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Ryu-chan6708

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2018.08.18
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この講座の4時間目 は、 京大 高等研究院特別教授で、霊長類学者の松沢哲郎 氏が、 チンパンジーと人間の比較から「人間とは何か」を研究してきた ので、 今、人工知能(AI)にその「地位」を奪われることが現実味を帯びて語られている ときに、 人間は「万物の霊長」という認識はそもそも正しいのか 氏に聞くという講座 だね。

人間は特別な生き物でなく、自己中心的な世界観を持ちやすい生き物 で、 一直線の進化のフロントランナーに人間がいるみたいな誤解 をしているが、 今生きているものはみんな約38億年の命をつないできもので、どの生き物も特別ということが分かっていれば、人間も特別なのだ と、 松沢 氏はいう。

松沢 氏は、 「私はチンパンジーも『1人、2人』と数えます。ヒト科だから。ゴリラ、オランウータンも含め、ヒト科は4属だと心に深く留めて下さい」 という。

A 秀でた知性があるのが人間だ というのは、 素朴な信念 にとらわれていて、 1977年に京大霊長類研究所 に女性のチンパンジーのアイがやってきたとき 息子アユムはランダムに並んだ数字九つの位置を0・5秒で覚え、各数字を四角形で隠しても、小さい順から触っていき、瞬間記憶は人間より高い力を持っていることがわかり、人間中心的な世界観への決別となった という。

チンパンジーが研究対象となっている理由 は、 人間だけを見ていても、人間のことは分からない が、 DNAの塩基配列 が約98・8%まで同じで、約500万~700万年前に共通祖先から分かれたチンパンジーとの比較 で、 人間が分かる からという。

  例えば、 人間の赤ちゃんの寝る姿勢のことなんて、誰も考えないが、仰向けで寝るチンパンジーの赤ちゃんはいない。

産むと同時に、子どもがお母さんに手でしがみつき、樹上でいつも母子が密着しており、ここで重要なポイントがある。

人間は、親子が離れているからこそ、コミュニケーションが必要になり、ほほえみを交わしたり、泣くなど声を発して大人を呼んだりする が、 チンパンジーのように母子がくっついていればコミュニケーションは必要なく 、ひもじくなったら、自分でおっぱいを探してお乳を飲めばいいのだから、 あおむけ姿勢が人間を進化させたと思っている という。

コミュニケーションには、共感力や相手の心を理解することが必要で、「分かち合う心」を持つように人間は進化してきた。

食卓にイチゴを盛った皿がある として、 イチゴを口に入れてもらった子どもは、「はい、お母さんも」「お父さんも」と、犬のぬいぐるみの口にまで入れようとする が、 これで「私があなたに、あなたが私に」という互恵的な利他性が成長していき、これこそが人間らしさだ と、 松沢 氏はいう。

:例によって 授業のポイントを3つ 下記 のようにあげている。

1.チンパンジーとヒトのDNAの塩基配列 は約98.8%同じ。チンパンジー研究で人間が分かる。

2.「分かち合う心」を持つように人間は進化した。互恵的に相手のために行動できるのが人間の特性。

3.チンパンジーは「いま」の世界を生きる。人間は未来を想像し、悲観もし、希望も持つ。

チンパンジーに人間のように互恵的な利他性はないが、顕著に違うのは、人間には想像力の負の側面として嫉妬やねたみがあること。

理想の自分をつくり、現実の自分とのギャップでコンプレックス も生まれるが、チンパンジーにはそういった感情はない。

チンパンジーは今ここにあるものを見て、人間はそこにないものを考える、想像する力が人間とチンパンジーを隔てるものだ という。

A 人間と同じ機能を持つ機械をつくろうとしている人もいて、技術の進歩はめまぐるしく、人間自体が変わっていくのではないか と考えられるが、 松沢 氏は、それは 「進化」と「進歩」をごっちゃに しており、「 進化」というのは生物学的な流れの中で変わっていくもののこと で、 何十年、何百年じゃ人間は何も変わらない という。

 また、 松沢 氏は、 人間の未来が不安だ という考えに対し 「安心して下さい。思いやる、慈しむ、分かち合うことで、人間という集団は生き残ってきた。心に愛を持つように進化してきた人間はずっと続いていくんです。たとえどんなに状況が悲惨でも、未来に希望を持てる知性があるのが人間じゃないでしょうか」 という。

人間のあるべき未来 についてはすでに ブログ 「科学技術発展のリスク AI社会、新たな世界観を」 宗教学者の中沢新一 氏は、 言葉や自然科学など、事物を分類して整理する「ロゴスの論理」 に対し、 事物を独立したものとして取り出さず、関係の網の目の中の作用として認識する「レンマの論理」 が、 人間に新しい世界観をもたらすかもしれない と述べているのを 連想 するね。

また . ブログ 「死を考えること 人に優しい社会への一歩」 人に優しい社会への提言 連想 するね。






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Last updated  2018.08.18 13:41:58
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