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2016年04月22日

池谷理香子『ハコイリのムスメ』…… 意外に常識的なメインキャラたちが嘘くささを払拭

カテゴリ：漫画・アニメ

★　『ハコイリのムスメ』　池谷理香子　（2015年～）

電子書籍にて、既刊2巻読了。

世間知らずの箱入り娘がイケメンと「偽装婚約」だの、恋人同士でもないのに「二人きりで同居」だの、少女漫画やトレンディドラマにありがちな設定のラブコメ。

これまでに紹介した池谷作品（『サムシング』、『微糖ロリポップ』、『シックスハーフ』）と比べると、最もコメディ色が強い感じがするが、学生間の恋愛のシビアな現実も描かれ、いつもながら、「設定の陳腐さ」を打ち消す「心理描写、展開の面白さ」に引き込まれる。

これまでのどの作品も、ザックリとあらすじを言ってしまうと、設定から結末まで、「B級」臭しかしないだろうと思うが、読んでいる間は、不思議と先が気になるのだ。

勿論、漫画に「よくある」設定とは言っても、現実には滅多にあり得ない絵空事なのだが、池谷作品の場合、家族や脇役は多少ぶっ飛んでいても、メインキャラが案外、常識的で裏表がなく、過度に「いい子なヒロイン」だったり、不自然に「万能なイケメン」だったりしないので、リアリティがある（ような気になれる）。だからこそ、彼らの行く末が気になる。

そうは言っても、今回の話は特に、まだ2巻段階とは言え、「漫画的展開」の予想の範囲を超えず、ビックリするような紆余曲折があるわけでもない。

正直、作者が池谷さんでなかったら、展開に予想がつきすぎて見切ってたかもしれない。逆に、池谷さんだからこそ、滅茶苦茶、予想外の不愉快な展開にもならないだろうという安心感がある。

また、少なくとも、これまでの作品を読む限り、無駄な引き延ばしを余りしない（例えば、ただイチャイチャするだけの両想い生活や、脇役のエピソードが延々続く、…等）方なので、その辺も（コミックスをわざわざ購入する場合は）安心材料だ。

何にせよ、結末まで読んでみないと何とも評価は出来ないが、多分、確実に「名作にはならない」と分かってはいるが、少なくとも少女漫画愛好者ならば、それなりに楽しんで読める作品（仮） …という感じだ。

それにしても、池谷さんって、つくづく、クセっ毛の男子が好きだな。

＜関連日記＞
2014．7.31．　ありきたりな設定でも展開が読めない恋愛漫画・・・池谷理香子『シックスハーフ』

2014．11.16．　親のエゴに傷つく若者たちの気まぐれな恋愛模様・・・池谷理香子『微糖ロリポップ』

2014．12.19．　少女漫画読者が求める理想とはかけ離れた現実の恋愛・・・池谷理香子『サムシング』