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その若者たちにとって、水俣病や四日市の大気汚染など高度経済成長期に発生した日本の公害問題は、約50年前の出来事。完全に歴史上の出来事です。
しかし、もしあなたが、そのとき、チッソ水俣工場で働いていたら・・・、四日市の工場で働いていたら・・・。
あなたは何ができたでしょうか。 周辺住民の健康と生活を守るために、工場の内実を告発できたでしょうか。それとも自分の生活を守るために沈黙を守ったでしょうか。 こう考えると、公害問題は歴史ではなく、まさに現代の問題であり、私たちの生き方の問題なのです。
本書には、当時、大量の硫黄酸化物を排出していた企業で、 会社を守ろうとした立場の人、告発に踏み切った人の双方の証言 が出てきます。当時を知る人が次第に消えていこうとする現代、「いま取材しなければ、永遠に間に合わない」という焦りが取材班を突き動かしました。
人々の証言を聞いた取材班は、こう述懐します。
<戦争も公害も組織内部では多くの人が「おかしい」と思いながら破局に向け突き進んでしまった。福島の原発事故も同じ構図だ>
(評者池上彰=ジャーナリスト)
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