星の国から星の街へ(旧 ヴァン・ノアール)

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2024.06.16
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カテゴリ: 読書 原田マハ


「芸術新潮 2024/ 4」の特集「ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ~ 原田マハのポスト印象派物語」は原田マハ氏がパリのカフェである日突然時空を超えて画家「エミール・ベルナール」と出会い、エミールの画家仲間や尊敬する画家を彼を道案内に一緒に訪ねるという物語です。

 「~ポスト印象派物語」で2人が最初に訪れたのはゴッホが1888年にアルルに移り住む前に弟テオと一緒に暮らしていたモンマルトル界隈のルピック通りのアパルトマンです。エミールがドアをノックし開けられたドアから現れた「すでに薄くなっている赤毛を撫でつけ瘦せこけた頬は赤い髭に覆われ、とんよりと曇った眼差しの男(33、34歳くらいのゴッホ)」は何度も見た自画像そのままの年の割には結構な老け顔・・。いかに自画像が自分の内面もとことん知り尽くして描かれた作品であるかにまず感銘を受けます。手を差し出し「あなたの事はよく知っています」と自己紹介と思いきや、時空を超えているためは原田マハ氏の姿はゴッホには全く見えていないのでエミールの背後霊のようにしてゴッホが絵を描いている部屋に入って行き
絵具やテレピン油の匂いを嗅ぎながら ​​​壁に隙間なく掛けられた絵を眺めます。絵画好きであればこんな体験が出来たら・・と願うシーンです。

 次に訪れるのはビジネスマンから後に絵画の革新者となった「ポール=ゴーギャン」が物価高のパリを逃れ移り住んだポン=タヴェンというおとぎ話に出てくるような美しい村です。この小さい村には1860年頃から画家たちがコロニーを形成し始め、ゴーギャンが初めて訪れた1886年には村人1000人に対して画家の数は100人ほどになっていたのには驚きです。ここでゴーギャンが特に気に入っていた「トレマロの礼拝堂」に飾られる「粗野なキリスト像」についての詳細でゴーギャンの代表作「黄色のキリスト像」のモデルになった事を知りました。ゴーギャンと言うとどうしてもゴッホとの関係から少し暗いイメージもありますが、この地でのゴーギャンの溌剌とした画家仲間との交流や制作の様子を知り、また違った視点でゴーギャンの絵が見られそうです。


「リンゴとオレンジ」 セザンヌの絵を見てぐっと胸をしめつけられるようになる理由は?

 訪問は「ポール・セリェジエ」「オディロン・ルドン」と続き、5人目がポスト印象派でも「古典回帰」を貫いた「ポール・セザンヌ」です。パリから離れプロヴァンスを制作の拠点にしていたため2人はエクスへと最後の旅に出かけます。実は案内役のエミールもセザンヌに会うのが今回が初めてのようで感激で涙目になりながら「先生、僕はあなたにお目にかかったら伺ってみたいことがあったんです」と切り出します。セザンヌの「何だね」の問いに「あなたの絵。気持ちのいい重さと、美しい強さと、抗い難い磁力がある。あなたはどのような技法と思想で誰も見た事のない自分だけの世界を描き出すに至ったのでしょうか?」セザンヌの答えは「~ささやかな事物に向き合う中で、だんだんと自分が見ているそのものの本質が浮かび上がってくるように思えてきたんだ~。そしてそれらすべてのものは突き詰めて整えてみると3つのシンプルかたちー円錐と、球体と、円筒に置き換えられる~」ちょっと難しいですが、キュビズムの原型を生み出したセザンヌのこの「構築的」画法はピカソのキュビズムに引き継がれ、そして物語の最後パリに戻った原田マハ氏の前にまたしても時空を超えて同じカフェに現れたのは「パブロ・ピカソ」でした。続きはいつか発行されるはずの単行本の中でという事でしょうか?


















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最終更新日  2024.06.17 09:38:21
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