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トランプは予備選中に「プーチンと談合してウクライナ戦争を24時間以内に終結させる」「パリ協定から離脱する」「すべての輸入品に10%の関税を課す」などの政策を支持者たちには示唆している。欧州の指導者たちは米国が北大西洋条約機構(NATO)から脱盟すること、ウクライナを見捨てること、気候変動にコミットしないこと、前例のない保護主義的貿易を展開する場合に、どう対処したらよいのか、すでにその準備を始めている。
翻って、日本メディアで「トランプが大統領になった場合に日本にどんな被害が及ぶか」についての予測が載ることはまずない。誰が大統領であろうと、とにかく対米従属さえしていれば政権は安泰だと高をくくっているのだろう。
しかし、欧州諸国が米国のNATO脱盟のリスクについて備え始めている時に、日本だけが米国が安保条約を廃棄する可能性をゼロ査定しているとしたら、ずいぶん気楽なことだと言わねばならない。日米安保条約は一方の締結国が宣言すれば1年後に自動終了する。そして、米国には在外米軍基地の縮小や廃止を主張する議員が少なくないのである。「自分の国は自分で守れ」というのはリバタリアンとしては当然の主張だ。
そもそも戦後の在日米軍基地はソ連侵攻を想定して配備されたものである。だから、北海道には米軍基地がなく、ソ連から一番遠い沖縄に基地が集中している。それなら日本列島がソ連軍に蹂躙された後も米軍主力は無傷で残るからである。だとすれば、米国が対中戦争を想定して基地を配備するなら、最前線である沖縄と南西諸島はできるだけ自衛隊に委ね、米軍主力はグアム=テニアンの線まで退くのが合理的である。
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日本の左派は「米国が始める戦争に日本が巻き込まれるリスク」を語るけれど、ホワイトハウスはむしろ「台湾や韓国や日本が偶発的に起こした対中戦に米国が巻き込まれるリスク」を憂慮していると思う。
仮に日中間で軍事衝突が起きた時、米国は参戦するだろうか。トランプ大統領なら「参戦拒否」すると私は思う。議会でも「アメリカ・ファースト」の議員たちが「日本のために米国の若者が死ぬ必要はない」と言い出し、世論もそれに同調するだろう。しかし、万一「日本有事」に際して米国市民に死傷者が出てしまうと、そうも言ってられない。いやでも中国を相手に戦争を始めなければならなくなる。
だから、米国が中国との戦争を絶対に回避しようと願うなら「日本有事」で米国市民が一人も死なないことがどうしても必要になる。最も確実な方法は日本列島から全米軍基地を撤収することである。「日米安保条約」が機能しなくなる日に備えて、日本人も「日米同盟基軸」以外の道を考え始めるべき時が来ている。
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