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2022年12月15日
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テーマ: ニュース(100341)
カテゴリ: ニュース
隣国との関係がうまくいかない日本外交について、毎日新聞専門編集委員の伊藤智永氏は3日の同紙コラムに、次のように書いている;


同世代の若者が異国で働く境遇、増え続ける背景は、自分の職への不安とも重なり、ひとごととは思えないのだろう。 偽装移民・出入国管理制度のごまかしや非道も、今や常識に属する。

 「こうした政策には、植民地支配という前史が影響している」

 国会内で11月30日開かれた集まりで、NPO「移住者と連帯する全国ネットワーク」代表理事の鳥井一平さんの話に得心するところがあった。法制度上の建前はどうあれ多くは不本意な形で、朝鮮半島から連れてきて働かせた徴用工たちの歴史を指している。

「人を使い捨てにしない、させない。国も企業も本気で共生社会を作る気なら、歴史の直視と反省がないと、前へは進めない」

 同13日、約3年ぶりに行われた日韓首脳会談は、元徴用工問題の早期解決を図ると確認した。韓国最高裁判決で確定した元徴用工らへの賠償について、日本企業の韓国国内資産の「現金化」を避けるため、韓国の財団に両国の企業などが寄付して「肩代わり」させる案を韓国政府が検討している。

 「請求権問題は1965年の日韓請求権協定で解決済み」と突き放す日本側に配慮した玉虫色決着だが、 韓国政府は国内を説得するため、日本側のなお「誠意ある呼応」に期待し、調整が続く。

 2015年の慰安婦合意で外相だった岸田文雄首相は、合意が守られなかった苦い経験もあって、かたくならしい。自民党内も「一歩も譲るな」と強硬だ。

「日韓両国が21世紀の確固たる善隣友好協力関係を構築していくためには、両国が過去を直視し相互理解と信頼に基づいた関係を発展させていくことが重要である」

 98年の小渕恵三首相と金大中大統領による日韓共同宣言(日韓パートナーシップ)。 65年協定は20世紀末、最上級の外交文書で上書きされた。 こう明記されている。

 「小渕首相は、我が国が過去の一時期、韓国国民に対し、植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめ、痛切な反省と心からのお訃びを述べた」

 「金大統領は、小渕首相の歴史認識の表明を真摯に受けとめ、これを評価すると同時に、両国が過去の不幸な歴史を乗り越えて和解と善隣友好協力に基づいた未来志向的な関係を発展させるために、お互いに努力することが時代の要請である旨表明した」

民衆は政治のかたくなさにあきれている。立ち返るべき合意は、すでにある。
(専門編集委員)


2022年12月3日 毎日新聞朝刊 13版 2ページ 「土記-『誠意ある呼応』の手本」から引用

 この毎日新聞の記事は、過度の政府批判を避けようとする余りに論点がオブラートに包まれたような印象で、もう少し本質をズバリ指摘するような表現にしても良かったのではないかと思います。徴用工問題で日韓関係が冷え込んでしまった責任は、一重に日本政府の誠意の無さに起因しており、日本側の問題であることは明らかで、中国で戦時中の「強制労働」が問題になったときは、労働者を使役した企業が判決に従って賠償責任を果たしたので、一応円満な解決に辿り着いている。したがって、韓国の徴用工問題についても、当初は被告だった日本企業は「中国の例」にならって裁判所の判断に従う予定だったものを、これに介入して問題をこじらせたのは安倍政権であった。強制労働が起きた時点で、中国は独立国であったが韓国は日本の植民地だったのだから、韓国の労働者が日本で働くことは当時の法律に基づいた施策であったので、今さら「損害賠償」の対象ではないというのが自民党政府の「理屈」であるが、そこには「植民地支配」に対する「反省」が皆無で、65年協定で解決済みという「理屈」も、65年当時日韓両国でかわした書面には「植民地支配に対する補償」であるとの文言は一言もないのであるから、政府自民党の「主張」は破綻しているのである。したがって、98年の「日韓パートナーシップ」が必要となったのである。





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最終更新日  2022年12月15日 01時00分06秒


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