今夜はクリスマスイヴ
キリスト教でもなし、小さな子もいないし
プレゼントをしたい 新鮮な
相手もいないし
ことさらなにもしないんだけど
忘れられないひとこまを思い出す
まだ小学校に上がったばかりの女の子だった
寝しなに母が読んでくれた少女雑誌戦後いくらもたっていないから粗悪な紙の
挿絵もいくらかあったと思う
コゼットの運命のものがたり
真っ暗闇、森の泉へ水汲み
いたいけな少女には重たい木桶すっと軽くなったと思ったら、見知らぬおじさんが持ってくれた
そは誰?
その前、泉に行く道々、飾り窓の中お人形さんに見とれた少女コゼット
きょうはクリスマスイブ養ってもらっている旅籠の主人テナルディエの娘たちは
暖かいところでぬくぬくお人形さん遊び
水を汲んで帰ってもコゼットは木片にぼろ布をかぶせた人形しかない
見知らぬおじさんはその旅籠に入ってテーブルに居たが
さっと戸口を出て、戻ってきた時その手にあの飾り窓の素晴らしい人形を持って
コゼットに渡してくれるではないか
それからおじさんとテナルディエとの話し合いが...
翌朝お人形さんを大事に抱えたコゼットとジャンバルジャンがいずこへともなく旅立って行った
「レ・ミゼラブル」の1節わたしの中で想像が広がりわくわくしたものだ
読んでもらったのが連載だったのか、読みきりだったのか?わからない
その後何回か「レ・ミゼラブル」を全編読むことになる
その一節がその時ほど胸に迫らない
コゼットの運命よりジャンバルジャンの運命に寄り添う
なぜ忘れられないのか?
今から思うと当時の時代模様
何も無かった時代、何も無いことが当たり前の時代
否、無くなってしまっていた時代に生まれた者の感性
母が読んでくれた時
寒い時だったからたぶん12月もクリスマスのころ
重たい綿の掛布団の中にいるわたし
(ほんと、今の羽毛布団と雲泥の差なんだから)
それで眠りつくまで寒かったこと、寒かったこと
でも
こころの中で豊かな、ほとばしるような想像力が湧いてくる
楽しさがいっぱいあった
今現代の少女がここを読み聞かせられたら
知らないオジサンがお人形さんをくれたとてついて行ったら、 恐いよ~
になる
ちょっとほろにがい
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