投資逍遥

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2006/02/12
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テーマ: お勧めの本(7336)
カテゴリ: 読書
この本は、1989年11月に発行されました。
「週刊文春」が、創刊30周年記念として、読者投稿「私の昭和史」という形で募集し、それに応募した方々の作品から100編を選び、この本にまとめられました。
著者100名は、明治40年~昭和42年に生まれた方々です。

以下に、 【この本からの引用】 【征野の感想】 という形で、少々書いてみます。


【この本からの引用】

これを我々は擅用調査とか需要家訪問とか呼んでいたが、世間は盗電狩りとか電気調べと蔑称し、私達「電気屋」こと配電会社は税務署の次に目の敵にされた。

【征野の感想】

この投稿によると、昭和24年の国内の某地の電力事情は、極めて悪かったようです。
その理由は、占領軍関係の膨大な電力使用と小型電熱器などの家庭への普及とのこと。
それ故に、政府は電力の供給を止めたりして緊急制限を行なったりしたようです。
そういった訳で、「盗電」という行為が行なわれていたとのこと。
細かいことは書ききれないが、要するに電気の窃盗ということだ。
そのために、配電会社の社員であった著者は、需要家(電気を使用する工場・家庭など)を訪問し、盗電の有無を確認する仕事に従事したとのこと。

詳しいことは忘れましたが、つい最近、ある店舗の室外にあるコンセントから手持ちの電気器具に盗電した事件が、世間を騒がせました。
これには苦笑したものです。

ともあれ、引用部の「盗電狩り」という言葉は日本では死語になってしまったようです。
ちなみに、「盗電狩り」をヤフーで検索しましたが、見事にヒット数0でした(笑)。

月並みな表現ながら隔世の感があります。


【この本からの引用】

奉安殿はすでにコンクリートの台座を残してすべて取り壊され、校庭は一面の芋畑になっていた。
かつては一歩も踏み入れることを許されなかった奉安殿の芝生の中に、ためらい勝ちに入っていった。
(中略)
あの御真影はどこに行ってしまったのだろうと思った。

【征野の感想】

これは昭和4年生まれの方の投稿の一節です。
まず「奉安殿」ですが、 2005年12月18日の日記 に書きましたが、天皇陛下と皇后陛下の御真影を奉安する建物で、校庭に建てられていたものです。

上記の引用部は、戦後間もなくの時期の思い出を書かれたものですが、この混乱は相当なものであったようです。
この投稿者は、終戦時に陸軍幼年学校の生徒であったとのことで、陸軍のエリート候補のいわゆる「星の生徒」でした。

話が前後しますが、陸軍幼年学校に入校する前日に、校長が特別に奉安殿の扉を開けてくれたとのこと。
その時、両陛下の御写真を間近にし、「言い知れぬものがこみ上げて来て、全身がしびれる思いだった」とのこと。

昭和という時代は、庶民レベルでも激動の時代であり重い時代です。







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Last updated  2006/02/12 06:17:30 PM
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