鑑賞日:2010年5月23日(日)14:00開演
入場料:¥7,560 C席4階(2列)
主催:新国立劇場
リヒャルト・シュトラウス作曲
歌劇「影のない女」
(全3幕 ドイツ語上演/字幕付)
会場:新国立劇場・オペラ劇場
指 揮:エーリッヒ・ヴェヒター
管弦楽:東京交響楽団
合 唱:新国立劇場合唱団
演出・美術・衣裳・照明:ドニ・クリエフ
出演)
皇 帝 :ミヒャエル・バーバ
皇 后 :エミリー・マギー
乳 母 :ジェーン・ヘンシェル
霊界の使者:平野 和
宮殿の門衛:平井香織
鷹の声 :大隅智佳子
バラク :ラルフ・ルーカス
バラクの妻:ステファニー・フリーデ
感想:
シュトラウス作品の中では余り演奏されず日本での本格的公演は1992年バイエルン国立歌劇場公演以来18年ぶりとのことと、演出が新国立初登場のドニ・クリエフのプレミエとのこともあり、雨の中初台へ出かけた。
幕が開くと舞台上部まで届く細長い壁が複数枚あり、この壁は金網の中に石状の物が入れられている。人手で動かし、充てるライトの色やを形を変えることで、城の城壁、魔界の壁、牢になったりする。もう一つの民家の壁と屋根をかたどった板があり、こちらは染物屋の家、鷹狩りの小屋になったりする。
この2つを短時間で前後させることで、素早く場面転換することで幕中の音楽を途切れさせない。
また舞台床前半分の色が変わることや、大きな木が加わり、場面を解りやすくしていた。
シンプルながらもよく考えられた舞台装置と言える。
写真はこちらへ
。
音楽の方はシュトラウス最大のオケ編成とことで、ワーグナー並みの大音量。ただ3幕ラスト前の弦楽はヴァイオリンソロは良かったが、そのあとが合わない部分があって残念。
歌手の方はバラクの妻役ステファニー・フリーデが劇的な素晴らしい歌声で存在感あり。昨年同劇場の「ムツェンスク郡のマクベス夫人」カテリーナ役でも良かったことを思い出した。
皇后役エミリー・マギーもより澄んだ声で素晴らしい。乳母役ジェーン・ヘンシェルも正しく魔女との容姿と振る舞い、表現豊かな歌い方。
女性陣に比較して男性陣は全体的に見劣りがした。
ただ皇后とバラクの妻が歌うとワーグナー楽劇に感じてしまう部分があり、これはオケと合わせて指揮者の意向か。
全体的にもう少し繊細な部分があっても良かったのではと思えた。
この物語は最後、皇后が「(バラク夫婦を不幸にしてまで)影(=子供)はいらない」と言ったところで、皇后に影が表れ、二組のカップルが抱き合って幕となる言わばディズニー並みのハッピーエンド。
プログラム解説には第一次世界大戦後の荒廃した状況下で人々に人間性の復権、新たなユートピアの提示を想定して書かれたとなっており、つくられた当時の時代背景から来ているのでしょうが、今現在に上演するにはいささか陳腐な印象。
この当たりも「サロメ」や「薔薇の騎士」に比較して上演回数が多くない理由でしょう。
シュトラウス作品は尾高忠明新芸術監督の新シーズンオープニングとして10月に「アラベッラ」が予定されており今から楽しみである。
End
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