弥生時代の出土品に、ワクワク。ちょうど『ヤマトタケル』を観た後だったせいもあって、銅鐸や銅矛、鉄剣や矢じりなど、見入ってしまった。おそらく10数年ぶりのトーハクは、いろいろ整備されていて、全体的にすっきりとして鑑賞しやすくなった印象。今回は常設展示の1階部分だけゆっくり観て、気持ち的にも体力的にも十分堪能。とっても楽しかった。
2024年02月12日
1986年2月4日、スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』は初演された。38年後の同じ日に、新たな幕が上がる事になった。夜の部の、市川團子の初日を拝見。38年前の、あの胸の高まりを、よく覚えている。それと同じ気持ちを抱えて、劇場まで来た。時の帳を掲げ古代へと遡る幕開きから、もう様々な思いが溢れそうになる。ゆっくりと回りながらせり上がる聖宮が正面に据えられた時、これまで何回も観続けてきた物語が、新たに始まった。小碓命、後のヤマトタケルの出は、正面を昇ってくる。英雄であり征服者であり、悲劇の主人公となる少年が居た。20歳の、まだまだ若く未熟で、数多の可能性を内包している團子ならではの、まっすぐな物語が繰り広げられた。團子の初日をしっかり受け止めるべく、こちらもまっすぐに観た。幸福な3時間半だった。38年間に重ねられた上演の度、脚本も演出も練り上げられ続けた。今回は初演のテイストがそこここに感じられ、懐かしくもあり新たな思いもあり、もう聞けまいと思っていた台詞の復活もあった。主役ばかりでなく今回が初参加の面々の、若々しい新鮮な在りようだからこその、物語を改めて味わう楽しさがあった。そして、彼らを支える年長者たちの、確かさと美しさに、感動があった。2月、3月の上演の後、5月、6月、そして10月まで続く公演が、どうか無事に完遂されるよう祈っている。その果てに何を掴むのだろう…週末、中村隼人の『ヤマトタケル』を観る。
2024年02月07日
ちいさな恐竜たちと、心優しい人々との物語、待望の2巻。ちいさな恐竜たちの、さりげない日々の描写の、何て愛おしい事。かけがえのない毎日を大切に積み重ねて、すこやかに恐竜たちは育っている。恐竜たちと出会った人と人が繋がり、暖かな交流が広がっていく。町のそこここに笑顔が溢れ、幸福な情景が繰り広げられる。心がほんわかと温もり、何と白亜町が羨ましい事か。今巻にも描き下ろしがあり、またもや涙。ちいさい恐竜たちそれぞれに、大切な物語があるのだなぁ…幸福な物語はSNSで更に続いていて、新たな恐竜たちも続々。グッズもいろいろ発売されて、食器が嬉しくて毎日愛用中。この後も更に更に、楽しみ♪
2024年02月06日
小説/コミック2月2日『恐竜はじめました(2)』 クラナガ 2月15日『作りたい女と食べたい女(5)』 ゆざきさかおみ 2月22日『ネコシェフと海辺のお店』 標野凪 『とんがり帽子のアトリエ(13)』 白浜鴎 3月18日『京都岡崎、月白さんとこ 茜さすきみと、「ただいま」の空』 相川真 3月27日『ぼくもいっしょ!(3)』 らくだ 4月9日『桜の木が見守るキャフェ』 標野凪 4月30日『こぎつね、わらわら 稲荷神のまかない飯 いただきますっ!』 西実さく BD3月20日『舞台「刀剣乱舞」 山姥切国広 単独行ー日本刀史ー』 9月25日『ミュージカル「刀剣乱舞」千子村正 蜻蛉切 双騎出陣ー万の華うつす鏡ー』
2024年02月01日
いよいよ謎の敵に立ち向かう稲荷神、協力惜しまない神々、そして留守を守る香坂家、波乱と試練の20巻。敵が意外に一筋縄ではいかない様子に、衝撃。稲荷神の精鋭の中には、「わらわら」方面でお馴染みの兄弟も参戦して、後方支援も怠らずに作戦を開始したというのに。純真な神々とは真逆の、それほどに敵が暗黒なのか…陽ちゃんも、懸命に救護に加わって、ちいさな心に感ずるものが多かった様子。リアルな医療行為にはショックも大きかったようだけど、人を助けようとする意志はしっかり育っていく。倉橋先生の決断を知って、それを知らずにいた事に衝撃を受け、自分自身についても考え始める香坂先生。琥珀が、それを言い出さない想いも、これから明らかになっていくのだろう。それがどうあれ、香坂先生と琥珀らしく在ってくれればと思うばかり。これからの展開が、いろいろ気掛かり。それにつけても、玉響様も、月草様も、素晴らしくて惚れ惚れ。
2024年01月25日
それぞれの成長に、じんわりくる25巻。市のおかあさんと百子さん姉さんの件が落ち着いて、すっかり良い関係なふたりにほっこり。改めて、お互いが大切な存在なのを確かめて、気持ちが自由になっていく。幼馴染の三人は、年末に里帰り。それぞれのお家で、それぞれに家族の良さを味わって、新しい年に向かってまた前進。今回は健太の将来が具体的になって、一段昇った。いきなり京都に来た時は、その不確かさに心配もしたけど、しっかり積み重なったものを自覚して、更に進んでいく決意。すーちゃんとお母さんの関係も、すっかり円満。ひとりの社会人として娘を認められたお母さん、複雑な葛藤があったろうけれど乗り越えた様子。キヨちゃん、おばあちゃんに甘えて何だかホッとしてしまう。キヨちゃんは、キヨちゃんらしく自分の足で立っていく。百子さん姉さん、度々きよちゃんをごはん食べに誘ってあげて。そうすれば必ず、市でのご飯がもっともっと美味しくなるから。
2024年01月24日
小説/コミック1月12日『舞子さんちのまかないさん(25)』 小山愛子 1月17日『まぼろしを織る』 ほしおさなえ 2月15日『作りたい女と食べたい女(5)』 ゆざきさかおみ 2月22日『ネコシェフと海辺のお店』 標野凪 『とんがり帽子のアトリエ(13)』 白浜鴎 BD1月24日『舞台「刀剣乱舞」 七周年感謝祭ー夢語刀宴會ー』 3月20日『舞台「刀剣乱舞」 山姥切国広 単独行ー日本刀史ー』
2024年01月04日
2024年01月01日
新しい環境、新しいチーム、新しい場所を得て、いよいよ記念館開設に向けて動き始める。コロナ禍の為に、卒業式のないまま大学生活が終わり、主人公は藤崎産業の社員となった。記念館準備室に配属され、同期から選出されたメンバーと共に、記念館の、そして紙というものの可能性を探る事になる。コロナ禍によって大きく世の中が変わり、かつては当たり前だった事が出来なくなったり、不可能な事や諦めざるを得ない事が増えた。でもそれに屈せず、出来る事を試み、新たな事に気付き、一歩一歩前進していく主人公たちの着実な姿に感動がある。主人公の亡き父の、絶版となっていた作品が文庫化される事になり、また、雑誌掲載されただけだったエッセイが出版される事になった。過去に描かれた地域や手仕事や、今は亡き人の思いが、改めて読む人に伝えられる。本という形として蘇る事の意味を、紙が過去から未来へ繋いていくものの意味を、本好きのひとりとして感慨深く思った。川越に新たな場所を得て、様々な可能性、様々な技術、そして様々な思いが込められた、紙の記念館が開館するところで、この物語は終わる。『活版印刷三日月堂』『菓子屋横丁月光荘』『紙屋ふじさき記念館』と続いた、現代に忘れられかけたものと改めて向き合い、過去を受け止め未来へと進む物語の完結だった。噂や近況や変化がさらりと触れられ、シリーズを辿ってきた者にとって馴染みの人々の今を事を知る事が出来た。物語は終わっても、日々の営みは続く。手を止めず、真摯に作業を続け、未来へ向かって生き続ける人々に、終わりはない。だから、川越の町にあの人たちは今も居るのだな…と、嬉しい気持ちと共に本を閉じた。
2023年12月26日
師走の歌舞伎座は三部構成、その第一部を拝見。最初は「旅噂岡崎猫」。三代目の復活狂言「獨道中五十三驛」から、化け猫の件を抜き出しての上演。巳之助は、かつて巡業で経験しており、こういう形で澤瀉屋の演目を取り上げてくれて、本当にありがたい。繰り返し演じ続けられる事で、演技や裏方の技術が継承され、芝居は存在出来るのだから。そもそもはお家騒動やら復讐やらが関わるのだけど、ここはケレンを楽しむに限る。巳之助の、その登場から、まー妖しい通り越して、おっかないコト!あれで引き返さないアナタたちが悪いのよ…と、被害者たちに、つい暴言(笑)。何よりの見せ場は、化け猫に操られる第一犠牲者の、独特なアクロバット。三代目の際、故猿十郎丈、猿四郎丈と、澤瀉屋の殺陣師が務めており、思い出深い。今回は若いやえ亮が、重力を感じさせない動きを見せてくれる。十二単を纏った化け猫は、本当なら宙乗りして消えていくのだけど、今回は岩場に登って瘴気を放つような見栄で切り。たとえば、舞台上を上手から下手へと飛んで見せられたら…とも思ったのだけど、今月は演目が多く道具の仕込みに限界があるのだろう。それにしても、夏は因業爺で、冬は化け猫婆、巳之助の振り幅たるや…次が、「超歌舞伎 今昔饗宴千本桜」。ニコニコ超会議から生まれた「超歌舞伎」が、とうとう歌舞伎座に登場した。これまで実際に拝見していなかったのだけど、その噂は様々に見聞きしてきた。今度こそ自分の目で見ねばならない!朝、いつもより早く出たのは、限定のペンライトをGETする為。超歌舞伎は参加してこそ、より楽しむ為のグッズは手に入れねば♪物語は、「義経千本桜」の一部をベースにして、神代からその千年後へと巡る。守護たる千年桜を枯らし国を闇に閉ざした青龍から、桜を蘇らせ光を取り戻さんと美玖姫と佐藤四郎兵衛忠信が立ち向かう。美玖姫を演じるのが、かの初音ミク。表情も動きも綺麗で魅力的、正直これほどとは…と、目を見張った。忠信の獅童や青龍の國矢が、上手く間合いを計ってミクさんの演技をサポートする。獅童は、ここぞとばかりに観客を煽り、劇場中を思う存分沸き立たさせる。國矢の存在の大きさ、芝居の味わいを増す種之助、御馳走の中村屋兄弟。華やかな女性舞踊家「花びら屋」の方々、目の当たりにするパーカッションの興奮、劇場中大きく動き回るアンサンブルはタップまで駆使する。そして、そこここで光るペンライト。幕が上がる前、ミクさんファンだろう観客も見受けられたものの、意外なほどいつも通りな年齢層高目な客席に、少し不安なものが過ったのだけど、ところが始まった途端ご用意のペンライトを取り出す方々の多かった事!応援するキャラのカラー、贔屓役者のカラーを手元で操り、拍手と共に高く掲げ、いつもは専門家に任せる大向こうを、煽られるまま声を上げた。実は、生まれて初めてのペンライト。幕間にスイッチを入れてみたところ点灯せず、ちょいと焦った。会場係の方が丁寧に教えて下さって、一安心。何とかカラーチェンジも覚えて、頑張って振ってみた。澤瀉屋からひとり参加した青虎に、キャストカラーの淡いブルーを振れて、本望♪とにかく楽しかった! それで良い、それが良かった。様々な年齢層の、女性客も、いつもより多めの男性客も、殆どが立ち上がり、降り注ぐ桜吹雪まみれになって、大いに楽しんだ。超歌舞伎は、これが一区切りと聞いた。それは終わりではなく、また次の段階へのスタートという事だろう。また是非、参加したい! ミクさんとも再会したい!気持ち良く今年の芝居納めが出来た。
2023年12月23日
師走の新橋演舞場で、新作歌舞伎「流白浪燦星」を拝見。満員の劇場中が晴れやかになる、気持ちのいい舞台だった。「ルパン三世」歌舞伎化の報を聞いて、やっぱり吃驚したし、世間的な反応も半々で、続報を待つ…というのが本音だった。友人の希望があって切符の依頼は早々に済ませたが、でもこれまでの経験から、自分の腰がちょっと引けてる時の方が覆されるんだよな…と思っていた。実際、メインキャラクターの5人の写真が発表された時の、世間も自分も歓声を上げ、一気に期待が高まった事といったら!更に、バラエティー番組内での「歌舞伎座支局」のお陰もあって、開幕から連日の大盛り上がり!幸せな新作歌舞伎の誕生となった。「ルパン三世」について説明は無用であって、誰もが知っている彼らが、すんなりと歌舞伎の世界に入り込み、活き活きと動き回っていた。物語的にも余計なこねくり回しはなく、歌舞伎のネタや技をふんだんに駆使し、楽しく目にも鮮やかに、スッキリとした愉快な気分で劇場を後に出来る。故山田康夫さんが創り上げたあの名調子を巧みに歌舞伎に聞かせ、颯爽としながらズッコケも魅力的な片岡愛之助のルパン。澤瀉の名花がまさかの起用だったけれど、同時に絶対大丈夫と皆知っていた市川笑三郎の次元大介。とうかぶ以来、更に美しさに磨きをかけたか尾上松也の石川五エ門(ある意味ヒロイン)。アニメからそのまま抜け出たような、愚直も野暮も愛嬌な市川中車の銭形警部。扮装写真が発表されるや、瞬時に世間のハートを射抜いた市川笑也の峰不二子。鮮やかにキャラクターが顕現されていた。片岡千壽の、あの隠し玉な破壊力、お見事!そして、坂東彌十郎、市川猿弥、尾上右近、中村鷹之資ら、手堅い面々が発揮する演技と存在感が、たっぷりと歌舞伎を魅せた。たとえば、右近と笑也の傾城姿、片や重厚な古典、片や鮮やかな今風と、一目見ただけで表現の違いの面白さを解らせた。幕切れに、小判型の紙吹雪が舞い、最後の最後まで「ルパン三世」の世界を堪能した。難しい事は置いておいて、とにかく明るく楽しく、爽快な気分にさせてくれる、正に、世知辛い師走に在って欲しい芝居だった。ルパン一味なら、どんな時代にも自在に入り込めるのだから、更なる活躍を観たくてならない。是非、「待ってました!」と歓声が上がる、年末恒例の芝居に育てて欲しいと願っている。
2023年12月19日
小説/コミック12月8日『狐の婿取りー神様、予想外の巻ー』 松幸かほ 12月14日『Veil (6) ほぐれたルージュ』 コテリ 2024年1月12日『舞子さんちのまかないさん(25)』 小山愛子 2024年1月17日『まぼろしを織る』 ほしおさなえ 2024年2月15日『作りたい女と食べたい女(5)』 ゆざきさかおみ 2024年2月22日『ネコシェフと海辺のお店』 標野凪 BD2024年1月24日『舞台「刀剣乱舞」 七周年感謝祭ー夢語刀宴會ー』 2024年3月20日『舞台「刀剣乱舞」 山姥切国広 単独行ー日本刀史ー』
2023年12月01日
六巻目。姉妹と青年たちの、春からその次の春までを綴った、新たな始まりの巻。人の事ばかり心を砕き、自分の事を当たり前のように後回しにしてきた姉が、自身の将来に向かって歩み始めた。幼い妹は淋しくて、姉に対し頑なな様子を見せるけれど、怜悧に見聞きして、真っ先に気付けるのだから、傍で気を病むのもほんの一時。そして、ようやく画家の青年の、殯が明ける。長らく開けられなかった故人の葛籠の封印を解き、故人の過去から己の未来へと、バトンを引き継ぐ。かくて、岡崎の邸は、若者たちの新たな始まりの場所となり、必ず帰ってくる掛け替えのない「家」となった。若者たちの春から次の春へと読み終え、清々しい門出に立ち会って、はて、この物語はこれで終わりなのだろうか…と、淋しくなってしまった。完結とは書かれてはいないのだけれど、あまりにも彼らが美しくて。まだまだ彼らとは、お別れしたくないなぁ…
2023年11月30日
昼の部の「極付印度伝 マハーバーラタ戦記」を拝見。6年前の初演の際、とても評判になった舞台。再演して、拝見する事が出来たが、実際とても面白かった。世界最長の叙事詩といわれる「マハーバーラタ」に対して知識はないが、インドの神様は仏教にも取り入れられ、学生時代に仏像の勉強をする機会があったから、とっかかりはそのあたりから。実際、登場したキンキラリンな神様の、たとえば梵天に顔が三面あったり、多聞天が宝塔を持っていたり、楽しくなってしまった。神様の名前が、インド式だったり仏教式だったり混在するのは、インド式に馴染みが無かったり、長かったりで、判り易さ優先なのだろうか?物語は、争いの絶えない人間界を終わらせて新たに始めるかと言い出した神様に、太陽神が「慈悲深い子を生み、争いを止める」と言い、帝釈天が「無敵な子を生み、力によって争いを止める」と言い、それぞれの子を誕生させてみた、と。神様、気まぐれに介入するから、何だかなぁ…という展開にもなって、結局は、全て神様の掌の上。こちらがマハーバーラタを知らないせいもあるのだけれど、主人公が「慈悲の子」というには、ちょっとピンとこない部分があったり。また、対する「無敵な子」も、なかなかその無敵ぶりを発揮しきれなかったり。この二人の対立とか、善と悪とか、単純明快なお話にはならない。だから、この二人の前に現れる一人の存在がとても魅力的で、目を奪われる。王国の相続に争いをもたらす、亡き王の兄(盲目で王位に就けなかった)の長子、原作では男なのを、歌舞伎では女にして成功している。この、王女に中村芝のぶ丈が抜擢され、その存在感の圧巻な事。芝のぶ丈は、国立劇場俳優養成所のご出身。その美しさや確かさに、ただ並んでいるだけでも目を惹かれる存在だった。近年抜擢が続き、今回は幹部俳優に並んで、堂々と中央に立っておられる。この王女の、敵役としての大きさ、妖しさ、そして内面の孤独まで、毒も美も吐き出して、誰よりも強烈な印象を叩き付ける。その王女に付き従う弟役に、我らが猿弥ちゃん、色味の濃ゆい存在感を発揮している。猿弥ちゃんも一般家庭のご出身、そういう姉弟が歌舞伎座の真ん中に在る事が、嬉しくてならない。音羽屋の芝居を拝見するのは、何十年ぶりだったかもしれない。長大な叙事詩を歌舞伎化した菊之助丈の、あくまでも端正な作劇を堪能させて頂いた。先月の休演が心配されたが、菊五郎丈のお元気なお姿とお声が嬉しかった。そして初めて拝見した丑之助さんの、凛と響いた第一声から魅了された。米吉、隼人、鷹之資、吉太朗ら、若手の活躍にニコニコして、猿弥ちゃんばかりでなく、猿紫、喜猿ら、澤瀉屋の面々に内心で声援を送り、國矢、蔦之助、千壽をはじめ、実力のあるお弟子さん方の存在に拍手した。両花道が贅沢な空間を作り、屏風の形を効果的に使った舞台美術に魅せられ、インドの生地を着物に仕立てた常と違う煌びやかさに目を見張り、そして舞台上手で奏でられた独特な音色の打楽器に、インドの物語世界へと誘われ堪能させて頂いた。
2023年11月18日
言葉を紡ぎひとつの世界を展開していく連句会に集う人それぞれに、過去があり、選択した道とそうでない道があり、迷いや苦しみ、変化や、時に抗い、一歩一歩進み続けた今がある。後戻りする事なく連なりゆく「連句」と出会い、様々な経験を重ねていく主人公が、またひとつの出会いをする、四冊目。連句のルールは難しくて、なかなか覚えられないけれど、複数の人によって作られる、思いがけない展開をする面白さに、読んでいてこちらもドキドキ、ワクワクしてしまう。今巻にも、36の連なりで作り上げられた連句が掲載されていて、俳句や和歌や小説など、ひとりの作家が作り上げる作品を読む機会の方が圧倒的に多いから、複数の人によって作られる作品に新鮮な驚きがある。ひとりが発した言葉から、誘発され、発想を飛ばし、自分の中から言葉が生まれ、それを別の感性が展開して、更に連なっていくその途中には、選ばれなかった言葉があって、進まなかったその先もまた想像してしまう。今巻は登場人物の過去にまつわる物語が主になっているので、改めて連句の出来上がっていく流れに人生というものを重ねて読んだ。主人公は、連句を通じて様々な人の思いを受け止め、穏やかにしなやかに咀嚼する。まだ若い主人公の素直で真摯な人柄が、物事を大仰にしない事が読み手にも心地良い。祖母から引き継いだ、さりげなく人々を受け止める「裏の番頭さん」という役割は、人々との関わりが深まるにつれ、人知れず大切なものになっていくのだろう。主人公に、ひとつの出会いがもたらされて、さて、どんな展開になっていくのか。ゆっくりと穏やかに続いていくシリーズだから、こちらもその心持で待っていよう。
2023年11月12日
小説/コミック11月24日『紙屋ふじさき記念館 あたらしい場所』 ほしおさなえ 12月8日『狐の婿取りー神様、予想外の巻ー』 松幸かほBD11月22日『映画刀剣乱舞ー黎明ー』 2024年1月24日『舞台「刀剣乱舞」 七周年感謝祭ー夢語刀宴會ー』 2024年予定『ミュージカル「刀剣乱舞」 八 乱舞野外祭』
2023年11月01日
10月25日から28日まで、立川ステージガーデンが初めて歌舞伎を上演した。地元の企業「立飛グループ」創立百周年記念事業とあって、祝祭の雰囲気漂う、印象的な4日間となった。「義経千本桜」から佐藤忠信に因んだ幕を通す「忠信篇」の上演は、三代目追悼の意味合いも籠められ、一門を中心に懸命の舞台となった。三代目が舞台に立たなくなって長くなり、三代目贔屓には馴染み深い「忠信篇」通しも、既にご存じない観客がすっかり多くなっていた。演目の筋立てを通し、物語を理解出来る上演の仕方に拘りがあった三代目のやり方を、改めて知らしめる良い機会になった。開幕に先立ち、中車の挨拶に続き、中村壱太郎と團子による演目解説があったのも親切。若い二人の、明確でユーモアを交えた解説は、観客と役者との距離を縮めた。今回、「鳥居前」は中村鷹乃資、「吉野山」は團子、「川連法眼館」は青虎と、三名で忠信役をリレーした。「鳥居前」の鷹乃資は、菱皮の鬘、火炎隈、馬簾付きの四天、仁王襷という古風な姿が素晴らしく映えて、花道の出の勢いから惚れ惚れと見上げた。凛として力が漲り、ひとつひとつの形の美しさ、素晴らしい初役だった。三代目の「鳥居前」の忠信の、熱く熱く、力と意志を発散する姿は、まるで火の玉のようだと言われた事を、懐かしく思い出す。今回は澤瀉屋型での忠信だが、回を重ね、鷹乃資ならではの天王寺屋での忠信を是非観たいと思った。今回の祝い幕には、静御前と忠信の、飛行機での道行きが描かれていた。それは、立飛グループがかつて飛行機製造に携わっていた事に由来があるが、團子の忠信の初フライトも祝されているように感じてしまった。「吉野山」は言うまでもなく大曲で、その上、澤瀉屋型だから為所が多い。まだ早いのであり、荷の重いこの踊りを、團子はひたすら懸命に務めた。それが先ず、嬉しいし、感動しかない。これが最初の一歩、これから何十年も掛けて團子ならではの「吉野山」を成し遂げていく。いつまでそれを観続けていけるか、長生きせねばならない。今回、静御前の出は花道ではなく、背景がパタンと倒れて、舞台上奥から登場。しなやかに物語を纏う壱太郎の、場面ひとつひとつを味わう。事前のインスタライブで、普段あまりやらない振りが今回はあると仰っていたが、比べ馬の箇所など久しぶりに拝見した。猿弥の逸見藤太は、パッと劇場中が明るくなり、晴れ晴れとした気持ちになる。嬉しい役者になったなぁと、有難くてじんわりしてしまった。この役にも、追悼の思いが籠ってしまうから…開場して劇場に入り、まず見上げたのは、宙乗りの為のワイヤーだった。今回は、縦に長いステージガーデンの、舞台下手側から客席三階の上手側まで、斜めに張られており、大変な長距離飛行になる事が判った。「川連法眼館」つまり「四ノ切」の忠信は、澤瀉屋にとって大切な役。三代目の狐忠信の宙乗りは、歌舞伎におけるひとつの歴史の始まり。憧れのこの役を自主公演で勉強した青虎の実績があったからこそ、今回の「忠信篇」が上演出来たのではないだろうか。もし無かったら…もしかしたら、この公演自体どうなっていただろう…高い天井から桜が降りしきる中、晴れ晴れと飛翔していく青虎の姿に感動を覚えた。桜吹雪にその姿が消え失せるまで、しみじみと見送った。今回は、「蔵王堂花櫓の場」の最後を加えた幕切れ。無事全て演じ切り幕が下りた事、澤瀉屋一門の懸命な姿に、深い感慨があった。源義経を演じた笑三郎の、気品高く誰よりも確かな姿。笑也の、「鳥居前」の静御前の美しさと、「四ノ切」の飛鳥の心尽くし。それから、「吉野山」の後見を務めた猿紫、どれほどの緊張だったろう。などなど、一門全員、ひとりひとりに対して、寄せる思いが沸き立った。今回もまた、壱太郎に助けられた。鷹乃資の新たな一歩を拝見させて頂いた。ご参加頂いた方々の御助力あってこそ、現在の澤瀉屋一門だけでは上演出来なかった。4日間4公演に用意された、のぼり旗や祝い幕に絵看板、花道はじめ舞台装置、読み応えのある筋書、施設内の誘導などの係、等。会場内での弁当が許されたり、歌舞伎ファンへの寄せ方、等。今回の主催側と製作側の様々な配慮に、これ一回では終わらせたくない意志を感じた。その思いに、今回の澤瀉屋一門は応えられたのではないだろうか。来年11月に、第二回「立飛歌舞伎」の開催が決まった。次はどちらの御一門が出演されるのか、発表が楽しみでならない。どうか末永く、出来れば若手が活き活きと活躍する場となって欲しいと願う。
2023年10月30日
化獣たちの物語の、大団円。阡三だけではなく、萬八ちゃんや小雪を始め、化獣総力戦での勝利。阡三がいくら独りで戦おうとしても、もうそれが許されないくらい、大勢の騒がしい仲間が出来ていた。頑張った萬八ちゃんの満面の笑顔、揺るがなかった小雪の幸福、とっても嬉しい。それにしても、画面いっぱいに動き回るキャラクターの豊富な事、それぞれが活き活きと魅力的。日が昇ると、反射的に夜明けを告げちゃうのって、鶏の性だね。化獣みな個性強々で、そんな中、淡々と適格な胡丸、良いなぁ♪そして何より、狼とワンコの大口真神、サイコー!御嶽山は子供の頃、毎年のように行っていた時期があって馴染みの場所だし、あの山を、こんな面々が守っているんだって想像出来るのが楽しい。化獣たちの物語は、これで、めでたしめでたし。お別れは寂しいけど、新作がもう始動している様子。楽しみに待ってます♪
2023年10月22日
差出人が書かれていない封書が届くと、作家先生の随筆が執筆される。原稿を清書する書生は、不思議な世界に触れ、同時に人間の不思議を見る。ちょっと怪しい作家先生と、身の回りのお世話で日が暮れる書生と、実は主人公の風格な猫さんの、物語。波津彬子さんの新しいシリーズ。身近に潜んでいる妖しいものたち、人間が隠し持っている業、美しい風景、ゆかしい風情、堂々たる猫…と、波津さんならではの世界を堪能。手紙の書き手が誰なのか、何故旅をしているのか、興味津々。一方的に出される手紙に、随筆という形で返信しているのだろうか。書生が清書するていで手紙の部分は描かれるけど、作家先生の随筆である部分は触れられず、手紙を読んだ作家先生の思いが不明なのも、読み手にとって興味を掻き立てられる。書生も、出身や背景がまだ明かされておらず、謎の存在。何やらありそうなのはチラリと触れられているから、気になってしまう。波津さんの作品に、魅力的な猫さんたちの存在は不可欠だけど、この作品の猫さんはなかなか恰幅がよろしく、ゴッチンされたらよろけてしまう。猫さんのますますの活躍に期待♪この後、手紙の差出人の行方、作家先生や書生の不思議など、そんなふうに明かされていくのか、続きが楽しみ。
2023年10月19日
小説/コミック10月10日『あらあらかしこ(1)』 波津彬子 10月19日『京都岡崎、月白さんとこ 星降る空の夢の先』 相川真 11月24日『紙屋ふじさき記念館 あたらしい場所』 ほしおさなえ BD10月25日『ミュージカル「刀剣乱舞」~江 おん すていじ~』 11月22日『映画刀剣乱舞ー黎明ー』 2024年1月24日『舞台「刀剣乱舞」 七周年感謝祭ー夢語刀宴會ー』 2024年予定『ミュージカル「刀剣乱舞」 八 乱舞野外祭』
2023年10月01日
春を満喫する天狗の兄弟の、3巻。おおらかに日々「初めて」を体験している弟くんに、「紋様」が現れる。さて、天狗となっていく兆しなのか、本人があっけらかんと楽しみにしてて、変化を受け入れていきそう。その知らせに、日本にやってきたご両親。お母さん、あからさまにご実家から逃げの姿勢。弟くん、お父さん似だね。さて、「連盟」からのお達しは、どのような含みがあるやら?「夏祭り」、穏便に乗り越える…と、いうより、弟くんが天真爛漫に引っ掻き回して、天井が明るく抜ける方が楽しみだったり。「連盟」がどんなものかは判らないけど、因習の固執ではなく、将来に向けて取捨選択する切っ掛けになったらいいな。
2023年09月26日
「市」のおかあさんと百子さん姉さんの過去篇、結末が描かれる24巻。舞子から襟替えして芸妓になっても、売れっ子のふたり。でも、その内面は全く変わらないふたり。だからこそ、ひとりは、ずっと一緒に居ると思った。ひとりは、同じ道を歩めないと気付いた。 こういう物語があったのか…と、感慨に耽ってしまう。「市」のおかあさん、苦しかったろうなぁ。百子さん姉さん、淋しかったろうなぁ。言葉で伝えきれない双方が思う気持ちの大きさに、胸が苦しくなってしまう。「市」のおかあさんの、先を見据え己から行動した事に、人としての見事さを思う。百子さん姉さん、幸せだね。これで、改めて「市」という存在が、確たるものとなった。次巻からは、きよちゃんとすーちゃんの物語、さて、どんな展開になるのやら。
2023年09月22日
傾きかけた老舗酒蔵に幸運をもたらす為に派遣されていた存在だから、その役目が終われば去らねばならない。皆と別れる事が悲しくて、辛くて…老舗酒造にもたらされた幸運は、社員一丸となって旨い酒を造る事。ひとりひとりの意識が変わり、着実に結果を積み重ね、更に良いものを作るべく努力を厭わない。だから、単なる一時的なラッキーではなく、本当の幸運を皆で掴み取った。ひとつ役目が終われば、次の役目に赴かねばならない。でも、そう割り切るには、もう自分自身が酒造の一員になっていて、掛け替えのない人々と場所を得てしまっていた…幸運をもたらす物語の完結は、やっぱり晴れ晴れと幕を下ろさねば。読み終えてホッとして、良かったなぁと思った。だから、とても残念な思いがしてしまったのだ。作者さんはもう一冊書きたかったと呟いておられた。物語の舞台は酒造り、季節の巡りと人々の営みを描いてこそ、この物語世界が形を成す。この一冊に詰め込まねばならないものが多くなってしまって、どうしても駆け足感が否めない。もっともっと丁寧な展開があっただろう、もっともっと彼らを知る事が出来ただろう。作者さんには、書かねばならない、書きたくてならないエピソードがあっただろう。やっぱり、大山の奥深くの名前のない村について、もっともっと知りたかった。その不思議な存在について、もっともっと知りたかった。そして、彼女の兄さまや、兄弟姉妹たちについて、もっともっと知りたかった。酒蔵の春夏秋冬を、酒造りの工程や、人々の思いを、そして、まかなわれる旬を活かした美味しそうな料理の数々を、とても楽しんで読んでいたから、残念で寂しい。
2023年09月15日
5巻目の表紙を見て、目を見張った。彼らが笑っている…彼らの笑顔が表されるようになった…何と嬉しい事か!親を失い、妹を守る為に、理不尽な世間に向かって立ち続けてきた姉が、ようやく自分の本心と向き合えるようになった。自分の希望を叶えられるのは、自分自身しかいない事に気付けた。姉が、姉自身を顧みられるようになった事に気付いた妹は、少し寂しい。でも、姉がどんな時も自分の事をちゃんと見ているのを、妹は知っている。だから、妹は自分の幼さを素直に発揮して、皆に甘えられる。青年たちは、自分たちが姉妹を支えている事を知っている。姉妹が、自分たちと在る場所を大切に思った時、青年たちも改めて認識した。青年たちも、自分自身と向き合えるようになっている。こうして、若者たちは一歩一歩成長を重ねている。その分、大人たちの愚かしさがあらわになっている。それぞれが事情も不遇も抱えてはいるものの、己らで解決しないのだから、同情しない。若者たちに甘え過ぎている。だから、もう、若者たちは伸び伸びと羽を広げ、自由で在れば良い。晩夏から冬にかけての今巻を終え、新たな春となる次刊が明るいものであるよう願っている。
2023年09月05日
毎日暑過ぎて、気分が乗らなくて積読するばかりだったけど、8月も終わるし、そろそろ本が読みたくなって選んだ一冊。読み出したら、可愛いし、美味しそうだし、全体的に優しい物語が心地良くて、リハビリにうってつけだった。うっかりした神様のせいで、異世界に転がり込んでしまった主人公。森で出会ったエルフの双子ちゃんを育てる為、たどり着いた街で飯屋兼宿屋を営む事に。元々得意だった料理だけど、この世界の素材に、元の世界のノウハウを活かして、すっかり街の人々の胃袋をガッチリ掴んでしまう。やっぱり美味しい料理を作り出す腕は、異世界でも抜群の武器。主人公は素直で優しい気質なので、細やかな工夫や思い遣りが込められていて、身体にも心にも効果抜群の料理を作り出す。街の人々の支持を受け、冒険者たちの定宿に選ばれ、ギルドの保護も受けて、異世界での生活は順調満帆。みなしごのエルフの双子は愛らしくて、主人公はすっかり父性本能が開花。ご近所の助けも受けながら、家族として生きていく事を決意する。街の人々は気の良い人ばかり、冒険者たちも魅力的。些か悪意のある事件も起こるけど、無事解決。あまりにも目出度し目出度しだけど、でも、異世界転生ものって、そういうトコロが良いでしょ♪読んでいるとお腹が空いてくる、ご飯が美味しい物語。やっぱり好きだ。スカイハイ文庫が音沙汰なくなってしまって残念でならないけど、これからも、こういう物語を探してしまう。
2023年09月02日
小説/コミック9月9日『言葉の園のお菓子番 復活祭の卵』 ほしおさなえ 9月12日『舞子さんちのまかないさん(24)』 小山愛子 9月14日『しあわせは食べて寝て待て(4)』 水凪トリ 10月10日『あらあらかしこ(1)』 波津彬子 10月19日『京都岡崎、月白さんとこ 星降る空の夢の先』 相川真 10月24日『紙屋ふじさき記念館 あたらしい場所』 ほしおさなえ BD10月25日『ミュージカル「刀剣乱舞」~江 おん すていじ~』 11月22日『映画刀剣乱舞ー黎明ー』 2024年1月24日『舞台「刀剣乱舞」 七周年感謝祭ー夢語刀宴會ー』
2023年09月01日
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