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「ほっとけば死ぬら」と父は言いますが、やはりスズメを追い出したくてたまりません。加温ハウスのビニールとネットを一部外して、そこから出てゆくようにスズメを追って行くのですが、これがなかなか上手くいかない。ウチのハウスは山の斜面にありまして、斜面に対して縦に長細いつくりになっていて、登り窯みたいな感じになっています。一番上の頂上の部分のネットを少しだけ外します。たくさん外して逆に外の鳥が入ってきてしまったら元も子もありませんので。で、斜面の一番下から上へ追ってゆきます。しかし、せっかく外したところに追い込んでも、スズメは開いているところから外へ出ずにうろうろした挙句、またハウスの一番下まで降りていってしまいます。はぁはぁ言いながら一番下までまた降ります。で、また斜面を登りながら追って行きます。出ない。逃げる。また一番下へ降りて登る。それを何回も出るまで繰り返し。何たる時間と体力の無駄。何してんのオレ。スズメだって本当は外へ出たいハズだ。大空へ羽ばたきたいハズだ。出てくれよ。頼むよ。オレだって辛いんだよ。そういえば、昔、弟は「コラッ!」とか「コイツめ!」とか「出てけ!」とか大声で怒りながら追うと出ると言っていたが、でもそんなのを隣の畑のおっちゃんに聞かれたら、気が狂ったと思われるに違いない。落ち着けオレ。あっまた逃げた。
2007.01.30
何か飛んでるなと思ったら、ビニールハウスの中に鳥が入ってしまっていた。スズメが。さくらんぼのハウスは実を鳥に食べられないように防鳥ネットが張ってありますが、恐らくネットやビニールを張っている途中で入ってしまった様子。作った資料を人数分たくさんコピーしてから誤字脱字を見つけてしまった時のような脱力感。あーあ。「ほっとけ、そのうち死ぬら」と父。死ぬか?
2007.01.29
動物ばかりです。そんな職場です。剪定をしていたら鳥の巣があって、タマゴが2個ありました。去年さくらんぼの観光を手伝ってくれたおじさんが、野鳥にとても詳しくて、春先にさくらんぼの授粉作業をしていると山の中から聞こえてくる鳥の声で「あれはキジ」とか「あれはヤマドリ」とかそのほかにも知らんような名前の鳥のことを色々話してくれたのですが、鳥の声を愛でる余裕の無い私はそんなお話をまったく忘れてしまっていてブタを絞め殺したような声で鳴くのがキジだというのだけ覚えております。興味や知識が無いと、せっかく鳥が鳴いていても聞こえているのに聞こえていませんね。はっきり言って。鳥の声が聞こえる耳をもちたいものです。鳥にさくらんぼを食べられてしまって「憎たらしい!」と思うばかりではなく。
2007.01.25
山の畑に倉庫がありまして。農作業用具などを置いたりさくらんぼ箱詰め作業に使ったり、夏に友人が遊びにくるとそこに泊めたりしてたのですが、その中で狸を発見。しかも死んでた。こんなところで死ぬなよー。動物の死骸を写真にとって楽しむ趣味は無いのでお見せできませんが、あーあ、という感じで畑の隅に埋めました。あんまり気分のいいものではありません。畑にいるとよく鳥の羽が一箇所にたくさん落ちているのを見るのですが、これ何だろうなぁー?と思っていたら、ある日。鳥が地面に降りて餌か何かを平和についばんでいると、急に鷹か鳶が降りてきて急襲。仕留めるとともに襲われた鳥の羽がばっと散って。その鷹か鳶は獲物をつかんで飛び去って行きました。これか。あまり自覚せずにいたのですが、自然の中で働いているんだな。と野生動物を見ると感じます。
2007.01.22
剪定作業をしております。剪定作業とは木を切って樹形を整える作業です。本当はもっとこういろいろ難しいものなのですが、そんなこと書いても面白くないし、剪定とは何ぞやと詳しく書くほどの実力もまだないので、書かないし書けませんが、そんな未熟者に剪定を教えるべく、剪定講習会というのが開催され、県の農業普及員の方と農家が集まって、あーでもない、こーでもない、あっ!その枝切っちゃうの!とか言いながら剪定をする会があります。2年前、その講習会に初めて出ました。普及員の先生が枝をロープで引っ張って、枝の方向や角度を調節する(誘引と言います)作業をしながら、枝に結んだロープの先端をどこに結ぼうか迷っていました。一般的には他の木に結んだり、パイプを土中に打ち込んで固定して結んだりします。が、その時、どこからともなくこんな声が掛かりました「その脚立の脚にでも結べばいいじゃん」農家のおっちゃん達は「へっへっへ」と皆笑います。脚立は当然固定されたものでなく、その木の剪定作業が終われば次の木で使う為に移動するので、脚立に結んで固定するなんてことはまったく非合理な行為なので、これはジョークなのですが、私は「なんてレベルの高い不条理ギャグ!農家恐るべし」と感心してしまいました。その数ヵ月後、今度は違う場所での講習会に出ました。そこは前の講習会とは違う産地での講習会で、前の会に出ていた農家は私以外まったくいませんでした。にもかかわらず、また「脚立の脚に結べばいいじゃん」という声が聞こえました。まったく交流がないと思われる二つの土地にまったく同じジョークが存在しているなんて!その後、他の場面でもこのジョークを度々耳にしました。そう、このギャグは、農家の間に伝わる非常にポピュラーなジョーク、農家ンジョークなのです。この他に、軽トラに荷物をたくさん載せてロープで固定し終わったあとに「こんだけ縛ればで東京まで行けらぁ」と言うのがあります。農家のおっちゃんは必ず言います。当然軽トラで東京までなんか行きません。その他にも探せば色々あります。こういった文化をしっかり継承して次代に引き継がねばと思います。こういったジョークをさりげなく、それでいて効果的に使いこなせるように精進しなくては。
2007.01.18
さくらんぼの加温ハウス準備で最近忙しく、自らもって惰農などと称せないほど朝からビニール張りなどで働いてしまっている今日この頃。それにしてもこの加温ハウスというのは誰が考え出したのか知らないがすごいものです。外はまだ最低気温がマイナスにまで下がるのに、かなりの広い面積、空間をビニールで包んで加温機で暖めて、そこだけ季節を早め、果物を早く育ててしまおうとするその発想がすごい。重油をつかったりしてエコの観点からはあまりよくないのだろうけど。果物は時期が少し早まるだけで価値がまったく変わってくる商品なので、少しでも時期を早めよう、品薄な時に出荷できるようにしよう、ということで早期栽培技術が高められてきたのでしょう。ウチの畑がある山も私が子供だったころは、ブドウのビニールハウスで山一面がビニールで覆われているかのようでした。今はそれも段々と減りつつあります。高いところでの作業で、ビニールを張るのは労力がいりますからね。でも、冬の朝の寒さの中で高いところに上って甲府盆地を見下ろすのも気持ちがいいものですよ。そうでも思わないとやってられないんですよ。寒いのも高いのも本当は嫌いなんですよ。
2007.01.16
去年の秋は本当にイノシシ被害が多くて、村の農民が3人集まれば口からでてくるのはイノシシ話というありさまでして。「オレはこんな家に近いところで見た!」「オレが見たのはこんなに大きかった!」「オレは何頭も群れをなして歩いているのを見た!」「ウチの畑はこんなに被害をこうむった!」「いや、ウチのほうがすごい!めちゃくちゃやられた!」「いやいや!オレんとこのほうがひどかった!」などなど、各自の目撃談、被害談が持ち寄られるのですが、はっきり言って、私のイノシシ轢き話にかなうものはなく、「2006イノシシ話アワード第一位はオレだ」と心中ほくそ笑んでいたものですが、最近聞いたイノシシ話はすごい。ブドウ園で、腐ったブドウの房を落とす作業をしていると地面に落ちたブドウを、イノシシが後ろからついてきて、拾って食べていた。落としている人はそれに気づかず、作業中ずっとイノシシがその人の後ろをついて歩いていたとのこと。想像するだけで笑える光景ですが、ウソだっ!まあ、そんな小話よりもイノシシ退治の為の話でもみんなで集まってしたほうがよっぽど建設的なのですが。
2007.01.15
音楽好きの友人にもいーなーと言われます。仕事中に好きな音楽やラジオを聴いていられるから。私も音楽好きなのですが、特にハードロックやへヴィメタルなどを好みます。農作業中、ラジオからその手の音楽が流れてくるやいなや、古ぼけたエアギターをフルボリュームでかき鳴らし、奇声を上げて一人畑で歌い踊り狂う私の姿がしばしば目撃され、「みっともないからやめなさい」と母から注意をうけたこともありました。でもいいものですよ。誰もいない畑で一人、オジーのクレイジートレインのイントロに合わせて「アイアイアイ!」と叫ぶのはとても気持ちのいいものです。サラリーマンが職場でこれをやったらきっとただでは済みません。という訳で、音楽好きなサラリーマンの友人達から羨ましがられることもごくたまにあるということです。
2007.01.12
「(さくらんぼシーズン以外の)秋や冬って何してんの?」ということもサラリーマン時代の友人によく聞かれます。「何もしてないよ」「えー、そうなんだ!うらやましっ!」と、羨ましがられたくてまたもやついつい何もしてないと言ってしまいますが、これまたそんなはずは無い。秋は堆肥を撒いたりワラを敷いたりなどの土づくり、冬は樹形を整える剪定作業などで忙しいのです。何もしてないはず無いだろ!農家舐めんな!でも羨ましがられたい。いいなー、農家って、と言われたい。
2007.01.09
今日は一日中、雪や雨でした。「雨や雪の日って農家って何してんの?」とサラリーマン時代の友人によく聞かれます。「何もしてないよ」「えー、そうなんだ!うらやまし!」と、羨ましがられたくてついつい何もしてないと言ってしまいますが、そんなはずは無い。加温ハウスが始まっている農家はこんな日でも、雪が積もるとハウスが潰れてしまうこともあるので、加温機でハウス内を暖房して作業しております。何もしてないはず無いだろ!ま、私んトコはまだ加温ハウスが始まってないので温泉に行ってコタツに潜りこんで、競馬にでも行こうかな、どうしようかなと迷って結局行かないで、テレビ見てたら予想と外れていたので、こいつは儲けた、新年から縁起がいい、とみかん食べながらほくそ笑むそんなもんなのですが。
2007.01.06
新年なので干支の話。ウチの畑は中山間地などと呼ばれる、平たく言えば山にあります。テレビなどでもよくやってる通りイノシシ被害が出ております。イノシシが嫌い。イノシシが憎い。そんな気持ちが募っていた去年の冬のある日の夕暮れ、畑から帰ろうとしたら道をイノシシが呑気に歩いていました。私は軽トラに乗っていたので、ここはひとつ轢いてやろうと考えました。仕留めれば村の英雄だ。救世主だ。轢きました。跳ね飛ばされたイノシシは道下の畑に吹っ飛びましたが、何事も無かったかのようにそのまま走り去り、藪の中へ逃げ込んでしまいました。そのたくましさだけは感心ですが、イノシシが憎い。
2007.01.05
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