まともに働いたことがない3世議員の小泉が、首切りが容易にしようという政策です。
彼の本質がよくわかる発言です。
批判されると、「大企業に限って」解雇規制を緩和です。
現場を知らない、議論ができない男との認識が広がっています。

厚労大臣をやった加藤が疑問を呈していました。 (2024.09.17 22:42:18)

inti-solのブログ

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2024.09.17
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カテゴリ: 政治
自民党総裁選の電波ジャックに加担する気はないので、記事に取り上げるのは気が進まないところですが、これは看過できないので。

自民党総裁選 解雇規制緩和が争点に 小泉氏、各候補から攻勢受け「見直し」に軌道修正
自民党総裁選を巡り、小泉進次郎元環境相が提起した解雇規制の緩和が争点化している。小泉氏は出馬会見で「聖域なき規制改革」の目玉公約として企業が余剰人員を削減する「整理解雇」の要件緩和を掲げた。これに対し「企業が解雇しやすくなる」との批判や他候補からの攻勢を受けて「緩和ではなく見直し」と軌道修正。歯切れの良さで実行力をアピールしてきただけに、総裁選の行方を左右しかねない論戦が今後も展開されそうだ。
「労働市場改革の本丸である解雇規制を見直す。人員整理が認められにくい状況を変える」。小泉氏は6日の出馬会見でこう述べた。整理解雇の4要件のうち、「解雇回避の努力」を大企業に限って撤廃すると主張。代わりにリスキリング(学び直し)や再就職支援を義務付けることで人材の流動性を高めるとし、「不退転の覚悟で来年には法案を提出する」と強調した。(以下略)

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なんでもかんでも「改革」すればいいと、首切りを簡単にしようという、とんでもない話です。
そしてまずは、そんなことを主張するなら、まずはどの法律のどの条文をどのように変えるべきか明示すべきでしょう。

日本では、企業が人員を解雇することについて、判例によって「解雇整理の4要件」というものが確立しています。
それは、
1.人員整理の必要性
2.解雇回避努力義務の履行
3.被解雇者選定の合理性
4.解雇手続の妥当性
です。
この内の2の解雇回避努力の履行義務を大企業に限って撤廃すべき、というのが小泉の言い分です。
しかし、この4条件は法律の条文に明示されているわけではありません。法律の条文には

労働契約法 (解雇) 第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとし て、無効とする

とあるだけです。この他に労基法には解雇規制に関わる規定として
第15条1項(解雇事由を含む労働条件の明示)
第19条(解雇制限)負傷、女性の産前産後の解雇禁止
第20条(解雇の予告)
第22条(退職時等の証明)
などがありますが、いずれも4要件の規定とは別次元の話なので、解雇整理の4要件は、あくまでも労働契約法16条の「客観的に合理的な理由」「社会通念上相当」の具体例として裁判所が決めたこと(判例)であるわけです。

日本には「三権分立」という制度がありますから、裁判所の判例として確立しているものを政府が「変えろ」と命じる権限はありません。
つまり、小泉の言い分を実現するには、上記労働契約法16条の「客観的に合理的な理由」「社会通念上相当」という規定自体を変えしかないわけです。

果して、従業員を解雇するのに、「客観的に合理的な理由」も「社会通念上相当」であることも不要である、と、そんな滅茶苦茶な解雇「規制」があり得るでしょうか。それはもはや解雇規制がない状態ではないでしょうか。
そのような法改正が行われた場合、「大企業に限って」「解雇回避努力」だけ限定して撤廃、で収まるのでしょうか?どのような条文ならそんなことが可能なのでしょう?
結局、労働契約法16条を変えるということは、解雇規制4要件のすべてが廃止されるということにつながります。そうなれば、企業側の都合で首切りもし放題、という社会になってしまいます。

雇用の流動化と言えば聞こえが良いけれど、職に就いても雇用主の胸先三寸で、いつクビになるか分からない、ということです。将来の保証が何もない、全国民がそういう状態に追い込まれる今年になるわけですが、そうなることで、雇用主、経営者にとってはメリットはあるでしょうが、雇われる側にとっては何のメリットも見出せません。

ちなみに解雇整理の4要件があってもなお、日本の「解雇のしやすさ」はOECD37カ国中11位です。安倍内閣時代の2016年にには、「雇用保護規制が比較的弱い国として位置付けられている」との答弁を閣議決定しています。
この上解雇をさらに自由にすることは、「日本をOECDの中でもトップクラスで好き勝手に解雇ができる国」にすることを意味します。

解雇規制4要件のすべてを廃止ではない、あくまでも大企業に限って解雇回避努力義務だけを撤廃すると言うなら、前述のとおり、どのような法改正の文面なのか、それを提示せよと言うしかありません。

もっとも、もし仮にそのような法的たてつけが可能だったとしても、「ならば良い」とは言えません。
上記もような解雇規制の判例があっても、日本の企業では違法な解雇が少なからずまかり通っている現実があります。不当労働行為で訴えれば勝てるような案件でも、裁判に訴えて収入のないまま長期間争うことに耐えられる経済力、気力がない、そこまでことを荒立てたくない、裁判に勝って復職しても針の筵で居心地が悪い、などで泣き寝入りしてしまう例が相当多いと思われます。
その中でも、やはり解雇規制について比較的しっかりしているのは大企業で、中小企業や零細企業になればなるほど、怪しい行為がまかり通っていると言わざるを得ません。

つまり、「大企業に限って」解雇規制を緩和というのは、実質的には「大企業すら解雇し放題になる」という意味になるわけです。
それを緩和ではなく見直し、などといったところで、言葉遊びでしかありません。

もっとも、じゃあ他の候補はというと、極右ネトウヨ高市とか、マイナンバーカード強行の河野とか、目くそ鼻くその争いでしかないのですが。





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最終更新日  2024.09.17 22:39:02
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Re:解雇規制(09/17)  
maki5417  さん

Re[1]:解雇規制(09/17)  
inti-sol  さん
maki5417さん

そういうわけで、「大企業に限って」とかどういう法律でそれを実現するつもりなのか、さっぱり分からないところです。
(2024.09.20 18:17:19)

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