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陸自大宮駐屯地(さいたま市)の第32普通科連隊は5日、日米が戦った硫黄島(東京都小笠原村)の戦没者追悼式への参加をXの公式アカウントに投稿した際「大東亜戦争最大の激戦地」と記した。この表現は8日に削除した。
日本は1941年12月の開戦直後、アジアの解放を名分に「大東亜戦争」と呼ぶことを閣議決定した。 戦後「大東亜戦争」の呼称は連合国軍総司令部(GHQ)に禁じられ、現在は日本政府も一般に公文書では使用していない。
代わって「太平洋戦争」の表現が定着したのは、破滅的な敗戦につなかったアジアへの侵略と植民地支配を戦後、幅広い日本国民が反省したからにほかならない。
同様に自衛隊も現行憲法の下、旧軍と制度的に断絶する形で発足した。にもかかわらず、陸自部隊が公式アカウントで一時的とはいえ「聖戦思想」を疑われかねない投稿をしたことは深刻である。
懸念はこれにとどまらない。海自司令官と幹部候補生学校卒業生らが昨年5月に、陸自幹部ら22人が今年1月に、靖国神社を参拝した。もちろん隊員にも信教の自由はあり、防衛省は私的参拝と結論付けて問題視はしていない。
しかし、参拝が強制でなくてもA級戦犯を合祀し、先の戦争を正当化する神社に自衛隊員が集団参拝した事実は残る。内外から歴史観を疑問視され、憲法が定める政教分離にも抵触しかねない。
内閣府による最新の世論調査では、自衛隊に「良い印象を持っている」は90・8%に及ぶ。文民統制の下、防衛と災害救援、国際貢。献を積み重ねてきた結果だ。
一連の言動は自衛隊が築き上げてきた信頼を自ら損なうことになりかねない。防衛省・自衛隊は疑念を招く言動は慎むよう隊員への指導・教育を徹底すべきである。
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