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★ 『 カカフカカ 』 石田拓実 ( 2013 年~)
電子書籍にて、既刊 7 巻読了。
就職の失敗や同棲相手の裏切りなどで路頭に迷ったヒロインが、急遽入居することになったシェアハウスで中学時代の元カレと再会。他の入居者含めた三角(四角)関係の渦中に…、というストーリー。
改まって粗筋書いてみてビックリするほど、色んな意味で「またか」というという言葉しか出て来ない。
〇 赤の他人の男女が、いきなり同居生活…の「またか」
私がここで感想書いただけでも、以下の通り、こんだけある。
・ 『 きみはペット 』 小川彌生
〇 石田拓実作品のキャラ設定の「またか」
・ 「優柔不断で自己肯定感の低い」ヒロイン
・ 「地味だがやる時はやる」男①
・ 「チャラいが意外に色々考えてる」男②
・ 「美人だが性格エキセントリック」な女
…みたいな、いつもの構成。
しかも、たまたまではあるが、前回感想書いた 『凪のお暇』 と、ヒロインのキャラ設定が丸被り。
『凪のお暇』は 3 巻で挫折しながら、これは何故 7 巻まで読んだのかと言えば、ぶっちゃけ、電子書籍のまとめ買い値引き商法に乗っちゃったのもあるが、読み出すと(バカバカしいながらも)先が気になる石田作品の吸引力も認めざるを得ない。
両作品とも、ヒロインの「優柔不断」、「自己肯定感の低さ」という性格だけでなく、「定職に就けない(失業中)」、「家事、料理は得意」という現状までもがそっくり。
オトナ女子向けに、性的な問題含め、色々と理屈をこねてはいるが、「いい男をゲットするのが女の人生の至上命題」みたいな大前提は、どちらも旧態の少女漫画と大して変わらない。
ただ、これまでのところ『凪のお暇』の方が、キャラもストーリーも現実的ではあるし、恐らく、一般ウケするのもそちらだろう。
この『カカフカカ』は、ヒロインが若くして挫折感に苛まれ自省的な点では、読者の共感を呼びそうだが、その他のキャラクターが 3 人とも、余りに浮世離れしているので、より「漫画的」で、リアルとは言い難い。
こうなると、完全に読者の好みになるだろうが、私の場合は、リアル過ぎて生々しい『凪のお暇』よりも、この位、ぶっ飛んでる方が、却って物語世界に感情移入できる。
テーマは「恋愛や性欲のなんたるか」一辺倒、ヒロインは見事に恋愛のことしか頭にないし、エピソードも対話も、殆どシェアハウス内の 4
人の間だけで展開していく。
このヒロインみたいな女が実際に身近にいたら、「もっと、就職活動とかその為の勉強とかしろよ」と言いたくなるだろうが、大して魅力のないヒロインの社会的な活躍が見たいわけでもなし、恋愛の駆引きだけ延々見せるのも、漫画としては却って潔い。…まあ、「それだけ」で 7 巻(未完)は、いい加減、引き延ばし過ぎだとは思うが…。
ただ、今回に関しては、「いつもの」ボンヤリ黒髪男①よりは、「当て馬役」のチャラ男②の方が、私的には共感できる。 正直、このまま、いつものパターンでの結末なら、石田作品にもそろそろ見切りをつける頃合いかな、とは思っている。
<関連日記>
西炯子 『 娚の一生 』…… 恋に貪欲な中年男がサブい
小川彌生
『
きみはペット
』……
デッサン力、キャ ラクターに筋が通った 大人向け作品
海野つなみ 『 逃げるは恥だが役に立つ 』…… 結婚制度や現代社会の問題点を考えつつ ラブストーリーも楽しめる
石田拓実 『 はしたなくてごめん 』…… ジミメンに目を向ければ リア充な高校生活も夢じゃない(かも)
石田拓実 『 パラパル 』…… 科学的なテーマも、でっかいんだか ちっちゃいんだか分からない話に
中原アヤ 『 ダメな私に恋してください 』…… あり得ないストーリーだからこそ、人物設定にはリアリティが欲しい
池谷理香子 『 ハコイリのムスメ 』…… 意外に常識的なメインキャラたちが 嘘くささを払拭
志村貴子 『 こいいじ 』、 『 娘の家出 』 ・・・ 身近な恋愛模様を見せつけられてい るような心地悪さ
石田拓実 『 トライボロジー 』 ・・・ 理工学部の男女関係の現実
コナリミサト 『 凪のお暇 』 ・・・ ヒロインの自己憐憫体質は 変わらない
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