PR
カレンダー
コメント新着
キーワードサーチ
フリーページ
★ 『凪のお暇』 コナリミサト( 2017 年~)
電子書籍にて、既刊 4 巻中、 3 巻まで読了。
1 巻を無料期間に読んで、かなり迷った挙げ句、キャンペーンに負けて 3 巻まで購入して読んだ。
先が気にならないわけではないのだが、正直、この先、定価で買うほどのものか、読み続けるべきものなのか、その判断にすら迷っている状況だ。
何かの漫画賞を受賞したらしく、 Amazon の評価も概ね好意的。 しかし、その評価のアベレージの高さには、逆に違和感を覚えた。
と言うのも、レビューの中には低評価のものも少しはあるが、殆どが特定キャラクターの性格などに対する不満で、絵柄や作画への批判が余り見られなかったのだ。
話題性の高い漫画賞を受賞したとなると、やたら作画にこだわるレビュアーが湧いて出てくるのが常。 私的には、この作者の作画は独特のセンスがあって悪くないとは思うが、ハッキリ言って、 『重版出来』 以上に、格好の標的になりそうなタイプ(一部のオタクが求めて止まない美麗さや細密さに欠けたもの)のように見えたのだ。
で、よくよく調べてみたら、受賞したというのは 「 anan マンガ大賞」 ということで、やっと納得した。
いや、決して、 anan の編集や読者のセンスをバカにするわけではない。 実際、過去の受賞作には、 『大奥』 (よしながふみ)や 『高台家の人々』 (森本梢子)など、私の大好きな作品もかなり含まれている。
だが、「 anan マンガ大賞は、「イケメンが出てくること」「ラブストーリーであること」などを審査基準に、編集部のマンガ好きが選考するマンガ賞 」 とされていることからも分かる通り、かなり、読者対象を絞った(アラサー以下の独身女性)作品が選ばれることは確かだろう。
読むのが遅い私でも、この作品は、一冊 30 分もかからず読めてしまったので、ふだん漫画を余り読まない層にも読みやすい作風なのだと思う。
私は中高生向けのベタな少女漫画でも、「良いものは良い」と評価してきたつもりだ。
この作品も、決して面白くないわけではないし、キャラクターに共感したり同情するシーンも多々あるのだが、多分、 anan
の読者層にウケるというだけあって、アラサーヒロインの生態が妙に生々しく、 3
巻一気に読むうち、なんだか「どうでもいい相手の愚痴やモテ自慢を 延々聞かされるような胸焼けがしてきた」…というのが本音だ。
空気を読み過ぎて言いたいことを言えず、他人に従い、合わせてばかりいたら、損を食って、裏切られて、傷付けられてプッツン…、仕事も男も断捨離して失業生活。…というのが出だしの大まかなストーリー。
まず、このヒロインに自分を重ねて共感する若い女性読者がやたら多そうで、そういう読者らに おもねる展開引っくるめて、私はちょっと うすら寒く感じる。
言いたいことを我慢して、余計な仕事まで引き受けてしまう女性は、現実にも少なくないだろうが、このヒロインは、さも、自分自身の性格の問題だとエクスキューズしながら、同僚女性たちのレベルの低さや底意地の悪さを、執念深い視線で一つ一つクローズアップし、なんだかんだ言って結局、 「仕事は有能、家事も一級なのに、周りに無神経なバカが多くて正当に評価されない、可哀想な私」 という被害者意識に凝り固まっている。
まるで、太宰治が『人間失格』で、「主人公はダメ人間」と最初に断った上で、周囲の人間への恨みつらみを挙げつらったのに似た手法で、「自分(ヒロイン)が一番悪いけど」と前置きすれば、他人を いくら悪し様に言っても許される …という作者の計算を感じてしまう。
そんな自分を変えたくて断捨離したまでは立派だが、多少、意見を言えるようになったからと言って、ズルズルと他人に振り回され、何でも他人のせいにしたい性格は、そう簡単には変わらない。
女性の間では存在感の薄いヒロインが、男にはやたらモテるという設定も、本来なら「少女漫画のお約束展開」として大目にみたいところだが、このヒロインのようなタイプは、現実にも さもいそうで、やはり生々しい。
ヒロインに付きまとうモラハラの元カレを批判し、「モラハラは治らない」と断じるレビュアーが複数いたが、その発言をそのまま返したくなる。 「ヒロインの性格も恐らく、根本的には治らないであろう」と。
逆に、彼女が大きく変わったら、これ以上なく嘘くさい。 ヒロインは既に「自分の浅ましさ」を自覚し、「自覚できる自分」に酔ってすらいる。 仕事も家事能力も高く、男からはモテモテ …ときて、もはや、どこが可哀想なのかもよく分からない。
そう考えると、これ以上お金払って読んでも、どうなのかな? と思ってしまうのだ(売れて、連載が無駄に長期化していそうなのも懸念材料)。
正直、何度も眺めたくなるほどの絵柄でもなし、あらすじと結末さえ分かれば良いような気もしている。
久米田康治 『 かくしごと 』・・・「感動… 2020年01月19日
アニメ 『 BANANA FISH 』 ・・・ 30余年… 2018年10月03日 コメント(2)
田村由美 『 イロメン ー 十人十色 ー 』… 2018年09月16日