CAPTAINの航海日記

CAPTAINの航海日記

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Profile

CAPTAIN

CAPTAIN

Comments

CAPTAIN @ Re[1]:普通科高校㏌1960's(09/18) >たんぽぽさんへ 郡山市の普通科系公立…
たんぽぽ@ Re:普通科高校㏌1960's(09/18) 引き続きすごい調査ですね。 盛岡とかは新…
CAPTAIN @ Re[1]:普通科高校in1975(09/18) >たんぽぽさんへ いや~暇人なもので(…
たんぽぽ@ Re:普通科高校in1975(09/18) CAPTAINさん、毎度のことですがよくお調べ…
CAPTAIN @ Re[1]:福島大学の金谷川移転についてのIF(09/15) >elbe14さんへ いつもありがとうござい…
2016.03.02
XML
テーマ: The入院生活(375)
カテゴリ: 企画モノ
点滴を受けた後は、再び本へと向かいます。
先ほどまでの秋田ムードとは打って変わって、村上春樹の短編小説「ねむり」。元々私は高校時代から社会人になるかならないの頃まで筋金入りのハルキストで、「スプートニクの恋人」以前に刊行された彼の長編小説はすべて読破したのですが、ここ20年近くはとんとご無沙汰。「海辺のカフカ」も「1Q84」も多崎つくるがどうしたこうしたとやたらとタイトルの長い作品も、全然読んでいませんでした。
ただ、入院直前の我が家で、村上春樹がちょっと話題になったことがありました。きっかけは、上の子のクラスメートに村上春樹のとある長編小説に出てくる女の子と同姓同名(ただし、名前の漢字表記は異なる)の子がいたこと。「あの名前、意識してつけたのかな?」とか妻と話してましたっけ。
そうそう、村上春樹の小説に出てくる人物で思い出したのですが、長年私がお世話になっている損害保険の代理店の営業担当の方も、別の長編小説に登場する人物と同姓同名でした(こちらは漢字表記も同じ)。明後日に勤務先で会う約束をしていたのですが、私が入院したせいでキャンセルに…って、確か先方にキャンセルの旨電話したよな…とスマホの発信履歴をついつい確認する私。
で、話を「ねむり」に戻すと、巻末に書かれてあった発行年が2010年。先述の事情もあって私にとっては初見の小説だとばかり思っていたら、さにあらず。この小説、元は1990年に刊行された短編集「TVピープル」に掲載されていた「眠り」という小説で、単行本として刊行されると同時にタイトルの表記も含めて改稿されたものでした。読み進めていくうちに「あ~、こんな小説あったな」と少々懐かしい気分になります。

結局、「ねむり」は有効な時間潰しにはなり得ず、日没前にして3冊の本を読み終え手持無沙汰に。仕方がないので昨日に引き続きテレビを観ます。ニュースは相変わらずスーパーチューズデーの話題ばかりで、各州で開票が行われた結果、共和党はトランプ氏が圧勝、一方の民主党は史上初の女性大統領を目指すヒラリー・クリントン氏が社会民主主義者を名乗るバーニー・サンダース氏を引き離しにかかっている様子が、繰り返し流れてきました。

午後7時過ぎに、妻が一人で見舞いに来ます。「本、もう読んだ?」と恐る恐る訊く妻。「読んだよ。ありがとう」と返すと、安心したかのようにバッグから2冊の本を取り出します。どちらも村上春樹の作品で短編集「東京奇譚集」と長編小説「アフターダーク」。いくら私が元ハルキストだとはいえ、退院前日になってここまでの春樹攻めに遭うとは想像していませんでした。

「読み切れなかったら、退院後にうちで読めばいいし…」と言い残し、妻は帰宅。一人残った私は「東京奇譚集」を手に取って、読める所まで読み進めることにします。手違いがあったせいで本日2度目の点滴が行われるのは午後9時過ぎ。それまでじっと待っていなければならないのなら本でも読んでいた方が時間を有効に使えるというもの。
「東京奇譚集」に所収されている作品は、「偶然の旅人」「ハナレイ・ベイ」「どこであれそれが見つかりそうな場所で」「日々移動する腎臓のかたちをした石」「品川猿」の五つで、個人的には最後の「品川猿」が良かったかな。あれ? 最後の!? そうなんです。点滴が終わった後も結局本が手から離せなくて、1冊読み終えてしまったんです。
「品川猿」は、言葉をしゃべる猿が登場する「映像化しにくそうな作品」だという点で、村上春樹らしさが一番出ていたと思います。
実は、村上春樹の小説って、映像化された作品が極端に少ないんですよ。デビュー作となった「風の歌を聴け」は大森一樹監督、小林薫主演で映画化されましたけど、以降は2010年に「ノルウェイの森」がトラン・アン・ユン監督、松山ケンイチ主演で映画化されるまで少なくとも長編小説が映像化された事例は皆無。それどころか、羊の皮をかぶった羊男なるキャラが登場する「羊をめぐる冒険」や暗闇でのシーンが延々と展開する他一角獣も登場する「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」など、村上自身が映像化を拒むかのような舞台設定の小説を書いている始末だし…まぁ、だからこそ、村上春樹の小説は「読む」ことに意義を見出さざるを得ない側面を有すると思うし、その特徴が最も強く出ていたのが「品川猿」ではなかったかと…

時計を見るともう午後10時半。「アフターダーク」を読むのは明日に回すとし、寝るとしましょう。


合計5,000円以上のお買上げで送料無料!【中古】東京奇譚集 (新潮文庫) /村上春樹





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2016.03.05 15:47:29
コメント(0) | コメントを書く
[企画モノ] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: