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2016年02月13日
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テーマ: ニュース(100344)
カテゴリ: 政治問題
 米国レーガン政権で商務省審議官として日米貿易交渉に当たったクライド・プレストウィッツ氏が、昨年秋に出版した「日本復興」という本について、ジャーナリストの木村太郎氏は、7日の東京新聞コラムに次のように書いている;




 米国で「日本たたき」の急先鋒(きゅうせんぽう)と考えられていた米経済戦略研究所長クライド・プレストウィッツ氏の新著「Japan Restored(日本復興)」を読んでこの表現を連想した。

 ■「称賛」氏に豹変?

 この本は昨年11月に米国で出版されるとワシントン・ポスト紙などで取り上げられたので早速電子版で読んでみたのだが、「日本たたき」氏が「日本称賛」氏に豹変したかのようだったからだ。

 この本の記述は西暦2050年の日本の様子から始まる。このとき日本の総人口は1億5千万人、経済成長率は4・5%で国内総生産(GDP)は中国を抜き米国にも追いついて世界一になりつつある。医療技術で世界をリードし、ITやロボット、航空機産業でも他を寄せ付けず、21世紀は「日本の世紀」になっているとプレストウィッツ氏は予言している。

 そのきっかけになったのが今年16年で、アべノミクスも行き詰まり経済が低迷する中でソニーが韓国のサムスン電子に吸収合併される。

 外交的にも近隣諸国との関係がギクシャクして、尖閣諸島問題をめぐって中国と武力衝突の危機が訪れるが、米国は軍事費削減から日本駐在の米軍も引き揚げてしまう。

■婦人問題から着手

 内外に行き詰まった状況を打開するために「国家活性化特別委員会」が組織される。興味あるのは、この特別委が まず取り組んだのが婦人問題 で、婦人の社会参加と育児奨励を推し進めた結果、医師の75%、CEO(最高経営責任者)の35%を女性が占め、その一方で出生率は2・3に増え少子高齢化を脱却しているとする。

次に特別委が取り組んだのが英語の普及 というのも意外だったが、英語教育の改善と企業の英語環境の整備で日本人のほとんどがバイリンガル(二言語話者)になり、経済だけでなく政治的にも国際化に大きく寄与するとしている。

 そのほか特別委は、産業政策やエネルギー政策などにも新しい発想に基づく提言を行い、これが功を奏して日本の経済、産業が世界をリードするというのだ。

 プレストウィッツ氏といえば、 日本は官僚とビジネスが手を組んだ独占的経済システムの異質な国であるという考え を持ち、レーガン政権の商務省審議官として日米貿易交渉で日本側を悩ませたことで知られた。

■指摘に一考の価値

 そのプレストウィッツ氏のこの「豹変」ぶりだが、よく読むと同氏は必ずしも日本を称賛しているわけではなく、 今の日本が抱える解決すべき問題を指摘したもの ともいえる。

 その解決策について、プレストウィッツ氏の指摘が全て正しいとはいえないが、日本の近未来を考察する上で一読に値するもののように思える。
(木村太郎、ジャーナリスト)


2016年2月7日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ「太郎の国際通信-日本が復活するための手引」から引用

 ソニーがサムスンに吸収合併されるとか、尖閣諸島問題で日中間に武力衝突の危機が訪れても米軍は知らん顔して引き上げてしまうとか、日本人の神経を逆なでするような書き出しで始まる物語は、人々の興味を誘うあざといやり方のように思います。しかし、2050年に日本の人口が1億5千万人になるという想定は、いかがでしょうか。これからTPPが発効して日本人が必要とする食料の8割が海外からの輸入に頼ることになれば、天候不順で不作の年は輸入量激減ということもあり得るし、産業政策やエネルギー政策に新しい発想を導入したからといって、地方の限界集落やゴーストタウンのようになってしまっているシャッター街が再び活況を帯びるなどとうてい考えられません。その上、プレストウィッツ氏は、「日本が、官僚とビジネスが手を組んだ独占的経済システムの異質な国」だなどと言ったそうであるが、アメリカの場合は「手を組む」どころか、独占資本に政府が完全に乗っ取られた状態になっていることを考えれば、偉そうなことを言える義理ではないはずだ。








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最終更新日  2016年02月13日 20時26分09秒


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