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第一の政権交代は民主主義の根幹にかかわることであり、これが実現したのも、自民党が3年間で3人も首相を入れ替えるなど政権党に値しなくなったからに他ならない。その意味で鳩山内閣の最大の課題は民主主義を成熟させるために政権の存続を図ること、それ自体だと言っても過言でない。日本では政権交代が極めてまれだったので、それに伴う問題が十分理解されていないきらいがある。 新たに発足した内閣の方針を尊重する習慣がない うえ、連立内閣内にも 性急に結果を求めて内閣を揺さぶる動きが見られるのは、未経験さの表れ である。
普天間問題では新内閣の不用意さが目立つが、何もそれは鳩山首相に限ったことではない。アメリカでも第2次大戦後の大統領で就任1年目から危なげなく対外政策で実績を上げたのは12人中、アイゼンハワー、ニクソン、ブッシュ父の3人にすぎない。対外政策の経験が少ない1年目の大統領は、多かれ少なかれ不手際があり、就任後に集中的な学習過程を経験しなければならなかった。つまり第二の問題として指摘したように、対外政策の推進体制がきちんと整う前に、現実の政策に取りかかる準備不足がたたったのである。
鳩山内閣の場合も 選挙公約という構想を吟味して政策を練り直し、段取りを踏んだうえで外国との交渉に臨むという、対外政策のイロハをおろそかにした結果 だった。政府間に合意のできているものを修正するには、国内事情を説明するだけでは済まず、政策としての妥当性を説得できなければならない。 よりによってオバマ政権がアフガニスタン政策で窮地に立たされているときに、 戦闘の最前線を担う海兵隊の問題を持ち出すことがいかに迷惑なことかをわきまえなかったのは、同盟国として国際情勢認識を疑われても仕方がない。鳩山首相の姿勢は頼りにならないとみなされて、信頼関係を築くにはほど遠いものであった。
第三の点では、対外政策は催続性が重要とはいえ、小泉内閣が中国との関係をこじらせ、イラク戦争まで支持した後で 自民党政権の対外政策を見直すことは、まさに政権交代の意義だ といえる。オバマ政権もブッシュ政権を批判して登場したのであり、鳩山内閣が日米関係の再構築を目指すのであれば、外交の知恵者や創意ある研究者からなる専門の作業チームに諮って確固とした基本方針を設定し、対外政策の推進体制を確立することが急務である。オバマ政権はブッシュ政権と違って国際協調やアジア重視の方針を打ち出しており、鳩山内閣が来年の日米安保50周年を機に、日米関係を再構築するチャンスもまだあると考えられる。
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