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しばらく更新をしておりませんでした。理由は二つあります。海外の大学で、前2日分の日記をテキストにして講義をされ試験として出題されていたからです。こういうことがときおりあります。学生が迷わずにアクセスできるように配慮しております。更新を続けて先に進んでいくと見落とす学生がいたりしてご迷惑をおかけするかな、というちょっとした配慮です。もう一つの理由は、海外からの貸し出し申請が多くその準備に追われていたということもあります。海外展示で最も多い原本の箇所は、ユネスコの絵の元になる箇所です。絵と原文とを照合することができるので、理解しやすいのでしょう。ユネスコの絵の元になる原文をご紹介いたします。紫の上が恋しくなった源氏の君は、一人寝が寂しくなり、ときおり朝早いうちに起きて庭を眺めています。秋も深まり、霧があたり一面にたちこめているある朝、まだ咲きかけた菊の枝に濃い青鈍い色の紙にしたためられた一通の手紙が届けられました。六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)から源氏の君へあてた手紙でした。この箇所は、「葵(あおい)」の巻に記されております。下の原文の写真2行12字目から4行2字目まで。 「君(源氏の君)は、にし(西)のつま(妻)のかうらん(高欄)にをしかか里(り)て志も(霜が(枯)れのせんざい(前栽)み(見)給(たま)ふほどなりけり」 原文の現代語訳文は次の通りです。「源氏の君は、西の妻戸の高欄に寄りかかって、霜よって枯れた庭の草花をご覧になるところである」この場面は、絵に描かれておりますので、ユネスコの画像をご紹介します。 英文の日本語訳文は次の通りです。(内容の要旨)「源氏の君は、左大臣家で葵の上をしのび喪に服していました。葵の上を偲び熱心に供養のお勤めをしておりました。紫の上のことが恋しくなり、ひとり寝がさびしく眠れない夜もありました。秋が深まり、霧がたちこめているある朝、まだ咲いたばかりの菊の枝に結ばれた濃い青鈍色の紙に記した手紙が届けられた。六条御息所から源氏の君へのお見舞いの手紙でした。六条御息所の<もののけ>に対面していた源氏の君は、そらぞらしい手紙に思えるのでした」高欄に寄りかかる源氏の君に六条御息所からの手紙を届ける場面が描かれております。
2005年07月21日
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「源氏物語」「葵(あおい)」の巻に、夕霧の「出産祝い」のことが記されています。「葵」の巻の原文(下の写真右から7行目ー10行目)に、「ゐん(院)をはじめ奉(たてまつ)りて、みこ(親王)たち、かんだちめ(上達部)のこるなきうぶやしなひ(産養)どものめづからにいかめ(厳)しきを夜ごとに見のの志(し)る」と記されています。現代訳は次の通りです。「源氏の君と葵の上との間の御子(のちの右大将夕霧)のご出産を祝い、桐壺院(前・桐壺帝)を始めとして、親王方・上達部(かんだちめ)が残らずお越しになられ、多くの珍しくご立派な出産のお祝いを夜ごとに見て大騒ぎをしている」 原文の「夜ごとに」は、複数の夜を表しています。これは、生まれた子を祝い出産後三日、五日、七日、九日目の祝宴が開かれていたことによるものです。また、この原文の中には、一条御息所(みやすどころ)のねたみが記されています。10行目以下の原文には、次の通り記されています。「かの宮すどころ(御息所)は、かかる御おりさまをき(聞)き給(たま)ひても、ただならず」自分の愛する源氏の君の子を、他の女性が選んだことをねたましく思っている様子が短く描かれています。
2005年07月02日
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