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敗戦翌年の昭和21年のこの日、明治憲法を全面的に改めた日本国憲法が公布された。翌日の本紙には「歴史の日」「平和新生へ道開く」「宮城前で祝賀大会 十万人の大唱和」などの見出しが並ぶ。
作家の山本有三が寄稿している。「戦争権を放棄したといつても、日本は本来軍国主義の国であるから、いつあばれださないとも限らない」。山本はこんな「世界の現実主義者からの疑惑」を想定し、反論として、ニューヨーク・タイムズの東京特派員だったヒュー・バイアスが戦時中に書いた冷静な日本分析「敵国日本」を引く。
「日本を手におえぬ軍国主義の国家であるとすることは、歴史を無視した単純な議論である……日本歴史は、日本民族が最も非冒険的な民族である事を示しているのだ。日本にはひとりのジンギスカンも、ひとりのコロンブスもいない」
山本は、日本は秀吉の朝鮮出兵や近年のシベリア出兵、太平洋戦争のように外国に領土を求めた時にことごとく失敗しているとし、侵略しなかった時代の長さを指摘する。「私はこゝに日本の国民性を考えたい」。そして、新憲法の「戦争放棄」は「世界平和への日本の決意」と述べた。
戦後60年、日本はともかくも戦争をせず、米国の傘下で「平和」を享受してきた。そして自らも世界有数の軍備を持つに至った。これからは「軍備大国」でもある日本の「世界平和への決意」が一層問われる。
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