Pすけ☆の気まま日記

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終わりに 注釈


Nov 25, 2009
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カテゴリ: 映画館で見た映画
「楽日直前にレビュー書くな」って?(笑)すいません。今更だけど3連休に無理やり時間作って観ちゃったのー。


■[映画][感想]「ヴィヨンの妻」
監督:根岸吉太郎

原作:太宰治

脚本:田中陽造

美術:種田陽平、矢内京子




「百万ドルの名馬か?」

「名馬も、雌は半値だそうです」

「謙遜するなよ。これから日本は、馬でも犬でも、男女同権だってさ」



 その店を、初めて男が訪ねたのは、昭和19年のことだった。


(あらすじ↓引っぱります)

そして物語は昭和22年。男が家に転がり込んでくるところから始まる。男はその店から、5千円の金を盗み、妻・佐知のいる家に帰ってきたのだった。そこへ店を営む主人夫婦が、金を返してもらいに家までやってきた。


 その店。中野駅の近くにある小料理屋・椿屋。3年前そこにふらっと現れたのが作家の大谷であった。最初は100円札をはにかみながら渡したものの、その後彼は一銭も入れることなく、ツケで飲み続けたあげく、今回の「盗み」に至ったのだという。


 その話を聞いた佐知は、盗んだ金とふくらんだツケを支払うために、「返済の目処が付いた」とウソをつき、半ば強引に「押しかけ女中」となったのでした。若くて美しい女中が入ったことで店は徐々に活気に満ち始め、「盗み」の金を大谷が返したあとも、子連れで働き続けるのだった。

 しかし、そのことで、大谷は徐々に心の変調を来し始める・・・。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 一点。この映画観てて気づいた人もいると思うけど、松たか子って血筋的には見事なサラブレッドなのに、「お嬢様」役よりも、「貧しい家の出で、幸は薄いけどそれに負けない女」の方が似合う(^^;)この映画を演じる松たか子は、かなり魅力的に撮られている。そして、その時点でこの映画は成功してます。。。。違うかなー?「私。。。お金になるんですね!」の一言には「ちょっと待て。そんなん言ったらオメメですよー。」って思ったけど。


 大谷は作家としてはそれなりに売れてはいるのだが、原稿料はほとんど家に入れずに、すべて呑みに使ってしまうダメ亭主でもある。(あー耳がイタイイタイ)

 大谷が何故佐知に惹かれたのか。それはまー分かります。スレていない素直な気性で生きる女、という部分。貧しいながらもまっすぐで素直。そして、そんな彼女なら、自分を愛してくれたならば、どんな状況にあってもわがままな自分を受け止めてくれるのではないか、というかすかな希望(ていうか甘え)があったんですね。

 しかし、結婚して3年。大谷は彼女を恐れ始める。

それは彼女の「変化」!


 時は終戦直後。新憲法が制定され、そこには「男女同権」がはっきりと示され始めた時代。大谷は「佐知を大事にしているつもりである」と彼女にいう。でありながら、小料理屋で働き始めてからの彼女の変化に、妙な疑いを口にする。「さっちゃん、不倫でもしましたか?最近妙に艶っぽい。」彼が「彼女を大事にしている」という言葉は、彼女が「変化」することのない形で「大事にする」という意味。はっきり言えば「ズルイ」言いぐさで、そのズルさを佐知も心の片隅で感じている。

 佐知が椿屋で働き始めることで、彼女自身も徐々に生き生きとしはじめ、そんな彼女に惹かれる青年も出てくる。大谷は、妻と青年が一緒に帰る姿を、ストーカーまがいの追跡をしてしまい、なおかつ彼女を試すようなことまでし始める。妻の変化に対する不安を現実として認識した大谷は、自分の追っかけをしている秋子(広末涼子)の働いている店を訪れ、関係を持ち、ついには心中を計画するに至る。(そのまま死んでくれよ。。。)

 原作は「妻が不貞をやらかしているのではないか」とおびえる太宰の心象がよく現れた作品で、映画版では大谷はそのことにおびえているのだが、映画と原作では佐知が「人に言えぬこと」を行うに至る流れがまったく違う。彼女がラストで夫に言う、

「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ」

 という言葉が、原作と映画ではまったく響きの違うものとして映る。より前へ行くために。例えどんな結果になったとしても、生きていく。そのしなやかな精神が、松たか子によって体現されている。

どこをどうとったって大谷は「なんでそんなのと夫婦になったの?」そう。まさに「そんなの」でしたよ。ダメ男じゃん!なんでモテるの??顔はね浅野くんですからそりゃーかっこいいんだけどさー。
劇中「自分はコキュ(妻を寝とられた間抜けな男)に成り下がった」とか言ってますけど

「大谷くん、全部お前が自分で招いたんだぞ?( ̄▽ ̄;)そこ忘れていませんか?ってか頭良いんだったら、あんな死に方しようとしないだろ?本当は死にたくなんかないんでしょ?「自分は弱い可愛そうな男なんです」アピールでしょ!?勝手に死ねーー!!命綱無しでバンジーしろ!!きっと死ぬぞ」

と、まー蹴りたくて殴りたくてしょーがない男でした。

他の男性達も。「いやいやいやいや。キミもそれじゃーダメ男だろ。」って思っちゃったんだよねー。「MR.パーフェクト」はこの映画にはどこにも出てきません。太宰ファンタジー全開です。「あー。俺ってダメな人間だけど、太宰の作品に出てくる奴よりはましだわ。」ってよく太宰を読むとそうやって救われるって聞きます。そうね。あんな酷いのいないですよ(―_―)



生きることに迷いながら、妻への複雑な愛情を臭わせる大谷も、浅野忠信の「存在するだけでどこか滑稽」な感じの演技が非常に巧く映画にマッチして、もの悲しい中にもどこかくすくすと笑わせるおかしみがあり、その力強い筆致によってその後味は不思議と心地いい映画になったな、と思いました。






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Last updated  Nov 25, 2009 10:32:12 AM
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Comments

Jessie @ diabolomentheさんへ☆ メッセージどうもありがとうございました…

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