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2016年04月17日
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カテゴリ: 社会問題
 関西電力高浜原発3・4号機は去年の4月に一度「再稼働は不可」との仮処分が決定したのであったが、その後、同じ裁判所の別の裁判官がその決定を取り消して、無理矢理再稼働したのであった。ところが、今度は原発の地元ではない滋賀県の大津地裁が、稼働中の高浜原発3・4号機を止めさせる仮処分決定を行った。この画期的な決定に関連して、弁護士の宇都宮健児氏はその意義を、3月25日の「週刊金曜日」に次のように書いている;




 福島の第一原発事故後、司法が原発の運転差し止めを命じたケースは、関西電力大飯原発3・4号機(福井県おおい町)に関する2014年5月の福井地裁判決と関西電力高浜原発3・4号機に関する2015年4月の福井地裁の仮処分決定(なお、この仮処分決定に対しては関西電力が異議申し立てを行ない、異議審で仮処分決定を取り消す決定が行なわれている)であった。

 原発の運転を差し止める福井地裁の判決と仮処分決定の裁判長は、いずれも樋口英明(ひぐちひであき)裁判長であった。しかしながら、今回は樋口英明裁判長とは別の山本善彦裁判長が原発の運転を差し止める仮処分決定を出した。今回の大津地裁の仮処分決定は、今後の原発差し止め訴訟に大きな影響を与えるものと思われる。

「発電の効率性をもって、これらの甚大な災禍と引き換えにすべき事情であるとはいい難い」として 効率よりも憲法が保障する人格権を重視 し、稼働中の原発について運転を差し止める仮処分決定を出したのは、全国で初めてのことである。

 また、今回の大津地裁の仮処分決定は、原発立地県ではない隣接する滋賀県の住民が申し立てた仮処分申請事件で、原発事故被害の広域性を考慮して原発の運転の差し止めを認めた仮処分決定であることも画期的なことである。

 さらに、今回の大津地裁の仮処分決定が、 国家主導の具体的で可視的な避難計画が早急に策定されることが必要であり、この避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準が望まれる ばかりか、福島第一原発事故という過酷事故を経た現時点においては、 そのような基準を策定すべき信義則上の義務が国家にあると判示している ことも、重要な指摘である。

 今回の大津地裁の仮処分決定は、建屋内の調査を踏まえた福島第一原発事故の原因究明が十分に行なわれないまま、「再稼働ありき」で原発の再稼働を進めてきている政府や電力会社の原発政策に対し、重大な警鐘を鳴らす決定と言える。


2016年3月25日 「週刊金曜日」1081号 9ページ「風速計-画期的な大津地裁の仮処分決定」から引用

 この度の大津地裁の仮処分決定は、原発反対運動を進める人たちに大いに勇気を与える決定だったとのことで、反原発をサポートする大物弁護士も「原発は、一度動き出してしまえば、もうお手上げで、稼働する前に勝訴判決を勝ち取れなければ諦めるしかない、というのが今までの常識だったが、今や稼働中であっても裁判所が命令すれば止めることが可能と分かったのは画期的だ」と言っていたのが印象的です。今回の決定を出した裁判官は、べつに原発を目の敵にするわけでもなく、現在の原子力規制委員会や関西電力は国民が納得できるような安全性の説明ができていないから、稼働してはならないと命令したのであって、十分に納得できる説明があれば、いつでも再稼働を許可するという立場である点も抑えておく必要があると思います。また、避難計画も、実際に事故が起きたときは、避難者は県境を越えて逃げることになるので、そういう避難計画を自治体に任せたのでは、十分な計画にはならないから、これは国が主導して具体的な避難計画を策定する必要があると指摘している点も重要です。国民の生命と財産を守るのは政府の責任ですから、原発事故の避難計画についても、しっかり対策を講じてほしいと思います。








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最終更新日  2016年04月17日 21時04分15秒


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