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2016年02月02日
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テーマ: ニュース(100344)
カテゴリ: 歴史認識
 1月中旬の新聞記事について、作家の赤川次郎氏は24日の東京新聞に次のような感想を書いている;




 自作を引用するのば気がひけるが、今から38年前の作品「セーラー服と機関銃」の一節である。ヒロインの女子高生組長を支えるヤクザのセリブだ。30歳だった私は、戦中世代の「昔は良かった」という言葉に、多分にイライラしていた。昔の価値観にしがみついている連中をブッ飛ばしてやりたい! 女子高生の機関銃の一撃には、そんな思いがこめられていた。

 あれから38年。世界は、冷戦構造の終結からソ連崩壊、東西ドイツの統一、民族紛争と内戦、イスラム世界の分裂と相克…とダイナミックに動いてきた。

 そんな中、日本はいまだに70年前の戦争は「侵略ではなかった」などと言い続けている。歴史認識については日本は、世界の中で誠に変わった国になってしまった。

 1月16日の「こちら特報部」が取り上げた「日本の美懇談会」の記事。天照大神(あまてらすおおみかみ)の話から歌舞伎の「血の遺伝子」、「宣教師の派遣」・・・。ここまで来たか! 戦争だけでなく、美意識まで押し付けられてはかなわない。歌舞伎の世界の遺伝子に感動したらしい串田(和美)さん、 中川右介(ゆうすけ)著「歌舞伎 家と血と芸」 を読んでください。 ずっと血統がつながっている歌舞伎役者などほとんどいないことが分かりますよ。

 私はNHKの「COOL JAPAN」を見ていると恥ずかしくなる。「日本はすばらしい」と、出演者の外国人たちに無理やり言わせて悦に入っている司会者の姿に、「謙譲の美徳」という「クール」はどこへ行った?と言いたくなる。

 慰安婦問題で日韓合意したとたん「慰安婦は売春婦だった」発言の自民党桜田(義孝)議員(1月14日夕刊1面)。これで相手が納得するはずがない。問われているのは本気かどうか、なのである。

 一方、安倍首相は「日本は裕福な国」だと発言しているそうだ(1月19日2面)。学校給食だけが一日のまともな食事という貧困児童を知らないのか?

 東京新聞が連載した「新貧乏物語・悲しき奨学金」はみごとなルポ。奨学金返済のために風俗で働く女子大生。サラリーマン家庭の収入は減り続け、大学の学費は上がり続ける。学生支援機構の職員が、厳しい取り立てをするのがつらいと嘆く。このどこが「裕福な国」?そういう耳に痛い指摘をするテレビキャスターは古舘伊知郎さんも国谷裕子さんも降板する見込みだ。

 何らかの圧力がなかったとは考えられない。「心貧しくクールな(寒い)国、日本」・・・。
(作家)


2016年1月24日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ「新聞を読んで-『クール』な国、日本」から引用

 天照大神とか天孫降臨とか、若い人たちには馴染みのない言葉かも知れませんが、昔の日本では小学校の歴史教科書に書かれていたもので、これを学習しない日本人はいないという状況でした。その上、天照大神は皇室の祖先であるとか、天皇は現人神だとか、だから日本民族は他の民族よりも優秀なので、日本民族が他の民族を支配する、そういう世界をこれから作るのだということを盛んに学校教育を通して国民に教え込んだ、その結果があの戦争だったということです。70年前に、その戦争に敗れてた結果、政府も国民も反省し、天皇も「自分は神様ではない」と「人間宣言」をしたことは有名です。それが70年後、政府が関係する有識者会議で公然と「天照大神」や「天孫降臨」が語られ始めたことは、わが国の未来に立ちふさがる大きな暗雲であると言っていいのではないでしょうか。






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最終更新日  2016年02月02日 20時56分10秒


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