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自作を引用するのば気がひけるが、今から38年前の作品「セーラー服と機関銃」の一節である。ヒロインの女子高生組長を支えるヤクザのセリブだ。30歳だった私は、戦中世代の「昔は良かった」という言葉に、多分にイライラしていた。昔の価値観にしがみついている連中をブッ飛ばしてやりたい! 女子高生の機関銃の一撃には、そんな思いがこめられていた。
あれから38年。世界は、冷戦構造の終結からソ連崩壊、東西ドイツの統一、民族紛争と内戦、イスラム世界の分裂と相克…とダイナミックに動いてきた。
そんな中、日本はいまだに70年前の戦争は「侵略ではなかった」などと言い続けている。歴史認識については日本は、世界の中で誠に変わった国になってしまった。
1月16日の「こちら特報部」が取り上げた「日本の美懇談会」の記事。天照大神(あまてらすおおみかみ)の話から歌舞伎の「血の遺伝子」、「宣教師の派遣」・・・。ここまで来たか! 戦争だけでなく、美意識まで押し付けられてはかなわない。歌舞伎の世界の遺伝子に感動したらしい串田(和美)さん、 中川右介(ゆうすけ)著「歌舞伎 家と血と芸」 を読んでください。 ずっと血統がつながっている歌舞伎役者などほとんどいないことが分かりますよ。
私はNHKの「COOL JAPAN」を見ていると恥ずかしくなる。「日本はすばらしい」と、出演者の外国人たちに無理やり言わせて悦に入っている司会者の姿に、「謙譲の美徳」という「クール」はどこへ行った?と言いたくなる。
慰安婦問題で日韓合意したとたん「慰安婦は売春婦だった」発言の自民党桜田(義孝)議員(1月14日夕刊1面)。これで相手が納得するはずがない。問われているのは本気かどうか、なのである。
一方、安倍首相は「日本は裕福な国」だと発言しているそうだ(1月19日2面)。学校給食だけが一日のまともな食事という貧困児童を知らないのか?
東京新聞が連載した「新貧乏物語・悲しき奨学金」はみごとなルポ。奨学金返済のために風俗で働く女子大生。サラリーマン家庭の収入は減り続け、大学の学費は上がり続ける。学生支援機構の職員が、厳しい取り立てをするのがつらいと嘆く。このどこが「裕福な国」?そういう耳に痛い指摘をするテレビキャスターは古舘伊知郎さんも国谷裕子さんも降板する見込みだ。
何らかの圧力がなかったとは考えられない。「心貧しくクールな(寒い)国、日本」・・・。
(作家)
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