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2024年09月19日
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テーマ: ニュース(100340)
カテゴリ: ニュース
政治学者で国際基督教大学助教の具裕珍氏は、日本社会の右傾化について3日の朝日新聞で、次のように述べている;




 冷戦が終わり、世界中で保守勢力が台頭しました。日本でもナショナリズムや歴史修正主義といった主張を掲げる勢力が台頭し、保守化や右傾化が注目されてきました。 ただ欧州などと異なり、日本にはこれまで有力な極右政党が存在せず、社会の保守から極右までの様々な要求が既成保守政党である自民党に集約されてきました。

 私は自民党に集約され、右傾化を支える社会勢力を「保守」と呼び、代表的な団体である日本会議の動員や政策提言活動に注目して分析を続けています。特に「戦後レジームの総決算」を掲げ、憲法改正を目指していた第2次安倍晋三政権の存在が大きかったのは間違いないでしょう。

 日本会議が1997年に設立された当初、最も関係が深かった政治家は自民党政調会長などを歴任した中川昭一氏でした。中川氏が死去した後は、安倍氏への期待が高くなりました。2012年から20年まで、第2次安倍政権が結果的に長期政権になったことは非常に重要で、日本の政治空間で、保守的なテーマがある種タブーでなくなったのではないかと思います。

 安倍氏がいなくなって2年が経過しましたが、岸田文雄首相が憲法記念日に改憲派の集会に自民党総裁としてビデオメッセージを寄せるなど、安倍氏の影響は続いているようです。

 しかし、日本の保守は、まだ次のリーダー候補を絞り切れず、模索を続けているのではないでしょうか。

 また「一強」とも呼ばれ、 日本会議と関係の深い安倍政権が長く続いた結果、保守運動の側が純粋なイデオロギーや思想を貫く当初の姿勢から、いくらか権力寄りになったのではないか と思います。ですから、今起きているのは、 それに飽き足らない人々が離れたり、より明確に保守主義を掲げる政党が出来たりということ だと思います。

 安倍政権が何をやったのか、分析と検証がこれからも必要でしょう。例えば女性活躍の一環で起用された女性政治家の台頭とその役割に注目する必要があるのではないでしょうか。それが、女性の人権に基づいた政策を打ち出すものなのか、あるいは保守派の家父長的家族観を後押しするものなのか、政治と社会の視点からのさらなる研究が求められていると思います。
(聞き手・池田伸壹)

     *

<ク・ユジン> 1980年韓国生まれ。大学院博士課程から日本で研究を続ける。2024年4月から現職。単著に「保守市民社会と日本政治」。


2024年9月3日 朝日新聞朝刊 13版S 11ページ 「耕論・安倍氏の記憶の現在地-保守派、続くリーダー探し」から引用

 この記事も、日本社会の右傾化を見つめるという点では、なかなかユニークな視点を提供してくれているように思いますが、日本の右傾化をすすめる大きな力となっているのは、日本会議のほかに旧統一教会の存在も無視できないのではないかと、私は思います。旧統一教会は、韓国を発祥の地としながらも韓国の人々の間ではそれほどの知名度はなく、欧米ではカルト団体扱いされている、そういう団体が何故日本では大きな力を得て政府与党と密接な関係を築くことが可能だったのか、その辺も研究する価値があるのではないかと思います。また、岸田首相も安倍氏を模倣して、改憲集会にビデオメッセージを送ったそうですが、安倍氏ほどには受けなかった、その辺の理由も探ってもらうと面白いのではないか、と思いました。





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最終更新日  2024年09月19日 14時29分55秒


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