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2013年を前にして、庶民に仮想現実を見せるという役割をマスメディアは果たせなくなりつつある。プロパガンダ機関としての能力が落ちているということだ。 国内では昨年3月の東京電力福島第一原発の事故がマスコミにとって大きな痛手。教育と連携して「原発安全神話」を国民に植えつけていたのだが、その神話が吹き飛んでしまった。原発が危険な存在だということは否定しようがない。しかも、事故の深刻な状況を隠して多くの住民を大量被曝させた事実も知られた。 事実を知らずに間違った情報を流したわけではないだろう。事故が発生した直後に政府はメルトダウンを予測、最悪の場合は首都圏に住む人々も避難する必要があると認識していた。多くの「優秀な記者」を抱えているマスコミは早い段階でそうした情報をつかんでいたはずだ。実際、脱兎のごとく逃げ出している。 ところが、その後もマスコミは何も反省せず、「原発安全神話」の続編として「放射能安全神話」を宣伝しはじめ、12月の総選挙で誕生した安倍晋三政権は原発を再稼働させようとしている。その総選挙に至る過程でもマスコミは日米の支配層が望む方向へ国民を誘導していた。 勿論、マスコミの嘘は原発に限らない。政治にしろ、経済にしろ、軍事にしろ、治安にしろ、支配層のために宣伝を続けている。社会の現実を伝え、権力者を監視するのがマスコミの役割だという人もいるが、妄想にすぎない。戦争を煽り、「大本営発表」を垂れ流した新聞は戦後も基本的に体質は変化しなかった。 A紙やM紙は左だ、S誌やB誌は右だといったことも言われていたが、これはプロレスの善玉と悪玉、フェイスとヒールのようなもので、営業/興行のための役割分担。両方とも体制派の仲間にすぎず、左でも右でもない。要するに同じ穴の何とか。 組織としてのメディアは体制派だが、個人的に権力と対峙する記者、ジャーナリストはいた。いわば「掃き溜めに鶴」だが、1980年前後から気骨あるジャーナリストを排除する動きが強まり、今のマスコミはかなり純粋な「権力の走狗」である。 本ブログでは何度か指摘、拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』でも取り上げたが、1933年にJPモルガンを中心とするアメリカ金融界はフランクリン・ルーズベルト大統領を排除し、ファシズム体制を樹立するためのクーデターを計画している。 名誉勲章を2度授与された伝説的な軍人、海兵隊のスメドリー・バトラー退役少将にもクーデターへ参加して欲しいという誘いがあった。この誘いをバトラー少将はことわり、クーデターを実行するなら、自分はカウンター・クーデターで対抗すると宣言、議会で計画について証言している。バトラー少将らの証言によると、この計画でクーデター派はアメリカ国民を新聞で操るとしていた。メディアを使えば庶民を騙すことは容易だと考えていたのである。 戦後になると、アメリカの支配層はメディアのコントロールを組織化した。国務省では「公的外交」という看板の下、他国の国民に影響力を及ぼそうとしている。そのために成立させたのが1948年の情報教育交流法。この法律に基づいて設立されたのがUSIA(米国情報庁)。「友好国」のジャーナリスト、知識人、政治家などを買収し、世論を操作しようとしたと言われている。 その延長線上にあるのが「プロジェクト・デモクラシー」。ロナルド・レーガンが大統領を務めた1980年代、ターゲット国を攻撃する「呪文」として「民主化」を使うようになる。勿論、本当に民主化することが目的ではないため、必然的に「ダブル・スタンダード」ということになる。 1980年代にはアフガニスタン、最近ではリビアやシリアの体制を転覆させるためにサウジアラビアはアメリカやイスラエルと手を組み、資金と戦闘員を供給している。攻撃の口実は「民主化」や「人権」だが、そのサウジアラビアは奴隷制国家である。奴隷制が残る独裁国家が「民主化」や「人権」を掲げているわけだが、それを「西側」の政府もメディアも、そして「左翼」も意に介さない。 一般に「モッキンバード」と呼ばれているメディア支配プロジェクトも有名。中心人物は第2次世界大戦中から破壊工作を指揮していたアレン・ダレス、ダレスの側近で極秘の破壊工作機関OPCの局長を務めたフランク・ウィズナー、やはりダレスの側近で後にCIA長官になるリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主を努めていたフィリップ・グラハム。 この4名は金融界と深い関係にある。ダレスとウィズナーはウォール街の弁護士、ヘルムズの祖父は国際的な投資家、グラハムの義父にあたるユージン・メイアーは世界銀行の初代総裁だ。フィリップ・グラハムの妻であり、ユージン・メイアーの娘がウォーターゲート事件で名を売ったキャサリン・グラハムである。 レーガン政権はイギリスとの同盟関係を強化するために「BAP(後継世代のための米英プロジェクト)」もスタートさせている。メディア界に君臨していたルパート・マードックやジェームズ・ゴールドスミスとの会談でこの名前が始めて使われたようだ。 次世代を担う若手を育成するためのプロジェクトだとされているが、アングロサクソンによる支配システムを維持することが本当の目的。その中には多くのメディア関係者が含まれ、イギリスのトニー・ブレアを支えていた。ブレアはイスラエルをスポンサーにしていたわけで、BAPはイスラエルとも結びつく。日本のマスコミも権力システムに取り込まれているのだが、その事実はすでに知られている。
2012.12.31
2013年はどのような年になるのだろうか? アメリカのバラク・オバマ大統領はCIAと関係が深いと言われている。そのオバマ大統領はネオコン(アメリカの親イスラエル派)と一線を画そうとしているようだが、イスラエル・ロビーは必死に巻き返しを図っている。 ソ連が消滅した後、ネオコンは、アメリカが「唯一の超大国」としての地位を維持するため、潜在的なライバルを潰すべきだという考えるようになった。最も警戒すべき潜在的ライバルは中国であり、東アジアの軍事戦略的な重要度は高まるということになる。 1992年にネオコンが作成したDPGの草案にはそうした戦略が描かれていた。2000年にネオコン系シンクタンクのPNACが出した『アメリカ国防の再構築』はその戦略に基づいてい作成され、海兵隊のオスプレイもそうした戦略に必要だとされている。「日本防衛」とは関係ない。 第2次世界大戦後、アメリカとイギリスの支配層はヨーロッパが最重要地帯だった。この地域を支配するための仕組みとしてNATOを設立されたのは1949年。ソ連軍に対抗するためという口実が使われたが、その当時、ソ連軍にそうした能力はなかった。ドイツとの戦争で2000万人以上の国民が死亡、工業地帯の3分の2が破壊され、軍隊も惨憺たる状態だったのだ。 そうしたことを米英両国の支配層は熟知していた。だからこそ、イギリスのウィンストン・チャーチル首相はドイツが降伏した1945年5月頃、軍に対し、ソ連に対する奇襲攻撃計画「アンシンカブル」の作成を命じたのである。数十万人の米英両軍と再武装させたドイツの将兵10万人で攻撃するという内容だったが、これは軍の反対で実現しなかった。チャーチルはその年の7月に首相の座から降りることになる。 大戦でレジスタンス活動が盛んだったイタリアではコミュニストの影響力が大きく、戦争中からアメリカは対策を講じている。そのひとつがマフィアとの連携だが、それだけでなく「NATOの秘密部隊」も編成された。この事実は1990年にイタリア政府が公式に認め、大きな問題になった。(日本ではマスコミも学者も、右も左も無視しているが) この秘密部隊は西ヨーロッパの左翼勢力を潰すことが最大の活動目的で、NATOに加盟している全ての国に存在し、イタリアの場合はグラディオと呼ばれている。1960年代から80年頃まで続いた「極左グループのテロ」の多くは、このグラディオが実行していた。 こうした組織が存在することが表面化したのは1972年。イタリア北東部の森で兵器庫が偶然、発見されたのである。そして「P2スキャンダル」。イタリアの有力政治家、軍や警察の幹部を含む支配階級に属す多くの人間をメンバーにする秘密結社「プロパガンダ・ドゥー」の存在が発覚したのだ。グラディオとP2とは一心同体の関係にあると見られている。 NATOに加盟する際、秘密部隊を編成するという議定書に署名することが求められるというのだが、この秘密部隊が誕生したのは遅くとも1948年、つまりNATOよりも歴史が古いと言われている。NATOは隠れ蓑に使われた可能性もある。秘密部隊の手駒として使うため、「右翼過激派」を守ることも議定書は義務づけているとされている。 1962年にフランスではシャルル・ド・ゴール大統領の暗殺未遂事件があった。OASの一部が実行したが、その背後にはNATOの秘密部隊が存在していた。ジャーナリストのフィリップ・ウィランによると、1966年にド・ゴールはフランスをNATOの軍事部門から引き上げることを決めたが、その際、NATOの秘密議定書は国家主権を侵すものだと非難したという。 こうした非公然組織を設立する際、アメリカのOPC(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を)が中心的な役割を果たしている。中国でコミュニストの勝利が決定的になった1949年に東アジアではOPCが日本を拠点にするようになったことは以前に本ブログでも何度か書いたことがある。アメリカが戦略的な力点を東アジアへ移すなら、日本でもグラディオ的な活動が盛んになる可能性もある。 西ヨーロッパでは「右翼過激派」が手先として使われたが、中東/北アフリカでは「イスラム武装勢力」が利用されている。エネルギー源の支配はネオコンを含む欧米支配層の最重要テーマのひとつであり、「アラブの春」を生み出した原因にもなっている。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、1991年の時点でネオコンはシリア、イラン、イラクを掃除すると語り、2001年9月11日の攻撃から10日後にアメリカ政府はイラク攻撃を決定、6週間後にはイラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンが攻撃予定国のリストに載っていたという。 また、2007年にジャーナリストのシーモア・ハーシュが書いた記事によると、アメリカはイスラエルやサウジアラビアと非公式の同盟関係を2006年までに結んでいた。サウジアラビアと緊密な関係にあるムスリム同胞団やサラフィ派がシリアの体制転覆を目指す反政府軍の主力になっている。 ヨーロッパにおける「右翼過激派」、中東/北アフリカにおける「イスラム武装勢力」と同じような勢力、グループをネオコンが日本でも使う可能性がある。が、そうした組織を使うまでもなく、日本は操られているのが現実。ネオコンの手先として動き、中国との関係を悪化させる役割を果たしてきたのは前原某であり、海保であり、石原某であり、マスコミである。こうした連中は日本を破滅へ向かわせる。
2012.12.30
シリアの反政府軍が民間旅客機に対する砲撃を始めた。この話はインターネットの映像サイトで流れているほか、「西側」のメディアも報道している。 反政府軍の主力が外国人傭兵。シリアの戦乱を「内戦」と表現すること自体が「西側」のプロパガンダに乗っていることを意味するが、それはともかく、反政府軍はシリア国民を虐殺し、社会を破壊している。 この現実を考えると、旅客機を撃墜しようとしても不思議ではない。もしシリア政府軍が同じことをしたなら、NATOは直接的な軍事介入の口実にしそうな話だが、反シリア政府軍なら大目に見るようだ。 ただ、反シリア政府軍を手放しで「善玉」として描くことができなくなっていることも確か。「西側」の政府やメディアは反政府軍を「民主化勢力」として描いてきたが、戦乱の長期化によって反政府軍の実態が明らかになり、アメリカのヒラリー・クリントン国務長官はSNC(シリア国民評議会)に見切りつけざるをえなくなった。そしてでっち上げたのが「シリア国民連合」。「西側」の政府は相次いでこの団体を「シリア国民を代表する唯一の組織」として承認した。「良い反政府軍」と「悪い反政府軍」がいるという新しいシナリオに変更したわけだ。 そうした中、アメリカの国務省は反シリア政府軍を構成する武装集団のひとつ、アル・ヌスラ戦線をテロリストと認定した。ところが、シリア国民連合のアーマド・ムアズ・ハティーブ議長はこの認定を批判、アル・ヌスラ戦線をテロリスト名簿から外すように求めている。 反シリア政府軍が住民を狙撃しているという情報は昨年のうちから流れていたが、今年5月のホウラでの虐殺は「西側」にとって裏目に出た。当初、「西側」のメディアは政府軍、あるいは親政府派の武装集団が実行したと伝えていたのだが、ロシアのジャーナリストだけでなく、東方カトリックの修道院長やドイツの有力紙が虐殺の実行者を反政府軍だと報告、「誤報」が明らかになってしまったのである。修道院長によると、反政府軍に参加しているサラフィ主義者や外国人傭兵が住民を虐殺したのだという。 さらに、修道院長は「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は、地上の真実と全く違っている。」と語っている。キリスト教の聖職者、マザー・アグネス・マリアムは外国からの干渉が事態を悪化させていると批判している。まだ戦闘が続いているのは、真実を語らず、外国の勢力が軍事干渉を続けているからということだ。 これまで「西側」に同調していた国連も反政府軍を擁護しきれなくなってきている。例えば、国連人権高等弁務官事務所もシリアの反政府軍が捕虜になった政府軍兵士を処刑したと認め、「戦争犯罪」だと判断したようなのだ。 政府軍の兵士を殺害、首を切り落とす様子を撮影した映像をインターネット上に流している理由は、政府軍兵士に恐怖心を与え、離脱させることにあると見られている。要するに心理戦。こうした反政府軍を編成、資金や武器を提供、おそらく自国の特殊部隊を潜入させて作戦を指揮している国々、つまりイギリス、フランス、アメリカ、トルコ、サウジアラビア、カタールなどはこうした心理戦にも鈍感だ。 シリアに軍事介入している国の中にイスラエルも入っている可能性は高い。アメリカのジャーナリスト、シーモア・ハーシュが2007年に書いた記事によると、アメリカはイスラエルやサウジアラビアと非公式の同盟関係を2006年までに結んでいた。同盟の目的には、イランを脅威だと認識、シリアのバシャール・アル・アサド体制を弱体化させることも含まれていた。そのためにサウジアラビアが資金や物資の援助を行うとも決められたという。イラン・コントラ事件の時と同じ構図だ。アル・カイダとイスラエルは同盟関係にあるということにもなる。 生活し、自らの手で国のあり方を決める権利を中東/北アフリカの庶民からアメリカを含む「西側」の国々は奪っている。アメリカでは憲法が機能不全の状態で、監視や拘束どころか、自国民の殺害も容認されている。自由も民主主義も基本的人権も否定しているのが現在のアメリカという国だ。
2012.12.29
自民党の安倍晋三が総理大臣に選出された。2割弱の選挙民から支持されたにすぎないのだが、とにかく総選挙で圧倒的多数の議席を確保した自民党の総裁が選ばれた。「危機突破内閣」と自称、経済優先で「日本経済再生本部」を設置するのだという。 どのような「危機」をどのように「突破」するのか、誰にとっての「経済再生」なのかを言わなければ話にならないのだが、そこは口をつぐんで語らない。というより、語れない。何しろ、支配システムが崩壊するという危機を乗り越え、大企業/富裕層に富が集中する仕組みを強化し、TPPで国家としての権利を放棄、アメリカ支配層の命令に従う仕組みに国を作り替えるということだから。 現在、国際的な問題になっているのはオフショア市場/タックス・ヘイブン。本ブログでは何度も書いていることだが、ロンドンを中心とするオフショア市場のネットワークが1970年代から整備され、多国籍企業や大富豪、あるいは犯罪組織は資産を隠し、課税から逃れ、マネーロンダリングにも利用することが可能になった。 大企業の負担が重いかのように印象づけるため、日本の政府やマスコミは表面的な税率を強調してきたのだが、抜け穴が多く、実際の負担は軽い。そこにオフショア市場/タックス・ヘイブンの問題が加わり、庶民の貧困化は急速に進んで日本社会の死滅は時間の問題になっている。 富裕層の負担増を口にするなら、まず抜け穴を塞ぎ、オフショア市場/タックス・ヘイブンに対する規制を強化する手段を考える必要があるのだが、安倍政権にそんな意志はないだろう。それどころか、消費税率を引き上げて庶民からさらに搾り取ろうとしている。 歴史を振り返ると、欧米は他国を侵略、富を奪うことで豊かになってきた。かつてスメドレー・バトラー米海兵隊少将が言ったように、戦争とは押し込み強盗。だから戦争は止められない。社会的な強者が富を独占する資本主義経済の矛盾を解消するためにも戦争することになるのだ。 単に奪うだけでなく、奪い続けるシステムとして考えられたのが植民地。ところが、第2次世界大戦以降は植民地の自立が進み、露骨な再植民地化が難しい状況。そこで操り人形を使うことになる。 典型的な操り人形として、かつては王制をでっち上げたり、民主化が進んでいる国では軍事クーデターで独裁政権を樹立させたりしていたが、1980年代から「反テロリズム」や「民主化」といった看板を掲げるようになった。そうした名目でターゲット国を揺さぶり、利権を奪うわけだ。そうした中、組織されたのがイスラム武装勢力である。 このイスラム武装勢力、1980年代は「自由の戦士」と呼ばれ、ソ連が消滅してからは「テロリスト」に変身、そして少し前には「アラブの春」の守護神として扱われていたが、実態はサウジアラビアやカタールのような湾岸の独裁産油国に雇われた傭兵。湾岸産油国の背後にはイギリス、フランス、アメリカといった国が存在している。そうした構図の中、リビアでは体制が倒され、シリアでは軍事侵攻が続き、次のターゲットとしてイランが狙われている。1990年代の初頭にアメリカのネオコン(親イスラエル派)が描いた計画通りだ。 イスラム武装勢力だけが傭兵として活動しているわけではない。アメリカでは1980年代に軍隊と情報機関の「民営化」が進み、2003年以降、特殊部隊などの「元隊員」で構成された傭兵ビジネスが急成長した。つまり、元特殊部隊員とイスラム武装勢力、2種類の傭兵が「体制転覆」を目指して戦っている。 元特殊部隊員にしろ、イスラム武装勢力にしろ、当然のことながら対価を支払う必要がある。ところが、最近では対価を支払わずにすむ傭兵が出現しようとしている。集団的自衛権という名目で自衛隊をアメリカ軍の傭兵にしようというのだ。そうした動きに日本ではマスコミも拍手喝采している。
2012.12.27
64年前のクリスマス・イブに19名の戦犯容疑者が巣鴨刑務所から釈放された。東条英機、広田弘毅、松井石根、土肥原賢二、板垣征四郎、木村兵太郎、武藤章が処刑された翌日のことだ。釈放された19名の中には岸信介、児玉誉士夫、笹川良一が含まれている。戦後、アメリカの情報機関に協力したと言われ、後にロッキード事件で名前が浮上した人物だ。翌年、つまり1949年3月には極東裁判の打ち切りが決定される。この年の10月には中国でコミュニスト政権が成立した。 1947年には情報機関のCIAが、また48年には破壊工作機関のOPCが創設され、ワシントンDCでは、ジョセフ・グルー元駐日大使を中心とするACJ(アメリカ対日協議会)が組織された。ダグラス・マッカーサー元帥が率いるGHQ/SCAP(連合国軍最高司令官総司令部)に残っていたニューディール派の影響を排除する目的でジャパン・ロビーが形成されたが、その中核がACJだ。 ジャパン・ロビーの背後にはウォール街の大物たちが控え、その中心的な存在だったのはジョン・フォスター・ダレス。このダレスと昭和天皇の話し合いで戦後の日本が形作られたことは、関西学院大学の豊下楢彦教授が明らかにしている。 中国でコミュニストが勝利するのはアメリカだけでなく、ソ連も想定外だった。1944年の時点で、国民党軍の総兵力が430万人だったのに対して紅軍は120万人、しかも国民党軍にアメリカは資金援助だけでなく、軍事顧問団も派遣、装備は最新のものだった。それに対して紅軍は日本軍から奪った旧式の装備。常識的に考えると、国民党軍が圧勝するはずだった。 しかし、結果は非常識なものになる。そこでアメリカは秘密工作を練り上げた。人民解放軍(1947年からこの名称を使用)が北京入りして幹部が天安門広場に勢揃いするのを待ち、そこで全員を暗殺、偽装帰順させた部隊に蜂起させるという計画だった。が、これは途中で計画が漏れて中止になる。 コミュニストの勝利が決定的になった1949年にOPCは東アジアの拠点を上海から日本へ移動させる。その年の起こったのが国鉄を舞台とした「怪事件」、つまり下山事件、松川事件、三鷹事件である。日本政府はマスコミを使い、一連の事件はコミュニストによるテロだと宣伝、左翼は致命的なダメージを受けた。 1950年6月にダレスが訪日、渡辺武、松平康昌、海原治、沢田廉三と会談、その直後に韓国空軍は北側を空爆し、地上軍は海州を占領している。「朝鮮戦争が勃発」するのは、その2日後のこと。その数カ月前からアメリカは旧日本軍の特務機関員を使い、挑発工作を続けていた。1951年4月には国民党軍がCIA(OPCはCIAに吸収されていた)の軍事顧問団を伴って中国に軍事侵攻したが反撃にあって失敗、翌年8月の侵攻作戦も失敗する。 日本の「戦後」はこうして始まり、現在に至っている。リチャード・ニクソンと田中角栄は中国を制圧するという目標を降ろしたが、そうでもない人が今でもいるようだ。
2012.12.26
年明け後には法制審議会が通信傍受/盗聴法の対象犯罪を拡大する検討に入るのだという。2001年以来、アメリカではファシズム化が進み、急速に監視システムが強化されているのだが、その後を日本は追いかけている。 歴史的に見て当局がターゲットにしているのは戦争や原発に反対する人びと。監視強化を容認させる理由として「犯罪の捜査」や「市民の安全」などの看板が掲げられているのだが、これはイラク攻撃前の「大量破壊兵器」と同じで幻影。 勿論、法律がどうであろうと、公安警察は「通信の秘密」を守る気はない。発覚すれば問題になるだけの話。ただ、法律の歯止めが緩めば、それだけ簡単に監視できるようにはなる。 公安警察の活動目的は支配体制を守ること。社会的な強者に富を集中させる不公正な仕組みを維持、強化しようとしている日本の支配層としては、庶民の不満が高まることを視野に入れ、反乱の芽を早い段階で潰し、中心になりそうな人物や団体を取り締まる準備をする必要がある。 実は、すでに1970年代からアメリカでは個人情報の収集と分析に力を入れはじめている。学歴、カネの動き、投薬、運転に関する情報、航空券などの購入記録、住宅ローン、クレジット/カードの利用状況、そしてインターネットに関するデータなどが追跡されてきたのだ。電子メールの場合、アメリカの電子情報機関NSAはターゲットを追跡するだけでなく、ほぼ全ての電子メールを記録している。 少し前、東京メトロの駅員がIC乗車券の「PASMO」を使い、ある女性を追いかけていたことが発覚した。個人でもこの程度のことは簡単にできるわけだ。 GPSを搭載した携帯電話も追跡に利用できる。スマートフォンに記録された利用者の氏名、所在地、電話番号、IDなどの情報が外部に漏れていることも明らかになされ、問題になった。 こうした個人情報や通信内容のセキュリティ・レベルを下げさせてきたのはアメリカの捜査機関や情報機関だ。1994年にアメリカでは盗聴を容易にするため、CALEA(法執行のための通信支援法)なる法律が制定された。1993年から毎年、アメリカはヨーロッパ諸国の捜査機関ともこの問題に関する会議を開いている。 1996年にはニュージーランドで『シークレット・パワー』という本が出版された。アメリカとイギリスの情報機関が推進している地球規模の通信傍受システム、ECHELONについて書かれ、この本に触発される形でヨーロッパ議会は「政治的管理技術の評価」という報告書を発表、その中で監視のターゲットは反体制派の活動、人権擁護活動家、ジャーナリスト、学生指導者、少数派、労働運動指導者、政敵が中心になるとしている。 そうした動きの延長線上に日本の組織的犯罪対策法もある。当然、住民基本台帳ネットワークも同じ流れの中。 この法律を制定するにあたり、中心的な役割を果たしたのが原田明夫。法務省刑事局長や事務次官を経て検事総長に就任した人物だ。インターネットに関する知識を持つ人が少ないと言われる検察官僚の中にあり、1970年代後半にはアメリカでこの問題を調査している。その当時、原田は一等書記官として駐米日本大使館に赴任していた。実際に原田の下で動いていたのが敷田稔だ。(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を) 1970年代からイギリスのジャーナリスト、ダンカン・キャンベルなどはこの問題に警鐘を鳴らしているが、日本ではマスコミも「左翼」も鈍感だった。原田も注目していた監視システム、PROMISをアメリカの司法省が横領したという判決をワシントン破産裁判所が1988年に出すと、この問題は一層、注目されることになる。 システムのプログラムが司法省からアメリカやイスラエルの情報機関に流れ、トラップ・ドアが組み込まれて世界中に売られたことが明らかになったのだ。日本の公的な機関や都市銀行で購入したところもあると言われている。 1990年代になると通信傍受や個人情報の収集に関する問題は世界的な大騒動になるのだが、日本は「ガラパゴス状態」で、話題になっていなかった。いや、マスコミは話を持ち込んでも報道することを拒否していた。 その間、通信傍受/盗聴法の準備が進めら、1999年に成立している。日本のファシズム化にマスコミは協力していたわけだ。原発推進と同じように、これもマスコミによる「権力犯罪」への加担と言えるだろう。
2012.12.25
キリスト教徒が多く住む2都市の住民に対して反シリア政府軍は政府軍を追放するように要求、従わない場合は攻撃すると脅している。首都ダマスカスに近いダラヤで反政府軍は化学兵器を使用したと政府側は主張しているが、この情報が正しいなら、キリスト教徒に対する脅しは深刻だ。 実際、今年6月には反シリア政府軍が化学兵器を入手、トルコで使い方の訓練を受けていると伝えられている。ムアンマル・アル・カダフィ体制が倒された後のリビアから運ばれた化学兵器だという。 体制転覆後のリビアから武器と戦闘員がシリアへ移動していることは報道されている。その際、マークを消したNATOの輸送機が武器をリビアからトルコの基地まで運んだとも伝えられている。NATOが化学兵器を運んだ可能性はある。 NATOや湾岸産油国の支援を受けた反シリア政府軍は、当初からキリスト教徒を攻撃対象のひとつにしてきた。「西側」のメディアがシリア軍の仕業と宣伝していたホウラでの虐殺も、実際は反シリア政府軍、より具体的にはサラフィ主義者や外国人傭兵が実行したと東方カトリックの修道院長は報告している。キリスト教徒は勿論、スンニ派でも国会議員の家族は殺されたとフランクフルター・アルゲマイネ紙は伝えている。 「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は、地上の真実と全く違っている。」と修道院長は主張、キリスト教の聖職者、マザー・アグネス・マリアムは外国からの干渉が事態を悪化させていると批判している。 「西側」の政府やメディアはシリアでの戦闘を「民主化運動」を守るために立ち上がったと宣伝していたが、戦闘が長引くにつれて嘘がばれてしまった。イラクを攻撃したときと同じように、最近ではシリア政府が化学兵器を使うと主張しているのだが、シリア軍の化学兵器は現在、ロシア軍が管理しているという情報もある。 その情報が事実なら政府軍の化学兵器使用という演出は難しい。先日、スカッド・ミサイルが発射され、「西側」から批判されているようだが、これは反政府軍が化学兵器の保管庫に迫ったからだとも言われている。 こうした反シリア政府軍の危険性が広く認識されるようになり、最近ではアメリカ国務省がアル・ヌスラ戦線をテロリストだと認定した。ところが、「西側」をはじめとする多くの国から承認された「シリア国民連合」のアーマド・ムアズ・ハティーブ議長はこの決定を撤回するように求めている。 そもそも、1991年には、アメリカのネオコン(親イスラエル派)がシリアを含む国々を攻撃すると決定、2007年にジャーナリストのシーモア・ハーシュが書いた記事によると、アメリカはイスラエルやサウジアラビアと非公式の同盟関係を2006年までに結び、シリアの体制転覆も計画に入れていた。サウジアラビアはムスリム同胞団やサラフィ派と緊密な関係にある。 こうした勢力はアル・カイダと重なる部分があり、ネオコンの戦略に従ってムスリム同胞団やサラフィ派を使うことになることへの警告はあったようだ。が、警告を無視する形でジョージ・W・ブッシュ政権は動き出した。そして収拾不能の状態になっている。イスラム社会をバラバラにすることがネオコン/イスラエルの目的であり、カオス状態は予定通りだとも言われているが、イスラム社会を破壊するだけで終わるとは言えない。 イラク攻撃の前に米英両国政府に騙され(た振りをし)、リビアやシリアの体制転覆工作を「アラブの春」などと言って煽った「西側」の政府やメディア、そして自称「左翼」は責任をとらなければならない・・・のだが、どのように責任をとるつもりだろうか?
2012.12.23
アメリカの国務長官と国防長官が交代になりそうだ。国務長官はヒラリー・クリントンの後継者としてジョン・ケリー上院議員が指名され、国防長官はレオン・パネッタからチャック・ヘイゲル元上院議員へ交代になると噂されている。このヘイゲルにネオコン(親イスラエル派)は激しく反発、雑誌や映像を使った執拗な攻撃が続いている。 ヘイゲルは1997年1月から2009年1月まで上院議員を務めた人物だが、所属は共和党。そのヘイゲルをネオコンが嫌っている理由は、ジョージ・W・ブッシュ政権の中東に対する軍事侵攻に懸念を示していたからである。 だからといって、ヘイゲルが反戦思想の持ち主だというわけではない。何しろ、イラクへの先制攻撃は統合参謀本の内部にも少なからぬ反対の声があった。イラクを攻撃する根拠が薄弱で、戦術的にも無謀、結局は戦争ビジネスを儲けさせるだけで、アメリカを疲弊させることになるというわけだ。 今年の大統領選でネオコン/イスラエル・ロビーはミット・ロムニーを支援して失敗、緊密な関係にあったデービッド・ペトレアスがCIA長官を辞任している。バラク・オバマ政権の2期目はネオコンの影響力が低下しそうだが、さらに自分たちと一線を画す人物が登場することをネオコン/イスラエルは避けたいだろう。 ちなみに、当時の日本では好戦的な雰囲気が蔓延し、ネオコンに踊らされていた。政治家や官僚だけでなくマスコミも戦争熱に浮かされ、インターネットも戦争ごっこと本当の戦争の区別がつかない「平和ボケ」の好戦派で溢れていた。 アメリカ政府が主張していた「大量破壊兵器」の話を信じた、などという戯言を口にしてはならない。少しでも思考力のある人間なら、そんな話が嘘だということはわかっていたはず。アメリカ軍はすぐに勝利して利権を獲得、自分たちもお零れにあずかれると皮算用していたのだろう。 ブッシュ・ジュニア政権が始めた戦争は泥沼化、いまだに抜け出せないでいる。いや、ネオコンの戦略によると、戦線はまだ拡大する。ジャーナリストのシーモア・ハーシュによると、アメリカはイスラエルやサウジアラビアと非公式の同盟関係を2006年までに結んでいた。 つまり、(1) イランを脅威だと認識、(2) パレスチナで影響力を持つハマスとファタハ(パレスチナ祖国解放運動。パレスチナ自治政府の中心)との話し合いを促進してイスラエルへの敵対的姿勢を弱め、(3) シーア派の勢力拡大を防ぐためにブッシュ・ジュニア政権はスンニ派の国々と行動を共にし、(4) シリアのバシャール・アル・アサド体制を弱体化させるためにサウジアラビアが資金や物資の援助を行うということを決めたという。 また、ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、1991年の時点でネオコンのポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)は、5年から10年でシリア、イラン、イラクを掃除すると語り、2001年9月11日の攻撃から10日後にブッシュ・ジュニア政権はイラク攻撃を決定、6週間後にはイラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンが攻撃予定国のリストに載っていたとしている。 ブッシュ・ジュニア政権の政策に批判的だったということは、こうした戦争スケジュールにも批判的だということ。ネオコンだけでなく、戦争ビジネスにとっても気がかりだろう。巨大軍需産業、ロッキード・マーチンの代理人といわれるヒラリー・クリントンが国務長官を辞めるのも偶然とは思えない。 新長官として指名されたケリーも得体の知れないところがある。ロナルド・レーガン政権の時代にイラン・コントラ事件やBCCIスキャンダルを追及した一方、エール大学ではブッシュ親子と同じように秘密結社のスカル・アンド・ボーンズに入っているのだ。 この結社の人脈は情報機関とつながっているので、ケリーもそうした影響を受けている可能性が高い。イラン・コントラ事件ではアフガニスタンのイスラム武装勢力への支援に触れなかったことが批判されているが、「ダメージ・コントロール」が役目なのかもしれない。 ただ、イラクから始まった軍事侵攻にCIAも反対、現在はイランへの攻撃にブレーキをかけている。ケリーの国務長官就任もネオコンにとっては懸念材料だろう。日本のネオコン人脈、例えば小泉某や石原某のような人びとに影響が出てくる可能性もある。
2012.12.22
イギリス、フランス、アメリカ、トルコ、サウジアラビア、カタールなどの国々はシリアの体制転覆を目指してきた。そうした国々は、シリア政府が化学兵器を使用する可能性があると宣伝、より直接的な軍事介入をする切っ掛けを作ろうとしている。 しかし、本当に化学兵器がシリアにあるならば、「西側」に雇われているアル・カイダ系イスラム武装勢力が入手することが最も大きな問題。こうした勢力の多くは国外で雇われた傭兵で、トルコの米軍基地で軍事訓練を受け、武器を提供され、トルコ、レバノン、ヨルダンなどを拠点にしてゲリラ戦を展開している。 化学兵器の恐ろしさをアメリカ政府は熟知しているはず。何しろアメリカ陸軍のキャンプ・デトリックでは生物化学兵器に関する研究所があり、研究開発を続けてきたのだ。 第2次世界大戦の直後、この研究所はドイツや日本の生物化学兵器に関する研究結果を入手したようで、日本の場合は中国東北部(満州)で生体実験を実施していた「関東軍防疫給水部本部」、いわゆる「満州第731部隊」のメンバーも協力している。この部隊は軍医学校の指示に基づいて活動していたが、その背後には日本の医学界が存在していた。 開発した化学兵器をアメリカ国防総省はCIAと共同で実験していた。プロジェクト112と呼ばれている。日米安全保障条約が締結された直後、沖縄には化学兵器が持ち込まれたようだが、プロジェクト112に関わっていた第267化学小隊が島で活動を始めるのは1962年のこと。この年から65年にかけて小隊は3度、積み荷を受け取っているのだが、その中にはサリンやマスタードガスが含まれていたと言われている。 沖縄への生物化学兵器持ち込みは朝鮮戦争と関係していると見られている。1952年2月に朝鮮の外務大臣はアメリカ軍が細菌兵器を使用していると国連に抗議したが、アメリカ側は事実無根だと主張した。 しかし、1970年代にウィリアム・コルビーCIA長官が議会で行った証言の中で、1952年にアメリカ軍が生物化学兵器を使ったと認めている。サリン、マスタードガス、VXガスなどの生物化学兵器が沖縄からジョンストン島へ移されたのは1971年のことだ。 アメリカ軍はベトナムでエージェント・オレンジと呼ばれる枯れ葉剤を使用、現地の住民やアメリカ兵に様々な健康被害を及ぼしている。炎症やガンなど直接的な被害だけでなく、遺伝的な被害も深刻で、多くの奇形児が生まれていると報告されている。この問題を取り上げた番組を琉球朝日放送が制作、今年10月7日深夜1時45分から放送されている。なお、系列局のテレビ朝日が放送したのは10月8日27時10分から27時40分。 イラクでは、放射性物質が原因だと見られる被害が報告されている。劣化ウラン弾が原因だと考えられているが、調査が進む中で濃縮ウランが発見され、これまで知られていないような兵器が使われていた可能性が出てきた。 実戦で神経ガスのサリンが使われたという報道が1998年にはあった。1970年にアメリカのMACV・SOG(ベトナム軍事援助司令部・調査偵察グループ)がラオスでサリンを使用したとCNNが1998年に報道している。この部隊がCIAと共同で1967年から始めたのが「フェニックス・プログラム」。反米色が濃いと見られた地域の住民を皆殺しにする作戦で、ソンミ村(ミ・ライ)事件もその一部。 この報道で最も重要な証人だったのは1970年から74年にかけて統合参謀本部議長を務めたトーマス・ムーラー提督。提督の部下がMACV・SOGを監視、サリンの使用を確認したというのだ。 当然、この報道に軍関係者は激しく反発、CNNの経営陣に強烈な圧力を加える。その結果、フロイド・エイブラムズなる弁護士に報道内容をチェックさせるのだが、1カ月足らずで仕上げた報告書を読むと、実際に調査していないことが明らかな代物で、信頼できない。 例えば、その中でムーラー提督を認知症の老人であるかのように表現しているのだが、ゴルフ場で普通にブレーし、別の事件で記者会見に登場するほどだった。担当プロデューサーだったエイプリル・オリバーによると、放送では示されなかった重要な情報をCNNは隠しているという。 結局、オリバーと同僚のジャック・スミスは報道を事実だ主張し続け、解雇されることになる。番組が報道された翌年、NATO軍はユーゴスラビアを空爆するが、その前に数週間から数カ月の期間、米陸軍第4心理作戦グループの隊員がCNNで活動している。軍のプロパガンダに協力するような放送局が軍/情報機関の暗部を暴くような番組を認めるわけがない。 核兵器に直結している原発事故の被害も日本だけでなくアメリカの支配層はないことにするつもりだろう。
2012.12.20
NATOは18日からトルコへ「愛国者ミサイル」を運び込みはじめたようだ。シリアとの国境線沿いに配備するとされているが、イランを意識しているとも言われ、イランの参謀総長がミサイル配備は世界大戦を引き起こしかねないと批判、マフムード・アフマディネジャド大統領はトルコ訪問も取りやめた。 これに対し、ロシアは地対地ミサイルの「イスカンダル」(NATOは「SS-26ストーン」と呼んでいる)をシリアへ運び込んだという情報が流れている。配備されるのは合計24システムで、トルコのほか、ヨルダンとイスラエルに向けられるという。本ブログでは何度か書いたことだが、ヨルダンは反シリア政府軍が拠点に使っている国のひとつ。 NATOはミサイルの配備を「防衛目的」としているが、防衛力を強化するときは攻撃を意図している場合が少なくない。少なくともそう解釈されるのが普通。勿論、攻撃に使うことも可能だ。 現在、ヨーロッパでもNATOは「愛国者ミサイル」を配備する計画で、ポーランドには運び込んでいる。この計画にロシア政府は反発しているが、その根っこにはアメリカの約束違反がある。1990年に東西ドイツが統一される際、ジェームズ・ベーカー米国務長官はソ連の外務大臣だったエドゥアルド・シュワルナゼに対し、NATOを東へ拡大することはないと約束していたのだが、東への拡大を続けている。 そのNATOに「秘密部隊」が存在していることは1990年にイタリア政府が公式に認めている。ソ連軍が侵攻してきたときに備えるという名目だったが、第2次大戦後のソ連はドイツとの戦いで疲弊、軍事侵攻できる状況ではなかった。逆に、イギリスのウィンストン・チャーチル首相はドイツが降伏した頃、ソ連を奇襲攻撃する作戦を立案するように合同作戦本部へ命令していることは前にも書いた通り。 秘密部隊のターゲットは西ヨーロッパの内部に存在した。NATOはアメリカとイギリスが中心になって創設された組織であり、両国の影響力をヨーロッパに及ぼすことが目的。イタリアでは「左翼」を装って爆弾攻撃を繰り返して社会の緊張を高めて「治安体制」を強化していくが、それだけでなく米英の影響力を排除しようとするシャルル・ド・ゴールも敵視され、1962年には命が狙われている。実行グループはOASの一部。その背後をたどっていくと、NATOの秘密部隊やジョン・F・ケネディ大統領暗殺で名前の出た組織に行き着く。 要するに、NATOは米英の支配層が利権を広げていくために使っている暴力装置。最初からソ連の軍事侵攻に備えることが第1の目的ではなかった。ソ連が消滅してもNATOが消滅しないのは当然のことであり、東ヨーロッパや中東/北アフリカへ軍隊を派遣しているのも必然だ。
2012.12.19
今回の総選挙では自民党が圧勝した。社会的な弱者を切り捨て、日本社会を破壊したゾンビ政党が甦ったわけだ。その原因はどこにあるのか? どこかに理想の社会を築いてくれる救世主のような存在がいる、はずはない。ところが、そうした幻想を抱いている人がまだいるようで、救世主を探し回っている。その一方で何をしても無駄、何も変わらないとうそぶく人、あるいは大統領であろうと総理大臣であろうと何者かの操り人形にすぎず、誰がなっても同じさ、と言いながら惰眠をむさぼっている人もいる。 世の中を変えようと活動している人びとを嘲りながら、絶望感、虚無感だけを振りまいている「インテリ」もいる。「愚かな庶民とは違い、自分は社会の仕組みを知っている賢い人間だ」と思い込んでいるのだが、別に社会の仕組みを真剣に調べたわけではなく、断片的で浅薄な知識で自分好みの幻想を描き、自己満足しているだけ。体制派として小市民的な生活に安住する口実なのだろう。 それに比べ、社会的な強者が不公正な仕組みを使って弱者を食い物にする社会を変えようと決起した「2・26事件」の若手将校たちは誠実だった。問題は支配システムの認識が決定的に間違っていたことにある。 戦前の日本で支配層が「私利私欲のみに没頭」していたことは確かである。つまり、現在と同じ。そうした状況を打開するため、財界の大物や元老などを排除すれば天皇による親政が実現し、すべてが解決されると考えて決起したようだが、この考え方は全く正しくなかった。天皇も支配体制の一部にすぎなかったのである。日本は「天皇制官僚国家」であり、その中心には天皇がいた。このシステムこそが「国体」であり、戦後も生き残る。 明治維新以来、天皇制官僚国家の背後には外国の勢力が存在していた。最初はイギリスが、そして関東大震災後の復興資金調達を切っ掛けにしてアメリカの巨大銀行、JPモルガンが日本を支配する。 JPモルガンを中心とするアメリカ金融界はフランクリン・ルーズベルト大統領を敵視、就任式前の銃撃事件はともかく、大統領に就任した年には早くもクーデターを計画している。(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を) ルーズベルトが大統領に就任する直前、つまり1932年にジョセフ・グルーなる人物が駐日大使として日本にやってくる。グルーのいとこにあたるジェーン・グルーはジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア、つまりモルガン財閥総帥の妻であり、この駐日大使はJPモルガンの代理人だった。グルーを介して日本の支配層はアメリカの反ルーズベルト派と連絡を取り合っていた可能性がある。グルーが帰国するのは真珠湾攻撃の後、1942年のこと。その後も国務省で影響力を持っていた。 戦後、日本の進む方向を決めたのは昭和天皇とジョン・フォスター・ダレスを中心とするワシントンのグループ、つまり巨大資本。この事実は関西学院大学の豊下楢彦教授が明らかにしている。実際に日本側と接触、「右旋回」を演出したジャパン・ロビーの中心にいたのもグルーである。東アジア侵略の背後にJPモルガンを中心とするアメリカの金融資本がいた可能性は高いだろう。 その延長線上に現在の日本はある。大戦後、日本は天皇制官僚国家としてスタート、少なくとも、その仕組みは1989年1月まで続いた。1990年代以降、アメリカの支配層は直接、日本に影響力を行使するようになる。現在はネオコンや戦争ビジネスの影響力が強まっているようだ。 アメリカは日本に対して核ビジネスの維持を強要、経済、税金、環境、医療、年金などの政策もTPPを使い、アメリカ企業に都合良く決めようとしている。今回の総選挙は、こうした方向へ日本が踏み出す大きな一歩になりそうだ。官僚というシロアリを放置したまま、アメリカの巨大資本という強盗団を受け入れようとしている。
2012.12.18
総選挙の結果、民主党は大幅に議席を減らした。菅直人や野田佳彦が公約に反する、つまりアメリカの巨大企業が望む政策を次々に打ちだした必然的な結果であり、当人たちも予想していたことだろう。覚悟の上でのアメリカ支配層に対する「御奉仕」だった。大勝した自民党も菅、野田を引き継いで、いや民主党政権の前と同じように、日本の官僚やアメリカの巨大企業につくす忠実な僕として働くのだろう。 中東/北アフリカの人びとも日本人のように従順ならアメリカも苦労しないだろうが、日本と違って一筋縄ではいかず、苦しんでいる。ジョージ・W・ブッシュ政権だけでなくバラク・オバマ政権もイスラエル政府が描く戦略に引きずられ、石油資本の利権拡大に努め、戦争ビジネスに儲けさせてきた。その結果、戦費の負担は重くのし掛かり、反米感情の高まりで世界での影響力は急速に低下している。しかも、自らが作り上げたイスラム教スンニ派の武装集団はコントロール不能の状態になりつつある。 そうした中、アメリカ政府はシリア沖に派遣していた空母アイゼンハワーと強襲揚陸艦イオージマを中心とする艦隊が引き上げたと報道されている。 トルコ、レバノン、ヨルダンなどに拠点を築いて傭兵部隊を送り込む一方、怪しげな「化学兵器話」を撒き散らし、トルコへ「愛国者ミサイル」配備して大規模な戦争が始まる危険性も指摘されていた。 「愛国者ミサイル」配備はイランを刺激、同国の参謀総長がミサイル配備は世界大戦を引き起こしかねないと批判、しかも予定されていたマフムード・アフマディネジャド大統領のトルコ訪問も取りやめになった。 シリアの体制転覆に手間取っているうちに反政府軍の実態が明らかになったこともアメリカ政府を苦しい状況に追い込んでいる。武器と傭兵が周辺国からシリアへ流入、建造物を破壊し、住民を虐殺している事実が否定できなくなっている。 傭兵の主力はアル・カイダ系。そうした集団のひとつ、アル・ヌスラ戦線をアメリカ国務省はテロリスト名簿に載せたのだが、アメリカをはじめ多くの国が承認した「シリア国民連合」のアーマド・ムアズ・ハティーブ議長も、この武装集団をテロリスト名簿から外すように求めている。つまり、「良い反政府軍」も「悪い反政府軍」も実態は一緒だということを「西側」が支援する「シリア国民連合」が明らかにした。 しかし、実態はともかく、表面的にはアル・ヌスラ戦線などアル・カイダとの関係が指摘されている集団と一緒に活動することはできない。そうでなければ、「9/11」とは何だったのかという疑問が広がってしまう。この問題が暴かれたなら、アメリカの支配体制が一気に崩壊する可能性がある。
2012.12.17
反シリア政府軍がヨルダンで訓練を受けていたという話が流れている。アメリカの情報機関やイギリスの将校が立ち会う中、ヨルダン軍の将校がコブラ(対戦車ミサイル)やスティンガー(携帯式の対空ミサイル)を含む武器の扱い方を教えたようだ。トルコやレバノンと同様、ヨルダンにも反シリア政府軍の拠点があると言われているので不思議ではないが、軍事介入していないかのごとく振る舞っているNATOにとっては迷惑な情報だろう。 NATOや湾岸産油国はサウジアラビアやカタールをパイプ役にしてシリアの反政府軍へ武器を供給してきたとも言われている。その中にはロシア製の対戦車ミサイル、9K115-2メティスMや9M133コーネットが含まれているという。トルコはIED(路肩爆弾)の使い方をシリアの反政府軍に訓練しているともされている。 トルコの場合、昨年春から同国にある米空軍インシルリク基地でアメリカの情報機関員や特殊部隊員、あるいはイギリスとフランスの特殊部隊員が反シリア政府軍を訓練、トルコ政府はシリアを攻撃する拠点も提供してきたことが広く知られている。 スンニ派武装勢力を地上軍として使い、NATOが空爆して体制を転覆させるという「リビア方式」を断念、ゲリラ戦を展開しつつ体制側の残虐行為を宣伝して軍事介入するという「コソボ方式」へ切り替えるという話が今年の2月頃から流れていた。ただ、この計画はロシアや中国が阻止したようだ。 ソ連消滅後、「西側」は旧ソ連圏での工作をはじめ、1999年にはユーゴスラビアを空爆してコソボを奪い取ることに成功する。その再現を狙ったのだろうが、この時はロシアの大統領が「西側」を後ろ盾とするボリス・エリツィンだった。今はウラジミール・プーチン。その差が出たようだ。 シリアでは当初から反政府軍による住民殺害が報告されていたが、5月にはホウラで住民を大量虐殺している。当初、政府軍や親政府派武装勢力が実行したと報道されたが、ロシア人ジャーナリストだけでなく、ローマ教皇庁のフィデス通信、ドイツのフランクフルター・アルゲマイネ紙も反政府軍の仕業だと伝えている。 この頃から反シリア政府軍は「エル・サルバドル方式」に作戦を切り替えたとも噂されはじめる。エル・サルバドルではアメリカの特殊部隊の下、政府が「死の部隊」を編成して住民を虐殺している。政府に批判的な人物、団体を沈黙させる「恐怖戦略」だとも言えるだろう。1980年には、そうした残虐な行為を批判したオスカル・ロメロ大司教を暗殺している。 大司教暗殺の首謀者はエル・サルバドル国家警備隊の元少佐、ロベルト・ダビッソン。事件の背景をエル・サルバドル駐在のアメリカ大使、ロバート・ホワイトが詳しくアメリカ政府に報告しているが、アメリカ政府は動かない。大使の情報は、暗殺計画に参加したエル・サルバドル軍将校自身から直接、聞いたものだと言う。 エル・サルバドルではアメリカの特殊部隊が直接、戦闘に参加して戦死者も出ていると言われているが、シリアでも「西側」の特殊部隊が潜入していると報告されている。イスラエルの報道では、カタールとイギリスが、またウィキリークスが公表した民間情報会社の電子メールでは、アメリカ、イギリス、フランス、ヨルダン、トルコの名前が挙がっている。戦闘で捕虜になり、国外追放になったケースもあると言われている。
2012.12.16
マスコミは相も変わらずブックメーカー、予想屋のような視点から選挙を眺め、ゲームやレースの中継をしているかのようだ。国のあり方を決める大きな問題を抱えていることを気にとめていない・・・そんな風を装っている。 おそらく、そうした問題に気づいていないわけではない。大きく取り上げたり、掘り下げたくないのだ。核問題にしろ、TPPにしろ、消費税にしろ、いずれも国の仕組みに直接、関係している。社会的弱者を犠牲にして強者が富を独占する、庶民から富を吸い上げて巨大企業や富裕層が総取りにするという仕組みだ。その仕組みを隠し、支配層にとって都合の良い話ををマスコミは流している。 昨年3月11日の地震で東電福島第一原発では壊滅的な事故を起こし、そうした仕組みの一旦を具体的に見せることになった。原発では弱者が文字通り命の代償として報酬を得ている。そこで働かなければならない状況が作られ、ピンハネされながら生活することを余儀なくされている。 そうした状況でも生活するためには働き続ける必要があり、被曝線量を隠すということも日常化しているようだ。失業してほかの失業者と競争することになるのか、命の代償に報酬を得るのか・・・餓鬼道的な状況は酸鼻を極める。 また、原発の事故は、現在の生産システムが社会や生態系と相容れないものだということも示した。福島第一原発の場合、「最悪の事態」は避けられたものの、大量の放射性物質を環境中に撒き散らした。1号機、2号機、3号機は核燃料棒がメルトダウン、圧力容器も格納容器も破損、コンクリートは地震の影響で無数の亀裂が入っている可能性が高い。おそらく、放射性物質は垂れ流し状態。4号機では使用済み核燃料プールの倒壊が懸念されている。まだ事故は「収束」からほど遠い状況だ。 それでも日本人は奇跡的な幸運に助けられ、日本という国も何とか機能している。事故発生時に風が太平洋へ向かっていたこと、4号機の使用済み核燃料は工事の不手際と仕切り壁のずれという偶然で燃料棒が露出する事態が避けられた。もしプール内の核燃料が露出していたなら、大量の放射線、放射性物質を放出することになり、福島第一は勿論、福島第二など近くの原発も放棄しなければならなくなり、首都圏の住民も避難を強いられただろう。 福島第一4号機の問題がなくても、福島第二や東北電力の女川原発、日本原子力発電の東海第二も深刻な事態だった。外部電源が地震で大きな被害を受け、過酷事故寸前だったようだ。福島第二原発の場合、3号機を除いて、原子炉を冷やす手立てを完全に失った時間帯が存在したと伝えられている。女川原発や東海第二原発も紙一重のところで原子炉の冷却を続けることができたにすぎない。 これだけ危険な状況だったのだが、日本の政府やマスコミは事故の実態を隠し続け、多くの人びとの被曝量を増やすことにつながった。ほとぼりが冷めた頃を見計らい、少しずつ情報を出しているが、単なる「アリバイ工作」にすぎず、何も反省していない。放射性廃棄物の問題に人びとの関心が向かないようにしている。 事故までマスコミは原発は安全だという神話を広めていたが、事故後は開き直り、放射線は安全だとまで言い始めている。すでに広島や長崎の原爆、核実験場の近くに住む人びと、スリーマイル島原発やチェルノブイリ原発の事故で被曝した人びとの調査で深刻な被害の実態が明らかにされつつあるが、そうした事実をいまだに無視している。(水俣病などの公害病でも同じようなことがあった。) 原発だけでなく消費税やTPPの問題でもマスコミは本質に触れようとせず、注意深く庶民をミスリードしている。社会的に優位な立場にある巨大企業に富が集中する不公正な仕組みがあるからこそ「カネ余り」が起こり、投機/金融の世界が肥大化、人びとが実際に住む社会では富が細り、貧困化が進んでいるのである。そして社会保障費が膨らむ。 かつて、大企業を儲けさせれば、下請け/労働者へとカネは流れて景気は良くなるという荒唐無稽な議論が流行ったことがある。資本主義下の巨大資本は富を独り占めすることが目的であり、入ったカネを自らの意志で吐き出すことなどない。 本ブログでは何度も書いたことだが、大企業/富裕層には資産や所得を隠し、課税を回避するシステムが提供されている。昔からあるタックス・ヘイブンだけでなく、1970年代からはロンドンを中心とするオフショア市場のネットワークが整備され、「税金を払うのは庶民だけ」という状況になっている。消費税とは、庶民、特に貧困層からカネを巻き上げる仕組みだ。 こうした不公正な仕組みに対する批判が世界的に高まっているのだが、日本では不公正な「結果」が問題にされ、仕組みに関する議論はあまり聞かない。仕組みが変わらなければ貧富の差は拡大し続け、社会保障費が膨らむ。 そうした中、日本では社会保障の負担を軽減するために貧困層を切り捨てようとしている。そのため「生活保護」を攻撃するキャンペーンをマスコミは展開していた。このような見え透いた世論誘導が日本ではまだ効果があるようだ。人口が増えすぎていると叫んでいる人もいるが、庶民の寿命を短くすれば、そうした問題を解決できると思っているのだろうか? 経済問題だけでなく、環境が汚染されることを防ぎ、食糧の安全性を確保するために企業の活動を規制し、誰でもが医療や教育を受け、年金を貰える権利を持つことをTPPは許さない。アメリカの大企業が儲けられるかどうかがTPPの基本だ。つまり、民主主義の否定である。 本ブログでは何度か書いたが、原発は核兵器の開発とも密接に結びついている。日本の場合、兵器級のプルトニウムを溜め込んでいるとも言われ、核兵器を製造する能力を持っている。その核兵器を運搬する「大陸間弾道ミサイル」も実験済みだ。 今回の選挙では、原発を稼働させて放射性物質を生産し続けて核戦争の準備をし、不公正な政治経済システムを維持して庶民の貧困化を促進し、その貧困化した庶民が税金を負担する方向へ進むのかどうかが問われている。マスコミは「イエス」の立場だ。いわば、「近代化された封建制度」を目指している。
2012.12.15
次の日曜日は総選挙の投票日。その選挙で勝ち抜くためには多額の資金が必要だ。事務所を維持するだけでもカネがかかる。そこで大企業にカネをたかり、大企業はその見返りを要求するということになる。要するに合法的贈収賄。宗教団体に接近する政治家も少なくない。そうした宗教団体のひとつが世界救世教である。 日本が無条件降伏して間もない頃、日本のアメリカを結びつける地下資金をめぐる話でこの団体は注目されていた。松本清張が言うところの「深層海流」に関わる話だ。その一端はロッキード事件で浮上する。 この話の歴史をたどっていくと、「明治維新」にたどり着く。イギリスを後ろ盾にして長州藩と薩摩藩は徳川幕府を倒して新体制、つまり明治政府を樹立したのだが、その中心に据えられたのは、それまで忘れられた存在だった天皇だった。そして、天皇制官僚国家ができあがる。 その明治政府は「琉球処分」を手始めに、東アジア侵略を始める。台湾、朝鮮半島、そして中国へと続く。日清戦争(1894年から95年)、山東出兵(1927年と28年)、張作霖爆殺(1928年)、柳条湖事件(1931年)、盧溝橋事件(1937年)といった出来事を経て日本は戦争の泥沼にはまりこんでいった。その幻影を今でも追いかけている人たちがいる。 それはともかく、中国を侵略した日本軍の内部には財宝を略奪するプロジェクトが存在していた可能性が高い。そうした財宝の中間集積地だったのがフィリピン。日本が降服した段階でもフィリピンには莫大な量の財宝が隠されていて、「山下兵団の宝物」と呼ばれている。 フィリピンから日本へ運ばれた財宝もあり、東京湾などで金塊が見つかったと証言する人もいる。そうした証人のひとりが後藤幸太郎。その後、1949年にこの人物は口から血を吐いて死んだという。山口組直系後藤組の組長だった後藤忠政は後藤幸太郎の孫だ。なお、東京地検特捜部は1947年、「隠匿退蔵物資事件捜査部」として発足したそうだが、略奪財宝の問題と隠匿退蔵物資の問題は重なる。 略奪財宝の一部であるダイヤモンドを日本に持ち帰ったひとりが憲兵隊の少佐だった塚本清。後に塚本素山と称し、「実業家」として名をなす。1961年には創価学会の顧問に就任している。 塚本と一緒にダイヤモンドを持ち帰った杉山某は自分で売りさばくことができず、玉屋喜章なる人物の仲介で千葉銀行の頭取だった古荘四郎彦に会ったという。ちなみに、四郎彦の兄、幹郎は陸軍大将。そしてダイヤモンドは千葉銀行の金庫に一端は納まる。 ところが、古荘はダイヤモンドを金庫から持ち出し、熱海に運ぶ。そこには世界救世教の本部があった。戦後、その話を聞きつけてジャック・キャノン(下山事件や松川事件などの「怪事件」に登場する軍人)が率いるCIC(アメリカ陸軍の防諜部隊)の部隊が本部に乗り込むということもあったようだ。 なお、キャノンは1981年3月、メキシコとの国境に近い街で「自殺」している。ターゲットに命中すると炸裂し、何百個という極小の破片が飛び散る弾丸を彼は開発していたが、この弾丸が2発、胸に命中していた。これが不思議。1発目で内蔵は破壊され、即死していたはずなのだ。 アメリカの一部支配層は、ナチスがヨーロッパで略奪した財宝を押収、自分たちの懐に入れてしまった。いわゆる「ナチ・ゴールド」だ。同じことが日本でも行われたと言われている。日本とアメリカには、そうした略奪物資で結ばれている人脈が生きていると信じられている。そのひとつのキーワードが世界救世教だ。
2012.12.14
16日は総選挙の投票日である。マスコミの報道が正しいならアメリカ支配層の思惑通り、自民党が圧勝するらしい。自民党は小泉某にぶっ壊された政党。いわばゾンビ。このゾンビ政党が野田某を引き継ぎ、日本の庶民を地獄へと突き落とすことになるのかもしれない。 まるで投票日に合わせ、日本や韓国の好戦派を支援するかのように朝鮮はロケットを打ち上げ、何らかの物体を衛星軌道に乗せたらしい。日本のマスコミは「ミサイル」だと表現しているが、爆弾を乗せているわけではないようなので、正しい表現だとは言えない。ロケットは単なる運搬手段にすぎず、爆弾を乗せれば兵器、つまりミサイルになるというだけのことだ。 アメリカのネオコンは実権を握ったなら、元に戻れなくなる地点まで暴走する。自民党にしろ、民主党にしろ、日本維新の会にしろ、そうしたネオコンの強い影響下にあるようなので、同じプランを持っているかもしれない。 こうした政党は強者総取りの自由主義経済を推進しようとしている。消費税率を引き上げたり、TPPを導入しようとしているのもそのため。TPPは民主主義破壊の仕組みだ、とアメリカでは批判されている。自由主義経済を推進するためには、民主主義を破壊することがどうしても必要だ。実際、米英ではファシズム化が急ピッチで進んでいる。 呼び方を変えて人びとの心理を操作する手法はアメリカでもよく使われる。例えば、かつてアメリカ政府はアル・カイダを含むイスラム武装勢力を「自由の戦士」と呼んでいたが、今では「テロリスト」だ。彼らは状況によって名称を変える。名称によって人びとが受ける印象が違うので、人びとの心理を操作するためには重要な要素だ。 そのアメリカ政府は最近、アル・ヌスラ戦線なるグループをテロリストのリストに載せたという。湾岸産油国をスポンサーとし、アル・カイダと近いと見られている1万人程度の武装集団。大半の戦闘員はシリア以外の国籍を持っているようだ。つまり、サウジアラビア、カタール、クウェートなどの湾岸産油国に雇われ、イギリス、フランス、トルコ、アメリカといった国々に支援された傭兵部隊だ。 シリアの体制転覆に手間取ったため、反政府軍が非武装の市民やジャーナリストを狙撃したり、処刑したりする残虐な侵略軍にすぎないことを欧米諸国も隠しきれなくなっている。「市民を守る」などとメディアは宣伝していたが、真っ赤な嘘。 こうした中、反政府軍を支援するために欧米や湾岸産油国が考えたのは、「良い反政府軍」と「悪い反政府軍」をでっち上げて誤魔化すという手法。アル・ヌスラ戦線は悪い反政府軍にされたのだが、この部隊は反政府軍の中でも主力。そこで、「シリア国民連合」のアーマド・ムアズ・ハティーブ議長も、この武装集団をテロリスト・リストから外すように求めているようだ。早くも目眩ましが破綻。 過去を振り返ると、テロリストのリストに載っているグループをアメリカの情報機関は秘密工作に使ってきた。今回もその「ノリ」なのだろうが、現場ではそうもいかない事情があるのだろう。 潤沢な資金と多くの傭兵で組織されている反政府軍。それを相手にしているシリア政府軍が疲弊しているのは確かなようだ。NATOや湾岸産油国はシリア政府が化学兵器を使うと宣伝しているが、現在、懸念されているのは彼らが雇っている傭兵たちの動き。もし、シリアに化学兵器が存在するなら、それをイスラム武装勢力が手に入れる可能性があり、中東/北アフリカの戦乱はこれまで以上に凄惨なものになる可能性がある。 1980年代から1998年までアル・カイダを訓練していたのはエジプトの将校だと言われているが、その将校はアメリカ軍と結びついている。アル・カイダを率いているとされていたオサマ・ビン・ラディンは2001年7月、9/11の直前に腎臓病の治療をするためにドバイの病院に入院していたのだが、そこには家族だけでなく、サウジアラビア人やアラブ首長国連邦人、そしてCIAの人間も病室を訪問していると報道されている。シリアで残虐行為を続けている反政府軍もコントロールできるとアメリカ政府は考えているのだろうか?
2012.12.13
アメリカのバラク・オバマ大統領は「シリア国民連合」を「シリア国民」の合法的な代表として承認すると語った。いつシリア国民がそんなことを決めたのか知らないが、EUに続いてアメリカもシリアの体制転覆に向かって新たな1歩を踏み出したと言える。 その一方、アメリカ国務省はシリアで政府軍と戦っているアル・ヌスラ戦線をテロリストだと認定した。シリア北部、アレッポにある政府軍の基地を制圧したという反政府軍の主力だ。反政府軍とアル・カイダとの密接な関係、そして戦闘員の残虐さが知られてきたため、欧米諸国としてはFSA(反シリア政府軍)と距離をおく必要がでてきたのだろう。もっとも、これは表面的な話にすぎないが。 昨年春、シリアでは反政府軍が攻撃をはじめたわけだが、その頃からトルコ領内にある米空軍インシルリク基地では、アメリカの情報機関員や特殊部隊員、あるいはイギリスとフランスの特殊部隊員がFSA(シリア自由軍)を訓練、トルコ政府はシリアを攻撃する拠点も提供している。シリアでの破壊と殺戮をはじめたのはNATOと湾岸産油国。 しかし、シリアに対するプロパガンダ、あるいは戦闘の準備を始めたのは1990年代の初めまでさかのぼることができる。アメリカ大統領がジョージ・H・W・ブッシュだった時代だ。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、1991年にネオコン(親イスラエル派)のポール・ウォルフォウィッツ国防次官は、5年から10年でシリア、イラン、イラクを掃除すると話していたという。2001年までに、ということになる。 ブッシュ・シニアが再選されていたなら、予定通りになったかもしれないが、実際はビル・クリントンに負けてしまう。勿論、クリントンにも支配層の後ろ盾が存在しているわけだが、ネオコンや情報機関の好戦的なセクトから激しくスキャンダル攻勢を仕掛けられた。このとき、日本のマスコミは反クリントン派に肩入れしている。つまり、日本の支配層は「アメリカ」ではなく、ネオコンを含む好戦的な勢力に従属しているわけだ。 2001年にはジョージ・W・ブッシュ、つまりブッシュ・ジュニアが大統領に就任、好戦的な勢力が主導権を握る。その年の9月11日にはニューヨークの世界貿易センターやバージニア州の国防総省本庁舎が攻撃され、ネオコンの「クーデター計画」は動き出す。国外では戦争、国内ではファシズム化だ。 この攻撃から10日後の時点でブッシュ・ジュニア政権はイラク攻撃を決定、6週間後にはイラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンが攻撃予定国のリストに載っていたとクラーク大将は語っている。 さて、欧米がシリアの国民を無視する形でシリア国民の代表だと宣言した「シリア国民連合」の議長に選ばれたのはアーマド・ムアズ・アル・ハティーブ・アル・ハサニ。スンニ派の宗教指導者だと説明されている。 この人物が宗教指導者になったのは著名な宗教指導者だった父親が1992年に死んだことに伴うもの。その前、ハティーブは石油業界で働いていた。20代の半ばから6年間、つまり1985年から91年にかけてアル・フラト石油で働いていたと伝えられている。 この会社はロイヤル・ダッチ・シェルの系列。2003年から04年にかけてシェル石油のロビーストとしてシリアで活動しているともいう。ハティーブはその後も石油業界との関係は切れていないようだ。要するに、欧米の支配層は「シリア国民の代表」として欧米の巨大石油資本に雇われている人物を選んだ。露骨すぎて言葉がない。 イランなどの産油国とシリアをパイプラインで運び、そこから石油をヨーロッパへ運ぶということもあるが、それ以上に重要なシリアを狙う理由が欧米のエネルギー資本にはある。2000年代に入ってから、地中海の東側で膨大な量の天然ガスや石油が眠っていることがわかったのだ。USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガス、そして34億バーレルの原油が眠っている。
2012.12.12
原電敦賀原発の地下に活断層が通っていると原子力規制委員会の専門家チームは判断、田中俊一委員長は「運転再開の安全審査はできない」と語ったという。原発の運転は認められないというわけであり、廃炉ということになる。が、すでに推進派の反撃は始まっている。 活断層が通っているかどうかに関係なく、日本は世界屈指の地震国であり、原発を建設するなど正気の沙汰ではない。地震がなく、津波の恐れがない場所に建設された原発でも、例えば、洪水で「全電源喪失」からメルトダウンになる可能性が指摘されているわけで、本質的に反生命的なシステムなのである。 こうした狂気のシステムに執着している日本の電力業界は、アメリカの核兵器産業を支えているという一面がある。日本の支配層自身も核兵器を保有しようとした過去が明らかになっている。それだけでなく、1980年代から昨年3月までに70トンの「兵器級プルトニウム」を蓄積、その隠れ蓑に電力業界が利用されてきたとする報告もある。 しかも、日本には大陸間弾道ミサイルを製造し、複数の弾頭を別々の位置に誘導する技術がある。ソ連が消滅する頃、SS-20(RSD-10)ミサイルの設計図と第3段目の部品を入手したことでミサイルに関する日本の技術は格段に進歩したようだ。その延長線上にあったのがLUNAR-Aだった。 事故は「図らずも」起こるものだが、核兵器は意図的な大量殺戮を目的としている。日本の電力業界はそうした世界へ足を踏み入れている可能性があるということだ。環境の汚染、子孫への被害に鈍感な理由はこの辺にあるかもしれない。 日本の支配層が宣伝してきた核燃料サイクルの心臓部は高速増殖炉。核兵器を製造するためにも中心的な存在になる。ただ、高速増殖炉が宣伝通りに動く可能性はきわめて小さく、サイクルが実現することも難しいのが現実。アメリカでは高速増殖炉の開発をやめている。 アメリカで開発が中止される前、カーマギーという会社も高速増殖炉の開発に関わっていた。その当時、高速増殖炉の試験炉(FFTF)用の燃料を製造していたのだ。その燃料棒の検査に不正があったことを内部告発したのがカレン・シルクウッドという女性技術者。記者と会うために自動車で移動中、変死している。1974年のことだ。 彼女自身や住宅がプルトニウムで汚染されていたこともわかっている。会社側は自作自演を主張したものの、裁判で退けられた。 この裁判の過程で、FBIが彼女を監視していたことも発覚している。つまり、FBIは会社側についていた。日本でも同じことが起こっているはずだ。何しろ、日本の支配層はアメリカ支配層、その中でも特に生命を軽視する人たちの命令に従って動いている。原発が生み出す大量の放射性廃棄物を処理する手段がないことなど、彼らは気にしない。 原発推進派の中には中東情勢の不安定化を原発が必要だとする理由に挙げる人がいる。が、中東を不安定化させた張本人はアメリカのジョージ・W・ブッシュ政権を支えていたネオコン(親イスラエル派)であり、核エネルギーに執着している勢力と重なる。リビア、シリア、ガザでの戦争の場合、地中海の東で見つかった天然ガスも関係していると見られている。 そもそも、中東の石油や天然ガスが心配なら、戦争にならないように努力するべきなのだが、実態は逆。ブッシュ・ジュニア政権が統合参謀本部の反対を押し切り、イラクを先制攻撃した際にも日本の政治家やマスコミは戦争の障害になりそうな人物、団体を激しく攻撃していた。リビアやシリアの場合、「左翼」を自称する政党も体制乗取りを狙うイギリス、フランス、アメリカ、トルコ、サウジアラビア、カタールなどに同調、好戦的な姿勢を示してきた。 リビアやシリアと同じように狙われているイランの場合、核開発が問題にされている。ところが、世界有数の核兵器保有国であるイスラエルは放置されたまま。イスラエルの実態を内部告発したモルデカイ・バヌヌがイタリアでイスラエルの情報機関に拉致されても「国際社会」とやらは彼を救出しようとしない。 また、イスラエル軍情報局のERD(対外関係部)に所属、イツハーク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたこともあるアリ・ベン・メナシェは最近、亡命先のカナダで自宅が放火され、危うく殺されるところだった。
2012.12.11
シリアの現体制を転覆させるために使われている傭兵たちの残虐さを示す新たな映像がインターネット上に流れている。床に寝かされた捕虜(生死は不明)の頭部を子どもに刀で切断させている様子を撮影したもので、周辺にいる「戦闘員」の話す言葉はサウジアラビア訛りだともされている。 バシャール・アル・アサド体制を倒すためにNATOや湾岸産油国が雇った傭兵たちの残虐さは広く知られるようになってきたが、また新たな情報が出てきたということなのだろう。反政府軍の多くはシリア以外の国の人間だと言われているので、今回の映像でサウジアラビア訛りの人間が登場しても不思議ではない。 サウジアラビア以外ではリビアの出身者が多いとも言われている。NATOと湾岸産油国はリビアですでに体制を転覆させたが、地上軍の主力だったLIFG(リビア・イスラム戦闘団)はアル・カイダ系の武装集団。 ムアンマル・アル・カダフィ体制が倒れた後、反カダフィ派の拠点だったベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられた。すぐに映像がインターネット上で流れ、一部の「西側」のメディアもその事実を伝えている。そして、アル・カイダの兵士は武器と一緒にシリアへと移動したわけである。 リビアのときと同じように、シリアの体制転覆に熱心な国は、イギリス、フランス、湾岸産油国。表だった動きは見られないが、イスラエルもシリアに関心を持っているようだ。こうした国々はレバノンなどから新たに6000人程度の「ジハード戦闘員」をシリアへ入れたとも言われ、反政府軍が化学兵器を使うことも懸念されている。 一時、シリア側からトルコ領内へ砲撃があったが、ドイツのテレビ局ZDFによると、砲撃したのはFSA(反シリア政府軍)だった。同じようにシリア政府軍を装って化学兵器を使い、それを口実にしてリビアと同じように、NATO軍が直接、軍事介入するのではないかという推測している人もいる。 アメリカの場合、ネオコン(親イスラエル派)が主導権を握っていたジョージ・W・ブッシュ政権は積極的にアサド体制の打倒に動いていたが、現在は慎重な姿勢を見せている。それでも、バラク・オバマ政権がネオコンの影響を全く受けていないわけではない。最近、3000名規模のアメリカ軍がイラクへ入ったとも伝えられているが、この情報が正しいならば、これもシリア情勢が関係している可能性がある。
2012.12.10
NATOや湾岸産油国に雇われたアル・カイダ系を含むイスラム武装勢力はシリアの体制転覆に手間取り、その残虐な実態が明らかにされている。シリア国民から見ると侵略軍以外の何ものでもなく、バシャール・アル・アサド体制に批判的だった人からも支持されていないと報告されている。これまでロシアや中国の抵抗でNATO軍の直接的な軍事介入はできなかったのだが、目的を達成するためには強引に攻撃するしかなくなっているのかもしれない。 NATOはトルコに地対空ミサイル・システムを配備、アメリカの空母アイゼンハワーがペルシャ湾からシリア沖へ移動、強襲揚陸艦イオージマを中心とする両用即応グループと合流し、トルコの西部には新たなNATO軍の基地が建設されたという。約3000名のアメリカ軍がクウェートからイラクへ秘密裏に入ったというが、これもシリア情勢と関係している可能性がある。 シリアへの攻撃を正当化する口実として「化学兵器」が宣伝されているが、これはイラクを攻撃する前に流された「大量破壊兵器」の話と同じ。「西側」のメディアはバシャール・アル・アサド大統領の亡命、あるいはロシアの姿勢軟化といった話を流し、心理戦を展開しているのだが、ロシア政府はリビアの再現を拒否すると明言している。 それだけでなく、NATOの地対空ミサイルの配備に対抗し、地対地ミサイルの「イスカンダル」(NATOは「SS-26ストーン」と呼んでいる)をシリアへ運び込んだという情報が流れている。 このミサイルは移動式で、衛星、航空機、地上基地などからターゲットを指示できるだけでなく、搭載されたコンピュータにターゲットの映像を記憶させて目標の位置を特定させることもできるようだ。電磁パルスを使ってレーダーを攪乱したり、オトリを放出するなどして防衛システムをかいくぐることができるとも言われている。マッハ6から7で高度50キロメートルを飛行し、射程距離は280キロメートル、あるいは400キロメートル(タイプによって違う)だという。 このミサイル配備の話が正しいなら、NATO、特にイギリス、フランス、トルコ、アメリカの攻撃的な姿勢に対し、ロシアは行動でも反対の意志を示し始めたのかもしれない。強引にNATOが攻撃した場合、予想外の大きな戦争になる可能性もある。
2012.12.09
今月16日は総選挙の投票日である。すでに崩壊を始めている日本にとって重要な選挙のはずだが、支配層は自らの利権を維持することのみに関心があるようで、検察やマスコミをはじめ、使えるものは何でも使って支配体制を守ろうとしている。はるか昔に表舞台から退いたはずの亡霊も甦っている。庶民が覚醒しない限り、日本社会は庶民にとって地獄になるだろう。 現在の日本では、労働者や中小企業、要するに国民の多くを占める庶民が適切な対価を受け取ることができず、教育を受ける権利さえ奪われはじめている。イギリスやアメリカが推進してきた不公正な強者総取りの経済システムによって日本社会が破壊されつつあるということだ。 強者は庶民に適切な対価を支払わず、自分たちの懐はカネで膨らんでいく。そうした現象は「カネ余り」と呼ばれ、投機市場の肥大化につながった。こうして作られたカネの流れを止めることは至難の業である。 こうしたカネの流れを作り上げたのは、ロンドンを中心とするオフショア市場のネットワーク。1970年代に築かれ、世界を大きく変化させることになった。大企業、富豪、武装勢力、そして犯罪組織の資金を隠し、課税を回避、裏金をマネー・ロンダリングして表へ出す仕組みを作り上げたのである。昔からヨーロッパにはタックス・ヘイブンと呼ばれる国が存在する。スイス、ルクセンブルグ、オランダなどだが、1970年代にできたネットワークは巧妙で、規模が大きい。この結果、富の偏在が加速度的に進み、世界経済は閉塞状態になった。 この状態の中、大企業や富豪たちは庶民から富をさらに搾り取ろうとしている。現在は国という仕組みを介して庶民も政策の決定に参加することが可能だが、国から政策を決める権利を奪おうとして成立を目論んでいるのがTPPであり、庶民から効率よく搾り取る仕組みとして日本で導入したのが消費税。核兵器と結びついた原子力発電に加え、このTPPと消費税の問題は日本の将来がかかっている。原発を続け、消費税を存続させ、TPPを導入したなら、多国籍企業という「領主」が支配する封建時代に逆戻りする。 考えてみれば、近代社会は略奪から始まった。11世紀からヨーロッパは「十字軍」と呼ばれる盗賊団を組織、中東から北アフリカにかけての地域を襲い、財宝や重要な知識を盗んだ。15世紀頃からはラテン・アメリカで略奪を始めている。先住民が持っていた財宝を盗むだけでなく、ポトシ銀山などからもヨーロッパへ金や銀を運んでいる。こうした略奪財宝が近代ヨーロッパ経済の原資になったと推測する人もいる。 この時代、バスコ・ダ・ガマがインドに到達、アジア侵略が本格化し、19世紀にイギリスは清(中国)にアヘンを売りつけようとする。経済力でイギリスは中国に敗北、それを巻き返すために麻薬に目をつけたのである。そして起こったのがアヘン戦争だ。この戦争で大儲けした会社のひとつがジャーディン・マセソン商会。1859年にトーマス・グラバーなる人物を日本へエージェントとして送り込んでいる。 グラバーは日本で武器を売るが、そのグラバーの邸宅に坂本龍馬、後藤象二郎、岩崎弥太郎たちが出入りしていたことは有名。また、薩摩藩や長州藩がイギリスへ使節を派遣する手助けもしている。 1863年には「長州五傑」とも呼ばれる井上聞多(馨)、遠藤謹助、山尾庸三、伊藤俊輔(博文)、野村弥吉(井上勝)がロンドンに渡り、65年には薩摩藩が新納中三、五代友厚、松木弘安(寺島宗則)と15名の留学生をイギリスへ派遣した。 1866年に薩摩藩と長州藩は坂本龍馬らの仲介で同盟を結んだが、その切っ掛けを作ったのはイギリスのハリー・パークス公使だという。イギリスは日本の体制転覆を計画、反体制派として薩摩藩と長州藩を選んだということだろう。 長州藩や薩摩藩がイギリスに派遣した人びとをイギリスが「洗脳」した可能性は高く、薩長両藩を中心とする明治政府にイギリスが大きな影響力を持つことになる。明治政府の東アジア政策/侵略はイギリスの意向が反映されていたと考えるべきだろう。 最近、「維新」とか「開国」という用語が盛んに使われるが、意味深である。
2012.12.08
今から71年前の12月7日の朝(現地時間)、ハワイの真珠湾にある米海軍基地を日本軍が奇襲攻撃した。日本側の暗号をアメリカ軍が事前に解読していたことは確かなようだが、それはアメリカ側の事情にすぎない。つまりアメリカが偽装攻撃したわけではなく、日本が奇襲攻撃した事実に変化はないわけで、日本の「免罪」にはならない。 当時、ルーズベルトが第2次世界大戦、特にヨーロッパ戦線に参加したいと思っていたことは確かだろう。大戦の当初、ナチスの勢いは凄まじく、アメリカが参戦する必要があると考えたはずだ。 大戦は1939年9月1日に始まった。飛び地になっていた東プロイセンを奪還するためにドイツがポーランドに軍事侵攻、3日にはイギリスとフランスがドイツに対して宣戦布告したのである。 しかし、少なくとも1930年代のはじめ、アメリカ、フランス、イギリスの支配グループ内にファシストがいたことは間違いない。例えばイギリスの場合、ウィンストン・チャーチルはアドルフ・ヒトラーに好感を持っていたと言われ、イギリス国王エドワード8世(後のウィンザー公爵)はナチと密接な関係にあった。 アメリカの場合、JPモルガンをはじめとする金融界がヒトラーを支援していた。1932年の大統領選挙でハーバート・フーバー大統領が再選されていたなら、ナチスとアメリカ金融界の蜜月は続き、アメリカもファシズム化していた可能性が高い。強者総取りの経済を推進すれば、庶民の反発を力で抑え込むしかないからだ。 このシナリオを狂わせたのがフランクリン・ルーズベルトの大統領就任だった。金融界にとってルーズベルトの掲げる政策が脅威だったようで、ルーズベルトは就任式の前に銃撃され、1933年になるとJPモルガンを中心とする勢力がファシズム体制の樹立を目指すクーデターを計画している。 この反ルーズベルト・クーデターの計画はスメドリー・バトラー少将の議会での証言で明らかにされて失敗に終わるのだが、大戦の末期、ドイツが降伏する前の月にルーズベルトが急死すると親ファシスト派は復活し、ナチス残党の逃亡を助け、保護し、雇い入れている。日本で民主化が止まり、「右旋回」が起こった背景はここにある。 日本の場合、関東大震災の復興資金調達で世話になった縁でJPモルガンから大きな影響を受けていた。つまり、1932年までの日本はアメリカの支配層と手を組んでいた可能性が高い。 アメリカと日本の支配層を結びつける上で重要な役割を果たしていたのが駐日大使も務めたジョセフ・グルー。大戦勃発後も東条英機内閣と友好的な関係にあった。 グルーのいとこはジョン・ピアポント・モルガン・ジュニアの妻。つまりジョセフ・グルーはモルガン財閥の中枢に属している。戦後、日本の「右旋回」を演出したのはジャパン・ロビーと呼ばれるグループだが、グルーはその中心メンバーでもあった。 19世紀のアヘン戦争以来、アングロ・サクソンは清/中国を食い物にしてきた。徳川幕府を倒した勢力はイギリスと手を組み、長州藩は1863年に井上聞多(馨)、遠藤謹助、山尾庸三、伊藤俊輔(博文)、野村弥吉(井上勝)をロンドンに送り込んでいる。イギリスは中国侵略の手先として日本を使ったとしか見えない。「脱亜入欧」とはそういうことだ。そして関東大震災からはJPモルガンの支配下に入った。 ルーズベルトの大統領就任で狂った支配層の歯車は1945年4月に修正される。ルーズベルトが急死したのだ。5月にはドイツが降伏するが、その頃、イギリスのチャーチル首相は合同作戦本部に対し、ソ連への奇襲攻撃の立案を命じている。数十万人の米英軍が再武装したドイツ軍約10万人と連合して奇襲攻撃するという内容だ。ただ、この計画は軍の反対で実行されていない。 アメリカの金融界にしろ、イギリスのチャーチルにしろ、ルーズベルトは邪魔で仕方のない存在だっただろう。彼らにとってはタイミング良く急死したわけである。
2012.12.07
アメリカの空母アイゼンハワーがペルシャ湾からシリア沖へ移動、強襲揚陸艦イオージマを中心とする両用即応グループと合流したようだ。戦闘員は約1万人、戦闘爆撃機が70機、艦船は少なくとも17隻になるという。 トルコへの「愛国者ミサイル」配備もそうだが、相当怪しい「化学兵器話」を口実にしてNATOは戦闘態勢に入りつつある。そうした中、1957年に米英が目論んだシリアの体制転覆作戦が注目されている。 この年、アメリカのドワイト・アイゼンハワー大統領とイギリスのハロルド・マクミラン首相はシリアがシリアの体制転覆に乗り出した。シリアがソ連に接近することを恐れてのことだ。米英両国の情報機関、つまりCIAとMI6はシリアと親西側の隣国の国境で軍事衝突を演出、それを口実にしてシリアへ攻め込み、シリアの中枢を殺すという計画をたてた。 ターゲットになったのは軍情報部を統括していたアブド・アル・ハミド・サラジ、参謀総長だったアフィフ・アル・ビズリ、そして共産党の指導者だったハリド・バクダシュ。シリア国内で破壊活動を実行、ムスリム同胞団を焚きつけ、クーデターに持っていこうと計画していたという。この計画は周辺国を説得できなかったことなどで中止になったようだが、こうした過去が現在のシリア情勢に反映されている可能性は高い。 ところで、シリアの作戦にはアメリカ側からカーミット・ルーズベルトなる人物が参加している。この人物はセオドア・ルーズベルトの孫で、1953年にはイランの体制転覆作戦でも中心的な役割を果たしている。ターゲットの3人を決めたのはカーミットだったようだ。 その当時、イギリスはAIOC(アングロ・イラニアン石油)を通し、イランで石油利権を握っていたのだが、ムハマド・モサデク政権がAIOCの国有化を打ち出したのだ。利権を守るためにモサデクを排除しようと考え、アメリカのアレン・ダレスに話を持ちかけたのが始まりだった。 シリアには歴史的にフランスも深く関与している。1920年から46年にかけてフランスの委任統治領だったのである。その背後にはイギリスとフランスが1916年、秘密裏に結んだ「サイクス・ピコ協定」があった。衰退していたオスマン帝国の領土をフランスとイギリスは乗っ取ろうと考えて結んだ協定だ。 大雑把に言って、この協定ではヨルダン、イラク南部、クウェートなどペルシャ湾西岸の石油地帯をイギリスが支配、フランスはトルコ東南部、イラク北部、シリア、レバノンを支配下に置くことになっていた。 協定が結ばれた翌月、「アラブの反乱」が始まる。この「反乱」で中心的な役割を果たしたのはイギリス外務省のアラブ局で、そこにはトーマス・ローレンスもいた。「アラビアのロレンス」とも呼ばれている、あのローレンスだ。 アラブ民族が抱いていたオスマン帝国への不満を利用、イギリスやフランスなどが「反乱」という形で中東/北アフリカを支配していく。「アラブの春」も基本的に同じだと言える。「アラブの春」は中東/北アフリカに悲劇をもたらすのか、あるいは笑劇をもたらすのか・・・。
2012.12.06
今年に入ってから「西側」の内部、例えば「匿名のアメリカ政府高官」あたりからシリア政府が化学兵器を使うという話が流れてきた。ここにきて、また宣伝活動が激しくなっている。 ジョージ・W・ブッシュ政権がイラクを攻撃する前、イラクの「大量破壊兵器」を盛んに宣伝、軍事侵略に結びつけた。言うまでもなく、「大量破壊兵器」は作り話だった。つまりアメリカ政府には「前科」がある。そのアメリカから流れてくる話を信じる人間がいるならば、それは騙されているのではない。確信犯であり、共犯関係にあると言わざるをえない。 この「化学兵器話」と並行する形でNATOはトルコに地対空ミサイル・システムを配備することにしたという。例の「愛国者ミサイル」だ。シリアから何発かミサイルが撃ち込まれたとはいうものの、本格的な攻撃とは到底、言えない。ドイツのテレビ局ZDFによると、トルコ領内を砲撃して住民5名を死亡させたのはFSA(反シリア政府軍)だ。トルコがイラクに対して行っている越境攻撃とは分けが違う。 昨年春からトルコ政府はFSA(反シリア政府軍)の拠点を提供してきた。シリア政府にしてみれば、トルコを攻撃したいところだろうが、自重している。 トルコにある米空軍インシルリク基地ではアメリカの情報機関員や特殊部隊員、イギリスとフランスの特殊部隊員がFSA(自由シリア軍)を訓練する一方、イギリスとカタールの特殊部隊がシリアへ潜入しているという報道、あるいはアメリカ、イギリス、フランス、ヨルダン、トルコの特殊部隊が入っているという話も伝えられている。 FSAの実態は湾岸産油国に雇われた傭兵部隊であり、多くのアル・カイダの戦闘員がシリアへ入り込んでいることは「西側」も認める事態になっている。つまり、FSAに加わっているシリア人は多くない。だからこそ、シリア政府はこれまで倒されずにきたのだ。 当初、「西側」のメディアがシリア軍の仕業と宣伝していたホウラでの虐殺も東方カトリックの修道院長やドイツの有力紙が虐殺の実行者を反政府軍だと報告、プロパガンダは失敗に終わる。 修道院長は、「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は、地上の真実と全く違っている。」と語り、キリスト教の聖職者であるマザー・アグネス・マリアムは外国からの干渉が事態を悪化させていると批判している。この「外国」にNATOが含まれていることは勿論だ。 シリア人から侵略軍と認識されているFSAがシリア政府を倒すことは難しい。そこで、何としてもイギリス、フランス、そしてネオコン(アメリカの親イスラエル派)はリビアでのようにNATO軍を使いたいところ。「愛国者ミサイル」の配備はその一環だという見方がある。このミサイル・システムはターゲットが航空機なら守備範囲は160キロメートル。飛行禁止空域の設定を睨んでの配備である可能性は小さくない。 アメリカ政府としては、シリア政府を孤立させたいところで、イランとシリアを結んでいる航空路を断ち切ろうとしている。両国を結ぶ航路はイラクを通過するので、イラク政府に旅客機の通過を認めないように圧力を加えたようだが、拒否された。中東/北アフリカの情勢はネオコンが描いたプランと違う方向に動いているようだ。
2012.12.05
今月の10日から22日の期間に朝鮮は「人工衛星」を打ち上げるらしい。日本では「長距離弾道ミサイル」を発射すると表現しているが、ロケットもミサイルも本質的に同じものであり、違うのは印象だけ。つまり、日本のロケットもミサイルとして使うことができる。 日本でロケットの開発を始めたのは東大の生産技術研究所にいた糸川英夫を中心にするAVSA研究班。1954年のことだ。翌年に名称をSR研究班に変更、ペンシルロケットの発射実験を実施している。 東大では1964年に宇宙航空研究所を発足させ、81年にはISAS(宇宙科学研究所)へ改組された。その一方、1969年にはNASDA(宇宙開発事業団)が組織されている。東大/ISASは科学衛星の打ち上げ、NASDAは実用衛星、つまり通信衛星や監視衛星の打ち上げを目指していたとされている。2003年、ISASとNASDAはNAL(航空宇宙技術研究所)と共に統合され、JAXA(宇宙航空研究開発機構)になった。 核技術と同じように、ロケット開発でもアメリカは日本側に協力する。日本は1977年に通信衛星を打ち上げ、静止軌道に乗せているが、この打ち上げで使ったN-Iもアメリカの援助で実現したもの。その後、NASDAはN-II、H-IIを開発した。 日本のロケットは正確さで問題があったのだが、それを解決したのは1991年12月のソ連消滅。混乱の中、日本はロシアのミサイルSS-20(RSD-10)の設計図とミサイルの第3段目の部品を入手、ミサイルに搭載された複数の弾頭を別々の位置に誘導する技術を学んだと言われている。 この頃、日本は「月探査機」、LUNAR-Aの開発を始めた。この探査機打ち上げに使われる予定だったのがM-V。月を周回する軌道に入った段階で母船から観測器を搭載した2機の「ペネトレーター」を発射することになっていたのだが、この技術は弾道ミサイルへ直接応用できるという指摘がある。経緯を考えると、弾道ミサイルの技術を使ってベネトレーターを開発したと言うべきかもしれない。 また、計画では地震計と熱流量計が搭載されたペネトレーターを地面に突き刺し、2メートル前後の深さまで潜り込ませることになっていた。その際、大きな圧力がかかることは言うまでもない。それに耐える機器を作るために必要な技術があれば、小型のバンカー・バスターを製造できるとされている。 LUNAR-Aでこうした技術が完成すれば、日本は高性能の核兵器運搬手段を手にしていたわけだ。が、このプロジェクトは2007年に中止が決定されている。ただ、ペネトレーターに関する技術については目処がついているようで、実際に打ち上げる必要がなくなったという見方もできる。 日本に比べるとロケット/ミサイルの開発が遅れている朝鮮だが、国外から何らかの技術的な支援がないとは言えない。ロシアや中国は東アジアでの軍事的な緊張が高まることを嫌っているようだが、そうした国以外とも朝鮮はつきあいがある。 例えば、1980年代にはイスラエルへカチューシャ・ロケット弾を売却している。CIAで破壊工作(テロ)を実行していた人脈の設立したGMTがイスラエルへまとまった数のロケット弾を注文したのだが、旧式すぎ、それを調達できるのは朝鮮だけだったのである。イスラエルの担当者は平壌で朝鮮の国防大臣と会って交渉、商談は成立した。ロケット弾はイランへ送られている。 アメリカ国防総省の情報機関、DIAによると、1990年代に統一協会が多額の資金を朝鮮に提供している。1991年に4500億円を寄付、さらに300万ドルを金正日(キム・ジョンイル)の誕生日プレゼントとして朝鮮へ送ったという。1994年には朝鮮が統一協会系の商社を介してロシアの潜水艦12隻を購入しているともされている。 統一協会は韓国やアメリカの情報機関と緊密な関係にあることが知られている。ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領と協会との関係は有名だ。日本の多くの「極右政治家」も統一協会と深く結びついている。今回のロケット/ミサイル発射にこうした関係が影響したとしても驚きではない。
2012.12.04
中央自動車道の笹子トンネルで崩落事故があり、9名が死亡した。施設の維持管理に問題があったことは間違いない。早速、公共投資の増額が必要だという声も出ているようだが、問題は投資の額でなく、配分方法にある。インフラの整備が進んだ現在の日本では補修に重点を置くべきだったのだが、新たな建設に力を入れてきたことが問題なのである。 補修ではなく、高速道路、橋梁、ダム、スーパー堤防、新幹線のような、巨大で不必要なプロジェクトばかりに力を入れてきた理由は明白。ゼネコンなど巨大企業、つまり政治家にカネを出し、官僚が天下る先が儲かるからである。 そうした意味で、今回の事故は「構造犯罪」と言える。巨大プロジェクト路線をそのままにして補修の費用を加算するべきだという主張は「火事場泥棒」と言われても仕方がないだろう。 笹子トンネル事故の背後には、日本が抱えている構造的な問題がある。高速道路だけでなく、あらゆる建造物に共通しているのだ。原子力発電所も例外ではない。いや、中性子照射脆化という問題を抱えていることを考えると、原発の事態は深刻である。福島第一原発の事故ではいくつもの奇跡的な幸運に恵まれたが、次の事故で同じような幸運を期待することはできない。 福島第一原発の事故が「最悪の事態」を今のところ回避できていることは日本政府も十分、理解しているはずだ。「東京電力福島第1原発事故から2週間後の3月25日、菅直人前首相の指示で、近藤駿介内閣府原子力委員長が『最悪シナリオ』を作成し、菅氏に提出」、「さらなる水素爆発や使用済み核燃料プールの燃料溶融が起きた場合、原発から半径170キロ圏内が旧ソ連チェルノブイリ原発事故(1986年)の強制移住地域の汚染レベルにな」り、「東京都のほぼ全域や横浜市まで含めた同(半径=引用者注)250キロの範囲が、避難が必要な程度に汚染されると推定」していたというのである。 勿論、福島第一原発の事故はまだ収束していない。今でも冷却を止めるわけにはいかず、何らかの原因で4号機の使用済み核燃料プールが崩壊すれば首都圏は全滅するとも言われている。まだ「最悪の事態」が起こる可能性は残されているわけだ。そうした事態が避けられたとしても、海洋中に放出されているであろう放射性物質の汚染が今後、深刻な事態を招く可能性は高い。次の原発事故が日本で起こったなら、国は壊滅、生態系も破壊されることになるだろう。
2012.12.03
APといえば、世界的に有名な通信社である。その通信社が先月27日、イランの核兵器開発を示す証拠を入手したと報道した。広島に投下された原爆の3倍の威力がある核兵器を作るためにコンピュータ・シミュレーションを実施、それによって作成した図がその「証拠」だというのだが、すぐに反論が出てきた。証拠に値しない代物だという。 確かに、一見しただけでも首を傾げたくなるグラフだ。作ろうと思えば、誰でも作れるだろう。よほど信頼できる人物から入手したのかもしれないが、このグラフだけでは何の意味もない。しかも、科学的に不自然だとも指摘されている。APは偽物をつかまされたのか、偽情報の流布に協力しているのか、どちらかだろう。 昨年、IAEA(国際原子力機関)はイランが核爆発に関して計算したことを示すグラフを入手したとされているが、APによると、このグラフも含まれていたという。この話が本当ならば、IAEAの報告書も怪しいということになる。(もっとも、当時からインチキだと言われていたが) 2009年にIAEAの事務局長がエジプトのモハメド・エルバラダイから日本の天野之弥へ交代して以来、IAEAのアメリカ/イスラエル追随は目にあまるものがある。そうしたアメリカと天野の関係を再確認する文書もWikiLeaksが明らかにしている。 証拠を偽造するにしても、なぜそれほど稚拙な・・・と思う人も少なくないだろうが、考えてみれば、イラク攻撃の前にも稚拙な偽造文書を「西側」のメディアが伝えている。 イラクのケースは、イタリアのパノラマ誌に電話が入るところから始まった。サダム・フセインとアフリカでのウラン購入を結びつける情報があるというのだ。電話の相手は記者の知り合いで、イタリアの情報機関とつながっていると推測されていた。信頼できる情報源だと思われていたのだろう。この情報を編集長に報告すると、アメリカ大使館へ持ち込むように記者は指示される。そして文書はワシントンへ渡り、イラクを攻撃する材料に使われた。 イエローケーキの話はCIAの依頼でジョセフ・ウィルソン元駐ガボン大使が調査、情報は正しくないと報告しているのだが、当時のジョージ・W・ブッシュ政権は無視した。この辺の事情をウィルソンは2003年7月に公表している。
2012.12.02
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