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2016年10月06日
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テーマ: ニュース(100336)
カテゴリ: ニュース
 関東学院大学名誉教授の足立昌勝氏は、自衛隊を海外に派遣し「駆けつけ警護」などの武力行使をさせることについて、9月23日の「週刊金曜日」で次のように述べています;




 米国が狙っているのは、自衛隊を世界中のどこの戦場でも補完部隊として使うことであり、そのために近年、米国の演習場では米軍と自衛隊が一体化した激しい戦闘訓練が急ピッチで拡大しています。しかし 憲法では交戦権が否定されており、こうした憲法を無視した大きな流れの中で、最終的に「戦死者が出る事態」が迫っています。

 2012年12月に安倍晋三内閣が発足し、14年4月には武器輸出が事実上原則解禁され、同年12月には防衛秘密を主要対象にした特定秘密保護法が成立しました。次に日米新ガイドラインと戦争法が続き、今年6月には刑事訴訟法などいくつかの法律と一本化されて 通信傍受法が改悪され、警察が事実上、全面的に盗聴ができるようになりました。

 そして、最も警戒すべきなのは『朝日新聞』が8月26日付朝刊で報じた、共謀罪の臨時国会提出の動きです。犯罪に及んでいないにもかかわらず、犯罪を相談しただけで罪に問われる共謀罪は06年、一度提出された後に廃案になつていますが、今回は東京オリンピックを念頭に「テロ等組織犯罪準備罪」と名称を変えてはいるものの、内容は前回と変わってはいません。

 しかも処罰の対象は重大犯罪に限定されず、600以上の犯罪が該当します。さらに、それらは通信傍受法の改悪で拡大された盗聴対象の犯罪とほほ重なっており、盗聴をさらに有効に実行するため、共謀罪をドッキングさせようとしているのは疑いありません。

◆南スーダンに要注意

 このように、 軍事的動きが外に向かう際には必ず国内の治安態勢強化が伴うことは、戦前と同じパターンです。 戦争に反対する勢力を潰し、国民を思想的に統制する。すでに中国との間の尖閣諸島をめぐる対立や、北朝鮮の核実験を口実に、外国からの「脅威論」が広まっています。それを安倍内閣は過度に煽り、「戦争のできる普通の国」にするための口実にしようとしていますが、安倍首相が当面、自衛隊の海外出動を狙っているのは、すでにジブチに海外基地が建設されているアフリカです。

 国連安保理は8月12日、南スーダンの治安回復に向け、約4000人の増派部隊を国連平和維持活動(PKO)に投入する決議案を採択しましたが、現地では政府が崩壊し、自衛隊のPKO5原則のうち、基本的な

 (1)停戦合意が成立
 (2)紛争当事国によるPKO実施の合意

という条件が壊れています。

 しかも国連が南スーダンで仲介者ではなく武力行使の当事者になろうとしているのに、政府は11月にも陸自第5普通科連隊(青森市)を中心とする部隊をPKOで南スーダンに派遣し、さらに戦争法に基づく「駆け付け警護」などの新任務を初めて付与する予定です。

 このままだと、「自衛隊の戦死者」が出かねません。そうした事態になったら、 安倍内閣が政府専用機で戦死者を羽田空港に運び、そこで大がかりに「国のために殉じた自衛隊員」として扱うセレモニーを実施 するでしょう。

 各メディアも大々的に「美談」として報じ、 国民に「戦死者が出る状態」に慣れさせる役割を演ずるはず です。その結果、一挙に「戦争のできる普通の国」を支える国民意識が固定化されかねません。当面は共謀罪の上程を許さず、南スーダンへの自衛隊派遣を阻止することが急務です。(談)

<あだち まさかつ・関東学院大学名誉教授。>


2016年9月23日 「週刊金曜日」 1105号 14ページ「すべては『自衛隊員の死』のために準備されている」から引用

 戦前の日本政府は戦争を起こすに当たって、反対する勢力を潰し、国民を思想的に統制することに成功していました。思想的に統制するといっても、完全に国民を洗脳できたわけではなく、「こんな馬鹿げた戦争など始めやがって・・・」と心の中で呟く国民は大勢いたのですが、それをおいそれとは口に出せない社会的雰囲気を作り上げることに成功した、というわけです。さすがに安倍政権は、そこまでは出来てはいませんが、憲法学者の指摘を無視して集団的自衛権を行使可能と憲法解釈を変え、戦争法を強行採決しても、選挙のときはアベノミクスのことだけを言って、憲法や自衛隊派遣のことには触れないでおけば、それで票が集まって選挙に勝てるという体制を作り上げているのは、戦争を始められる体制作りに成功したといって過言ではありません。あとは、自衛隊に犠牲者が出たとき、メディアがどう報道するかが問題です。足立氏が言うように「お国のために尊い犠牲者」と美談として報道するのか、憲法違反の法律を施行したために出た犠牲者との観点から安倍政権の責任を追及できるのか、日本のメディアの実力が問われます。









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最終更新日  2016年10月06日 20時31分20秒


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