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これはまたまた植物ネタか? と思ったのですが、花芽はそのまま夏を越え、秋を越え、冬を越えて3月に入るまで休眠状態? 花芽が出てから開花までに10ヶ月を要したのでした。
しかもその花はうちでも10年ぶりの開花。私も見るのは2度目
そんな訳でちょっと珍しい花の紹介です。
月桂樹(げっけいじゅ)の花 雌雄異株
月桂樹(げっけいじゅ)
雌雄異株(しゆういしゅ)(Dioecy)
月桂樹の花
雌雄同株(しゆうどうしゅ)と雌雄異株(しゆういしゅ)
香辛料 ローリエ(laurier)
性別記号(gender symbol)
ベランダの月桂樹に花がやっと咲きました
月桂樹(げっけいじゅ)
学名 Laurus nobilis 「高貴な常緑樹」
Angiosperm Phylogeny Group (APG)(被子植物系統群)
Angiosperms(被子植物)
Magnoliids(モクレン類)
Laureales(クスノキ目)
・・ 7科に100属2900種余り、大部分がクスノキ科
Laureaceae(クスノキ科)
・・55属2000種以上を含む被子植物の科
・・多くは温帯南部や熱帯、特にアジア南東部やブラジルに分布
・・精油を含み、芳香をもつ種が多い。
Laurus(ゲッケイジュ属)
L.nobilis(ゲッケイジュ)
・・常緑高木。地中海沿岸原産。雌雄異株
3月15日の花芽(直径5~7mm)
上下共3月15日
3月24日の花芽(花蕾)(直径1cm弱)
上下共3月24日 花芽は割れて6つの花蕾に別れた。
3月28日の花芽(花蕾)(直径1cm
今思えば、この段階で雄花だと言う事が解る。
つまり、うちの月桂樹の木はオスの木だったと言う事に・・。
理由は簡単だ。
月桂樹は以前紹介したアスパラガスの木と同じように雄(お)しべと雌(め)しべのいずれか一つしか持たない単性花(たんせいか)であり、しかもそれらは同じ木にには付かない。 雌雄異株(しゆういしゅ)と言う別の株なのである
。
雌雄異株(しゆういしゅ)(dioecism)
月桂樹(げつけいじゅ)の木は雌雄異株(しゆういしゅ)の形態を持つ木
。
つまりオスの
木とメスの木が存在している種類なのである。
被子植物の場合、花は両性花(雄しべと雌しべで一つの花)であるのが一般。
自分で自家受粉(じかじゅふん)ができて結実する事ができるタイプが両性花(りょうせいか)である。
雄花と雌花で別れるといと言う単性花(たんせいか)はむしろ裸子植物に近い。
雌雄同株(しゆうどうしゅ)と雌雄異株(しゆういしゅ)
単性花のうち雄花と雌花が同一の株につくタイプを雌雄同株(しゆうどうしゅ) と呼ぶ
。
一 方月桂樹のように
単性花でも、雄花(おばな)と雌花(めばな)とが別の株につくタイプを雌雄異株(しゆういしゅ) と呼ぶ
。
また、両性花と単性花が一つの株に雑居した雌雄混生タイプも存在。雄性両全性同株と呼ぶらしい。
雌雄異株(しゆういしゅ)の場合、当然、自家受粉はできないので他家受粉となる。
つまり 雌雄異株(しゆういしゅ)(Dioecy)は自己受精を排除し、同種異系統(異系交配)を促進 する方法の1つで、 集団内に存在する劣性の有害な突然変異の発現を減少させる のだそうだ 。
月桂樹の場合、その繁殖方法は結実でなくても挿し木で増やす事が可能だし、観察していると毎年、月桂樹には側芽(そくが)が増え続け、株は横に広がって自生していくので 雌雄異株(しゆういしゅ)の弊害はないように思う。
それに必要とするのは香辛料に利用できる葉の部分なので雌雄の別になんら関係無い。
その為もあるのか? 日本に流通している株のほとんどはオスの木らしい。
開花は春初旬。オスの木は黄色の花が咲く(雄花)。
※ オスの花が黄色に見えるのは実は雌しべの花粉の色なのである。
メスは白い花が咲き結実して黒い実が付く(雌花)。
それぞれの花は、直径1cmほどの中に6つの花蕾を持っている
。
ところでうちの月桂樹の花は、ほぼ10年ぶりに開花。なぜ?
鉢植えだし栄養が悪かったのだろうか? 花芽の肥料は与えていたが・・。
花芽の時に剪定していたか? いやいや花芽が10ヶ月もあったのだから間違って切り落とす事はないだろう。
次も10年後なのだろうか?
一つ言えるのは花芽の状態から毎年咲く事はありえないだろう。
3月29日
3月30日
確かに雌(め)しべは見えない。あるのは雄(お)しべだけ。
月桂樹の花
解体してみた。(マイクロ撮りのできないカメラなので写りが悪いが・・)一つの花芽は1cm。花蕾に別れて一つの花自体のサイズは5mm程度。その中の雄しべは1mm以下。
一つの花蕾に、花は6個。 花びらは4枚。 雄しべは10本。
4月1日接写(限界)
面白いのは、オスの木だけどとても甘い良い芳香がする事だ。
確かに、虫に寄って来てもらわないとその花粉をメスの木に届けられないからね。納得
そう考えると、芳香の強いものほど受粉を虫にたよっている種と言う事ですね。
参考にメスの花を拾って来ました。
さわやかで美しいてすね。
雄(お)花は可愛く、雌(め)花は凜(りん)として美しい気がします。
ところで、 雌雄異株(しゆういしゅ)の木 は実は珍しくない。案外身近にありました。
キジカクシ目カジカクシ科 アスパラガス
※ 2011年6月「アスパラガスの木 「クイズ これは何でしょう? 」 解答編 」で紹介。
イチョウ目イチョウ科イチョウ属 イチョウ (銀杏はメスの木に成る)
ソテツ目ソテツ科ソテツ属 ソテツ
バラ目アサ科アサ属 アサ(大麻草)
キントラノオ目ヤナギ科ヤマナラシ属 ハコヤナギ(ポプラ)
※ 日本のポプラはほぼオスの木らしい。
キントラノオ目ヤナギ科 キヌヤナギ
クスノキ目クスノキ科ハマビワ属 カゴノキ
クスノキ目クスノキ科ハマビワ属 ハマビワ
クスノキ目クスノキ科クロモジ属 ダンコウバイ、
シロモジ、
アブラチャン
クスノキ目クスノキ科シロダモ属 シロダモ、イヌガシ、ダイトウシロダモ
※ 月桂樹もクスノキ目クスノキ科です。クスノキ目多いですね。
イチイ科イチイ属 イチイ
ガリア目ガリア科アオキ属 アオキ
雌雄同株(しゆうどうしゅ)の木
マツ目マツ科マツ属 マツ
マツ目ヒノキ科スギ亜科スギ属 スギ
マツ目ヒノキ科ヒノキ属 ヒノキ
香辛料 ローリエ(laurier)
ローリエ(Laurier)はフランス語で、ベイリーフ(bay leaf)は英語。
ローリエ(laurier)は、月桂樹の葉を乾燥させた香辛料。
ケルト語の「laur(緑色)」に由来するラテン語。
そもそも月桂樹は小アジア原産の常緑低木で、かつては地中海沿岸に群生した林もあったらしい
。
昨年収穫して乾燥させた月桂樹の葉
冷蔵庫に保管するといつまでも青々。4年前のもまだ青いです。青い方が製油も多く、香りも高い。
楊枝の隣にある小さいのが市販されている一般のサイズ。
その葉は、オリンピックなどの勝者に贈る月桂冠のリースで有名であるが、 葉に含まれる精油の効能から薬用や料理に古来から重用されてきた香辛料 である。
近年、月桂樹の中に、血管を拡張する作用を示す物質が含まれている事が発見されたそうだが、欧州では食欲の増進や消化に効く。あるいは肝臓に良いとされて昔から利用されてきている。
葉の成分に含まれるシネオール (cineol)、リナロール(linalool)、オイゲノール(geraniol)などのエッセンシャルオイルに効能がある
ようだ。
特に葉の45%に含まれる シネオール (cineol)別名ユーカリプトール(eucalyptol) は
さわやかな芳香と味を持つことから、食品添加物・香料・化粧品、薬用にも利用される成分だ。
※ シネオール (cineol)はヨモギ、バジリコ、ニガヨモギ、ローズマリー、セージなどの葉にも含まれる。
※ シネオール (cineol)の含有量の多い葉ほど高品質だそうだ。
リナロール(linalool)
はフレーバー、フレグランス両方の香料原料として使用される。
オイゲノール(geraniol)
もフレーバー、フレグランスに加え、殺菌剤や麻酔薬などの医薬品に用いられる。
料理では肉料理の臭みけしとしてフォンドボーを造るのには欠かせない素材。
一般にはシチューやカレーなどの煮込み料理から野菜スープなどにも利用。
うちではコショウと同じくローリエ、タイム、オレガノは欠かせないハーブ。
追記・・先ほど単性花と両性花で紹介した性別記号について・・。
性別記号(gender symbol)
元々は♂は火星、♀は金星を表す天文学や占星術で使う記号だった。
スウェーデンの博物学者カール・フォン・リンネ(Carl von Linné)(1707年~1778年)が惑星の記号を生物の記号に利用したのが始まり。
金星を表す記号は、雌記号 ♀ (Venus)。
元はローマ神話の 美の女神ウェヌス(ヴィーナス)の持つ手鏡を図案化したもの
? らしい。
火星を表す記号は、雄記号 ♂(Mars)。
元はローマ神話の 軍神マルスの持つ盾と槍を図案化したもの
。
水星を表す記号は、雌雄同体の記号 。つまり二つの性を持つ者。人間にはいないが植物にはある。元はローマ神話の 商人や旅人の神メルクリウス(マーキュリー)の持つ、二匹の蛇が絡みついた杖を図案化したもの。
だから本来、順番も惑星の配列(水金地火木土天海)に準じた並びになるそうだ。面白い。
さて、次回はお金の話です。
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