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書評/藤巻健史の「金融情報」はこう読め! 大転換時代にお金を守り、増やす方法4点/5点【送料無料】藤巻健史の「金融情報」はこう読め!経済の大きな流れを掴むために重要なことは「上質の情報を使って、自分なりの経済予測力を養う」ことに尽きる(p2)そうです。この本の前半では長々と世の中の常識に関する誤解について述べています。なぜならばみんなが「常識」だと思っている事が実は大きな「誤解」で、その「誤解」がマーケットを動かすことがあるからです。私はマーケットには多くの誤解があり、その「誤解」でマーケットがゆがんだ時こそ逆張りのチャンスだと思っている(p3)とのことです。p169には「株から資金がシフトしたせいで商品バブルが起きた」と言う記述があります。「株式市場から原油の方に投機マネーが動いたせいで石油市場がバブルになった」「株から資金からシフトしたせいで商品バブルが起きた。原油が高騰した」なんて言う記事が新聞をにぎわせていました。藤巻氏に言わせればそれは違う。株が下がったのは多くの人が景気が悪くなると予想したから。ヘッジファンドも当然株を売る。景気が悪くなるのなら商品価格も下がる。だったらヘッジファンドも株を売ったら原油も売る。資金が移ったとしても原油は買うのではなく「売る」はず。ですから、新聞が「株から資金が移ったので原油先物価格が上昇している」と書いた時など、典型的な逆張りのチャンスです。原油先物をショートすることで間違いなく大儲けできます。(中略)その意味でも「先物」とは何ぞやを理解することは重要なのです。(p171)全体的に見れば「誤解しているということを見逃さないことは、やはり財産を守る1つの手段」(p186)と言う事でしょう。この本の後半では「その誤解を利用してどうすればいいか」について書いています。藤巻氏は「株価上昇・ドル上昇・金利上昇」を予測しているそうですが、この本では特に「長期金利が上昇する時にわれわれは何をすべきか」を書いているそうです。具体的方法についてはこの本を読んで頂きたいのですが大きな視点として藤巻氏は長期投資を勧めています。個別情報で儲けるのは難しいとの認識。一番重要なのは「経済がどうなるのかの分析」であってそれを理解するには「自分の分析力」と「経済に関する質のよい情報」が必要。情報については「情報の質を見極める」のが大事。「上質の情報を使って、自分なりに経済の予測をする」事が長期投資の最重要点。また情報の1つである「商品知識を深める」事が大事。結論を言えば「質の高い情報を使って経済予測力を養う」「商品知識を深める」この2つが長期投資で勝つための2大原則なのだそうです。(p54)身も蓋も無いけどこの一文に尽きるのでしょう。自分の資産を守るには勉強しかありません。(p4)勝間和代氏風に言えば「タダ飯はない」と言う事でしょうか。最後に1つだけ気になる部分を抜粋して終了します。どこの国に投資するかよりも、どの資産カテゴリーに投資するかの意思決定のほうがより重要だと言う事です。(p136)
2011.01.23
書評/中村繁夫「 レアメタル超入門 現代の山師が挑む魑魅魍魎の世界」3.5点/5点【送料無料】レアメタル超入門著者はレアメタルの買い付けなどを行っている方なので「化学的な意味での」レアメタルを取り上げている訳ではありません。あくまで資源として(と言う事は「経済的な視点」から)レアメタルを取り上げています。2009年5月に第1刷とあります。レアメタルが私のような経済オンチの人間まで知れ渡るようになったのは2010年以降であった気がしますから「レアメタル」が大変な事になる気配は以前からあったと言う事ですね。私のような一般人まで情報が来るのはいつも最後だと言う事。だからアンテナを張っていないといけない。内容としては商品としてのレアメタルがどのように投資(投機)の対象になってきたのか・いるのかについてが主な内容。当然、需要がないと商品としての価値がないので最終的に消費する工業とも絡んできます。よってどのレアメタルが何に使われているなんて言う説明もあるのですが、理系オンチの私にはどうも理解・記憶できず。それは書き手の問題ではなく、私の問題なのだけど。ですので「レアメタル問題」の全体像を把握するための「超入門書」として読むのがベストかと。実際にレアメタルを取り扱ってきた方の著作だけあって、リアリティがあります。
2011.01.16
書評/「バフェットとソロス勝利の投資学 最強の投資家に共通する23の習慣」5点/5点【送料無料】バフェットとソロス勝利の投資学非常に印象的な本である。具体的に「こう言った方法で通貨を買え」とか「こう言った方法で株を買え」と言う事は書いていない。しかしながら、非常に役立つ本であり、これから投資をしようと言う者は<<必読>>と言ってよいだろう。300ページ以上ある本だが「○○で1億円」「FXで主婦でも億万長者」なんて本を読むくらいなら、この本をまず最初に手に取るべき。読むのに苦労するかもしれないが、もし苦労するとすればこの本が専門的すぎるのではなく、読者の読書力が追い付いていないと言う事だと思われる。主な内容は最初に「投資の7つの大罪」(やってはいけないこと)を挙げてその後は「成功する投資の23カ条」が続く。面白い所(かつ説得力を持たせているところ)はバフエットとソロスと言う全く手法の違うにもかかわらず大成功を収めた2人を取り上げながら共通する<<基本的な事項>>を抽出している点。全く違うように見えるこの2人に共通する姿勢は何なのか?それが「23カ条」であり、この2人だけではなく、成功している投資家たちは共通している。勿論この本でも書いてある通り「修行」が必要なので、この本を読めばすぐに投資の達人になれる訳ではないが、読まないととんでもない目にあう可能性は大きいだろうし、投資の達人になれる(投資で成功<<し続ける>>)ことは相当難しいだろうと思われる。一点気になる点があるとすれば「分散投資を否定している」点であろうか。この点は評価が分かれるところかもしれない。限りなくバフェットやソロスに近づいたレベルでなければ分散投資をしないのは相当危険であるように思われる。他方、何もスタートしなければ投資の達人に近づきようはない。つまり少なくとも最初は「分散投資」をした方が良いように思える。
2011.01.16
書評/大前研一「お金の流れが変わった!」4点/5点【送料無料】【入荷予約】 お金の流れが変わった!楽天ブックス大前氏の著作は難しいことでもスラスラ読めるように書かれている。本当に尊敬に値すると思う。(別に私が尊敬しなくてももう充分多くの人に敬意を評される存在になっているのでしょうけど)そんな大前氏の足はアメリカから完全に遠ざかってしまったのだそうだ。その理由は「世界のお金の流れが一変した」から。世界経済を考える上で絶対に無視できないホームレスマネー(投資先を探して世界をさまよっている、不要不急で無責任極まりないお金)(p54より)。そんなホームレスマネーが新興国に流れ込んでいる。21世紀になって世界のカネの流れが変わった最大の理由は(高齢化する)先進国や(高騰する石油で)OPECに過剰な資金が貯まる一方、自国では富を生み出さないどころか、目先の景気回復策と称してゼロ金利や低金利にしてしまっているからである。住むのは安全・安心な先進国、資金の運用は発展著しい新興国という流れがこの5年くらいの間で定着してきたのである(p94)世間ではBRICSに続いてVISTAというのがあるそうです。ヴェトナム・インドネシア・南アフリカ・トルコ・アルゼンチンのこと。ちなみに大前氏はVITAMINと言う呼称を推奨しています。ヴェトナム・インドネシア・タイとトルコ・アルゼンチンと南アフリカ・メキシコ・イランとイラク・ナイジェリアなのだそうです。(p84~85)BRICSやVITAMINに代表される新興国は5000万人以上の巨大な人口を抱え、平均年齢が25~30歳前半。低賃金であるが優秀な頭脳または勤労意欲を持つ国々(p92)なのだそうだ。大前氏の主張の中で1つ注目したいのが「マクロ経済政策はもう効かない」と述べている点です。「ミスター円」とまで呼ばれた榊原英資氏も「マクロ経済学は役に立たない」と言った趣旨のことを書かれていましたので気になる点です。他方、大前氏はアメリカを見限っている印象を受けますが、伝説のトレーダーと呼ばれた藤巻健史氏はいまだにアメリカの底力を信じている印象を受けます。プロでも真逆のものの見方をしている。経済とはなかなか奥深いものです。最後に気になった一文を引用して終了。錯覚だろうが、絵に描いた餅だろうが、この経営者ならお金を増やしてくれると思わせたら勝ち。世界じゅうからホームレスマネーが寄ってくる。(p134)
2011.01.10
書評/内田樹「日本辺境論」4.5点/5点【BOOK】日本辺境論ペーパームーン楽天市場店内田氏の著作を初めて読みました。はじめにあるように「日本は辺境であり、日本人固有の思考や行動はその辺境性によって説明できる」と言う事をおっしゃいたいそうです。内田氏曰くこのような考え方は新しい訳ではないとのこと。実際、丸山眞男氏などの引用がかなり多いです。本書が行うのは「辺境性」という補助線を引くことで日本文化の特殊性を際立たせることですが、この作業はまったく相互に関連なさそうな文化的事例を列挙し、そこに繰り返し反復してあらわれる「パターン」を抽出して行われます。(p8~9)との記載通りのことをこの本を通してひたすら行っています。ただし内田氏の趣旨は「辺境性は変だ、やめよう」と言う事ではなく、「私は、こうなったらとことん辺境で行こうではないかというご提案をしたいのです」(p100)とのことですのであしからず。私にとっては「う~ん、なるほどね」と納得させられる内容(ただし一部は内容が難しすぎて理解不能)ですが、実際に内田氏の論理が正しいのかどうかは私には(にも?)分かりません。その辺が文系の学問の特性なのかもしれません。正しいか正しくないかはさておき学のない人間にとっては「文系の学者はこのような思考法をするのか」と言う事だけでもかなり面白かった1冊です。
2011.01.09
福田和也「バカでもわかる思想入門」3.5点/5点1月3日現在楽天市場になし amazonは「コチラ」著者の福田和也氏が(おバカな)他の人との対談を通してマルクス・孫子・プラトンなど12人の思想を解説していくという形式です。しかしながら本当に対談している訳ではなく、そのような形式をとっているだけです。誰がホモだったとか本筋とは関係ことが語られることもあります。「そんな事じゃなくて他の肝心なことに紙幅を費やせ」と言う考え方もあるでしょうが、こう言った雑学ネタがあるとなかなかとっつきにくい哲学の世界に入りやすいという考え方もあるように思います。基本的には「一般的には○○と言われている」と言う表面的な話を中心にしています。あまりに細かいことを言うとズブの素人が混乱するからでしょう。勿論この本を読んでもそれぞれの思想がわかるはずもありません。わかろうというのが無理なのですから。(その意味ではこのタイトルはいかがなものかと思いますが)学者が1人の思想家について一生をかけて取り組んでも答えが出せるかどうか分からない世界なのですから。だからと言って読む価値がないと言う訳ではありませんが。
2011.01.03
書評/本田健「大好きなことをしてお金持ちになる」3.5点/5点【送料無料】大好きなことをしてお金持ちになる大好きなことをしてお金持ちになる(注)私が読んだのはピンクではく下の赤い方です。ページ数は下の赤い方のものを記載しています。ただし値段は上のピンクの方が安いです。内容に差あるのかどうかは調べていません。「好きなことをビジネスにして成功する」というのがこの本のテーマであるそうです。(p70)「大好きなことを見つけ、洗練させ、それをビジネスにしていく」(p70)ちなみにこの本はシリーズの4冊目なのだそうです。前3冊は実践ステップについてで本作は実践編。必要に応じて前3作の内容に触れていますが、その量はかなり少量です。私は前3作を読んでいないので、全3作を読んでからこの本を読んだ方がよ言うのか、いきなりこの本を読んでもあまり関係ないのかは判断できません。この本の考え方で面白いのは「キャッシュポイント」と言う考え方だと思います。キャッシュポイントとは、それをやるだけで、経済的に豊かになってしまう「豊かさの根源」のこと(p20)。どんな人にも、その人特有の才能があります。それが、お金にしやすいかどうかという差はありますが、誰にでも必ずあるものです。成功する人は、人生のある時点でのこのキャッシュポイントを見つけていることが分かります。(p20)そして「このキャッシュポイントを以下に探って掘り当てるか」(p21)を考えてく訳です。自分のキャッシュポイントを知るためには自分を知らないといけない。この本では人間の特性を10に分けています。(p99~)自己診断シートがありますのでそれに答えると自分がどのタイプか分かります。私の場合は「クリエーター」「問題を解決する人」「オーガナイザー(まとめ役)」の点数が高かったです。この自己検診シートをやるだけも価値があるかもしれません。最後にこの本の中で気になった部分を引用して終了します。「失礼ながら、彼は、私たちが実物を見るよりずっと前に、一番最初に見ているんですよ。頭の中でね」(p239 ウォルト・ディズニーがディズニーワールドが完成する前に亡くなったことについて Byウォルト・ディズニーの兄)それは、学ぶ必要のある人ほど学びをやめ、学ぶ必要のない人ほど。もっと学ぼうとする傾向があることです。(p262)
2010.12.26
書評/神田昌典×平秀信「凡人の逆襲」2010年12月19日現在楽天ブックスに売り切れ中「楽天ブックスのページ」4点/5点この本によると多くの人が気づいていない事があると言います。気づいていない事とは「今あなたが経験していることは、宝の山である」ということ。「あなたの今やっている仕事が、実は何億円にも化けるのだ」「誰にも共通する陳腐な経験だ。しかし、この経験を金の延べ棒にかえることができる。そんな方法があるのだ」と言うのは「はじめに」(p5)にある記述。誰でも持っている経験を金の延べ棒にする方法について延々と述べているのが本書と言うわけだ。「今までの経験に市場価値を見出す技術、そして、その経験を売る営業力、すなわち、自分を売り込む技術にある」(p7)や「ただ、今までの経験をムダにはしなかった。ムダにしないどころか、全部利用したいと言った方がいいだろう。自分が任された仕事を工夫して成果を上げた。成果の上がった方法は記録しておいた。記録しておかないと、どんなにいいことでも忘れちゃうからね。そこに様々なジャンルの本から得た知識を加え、実践してきただけなのだ」(p23)あたりが、経験を金延べ棒へ変える方法を大まかにかつ端的に表している部分か。「成果の上がった方法は記録をとっておけ」と言うのが面白いですね。基本的なことでしょうけど、ほとんどの人がやっていないのではないでしょうか。多くの人が自分の脳を過信しているのでしょうね。でも人間の記憶なんてあいまいなんですよね。時間が過ぎ去ると案外覚えていない。下手をするとそんな事があったことすら覚えていない事も。だから記録をとっておくのは大切な訳ですね。納得。最後にいちばん気に入った部分を紹介して終了。今、あなたが会社でつくっているものは何でしょうか?商品?部品?そうではありません。会社でつくっているものは自分です。会社は自己実現の場だと思います。そうであるからこそどんな仕事をしていようと関係ありません。来るべき戦いのために、本物の自分をつくる、牙を研ぐ時なのです。(p236)参考・・・アメブロに書いた記事「今、あなたが会社でつくっているものは何でしょうか?商品?部品?そうではありません。自分です。」
2010.12.19
書評/小山薫「もったいない主義」3.5点/5点もったいない主義楽天ブックス小山氏の本を読んだのは「考えないヒント」以来2冊目。私が小山氏を知ったのは関東ローカルで放送されていた「アイデアの鍵貸します」という番組にて。「アイデアの鍵貸します」という番組を作っていたのが小山氏だったのです。放送作家として「カノッサの屈辱」「料理の鉄人」、最近では「おくりびと」での脚本家としても有名な方です。そんな小山氏が書いたこの本の趣旨は<「もったいない」に気づくと、どんなアイデアは生まれるのか?」(p16)という事。小山氏の様々な実体験に基づき「もったいないに気づくと、どんなアイデアは生まれるのか?」について話が続いていく。私がいちばん興味深かったのは小山氏の発想は「COPS(コップス)」という能力に優れているから生まれてくるという分析結果です。COPSとは「一見何の関連性のない、別々のものを引き合わせることによって、新たな価値を創造する能力」(p138)の事なのだそうです。僕の脳は何かをキャッチしたいという欲求が人よりとても強くて、情報をさらにたくさんつかもうと思っているから、常に外に対してアンテナを立てている。自分の中に「これ、面白い」と思っているものがたくさんあるから、いろいろな情報が来たとき瞬時に、「これとこれがくっついたら面白い」と引き合わせる作業を無意識のうちにしているのだそうです。自分の中では今まで「なんか面白いな」という情報を「アイデアの種」と称していて、「発芽しなくてもいいからアイデアの種を拾っておく」というように表現していたので、この分析は腑に落ちた感じがしました。(p138~139)僕が意外なものどうしを結びつけることができるのは、いろいろなジャンルの仕事をしてきたからだと思います。(p139)COPSの話や上記引用辺りは(小山氏の)アイデアのもとを知りたい方には結構参考になるかもしれません。私が小山氏が色々書いた経験談の中でいちばん気になったのは実はいちばん最後に出てきた「彼」のエピソードです。<「どこでもドア」を開けなかった彼>というエピソードで紹介されています。日比谷線に乗っていると30歳くらいのサラリーマンが本田直之さんの「レバレッジ勉強法」という本を読んでいた。その数ヶ月前に小山さんは本田さんとメールのやり取りをしていた。だから小山さんは意を決しその彼に「すいません、実はその本を書いたのは僕の友人で、もしその人に会いたかったのだったら、僕がつないであげますよ。良かったら僕にメールをください」と言って名刺を渡した。彼はきょとんとした顔で名刺をもらったが結局メールは来なかった。その彼は勉強法の本を読むくらい(しかもただ読むのではなく「赤ペンで重要な所に線を引きつつ、付箋も横と縦につけながら」読んでいた)だから向上心はある。でもメールは来なかった。もらった名刺から小山さんのことを調べれば「恐らく本田さんと面識があるのは事実だろう」と推察できたはずなのに。私も本田さんのレバレッジシリーズは結構読んでいます。そんな私が小山さんに同じように声をかけられ名刺を渡されたらどうするだろうか?彼と同じようにどこでもドアのドアを開けないような気がします。そう、私はいくじなしだから。考えないヒントレバレッジ時間術図解レバレッジ勉強法レバレッジ勉強法
2010.12.05
書評/「昭和天皇の履歴書」3.5点/5点昭和天皇の履歴書楽天ブックス昭和天皇が生まれてから終戦の44歳までを網羅。各年齢ごと(1年ごと)に昭和天皇の状況を中心に主だった歴史上の事件に触れながら話は進んでいく。昭和天皇を中心にしていく事から皇室に関する話も多く、なかなか興味深い内容であった。昭和時期については一部を除いて基本的に「陸軍の専行に憂慮しつつも立憲君主の立場から裁可し続けた」という昭和天皇像が多い。歴史的にこの昭和天皇像が正しいのかどうか異論があるだろうが、「1つの見方である」と割り切って読めばいいのではないかと思います。「昭和天皇語録」という本(コチラは昭和元年~60年を網羅)を買ってありますので今度はコチラで日本史のお勉強をしようと思います。昭和天皇語録楽天ブックス
2010.11.21
書評/大村大次郎「無税生活」3.5点/5点無税生活楽天ブックス「金持ち父さん 貧乏父さん」にて少しでも税金を払わない事の重要性をかなり力説していました。私は自分の給与明細もほとんどマトモに見たことがないので、このような節税精神に溢れ、そして実践している人の世界を見たくなってこの本を手に取りました。この本を手に取ると実際に節税ができる訳ではありません。しかし節税精神に溢れ、実践している人たちの世界を垣間見ることができます。ナチスドイツの偉大なる発明システム・源泉徴収制度により何も考えずに税金を納めていた人間から見ると別世界が広がっています。著者は元国税局に10年勤務し、法人担当調査官をしてだけあってその別世界にリアリティがあります。やはり「現場」を知っている人は強いですね。この本を読んで「金持ち父さん~」にてロバートキヨサキ氏が言いたかったことが少し分かったような気がします。本当に勤め人とそれ以外では税制(の実態)が全く違うんだな、ということがイメージできました。「あとがき」に書いてある次の部分が著者の意図を最も表わしているのだと思います。サラリーマンは、もっと税金のことをちゃんと考えなければならない、と著者は思う。それは、税金の使い道をチェックして、政治家や役人を厳しく追及することをしなければならない、という意味ではない。自分がどんな税金をいくら払っているのかを知り、少しでも払わないですむ方法を考えてみる。それだけのことだ。(p197~198)
2010.11.07
書評/クリス岡崎「億万長者専門学校」4点/5点億万長者専門学校楽天ブックスタイトルは怪しいけど内容はまっとうなものだと思います。DVD版がtsutayaに置いてあったので先にDVDを見ました。DVDでのクリス岡崎氏はかなりテンションの高い方で、テンションの高さには正直ドン引きしてしまいましたが、「自分と同じタイプの成功者のマネをしなければダメ」という事をおっしゃっていて、そのことが印象的かつ納得させられたのでこの本を手に取りました。(この本にもそのことは触れられています)内容としてはお金に直接関する部分と他の(メンタル的なことを含めた)人間としての部分がミックスした構成になっています。人間的な部分で言えば「ご機嫌になるハードルを低くし、不機嫌のハードルを上げる」などといったことが書かれています。このような自己啓発系の内容が億万長者になるためにも繋がっているという構成になっています。お金に関する部分については「具体的方法が書かれていない」という批判があります。具体的に「不動産でこう投資しろ」とか「バリュー株を買って~」という話は出て来ません。しかしながら具体的方法なんてものは自分で考えていくしかないし、マニュアル的なものに頼っては失敗して、しかも失敗の原因が分からないから、何にもならないっていうのがオチなのではないかと思います。ちなみに「図解版」もあるようです。興味のある方は是非。
2010.11.06
書評/守屋洋「孫子の兵法 ライバルに勝つ知恵と戦略」3.5点/5点孫子の兵法楽天ブックス 「敵を知り己を知れば、百戦して殆うからず」なんていうフレーズが超有名な「孫子の兵法」。「俺、高校の時(や大学の時)漢文はしっかりやったからばっちり読める」というインテリ君は別にして私のように漢字の羅列に目まいをしてしまうような人間は原本を読むのは相当厳しいでしょう。そんな人でも孫子の兵法が理解できるのがこの1冊。まず訳が載っていて、その後原文が載っています。その後守屋氏の解説。このパターンを繰り返す構成になっています。守屋氏の解説がこの本の真骨頂でしょう。解説は基本的には昔の中国や日本の事例(戦に関することが多い)か現在のビジネスに置き換えている場合がほとんどです。守屋氏の他の書籍でも使われているパターンです。中国の古典に疎い人間にはかなり分かりやすい本だと思います。最後の解説にて渡部昇一氏は論語と対比して「「論語」と「孫子」との違いは、実際に自分が勝った体験をもとにして書いているかどうかの差である」と書いています。戦争によって国が滅ぼされ自分も死ぬかもしれない極限の状況を踏まえて書かれた1冊。ものすごい数の兵法書があったと言われるが今でも残った数少ない1冊。そんな「孫子の兵法」を読むことは21世紀にはいってから10年経った今でも大いに意味があると思います。
2010.11.03
書評/ロバートキヨサキ「金持ち父さん貧乏父さん」5点/5点金持ち父さん貧乏父さん楽天ブックス久々に5点満点をつけました。それだけ価値がある本だと<私は>感じました。なぜ<私は>という限定をあえてわざわざつけたのかは後で述べたいと思います。ロバートキヨサキ氏の世の中の流れの読みを乱暴ながらざっくり言えば一生懸命勉強して、良い就職先に勤務し続けても金銭的にはバラ色どころか地獄である(本の中では「ラットレース」と表現)。会社はダウンサイジング(解雇)をすれば株価が上がる。解雇されたり賃金を抑えられる方はたまったものじゃないが、それで株価が上がれば出資者(株主)はもうかる。このような世の中においてあなたは労働者の側にいますか?それとも出資者側にいますか?出資者側にいた方がいいよね。本当に乱暴(別に投資については株だけの話が取り上げられている訳ではありませんので)に言えばこれがロバートキヨサキ氏の認識。で、どうすればいいのかと言えば「ただ資産を買うことに生涯を捧げればいい」とのこと。そのためには資産と負債の違いを知ることが大切で資産=私のポケットにお金を入れてくれる負債=私のポケットからお金をとっていくというのが資産・負債の定義。「負債を減らし、投資することに全力をつぎ込む」のだという。さて大まかに言えばこの考え方がバックボーンだと言っていいのだろう。<私としては>このバックボーンに基づいて書かれたこの本は非常に参考になったと思うのだが、ネット上ではこの本はかなり賛否両論であるようだ。ロバートキヨサキ氏をペテン師呼ばわりしているものまである。私が確認できた批判について挙げてみたい。(1)働くことの意義を否定すべきではない/働く人がいないと経済は成り立たないロバート氏が通常の労働を「ラットレース」と呼び、そこから抜け出すことを奨励している事を批判しているわけです。価値観の問題なのでこれは最終ジャッジは各自で行うしかないでしょう。またロバート氏はラットレースから抜け出すことを奨励していますが、現実問題としてロバート氏の意見を真に受け世の中の人すべてが通常の労働を抜け出すことはあり得ないでしょう。「2つの世界があるけどあなたがわざわざ地獄であるラットレースの世界にいることがありますか?」という問いかけと解釈すれば目くじらを立てる必要はないと思われる。(2)金持ち父さんは実在しない実の父を「貧乏父さん」、友達の父を「金持ち父さん」と対比して話を進めているが、どうしてもこの「金持ち父さん」の実在が確認できないというもの。wikipediaによるとロバート氏は「実在するが家族の意向で特定はしていない」と主張しているらしい。「金持ち父さん」はコンビニ経営をしていてコンビニの存在と年次が合わないなどの矛盾を指摘されているが、個人を特定されないために経歴についてはあえてある程度は変えている可能性は否定できないと思う。極論を言えば「金持ち父さん」については実在しないフィクションでもかまわないのかもしれない。「金持ち父さん」というフィクションによってロバート氏の投資経験が分かりやすく説明できるのなら。しかしながら次の(3)はそれすら許さない根本的な問題をはらんでいます。(3)ロバートキヨサキ氏は自著で書いているような投資経験は皆無。「金持ち父さんシリーズ」によって金持ちになった。よってペテン。しかしながらこれは私には確認しようがありません。このような批判がある本ですが、経済・投資ど素人の私は今のところ5点満点をつけておきます。もしかするとロバートキヨサキ氏にカモられただけなのかもしれませんが。
2010.10.25
書評/榊原英資「間違いだらけの経済政策」4点/5点間違いだらけの経済政策楽天ブックス大蔵官僚時代に「ミスター円」とまで言われた榊原氏の著作。デフレとインフレの共存という状態が生まれている現在、一財モデル(一財一価格)を前提としているマクロ経済では対応できない。というのがご主張のようです。「間違いだらけ」というのは「マクロ経済学」に基づいた経済政策のことを言っています。(言い方を変えれば「マクロ経済学に基づいて経済政策を行うから間違いだらけになる」)経済の見方としては1つの見方に過ぎないでしょう。しかしながら経済オンチの私が「経済学って当てになるのか?そんなに当てになるものならとっくに日本経済は回復しているんじゃないの?」と感じてしまうので、榊原氏のお話を読むと「なるほどね」と納得させられます。しかも榊原氏が単なる経済学者ではなく実際に官僚として「ミスター円」とまで呼ばれるほど実務を経験している辺りも説得力を増す要因なのかもしれません。グローバル化が進む経済をマクロモデルで分析する場合、大きな問題が起こります。それは政府支出や貨幣数量によって国内経済をコントールすることが現実には難しくなっているのに、閉じられたモデルの中では、これが可能だとなってしまう点です。(p203)次のビジネスモデルが、今のところ、できあがっていないのですから、当然、進むべき道は現場に戻ることです。時代の転換点、あるいは、環境が大きく変化するなかでは、いつも現場主義が有効です。日本経済全体にとっての現場、それは、ミクロの世界です。マクロ分析からミクロ分析に視点を移すこと、それが今、多くのエコノミストやアナリストに求められていることなのです。(p205)多くのエコノミストやアナリストが経済をマクロ経済で分析している訳ですが、それは間違っていると「ミスター円」とまで呼ばれた男が主張しています。この主張を「素晴らしいその通りだ」と捉えるのか「面白い仮説の1つ」と捉えるのか、はたまた「このペテン師野郎」と捉えるのかは皆さん次第なのでしょう。最後に個人的に気になる部分を引用。投機資金が出たり入ったりすることで価格は乱高下するかもしれませんが、中長期的には資源価格は確実に上昇していくことになるでしょう。他方、序章で指摘したように工業製品などのディスインフレ傾向は大きく変化する気配を見せていません。新興市場国が産業化・近代化を急速に進めていくなかで、工業製品の生産は拡大し、競争は激化し、少なくとも、平均価格は下がっていくと考えられるからです。(p152)
2010.10.24
書評/澤上篤人「長期投資家がニヤリとする7つのメガトレンド」3.5点/5点長期投資家がニヤリとする7つのメガトレンド楽天ブックス世界の大きな潮流を捉える。つまり20年後、30年後のメガトレンドにがどうなっているのかを捉えて投資をすべし。この本ではタイトルの通り7つのメガトレンドについて述べている。例えば金融中心から「実物中心の経済へ移行する」というのがある。途中経過は省略するが、実物経済への移行により「少しずつ自分の持っている資産の一部をを株中心の本格的な長期投資にシフト」した方が良いという結論になる。また「インフレが本格化」というのもメガトレンドとのことだが「本格インフレを見越して毎日の生活に直結している企業の株を今のうち(株価が安いうち)しこたま買い込んでおけ」というのが結論。結局は、「株で長期投資しましょう」という結論になります。「株で長期投資しましょう」という結論を長期運用を目指したファンドを運営している著者だから「どうせ最初から結論ありきでしょう」と読むのか、納得して実践するのかは各自が判断するしかあるまい。
2010.10.11
書評/「伝える力」4点/5点伝える力楽天ブックスTVでは池上彰氏のニュース解説が花盛りの2010年現在。出版界でも池上彰氏の書籍が出版されまくっている状況。巷では「池上バブル」という表現もあるようですが、私は今まで池上氏の書籍には手をつけてはきませんでした。しかし今回「池上解説」ではなく、池上氏がNHKでずっと培ってきたであろう「伝える力」がテーマということで、この本を手に取ってみました。さすが「週刊こどもニュース」のお父さん役を11年勤めただけのことはあります。内容は「伝える力」に関すること広く及びます。TVで池上氏が行っている解説だけではなく「書くこと」(元々記者だから書くことも専門でしょうが)や「コミュニケーション」に及びます。いずれにしても社会人としては手にとって欲しい1冊ではあります。(今回池上氏がこの本の中で「絶対に使ってはいけません」と言っている言葉を入れておきました。どれでしょう?気になる方はこの本でチェックしてみてください)「伝える」ために大事なこと。それはまず自分自身がしっかり理解することです。自分がわかっていないと、相手に伝わるはずがないからです。(p18)何かを調べるときには、「学ぼう」「知ろう」という姿勢にとどまらずに、「まったく知らない人に説明するにはどうしたらよいかということを意識すると、理解が格段に深まります。(p22)
2010.10.10
書評/養老孟子司「養老孟司の<逆さメガネ>」4点/5点養老孟司の〈逆さメガネ〉楽天ブックスいきなりこの本の結論(らしきもの)を書いてしまうと「ところがそこでも変わらなかった思想は都市化こそが進歩だという思想なんですよ。それを変えましょう。それを長々述べてきたんですよ、じつは。」p192この結論が養老氏の頭の中にあり、このことに関する事柄を養老氏が独自の視点で(と言っても養老氏にとっては当たり前のことなのでしょうが)述べられ続けます。(ただし「都市」「自然」の定義は養老氏の考え方は強く反映されています)なぜ養老氏はそのような視点で物事を見ることができるのか。それは「逆さメガネ」をかけているから。世の中の常識が傾いているのに、そのことに気づかないことがある。だから普通の人と違う「逆さメガネ」をかけて、ものごとを見ることも必要なんです。社会全体がある方向に傾斜していると、その社会の中では、それが見えません。だから外国ではどうか、と観察するわけです。自国の中で傾いているなら、そのことに気づきます。ところが外国まで、傾いていたらどうなるか。(中略)その傾きを私は「都市化」と呼んでいます。アメリカも西欧も、日本も、今では中国も都市化しつつあります。(p19~21)ちなみに大ヒット「バカの壁」と同じ年に出版されているためかこの本は口語調で書かれています。「だって~でしょうが」なんて言うフレーズが結構出てきます。世間では「読みやすい」との意見が多かったようですが、私にはむしろ読みにくかったです。人それぞれですね。
2010.10.09
書評/久恒啓一「図で考える人は仕事ができる」3点/5点図で考える人は仕事ができる(*私が読んだのはハードカバー版です)あまり具体的な図の書き方は書かれておらず(恐らく同著者の別の著作に譲っているのではないかと思われる)、「図解コミュニケーションの最も本質的な部分は「考える」ことにあるのだ」p2というコンセプトのもとに、自分の経験やセコム創始者などにおける具体的な事例に結構なページを割かれている。よって、具体的にどのように図解を書いたらよいのかという点で(マニュアル本として)期待して購入すると期待外れに終わる可能性が高いと思われる。私がこの本で最も印象的だったのは、「図」とは関係ないp118にある次のところでした。 私は、自分でものごとを考えることができる人を増やすことが、21世紀で最も重要な課題だと考えています。 別の言い方をすれば、今の日本の最大の問題は、考える人がいなくなってしまったということです。情報があふれている時代ですから、みんな自分で考えているつもりになっていますが、実際のところはどうでしょうか。他人が言ったことを反芻(はんすう)しているだけのことが多いのではないでしょうか。 たとえばテレビを見ても、さまざまな分野の評論家やコメンテーターが発言していますが、私たちはそうした意見を、「専門家が言っていることだから」「あの人は有名人だから」ということで、鵜呑みにしてしまいがちです。しかし、それが本当に正しいのかは分かりません。 歴史上の転換点を今から振り返ってみると、正しい行動や主張をしていた人はごく少数だったことに気づきます。彼らは自分でものを考えることができた人たちなのですが、大多数の人は「みんなが言っているから、偉い人が言っているから」ということで、実際には自分で何も考えずに突っ走り、最後には痛い目にあっています。たとえばバブルの頃がそうでした。 自分自身でよく考えた上での行動ならば、たとえ失敗したとしても何かしら教訓が残ります。また自分なりの責任の取り方ができます。ところが、人が言っているから、ということで付和雷同した挙句の失敗には、みじめさしか残りません。
2010.10.03
書評/高岡壮一郎「富裕層はなぜYUCASEE(ゆかし)に入るのか」3.5点/5点楽天ブックスのリンク(10年9月20日現在売り切れ)純金融資産1億円以上の者しか入れない会員制のプライベートバンク。それが「ゆかし」なのだそうです。出版が08年2月とリーマンショックが起こる直前なので、今も当時と同じ状況なのかどうかは分かりませんが、私が絶対に足を踏み入れることのない(ことがほぼ確実であろう世界にいる人たちがどのような考え方をするのかと思いこの本を手に取りました。親から資産を引き継いだ者ではなく、自力で資産を形成した者をインテリッチとしてこの本で取り上げています。(インテリッチの正確な定義は「60歳以下の人で、主たる資産の形成を独力で行った富裕層で現在も現役で働いている人・現役で運用している人」p25より)どこかのレビューにはゆかしの「宣伝」と書かれていました。確かに良いことばかりしか書いていない印象もありますが、読み方によっては結構勉強になるところもあると思います。ただ富裕層を肯定的に捉えるために「トリクルダウン効果」を持ちだしているが、個人的にはあまり賛同できません。過度の勝ち組叩きは嫉妬だと思いますが、「トリクルダウン効果」もそれほど万能に働いているように見えませんので。
2010.09.20
書評/角川総一「なぜ金利が上がると債券は下がるのか」4.5点/5点なぜ金利が上がると債券は下がるのか?経済ど素人の私でもかなり分かりやすく「債券(及び金利など債券に付随する事柄)」書かれている1冊。途中私には難しすぎる計算式が出てくることもありますが、どうしても分からないところは読み飛ばしてみればいいと思います。それでも初心者入門としては「難しすぎず簡単すぎず」と言う良いバランスを保っていると思います。とは言っても私も読んだ内容すべてをきちんと把握している訳ではないので時間を見つけて再読していきたいと思います。(09年10月に新版第1冊発行との表記)
2010.09.11
書評/「日本破綻 その日に備える資産防衛術」4.5点/5点日本破綻「その日」に備える資産防衛術前作「日本破綻 株・債券・円のトリプル安が襲う」に続き2010年8月30日第1刷発行。前作のレビューでも触れましたが政府による大量の赤字財政はいずれ市場に見捨てられ「市場の反乱」が起こる。市場の反乱とは前作のタイトルにあるように日本株・日本の国債・円のトリプル安。このトリプル安は「円安(しかもかなり過激な)」を含むので輸出が伸びることにより日本経済は立ち直る。しかし立ち直るまではハイパーインフレを伴うので多くの国民はのたうちまわることになります。(この過程はアジア通貨危機後の韓国と同じ道であると藤巻氏は指摘しています)ちなみにこの「市場の反乱」はいつ起こるか分からないそうです。「起きるのは明日かもしれないし、5年後かもしれない。しかし時期は分からなくても、かなりの確率で必ず起こると信じている」(p4)との事です。ここ数年の資産運用の在り方として藤巻氏は次のように述べています。この数年間の資産運用の根本は「守りのスタンス」に徹するに徹するべきだということです。この「混乱の時代」の後には「日本経済大躍進の時代」がまた来る可能性が大いにあります。その時にこそ資産を大きくすることを考えれば良いのです。(p112)と言うことでどういう風に「守りのスタンス」をすればよいのかを後半で述べて行く事になります。実は前半は前著程の量ではないですが前著の内容をまた説明しています。ただこれは前著未読の方もこの本を手に取っているケースもあるでしょうから仕方がないですけど。この守りのスタンスは「保険」のようなものだと言います。だから結果的に損をするかもしれないけどメチャクチャな目に合わないようにするための「保険」であると。ちなみに前著では「金持ちでも、国債や銀行預金のみで財産を保有していた人は、実質的に財産を失います。金持ちから貧者へ真っ逆さまです。(p143)」とありますので自分が当てはまる方はご注意を。しかし気が早い私としては「混乱の時代の後に儲ける方法も知りたい」所なのですが、それは書いてありません。その時の状況にならなければ分からないのか実は第3段を考えているのかは謎ですが。(「その位は自分で考えろ!バカ!!」と言うことなのかもしれませんが)藤巻氏の分析が当たっているのかどうかは分かりません。しかし私はなぜこんなに「円高」で日本の国債が買われまくっているのかが理解できません。私の頭が足りないからかもしれませんが、この国の通貨・債券に価値があるようにどうしても感じられない。異様に見えてしまいます。 となるとせめてドル建てのMMF位は始めた方が良いのかと考え込んでしまう。。。せっかく円高なのだから。楽天証券でもやっているみたいだし。<参考>藤巻氏は「市場の反乱」は「国債の未達」から始まると予測しています。要するに国債を完売できなかった時。未達の予兆があるかどうか分からないけど、あるとすれば3つの点に注意するべきと藤巻氏は言います。1.応募倍率(応募倍率が低ければ危ないが、高いからと言って安心はできない)2.平均価格と最安値の差(平均価格よりもかなり低い価格でも札が入ってしまったら要注意)3.入札後のマーケットの動き(入札後の相場が急落)私は細かいことをチェックするのが苦手なのでもし皆さんが是非気づいたら教えてください(笑
2010.09.08
書評/藤巻健史「日本破綻 株・債券・円のトリプル安が襲う」4点/5点日本破綻借金まみれの日本政府。しかしながらまだ政府はバラまき(財政出動)を推進しようとしている。政治家は国民は騙すことが出来るかもしれない。しかし絶対にだませない存在がいる。それは「市場」。「市場の反乱」が起こるのでないか。「市場の反乱」とは「株・国債・円」のトリプル安。「円」と言う貨幣価値の暴落し、ハイパーインフレがこの国を襲う。きっかけは国債の「未達」である可能性が高いという。「未達」とは国債の入札価格分のお金が集まらない状況。完売出来ない状況。つまり「日本の国債って買う価値ないよね」と市場が判断した瞬間、国債価格が暴落するのは当然として、日本株、そして円も暴落する。その後の日本はアジア通貨危機後の韓国のような道をたどるだろうと藤巻氏は予測しています。「円安」による輸出拡大→景気回復。しかしそこには今言われている今の「格差社会」なんて比にならない悲惨な状況を乗り越えなければならない。しかもその悲惨な状況は経済的弱者ほどもろに打撃を受けることになる。日本政府に文句を言っても「ない袖は振れない」し、IMFの管理下に入っているのでどうしようもない状況。こうならないためには日本を「円安」に導き時間稼ぎをしている間に日本に真の資本主義を徹底させるしかないという。しかし政治的な状況を見ると出来るのかどうかは分からない。「市場の反乱」に間に合わなければ日本はアジア通貨危機後の韓国のようにのたうちまわることになるだろう。(ただし、その後は今の韓国のように回復する)これが藤巻氏のお考え。浜矩子氏「ドル終焉」を読んだが、分析が真逆。浜氏は「アメリカ式市場主義に繋がりすぎていたからこの国がロクでもない状況になった」との分析だが藤巻氏は「アメリカ式市場主義が不十分だから日本はダメになった」との分析。さて、どちらが正しいのかは経済素人の私には分からない。ただ「日本政府と言えどもない袖は振れない」「政治家は国民をだませても市場はだませない」と言った主張には同意したい。金持ちでも、国債や銀行預金のみで財産を保有していた人は、実質的に財産を失います。金持ちから貧者へ真っ逆さまです。(p143)「じゃぁ、個人的にはどうすればいいのか?」と言うことについては触れられていません。その点については次作の「日本破綻 その日に備える資産防衛術」で述べられることになります。日本破綻「その日」に備える資産防衛術
2010.09.08
書評/漆原直行「ネットじゃできない情報収集術」3点/5点点ネットじゃできない情報収集術ネットを使った情報収集は、もはやできて当たり前。誰もが情報のアクセスを器用にこなすようになった時代で、さらに上をゆくには、ネットで検索するだけでは得られない、付加価値の高い情報を集められるようになることが大切になります。そのために街に出て、人と触れ合い、リアルな質感を備えた情報を集めていくことが、やはり重要になってくると、私は確信しています。(p212)上記引用がこの本のほぼすべてであり、他は著者の経験に基づき、具体的にどのような「方法」(場合によっては「視点」)で情報収集を行っていくかが書かれています。「五感」を使った著者の収集術に特段ものすごく目新しい者がある訳ではありません。要は「それを本当に実行するか」どうかの問題なのでしょう。アメブロにも書きましたが「私は行動をワンパターン化」するタイプなので反省材料としては意味のある1冊でした。1つだけやってみよと思ったのは「本屋」について。「本屋で本を見るのではなく本屋に来ている人たちを見なさい」と。この本に書いてある通り情報自体に価値があるのではなく情報から「付加価値」をいかにつけるのかが大事。私は「ググる」ことや「wikipedia」活用も肯定的にとらえていますが、大事なのは、「ググって得た情報の先に何か結びつけることが出来るのか」なのだと思います。
2010.09.06
書評/浜矩子「ドル終焉」4点/5点ドル終焉基軸通貨ドル終焉のドラマの第一幕がニクソンショックだったとすれば、いま、われわれはついにその最終幕に到達している。(p3)タイトルとこの文章がこの本の趣旨を表していると言えるでしょう。1971年「ニクソンショック」、1985年「プラザ合意」、1987年「ブラックマンデー」という一連の流れすべてが「ドル弱体化」の流れに沿っているという分析。経済的な知識も金融の経験もない私には浜氏の分析が正しいのかどうか判断できない。ただ私のような素人には「専門家(少なくとも私よりはだいぶ専門的知識がる人)がどのように経済を見るのか」を知ることは大いに意味があることだと思います。最近感じるのは「百人いれば百通りの分析・主張があるのが経済・金融界なのではないか」ということです。そもそもエコノミストと称する人達は言っている事がバラバラな訳ですから。要はいくら専門家の分析と言っても「仮説」の1つに過ぎないのではないかと感じます。ですからあまり専門家の意見を真に受け過ぎない事が大事かと。そして目標は専門家までとは行かなくても自分なりの「仮説」を持てるようにすること。専門家の「仮説」の是非を自分なりに判断できるレベルになること。なかなか素人には難しいでしょうが、日々勉強して、このような専門家の「仮説」を読んでいって自分でいろいろ考えていくしか、その道を達成する方法はないのだと思います。ということでこの本に書かれていることの正誤の判断は私にはつきませんが、「仮説」の1つとしては読んで勉強になる1冊だと思います。
2010.09.05
書評/五味一男「視聴率男の発想術」4点/5点「視聴率男」の発想術日本テレビにて「クイズ世界はショーバイショーバイ」「マジカル頭脳パワー」「投稿!特ホウ王国」「速報歌の大テン!」「エンタの神様」などをヒットさせてきた方の著作。そんな高視聴率番組の高率ヒットメーカーが最初に述べるヒットを生み出すための肝心な要素は「まずは、世の中でいちばん多い、いわゆる普通の人のことをよく理解しておく」(p55)こと。そして奇をてらうのではなく「どこまでも理詰めで考えたヒット番組づくりの理論を自分に持っているからこそ、多くのヒット番組を生み出す結果につながった」(p58)と述べている。つまり「はずさない」ことを意識しているのだ。その五味氏なりに考えた理論についてこの本で述べているのだが、実践にはかなりの「努力」がいるということ。「TV界でも出来ている人は少ないのではないか」と五味氏は指摘する。根性論を否定し、努力家から程遠い私ですが、少しの意識変化にて五味氏に少しだけ近づけそうなのは次のような事でしょうか。マニアックな自分自身というものをそこに温存しながらも、この「普通の人」の人格を作っていくことが重要なのである。それをマーケット的な文脈で言うのならば、流行のものも好き嫌いなく受け入れられる自分を形成することだと思う。(p87)例えば世の中ではやっていれば「ルイ・ヴィトンっていいじゃん」と思えたり、キムタクの良さが分かる自分を素直に作っていくことが大事。さて、私が最も気になるったのは「論理」やその「方法論」よりももっと根本にある話。私は映画監督や作家と違って、テレビを使って自分自身の考え方などを表現しようと思ったことなど1度もない。私はテレビというサービス業のプロとして幅広い人々に楽しんでもらおうと思っているだけだ。(p66)つまり「自分の好きなことをやれば必ずヒットするというのは間違い」というのが私の基本姿勢だ。(p106)自分の好き嫌いや個人的な趣味・嗜好は別として━考えていくのが私のやるべきことであり(p139)これらの考え方に共通するのは「徹底的なお客様目線」なのだと思います。きっと90%以上の仕事はこのようなスタンスでやらないといけない。残り10%の「自分の好きなこと」をかなり優先できる(可能性のある)職業は「芸術家」「学者」などかなり限られた世界だと思います。特にTVや興業などは「お客様が楽しんでくれるかどうか(良いと思ってくれるかどうか)」を特に重視しないといけません。私は野球を見ません。しかし以前、新庄選手がかなりそのパフォーマンスから野球ファンから人気を得ていました。新庄選手の成績が野球史に輝く程立派なものなのかは私には分かりませんが、ファンを大いに喜ばせたという意味ではプロとしての仕事をしていたのでしょう。元選手にはそのパフォーマンスに疑問を呈していた方がいたのですがそれはどうでしょうか?野球本体(の成績?)からかけ離れているように見えてその人には許せなかったのかもしれませんが、プロ野球は別に自己満足のためにある訳ではない事を考えないといけないと思います。要は他人さまからお金や時間をとって商業として成り立っている訳で、自己実現の場でも社会的道徳を実行する場でもありません。限度問題もあるでしょうけど(昔のボクシング・亀田兄弟はやりすぎでしょうけど)、基本的には人々が喜んでくれるかどうかが基本となります。新庄選手を批判する人は新庄選手を応援している人たちを批判していることになります。それは「俺は本格料理を作っているのにうちの店はガラガラだ。隣の店の料理は邪道なのにいつも満席だ。客はおかしい」と言っているのと同じです。お客様にしたら「そんなお前の想いは知らん」という話です。野村監督のつぶやきもかなりの意味でファンサービスでしょう。野村監督が敵視(ネタの部分が多分にあるのでしょうが)している長嶋監督もかなりファンが喜ぶかどうかを野村監督とは違う視点でしょうが意識していたように見えます。こういう意識を持てるかどうかが「プロフェッショナル」か否かを分けるポイントの1つなのでしょう。
2010.08.29
書評/和田秀樹「コツコツ勉強するコツ86」コツコツ勉強するコツ863.5点/5点*自分には関係ないので第3章「資格を効率よく取る勉強法」は読み飛ばしました。プロローグに次のような記載があります。ということは、脳を使い、知恵を絞って付加価値を生み出すことができない人材━いわば首から下だけの人間は、今後、二重の意味で、職を奪われる可能性が高いのだ。(p5)このような認識に基づき高学歴だからといってそれに胡坐(あぐら)をかき、これといった努力をしない「過去の人間」などは、まるで通用しなくなるだろう。その一方で、たとえ学歴は低くとも、たゆまぬ努力をコツコツ続け「高い技能レベルを身につけ維持できる者」は、高収入を得て大成功を収める可能性が高いのだ。(p8)という話につながっていきます。で、和田氏が提唱する勉強が続けられる「コツ」をひたすら伝授して行く訳です。結局、この手の本は自分にとって役立ちそうなもの&自分でできそうなものをいくつかpick upして実践していくのみ。実践するかどうかは別にして私が気になったのは「勝てる分野で勝負する」「似た仕事はまとめて効率アップ」「わからないことは人に聞く」「型にはまった文章を書く」「集中力を妨げるものは排除」「失敗は素直に認める」「疲れたらいっそ丸1日休む」あたりです。ちなみに「型にはまった文章」とは「問題(疑問)を提起する→その疑問に対する自分の意見→疑問に対する答え(結論)」なのだそうです。他の方が気になる部分はきっと違うでしょう。しかし、それが当たり前ですし、それで良い訳です。最後にこの本の中で印象に残ったエピソードを。あるやり手の社長は、タクシーに乗ったときに、目的地までの道順を説明するが、そのときに運転手から一言でも聞き返されたら、「自分の説明が悪かった」と反省し、新たな説明方法を考えるという。普通だったら、毎度説明している道順を理解できない運転手が悪いと思ってしまうはずだ。(p191~192)
2010.08.22
書評/岩崎日出俊「金融資産崩壊」金融資産崩壊3.5点/5点何度もこの本で繰り返されている事実がある。1929年10月の暗黒の木曜日。確かに株価はその後3週間かけて35%下がり続けたが、その後半年くらいかけてほとんどほぼ同じ水準まで戻している。しかし1930年4月を境にして株価は果てしない下降をたどることになる。そして最悪期を迎えるのは暗黒の木曜日から3年後。つまり1932年。1930年から32年までの間に株価は90%近く下落。暗黒の木曜日からすぐに株価や経済がまっさかさまに落ちていった訳ではないという指摘は興味深い。07年のサブプライム問題から数えて今年はちょうど3年目。08年のリーマンショックからはまだ3年も経っていない。「世界恐慌」の時で言えば「ちょっと一安心」してしまっていた時期とも言えます。今回の経済危機は世界恐慌時の二の舞となるのか、それとも約80年前の経験をもとに「英知」によってうまく乗り越えていくことができるのか?ちなみに「はじめに」によると「世界恐慌」の時、株価が元に戻るのは1954年。第二次世界大戦をはさんで25年かかってしまったそうだ。今の危機が本格化して「金融資産が崩壊」してしまったら25年も待てる人というのはどれくらいいるのでしょうか?そう考えるとぞっとします。ちなみにこの本でも触れられていますが株式の長期保有で知られるバフェットが生まれたのが1930年。暗黒の木曜日の翌年です。自分の投資人生の中で世界恐慌を知りません。となるとバフェットの株式長期保有方式も本当に正しいのかどうか分からないのではないかと。今までものすごくうまく行っていた投資方法が本当に(現在において/今後においても)正しいものかどうか分からない訳ですね。
2010.08.21
書評/「ヒトラーの秘密図書館」4点/5点ヒトラーの秘密図書館「若いころ、私には十分な教育を受けるために必要な資金も機会もありませんでした。だから、毎晩本を1冊ないし、2冊読みました。ベッドに入るのがひどく遅かった晩もそうでした」このように過去を振り返った男は一国の宰相に登りつめます。学がない男が猛勉強し、国民の支持を受け首相になる。立派なサクセスストーリーですが、困ったことにこの男の名はアドルフ・ヒトラーなのです。勤勉な男は総理になった後も毎晩読書に励みます。恋人のエヴァ・ブラウンがヒトラーの夜の読書を邪魔してものすごく怒られた事もあったそうです。それ位ヒトラーはマジメに読書しまくります。女よりも読書です。勤勉の鏡です。「与える人間には受け取ることも必要です。私は必要なものを本から受け取ります」(p181)ともヒトラーは言います。彼が本から受け取ったものは何だったのか。そして彼がドイツ国民に、いや全世界の人々に与えたものは何だったのか?戦争を風化させない事は大切です。戦争を二度と起こさないと覚悟を決めることも大切です。 しかし「勤勉の鏡のようにも見えるヒトラーが大惨事を引き起こしたのか?」もきっと考えないといけないのだと思います。そしてその事を考えるためにはこの本は必需品となるでしょう。終戦記念日に記す。この読書法によって、ヒトラーは、戦車の製造から舞台作品まで無数の問題に関して膨大な量の情報を記憶し、事実上即座に思いだすことができた。フリードリヒ・シラーとジョージ・バーナード・ショーの作品をヒトラーが比較するのを聞いたゲッべルスは、その晩帰宅して日記に、「この男は天才だ」と書きつけた。(p191)
2010.08.15
書評/野口吉昭「コンサルタントの習慣術」4点/5点コンサルタントの習慣術良い習慣は良い人生をつくる。人生は日々の積み重ねの結果である。そして、日々の生活の質を高める一番の方法は、良い習慣をマネジメントすること(=習慣術)にある。習慣術を自分のものにできた人には、ギフトが待っている。自分のミッション、ビジョンを手中におさめるというギフトだ。(p3)という文章から本書は始まっている。とにかく目標を立てて決心する、とにかく頑張るだけでは習慣化は成功せず、習慣化をマネジメントするポイントは(1)見える化(2)ランドセルサイクル(=物事を早く着手して、余裕を持って終わらせることを徹底する)(3)愚直さであるとのこと。私は「習慣の力」をかなり信じている方だと思います。「習慣に力がある」だけではなく、そもそも人間の(社会人としての)力の根源の1つとして「習慣」があるように感じます。06年にそのような内容の事をアメブロに書いた事もあります。(「力≠能力→力=習慣 NHK教育「視点・論点」日々をつくる習慣/長田弘氏」)特定の技能を持っている、特定の知識を持っているということも大事なのでどうしてもそのような技能や知識の有無の方に目が行きがちだけど(典型的なのは資格)、自分の持っている「習慣」もかなり大事である。いや場合によっては「習慣」の方が大事かもしれません。これだけ世の中が高速回転していると特定の技能・知識がずっと有効であるとは限らないからです。習慣というのはその人の基準点をつくるという面があるように思います。毎日勉強する人は、「毎日勉強する事」事が基準点となります。毎日勉強することが当たり前になるものです。逆に毎日全く勉強しないひとは「毎日勉強しない事」が基準点となります。毎日勉強することが基準点になっている人は1日勉強しなかっただけで「勉強できなかった」と感じるでしょうが、毎日勉強しない事が基準点となっている人は1日勉強しただけで「ものすごく勉強した」と感じます。この2人のどちらが良い人生を送る可能性が高いのか?自分の中で良い習慣をたくさん積み上げていけば良い人生を送ることができる可能性が高いでしょうけど、悪い習慣をたくさん積み上げていけば悪い人生を送る可能性が高い。では、どのような習慣を積み上げていけばよいのか。その答えを著者は提示しようとしているのだと思います。コンサルタントは常に「頭脳戦」であるだけあって、我々の何歩も先を行っているように感じます。自分より先を何歩も先を行っている人から学ぶ事は自分を向上させる有力な方法です。この本ではそれができると思います。最後に一番気にった文章を引用して終了します。入社数年の若手社員であったとしても、仕事の裁量というものは意外とあるものだ。営業日報の書き方ひとつとっても、自分の裁量で工夫ができるし、電話対応も自分の裁量で工夫可能だ。ほとんどの仕事は、自分で選べなくても、仕事のやり・態度は、自分で選べるし、その態度で自分の仕事人生が決まるといっていい。(p145)(p145)
2010.08.07
書評/大前研一「衝撃!EUパワー」4点/5点衝撃! EUパワー「はじめに」にて「EUはこれまで地球上に存在しなかった、全く新しい形の「国家」である」とか「EUはまさに「超国家」というべき存在になろうとしているのだ」というかなり高々とした宣言がなされています。確かに武力によらずこれだけの共同体を作ってきたのは歴史的と言ってよいのかもしれません。また大前氏の指摘する通り、経済圏として見る場合「EU」を1つの国家として見る方が合理的かつ現実的であるように思えます。この考え方によると日本のGDPは2010年にEU・アメリカ・中国に次ぐ第4位になるということになります。EU内(もしくはユーロ加盟国内)をバラバラにとらえるのではなく、1つの塊としてとらえる視点は大事でありながら我々に欠けている視点だと感じました。ただしこの本の出版が09年11月。ギリシャ発の欧州ソブリン危機が本格化していません。大前氏がEUの強さの大きな根拠にしているのが「ユーロが世界の中で最も厳しい財政規律によってその価値が保証されている」(p12)ことです。しかしながらこの財政規律がギリシャで守られていなかったことが明るみになった事により危機が起こりユーロが暴落している今(2010年8月現在)、大前氏がどのような見通しを立てているのか知りたい所です。(一時的な現象として変更していないのか、大幅に変更しているのか)今となっては「EUパワー」が起こした衝撃が著者のもくろみと全く違う方向で爆発しているもので・・・。
2010.08.01
書評/小宮一慶「あたりまえのことをバカになってちゃんとやる」 4点/5点あたりまえのことをバカになってちゃんとやる「はじめに」にて「小宮さん、ABCを大切にするといいことがありますよ」と言われた事が紹介され、話がずっと展開されていく。ABCとはA=あたりまえのことをB=バカになってC=ちゃんとやるの頭文字。ずっと読んでいけば色々かなり良い内容が含まれています。ですので具体的な事は実際にこの本を手にとって読んで頂きたいのですが、大局的視点から気づいたのは次のこと。「当たり前」であることのレベルを上げないといけない。一流の人が「当たり前」だと思っていることは私のようなグータラから見れば全く「当たり前」ではない事が多い。今の私から見ればレベルの高い事を「当たり前」だと感じられるようにならなければいけない。あとは「愚直」に実行していくのみ。結局は「高い精神性」と「実践」あるのみ。「そんな事はあたりまえだ」と簡単に思ってはいけない。「知行合一」は太古の昔から難しいのだから。
2010.07.31
書評/山崎元「超簡単 お金の運用術」3.5点/5点 超簡単お金の運用術「ベスト」とか「最新」ではなくても、「ほぼベスト」で「無難な」方法を1つだけ納得できれば、それで十分だろう。このコンセプトで書かれた1冊。確かに一般人にとってはそれで十分でしょう。(細かいことを追い求めていたら仕事や日常生活に支障が出てしまいますから)p20にて運用法の基本形が書かれていて、それでは不安すぎるには変形バージョンの「リスク調整可能型」が書かれている。その後には関連する話が進むが、要はこの2つのバージョンのうちの1つ選択する方法を実際にやるかどうか。読者の中でこの本で勧めている方法を実践している人はどれほどいるのだろうか?恐らくこの本の価値を決めるのはほぼこの1点なのでしょう。amazonのレビューでは結構高評価のようですが、読者を納得させても、その読者が実践しなければ意味がないのでしょう。よって私としては読者のうちどれくらいの人がこの本で勧めている方法で運用しているのかが気になりますが、それはちょっと確認しようがないですね。よって私は違う視点から2点ほど。1点目は今後の予測として「住宅バブル」は期待しにくいと述べている点。確かに人口が減っていけば土地は不要になっていきますから。他方、藤巻健史氏は(土地も含めた)「資産インフレ」が起こると予想しています。「経済というのは人によって見方が違うものだ」ということを感じさせます。もう1点の気になる点は「ドルコスト法の否定」。山崎氏は良く「ドルコスト法」を否定していらっしゃるようです。毎月一定額をいわゆる天引きで積み立てるといった方法も、貯蓄のためには有効だ。ただ、この際には、よく推奨されることの多い「ドルコスト平均法」(毎月、一定額を同じ対象方法に投資し続ける方法)は、ある種の気休めになるだけで、別段有効ではないので、ご注意申し上げておく。投資できるお金が相当額あれば、一気に投資してしまう方が、機会損失が小さいし、手数料も小さくて済む。p94最近、毎月積立式の投資信託を始めた私にはショッキング。しかも著者が所属する「楽天証券」にて(苦笑まぁ、投資に関しては人によって唱える良い方法が全く異なる訳で・・・。
2010.07.25
書評/藤巻健史「100年に1度のチャンスを掴め!サブプライムローン後のマーケットはこう動く!」100年に1度のチャンスを掴め!4点/5点藤巻氏の著作「藤巻健史の5年後にお金持ちになる資産運用入門」を読んだ後にこの本に手を伸ばしました。以前書いたレビューでも触れていますが、この本で藤巻氏は「資産インフレ」(株や土地などの値上がり)が来ると予測しておられました。この本が書かれたのがサブプライムローン問題が起こる前。そして今回読んだ「100年に1度~」は08年9月~09年1月に書かれたものを大幅に加筆・修正したとあります。よってサブプライム・リーマンショックを織り込んだ上で書かれたと考えて差し支えないでしょう。(当然、ギリシャ発欧州信用危機は起こっていませんが)さて藤巻氏は「資産インフレ」になるという予測についてどのように思っていらっしゃるのでしょうか?サブプライムローン問題が起きたせいで、資産インフレの到来が遅くなったことは認めます。しかし、この危機のせいで、より一層すさまじい資産インフレが起きるのではないか?と思いはじめたのです。(p19) と言うことで時期については後ろにずれこんだけれども、「資産インフレ」が起こるというお考えに変更はないようです。むしろ規模で言えば大きく「資産インフレ」が起こるとお考えのようです。ちなみに藤巻氏は「資産インフレ」に関してはかなり思い入れがあるらしく、景気回復には「賃金up」よりも「資産インフレ」が効果的との持論を展開しておられます。気になる方はこの本を手にとってその理論構成を読んで頂きたいのですが、私のような素人にとっては「(少なくとも私のようなど素人から見れば)専門家が経済・金融に対してどのよう思考をするのか」を読むことが大事なのではないかと思います。そして彼らプロ並みとはいかないでしょうけど、自分なりの考え(仮説)を持てるように勉強していく。このような姿勢で臨むのがベストなのかなぁと思っています。私はまだ自分なりの考え(仮説)を持てるまでには至っていませんが。100年に1度のチャンスを掴め!藤巻健史の5年後にお金持ちになる「資産運用」入門
2010.07.11
書評/赤塚行雄「田中角栄の実践心理術」楽天ブックのページ(2010年7月11日現在売り切れ)4.5点/5点田中角栄がただ<金だけ>で頂点に上り詰めた訳ではない事を力説する1冊。田中にしてみれば<金>はかなり有力ではあったけれども1つのツールに過ぎなかったのかもしれません。<金>は正確な情報や相手への配慮などと同様に、権力を維持するためや政策を実行に移すための有力なツールであったと。田中角栄は大きな戦術を間違いなく決めて、そして本当に細かい所に気を配りながら、物事を進めていきます。ボスである佐藤栄作に周りが見ていられないほど低姿勢で仕え続けます。これが角栄の大きな戦略だったのでしょう。結局、佐藤栄作も角栄を後継者にせざるを得ない所まで仕え尽くしたわけです。また「中間地帯にいる人間をすべて味方につけるぞ」(p209)と言う角栄の言葉が紹介されています。この大きな目標のもと角栄はチップの渡し方から葬儀の参加の仕方・やり方まで事細かく行っています。凡人は正しい大きな目標も立てられないし、細かいことにも気を配れない。できる人はこのうちのどちらかができる。超人はこれら両方ができる。角栄の「超人的」であった理由は「正しい大きな目標設定」と「細やかさ」と言う相反しがちな2つのものを持っていたためなのかと納得させられる1冊です。是非、若い方々(私くらいの年齢まで=30代前半)が手に取ってほしい1冊なのですが、2010年7月11日現在楽天ブックスにて品切れ。残念。
2010.07.11
書評/ビートたけし「裸の王様」 【中古】【古本】裸の王様/ビートたけし3点/5点ところどころ面白い所はあったし、全体としても間違った事を言っている訳ではないのだけど、何か突き抜けるような部分がないように感じました。まえがきにて「全然、別の方向に話が飛んでしまうこともある」と書いているから意識しているのでしょうが、全体的な統一感が感じられないので「突き抜けている」感じがしないのかもしれません。散文的に言いたいことを書いている感じです。雑誌の連載を1冊の本にまとめると統一感の喪失は起きやすいですが、そんな感じです。それでもたけし節は炸裂していますので、たけし節を文字で堪能したい方は手に取るとよいでしょう。
2010.07.10
書評/西田宗千佳「ipad vs キンドル」4.5点/5点iPad vs.キンドル佐々木俊尚氏の「電子書籍の衝撃」に引き続き読んだ1冊。「電子書籍の衝撃」を読むまではキンドル=amazonと言う事すら知らなかった位の無知識にとってはかなり面白く勉強になる1冊。恐らくこの世界の動きは速いし、この本にも予測の域を出ない事を書いてあるけど、「電子書籍の衝撃」とこの本を読んでおけば、基本的知識と最近の動向は把握できるかと思われます。「電子書籍の衝撃」がタイトルに「電子書籍」と入っているとおり電子書籍としての話が多いのに対しこちらの方が範囲が広いように感じます。また「電子書籍の衝撃」の方が既存の出版業界に批判的なのに対して、こちらではそのようなスタンスを採っていません。ちなみにタイトルは「ipad vs キンドル」となっていますが、ソニーのお話も結構出てきていますのでより広く勉強になります。「一般人はipad、キンドル位しか知らないだろう」という予測のもとタイトルがつけられたのではないでしょうか?(実際にど素人の私なんてそうですし)電子書籍の衝撃
2010.07.04
書評/「藤巻健史の5年後にお金持ちになる資産運用入門」4点/5点2005年11月に品川女子学院(高校)にて行われた金融講座の授業に、加筆修正したものです。初版は2006年3月30日とあります。藤巻氏が考えるお金持ちになる人とは次のような人。経済の流れを見て、これからインフレになるのか?デフレになるのか?そういうことをきちんと見極められた人がお金持ちになっているのです。(p30)もっと詳しく言えば次のような人。どういう状況になればインフレになるか、どういう状況になればデフレになるかということをはっきりわかっていて、かつ、インフレになったらどういう商品がいいのか。株がいいのか、土地がいいのか。デフレになった時にはどういう商品がいいのか。国債とか、銀行預金とかがいいのか。そういうことをきちんと理解できた人の勝ちなのです。(p36)このような考え方は小宮一慶氏に似ているのかもしれません。小宮氏は「お金を知る技術 殖やす技術」にてリバランスは、景気の変わり目に行うのが正解です。簡単に図に示しましたが、「デフレ←→インフレ」「景気拡大←→景気後退」などの兆候が現れたときに、金融商品のバランスを変えるのです。(中略)景気やインフレ動向によって、適切な金融商品が違うからです。(p42)デイトレに否定的な辺りも藤巻氏と小宮氏は共通していると思います。で、結局どうすればいいのか?と言えば至極当たり前の話に藤巻氏は持っていきます。お金を稼げる人と、稼げない人の違いは、こうした経済学、経済の仕組みをきちんと勉強しているか、していないかの違いです。経済のうねりについて、自分なりの判断が出来るような努力をしているかどうかです。(p190)当たり前ですが「ちゃんと勉強しろ」と言うことですね。ちなみに勉強の話で興味深かったのは「複式簿記の考え方」「複式簿記的なものの見方」が役に立っているそうです。興味のある方は複式簿記の勉強をして見てはいかがでしょうか?横着な私は勿論やりませんが(爆さて、最後に。藤巻氏は今後「資産インフレ」が起こると予想しています。株や不動産の値段が上がるとの予測。うーむ、まだ起きていません。サブプライム問題もリーマンショックも起きる前の話ですから、完全に外れたのか?藤巻氏は考えを変えたのか。今「100年に1度のチャンスを掴め!」と言う藤巻氏の本を読んでいます。こちらは08年9月~09年1月に書かれたものを加筆・修正したもの。ここにも「資産インフレ」の話が出てきます。読み終わったらレビューを書きたいと思います。(私が読んだのはハードカバー版です)藤巻健史の5年後にお金持ちになる「資産運用」入門 藤巻健史の5年後にお金持ちになる「資産運用」入門100年に1度のチャンスを掴め!お金を知る技術殖やす技術参考「お金を知る技術 殖やす技術」のレビュー
2010.07.03
書評/ランディ・パウシュ「最後の授業 ぼくの命があるうちに」最後の授業4点/5点がんのために余命数カ月と宣告された大学教授。その大学教授が行った「最後の授業」について書籍化。「最後の授業」とは教授らが「もし死ぬ事が分かっていたら」という仮定のもとに、教鞭をとるもの。リアル版「最後の授業」であり、人生の最期の時を迎えようとしている教授が選んだテーマは学術的なことではなく「子供のころからの夢を実現するために」。このテーマに沿って話が進んでいく。途中、僕はいつも、格好いい人よりまじめな人を高く評価する。格好いいのは一時的だが、まじめさは長続きする。(p155)と言う文章があります。著者の生き方(の指針)を大きく反映しているように見えます。著者はまじめな人であり、まじめであるから<<本当に>>格好いいと言って良いのかもしれません。最後に素敵な言葉を1つ。人生を正しく生きれば、運命は自分で動き出します。夢のほうから、きみたちのところへやってくるのです。(p246)
2010.06.25
書評/武田知弘「ヒトラーの経済政策」ヒトラーの経済政策4点/5点ナチスやヒトラーを単なる「すべて悪」と決めつける思考からの脱却を試みた1冊と言って良いでしょう。amazonのレビューを読むとナチス擁護しすぎだと言った意見や言葉をもっと選んだほうが良いと言った意見もあるようです。しかしナチス・ヒトラー=「すべて悪」と言う事が多くの人の中で<<無思考で>>インプットされている事態にに対してバランスを取ろうと著者がしたのなら、その意図は汲み取っても良いのではないかと思われる。私は勿論ヒトラーの行った戦争やユダヤ人大虐殺を認めるつもりはありません。ナチスは民主主義を目の敵にしましたが、私は民主主義を支持しています。(私の尊敬する1人は日本版シンドラーと言われた外交官・杉原千畝ですし、20歳になってから国政・地方選挙には10年以上皆勤賞です)しかしながら物事や人を評価するべき時に完全なる勧善懲悪で割り切れない事も知ってます。A=悪とかA=悪人と決めつけられたらどんなに楽なことか。そこで思考停止することが出来るからです。しかし、実際にはそうではない。そこが人間や人間作った社会の難しい所で、多くの善良なる人々を苦しめる点なのだと思います。ナチスやヒトラーが何故あんなにドイツ国民に受け入れられたのか?この問いを考えることが「ナチスヒトラー=100%悪」と言う勧善懲悪的発想から抜け出るための方法になりうるのだと思います。ナチス・ヒトラーがドイツ国民に受け入れられた大きな原因の1つはこの本のタイトルになっている「経済政策」にあるのでしょう。ドイツ国民は第一次大戦後、経済がめちゃくちゃになった。その後少し安定した時期もあったが、世界恐慌の影響をモロに受けまた経済が大混乱。今のリーマンショックの比にならない程の経済危機を受け続けたドイツ。世界一民主主義と言われた「ワイマール憲法」の精神はもはやドイツ国民から見捨てつつありました。議会が少数乱立となり経済危機に対応できなかったからです。大統領(と大統領に選ばれた首相)の半独裁状態となり、最後に議会第1党のナチスに政権が渡ります(正確には最初はヒトラーを首相とした右派連立政権)が、議会第1党のナチスが民主主義を目の敵にしている政党でした。(当時躍進していた共産党もその点は同様ですからもはや民意の多数が民主主義の否定に走っていた訳です)いくら崇高な理念や制度を作っても「飯が食えなければ国民は見捨ている」と言うことでしょう。そしてヒトラー内閣は急激に経済を立て直します。完全にヒトラー内閣の成果と呼ぶかどうかは経済学者によって分かれるところなのでしょうが、ドイツ国民にはナチスが生活の安定を与えてくれたように感じたでしょう。そして民主主義時代よりも政治に対して信頼を置いていたかもしれません。そして何よりナチス・ヒトラーは現実主義であった。ヒトラーも当初は柔軟な現実主義者であったが、初期の経済策を行ったシャハトが現実主義者だった。だからドイツ経済が大きく救われた。これは事実ではないかと、経済オンチの私には見えます。以下シャハトの言葉「経済政策は科学ではない、ひとつの技術である。だから確固不動の経済方策や不変の経済法則について云々するのは誤りである。経済政策家は不可能に見えるものも可能にすることができなければならない」(p193)そしてこの本ではこう記述しています。シャハトは、特定の経済思想を信仰するのではなく、経済の動きを見つつ、失業者が増えないように、景気が悪くならないように、適切な手を打っていく。その手法は、あるときは社会主義的であり、あるときは資本主義的であり、あるときは伝統的な商慣習を重んじたものであったりする。実際に、シャハトは玉虫色のような政策を採ってきた。(p194)このような現実主義的な政策によってドイツ経済を救ったのが事実だとしたら。。。当時のドイツ国民に向かって「ナチス・ヒトラー=すべて悪」と言う事を声高に叫んだとしても彼らにその声は本当に届くのだろうか?彼らにしてみれば有効な経済政策を打てなかったそれまでの民主政府の方が悪であり、過酷な賠償金を課し、ドイツに対して過酷な国際体制(ベルサイユ体制)を生み出した第一次世界大戦の戦勝国の方がよっぽど極悪非道なのかもしれません。ヒトラーの経済政策
2010.06.19
書評/ナシーム・ニコラス・タレブ「まぐれ 投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」4.5点/5点まぐれ今行っている投資方法が好調だからと言って明日同じような状態にあるとは限らない。過去の投資結果が良かったからと言って、その投資方法が明日も通用するとは限らない。学校のテストのように完全な○×で区切ることが出来ないのが投資の世界。100人同じ境遇の人間がいたとしても、その100人に同じ額の金銭を与え「本当に良いと思う投資をして見ろ」と言えば100通りの投資方法(答え)が出てくるのではないだろうか?しかしながら、人は過去の結果をもとに何とか一番良い投資方法を探そうとしてしまう。だから「あのファンドマネージャーの実績は素晴らしい結果を出している。だからこれからも良い実績を出してくれるに違いない」と考えて出資する投資家は多いだろう。しかし、過去の結果が良いからと言って明日も同じ結果を出し続けるとは限りらない。万が一カリスマファンドマネージャーの投資方法が99%の確率で高リターンを生み出すが1%の確率で全財産を失うようなものだったらどうだろうか?1%という確率は確かにものすごく低い。しかしながらその1%に当たったらすべてが吹き飛んでしまうのだ。彼が99%の高リターンを出し続けている間、その1%のすべてが吹き飛んでしまうリスクは見えない。すべてが吹き飛ぶということの重大性にもかかわらず、1%という確率の低さも相まって多くの人はその重大なリスクを意識しない。これは個人も同じことである。自分が今行っている投資方法がうまく行っているからと言って明日も成功するとは限らない。今高リターンを生み出している投資方法は1%の確率ですべてを吹き飛ばしてしまう投資方法かもしれない。でも自分自身ではその重大なリスクに気づかない。この本では「無限大匹のサルをタイプライターに座らせて好きに叩かせると、「イーリアス」を正確に書きあげるサルが一匹は出る」という話が出てくる。つまり、母体数が多ければそのようなことが起こる可能性は十分あるというわけだ。そしてこの本は次のように問いかける。「では、そのサルが次に「オデュッセイア」を書くほうに賭ける人はいるだろうか?」(p170)投資家も同じようなものであるかもしれない。カリスマ投資家はものすごい母体数がいる中の1人に過ぎない。個人でもFXなどでぼろ儲けしている人がいるがその人はものすごい母体数がいる中の1人過ぎない。「イーリアス」を正確に書いたサルのように。反論もあるだろうけど、投資だけの話ではなく人間一般に共通する話として次の文を引用。「私たちは成功すればそれは自分の能力のおかげ、失敗すればそれは運が悪かっただけと考える」(p294)これらが私がこの本を読んで学んだことの一部。もしこれらの事に共鳴する部分が多いのなら1回手にとってこの本を手にとって目を通すことをお勧めします。かなり分厚い本ですが。まぐれ
2010.06.12
書評/佐々木俊尚「電子書籍の衝撃」電子書籍の衝撃4.5点/5点ipodが衝撃的に出現し、大きく変化した音楽業界。私は音楽をダウンロードした事がないが、今の若者の多くが私の10代(90年代=この本でも触れているがCDセールス黄金期)の頃のようにCDを購入せずに、ダウンロードしていることくらいは何となく聞いた事がある。このような世の中の動きに疎いレベルの私にとってはかなり読みごたえのある1冊。激変した音楽業界と対比させながら、そして新しく出てきたキンドル・ipadの状況を踏まえ、そして日本の出版業界の構造的欠陥を指摘しつつ、佐々木氏の描く本のありかたの「未来予想図」が提示されている。確かにこれはあくまで佐々木氏の描く未来<予想図>であると言われればそれまでである。しかしながら生きることに真摯(しんし)な人は現状をきちんと把握しようと<努める>ものであると思う。そして変化をきちんとして受け止める。(もっと言えば世の中に取って良い変化をきちんと評価する)脳科学者・茂木健一郎氏が2010年6月8日のブログ「クオリア日記」にて「誰もが同じ情報に接していたマスメディアの時代が終焉し、能動性とロングテールが共進化する時代」と言う記事を書いている。このような本を書く佐々木氏やこのような記事を書く茂木氏。この2人は生きることに真摯なのだと思うし、こういう姿勢をマトモというのだろうと思う。私が佐々木氏のことを知ったのはNHK総合「激震マスメディア」と言う番組。マスコミ代表数人とITを支持する(しそうな)スタンスの人数人が出ておられた。IT支持側は比較的まともなことを言っておられたが、私の中では佐々木氏がかなり際立ってすばらしかったという印象を受けた。他方、マスコミ側は発言の内容がひどく(人選に問題。肩書きのある老人だけ。現場感覚を反映していないだろうし、立場がある分ホンネを言えないこともあるだろうし)、あきれかえってしまった。広告収入の低下について<構造的な問題であることを否定し、リーマンショック後の不況による一時的な現象>との趣旨の発言には絶句した。「そんな経営姿勢では(長期保有の)株主はたまったものではない」と私は思うが、私が彼らへの出資者ではない事を幸運に思えばいいだけのことか。私の中ではマスメディア側のひどさと佐々木氏の素晴らしさのコンストラストを鮮明に記憶する番組となった。電子書籍の衝撃
2010.06.12
書評/勝間和代「起きていることはすべて正しい」3.5点/5点起きていることはすべて正しい起きていることはすべて、自分に対するメッセージ、あるいは何らかのチャンスとして受け止めよう。そしてそのメッセージを分析し、そこに対して持っているパーソナル資産を正しく割り当て、使い切り、最大の成果になるよう行動しよう。(p262)上記の部分がタイトルにもなっている「起きていることはすべて正しい」と言葉の本意なのだそうです。どうもこの本においては賛否両論のようです。(amazonのレビューでは少し否の方が多いでしょうか?)賛否の理由はいろいろあるでしょうが、今回気になったのはamazonなどのレビューではなく、東レ経営研究所社長の佐々木常夫氏のコラム。その名も「「起きていることはすべて正しい」は正しくない」と言うドストレートなタイトル。この中で佐々木氏は私は自閉症の長男と肝硬変とうつ病を患った妻のため必死で仕事と家族の両立を図ってきて、どちらもかろうじてそこそこの結果を出したが、それはたまたま幸運に恵まれていたからではないかと感じている。私の妻は一歩間違えば死んでいた(3回目の自殺は普通なら死んでいたのだがたまたま娘が見つけて助かった)し、忙しい部署からの異動がなければ、妻のうつ病は回復しなかったかもしれない。そうであれば私の人生は挫折の一語であって、本を出版したりテレビに出たりすることもなく「ワークライフバランスのモデルケース」などと言われることもなかっただろう。私が経験したことはたまたま起こったことで、人生ある意味では成功も失敗も紙一重のところにあるのではないか。と述べています。さらに多くの場合、そばにどんな人がいたか、そのとき同時になにが起こったかなどさまざまな運、不運も大きく影響していると思う。とも述べています。NHK教育「仕事学のすすめ」にも佐々木は出演しておられました(ただし勝間氏が担当ではない)が、その時に家族の病気のことを詳しく取り上げられていました。もう1つのブログにその時のことを取り上げています。この番組では佐々木氏は次のように述べておられます。ハンディを持っている人はどの位いるかと言うこと。身体障害者は日本に350万人いる。うつは500万人いると言われている。自閉症は100万人。認知症は200万人になろうとしている。アルコール依存症は240万人いるそう。こう言う人を足しあげたら2000万人をあっという間に超えちゃう。日本人の5人に1人が何らかのハンディを負っている。にも関わらず、この世の中は健常者だけで構成されているように見える。それはみんな言わないから。そういう重い荷物を背負った人がどれだけたくさんいるか。みんなそれを誰にも打ち明けられずに苦しみながら、家族だけが共有しているかもしれないが、必死に生きて頑張って、それで結果が出ない人がどれだけたくさんいるのかと言うこと。勝間氏と佐々木氏のスタンスの違いはもしかすると一時期話題になった勝間和代氏VS香山リカ氏のスタンスの違いに通じる部分があるのかもしれません。(詳しくはありませんが)勝間氏はいま起きていることを否定したり、こうだったらいいなあと夢想しても仕方がない。それよりは、起きていることから、何を学び取り、どのように行動すれば、いま一瞬のこの時間を最大に活用できるか(p3~4)と書いておられます。さらには早い出産のおかげでワークライフバランスにも、効率的な働き方にもいち早く目覚めることができました。日本企業で左遷されたおかげで、外資系に行く決心がつきました。勤め先が不安定だったおかげで、あえて企業に執着せず、30代のうちに独立も実現しました。これらはすべて、環境の悪さを嘆いて、行動を起こしていなかったら、何も起きないどころか、もっともっと自分自身、生きづらくなっていたでしょう。(p324)とあります。勝間氏のこの意見は受験勉強を考えると分かりやすいでしょう。受験生は「たくさん参考書を買うお金がない」「部屋がうるさい」「部活で時間が取れない」「彼女と付き合っているので集中できない」etcと理由をつけて勉強をしないことがあります。しかし全部の状況がそろう状況なんてないのだからどうすれば一番よいのか良く考えてやるしかありません。このようなことは受験生だけではなく社会人一般でも同じことです。他方、どうにもならない環境にいる人も中にはいます。佐々木氏は奥さんの病気でだいぶご苦労されたそうですが、病気もどうにもならない環境の中の1つです。自分が潰瘍性大腸炎と言う病気(難病に指定)だから分かりますが、病気を気力や努力や場合によっては工夫で乗り越えようとしてもどうにもならない事があります。(むしろ悪化させることすらあります)このような環境に置かれた人の多くが佐々木氏のように「成功/不成功にだって運の要素がある。そしてその運はどうにもならないタイプの運である」と言う考え方になったり、このような考え方に賛同しやすい傾向があると思います。しかし勝間氏自身が「成功者はすべて努力のたまもので、成功しなかった者はぜんぶ努力不足」と思っているのかどうかはかなり疑問。と言うのも勝間氏が「まぐれ 投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」と言う本を勧めておられるから。勝間氏が勧めている理由はそこにはないのかもしれないが「まぐれ~」には「私たちは成功すればそれは自分の能力のおかげ、失敗すればそれは運が悪かっただけと考える」(p294)とあります。勿論、勝間氏が勧めた本の一節にこのような表現があるからと言って勝間氏自身がこの考え方に肯定しているとは限りません。しかし私は勝間・佐々木両氏の間にある溝は「努力しても仕方がない範囲の広さ」にあるのではないかとみます。佐々木は自身の経験から「努力しても仕方ない範囲」が広い。他方勝間氏は「努力しても仕方がない範囲」が佐々木氏に比べると著しく狭い。佐々木氏から見れば全く同じ土俵に上げるのはコクだろうと言う範囲の一部が勝間氏には「ベストな環境がそろうことはないのだから~」という発想で切りすてられている。私自身も色々努力・工夫して物事に取り組んでいかないと思いますが、「健常者と全く同じ土俵に乗ってください。結果も同じように出して下さい。努力と工夫でどうにかなりますよね?」と言われてしまうと困ってしまいます。ただしこの佐々木氏と勝間氏の溝に明確な正解を導くのは不可能だろうと思います。ここだという明確な線引きを引きようがない。事業仕分けでズバズバ「ムダだ」と断定しているけど、本当にムダかどうかなんて判定が難しいことが多いのと似ているのかもしれません。私にはこの溝の問題に私なりであっても答えが出せません。ただしいち難病患者として、皆さんにはちょっと考えてもらいたい問題です。 【中古】ビジネス ≪ビジネス≫ 起きていることはすべて正しい-運を戦略的につかむ勝間式4つの技術【10P04jun10】【お買い物マラソン06more10】起きていることはすべて正しいまぐれ
2010.06.05
書評/斎藤俊行「投資信託にだまされるな!にだまされるな!」3点/5点竹川美奈子氏の著作に「投資信託にだまされるな!」と言うのがあるのでその反論本かと思って購入。と言いつつ「投資信託にだまされるな!」は読んでいないのですが(汗竹川氏の著作は「しくみマネー術」と「「3000万円をつくる投資信託術 サラリーマンのためのインデックス投資入門」を読んでいて、この2冊を読んでいれば竹川氏の投資信託に関する考え方はおおむね理解できると(勝手に私は)思っています。私の感じる限りは竹川氏への反論本ではないように感じます。結構同じような考え方も多いですし。勿論違うところもたくさんあります。しかし専門家でも100人いれば100人の「アセットアロケーション」「ポートフォリオ」がある世界でしょうから、別に反論でもないと思います。斎藤氏の主張として面白い点(特徴的な点)は・良いアドバイザーを見つけろ(ネットを使って自分でなるべく安い経費でインデックス型を選ぶ事を勧める竹川氏とは異なる視点 しかし自分がアドバイザーをしているのだからこのように主張するのは当然と言えば当然と言えるのかもしれない)・資産作りには倹約は欠かせない・日本株のインデックスファンドを中心に書かれているマネー本が多すぎる(アメリカや日本を中心とした先進国中心の株・債券の運用でうまく行くのか?)→バランスよりも「分散×選択・集中」のテーマを持ち、いかにして「続ける」ための環境を持つかどうかあたりでしょうか。どうも斎藤氏は「日本株(や先進国)だけの株・債券(のインデックス)ばかり投資して長期と言う名のもとにほったらかしにしてどうするの?」と言いたいのではないかと思います。サブタイトルをも含めて考えるとやはりそうなのでしょう。日本人として日本に住んでいるのだから日本のことは良くわかる。だから日本関係にも投資するというのは合理的なように聞こえます。しかし専門家として日本株・債券に長期投資を勧めるのならば「少子化により市場規模縮小/政府の借金体質etc」などの高リスクを抱える日本に何割もの投資をしなければならないのかを説明しなければならないでしょう。ヨーロッパもギリシア1国の問題への対応へ四苦八苦している状況です。アメリカは「強欲資本主義 ウォール街の暴走」と言う本によるともはや「モノ作りが出来ない国」になり下がっているそうです。このような状況は確かに直視しなければならないと思います。しかしながら投資に正解がないのも事実。さて、みなさんはどのように考えて投資をするでしょうか?参考「強欲資本主義 ウォール街の暴走」のレビュー「3000万円をつくる投資信託術 サラリーマンのためのインデックス投資入門」のレビューしくみマネー術のレビューあ「投資信託にだまされるな!」にだまされるな!投資信託にだまされるな!投資信託にだまされるな! Q&A「しくみ」マネー術3000万円をつくる投資信託術強欲資本主義ウォール街の自爆
2010.05.30
書評/大前研一「知の衰退からいかに脱出するか?」(09年4月15日楽天レビューの再掲)5点/5点p377にて福澤諭吉の「学問のすすめ」が紹介されているが、この本は2009年版「学問のすすめ」と言えるかもしれない。国も組織もあなたを支える余力はないのだから個々は自立(independent)しないと生きていけないし、国全体も没落していくだけだと。にもかかわらず自分たちのバカさを理解していない。若者を馬鹿にしているいい年をしたお前もバカだと。「無知の知」と言う言葉がある。哲学的な正確な意味を私は知らないが「知らないことを知りなさい」と意味で世間では流布している。まずは「無知の知」を知り、何をしたら良いのかを本書を読んで自分で考え、そして何よりも「実行」する。もう1度書く。「実行」する。納得するだけではダメ。「実行」あるのみ。それが自分自身の自立につながり、多くの人が自立することでニッポンの自立も達せられるのだ。国民必読の1冊と言っても過言ではないと思う。 【中古】政治・経済・社会 ≪政治・経済・社会≫ 「知の衰退」からいかに脱出するか?【O-netpoint】【エントリー0525】「知の衰退」からいかに脱出するか?
2010.05.30
書評/神谷秀樹「強欲資本主義 ウォール街の自爆」4点/5点タイトルから分かる通り「アメリカの金融は間違っている!」と言うことを書いた1冊。モラルの欠如・えげつなさをこれでもかと書いている。しかし単にアメリカの金融界がモラルがない・えげつないと言うだけであれば、それはそれでまだ何とかなるのかもしれません。しかし私がこの本の指摘の中で最も衝撃を受けたのは「アメリカはもはやモノ作りが出来なくなってしまった」と言うことです。アメリカにおける金融業は「モノ作りができなくなってしまったからが発展した」とさえ言えるかもしれません。(p56)とあります。しかしながらもっと言えば「アメリカには他に有力な産業がもはやなかったから金融業に経済の根幹を頼らざるを得なかった」とすら言えるかもしれません。しかしながら強欲資本主義が蔓延するほど(強欲金融が短期的な利益だけを求めて普通の産業を食い物にするほど)、他の産業は衰退してしまうやめ金融に頼らざるを得ず、そうなるとさらに強欲金融が他の産業が食い物にして・・・と言う負のスパイラルにアメリカは陥ってきたのではないかと想像してしまいます。神谷氏の言葉を引用して終了します。皆さんも自国の経済の在り方を考えてみてください。東京を国際金融都市にと闇雲に突っ走る、日本人が「モノ作り」を忘れて、金融事業に没頭するというのは、「日本人が日本人であることをやめる」に等しい愚案だと思うからだ。(p58) 【中古】新書 強欲資本主義 ウォール街の自爆【O-netpoint】【エントリー0525】強欲資本主義ウォール街の自爆
2010.05.30
書評/小宮一慶「数字力養成講座」「楽天ブック」はこちら(ただし2010年5月30日8時現在売り切れ)4点/5点その名の通り「数字力」を高めるための1冊。仕事ができない社員の共通点として「なぜか数字の桁を間違える」と言うことを小宮一慶氏は挙げておられます。そんな私が手に取った1冊。「悲しい現実をなげくより今何ができるかを考えよう」と言う歌詞がZARDの曲にありましたが「出来ない現実をなげくより今何ができるかを考えて対処する」と言う姿勢・行動が大事だと思います。と言うことで私のように「桁を間違えそうな」人に手に取ってもらいたい1冊。小宮氏が実践されている方法が述べられています。例えば定点観測。定点観測とは毎日・毎週など、同じ項目の数字を見続けるということです。また「基本的な数字は頭に入ってないと仕方がない」と言うことで巻末に一覧がついています。この辺はいつも小宮氏は親切です。実際、具体的に数字の落とし込むことなく、いつも漠然とした話し方をする人で、仕事ができる人を見たことがありません。数字が他人には信頼感を呼び、自分には目標達成能力を高めるのです。(p168)とあります。しかし他方で、数字が主となることをあとがきにて、いさめておられます。数字そのものが目的になってしまっては本末転倒です。数字は、目的ではなくて、あくまで「結果」なのです。(p189)こういった姿勢は「本質をはずさない」と言うことでしょうし、バランス良く(中庸の道を行く)と言った事なのでしょう。数字を無視するわけでもなく、かと言って数字にのめりこむ訳でもなく、このバランスが大事であるのかもしれません。
2010.05.30
書評/押切もえ「モデル失格」モデル失格3.5点/5点1979年生まれのファッションモデルの押切さん。同じ1979年生まれの公務員の私。同じ年に生まれながら性別も違えば生き方も真逆と言うことで、興味があり手に取った1冊。この本を読んで感じたのはやはり彼女は「勝ち組」であるということ。収入面でと言うのもあるでしょうけど(だって文字通り「ケタ」が違うでしょうから。私の収入はコチラ)しかし彼女はきっと「人生における」勝ち組なのだと思います。それは次の一文に現れていると思います。「時間」「言葉」「場所」・・・・この3つは使いようでいくらでも自分の好きなようにできます。(p160)元コギャルであろうがちゃんと考えて、ちゃんと行動すれば成果が出るということです。逆に言えばいくら学歴が高くてもこういうことがわかっていない人は賢くはない。「時間」「言葉」「場所」の使いようが悪かった私と使いようが良かった押切さんとの差が「人生における」勝ち組であるか負け組であるかを分けたように感じます。私は男性なのでどうやっても参考にできない部分もありますが、モデルなどの世界とは関係なくとも非常に参考になる考え方・行動が詰まっています。「至極当たり前なこと」と言われればそうなのですが、「至極当たり前なことを意識し、行動し続ける」のはものすごく大変なことです。「至極当たり前なこと」を意識化して文章化するだけでも結構大変なのです。それが出来ているだけで押切さんがまっとうな生き方をしているのが分かります。<参考>もう1つのブログ記事「考古学者とモデル」「チャンス 照れずにツッ走って幸運を味方につけよう」モデル失格
2010.05.22
書評・竹川美奈子「3000万円をつくる投資信託術 サラリーマンのためのインデックス投資入門」4点/5点3000万円をつくる投資信託術*私は経済・投資ど素人ですのでその点を差し引いてお読み下さい!竹川氏の著作は「しくみ マネー術」に続いて2冊目。同じ著者が投資素人向けに書いているので重なる部分も多いです。当たり前ですが「基本姿勢」も変わりません。ただ「しくみ マネー術」はタイトルの通り継続できる「しくみ」の作り方に主眼を置いています。「3000万円~」は竹川氏の考える目論見書や運輸用報告書の読み方のポイント(P-CCAPの法則など)やマザーファンドと言った制度の説明などが書かれています。また初版が2010年4月と言うこともあり2009年10月にスタートしたe maxis topixインデックスが「低コストのインデックスファンド」の例として載っています。素人考えですが「しくみ マネー術」とこの「3000万円~」を」読めば竹川氏のお考えの概要は理解できるのではないかと思います。ところでどうも竹川氏は勝間和代氏との投資方針の親和性が高いのか「勝間和代のお金の学校」にて対談が掲載されていますのでこちらも参考になるかもしれません。勝間氏の「お金は銀行に預けるな」も基本的には投資に対して同じスタンスを取っているように思います。最後に蛇足ですが竹川氏の著作に「投資信託にだまされるな!」と言うのがあります。最近「「投資信託にだまされるな!」にだまされるな!」という本が出てきたそうです。私はどちらも未読なのですが、投資本に限らずこのような反論本(反論のようなタイトルがつく)のは相手がメジャーである証拠ですので、竹川氏のスタンスはかなり投資界(または投資本の世界)ではメジャーと言えるのかもしれません。3000万円をつくる投資信託術「しくみ」マネー術勝間和代のお金の学校お金は銀行に預けるな投資信託にだまされるな!「投資信託にだまされるな!」にだまされるな!参考「しくみ マネー術」のレビュー→「コチラ」「お金は銀行に預けるな」のレビュー→「コチラ」
2010.05.04
書評・小宮一慶「日経新聞の「本当の読み方」がわかる本」4.5点/5点日経新聞の「本当の読み方」がわかる本本書の内容は大きく分けて3つ。1つ目は小宮氏が行っている曜日ごと(日曜日・月曜日・火曜日~金曜日・土曜日)の日経新聞の読み方。2つ目は個別の記事を例にしてどのように読むべきかをレクチャー。3つ目は主な指標の過去20年分のデーター(必要な場合はわざわざ計算しなおしてくれている!)を掲載。私は「日経新聞の数字がわかる本」に続いて購入しました。「日経新聞の数字がわかる本」を「善意の塊」と書きましたが、この本も「善意の塊」だと思います。わざわざ過去20年分のデーターを載せてくれているのだから。私は日経新聞の記事を切り抜き喫茶店にて読むということをしています。その際、「日経新聞の数字がわかる本」をテーブルに置き辞書代わりに使用しています。今はそれプラスこの本の過去20年分データーをコピーして過去の数字を知りたい時に使っています。とても重宝しています。勿論データー以外の部分も非常に役立ちます。しかしながらこんなデーターをつけてくれる小宮氏の心遣いはすばらしいと思います。まさに「善意の塊」です。日経新聞の「本当の読み方」がわかる本日経新聞の数字がわかる本参考「日経新聞の数字がわかる本」のレビュー→「コチラ」
2010.05.01
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