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今上帝と明石中宮の皇子(みこ)匂宮が、薫の君を装って浮舟の寝所へ忍び込み、自分のものとしたことが薫の君の知るところとなります。 薫の君は、自分の心のうちを和歌に託した手紙にして浮舟に送ります。「浮舟」の巻に記されています。下の原文の写真2行目冒頭から3行9字目まで。(薫の君)「なみ(波)こゆるころとも志(し)らず末の松、ま(待)つらんとのみ思ひけるかな」 英訳も記しておきます。 It yet stands firm, the pine-clad mount of Sue, Thought I. And even then the waves engulfed it! (サイデンスティッカー訳) 現代語訳は次の通りです。「あなたが心変わりをしているとも知らず、ただひたすらに私のことばかりを思ってくださっているものと信じていました」 悪いのは浮舟ではありません。 薫の君と浮舟が愛し合っていることを知っていて匂宮がその間に割って入ったのです。 浮舟は苦悩します。薫の君に返事を書きます。 原文の写真7行4字目から18字目まで。「所(ところ)たが(違)へのやうにみ(見)え侍(はべ)ればなん」 現代語訳は次の通りです。(浮舟)「あて先が違っているようですよ」 浮舟は、こう返事をするしかなかったのです。
2004年06月11日
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「源氏物語」には、優雅な場面が少なくありません。女三の宮・紫の上、明石の君、明石の御方の四人の女性たちが源氏の君の前で楽器を演奏する場面は特に海外において感心をもたれております。アメリカの大学から、講義に活用したいというご要望がありましたので、「源氏物語」「若菜・下」の巻で、源氏の君の前で、女三の宮、紫の上、明石の君、明石の御方が合奏をするという場面が描かれています。それぞれが源氏の君に愛された女性、そしてその姫宮たちです。四人の女性たちが集い源氏の君が秘蔵するそれぞれの名器の楽器を渡されて、四人の女性たちによる合奏が始まります。この合奏を「女楽」といいます。 今までとは、少し違った原文の紹介をします。 原文の全文の「読み下し文」をつけました。 最初に原文の写真(額入り)を紹介します。 原文の読み下し文を1文字ずつ正確に記します。・・・くけたかきことさへいとならびなし。 ひさし(廂)の中の御さうじ(障子)をはなちて、 こなたかなたみきちゃうばかりをけぢめにて、 中のま(間)は、院のおはしますべきおまし(座)よそひたり。けふ(今日)のひゃうし(拍子)あはせには、わらべをめさんとて、右おほい(大)殿の三らう(郎)、かん(尚侍)の君の御はらのあに(兄)君 さう(笙)の笛、左大将(夕霧)の御たらう(太郎)よこ(横)笛とふかせて、 すのこにさぶらはせ給(たまふ)。 うちには、御志とねならべて、御こと(琴)共参(まゐ)りわたす。 ひ(秘)し給(たまふ)御こと(琴)共、 うるはしきこんぢ(紺地)のふくろ(袋)どもにいれたるとりい(出)でて、 あかし(明石)の御かた(方)にびは(琵琶)、紫のうへ(上)にわごん(和琴)、 女御のきみ(君)にさう(筝)の御こと(琴)、みや(宮)には、かく・・・ 次に、原文の紙質を見るための拡大写真を公開します。 原文の右上を拡大したものです。紙の繊維を見ることができます。 今日の日記は、海外向けになっております。アメリカ・イギリス・フランスなどから、原文の正確な読み下し文をとのご要望が相次いでおりましたので、「若菜・下」の原文を選びました。
2004年06月10日
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昨日(6月8日)の日記の中に記した海外貸し出しから戻った「夕顔」の巻の2点目の原文のご紹介をします。どちらも和歌が記されております。 こちらの原文には、源氏の君と空蝉の心情が和歌に託されて記されております。 1枚の原文で、2つの和歌を見ることのできる「源氏物語」全体の中でも珍しい箇所の原文です。この箇所は、「夕顔」の巻に記されております。下の原文の写真3行目に空蝉の和歌、9行目に源氏の君の和歌が記されております。(空蝉)「せみ(蝉)のは(羽)もたちかへてけるなつごろも(夏衣)かへすをみ(見)てもね(音)はな(泣)かれけり」Autumn comes, the wings of the locust are shed.A summer robe returns, and I weep aloud.(源氏の君)「す(過)ぎにしもけふわ(別)かるるもふたみち(道)にゆ(行)くかたし(知)らぬあき(秋)のく(暮)れかな」The one has gone, to the other I say farewell.They go their unknown ways. The end of autumn. 昨日(6月8日)と同様、サイディンスティッカー氏の英訳文を掲示しました。
2004年06月09日
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海外からのリンクが多いせいか原文の貸し出し申請が多くなっております。 海外への大学や公共機関への貸し出しはすべて無料にしております。 ホームページにおいて公開している額縁の重量は7キロほどあります。 海外への貸し出しの場合、輸送コストを下げるため1キロ以下の軽くて小さい額縁を使用しております。 貸し出し申請で最も多いのが絵で次に絵の元になる原文。 そして、「源氏物語」の中の「和歌」と続きます。 先日、海外貸し出しから戻りました「夕顔」の巻の原文をご紹介します。 源氏の君が空蝉に贈り物をします。 その時の源氏の君の心情を記したのが次の和歌です。 この箇所は、「夕顔」の巻に記されております。下の原文の写真9行目。(源氏の君)「あふまでのかたみばかりと見しほどにひたすら袖のくちにけるかな」 A keepsake till we meet again,I had hoped,And see,my tears have rotted the sleeves away. アメリカにおける展示では、額縁に入った原文の下にサイディンスティッカ氏の英訳文を掲示しておりました。日本とアメリカでは観賞の方法が違うようです。
2004年06月08日
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今日から6月。ふと次の言葉を思い浮かべました。「六月になりてぞ、ときどき御頭もたげたまひける」源氏の君の正室・女三の宮と柏木が不義密通し、懐妊した女三の宮が、つわりに苦しみながらも源氏の君に発覚することをおそれ、失意の中にあるころです。このころ、紫の上は病にふせっていました。源氏の君は、女三の宮と柏木との不義密通のことを知らずもっぱら、紫の上の看病にせいをだしていました。そのかいもあってか、体調を戻した紫の上がようやく、床から頭をもたげることのできる様子をあらわしたのが、冒頭の「源氏物語」の中の一文です。この箇所は、「若菜・下」の巻に記されております。下の原文の写真6行3字目以下。 「六月になりてぞ、ときどき御くし(頭)もたげ給(たまひ)ける」 紫の上が、少しずつ回復してきているきざしを見ながらも紫の上の健康に不安をいだいている源氏の君の心のうちがこの原文の中に記されております。
2004年06月01日
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