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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2023.07.30
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カテゴリ: 文芸
『52ヘルツのクジラたち』 を読みましたが、
 今回も、タイトルに「クジラ」が付された作品を読むことに。
 ただし、今回の作品は、「クジラ」そのものとは全く関係がなく、
 次に記されている通り、あくまでも「クジラ頭の王様」のお話なのです。

  都内の動物園に、男三人で来ていた。
  僕と池野内議員は背広姿、小沢ヒジリは爽やかなジーンズ姿で、
  ハシビロコウのいる場所の前で長いこと立っている。
  プレートに説明書きがあり、この鳥の和名と英名が並び、学名も記されていた。
  ラテン語で「クジラ頭の王様」という意味らしい。(p.427)

この男三人が、このお話のメインキャラクター。
8年前、金沢のホテルで火事に遭遇した三人が、夢の中で共に戦い、
そこで勝利すると、現実世界のトラブルを回避できることに次第に気付いていきます。
そして、お話の舞台は一気に15年後へと移り、これまでにない試練に立ち向かうことに。

   ***

  ニュースや話題になるのは、物事の実際の重要性や危険性よりも、
  多くの人たちの感情が優先される。
  不快なものは不快、理屈を飛び越える。
  その気持ちは僕も分からないでもない。
  あの動物は狩って食べてもいいが、この動物を獲るなんて残酷!
  といったことはよくあるし、有名人の不倫でも、大目に見られる人もいれば、
  世の秩序を乱す大悪党さながらに糾弾される人もいる。
  重要な外交問題そっちのけで、変わった飛び方をするムササビがテレビで話題になる。
  情報操作や誘導にかかわらず多くの人は、感情に正直なだけなのだ。(p.14)

伊坂さんの作品を読んでいて心地良いのは、
お話の流れとは直接深く関わらないようなところで、
強く共感できることが、サラッと書いてあるところ。
感性が似ているのだろうな、と感じます。

  人間を動かすのは、理屈や論理よりも、感情だ。(p.430)

これなんかは、ズバリ一言。
まさに、直球ですね。

  「自動車メーカーも小説家も、喫茶店経営者も、自分たちの首を絞めるものに対しては、
   それがいかに世の中を良くするものだとしても、反対しますよ。
   少なくとも賛成はしません。
   自分は不利益を被ってもいいからみんなのために、なんて言える人は貴重です」(p.103)

これもスゴイですね。
「真理」です。

  何度か、「大丈夫?」と訊ね、彼女は、「全然平気」と答えるが、
  だからといって本当に平気かどうかは誰にも分からないのだ。(p.180)

これは、 『シーソーモンスター』 でも、同じようなことが書いてありましたね。
本当に、そうだと思います。

  手に余るほどの忙しさではなかったが、
  それなりに仕事が積まれていたのはありがたかった。
  暇になると人は心配事に溺れてしまう。
  忙しい間は、天が落ちてくる心配をしなくてもいい。(p.345)

これもイイですね。
強く頷きながら、読んでいました。

   ***

作家・川原礫さんによる巻末「解説」では、「ゲーム小説」について述べられており、
そこには岡嶋二人さんの 『クラインの壺』 の名も登場しています。
また、本著第4章で登場する「パスカ」についても触れられていました。
「パスカ」は、同じく近未来を舞台とした 『スピンモンスター』 でも登場していますね。





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Last updated  2023.07.30 11:52:42
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