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初期の頃は毎日更新していたので内容がショートな事、楽天での写真登録容量がとても低く解像度の良い写真はのせられず、かなり画質の悪いものとなっていました。しかも、楽天写真館が途中で代わり、以降、前の登録分の写真の色が落ちた事。過去を振り返って編集するのはおかしな話ですが、写真の色が悪い事に私自身気になっていたので、元の写真から選択し直して、写真を増やし、新編集でのせる事にしました。
尚、新たに掲載し直す分は一つにまとめ、カテゴリーを「花・植物」でのせる事にしました。
新 世界で最も醜い植物 第4位 (ウェルウィッチア)
英国の王立園芸協会の醜い植物ランキング
ウェルウィッチア(Welwitschia mirabilis)の発見
生息地
ジャイアント・ウェルウィッチア(Giant Welwitschia)
生態1~2
裸子植物の雌雄異株(雄花と雌花の胞子嚢穂)
媒介者
英国の王立園芸協会の醜い植物ランキング
なぜ? 「世界で最も醜い植物」第4位なのか?
私自身忘れていましたが、 2009年7月に英国の王立園芸協会(Royal Horticultural Society)がインターネット上で「世界の中で最も醜い植物」を検索発表してリストを出した。その4位にランキングされていたのがウェルウィッチア(Welwitschia mirabilis)だった
ようです。
上位にランクしたのはどれもインパクトのある植物ばかり。
でもたまたま写真があったのがこれだったので、4位のみ載せたようです。
私自身1~3位がどこにあるのか? と思って探してしまった
参考に当事発表されたランキングを紹介しておきます。
オンラインで投票したのは289人。
1位 スマトラオオコンニャク Corpse flower (Amorphophallus titanum) 29%
2位 サンコタケ Stinky squid (Pseudocolus fusiformis) 26%
3位 ベジタブル・シープ Vegetable sheep (Raoulia eximia) 21%
4位 ウェルウィッチア Tree tumbo (Welwitschia mirabilis) 12%
5位 パキポディウム Elephant's trunk (Pachypodium namaquanum) 4%
6位 ウツボカズラ Monkey cups (Nepenthes) 2%
7位 タマツルクサ Sea onion (Bowiea volubilis) 2%
8位 コレティア・パラドクサ Thorn of the cross (クロウメモドキ科Colletia paradoxa) 1.5%
9位 キフォステンマ・ブドウガメ Bastard cobas (Cyphostemma juttae) 1.5%
10位 アリストロキア・ギガンティア Birthworts (Aristolochia gigantea) 1%
ウェルウィッチア(Welwitschia mirabilis)の発見
非常に変わった生態を持つ ウェルウィッチア(Welwitschia mirabilis)を発見したのは、医師から植物学者に転身したオーストリア出身のフリードリヒ・ヴェルヴィッチュ(Friedrich Martin Josef Welwitsch)(1806年~1872年)
である。
発見者ヴェルヴィッチュの名前から植物名はウェルウィッチア(Welwitschia mirabilis)と命名された。
ウイーンで植物学と医学を学んだヴェルヴィッチュは医師の仕事を辞めて1839年にポルトガルに渡る。当初はポルトガル領のカナリア諸島やマデイラ諸島で珍しい植物を採取。それを植物協会の標本交換会に送って生計を立てていたと言うので、たぶん趣味が勝った仕事だったと想像する。
彼の仕事に目をつけたのが、ポルトガル政府だった。
1853年、ポルトガル政府の要請によりヴェルヴィッチュは当時ポルトガル領であったアンゴラに派遣されナミブ砂漠でウェルウィッチアを発見する。
.
ヴェルヴィッチュはアンゴラに8年滞在して探検と採取を行い1861年欧州に戻ると1863年には英国に渡っている。(おそらくポルトガルとの契約が切れたのだろう。)
英国では今までで採取した膨大な植物標本を英国の王立植物園キューガーデン(Kew Gardens)や自然史博物館の援助を受けて分類整理して研究成果を本にして発表し彼は植物学者になった。
.
余談だが、1872年、彼はロンドンで没するのだが、彼の残された標本の争奪でポルトガルと英国自然史博物館はもめ、結局分け合う形で保有される事になったらしい。
「世界で最も醜い植物」と形容された植物。
おそらく写真はナミビアのカオコルベ砂漠(Kaokoveld Desert)。
その中でも1500年生きていると言う巨大なウェルウィッチア(Welwitschia mirabilis)が上。以前はジャイアント・ウェルウィッチア(Giant Welwitschia)と紹介されていた。
これで樹齢1500年と推定されている。
下は前回紹介のコーリシャス(Khorixas)の石化の森(Petrified forest)で化石になった木の側で生息するウェルウィッチア。
生息地
ウェルウィッチアの生息地は アンゴラ南部からナミビアにまたがるカオコルベ砂漠(Kaokoveld Desert)及びナミビアのナミブ砂漠(Namib Desert)
。
下図はウィキメディアより借りてきました。
もっと細かく言えばアンゴラのBentiaba Riverから、南はナミビアを横断する枯れ川のクイセブ川(Kuiseb River)まで見られ、海岸から内陸100km程度の場所まで自生。
つまり現在はこの界隈だけに生息する固有種であり、 国同士の取り引きを制限しないと、将来、絶滅の危険性が高くなるおそれがある生き物(ワシントン条約の附属書II)として認定された希少植物に分類
されている。
実はかつて南米にも生息していたようだ。
白亜紀前期の南米(ブラジル北東部のアラリペ盆地)からタネ? の化石が発見されている
らしい。
白亜紀と言えば、前回「ナミビア・コーリシャス石化の森と地球の大陸移動」で紹介したように西ゴンドワナ大陸が分裂して、現在のアフリカ大陸、南アメリカ大陸に分離始めた時代だ。
赤い円がナミビアの位置。グリーンは植生の一致する層。
※ 地球の大陸移動と生成について以下に書いています。
リンク ナミビア・コーリシャス石化の森と地球の大陸移動
ウェルウィッチア(Welwitschia mirabilis)はグネツム綱(Gnetopsida)に属する裸子植物とされている。
グネツム目を含む裸子植物の祖先は古生代の終わりに出現し中生代に優勢したとされる歴史を持つ。
また、初期のウェルウィッチアは現在より湿度の高い環境に生息していたと考えられている事も白亜紀のゴンドワナ大陸のモンスーン気候に一致している気がする。
※ 最近の分子生物学研究ではウェルウィッチアの裸子植物説に反論が出ているらしい。
現在の生活圏は砂漠と隣接するサバンナ。しかも限られた生息域は、新生代第三紀(2300万年前~250万年)から第四紀にかけての生息地の乾燥に起因するとされている。
地面に貼り付いているからか? 葉があまり裂けていない。初期の幅広の葉の形が見えている。
.
砂漠に点在して乾燥に適応しているウェルウィッチアは霧(きり)から、あるいは長い根から水分補給。
葉の気孔から大気中の湿気を吸収。さらに 長さ3~10mにも達する根によって地下水を吸い上げる。
だから砂漠にあるものは地を這い。化石の森のものは天を仰いでいるらしい。
よく見れば帯状に点在。
確かに水の走った跡。枯れ川か?
干上がった? この帯のサイドに並ぶようにウェルウィッチアが・・。
必然的に水脈の上に根を下ろし水を求めたのだろう。
そして生き残れた物だけが今ここにいる。
ジャイアント・ウェルウィッチア(Giant Welwitschia) 最初に紹介した樹齢? 1500年と推定されるウェルウィッチア(Welwitschia mirabilis)はスペシャルに守られて保存されていた。
長いものでは寿命が2000年と言う強者もあるらしいと以前書いたが、最古の植物として3000年まで推定
されているそうだ。
柵に保護されているのは、 このあたりで一番ご長寿(1500歳)
であり極めて大きいウェルウィッチアである。
直径約2.5m。高さ約1.2m。
柵の横の櫓は上から見学及び撮影できるように造られている。比較の為に載せたが解りにくいか・・。
このウェルウィッチア(Welwitschia mirabilis)は分子生物学的調査を行っても、未だ解明されていないそうだ。むしろ核ホメオティック遺伝子、ミトコンドリア遺伝子など解析すればするほど迷走?
進化過程に存在した化石のような植物だから逆に分類は難しいのかもね
生態1
植物の系統群(以前のバージョンと同じ)
グネツム網(Gnetopsida)
グネツム目(Gnetales)
ウェルウィッチア科(Welwitschiaceae Caruel)
ウェルウィッチア属(Welwitschia Hook.f.)
ウェルウィッチア(W. mirabilis)
一属一種の裸子植物と考えられていた
。
現在は、グネツム目(Gnetales)は マツ科Pinaceae (pine family)の姉妹グループ (sister group) と考えられている
そうだ。
暑い乾燥期間中は気孔を閉鎖し、水分の蒸散を防ぐ。何しろ葉面1日あたり1リットルを超える水を失うからだ。そしてそれは他のナミブの植物よりりも高いと言う。
地下茎(根茎)は非常に効率的に地下水を給水する木質導管(xylem vessels)を持っている。
成長は季節や雨に応じて変化。
たった2枚の大きくひものように伸び続ける長い葉(arge straplike leaves)。その葉の分かれる基底部、その分裂組織から成長する。それは連続的に生涯伸び続ける。
Oxford Academic
Journal of Heredity(遺伝子ジャーナル)A First Assessment of Genetic Variation in Welwitschia mirabilis Hook(ウェルウィッチア属における遺伝的変異の第一評) より
角度を変えて撮影
中は古い基底部がのぞいているが空洞のように見える。
裸子植物の雌雄異株(雄花と雌花の胞子嚢穂)
実はこのブランツは雄(オス)の木である。
つまりウェルウィッチアは雌雄異株(しゆういしゅ)の植物なのである。
雌雄異株(しゆういしゅ)については、今までアスパラガスや月桂樹の花の項で紹介してきたが、またまた登場である。
※ 2018年4月「月桂樹(げっけいじゅ)の花 雌雄異株」で雌雄異株(しゆういしゅ)(dioecism)について詳しく紹介しています。でも、今まで紹介したのは被子植物の雌雄異株。
今回の雌雄異株は 裸子植物の雌雄異株
なのでちょっと違うかも・・。
※ リンク 月桂樹(げっけいじゅ)の花 雌雄異株
雄花の胞子嚢穂
むき出しの基底部とその端から伸びる雄花の花序(胞子嚢穂・ほうしのうすい)
一見、アスファルトの塊のような物が配偶体らしい。際(きわ)から伸びた柄に花序(胞子嚢穂・ほうしのうすい)を付ける。
まるで シダ植物の前葉体みたいな配偶体である
。
配偶体から伸び始めた花序(胞子嚢穂・ほうしのうすい)
写真を拡大したので少しぼけています。限界です
どうもこの配偶体は端っこのみ成長していて拡大しているようだ。中の黒い部分は死滅しているのか?
ウェルウィッチアの真の姿は2枚葉。
生態2
このような若葉は珍しいが、ウェルウィッチアの変わった生態の一つが本場2枚以降、葉は全く産まれない事だ。
つまり ウェルウィッチアは生涯に葉っぱ2枚だげで成長し続ける
。
和名に砂漠万年青(さばくおもと)などと付けけられているが、全くの別もの。 沢山は生えているように見える葉は全て元は一つ(2葉)のものが裂けて複数枚あるように見えるだけ
の不思議ちゃんなのである。
※ 変わった形態から奇想天外(きそうてんがい)の名もつけられている。
それにしても 褐藻類(かっそうるい)のコンブ類のように葉の基部で成長を続けるタイプは、陸上植物界では他に例がないらしい。
先に若葉は珍しいと書いたが、種子はしばしば真菌に汚染され着床後の生存率は著しく低いそうだ。
そして苗の発芽に有利な気候事象(雨)も整わないと発芽して着床できない。Journal of Heredity(遺伝子ジャーナル)によれば、 苗の発芽に有利な気候事象は雨量が55 mmを超える時
、あるいは一時的な河川流出(洪水)のハプニングが起きた場合だ。
そもそもナ ミブ砂漠は年間の雨量が20mm程度で、大変暑く、砂漠の表面と空気は40~70℃。
海岸近くでは年間100日ほどの霧の発生があり、それで年間50mm降雨量に匹敵
する水分を得られると言うからギリギリ生育出来るのかも・・。
絶滅危惧種といいながら、現状ではなんとか自然で生育しているようだし・・。
すでに葉が複数に裂け始めているウェルウィッチア
先端は枯れて、なお、複数に裂けて行く。
基底部がパックリ口を開けたように綺麗に見えていたので拡大しました。葉も花序(胞子嚢穂・ほうしのうすい)も全てそこから生まれているようです。
雌花の胞子嚢穂
基底部とその端から伸びる雌花の花序(胞子嚢穂・ほうしのうすい)
雌花の花序(胞子嚢穂・ほうしのうすい)は球果状(他の裸子植物と同様に松かさ状)で、長さ2~8cm程度。
受粉すると成長するのか?
固い松かさとは異なりウェルウィッチアの場合、鱗片がそのままはがれて飛んで行く。
細いのは鱗片がはがれてボウズになった芯と思われる。
マツの種子は、雌花を構成する鱗片の裏面に付くと言うが、 ウェルウィッチアの場合、柔らかい鱗片そのものが種子を守るように種を内包している。
そしてそれらヒラヒラの羽が飛翔に役立ち遠くに飛ばされやすくなっている。
種子は径5~6mm。鱗片は径2cmくらい。
風に乗って近親交配しないように遠くに・・と思われていたが・・。
最近の分子レベルでの遺伝子検査の結果、風よりも虫の方の媒介の方が重要なファクターだった事がわかったらしい。
また、いくつかの群体でのサンプリングの結果、遺伝子の差異は分離する現在の地理的距離を反映する事が明確になったそうだ。
つまり 花粉分散が主に局所的
だと言う事。6km間では遺伝子の流れが起きているが18kmではほとんど無いらしい。
媒介者
風で吹き溜まっていた、はがれ落ちた種とそこにむらがる虫
先ほどから引用させてもらっているJournal of Heredity(遺伝子ジャーナル)によれば、ファクターの虫は「flies(flyの三人称単数現在形) 」となっていたのでFly(ハエ)あるいはTrue Fly(双翅目・そうしもく)をさしているのではないか? と推察。 あるいは特定していなかったのか?
下は、実際にウェルウィッチアの周りに群がっていた虫。拡大するとあっちこっちにいた。
間違いなくホシカメムシ科に属すると言う 半翅目(Hemiptera)のプロベルグロティウス(Probergrothius)
ですね。主にウェルウィッチアの種子を食しているらしい。
.
雌の木に群がる虫は確認できたが、雄花は確認できていない。
もしかしたら、同じ雌雄異株で裸子植物のイチョウの木のように雌花の種子は臭いがするのかもしれない。だから虫が集まる? その時にどこかで付けた雄花の花粉を運ぶのかな?
まるで砂浜に打ち上げられた海藻のように砂漠にモサモサと落ちているウェルウィッチアは面白い。
また海藻と言うのもあながち間違いでもないような・・。なぜなら先ほども触れたが、 葉の基部で成長を続けるタイプは、海藻と一緒。古代に出現したウェルウィッチアの生態は、植物の進化の初期段階に近いのかな?
前回紹介した「地球生成の地質年表 」からですが、
種子植物やシダ類が出現するのが古生代デボン紀(4億年前)
裸子植物が現れるのが古生代から中生代の間(P-T境界)以降、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀前(2億5000万年前から1億年前くらい)
スギなどの針葉樹はほぼ現代と同じ形まで進化しているそうです。
白亜紀後期のインパクトにより種のレベルで最大約75%の生物が絶滅したと前回紹介しましたが、動物はともかくウェルウィッチアなどの植物は種子として密かに残り、環境が整ってから再び地上に現れた可能性が考えらます。
やはりウェルウィッチアは化石のような植物かも・・
※「ナミビア・コーリシャス石化の森と地球の大陸移動」の所では大陸移動だけでなく、オリジナルで地球生成の地質年表も作成しています。
リンク ナミビア・コーリシャス石化の森と地球の大陸移動
「世界で最も醜い植物 第4位 1 ~2」の方中に「新」の案内を入れてしばらく消去しないで残しておきます。
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