フリーページ
同世代の若者が異国で働く境遇、増え続ける背景は、自分の職への不安とも重なり、ひとごととは思えないのだろう。 偽装移民・出入国管理制度のごまかしや非道も、今や常識に属する。
「こうした政策には、植民地支配という前史が影響している」
国会内で11月30日開かれた集まりで、NPO「移住者と連帯する全国ネットワーク」代表理事の鳥井一平さんの話に得心するところがあった。法制度上の建前はどうあれ多くは不本意な形で、朝鮮半島から連れてきて働かせた徴用工たちの歴史を指している。
「人を使い捨てにしない、させない。国も企業も本気で共生社会を作る気なら、歴史の直視と反省がないと、前へは進めない」
同13日、約3年ぶりに行われた日韓首脳会談は、元徴用工問題の早期解決を図ると確認した。韓国最高裁判決で確定した元徴用工らへの賠償について、日本企業の韓国国内資産の「現金化」を避けるため、韓国の財団に両国の企業などが寄付して「肩代わり」させる案を韓国政府が検討している。
「請求権問題は1965年の日韓請求権協定で解決済み」と突き放す日本側に配慮した玉虫色決着だが、 韓国政府は国内を説得するため、日本側のなお「誠意ある呼応」に期待し、調整が続く。
2015年の慰安婦合意で外相だった岸田文雄首相は、合意が守られなかった苦い経験もあって、かたくならしい。自民党内も「一歩も譲るな」と強硬だ。
「日韓両国が21世紀の確固たる善隣友好協力関係を構築していくためには、両国が過去を直視し相互理解と信頼に基づいた関係を発展させていくことが重要である」
98年の小渕恵三首相と金大中大統領による日韓共同宣言(日韓パートナーシップ)。 65年協定は20世紀末、最上級の外交文書で上書きされた。 こう明記されている。
「小渕首相は、我が国が過去の一時期、韓国国民に対し、植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめ、痛切な反省と心からのお訃びを述べた」
「金大統領は、小渕首相の歴史認識の表明を真摯に受けとめ、これを評価すると同時に、両国が過去の不幸な歴史を乗り越えて和解と善隣友好協力に基づいた未来志向的な関係を発展させるために、お互いに努力することが時代の要請である旨表明した」
民衆は政治のかたくなさにあきれている。立ち返るべき合意は、すでにある。
(専門編集委員)
巨額の「裏金」自民廃止論迷走(3日の日… 2024年12月03日
租税教育と財政民主主義(2日の日記) 2024年12月02日
核ごみ調査、足踏み続く(1日の日記) 2024年12月01日
PR
キーワードサーチ
コメント新着