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理想のリハビリテーション
先々週の話になりますが、
近所の市民館で「ぼくは写真で世界とつながる」という映画を観ました。
京都在住の米田祐二さんという自閉症の青年を主人公にした、
1時間弱のドキュメンタリー映画です。
周囲とのコミュニケーションが苦手な米田青年が、
ひょんなことから2泊3日の沖縄旅行へ行くことに。
もちろん、家族は付き添いません。
果たして、米田青年は無事に沖縄旅行を楽しむことができるのか......
作品のあらましは、こんなところになるでしょうか。
旅行に密着するカメラには、数名のサポーターに支えられ、
沖縄観光を存分に満喫する米田さんの笑顔がおさめられていました。
重い障害があっても、
周囲のサポートと工夫次第でいろいろなことにチャレンジできるんだな......
そんな当たり前のことを再認識させてくれた作品です。
今週のテーマは、(理想のリハビリテーション)。
障害とリハビリは、切っても切れない深いつながりがあります。
僕自身も生後間もなくから高校を卒業するまで、
川崎市の南部地域療育センターというところに通っていました
(現在は民間委託され、別の組織になっています)。
センターには、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、
言語聴覚士(ST)がいて、専門的なリハビリを行っています。
それぞれの職域については鈴木信行さんがコラム
「 のぶさんの患者道場 」で詳しく説明なさっている【PT、OT、ST】ので、
そちらのほうに譲ることにします。
PT、OT、ST以外にも心理療法士やケースワーカー、
保育士といったさまざまな分野の専門家が勤務しており、
障害児の就学援助や自立相談などにあたっています。
僕は当時、PT、OT、STの
すべてのリハビリを定期的(週1回程度のペース)に受けていました。
PTでは小学校低学年のうちは全身のストレッチを中心に、
高学年からは立位訓練をメインにしたリハビリを受けていました。
立位訓練とは、PTの先生に体を支えてもらいながら、
自分の足で立つという感覚を身につけるリハビリです。
僕の場合、実際に歩くことを目指すのではなく、
普段使わない両脚に少しでも負荷をかけることに主眼を置いていたようです。
後半からは機械式のリフトを使って体を支えるようになり、
より安定した立位の姿勢を長く続けられるようになりました。
中学校に上がってからは電動車椅子の実地訓練が始まり、
自分で自由に動ける楽しさを覚えました。
OTは、手や指先を中心にしたリハビリです。
当時よくやっていたのは、(ボール置きゲーム)です。
6×6、36マスの発泡スチロールでつくられたフィールドに、
先手と後手が交互にボールを置いていきます。
先手は赤、後手は青。
相手のボールを自分のボールではさみ、
いかにたくさんの陣地を獲得できるか......
ルールはオセロそのものですが、違うのはボールを置くところがくぼんでいるということ。
ボールのほうはタマゴ型になっているので、
うまくくぼみにはめないとボールが安定しないのです。
しかも、オセロのように表裏で色が分かれていないので、
はさんだボールはその都度自分のボールと入れ替えなければなりません。
その時はゲームが面白くて気づきませんでしたが、
あれはきっと、つるつるしたボールをうまくつかむ力と、
狙った場所にものを置く正確さを養うためのリハビリだったんですね。
STでは、発話訓練を中心に行いました。
現在も両親との会話で使っている指文字は、STの先生と相談してつくったものです。
発話が目的なので、当然のことながらリハビリ中は文字盤を使ってはいけません。
そのかわり、
その日の課題を終えた後は15分ほど自由な雑談タイムになって、
文字盤で先生と会話をすることができるのです。
正直、この雑談タイムが楽しみで、
毎週我慢してSTに通っていたようなところがあります。
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昔に比べると、リハビリそのものの考え方も大きく変わりつつあります。
バリアフリーという言葉さえまだ浸透していなかった頃のリハビリは、
失った機能をいかに取り戻すかという、
いわゆる(機能回復)のほうに重点が置かれていました。
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こうした(健常者ありき)の視点に立ったリハビリでは、
できることを増やす努力が何よりも求められます。
たとえ何年かかっても、
何らかの日常動作を介助者に頼らずに自分だけでこなせるようになれば、
そのリハビリは成功なのです。
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機能獲得から機能維持。
そして、機能維持から機能補填へ。
リハビリのかたちは、刻々と変化しています。
その根底にあるのは、
障害をありのままに受けとめよう、という発想なのではないでしょうか。
障害を無理に克服しなくていい。
ましてや、健常者と張り合わなくてもいい。
その人なりの能力を存分に発揮することができれば、
それがその人の幸せなのだ。
どうしてもできないことがあれば、
他の人の助けを借りて補えばいいじゃないか......。
これが、現代のリハビリテーションです。
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本当は右手のほうが押しやすいのですが、
それだとスティックからいったん右手を離さなければなりません。
障害の特性上、スティックを握るのにも時間がかかるので、
できることなら右手は固定しておきたい。
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この方法を編み出してから、
外出がさらにスムーズになりました。
他にも、施設の職員さんや店員さんを呼びとめる時(すみません)と声を出すのも、
ショートステイで身についたスキルです。
声を出さなければ、誰も気づいてはくれません。
逆に、少しでもいいから声を出せば必ず誰かが手をさしのべてくれます。
ひとりでの外出は不安もありますが、得るものもたくさんあります。
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この(自己流リハビリ)が正しい方法であるかどうかはわかりませんが、
これからも自分なりに新しいスキルを編み出して、人生をもっと楽しみたいと思います。
立石芳樹 (たていし・よしき)
・ より良い世界へ希望を込めて アピタルコラムの筆者、立石芳樹さん
[apital]
(字数制限の為、省略部分はリンク先からご覧ください。)
実は同じ日に、同じ映画を観ていたようです。
あの方だったかな、と振り返って今、思い起こしています。 🌠
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