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前回の続きです。機械的投資の検証結果が示唆する「小型株効果」とは無関係に、個人投資家にとっては「うまく付き合えば小型株とは良いお友達になれる」と思う理由を書いてみたいと思います。そのためには、小型株のファンダメンタルと値動きに関する特性をある程度知っておかなければなりません。3.事業の分かりやすさという意味では小型株のほうに軍配が上がることが多い。まず、小型株のメリットとしては「事業内容が分かりやすい企業が多い」ということが挙げられるかと思います。「単一の事業」「関連企業の少なさ」「財務諸表のシンプルさ」のどれをとっても個人投資家が事業内容の分析を手掛けるには都合が良いはずです。これに対して、大型株は「複数の事業」「関連企業の多さ」「財務諸表の複雑さ」という特性を持っています。したがって、大型株を本当の意味で理解するためには業界情報や財務に関してかなりの専門知識が必要であることはすぐに理解できるかと思います。例えば、大型株の事例としてソニーを挙げたとします。株式投資を実践している人の中で「ソニーはいい会社だ」と言う人はいますが、何を以ってそう言っているのかが私には理解不能です。明らかに財務諸表を読んで事業内容や経営戦略を把握した上での発言とは思えないので、突き詰めたところで「何となく株価が上がりそうだから」という返答しか得られないのではないかと思っています。相応に優秀な職業的アナリストでも大型株を本当に理解するにはかなりの時間を要します。個人投資家だとせいぜい表面的な収益性(ROEなど)や割安度(PERやPBRなど)くらいしか理解できないのではないでしょうか?まあ、そうした表面的な指標だけで投資判断をして明らかに割安であるという結論を出せる状況が存在する場合もありますので、大型株を最初から捨てることはないですし、私も実際に投資する場合があることだけは主張しておきます。4.事業環境が逆風に晒されたときに弱いことや市場参加者の価値判断に対する未熟度から、割高な小型株は見送るほうが無難である。一般的に、小型株は事業環境が逆風に晒されたときに弱いことが挙げられます。もちろん、小型株でも事業基盤のしっかりした企業を探すべきなのですが、それでも大型株に比べて業績の変化率が高い傾向にあることは否めません。また、小型株は大型株に比べて値付けが非効率になりがちです。すなわち、ファンダメンタル価値と大幅に乖離した値付けがされている可能性です。これは市場参加者の数が少ないことが最大の理由だと思います。以上の2点を考慮すると、まさに小型株は玉石混交であり、事業基盤のしっかりした企業が異常に割安で放置されている場合もあるし、事業基盤がそれほどしっかりしていない企業が異常に割高になっている場合もあります。前者は良いパフォーマンスをもたらしますし、後者は最悪なパフォーマンスをもたらすでしょう。また、現時点において事業がしっかりしていると思える小型株であっても、割高であればそれは避けたほうが無難です。万が一、その企業に逆風がくれば「事業基盤の悪化」に加えて「将来性を裏切られた失望感」と「小型株の非効率な値付けによる過度な悲観」から、とんでもなく株価が下がる可能性があります。大型株と違い、小型株は価値判断ミスが致命傷に繋がる可能性が高いことをまず認識しておかなければなりません。5.どんなことがあっても小型株の空売りは絶対にしない。「割高な小型株を買う」ことのほかに、小型株で破滅する可能性をもう一つ挙げるとすれば、それは「小型株を空売りする」ことだと思います。私は、割安な銘柄がなかなか見つからず、「中長期の買い」として投資対象が見つからないときは、短期売買を行うこともあります。場合によっては空売りも行うことがあるのですが、小型株は空売りの対象にしていません。(大型株の空売りでさえも「最後の手段」という位置づけです。)これは、「小型株が火を噴いたときの恐ろしさ」を十分に見ているからです。小型株は時価総額が小さいので、何らかの材料で(あるいは、特に材料がなくても)、個人投資家の資金が集まれば一気に株価が上がることがあります。したがって、ファンダメンタルで見て明らかに割高で、それが近いうちにネガティブな材料によって修正される可能性が高いとしても、時価総額の低い銘柄であれば、空売り出動はしません。ここは、目先に可能性が高い利益がぶら下がっていてもグッと我慢します。「市場参加者の誤認」で株価が爆騰すれば「一発退場」させられるからです。そもそも、空売りそのものが上級者向けの投資手法だと思います。ましてや「小型株の空売り」はあらゆる投資手法のなかでも最上級に難しい部類であると私は思います。ここで言っていることが分からないうちは貴方はまだまだ素人ですから、「空売り」などに手を出してはいけません。そんな素人が空売りに手を出せば「市場から確実に退場させられる」と警告しておきます。今回の内容を簡単にまとめると、「割高な小型株に対しては、買いでも空売りでも手を出さない」ということを実践するだけでも、小型株とはかなり良いお友達になれる可能性が高いのではないかと思います。PERでもPBRでも買えないと思ったら見送ればいいだけの話です。機関投資家が手を出さない領域で個人投資家の特権をフルに活かせるチャンスだと思います。特に、成長株志向でいい銘柄を発掘できたならば、「自分が買った銘柄を機関投資家に売りつけるまで保有する」という楽しみもあります。今日の言葉:「小型株が良いお友達になるのは、十分すぎるほど割安なときだけである。」
2005年01月30日
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最近、「小型株効果」についての話題がありますので、私もとりあげたいと思います。「小型株効果」とは、「時価総額の大きさで区分した銘柄群の平均パフォーマンスを比較的長い期間で計測したとき、時価総額の小さい銘柄群のほうが良かった」という現象を学術の世界で勝手に付けたものです。機械的投資の結果を考察する際に何度も警告しているのですが、「小型に分類される銘柄群を全て均等に保有したときの平均パフォーマンスについてそういえるだけであって、小型に分類される銘柄群全てについてそういえるわけではない」ことにご注意ください。とりわけ、「小型株効果」についてはこの点が非常に重要になります。「小型株のリターンは平均すると高いから」という理由で大型株を投資対象として最初から無視したり、安全性に欠けた小型株に投資すると大きなダメージを喰らう可能性があります。肝心な「小型株の定義」ですが、当然ながら絶対的な基準は存在せず、主観的で恣意的な区分(例えば、機械的投資だと5分位などですが)によるものでしかないことを念頭に入れながら以下の話を読み進めていただければと思います。(「大型株」も同様です。)ちなみに、私が小型株について考えているのは以下の5点です。効率的な投資収益を稼ぐためにも、そして市場から退場させられないためにも、この5点は重要だと思います。今回1~2をとりあげて、次回は3~5をとりあげたいと思います。*小型株について私が重要であると思うこと1.機械的投資の検証結果である小型株に関する統計上の平均リターンは何人たりとも利用不可能であると考えたほうが賢明である。2.投資リターンを稼ぐという観点では大型株と小型株を区別せず、あくまでも個別銘柄ベースの魅力度で決めるべきである。3.事業の分かりやすさという意味では小型株のほうに軍配が上がることが多い。4.事業環境が逆風に晒されたときに弱いことや市場参加者の価値判断に対する未熟度から、割高な小型株は見送るほうが無難である。5.どんなことがあっても小型株の空売りは絶対にしない。1.機械的投資の検証結果である小型株に関する統計上の平均リターンは何人たりとも利用不可能であると考えたほうが賢明である。確かに、平均リターンでは大型株よりも小型株のほうが勝っています。これば米国においても日本においても同様です。しかし、実弾(すなわち、貴方の投資資金)を使って小型株効果によるリターンを享受するにはいくつかの問題点があります。(1)平均リターンは高いが銘柄によってばらつきが多く、ごく一部の銘柄がパフォーマンスを押し上げている可能性が高い。したがって、機械的投資が示唆する小型株効果を享受するためには十分な銘柄数が必要で、それは普通の個人投資家の資金力では難しいと考えるべきである。(2)流動性の問題(すなわち、「少ない出来高」や「ウリ気配とカイ気配のスプレッド」に関する問題)があり、実際にその銘柄を買い付けるには機械的投資による検証結果で使用した売買価格よりも不利な条件になる可能性が高く、これを考慮すると小型株効果が殆ど消える可能性がある。上記の(1)の理由から資金力の乏しい個人投資家は利用不可能で、(2)の理由から資金力のある機関投資家もまた利用不可能である可能性が高いといえます。特に、機械的投資の検証結果のうち、最も小さい分類に関する統計上の平均リターンはこれに該当する可能性が非常に高いと考えるべきだと思います。2.投資リターンを稼ぐという観点では大型株と小型株を区別せず、あくまでも個別銘柄ベースの魅力度で決めるべきである。私自身に関しては、投資対象について「価値と価格のギャップがあり、かつ、それが小さくなる可能性が高い銘柄を探す」ということを第一に考えています。格段に割安な銘柄であり、事業内容などの理解に関しても自分の輪の中に入る銘柄でありさえすれば大型株であるか小型株であるかは関係がありません。そもそも機械的投資の検証結果である「小型株効果」は私の中では無縁なものであると考えています。それでも、私は「個人投資家にとっては小型株にいい銘柄が多い可能性が高い」と思う理由があります。詳細は次回としますが、こうした小型株の特性(ファンダメンタル・市場参加者・値動きなど)を良く知った上で小型株投資を行うと、小型株とは「よいお友達」になれるかと思います。だからといって、最初から大型株を自分の輪の外にするという愚だけは避けてください。私も大型株に投資することはありますので・・・。今日の言葉:「基本的に小型株効果は眉唾ものであると考えるほうが無難である。少なくとも小型株の平均リターンが高いからというだけで小型株投資に乗り出すのは絶対に止めるべきである。」
2005年01月29日
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一回目のメルマガを書き終えて配信することになりました。正直ほっとしております。ところで、「ようさん」のHPからまぐまぐのHPにいったところ、私が書いたメルマガは既に「バックナンバー」として出ているんですね。早すぎです。メルマガの登録をしなくてもいいんじゃないかと思うくらいでした。(笑)そんなわけで、今回のメルマガは今では誰にでも見ることができるので隠す必要もないでしょう。企業分析の第一回目は私自身も大量に保有している「9651 日本プロセス」を取り上げています。「キャッシュリッチ」「精算価値以下の価格」という典型的な「グレアム銘柄」です。こうした「資産バリュー」な銘柄の場合、株価が価値を反映するためにはある種の「触媒(カタリスト)」が必要であることが多いのですが、日本プロセスについては「継続的な自社株買い」という強力かつ確実なカタリストがいます。キャッシュを大量に保有していて、継続的に自社株買いを行うという、下がる材料が見当たらないこのような銘柄に対して、私は「株式を保有している」という認識はなく、むしろ「効率の良い預金」だと認識しています。値動きは穏やかだが徐々に価値を反映していき、市場全体が暴落しても無関係であると思います。一応、配当もありその利回りも銀行預金と比べると格段にいいです。私のポートフォリオに占めるこの銘柄のウエイトは非常に高いのですが、「効率のよい預金」を保有していると考えれば、「inatoraは集中投資でリスクを取っているように見えるが、それは単なる見かけ倒しで、実は小心者である」ということが分かります。最近、この手の「預金銘柄」の調査を本格的に行っており、実際の投資銘柄にも徐々に反映させたいと考えるようになっています。これは、私のみならず周囲の人たち(バリュー派もそうでない人たちも含む)の投資パフォーマンスが異常に高いことに対して、ある種の警戒感を持っていることが主たるきっかけです。12月~1月に関して言えば、とりわけ値動きの激しい小型株で大きく儲けた人も多いでしょう。2月の初めには恒例の「ポートフォリオ状況」を報告しますが、そうした値動きの激しい小型株で大儲けした人たちから見れば、私のパフォーマンスなど「カス」みたいなものだと思えます。このような「1月効果」「小型株効果」(私は、この2つは眉唾ものだと考えています)といった現象を見て、「資産バリュー銘柄のパフォーマンスなどカスみたいなものだから、できるだけ成長株や値動きのいい銘柄を中心に探そう」と思う気持ちは良く分かります。これは多くの人たちが「株式投資で簡単に金を儲けられる」と考えるようになってきている証拠なのだと思いますが(私もそういう思考に陥ることがある)、そういうときこそ一歩引いたところから市場を観察することが大事なのかもしれないと考えるように至っています。まあ、個別銘柄ベースでは割安だと思う銘柄がいくつかありますので、今のところ完全に市場から離れることまでは考えていません。さて、この手の「預金銘柄」に対しては、すぐに価値が実現しなくても別に構わないし、大化けすることも期待していません。自社株買いや安定した高い配当利回りなどによって下がる可能性が殆どなく、1年間で20%(もしくは、2年間で50%)程度の上昇を見込める銘柄であれば、長期投資としては成功なので、「下値不安がない」ことを最大限の期待としています。資産バリューは忍耐です。最後に。大儲けを狙わない安定的な収益獲得という位置づけで「株主優待銘柄」を漁る人もいますが、これについては、ファンダメンタルの安全域が十分にあることが重要な前提だと思います。ファンダメンタルの安全域が殆どない「株主優待銘柄」など、私にとってはリスクが高すぎです。今日の言葉:「株式市場では、1万円の現金が入っている財布が5千円で売られていることがしばしばある。それは株式というよりはむしろ効率的な預金であると解釈できる。」P.S.「supさん」「角山さん」「でらマネーさん」のコラムを見て私も少し書いてみました。預金銘柄いいですよ。退屈すぎてほかのことをやりたくなってきます。温泉にでも行こうかな。(笑)
2005年01月28日
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今日の日記は、フィクションです。株主利益を平気で毀損する確信犯的経営者と、それに群がる馬鹿ども(市場参加者)に対する「皮肉」を思う存分お楽しみください。***************************拝啓 某上場企業財務担当役員様資金調達にお困りのことはございませんか?「収益に対して借入金があまりにも莫大で利払いが苦しい」「銀行からの融資の条件が厳しくなっている」「日々の運転資金の確保すらままならない」このような「少し間違えれば倒産」という生死の境目でかろうじて生き延びているという、そんな苦悩を一気に解決するための方法をここではご紹介したいと思います。問題解決の糸口ですが、「株主」から資金を調達することです。すなわち、「株式の売出し」を実施するのです。借入金とは違い、株主資本は利払いに相当する配当の支払いをその気になればいくらでも繰り延べることが可能です。たとえ、一部の株主が文句を言ったところで、支配的株主の立場さえ維持していれば(もしくは、既存の大株主様が貴社の現経営陣の味方であれば)、そんな「零細株主」の影響などゴミのようなものです。えっ?お世辞にも事業に魅力があるとは言い難いので資金調達は難しい?何をおっしゃいますか!資金調達の場として選んでいるのは、愚か者の巣窟である「株式市場」でございます。貴社は仮にも上場企業でございます。その上場企業が株式市場での資金調達の可能性を考えないなんて勿体無いことこの上ありません。株式市場の参加者は、ほんの一部の人を除けば「事業内容」など見ておりません。殆どの人は「株価」しか見ていないのです。要するに、「事業内容に優れている割安な企業」と「すぐに株価が上がりそうな材料がある企業」のどちらを選ぶかというと、これは圧倒的に後者なのです。そうすると、「事業内容の魅力」をアピールして資金調達することなど馬鹿らしくなります。それよりも、「株価が上がるための演出」さえうまくやれば、馬鹿どもは簡単についてくるのです。念のために言っておきますと、ここでいう馬鹿どもとは「貴社の潜在的株主」のことでございますので、その点だけはお忘れなきようお願いします。さて、肝心の「株価を上げるための演出」についてですが、これはいくつか方法があります。業績が良くなることを示せることも一つですが、残念ながら貴社にはそのような魅力があるとは思えません。かといって、粉飾決算による「偽の業績の上方修正」という方法は回りくどいですし、下手をすると後ろに手が回りかねません。そこで一番手っ取り早い方法があります。それは「株式の大幅分割」を実施することです。今の日本の株式市場では「株式の大幅分割」を行うと発表するだけで、馬鹿どもが面白いように食い付いてきます。100分割でもすればもう鉄火場です。これを利用しない手はありません。それと同時にMSCB(下方修正条項付き転換社債)を発行して、どこかの怪しい外国系ファンドに引き受けてもらうのです。株価が上がっても下がっても損をしないようにうまく条件を設定すれば、MSCBの引き受け手も沢山いることでしょう。そうすると、貴社にとっても資金の調達コストはタダみたいなものです。貴社もハッピー、MSCBの引き受け手もハッピー。他に誰に迷惑がかかるか?もちろん、馬鹿ども(くどいようですが、貴社の株主)だけです。そんな馬鹿どもを踏み台にして、ここは一気に財務体質の改善を目指しましょう。もし、興味がございましたらご連絡ください。報酬は、調達予定資金の5%で承ります。敬具***************************最近、これをやった極悪企業がありました。「J-Coffe」さんのHPでも既に取り上げられていますので、ここはハッキリと実名で企業名を挙げておきます。「7638 シーマ」です。事業内容は「ブライダルダイヤモンドをオーダーメード販売」しているというものです。本業は割とまともだと思ったし、2年くらい前には「割安だから買おうかな」と検討したこともあったですが、こんなことをするまでに落ちぶれたのですね。まあ、馬鹿ども(シーマに手を出している市場参加者)の「悲喜劇」も含めて、「対岸の火事」として見てみようと思います。今日の言葉:「MSCBと大型分割は違法にすべし。」P.S.「お休みします」とか言っておきながら、何気なく「J-Coffee」さんのHPを見ていたら、私も書きたいことが思いつきました。
2005年01月27日
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最近、週一回夕方に会社の有志5~6人の持ち回しでコーポレートファイナンスの勉強会を実施しています。その表向きの趣旨は、「企業分析と証券市場に関する専門的知識をざっくりと知っておくことで、実務で利用する機会が出てきたときのたたき台とする」というものですが、勉強会をやろうと言い出したのは実は私で、「個人的な証券投資のためにこのあたりの知識をより体系的に知っておきたい」という非常に私的な動機です。私自身は、以前にもコーポレートファイナンスの本を流し読みしたことはあるのですが、頭に入っていない部分もかなりあって、さらに理解を深めたいと思ってのことです。ちなみに、使用しているテキストは以下のものです。「コーポレート・ファイナンス---戦略と応用」アモワス・ダモダラン/著三浦良造/〔ほか〕訳 東洋経済新報社この本はMBAの標準的教育過程で勉強する企業分析論に関する内容が網羅されていて、ビジネススクールの学生で企業分析論を勉強する人にとっては必読書に近い位置付けになっています。また、著者のアモワス・ダモダランというのはアメリカの大学でもかなり著名なビジネススクールの教授の一人です。ページ数が750ページ、値段が7350円という量も値段もヘビーであり、一人で勉強するのは大変だということで、このあたりに興味がある「お仲間」を誘って始めてみました。そんなわけで始めた勉強会ですが、この手のコーポレートファイナンス関連のテキストを読み進めていくうちに「あること」にだんだん気づいたのです。それは、「テキストに書かれている理論体系が『市場は効率的である』ことをある程度暗黙の前提としている」ということです。すなわち、数理ファイナンスで言うところの「効率的市場仮説」であり、新古典派経済学で言うところの「合理的期待形成仮説」です。もちろん、「ケーススタディー(現実の企業に対する理論の適用)」をとりあげる場合にはそのあたりをうやむやにして「現実への説明があたかもそれなりに出来ているかのように」書いているのですが、どうしても小手先の誤魔化しをしている部分があるのは否めません。そうした「効率的市場仮説」を臭わせる部分はところどころに見られるのですが、典型的な一例としては、バリュエーション(企業価値の評価)における「資本コスト(投資家が要求するリターン)の推定」などに現れています。すなわち、標準的コーポレートファイナンスのテキストでは、資本コストを推定する方法の一つとして「資本資産評価モデル(CAPM:キャップ・エム)」を利用することを挙げています。よりテクニカルに話をすると、以下のような資本資産評価モデル(CAPM)の式E(Ri)-Rf=β(E(Rm)-Rf)・E(Rm):市場インデックスの期待リターン(過去の市場インデックスの平均リターンで代用)・β:個別銘柄iの市場インデックスに対する感応度(個別銘柄のリターンを市場インデックスのリターンで回帰して算出)・Rf:リスクフリーレート(国債の利回りなどで代用)・E(Ri):個別証券の期待リターン(=求める資本コスト)において、「E(Rm)」「β」「Rf」の3項目が測定できるので、残りのE(Ri)(すなわち、資本コスト)を算出できるというロジックです。将来収益の予測(もしくは、来期の収益とその後の成長率)が所与で、資本コストを算出済みであれば、「収益還元法」により株式価値を算出することが出来ます。このロジックでは、ある個別銘柄の本源的価値を算出するための基礎情報の一つとして「株価」(正確には、株価のボラティリティー)をみる作業を要請しています。もちろん、「効率的な市場においては株式の価値やリスクは市場に織り込まれている」ということで、このロジックに間違いはありません。しかし、現実には「市場が効率的であるかどうか」という問題は置いておくとしても、「その企業の本源的価値を推定するために株式市場での意見(=株価)をお伺いする必要がある」という行為自体に違和感があると私は感じます。株価がファンダメンタルを決めるという側面があるのは完全には否定できませんが、バリュー投資を実践する人間にとって本源的価値を推定するのに株価を調べるという論理はどうも受け入れられません。こうしたバリュエーションにおいても、いつのまにか「効率的市場仮説」を刷り込まれていると考えると、コーポレートファイナンスの勉強も油断できません。「株式投資に勝つために企業の本源的価値に関する研究をしていたはずなのに、いつの間にか『効率的市場学派』に取り込まれていた」という洗脳をさせられる可能性がなくはありません。実際にも、数理ファイナンスにおいては過去において多数のMBA取得者をこうした形で洗脳することに成功しています。(「市場がランダムだ。」というバートン・マルキールのような輩のことです。)行動ファイナンスという新しい分野の出現により、今後はそううまくいくかはわかりませんが、一定の割合で洗脳される人が出てくることは避けられないと思います。今日の言葉:「『自分は勘違いしていない』と思った時点で既に勘違いをしている可能性がある。」
2005年01月26日
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前回の続きです。ポジショントークについてですが、これはポートフォリオを公表している時点で既に行っているも同然だと思っているので、何を今更という感じはしています。ただ、漠然と銘柄が掲載されているだけの場合と、企業分析レポートという形で掲載されている場合では幾分感じ取り方が違うのではないかと思ったのでちょっと取り上げてみました。まあ、個人的には割安だと思っている銘柄がより多くの人に気づいてもらうことで、「触媒(カタリスト)」のきっかけとなればというくらいに考えています。ただ、こうしたポジショントークは私自身の投資リターンの問題もさることながら、この日記の品位の問題もありますので、最低限求められるプロセスを踏んで分析をしたいと思います。少なくともYAHOOの個別銘柄掲示板に見られるような、「買いだ!買いだ!」とだけ叫んで買った理由を説明していないような品のないポジショントークにだけはならないようにはしたいと思います。まあ、こういう人達は買った理由を合理的に説明できない銘柄を買っているといったほうが正しいのでしょうけど。次に、銘柄カンニングについてです。以前の日記「他力本願で投資リターンを稼ぐ方法」というところでも少し話をしたのですが、基本的にカンニングはOKだと思います。ただし、いくつかの基本原則を心得た上でカンニングをしなければならないことだけは付け加えておきたいと思います。(1)そもそもカンニングするに値する人であるか?過去の投資実績だけでなく、投資に対する考え方や銘柄選択プロセスがまともであるかどうかを見なければなりません。自己資金で投資を実施したことのないような株式評論家をカンニングしたところで、こうした裏づけのない人の真似することになるので成果は上がらないでしょう。(2)カンニングする人の買った理由を理解しているか?カンニングする人がどういう理由で買っているのかを自分は理解しているかを確認しておく必要があります。「この人は優秀で、この人が推奨しているから」というのは真似をしようと思うきっかけにはなっても、真似をする決定的な理由にはなりません。たとえ、その人が合理的な理由で推奨理由を説明していたとしても、自分がその理由に違和感を感じたりその人と投資スタンスに合わなかったりするならば、それは真似をしないほうが無難です。(3)そうでなければ、せめて結果責任だけは取れるか?優秀な投資家を見つけさえすれば自分で調べるよりも簡単によい銘柄が見つかる場合は多々あるでしょう。そうしたポジショントークにとりあえず乗ってみるというのも一つの手かも知れません。しかし、銘柄推奨をしたのは他人かも知れませんが、その銘柄に乗って資金をつぎ込んだのは他ならないあなたであるということだけは認識しておかなければなりません。したがって、結果責任だけは自分で取ることが必要です。これは金額面だけでなく心理面でもそう言えます。間違っても、「あの人が推奨したから買ったのに損をしたよ。損をしたのはあの人のせいだ。」というような人には投資で成功できる素養はありませんし、投資をする資格すらないと思います。なんか当たり前の話すぎてつまらなかったでしょうか?いやー。株式投資の世界ではまだまだ「自己責任原則」を心得ていないレベルの低い投資家が多いので「念のため」です。今日の言葉:「テストの点数がいつも0点の人の答案を丸写ししたところで、100点を取れるはずはない。」
2005年01月23日
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知っている方はもう知っているかと思いますが、来週からバリュー投資に関するメルマガを始めます。最初は1月28日で担当は私が行います。バリュー投資の世界ではかの有名な「ようさん」のメルマガを引き継ぐことになったわけですが、以下は内田さんのHPにある1月9日付「ろくでなし日記」から引用です。**************************たちつて投資のよう様 のメルマガを友人と引き継ぐことになりました。内容は企業分析の他にも、投資に対する考え方、分析方法、バフェット本の和訳では伝わりきれていない箇所の紹介、資金管理、などとなります。執筆メンバーは稲虎様 (企業分析・レポート執筆)ヨシ様 (企業分析)藤田様 (バフェット本の翻訳、分析)しん様 (投資に対する考え方、分析方法の解説)そして私、内田博史はレポートを10歳の子供に分かるように変換することが主な業務になります。その他としては雑用と精神論を担当します。新生「投資に役立つ企業分析レポート」は1月28日の予定です。***************************というわけで、企業分析レポートほか投資全般に関する話題をメルマガとするわけですが、私は「ようさん」と違って、成長株派ではなく資産バリュー派ですので、企業分析レポートの内容は貸借対照表の精査が中心となりそうです。(しかも、簡単に精査が出来る銘柄が中心。)その企業分析レポートについてですが、当然ですが、私が注目している銘柄や保有している銘柄が中心になります。(保有も注目もしていない銘柄を分析する気はありませんので。)このうち、保有している銘柄については、ある種の「ポジショントーク」が含まれている可能性があることをまず告白しておかなくてはなりません。こうした主観が入っている可能性があることを踏まえた上で、企業分析レポートを参考にしていただきたいということをまずお願いします。まあ、これは私がこれから行おうとしている企業分析レポートのみならず、世間一般の「銘柄推奨」にもそうした要素が多分に含まれているわけですが、投資の世界ではこれを鵜呑みにする人がものすごい多いわけです。「そんなことする人いないよ」という反論をする人もいるかと思いますが、これは間違っています。投資の世界では、「楽して手っ取り早く金儲けしたいということしか頭にない人がすごく多い」ですし、しかも将来は不確実だから「何か情報を持っている(とおぼしき)人にすがりたい」という気持ちが強くあります。人間の本質といえばそれまでですが、ここに「ポジショントークを鵜呑みにして銘柄カンニングして、もし損をしたらポジショントークをした人のせいにする」という「自己責任原則の欠如」が浮かび上がります。次回は、このあたりの詳細を話題にしますが、自己責任原則を唱えたある偉いお方のお言葉を「今日の言葉」とさせていただきます。今日の言葉:「損をした場合はアンタの責任。儲けた時だけは私のおかげ。」(作者不明。←ホントか!)P.S.メルマガの登録についてですが、楽天広場ではまぐまぐのメルマガのフォームが作ることができないようです。「内田さん」「しんさん」「ようさん」のHP経由で登録をお願いします。
2005年01月22日
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前回まで「スクリーニングの領域」に関する話をしていましたが、こうした領域が正しいために必要な前提条件を掲載していませんでした。今回は、その「スクリーニングが妥当であるための前提条件」を示したいと思います。機械的投資でも実施しない限り、スクリーニングで良さそうな銘柄が抽出されたからといってそれで終わりではありません。以下に示すような「前提条件」を検証する作業を忘れてはいけません。*スクリーニングが妥当であるための暗黙の前提1.スクリーニングで使用している各指標を抽出された銘柄に適用する妥当性スクリーニングで使用している各指標には殆ど例外なく背後で仮定されている「前提条件」が存在します。したがって、スクリーニングで抽出された銘柄に対して、各指標を適用することが妥当であるかどうかについて考えなければなりません。スクリーニングで利用可能な指標は様々ですが、前回までの話に関連付けて「PER」「PBR」「ROE]についてのみとりあげたいと思います。既に復習の部分もありますが、チェックリストとしてまとめてみます。*PER(1)財務が健全な銘柄か?財務が健全でないということは事業の継続性に問題があるので、このような銘柄についてのPERは割り引いて考えるべきです。(2)利益成長をしているか?(成長率ゼロの利益安定も含む)事業環境の変化が激しく年によって利益水準がバラバラであるような銘柄にはPERは使えません。また、景気循環株のように景気に応じて利益水準が大幅に変わる銘柄についてもPERは使えません。(3)利益に経済的実質が伴っているか?特別利益のような一時的な利益の計上により、PERが低くなっている可能性があります。また、キャッシュの裏づけがない会計操作上の利益である可能性もあります。「経常利益×(1-税率)」や「キャッシュフロー」をベースとした倍率も併せてみてみましょう。*PBR(1)資産と負債の質に問題はないか?PBRでは貸借対照表の資産と負債の評価額が概ね正しいことを前提としています。これらの質(特に、資産)に問題がある場合にはPBRの数字が低くても実際にはそれほど割安ではないと考えられる可能性もあります。「精算価値」や「ネットキャッシュ」なども併せてみてください。一般的に、流動資産が多い企業はPBRの数字をそのまま受け取れることができますし、固定資産が多い企業はPBRの数字と乖離している傾向があります。(2)収益力とリンクさせた場合のPBRについて上記の(1)は「今すぐに事業を精算する場合」についてでした。事業を継続する場合、収益力とリンクさせてPBRを見なければなりません。たとえば、PBRが高い企業は「資本効率が抜群で事業素質もあり、その結果ROEが高い企業である」可能性を見逃してはなりません。*ROE(1)将来において持続性があるか?ROEは将来における持続性がない限り、有効な指標であるとは言えません。現時点においてROEが高い銘柄でも、それを持続させることのできる経営者の質や事業素質がなければ、例の「企業間競争による平均回帰」によりROEは低下するでしょう。少なくとも、「過去どうだったか?」くらいは確認すべきだと思います。(2)レバレッジがかかりすぎていないか?ROEはレバレッジを上げることで高めることも可能です。適度にレバレッジを使うことで資本効率を高めているという優れた経営をしている場合もありますが、財務上に問題がありすぎるという場合もありますので注意が必要です。「総資本事業利益率」(俗に、ROA)と併せてみることをおススメします。とりわけ、厳しいスクリーニング条件を使って抽出された銘柄に対しては、「ついに理想の銘柄を見つけた」と有頂天になり、こうした「妥当性の検証」を怠ってしまいがちです。「理想的な銘柄に見えたけど実は幻だった」ということにならないように注意しましょう。そうはいっても、常に「何か悪い材料があるに違いない」と懐疑的になりすぎて、投資を躊躇してばかりというのも如何なものかと思います。2.スクリーニングで抽出された銘柄だけが有望な銘柄であるという解釈の妥当性スクリーニングには必ず「境界線」があります。すなわち、スクリーニングは条件を僅かにでも満たしていなければ抽出されないという特性があります。このような「境界線ぎりぎり」にある銘柄をどう処理するのかを自分なりに決めておかなくてはなりません。例えば、「資本政策に優れている成長株候補を探す」という意味で、「ROE>=10%」という条件を考えたとします。このとき、「ROEが10%以上である銘柄を高ROE銘柄とする」という仮定を自分の中で置いたわけですが、ROE=9.9%である銘柄は除外されます。「ROEが10%である銘柄と9.9%の銘柄にはどの程度の違いがあるのか?」という問題が残りますが、現実問題として「殆ど違いはない」と考えられるでしょう。スクリーニングに漏れた銘柄についての処置ですが、「自分の得意領域の外にある銘柄だと割り切って絶好球が来るまで待つ」というスタンスもありますし、「探索する領域を少しずつ広げていって良い投資対象を探す努力をする」というスタンスのもあります。前者の場合は忍耐強さが、後者の場合は調査する能力が問われます。これを踏まえた上で「スクリーニング」を実施すると、自分で考えながらいい投資案件を見つけるきっかけになるのではないかと思います。今日の言葉:「自分の欲しいものが何か分かっていない奴はその欲しいものを手に入れることができない」(村上龍)
2005年01月21日
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今回は、前回示した各領域の解釈をしたいと思います。EPR条件:EPR>=1/α(αは許容できるPERの上限)BPR条件:BPR>=1/β(βは許容できるPBRの上限)ROE条件:ROE>=γ(γは許容できるROEの上限)<図1>:α>=β/γの場合 <図2>:α<=β/γの場合 (1):「EPR条件」「BPR条件」「ROE条件」を満たしています。「資本効率のよい企業が収益で見ても資産で見ても割安な価格になっている」という理想的な領域です。機械的投資の結果が示唆するところによると、この領域に属する銘柄群は市場参加者が価値判断をミスしている可能性が高く、その結果、いい投資リターンをもたらす可能性が高いといえます。ただし、この領域ばかりにこだわって銘柄を探すことには限界もあります。特に、市場が堅調に推移するとこの条件で抽出される銘柄が少なくなる結果、「いい銘柄が少なくて投資するチャンスがない」と嘆くことになります。平均的には保守的で賢明な判断かもしれませんが、それと同時に本当にいい銘柄を探すチャンスも限られてしまいます。(2):「EPR条件」「BPR条件」を満たしています。この領域は「バリュー投資の原点」です。すなわち、「収益で見ても資産で見ても割安な価格になっている」という領域です。この領域に属する銘柄はいわゆる「人気株」とは対照的で「つまらなそうに見える」のが特徴です。しかし、損をする可能性が低く安全な投資で成功するためには、この「つまらなそうに見えるために割安な価格で取引されているが、実際はそれほど悪くない」というギャップを狙うことが重要です。収益や資産で見て割安な価格で買うということに大きな焦点をあてるならば、ROEの高さはそれほど重要でないと考えてもよいかもしれません。この領域に属する銘柄群の平均的なリターンの高さは機械的投資の結果が示しています。もしあなたが初心者だとして、(1)の領域でいい銘柄が見つからないと思ったら、ROE条件を外したこの領域で銘柄を探すことをオススメします。(3):「BPR条件」を満たしています。「資産で見て割安な価格になっている」という領域です。「資産バリュー派」を自認する人にとって、この領域は宝の山です。資産バリュー派は(1)(2)でいい銘柄が見つからなくても、この領域でいい銘柄を探す努力が必要です。資産で見て十分に割安な銘柄を仕込み、何らかの「触媒」によりファンダメンタル価値に収束することを狙います。資本効率について問題があるかもしれませんが、この領域に属する銘柄はもともと収益力を期待されていないことが多いだけに、業績の上方修正にはポジティブに反応しやすく、業績の下方修正に対してもそれほどネガティブに反応しないという特性があり、「下値不安が少ない」というメリットがあります。ただし、この領域で勝負するためには人並み以上の忍耐力が必要です。少なくとも「手っ取り早く儲けたい」という気が強すぎる人には向いていません。また、成長株投資のように、株価が3倍~10倍になるといった大化けもあまり期待出来ないでしょうから、高い投資リターンを上げるためには「資本回転率」も巧みに使う必要があります。(4):「EPR条件」「ROE条件」を満たしています。「資本効率のよい企業が収益で見て割安な価格になっている」という領域です。「割安成長株派」を自認する人にとっては、この領域に属する銘柄をいかに選別できるかがカギとなります。すなわち、「本物と偽者を識別する能力」です。機械的投資の観点からは、低PERという条件を満たしていることから平均的には高い投資リターンを稼げる可能性が高いとはいえ、個別銘柄ベースで調査をするときにはさらに深い分析が必要になります。こうした「事業素質を見る眼」もさることながら、収益性が命であることから売上や利益が落ちたことによる業績の下方修正が行われ当初の目論見が外れたと感じたときは、「間違いを認めて素早く損切りする勇気」も必要です。「割安成長株投資」のメリットは、真の成長株を引き当てた場合、企業の成長に伴い高い投資リターンを享受できるというものです。そうした企業は長期保有するに値するでしょうし、タイミング戦略をとる必要もないでしょう。(5):図1の場合と図2の場合で、満たしている条件が異なります。・図1の場合:「EPR条件」を満たしています。・図2の場合:「BPR条件」「ROE条件」を満たしています。この領域は「資産バリュー派」にとっても「割安成長株派」にとっても格好の調査対象となります。パラメタの設定の違いで領域が分割されている形となっています。図1の場合は「割安成長株派」が対象となっており、(4)に近い性質を持っています。図2の場合は「資産バリュー派」が対象となっており、(3)に近い性質を持っています。(6)「ROE条件」を満たしています。この領域は、典型的な「人気株」にありがちな特性を兼ね備えています。すなわち、「資本効率が高く多くの市場参加者から将来性が期待されているので株価が割高である」という特性です。この領域で銘柄を選択するのは平均的には芳しくない投資リターンという結果をもたらします。この領域で成功するためにはPERやPBRで見た割高さを覆すだけの将来性を見る眼が必要です。「超成長株派」を自認するならば、この領域で「超成長株」を発掘するという挑戦もなくはないですが、かなり難しいということだけは言っておかなければなりません。そもそも、この領域の銘柄群はPERやPBRでは説明できないくらい割高な状態が恒常化している場合も多々ありますので、「ファンダメンタルで説明できないプレミアムに対する賭け」を行っていることになります。これは根拠の薄い投資リターンの源泉で投機的であると言えますし、割高な状態がずっと続くという保証もないことを考えると基本的には手を出さないことが賢明であるともいえます。強いて言うならば、この領域に属する銘柄についてはウオッチだけはしておいて、株価が暴落して(4)や(5)の領域に入ってくるまで待つというのが賢明だと思います。そして、(4)や(5)の領域に入ってこなければ見送るというのが無難です。(成長株を一つくらい見送っても死にはしないと楽に考えましょう。)(7)3つの条件をいずれも満たしていません。スクリーニングに引っかからない領域から良い銘柄を探すという、かなりチャレンジングなものです。「資産で見ても収益で見ても割高で、かつ、資本効率も大したことのない銘柄」であえて勝負するわけですから、この領域で高い投資リターンをもたらす銘柄を探せるのは「天才」だといえます。しかしながら、そうした「天才」であっても、いつもこの領域で銘柄を探している人はそのうち大怪我をすることになるとだけは言えます。(8)赤字領域ですが、「BPR条件」を満たしています。「資産バリュー派」であれば、この領域でいい銘柄にめぐり会える可能性が僅かながらあります。ただし、「ガラクタが殆どである中から掘り出し物を探す」という作業になりますから、苦労の割には報われない可能性もあります。ポイントとしては貸借対照表に載っていない隠れ資産や含み資産を探すこと、そして、それが市場で認知されるための「触媒」が必要です。また、赤字から黒字へという「業績のV字回復」なども触媒になり得ますので、そうなる確信が高くしかもそれが株価に織り込まれていないときは絶好のチャンスです。(9)赤字領域です。3つの条件をいずれも満たしていません。この領域で銘柄を探すということは、「ダメな企業がまともな企業に変化することを期待する」ということに他なりません。結論から言いますと、この領域で成功するのは(7)で成功するよりも遥かに難しく、超上級者だけが成功できる特権的な領域だと思います。そうした超上級者でも、この領域だけで常に勝ちつづけることは至難の技で、「特殊な状況」が発生しているときに限り有効であるといえます。この領域で儲けるためには、赤字から黒字へといった業績のV字回復が確信でき、しかも、市場がクラッシュしていて多くの人がパニック状態になって狼狽売りをしているときに買うことが出来る場合に限ります。俗に言う「ボロ株」などもここに属することが多いのですが、こうした「ボロ株」の問題については、近いうちに考えたいと思います。(10)債務超過領域です。この領域で銘柄を探すのは、「ただの馬鹿」です。いつもこの領域で銘柄を探している人は企業と同様、あなた自身もそのうち「倒産」して市場から退場させられることになるでしょう。次回は、「スクリーニングの暗黙の前提条件」についてです。今日の言葉:「自分の得意な領域で投資をすることが成功への秘訣である。大怪我をするのは自分が定めたルールを破ることによる部分が大きい。」
2005年01月20日
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前回のスクリーニング条件を再掲載します。EPR条件:EPR>=1/α(αは許容できるPERの上限)BPR条件:BPR>=1/β(βは許容できるPBRの上限)ROE条件:ROE>=γ(γは許容できるROEの上限)個別のスクリーニング条件の図示は前回行いました。今回は、複数のスクリーニング条件に関する幾何学的解釈を考えますが、その前に「特殊なケース」について1つ考えたいと思います。1.特殊なケース(α>=β/γを満たし、かつ、3つの条件を全て「and」で結合した場合)まず、BPR条件とROE条件から以下のことが成立します。BPR条件:BPR>=1/βROE条件:ROE>=γ ⇔ EPR÷BPR>=γ ⇔ EPR>=γBPR>=γ/βこれより、BPR条件とROE条件の2つを設定すると、EPR>=γ/βという制約が自動的に付加されることが確認できます。したがって、γ/β>=1/α(すなわちα>=β/γ)であれば、EPR条件は不要となります。<数値例>α=10、β=1、γ=0.1の場合「PER<=10、PBR<=1、ROE>=10%」という多くの人が普通にやりそうなスクリーニング条件を意味しますが、実は「α>=β/γ」を満たしていますので、PER条件がない「PBR<=1、ROE>=10%」というスクリーニングでも同じ銘柄が抽出されます。2.複数のスクリーニング条件に関する幾何学的解釈ここでは、「EPR条件」「BPR条件」「ROE条件」の3つの条件を満たす(満たさない)領域を図示することを考えます。「α>=β/γ」の場合と「α<=β/γ」の場合で領域が若干異なりますので、両方示しておきます。1.[α>=β/γの場合] 2.[α<=β/γの場合](1):「EPR条件」「BPR条件」「ROE条件」を満たしています。(2):「EPR条件」「BPR条件」を満たしています。(3):「BPR条件」を満たしています。(4):「EPR条件」「ROE条件」を満たしています。(5):図1の場合と図2の場合で、満たしている条件が異なります。・図1の場合:「EPR条件」を満たしています。・図2の場合:「BPR条件」「ROE条件」を満たしています。(6)「ROE条件」を満たしています。(7)3つの条件をいずれも満たしていません。(8)赤字領域ですが、「BPR条件」を満たしています。(9)赤字領域です。3つの条件をいずれも満たしていません。(10)債務超過領域です。3つの条件を考える以前の問題です。次回は、各領域の解釈について簡単に説明します。今日の言葉:「自分がどこで宝を探そうとしているのかを知っておかなければ、宝を掘り当てることなど到底不可能だろう。」P.S.少しマニアックになっていて、あまり興味のない方も多数いらっしゃるかと思いますが、あと1回ご辛抱ください。数式の不等号が何箇所か逆でしたので、修正しました。
2005年01月19日
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PERとPBRとROEに関するスクリーニングの話題が最近の流行のようですので、私もとりあげたいと思います。石坂さん、supさん、早川圭さん(さすが、技術系・理科系です)・・・などが、この話題を日記として取り上げていますが事の発端は、やはり角山智さんの本に書かれてあった「誤解の多いROEの使い方」でしょう。それもあって、私もROEに関する話については最近書いたのですが(やや「資産バリュー」よりなROEの見識ですが)、PERとPBRとROEを使ったスクリーニングをどう考えるかについても書きたいと思っていました。今回は、基礎の確認についてです。まず、3つの指標の定義ですが、PER=株式時価総額÷純利益PBR=株式時価総額÷株主資本簿価ROE=純利益÷株主資本簿価です。ここから、PBR=株式時価総額÷株主資本簿価=[純利益÷株主資本簿価]×[株式時価総額÷純利益]=PER×ROEという関係式が導かれます。ただし、この関係式の途中のプロセスからも分かるように、PERとROEで使用する「純利益」、PBRとROEで使用する「株主資本簿価」、PERとPBRで使用する「株式時価総額」が同一であることが条件です。とりわけ、いくつかの財務指標を掲載しているデータベースについて、これらの定義に相違が見られるものが存在します。例えば、「株主資本簿価」の取り扱いについてこうした相違が多いのですが、PBRは「現時点の株主資本簿価」を使用しているのに対して、ROEは「(現時点の株主資本簿価+1期前の株主資本簿価)÷2」という平残を使用していることもあります。ROEにおいて「株主資本簿価」として平残を使用するについては、「財務分析」などで要請されていることもあるのでしょうが、このように異なる「株主資本簿価」を使用している場合、スクリーニングで「PBR=ROE×PER」という関係式が成立するとは限りません。データベースに格納されているPER・PBR・ROEの定義がどのようになっているかに依存します。この点を踏まえた上で、以下では「PBR=ROE×PER」が成立していることを前提に議論します。大抵のスクリーニングでは「PER」「PBR」「ROE」も全て利用可能かと思います。一般的に「PERは低いほうが良い」「PBRは低いほうが良い」「ROEは高いほうが良い」ですから、普通の人がスクリーニングを利用して銘柄を絞る際には、・PER条件:PER<=α(αは許容できるPERの上限値)・PBR条件:PBR<=β(βは許容できるPBRの上限値)・ROE条件:ROE>=γ(γは許容できるROEの下限値)という形で利用するかと思います。上記の全てを「and」で結合する場合もあれば、どれかを満たしていればよいという意味で「or」を使う場合もあるかと思います。また、許容できる上限や下限を変更することもあるでしょう。この点についてスクリーニングは各人自由だと思います。以下では、PER、PBRに関しては、その逆数であるEPR(純利益÷株式時価総額)、BPR(株主資本簿価÷株式時価総額)を使用しようと思います。逆数で考えるのは、純利益や株主資本簿価の符号が変わる境界部分についての連続性を確保することが出来るからです。これについては、グラフで確認していただければと思います。すると、スクリーニング条件は・EPR条件:EPR>=1÷α(αは許容できるPERの上限値)・BPR条件:BPR>=1÷β(βは許容できるPBRの上限値)・ROE条件:ROE>=γ(γは許容できるROEの下限値)と置き換えることが出来ます。最後に、各条件の領域について考えたいと思います。「PBR=ROE×PER」であることを踏まえると、3つの指標のうち2つが決まれば残りの一つは自動的に確定します。ここでは、ROEを消去して、さらに「PERはEPRに」「PBRはBPRに」置き換えます。すると、「ROE=PBR÷PER=EPR÷BPR」となります。したがって、縦軸をEPR、横軸をBPRとして、各条件の領域を図示すると以下のようになります。(各条件に合致する領域を緑色で示しています。)勝手ながら、「債務超過領域」は除外して掲載しました。・EPR条件(債務超過領域除く) ・BPR条件 ・ROE条件(債務超過領域除く) 次回は、これを踏まえた上で、スクリーニングの幾何学的解釈を考えたいと思います。今日の言葉:「幾何学に王道はない。スクリーニングにも王道はない。」
2005年01月16日
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今回は、あくまでも架空の話です。「私自身が将来こういうことをやりたい」と考えているわけではありませんので、予めご了承ください。むしろ逆で、「こういうことに当てはまる詐欺的な会社に投資しないことが賢明な投資家への第一歩である」ということを、多数の「反面教師」を見ながら知って欲しいと主張したいのです。1.会社設立(1)初期投資が少なくてすむ事業(例えば、インターネット関連事業)を興す。・初期の資本金や役職員数などは、商法が定める最低限の人数としてコストを極小化する。(2)監査法人は「個人もしくは中小」を採用して、なるべく甘い会計監査を受けられるようにする。*以下では、当初の事業が「インターネット関連事業」であることを前提に話を進めます。2.上場までの手順(1)たとえ架空でも一定の売上と利益を計上して、最低限の「企業としての実態」は作り上げる。*利益は「意見」ですから、主張できるものはとりあえず主張しましょう。(2)上場基準が緩い市場への上場を目指し、その上場基準を満たすまで頑張る。「セントレックス」(名古屋証券取引所のベンチャー版)「アンビシャス」(札幌証券取引所のベンチャー版)「Q-Board」(福岡証券取引所のベンチャー版)などはベンチャー向けの市場で、上場基準が緩いのが特徴です。ここでは、一例として「Q-Board」の上場基準を掲載しておきます。・上場株数:上場時に500単位以上の公募増資・株式の分布状況:上場時に株主が200人以上・株主資本の額:正であること・上場時の時価総額:3億円以上・連結財務諸表等:「上場のための有価証券報告書」に添付される監査報告書及び中間監査報告書において、「適正」及び「虚偽記載」なし・株式事務代行機関の設置:福証の承認する株式事務代行機関に委託 ・株券の様式:福証の定める様式に適合 ・株式の譲渡制限:株式の譲渡に制限なし *ハッキリ言って、有って無いような「楽勝」な基準です。その気になれば「詐欺会社」も上場可能です。(3)「市場全体が強気のときに」「マイナーな主幹事証券を使って」上場し、高値で株式を売り出す。*市場全体が強気なときに上場するのは、IPOが過熱していて「何が何でも儲けたい」という「浅はかな」投資家の心理を利用するためです。*マイナーな主幹事証券を使うのは上場の審査が楽勝だからです。*さらに、「インターネット関連事業」ということから、どんなにクソみたいな会社でも「何か新しい可能性があるかもしれない」という市場参加者の期待(「馬鹿どもの勘違い」というのですが)を基に、割高な価格で売り出すことが可能であるという「皮算用」が成り立つという点も重要なポイントです。*まじめに事業をやっていてコンスタントに利益を上げている普通の事業会社よりも高い値段で株式が売れるのですから、このあたりに「世の中の不公平感」を感じます。(4)上場したら、当初のインターネット関連事業は形だけ残しておいて、実質的には投資会社に衣替えする。*私だったら、株主から調達した資金で「バリュー投資」を行います。(5)忘れてはならない重要ポイント・利益を計上しても全て内部留保として配当は絶対に出さない。・支配的株主(身内で保有比率50%以上、まあ30%くらいでも大丈夫でしょう)の立場だけは常に維持しておく。3.上場した後(1)相場が低迷しているとき*株価を意図的に低く誘導する経営政策を取る。・保守的な会計基準を採用して利益を低めに計上する。場合によっては、巨額の赤字を出しておく。これは、後に利益の上方修正をするための布石とする。・低い権利行使価格でストックオプションを乱発する。・投資会社としてバリュー銘柄を仕込みまくる。場合によっては「自社株買い」を行う。(2)相場が好調になり始めたとき*株価を意図的に高く誘導する経営政策を取る。・相場低迷時に仕込んだバリュー株が上昇すると思われるので、「投資会社」としての利益を計上できる。・それまで採用していた保守的な会計基準により隠していた利益を表に出し、市場予想を上回る利益の上方修正を小刻みに出す。*自社株の売りつけを行うための算段をする。・株価がある程度上昇したら、タイミングを見計らって株式分割などを発表する。・株式市場で注目されているテーマ(例えば、「企業再生ファンド」など)の事業に乗り出す可能性を発表する。・攻撃的な会計基準に切り替えて利益を高めに計上し成長株の印象をつける。・様々な株価の上昇材料を盾にストックオプションの権利をすべて行使して市場で株式を売却する。さらに、投資家に成長株であるという幻想を抱かせて株式の売出しを行う。4.後始末「3.の(1)と(2)」を繰り返した後、身内の企業を使って相場低迷時にできるだけ安い価格で公開買い付けを行い、上場廃止に持ち込む。*教訓:中世ヨーロッパ時代に確立された「資本主義」は非常に便利なシステムであり、(少なくとも物質面では)我々の生活を豊かにするために大きな貢献をしましたが、それと同時に詐欺を働こうと思えばいくらでもできるというシステムでもあります。さらに、「株主利益」を軽視することが如何に簡単であるかも確認出来ます。しかも、やり方次第ではこうした「株主軽視」は違法ではなく、経営者を法的に罰することが出来ないという不備もあります。現実の日本企業においても、こうしたシステムを確信犯的に利用した「合法的詐欺」を働かせて、株主から資金を巻き上げている会社が存在することを確認できるでしょう。以下のことを考えると、具体的な会社名を挙げるまでもないでしょう。「儲かってなくても投資家が乗ってくれるという理由だけでインターネット関連やバイオ関連の会社を作ったんじゃないの?」「企業再生ファンドとかいって、ただ単にボロ株に投資してるだけじゃないの?」「上場直後に財務諸表の虚偽が発覚するってどういうこと?」「子会社だからって清算価値よりも低い値段で公開買い付けするのはいかがなものかな?」「そもそも100分割って意味あるの?」「MSCBって空売りする人のためにあるんじゃないの?」まあ、こんな手口にやたらと引っかかってばかりの投資家も問題ありだと思いますが。(「学習」という言葉を知ってますか?)今日の言葉:「資本主義は世界の発展に貢献したシステムであるが、それと同時に詐欺の温床にもなり得るシステムである。」
2005年01月15日
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再び、ROEの定義を掲載します。ROE=純利益÷株主資本簿価この定義から、ROEを維持・向上させる方法は2通りあります。1.純利益を増やす2.株主資本を減らす1.純利益を増やすまずは、ROEの分子である「純利益」についてです。(1)増収増益となっている企業の場合「企業の成長に伴い純利益が増える」というプロセスは、いわば「本業を頑張っている」ということですから、これはROEの維持・向上策の王道です。したがって、「増収増益」に伴いROEが維持・向上している企業を探すことが「超成長株」探しの第一歩です。ただし、この手の成長企業候補の中には、成長が止まっていることを悟られないようにするために「会計操作」によって売上や利益を水増しさせて投資家を欺く企業もあります。財務諸表の注記で会計方針を変更している企業には特に要注意です。そして、このような「エセ成長株」に手を出すと、すぐに市場から退場させられます。(2)増収増益でない場合本業がジリ貧であってもリストラなどにより純利益を向上させることは出来ます。特に、資本効率の良くない経営を実施してきた企業がこのようなリストラを行うことで純利益を上げるというのが典型的ですが、このようなROE向上策はそう何度も使える手ではありません。結局のところ、長期にわたって純利益を増やすためには本業が順調である必要があります。2.株主資本を減らす次に、ROEの分母である「株主資本簿価」についてです。(1)資本の返還によるROEの向上株主利益を重視する経営者であれば、利益率が低い資本を必要以上に持たないことが重要な課題となります。利益率が低い資本を返還することによってROEを向上させることができます。典型的には、以下のような政策が考えられます。*自社株買いを実施する*配当を支払うたとえ増収増益基調で純利益が年々増加していても、それに伴い株主資本も増加します。そして、純利益の増加ペースよりも株主資本の増加ペースのほうが速ければROEは低下します。したがって、自社株買いを行ったり、これまで内部留保していた純利益を配当として払い出すことで、ROEを維持・向上させることが出来ます。(2)資本と負債の交換によるROEの向上これは、いわゆる「レバレッジを高める」という話になります。レバレッジを高めることの効用は以下を見れば確認できます。(話を簡単にするために、特別項目がないことを仮定します。)税引き前ROE=税引き前純利益÷株主資本=経常利益÷株主資本=[事業利益-負債利払い]÷株主資本=[事業利益÷総資産×(総負債+株主資本)-負債コスト×総負債]÷株主資本=[総資本事業利益率×株主資本+(総資本事業利益率-負債コスト)×総負債]÷株主資本=総資本事業利益率+(総資本事業利益率-負債コスト)×[負債÷株主資本]=総資本事業利益率+(総資本事業利益率-負債コスト)×財務レバレッジ「レバレッジを高めてROEを向上させる」ためには、総資本事業利益率が負債コストよりも高いことが必要です。この式を額面どおりに受け取ると「負債コストを超える総資本事業利益率を上げている限り、ROE向上のためにはレバレッジを上げるべきである」という話になります。しかし、現実問題として過大なレバレッジは多くの問題を引き起こすことが知られていますし、企業が倒産するのは負債を返済できないことが原因であることも分かっています。したがって、無尽蔵にレバレッジを賭けることは問題がありますし、基本的には負債が少なくてROEが高い企業を選ぶことをオススメします。これを踏まえると、ROEが高くても財務が健全でない(特に、株主資本比率が低い)企業は財務レバレッジの影響でそうなっていることに注意しなければなりません。財務が健全でない企業のROEの持続性には懐疑的であるべきです。(3)会計操作によるROEの向上会計の世界では、基本的に資産の評価は簿価ベースであり(取得原価主義)、著しい原価が認められたときにはその評価を切り下げるべきであることが定められています(保守主義)。このことを踏まえると、資産の評価を恣意的に(あるいは、恣意的でなくても実勢に応じた減損処理をして)切り下げを行った場合、株主資本もそれに伴い減少するので、会計操作によってROEが向上します。最近では、「減損会計の適用」が新会計基準で義務付けられるようになりましたので、こうした会計操作によるROE向上は十分に有り得る話です。減損会計を適用すると、株主資本が減少してROEは向上しますが、PBR(株式時価÷株主資本簿価)も高くなります。しかし、そうした減損会計が今後の経常的な利益に影響を与えない会計処理の問題に過ぎなければファンダメンタルに与える影響は中立なはずです。したがって、このような場合、「ROEが高くなったから資本効率のよい経営になった」とか「PBRが高くなったから割高になった」という判断が必ずしも正しいと言えません。<例>株式時価総額160億円、株主資本100億円、(特別項目考慮前)純利益10億円の企業が営業用の建物の評価減に伴い、20億円の減損処理をした場合*適用前:(特別項目考慮前)ROE=10%(10÷100)PBR=1.6倍(160÷100)PER=16倍(160÷10)*適用後:(特別項目考慮前)ROE=12.5%(10÷80)PBR=2.0倍(160÷80)PER=16倍(160÷10)減損会計を適用する前も適用した後も、減損会計による特別項目考慮前の純利益は変わらないことに注意が必要です。そのため、PERでみると実態は変わりません。資本政策によってROEの水準が変わっていくことを考えると、ROEの数字だけを見てよい企業であるかどうかを判断するのは危険であり「どういう資本政策の結果としてROEの数字が出来上がっているのか?」を見る必要があります。これまでの点を踏まえると、理想的な成長株候補となるのは、「財務が健全で増収増益基調であり、株主重視の資本政策を実施した結果、高いROEを持続している企業」であるといえます。「そんな企業が存在するのか?」というと非常に少ないと言わざるを得ませんし、さらに「株価が割安である」という条件を加えるとさらに少なくなります。もし、そのような企業を見つけたというのであれば私も「相乗り」しますので、こっそりと教えてください。お礼は「資産バリューな銘柄」を教える形でいたします。(笑い)今日の言葉:「株主利益を無視した形でROEを高める経営者には注意せよ」
2005年01月14日
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今回は、高いROEを稼ぎ出す企業への投資がどのくらい成功するかについてです。まず、機械的投資の観点で見たROEの有効性についての検証結果を述べたいと思います。(これらの検証結果は、機械的投資に関する諸文献のほか「EBIのすすめ-KAPPA投資研究会-」などでも確認できます。)日本においては、ROEが高い銘柄群への投資は平均すると市場インデックスをややアウトパフォームするものの、それほど高い率でアウトパフォームするわけではなく、少なくともPERやPBRなどのいわゆる「バリュー系指標」などと比較すると、有意な指標であるとは言い難いことが確認されています。さらに、米国においてもROEは有意な指標でないことが確認されています。しかも、ROEの高い銘柄群というのは、それに属するごく一部の銘柄(「超成長株」と呼ばれる銘柄)が抜群に高い投資リターンを稼ぎ出していることを考えると、それを除いた平均は機械的投資が示す結果に比べてとてつもなく低いパフォーマンスになるということが簡単に予想できます。過去において、ROEが最も高い銘柄群で最高のパフォーマンスを示した「超成長株」の事例として、アメリカだと「マイクロソフト」のような銘柄が挙げられますし、日本だと「セブンイレブン」のような銘柄が挙げられるかと思います。機械的投資の結果(高ROEに属する銘柄群全体への投資はそれほど有意に高いリターンをもたらさないこと)、および、ごく少数の成功した銘柄群が高ROE群に入っていることを考えると、「多くの場合、ROEが高い銘柄への投資は失敗に終わる可能性が高い」と結論付けることが出来ます。ROEだけを頼りに投資判断をするまずさは以下の3点にあると思います。(3.については、次回とりあげます。)1.ROEが高い銘柄群は全体的にPBRが高い傾向がある2.ROEは企業間競争により平均回帰する傾向がある3.レバレッジの高さからROEが高くなっている可能性がある1.ROEが高い銘柄群は全体的にPBRが高い傾向がある前回にも述べましたが、大まかには「高ROE=高PBR、低ROE=低PBR」という傾向があります。もちろん、ROEの高さに見合う程度のPBRの高さであれば問題ないのですが、そうでない可能性もあります。実際、「PBRが高い銘柄群を平均すると市場インデックスにアンダーパフォームする」という機械的投資の検証結果から、ROEが高い銘柄群は妥当な水準よりも過大に評価されている可能性が高いと考えられます。もちろん、ROEという指標そのものは株価に関する要素がないので、必ずしも「ROEが高い=PBRが高い」といえない銘柄もあります。現実の市場において個別銘柄ベースで見ていくと、ROEが高い銘柄でも市場参加者の判断ミスで驚くほどPBRが低くなっている場合もあります。このようなタイミングでROEが高い銘柄に投資した場合のリターンは大きくなるでしょう。また、ROEもPBRも共に高い銘柄であっても、市場参加者の期待以上に成長を遂げる銘柄(超成長株)もごく一部ながら存在します。このような銘柄に投資できた場合もまたリターンは大きくなります。しかし、そのような銘柄は例外中の例外であるということを知っておかなければなりません。したがって、「ROEが高い銘柄群は妥当な水準よりも過大に評価されている可能性が高く、その結果、パフォーマンスは芳しくない」ということが言えます。ROEが高い銘柄への投資で成功するためには、「市場のミスで驚くほど割安に購入できるチャンスを待つこと」か「ごく一部の超成長株を探すこと」が条件となります。2.ROEは企業間競争により平均回帰する傾向があるもう一つ考えるべきは、現時点においてROEが高い企業(低い企業)は、将来において平均回帰する傾向があることについてです。資本利益率が高い事業は「魅力的な事業である」という理由から、多く新規参入者をもたらし、企業間競争が発生します。そして、そのような競争を跳ね返せるだけの独自性(ビジネス・フランチャイズ)を持っていない限り、そうした競争を経て資本利益率が落ちるのはごく当然のことです。そして、高い資本利益率を維持して成長し続けることができる超成長株がごく一部であるという事実は、各企業が持っているビジネス・フランチャイズは市場関係者が想定しているよりも頑健ではないことを意味します。もちろん、逆も然りです。資本利益率が低い事業は「魅力的な事業でない」という理由から、競合他社の一部が撤退するという事態が起こります。そうすると競争が少なくなり「残存者利益」が転がりこんでくることで資本利益率が向上します。このような「ROEの平均回帰」が実際に起こっていることを確認した研究もあります。(米国の事例については、「企業分析入門 第2版」<東大出版会>などを参照。)すなわち、強固なビジネス・フランチャイズを持たない企業が稼ぎ出す一時的に高いROEは、後に起こる企業間競争で平均回帰する過程でネガティブなサプライズ(思っていたよりも魅力的でないという判断)が起こり、投資リターンも低下するという可能性を引き起こします。逆に、低いROE銘柄は、平均回帰によりROEが上昇する過程でポジティブなサプライズ(思っていたよりも悪くないという判断)が起こり、投資リターンも上昇する可能性を引き起こします。現状のROEの高さを基準に将来の超成長株を見つけるためには、今後もそうした高いROEを維持できると判断するに足るビジネス・フランチャイズを持っているかどうかを見極める必要があるといえます。もちろん、「割高でない」ことも重要です。すなわち、成長株投資に関しては、「ROEの高さは分析のスタート地点であり、ゴールではない」ということです。次回は、「資本政策によるROEの向上策」についてです。今日の言葉:「人々は良くほうにも悪いほうも過剰反応をする。そこに超過リターンをとるチャンスがある。」
2005年01月13日
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ROEに関する話を殆どしていなかったことに気づいたので、今回はその話をしたいと思います。ROE(Return On Equity)は「株主資本純利益率」と訳されることが多く、その定義は以下のとおりです。ROE = 純利益 ÷ 株主資本簿価ROEは「株主から拠出された資金に対してどの程度の株主利益を上げたか」を表す指標です。(実際に良い投資リターンとなるかどうかは別として)ROEが継続的に高い企業は株主から拠出された資本を効率よく利用している企業であるといえます。財務論の概念的な話をしますと、ROEは資本コスト(株主が要求するリターン)と比較されます。すなわち、投資家はROEと資本コストを比較することでその企業に投資するだけの価値があるかどうかを判断することが出来ます。(実際には、将来の利益成長の見込みも考慮されるべきですが、それについては最後に簡単に触れます。)*新規事業への出資について「資本コストに見合わないROEしか稼げない企業には出資する意味がない」と解釈できます。*既に上場している企業の評価について「ROEが資本コストよりも高い企業の市場価格は株主資本簿価よりも高くなるはずだし、そうでなければ市場価格は株主資本簿価よりも低くなるはずだ」と解釈できます。財務論を一通り勉強して実際に株式市場を見た人にとっては、「資本コスト」という概念は極めて曖昧なものであり、現実の世界では「要求する資本コストの水準は、企業によって違うし市場参加者によっても違う」ということを知っています。様々な欠点があることを承知の上で、ここでは話を分かりやすくするために、資本コストとして「国債の利回り」を考えます。(事業リスクが存在するので、理論的には資本コストは国債の利回りよりも高くなるはずです。もちろん、現実の市場でそうなっているかどうかは別問題ですが。)*問題1(新規事業への出資について)ある事業に1億円出資しようと考えます。その事業から得られる予想純利益は500万円であると仮定します。国債の利回りが5%であるとき、この事業に出資したいと思いますか?(話を簡単にするために、投資期間は1年であるとします。)株主資本簿価が1億円、予想純利益が500万円、ROEが5%、資本コストが5%です。常識的な感覚をもってすれば「投資したくない」という判断に至るはずです。なぜならば、事業から得られるであろう予想純利益には多くの不確実性が伴うことに対して、国債の利回りは確実だからです。たとえ、その事業から得られる純利益が500万円を上回る可能性があるとしても、それを期待できる何か(事業素質の改善の可能性など)がなければ、普通は出資したいと思わないでしょう。*問題2(既に上場している企業への投資について)上場しているある企業について、ROE3%が期待できるとします。国債の利回りは5%であるとします。このとき、この企業に投資したいと思いますか?このような企業に対して、合理的な市場参加者が期待するのは以下の2つです。(1)事業を即座に精算して株主資本を全て国債で運用すること事業を継続したところで、国債の利回り以下の利益率しか稼げないのですから、事業を精算して株主資本を国債で運用するほうが株主利益のためになります。場合によっては、事業を精算して株主に資本を返還するほうが良いかもしれません。(2)国債の利回りに見合う程度に株価が下がることこのような企業が何らかの理由で事業が継続している場合、国債の利回りに見合う程度に株価が下がらなければ投資妙味がありません。すなわち、将来の利益成長や事業素質の変化に対する期待が伴わなければ、国債の利回り以下のROEしか稼げない企業が株主資本簿価以上の価格で取引されていることを合理的に説明することはできません。もちろん、現実には「種々の社会的制約から事業を簡単に精算できないこと」や「経営者の非合理な意思決定」などから、ROEと資本コストを考慮した合理的な資本政策が常にとられるとは限らないでしょう。さらに「市場参加者による価値判断のミス」からROEと資本コストの関係を考慮した価格付けが正確になされる可能性はもっと低いでしょう。そうはいっても、「出来るだけ資本効率の高い企業に投資したい」と多くの市場参加者は思っているでしょうし、実際に市場を観察していても「資本効率が高い企業は市場での評価が高く、資本効率が低い企業は市場での評価は低い」という傾向は概ね認められます。すなわち、「高ROE=高PBR、低ROE=低PBR」という構図が浮かび上がります。最後に、将来の利益成長を加味した場合のROEとPBRについてです。「事業の永続性」を前提とした場合を考えます。この場合、以前の日記で述べたように「定率成長モデル」のPBRバージョンから以下のことが言えます。V = E(1)÷(R-G) ⇔ PBR = V÷B(0) = [E(1)÷B(0)]÷(R-G) = ROE÷(R-G)すなわち、PBRは「ROE」「資本コスト」「利益成長率」に依存します。定率成長モデルは「他の2要素(資本コストと利益成長率)が同じであれば、ROEが高ければ(低ければ)、PBRも高い(低い)はずだ」ということを示唆しています。ROEの高い企業は資本効率の高さという点ではいい企業ですが、株価がそれを織り込んでいる可能性がある(PBRが高い)ことを考えると、必ずしもいい投資対象になるとは限りません。実際にどうなっているのかについては、次回に述べたいと思います。今日の言葉:「成長株志向の投資家が陥りやすいのは、自分の資本効率よりも企業の資本効率を重視して株式投資に臨むことである。」
2005年01月12日
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カクテルパーティーの話題は、昨日で最後のつもりだったのですが、タイムリーな出来事があったのでその話題をしたいと思います。くどいようですが、八重洲(東京都中央区)でカクテルパーティーが行われて、私がそれに参加したわけではありません。証券投資の話題ですのであしからず。実は、今日は所用で出かけたついでに新しい投資本を買いたいと思い「八重洲ブックセンター」(東京駅の近くにある割と大きな書店)に行ってきました。八重洲ブックセンターに行ったことのある人にしか分からないローカルネタになってしまって申し訳ないのですが、今日はその書店に関する話をしたいと思います。八重洲ブックセンターでは、「投資本コーナー」は2階にあるのですが、私はそこで驚くべき光景を目の当たりにしました。なんと、エスカレーターを上がった正面からいきなり「投資本コーナー」だったのです。「ゲゲゲゲー!!なんじゃこりゃー!!」というのが最初のリアクションでした。と言いますのも、私が前回八重洲ブックセンターに行ったのは約6~9ヶ月くらい前だったのですが、その頃には「投資本コーナー」が少なかったからです。八重洲ブックセンターは、エスカレーターを上って2番目の通路くらいにしか「投資本コーナー」がなかったのです。今回は、それがエスカレーターの前のほかに、1番目から3番目の通路までもが「投資本コーナー」だったのです。スペースとしては、少なく見積もっても約3倍くらいは拡大していました。それだけ投資本が増えているということです。「バリュー投資関連の本」(グレアム・バフェットなど)もありましたし、デイトレ関連の本もありました。もう「投資本なら何でもござれ」でした。相変わらずですが、全般的に見ると「質」は確実に落ちています。そうしたおかげもあって、私が探していた本はあったのですが、別種の懸念をさらに確信しました。それは「カクテルパーティーの終焉が近いのではないか?」という懸念です。2年連続で堅調な相場の上に、投資で利益を上げたという人も増えていて、多くの人が有頂天になっている頃なので、私は慎重にと思っていた矢先の出来事です。将来のことは予測できないしマクロ的な予測は話半分とはいえ、これはただ事ではないという感じはしました。気になる方で東京駅近辺に行く用事がある方は、ぜひ一度実際に八重洲ブックセンターを見に行くことをおススメします。たまには、株式市場から離れて「実地見学」をしてみるのも面白いですよ。ホントにびっくりしますから。東京近辺在住でない方、ローカルネタでごめんなさい。それほどカクテルパーティーがヒートアップしているのだということを伝えたかったのです。今日の言葉:「カクテルパーティーの盛り上がり具合を知りたければ八重洲へ行くべし!」P.S.ところで、われらのヒーロー「角山智」さんの本はどこだと思って探していたのですが、八重洲ブックセンターにはどこにもありませんでした。この調子ですと、カクテルパーティーが終焉してもバリュー投資は大丈夫です。(ただし、価値を見極めた投資していて、かつ、心理面も強い人だけに限ります。)
2005年01月09日
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そんなわけで、カクテルパーティー論も今回で最後です。「相場に勝ちやすい環境にあるかどうかを具体的にどう判断すればいいか?」についての質問がありましたので、それをとりあげたいと思います。私が見ているのは以下のような項目です。(他にもいくつかあります。)1.定量的な項目(数字で把握できる項目)(1)割安銘柄スクリーニングで引っかかる銘柄数例えば、「予想PER
2005年01月08日
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前回は、カクテルパーティー論について「株で勝つ」から引用をしました。今回は、そのカクテルパーティー論を最近の日本の相場状況へ適用してみようと思います。それを基に今後の対策を考えたり、似たような相場サイクルが再到来したときにうまく応用してさらに高い投資リターンを目指せるのではないかと思います。1.過去の振り返りまず、「後知恵による講釈」であることをお断りしておかなければなりませんが、直近3年間における株式市場は、このカクテルパーティー論が見事にはまっているのではないかと個人的には思いました。(1)2002年(第一段階:相場が若いとき)この頃は、今と比べると株式投資など見向きもされませんでした。「非効率な日本企業」「株価の底割れ」などと騒がれていました。また、内閣府の意識調査で「株式投資をしたくない人の割合が80%」という結果が出たのもこの頃か思います。(2)2003年(第二段階:ボトムから20%程度上昇したとき)2003年4月あたりから株式市場が上昇局面になり始めました。2003年末あたりからは「株式投資は儲かる」という記事が増え始めましたが、少なくとも前半はあまりなかったです。日本経済が少し上向きになることにまだ懐疑的だったのかもしれません。(3)2004年(第三段階:ボトムから30%程度上昇したとき)最近、巷の書店に行くとやたらと「株本」が多くなっていると感じませんか?これはまさに、「どの株が良いかを教えてくれる状況」ではないかと思います。しかも、昨年はファンダメンタルとは無関係な投機的思惑(分割投機、IPO投機、マーケットメイク投機)なども非常に多かったと思います。(4)2005年を迎えてそんなわけで、あくまでも個人的見解ですが、この3年間についてカクテルパーティー論が割と当てはまっていたと考えれば、今は「第3段階から第4段階へ向かっている途中」であるような気がしています。2.今後の対策さて、過去のことはもう過ぎたことです。この3年間で利益を上げた人もそうでない人も、これからが大事だと思います。私自身は、「第3段階から第4段階へ向かっている途中」と考えているので、今年は去年・一昨年以上に慎重に考えています。すなわち、株式市場から少し距離を置いたほうが良いと感じながらも、個別銘柄ベースだと割安な銘柄を探す余地はあると考えています。ここで「距離を置く」というのは、「今まで以上に安全性マージンを確保した銘柄選択をする」ということです。2~3年前と比べて割安な銘柄が減っているだけに、実際にこれを実行するのはかなり困難だと思います。上昇相場が続いていると、多くの人が「今までの基準ではいい銘柄がなかなか見つからない」という理由で、投資基準を緩めた銘柄選択ルールを採用し始めます。投資リターンの獲得機会を拡大させるというのがその理由だと思いますが、私はこれは危険な兆候だと思います。大抵の場合、銘柄選択ルールの基準を緩めた時点でリスク管理がおろそかになってしまい、その勢いで(以前の基準だったら当然手を出していなかったであろう)余計な銘柄にまで手を出してしまい、それが基で大怪我をするというパターンにはまってしまう可能性があります。3.私が考える「局面に応じた有効な投資手法」カクテルパーティー論を利用すると、「局面に応じて有効な投資手法が違うので、それを最大限に利用して投資リターンを高める」ことができるのではないかと思います。これは最近2~3年の市場観察、および、さまざまな書籍を読むことでそういう結論に至りました。(1)第一段階(相場が若いとき)これ以上、日本経済が悪くなることはないと考えられる局面なので、収益拡大による株価上昇が期待できます。したがって、ROEが高くPERもそこそこの「割安成長株」を中心に銘柄選択をするのが良いかと思います。(2)第二段階(相場のボトムから20%程度上昇したとき)ある程度上昇している成長株がやや安全性マージンを失って一旦利食いしたいと思いますが我慢です。収益拡大によって割安度を回復する可能性も高いので、継続保有するのがいいのではないかと思います。ただ、それと同時に「資産バリュー」な銘柄で市場参加者が全く気づいていない銘柄を探し始めるのもいいのではないかと思います。(3)第三段階(相場のボトムから30%以上上昇しているとき)以前に仕込んだ成長株を売却することを考えるときです。徐々に「収益のバリュー」から「資産バリュー」にシフトするのが良いのではないかと考えます。すなわち、ROEやPERといった「将来性を重視する投資手法」ではなく、PBRや配当利回りといった「足元を重視する投資手法」に変えます。(4)第四段階(相場がピークのとき)株式市場そのものから一時的に撤退することも視野に入れます。場合によっては債券にシフトします。株式で勝負するとしても、年初来安値をつけている銘柄や、低PBRや高配当利回りを中心に銘柄選択をします。2002年は私がバリュー投資に転向したばかりの年であったことから、こうした「局面に応じた投資手法」を考える余裕はなく、私自身が「相場が若いときに爆発的に上昇する可能性が高い成長株を逃した」という経緯があります。したがって、これは「私の反省」でもあります。それと同時に、「次に似たような相場サイクルが来たときはこれを利用して、さらに高い投資リターンを目指す」と心に決めています。私が今の段階で、「資産バリュー」という保守的な銘柄選択術をしている理由の一つには、「カクテルパーティーの最終局面に近い」という個人的な読みもあります。先のことは分かりませんが、今年も強気相場であれば、来年こそは「相場のピーク」かもしれません。今日の言葉:「マクロ的な読みは外れることも多いので、話半分で。」
2005年01月07日
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今回は、かの有名な「カクテルパーティー論」についてです。知らない方のために申し上げますと、ピーター・リンチが株式市場の魅力度をマクロ的に判断する一つの材料として、「市場参加者の心理状態」をとりあげた例え話のことです。したがって、私が街の社交場のカクテルパーティーに頻繁に参加していて、「カクテルパーティーかくあるべき」を述べたいわけではありません(笑)。今回は、ピーター・リンチの「株で勝つ」から引用します。そこで取り上げられている「カクテルパーティー論」を要約すると以下のとおりです。***************************株式のファンドマネージャーであるピーター・リンチになったつもりで読んでください。あなた(ピーター・リンチ)は、とある社交場のカクテルパーティーに参加しています。そして、このようなカクテルパーティーに頻繁に参加する機会があるとします。あるとき、その社交場では常連である歯科医と知り合いました。あなたと歯科医の周りにはカクテルを片手に色々な人が集まり、様々な話題で盛り上がっています。(1)相場が若いときあなたが「株式のファンドの運用をしています」と言っても人々は軽くうなずいて消えてしまう。いなくならなくとも、話題をバスケットボールや次の選挙や天候に移す。そのうち、近くの歯医者に語りかける。*相場自体が低迷していて「株で儲かる」という話題など出てこないときであるが、実は、このときが株式投資で大きく儲けられるチャンスである。(2)相場のボトムから20%程度上昇したときあなたが自分の職業を人々に打ち明けると、初対面の人が歯科医の近くに移る前に、もう少し長くあなたの前にいて、株式市場がどんなにリスキーなのかを教えてくれる。そして、全体としては歯科医に関心がある。*株価が少し上がって一旦利食い売りを考えたくなるが、実はまだまだ株価は上昇する。したがって、リスキーどころか安全であると言える。(3)相場のボトムから30%以上上昇しているときパーティーの最中、あなたの周りからは人が離れない。歯科医は完全に無視される。興味津々どの株を買うべきか聞きまくる。歯科医でさえ、どの株がよいか聞いてくる。*ファンダメンタルとは無関係な思惑先行の株価変動が目立ち、基本的には株式市場から距離を置いたほうが良いのだが、それでも何とかいい銘柄を見つけられる可能性はある。(4)相場がピークのとき人々はまだあなたの前に群がるが、今度はあなたにどの株を買うべきか教えたがる。隣の歯科医でさえ、三つ四つのヒントをくれる。数日後、彼らのお勧め株はみんな上昇しているのがわかる。こういうときには相場のピークを迎える。*ファンダメンタル価値を考えると本当にいい銘柄はかなり限られていて、殆どの場合は大損する可能性が高いにも関わらず、世間一般は「株で儲かるのは当たり前」という感覚になっている。極めて危険な状況。***************************ピーター・リンチ自身は「ただし、理論的な正しさは保証しない。」と言っていますが、人間心理の本質を考慮するとこれはかなり頑健であると私自身は考えています。偉大な投資家はこのような人間心理をうまく語っていると思います。私は成長株志向ではないので、「株で勝つ」からは「成長株の探し方」ではなく「人間心理の落とし穴」をよく勉強できたと考えています。理論的な正しさを明確に検証することは出来ないかもしれませんが、少なくとも、経済学をベースにした下手なマクロ経済予測に関するウンチクをいうエコノミストよりはぜんぜん使えると思います。次回は、これをベースに今の状況を考えたいと思います。今日の言葉:「株式市場で継続的に利益を上げられる人が少ないことを踏まえると、『みんなが儲かる』というときは『みんなが損する』と考えたほうが妥当である。」
2005年01月06日
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前回は「銘柄選択術の整理」でした。今回は「資本政策の整理」をしたいと思います。資本政策は銘柄選択術と同じくらい重要度が高いと考えており、投資リターン追求のためにはこちらも無視するわけにはいきません。*稲虎の資本政策(銘柄分散、回転率、レバレッジなど)1.あまり多くの銘柄に手をつけず少数精鋭でポートフォリオを組む保有銘柄が精鋭であるかどうかはさておき、私があまり多くの銘柄に手をつけないのは、以下の理由からです。(1)成功すれば驚異的に高いリターンを見込める「成長株」と違い「資産のバリュー」を中心に銘柄選択をしているので、高い投資リターンを稼ぐために少数の銘柄に絞り込む必要があると考えている。(2)保有銘柄については「この銘柄は自分でよく調査しているので大丈夫」という強い確信を持ちたいと考えているので、「銘柄選択の失敗に対する保険」いう意味で過度に分散投資を行うよりも、価値に関する確信の度合いが高い銘柄だけに集中投資するほうが自分の性格に合っている。(3)人間の情報処理能力からして、同時にしっかりと監視できる銘柄数には限界がある。銘柄数が少ないければ全ての保有銘柄について事の成り行き(株価の動きや業績の推移など)をしっかりと監視でき、「買い増し」「利食い売り」「損切り売り」などに素早く対応できる。2.売上高利益率よりも資本回転率で勝負する(ポートフォリオの回転率は高い)私が、売上高利益率(投資案件一回あたりのリターン)よりも資本回転率(小さなリターンでもそれを何度か取りにいく)で勝負する理由は比較的明確です。(1)「超成長株投資」ではないので、自分が思うフェアバリューに達したときには売却したほうが賢明であるし、実際、私が選択する大抵の銘柄はそれほど大化けしないことを経験的に知っている。(2)資金が小さいうちは割安でなくなった銘柄を売って新たな割安な銘柄に乗り換える行為を比較的自由に出来る「特権」がある。したがって、それをふんだんに利用することで周期的に表れる「割安株」へ乗り換えることは、単純なバイ・アンド・ホールドと比べてかなり有効であると考えている。3.本当に割安と判断した銘柄ならレバレッジも使うこれは、「銘柄選択で高い安全性マージンを確保している分だけリスクを取れる」という判断で行っており、常にレバレッジを賭けているわけではありません。逆に言うと、「ちょっと割安かな?」という程度の銘柄をレバレッジを使って手を出すのは危険だと考えています。もとより、こうしたレバレッジを使うことについては、誰にでもおススメするものでもありませんし、初心者に対しては「やめておいたほうがいい」と言っています。レバレッジを使って投資リターンの上乗せを狙いたい場合、現物取引にはない信用取引特有のリスクを把握しておかなければなりません。(信用取引については、2004/10/3~10/4の日記に書いてあります。)私は、「銘柄選択術」はともかく、「資本政策」については他のバリュー投資家と少し異なる考え方を持っています。すなわち、「銘柄選択術で高い安全性マージンを確保する」一方で、「高い投資リターンを確保するためにやや攻撃的な資本政策を行う」という政策です。もちろん、こうした「攻撃的な資本政策」については賛否両論があろうかと思います。「もっと分散投資をしたほうがいい」「バイ・アンド・ホールドしたほうがいい」「レバレッジは使わないほうがいい」という意見はあるかと思います。これは、ごもっともだと思いますし正しいと思います。というよりも、こちらのほうが多数派だと思いますので、自分の資本政策が他人の投資方針の指針になるとは考えていません。あくまでも、「私の性格に合っている」というものです。結局のところ、資本政策については、自分自身の性格や目標リターンを考慮したうえで決定すべきかと思います。今日の言葉:「人と異なる意見であること自体に問題はない。ただし、自分の意見の拠り所となる理由を自分なりに知っておく必要はある。」
2005年01月05日
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今日は「私の銘柄選択術」を整理したいと思います。「証券投資日記」である以上、具体性に欠ける記述ばかりではよくないと常々思っているからです。過去の日記においても、断片的にこのような話に触れている箇所もあったのですが、今回はまだ書いていなかったことも含めてまとめたいと思います。*稲虎の銘柄選択術銘柄選択に関しては「高い安全性マージン」を確保することで「見通しの誤り」を極力少なくすることを考えています。したがって「将来の価値よりも現在の価値」を重点に置いた投資方針としています。また、精神的に不安にならないためにも「財務基盤が健全な銘柄」に投資するを大前提としています。(財務の健全性に関する話題は近いうちに取り上げます。)1.極力、「資産のバリュー」を中心に銘柄選択をする(参考指標:ネットキャッシュ、精算価値、PBR)私が「資産のバリュー」を中心に銘柄選択をする理由は以下のとおりです。(1)現時点での保有資産だけを見て割安であるかどうかが判断できるので比較的簡単に実践できる。(2)低PBRに属する銘柄群が市場平均をアウトパフォームしていることは長期の統計上で証明されているから。「資産のバリュー」といっても不確実性の高い資産のバリューについては低く見積もります。例えば、「土地の含み」などがこれに該当しますが、私の場合、近い将来に売却することが分かっているときに限り評価します。理想的なのは、バランスシートの左上(現金)だけを見て「イケる」と判断できる銘柄です。したがって、まずは「キャッシュリッチな銘柄」から探すことを第一に心がけています。2.それがなければ「買収のバリュー」を考える(参考指標:EV/EBIT倍率、キャップレート)現時点での保有資産だけでは十分に魅力的でなくても、それなりに安定した収益基盤を持っていて、保有資産と安定収益を考慮すればすごく魅力的な銘柄が次の候補です。したがって、「丸ごと買収すれば元手の回収も早くかなりお得」と呼べる銘柄であれば、十分に投資対象となります。保有資産を考慮していますので、収益に対する割安度(PERやPCFR)ではなく、むしろ「EV/EBIT倍率」や「キャップレート」を活用しています。3.成長株は暴落して「買収のバリュー」で買えるときだけにする私が成長株をガツガツと探さない理由は以下のとおりです。(1)その企業の将来性に賭けるという点で不確実性が高い。(2)成長株候補は割高な銘柄が多く、平均的には失敗する。(ROEが高い企業はPBRも高いことが多く、こうした高PBRに属する銘柄群が市場平均をアンダーパフォームしていることは長期の統計上で証明されているから。)(3)成長株候補を後で振り返ると、実は大したことのない銘柄が殆どである。(市場で期待されているよりも成長の持続性がない。)(4)今の日本の株式市場なら「資産のバリュー」で買える銘柄で儲けられる可能性がまだまだある。結局のところ、成長株投資で成功するためにはより多くの労力を必要とするという点に尽きるのではないかと思います。「魅力的に見えるが、平均的には報われない。報われるためには相当の労力を要する」ことが言えるかと思います。4.上記の基準でいい銘柄が全くなければ短期トレードも考える(空売りもあり)たまにですが、私は投資リターンの上乗せを狙って短期トレードをすることもあります。あくまでも「私はそうする」というだけであって、これについては真似することを薦めるものではないことを強調しておきます。基本的には、自分の投資基準でいい銘柄がないときは債券(もしくは現金)で待機するのが良いと思います。そんなわけで、私の銘柄選択術は基本的には「資産バリュー」に大きく依存していることが分かります。自分の性格の問題もあるかと思いますが、多くの初心者にとっては、「資産のバリュー」→「買収のバリュー」→「収益のバリュー」の順に銘柄選択の候補を考えたほうが無難であると思います。したがって、株式投資を始めたばかりの初心者が「現時点で保有している資産で割安でも成長性がないと意味がない」と言って「ROEが高く業績が伸びそうな成長株を探す」と言うことについては、「10年早い!」と釘を刺したいと思います。バリュー投資家の誰かが言っていましたが、「基礎ができていないくせに、勝手にグレアムから卒業するな」ということです。成長株志向の方にとってはきつい一言だったかも知れませんが、「わざわざ難しいフィールドで勝負しなくても勝てる方法がある」ということをここでは言いたかったのです。私がリンクしているバリュー投資家で「成長株志向」の人たちは殆どが「超上級者」であることをまず理解しておく必要があります。私は「超初心者」としてそれらの人たちにも劣らないパフォーマンスを叩きだせる方法を模索していますので、成長株投資はあまり実践しません。投資は長丁場です。基本は「資産のバリュー」であると考えていながらも我慢強く待っていると、マーケットのミスで「成長株」が驚くほど安い値段で買えることもあります。そこは逃さないようにアンテナは張っておきたいと思っています。今日の言葉:「将来のことは誰にも分からない。現在のことはその気になって調べれば誰にでも分かる。将来に賭けるのは現在のことが分かるようになってからにすべきである。」
2005年01月02日
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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。毎日日記を書いていたこともあり、この日記では新年を迎えたという感覚があまりないのですが、ページデザインを少し変えたということで、形だけでも「新年を迎えました」ということをアピールしておきます。さて、1年の計は元旦にありですので、私も投資関連の目標をここで掲げたいと思います。*今年の抱負(1)致命傷を喰らわないことを最重視して出来るだけよいパフォーマンスを目指す投資リターンに関する目標ですから、もっと具体的な数字を挙げてもいいのかもしれませんが、まずは「致命傷を喰らわないこと」だと私は考えています。投資の世界は去年大儲けしても今年大損すれば退場させられる世界だからです。もちろん、個別の銘柄選択という局所的な部分でミスを犯す可能性はあるかもしれませんが、ポートフォリオ全体で致命傷を負うことだけは絶対に避けなければなりません。このことを自分自身よく肝に銘じてがんばりたいと思います。ただ、長期的目標として年率20%を継続するということを掲げていますので、運用資金が小さい今のうちはそれ以上の投資リターンを目指すという内なる野望は持っています。(2)日記をさらに充実させる今年から、勝手ながら日記の記入を週休2日(月・火は休み)とさせていただきました。その分、日記をさらに充実させたいと思うのですが、内容もさることながら、見映えについてもより充実させることができればと考えています。投資の話を伝えるのに、文字だけではなかなかつらかったと感じたからです。どのくらい出来るかわかりませんが、グラフ・図・表をより活用することで、私が伝えたいことをより分かりやすく伝えるためにウエブ技術を向上させたいと思っています。私はかつて、HP作成について何度か挫折しているのですが、今年は挫折しないようにがんばりたいと思います。(3)日記以外の投資活動をさらに充実させる昨年はバリュー投資関連のサイトなどで知り合った方たちとオフ会を何度かやらせていただいて、その中にセミナーの講師をしたりバリュー投資関連の本を書いたりする方とお会いできました。角山智さんが本を書いたり、セミナーの講師をしているのはこの界隈では有名な話です。去年は「とりあえず自分の日記を継続すること」を目標としましたが、今後はそれに加えて日記以外の活動ができればと考えております。具体的な話はまだありませんが、その下準備だけは自分の中でやっていきたいと思っています。こんなことを言うと差し出がましいかもしれませんが、投資に関しては、まともな本やセミナーがまだまだ少なすぎると感じています。そうした状況を少しでも打破できればと考えています。今日の言葉:「事前に投資リターンを約束することは不可能だが、人気ではなく価値を基準とした銘柄選択とそれを阻害する心理的バイアスを排除した投資を実践することは可能である。」(ウオーレン・バフェット)
2005年01月01日
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