全14件 (14件中 1-14件目)
1
真剣な眼差しで書き進める彼女の口元から、思わず呟きが漏れる。「案の定、ジョンストン提督の英国艦隊が、圧倒的に強いわね。スペイン艦隊の艦船は、かなりの数、既にやられてる。いきなりの接近戦、その上、乱戦になっちゃってるし、あそこまで砲撃されたらスペイン艦隊の旗艦も、きっと、もう時間の問題……。だけど、スペイン艦隊にも粘ってる艦はいるし、まだ終わったわけじゃない」ひとしきり書き終えると、マルセラは布切れを伝令鳥の脚に結び付け、「それじゃ、頼んだよ!」と、優しく鳥の頭を撫でた。(此度の海戦も、本(もと)を正せば、インカ軍が勝ち残るために、トゥパク・アマル様が密かに采配されたこと。英国艦隊も、スペイン艦隊も、本当のところは、トゥパク・アマル様の手の平の上で踊っているだけなのかもしれない。だけど――)【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪トゥパク・アマル≫反乱の中心に立つ、インカ軍(反乱軍)の総指揮官。インカ皇帝末裔であり、植民地下にありながらも、民からは「インカ(皇帝)」と称され、敬愛される。インカ帝国征服直後に、スペイン王により処刑されたインカ皇帝フェリペ・トゥパク・アマル(トゥパク・アマル1世)から数えて6代目にあたる、インカ皇帝の直系の子孫。「トゥパク・アマル」とは、インカのケチュア語で「(高貴なる)炎の竜」の意味。清廉高潔な人物。漆黒長髪の精悍な美男子(史実どおり)。≪マルセラ≫トゥパク・アマルの最も傍近い護衛官である重臣ビルカパサの姪。まだ年若い女性だが、青年のように闊達で勇敢な武人。インカ軍をまとめる連隊長の一人。◆◇◆◇◆ホームページ(本館)へのご案内◆◇◆◇◆ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます!この度、月1回までだった「ネット小説ランキング」が、週1回までご投票頂けるようになりました。よろしければ、今後とも応援頂けましたら、大変励みになります。宜しくお願いします。(週1回有効) (随時)
2009.07.31
コメント(0)
この女性――マルセラは、インカ軍の総指揮官トゥパク・アマルの重臣ビルカパサの姪にあたるが、そうした血筋や男勝りの性格もあって、今ではインカ兵たちを率いるいっぱしの連隊長の一人である。そして、そんな彼女の部隊は、トゥパク・アマルの指示の元、ペルー沖沿岸の随所に点在する無人島や岩礁に渡って散開し、それぞれの場所から戦況を観察して陣営本部に報告する任務を遂行していた。スペイン軍が、英国艦隊との戦端を開くであろう海域を事前に予測していたように、インカ軍もまた、その概ねの海域を予測していたのだった。とはいえ、小島や岩礁がそう多くあるわけもなく、ましてや、その近くで都合良く海戦が展開してくれるはずもない。従って、マルセラも、かなりの距離を隔てた場所から辛うじて艦影を追うことしかできず、正確な戦況の報告は困難だった。それでも、生来の野性的な視力を発揮して彼女なりに目におさめたものを、布切れの上に素早く走り書きしていく。【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪トゥパク・アマル≫反乱の中心に立つ、インカ軍(反乱軍)の総指揮官。インカ皇帝末裔であり、植民地下にありながらも、民からは「インカ(皇帝)」と称され、敬愛される。インカ帝国征服直後に、スペイン王により処刑されたインカ皇帝フェリペ・トゥパク・アマル(トゥパク・アマル1世)から数えて6代目にあたる、インカ皇帝の直系の子孫。「トゥパク・アマル」とは、インカのケチュア語で「(高貴なる)炎の竜」の意味。清廉高潔な人物。漆黒長髪の精悍な美男子(史実どおり)。≪マルセラ≫トゥパク・アマルの最も傍近い護衛官である重臣ビルカパサの姪。まだ年若い女性だが、青年のように闊達で勇敢な武人。インカ軍をまとめる連隊長の一人。◆◇◆◇◆ホームページ(本館)へのご案内◆◇◆◇◆ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます!この度、月1回までだった「ネット小説ランキング」が、週1回までご投票頂けるようになりました。よろしければ、今後とも応援頂けましたら、大変励みになります。宜しくお願いします。(週1回有効) (随時)
2009.07.29
コメント(4)
その頃、それら炎と硝煙に霞む海域を遠くに見晴るかす洋上の小さな岩礁の上に、一人のインカ族の若い娘の姿があった。彼女は、掲げていた望遠鏡を素早く下ろした。短い黒髪に巻いた緋色のバンダナとスラリとした褐色の肢体が、紺碧の海に映えている。暫し鋭い横顔を海戦の行われている洋上へと向けていたが、自分の傍で同様の方角に向けた望遠鏡を覗き込んでいるインカ兵の姿に気付くと、パシッと、相手の頭をはたいた。兵は咄嗟に頭を押さえる。「――てっ!」「ちょっと!そんなに長々と覗き込んでたら、バレるでしょっ!!望遠鏡のそのガラスの表面、日光を思いっきり反射してんだから。目ざとい人間が見たら、向こうからでも、私たちがここにいること一目瞭然よ」「すっ、すいません!!」「それより、ホラ!はやいとこ伝令鳥、呼んで。急いでトゥパク・アマル様に戦況をご報告しとかなきゃ」「はっ、マルセラ様!!」【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪トゥパク・アマル≫反乱の中心に立つ、インカ軍(反乱軍)の総指揮官。インカ皇帝末裔であり、植民地下にありながらも、民からは「インカ(皇帝)」と称され、敬愛される。インカ帝国征服直後に、スペイン王により処刑されたインカ皇帝フェリペ・トゥパク・アマル(トゥパク・アマル1世)から数えて6代目にあたる、インカ皇帝の直系の子孫。「トゥパク・アマル」とは、インカのケチュア語で「(高貴なる)炎の竜」の意味。清廉高潔な人物。漆黒長髪の精悍な美男子(史実どおり)。≪マルセラ≫トゥパク・アマルの最も傍近い護衛官である重臣ビルカパサの姪。まだ年若い女性だが、青年のように闊達で勇敢な武人。インカ軍をまとめる連隊長の一人。◆◇◆◇◆ホームページ(本館)へのご案内◆◇◆◇◆ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます!この度、月1回までだった「ネット小説ランキング」が、週1回までご投票頂けるようになりました。よろしければ、今後とも応援頂けましたら、大変励みになります。宜しくお願いします。(週1回有効) (随時)
2009.07.27
コメント(2)
「いずれにしろ、我々としては、このまま捨て置くわけにもいくまい。あの者のせいで、こちらは大事な僚艦を、一隻、戦闘不能にされている。そのツケは払ってもらわねばならぬ」そう低く呟いて、パリアは灰色の瞳を冷徹に閃かせた。そして、感情の見えぬ横顔のまま、険しい声音で続けていく。「もし、わたしが先刻の提督の立場であれば、わたしも提督と同じ行動を取ったであろう。だが、本来なら、このようなところで、我が方が幾ばくかでも損傷を蒙ったり、貴重な戦力を失うなど、もっての他なのだ。陸地で待ち構える敵軍を撃破することこそ、肝要なのだからな」「アイ・サー!!」と、副長は、すかさず襟を正して力強く頷いた。「パリア艦長の仰せの通りですな。これ以上、味方艦にいらぬ被害が増す前に、ここにウロついているスペイン艦隊なぞ、早々に一掃してしまわねばなりますまい!!」【主要艦の乗員構成】スペイン艦隊:<ベルナルド艦>ベルナルド艦長(旗艦艦長・艦隊総指揮官) ― 副長(艦長補佐)<フロレス艦>フロレス(艦隊副指揮官) ― ロペス艦長(フロレス艦艦長) ― 副長(艦長補佐)英国艦隊:<ジョンストン艦>ジョンストン提督(艦隊総指揮官) ― キーン艦長(旗艦艦長) - 副長(艦長補佐)<パリア艦>パリア艦長(パリア艦艦長・艦隊副指揮官) ― 副長(艦長補佐)【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪フロレス≫此度の海戦では、ベルナルド旗艦艦長に次ぐスペイン艦隊の副指揮官。本来は陸軍に所属し、ペルー副王領スペイン軍総指揮官アレッチェと並ぶ、ラ・プラタ副王領(現ボリビア周辺)スペイン軍総指揮官(実質的には、アレッチェの部下の身分)。副王の信任も篤く、かつては最高司法院の議長まで務めた文武両道の麗人。植民地生まれであるためか、他のスペイン人高官とは異なり、偏見を持たぬ公明正大な側面を持つ。≪ジョンストン提督≫此度のペルー戦への進軍を行う英国艦隊の総指揮官。英国王室の命により、トゥパク・アマルの反乱に乗じて、敵対するスペインを撃退し、当地を英国の植民地にしようと狙い定めている。≪パリア艦長≫英国艦隊の僚艦を預かる重要な艦長の一人。此度の海戦において、ジョンストン提督に次ぐ艦隊の副指揮官を務める。◆◇◆◇◆ホームページ(本館)へのご案内◆◇◆◇◆ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます!この度、月1回までだった「ネット小説ランキング」が、週1回までご投票頂けるようになりました。よろしければ、今後とも応援頂けましたら、大変励みになります。宜しくお願いします。(週1回有効) (随時)
2009.07.24
コメント(4)
フロレスのきつく噛み締められた唇には、海水の塩辛さと共に、火薬のススけた苦味までがジワジワと広がり、口中で切れた傷口から染み出す血の味と混ざり合って、言いようもないほど不快だった。それと共に、事態の推移を冷徹冷静な目で推し量っているであろうジョンストンの見えざる視線が、己の全身に氷の刃(やいば)の如く突き刺さってくるのを感じていた。そしてまた、そのようなフロレスへ冷ややかな視線を向けているのは、ジョンストンだけではなかった。英国艦隊の副指揮官パリアも、その手に望遠鏡を掲げながら、ずぶ濡れの身をボートのヘリに預けて放心しているフロレスを、くまなく観察していた。「あの軍服、陸軍の将官か。スペイン海軍も、ずいぶんと人材不足のようだな」同様に望遠鏡を覗いていた脇の副官が、苛立ちを込めた呻き声を漏らす。「もっともですな、艦長。しかし、悪運の強いヤツだ。未だ、しぶとく生き延びていようとは…!」【主要艦の乗員構成】スペイン艦隊:<ベルナルド艦>ベルナルド艦長(旗艦艦長・艦隊総指揮官) - 副長(艦長補佐)<フロレス艦>フロレス(艦隊副指揮官) - ロペス艦長(フロレス艦艦長) - 副長(艦長補佐)英国艦隊:<ジョンストン艦>ジョンストン提督(艦隊総指揮官) - キーン艦長(旗艦艦長) - 副長(艦長補佐)<パリア艦>パリア艦長(パリア艦艦長・艦隊副指揮官) - 副長(艦長補佐)【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪フロレス≫此度の海戦では、ベルナルド旗艦艦長に次ぐスペイン艦隊の副指揮官。本来は陸軍に所属し、ペルー副王領スペイン軍総指揮官アレッチェと並ぶ、ラ・プラタ副王領(現ボリビア周辺)スペイン軍総指揮官(実質的には、アレッチェの部下の身分)。副王の信任も篤く、かつては最高司法院の議長まで務めた文武両道の麗人。植民地生まれであるためか、他のスペイン人高官とは異なり、偏見を持たぬ公明正大な側面を持つ。≪ジョンストン提督≫此度のペルー戦への進軍を行う英国艦隊の総指揮官。英国王室の命により、トゥパク・アマルの反乱に乗じて、敵対するスペインを撃退し、当地を英国の植民地にしようと狙い定めている。≪パリア艦長≫英国艦隊の僚艦を預かる重要な艦長の一人。此度の海戦において、ジョンストン提督に次ぐ艦隊の副指揮官を務める。◆◇◆◇◆ホームページ(本館)へのご案内◆◇◆◇◆ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます!この度、月1回までだった「ネット小説ランキング」が、週1回までご投票頂けるようになりました。よろしければ、今後とも応援頂けましたら、大変励みになります。宜しくお願いします。(週1回有効) (随時)
2009.07.22
コメント(4)
そのまま彼らのボートは、彼らを守る盾の如くに前面に回り込んできた味方の小型巡洋艦の陰に滑り込む。フロレスは荒い息のために肩を大きく上下させながら、周囲の戦況を探ろうと方々を仰ぎ見た。だが、その位置からは、硝煙や炎の中で響き渡る爆音が聞き取れるばかりで、戦況を見晴るかすことは不可能だった。強い脱力感のために、グッタリとボートのヘリにもたれかかる。海水を含んで全身に張り付く軍服が、異様に重く感じられた。彼は激しい消耗のために朦朧としかける意識を無理矢理つなぎとめながら、今は鈍重な歯車のような己の思考を懸命に働かせようとする。(今のところ、まともに仕留められたのは、先刻、割り込みをかけて艦尾を縦射したあの一隻のみ。残る敵の戦列艦は、恐らく、ジョンストン提督の旗艦を含めて5戦艦。しかも、敵の巡洋艦や輸送船も含めれば、総勢10艦以上は、まだ健在に相違ない。それに対して、味方艦は、この間に、どれほど生き残ってくれているものか、今は想像すらつかない……!)【主要艦の乗員構成】スペイン艦隊:<ベルナルド艦>ベルナルド艦長(旗艦艦長・艦隊総指揮官) ― 副長(艦長補佐)<フロレス艦>フロレス(艦隊副指揮官) ― ロペス艦長(フロレス艦艦長) ― 副長(艦長補佐)英国艦隊:<ジョンストン艦>ジョンストン提督(艦隊総指揮官) ― キーン艦長(旗艦艦長) ― 副長(艦長補佐)<パリア艦>パリア艦長(パリア艦艦長・艦隊副指揮官) ― 副長(艦長補佐)【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪フロレス≫此度の海戦では、ベルナルド旗艦艦長に次ぐスペイン艦隊の副指揮官。本来は陸軍に所属し、ペルー副王領スペイン軍総指揮官アレッチェと並ぶ、ラ・プラタ副王領(現ボリビア周辺)スペイン軍総指揮官(実質的には、アレッチェの部下の身分)。副王の信任も篤く、かつては最高司法院の議長まで務めた文武両道の麗人。植民地生まれであるためか、他のスペイン人高官とは異なり、偏見を持たぬ公明正大な側面を持つ。≪ジョンストン提督≫此度のペルー戦への進軍を行う英国艦隊の総指揮官。英国王室の命により、トゥパク・アマルの反乱に乗じて、敵対するスペインを撃退し、当地を英国の植民地にしようと狙い定めている。◆◇◆◇◆ホームページ(本館)へのご案内◆◇◆◇◆ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます!この度、月1回までだった「ネット小説ランキング」が、週1回までご投票頂けるようになりました。よろしければ、今後とも応援頂けましたら、大変励みになります。宜しくお願いします。(週1回有効) (随時)
2009.07.20
コメント(2)
(註☆イラストは、ウィキペディア(Wikipedia)よりお借りした当時の海戦の様子です。イラストのセインツの海戦(1782年)では、英国艦隊とフランス艦隊が激しい戦いを展開しました。※リンク先のWikipediaで、拡大したイラストをご覧頂けます。この物語の海戦は、これほど大規模なものではありませんが、雰囲気を感じて頂けましたら幸いです。)互いに苛烈な撃ち合いの展開される隙を縫って、フロレスは負傷兵を抱いたまま、敵艦から離れようと無我夢中で泳いだ。背筋を銃弾が幾弾もかすめ飛んでいく。「いたぞお、あそこだ!フロレス殿――!!さあ、どうかこちらに!!」急激な疲労感に襲われ、かすみそうになる意識の向こうから、馴染みの水兵たちが懸命に己を呼ぶ声が聞こえてきた。フロレスは鉛のように感じられる己の身体に鞭打って、今一度、海水を掻(か)く手足に力を込める。ロペス艦長の指示によって決死の覚悟で救助に回ってきた味方のボートに救出されると、彼はズブ濡れのまま、先刻、ジョンストンを見かけた方角を急いで振り仰いだ。だが、既に、そこに提督の姿はなかった。【主要艦の乗員構成】スペイン艦隊:<ベルナルド艦>ベルナルド艦長(旗艦艦長・艦隊総指揮官) ― 副長(艦長補佐)<フロレス艦>フロレス(艦隊副指揮官) ― ロペス艦長(フロレス艦艦長) ― 副長(艦長補佐)英国艦隊:<ジョンストン艦>ジョンストン提督(艦隊総指揮官) ― キーン艦長(旗艦艦長) ― 副長(艦長補佐)<パリア艦>パリア艦長(パリア艦艦長・艦隊副指揮官) ― 副長(艦長補佐)【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪フロレス≫此度の海戦では、ベルナルド旗艦艦長に次ぐスペイン艦隊の副指揮官。本来は陸軍に所属し、ペルー副王領スペイン軍総指揮官アレッチェと並ぶ、ラ・プラタ副王領(現ボリビア周辺)スペイン軍総指揮官(実質的には、アレッチェの部下の身分)。副王の信任も篤く、かつては最高司法院の議長まで務めた文武両道の麗人。植民地生まれであるためか、他のスペイン人高官とは異なり、偏見を持たぬ公明正大な側面を持つ。≪ジョンストン提督≫此度のペルー戦への進軍を行う英国艦隊の総指揮官。英国王室の命により、トゥパク・アマルの反乱に乗じて、敵対するスペインを撃退し、当地を英国の植民地にしようと狙い定めている。◆◇◆◇◆ホームページ(本館)へのご案内◆◇◆◇◆ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます!この度、月1回までだった「ネット小説ランキング」が、週1回までご投票頂けるようになりました。よろしければ、今後とも応援頂けましたら、大変励みになります。宜しくお願いします。(週1回有効) (随時)
2009.07.17
コメント(2)
だが、次の瞬間に目に飛び込んできた光景によって、全ての痛みは完全に吹き飛んだ。(あれは……!)海水に濡れて顔に張り付くブロンドの隙間から見上げる視線の先で、喧騒に呑まれている英国水兵たちとは別世界にいるかのように、超然とその長身を艦尾甲板に現しくる人物。その両肩では黄金色の肩章が風にたなびき、本人は後ろ手に腕を回したまま、飄々(ひょうひょう)たる面差しでこちらを見下ろしている。(ジョンストン提督か!)フロレスの全身を直感が貫いた途端、己の置かれた状況さえも忘れて、彼の碧眼は、ついに相見(あいまみ)えた敵将の姿に釘付けられた。対する提督は、その相手の一瞬の虚を衝くかのように、不意に、後ろ手に握っていた銃を前に構え、ピタリとこちらに狙い定めた。「――!!」反射的に我に返ったフロレスは、すかさず負傷兵を庇いながら海中に身を沈める。それと同時に、周囲のスペイン艦から、ジョンストンや英国兵たちに向かって、砲撃と射撃の応酬が一斉に勢いを増した。【主要艦の乗員構成】スペイン艦隊:<ベルナルド艦>ベルナルド艦長(旗艦艦長・艦隊総指揮官) ― 副長(艦長補佐)<フロレス艦>フロレス(艦隊副指揮官) ― ロペス艦長(フロレス艦艦長) ― 副長(艦長補佐)英国艦隊:<ジョンストン艦>ジョンストン提督(艦隊総指揮官) ― キーン艦長(旗艦艦長) ― 副長(艦長補佐)<パリア艦>パリア艦長(パリア艦艦長・艦隊副指揮官) ― 副長(艦長補佐)【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪フロレス≫此度の海戦では、ベルナルド旗艦艦長に次ぐスペイン艦隊の副指揮官。本来は陸軍に所属し、ペルー副王領スペイン軍総指揮官アレッチェと並ぶ、ラ・プラタ副王領(現ボリビア周辺)スペイン軍総指揮官(実質的には、アレッチェの部下の身分)。副王の信任も篤く、かつては最高司法院の議長まで務めた文武両道の麗人。植民地生まれであるためか、他のスペイン人高官とは異なり、偏見を持たぬ公明正大な側面を持つ。≪ジョンストン提督≫此度のペルー戦への進軍を行う英国艦隊の総指揮官。英国王室の命により、トゥパク・アマルの反乱に乗じて、敵対するスペインを撃退し、当地を英国の植民地にしようと狙い定めている。◆◇◆◇◆ホームページ(本館)へのご案内◆◇◆◇◆ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます!この度、月1回までだった「ネット小説ランキング」が、週1回までご投票頂けるようになりました。よろしければ、今後とも応援頂けましたら、大変励みになります。宜しくお願いします。(週1回有効) (随時)
2009.07.15
コメント(0)
この海戦で生き延びている誰もが、全身を硬直させて、そちらに釘付けられた。ジョンストン艦艦尾めがけて突撃してきたフロレス艦を、ジョンストン艦自身は見事に己の艦尾からかわし、代わりに艦尾近い舷側部でガッチリと相手の側面を受け留めている。両戦列艦の堅剛な舷側が強く擦れ合い、両者の手すりがバックリと抉(えぐ)れ、その界隈に設置されていた数門の大砲が互いの船体にメリメリとのめり込んでいく。しかも、両者の索具類が絡み合って不自然な方向に強度の付加をかけ合うために、その高みにある円材たちが、今にも折れそうになりながら軋んでいる。そして、その間にも、轟々と燃え盛るフロレス艦の炎は、容赦無くジョンストン艦へと乗り移りはじめていた。それら燃え移りくる炎を消火せんと、罵声を上げながら奔走する英国艦隊旗艦の水兵たち。そのさまを、負傷兵を抱えたまま水中にいるフロレスは、辛うじて海面から目におさめていた。艦尾をかわされ、狙ったほどの破壊力をもたらすことのできなかったことへの口惜しさからか、焼け付いた皮膚に沁みる海水のもたらす疼(うず)きが、いっそう激痛に感じられる。【☆お知らせ☆】いつもご来訪&応援してくださいまして、どうもありがとうございます!この度、珠玉のファンタジー小説『Accel』<外伝>を鋭意ご執筆中の月夜見猫様が、アンドレスとコイユールのとても素敵なイラストを描いてくださいました♪実際の物語では未だ実現していない、とっておきの二人のシーン、是非、こちらのページでご堪能ください!【主要艦の乗員構成】スペイン艦隊:<ベルナルド艦>ベルナルド艦長(旗艦艦長・艦隊総指揮官) ― 副長(艦長補佐)<フロレス艦>フロレス(艦隊副指揮官) ― ロペス艦長(フロレス艦艦長) ― 副長(艦長補佐)英国艦隊:<ジョンストン艦>ジョンストン提督(艦隊総指揮官) ― キーン艦長(旗艦艦長) ― 副長(艦長補佐)<パリア艦>パリア艦長(パリア艦艦長・艦隊副指揮官) ― 副長(艦長補佐)【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪フロレス≫此度の海戦では、ベルナルド旗艦艦長に次ぐスペイン艦隊の副指揮官。本来は陸軍に所属し、ペルー副王領スペイン軍総指揮官アレッチェと並ぶ、ラ・プラタ副王領(現ボリビア周辺)スペイン軍総指揮官(実質的には、アレッチェの部下の身分)。副王の信任も篤く、かつては最高司法院の議長まで務めた文武両道の麗人。植民地生まれであるためか、他のスペイン人高官とは異なり、偏見を持たぬ公明正大な側面を持つ。≪ジョンストン提督≫此度のペルー戦への進軍を行う英国艦隊の総指揮官。英国王室の命により、トゥパク・アマルの反乱に乗じて、敵対するスペインを撃退し、当地を英国の植民地にしようと狙い定めている。◆◇◆◇◆ホームページ(本館)へのご案内◆◇◆◇◆ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます!この度、月1回までだった「ネット小説ランキング」が、週1回までご投票頂けるようになりました。よろしければ、今後とも応援頂けましたら、大変励みになります。宜しくお願いします。(週1回有効) (随時)
2009.07.13
コメント(4)
その間にも、炎上するフロレス艦は、頑強に固定された舵の指し示す進路を維持しながら、ジョンストン艦の艦尾目指して猛然と驀進してくる。対して、当のジョンストン艦は、俊敏で滑らかな操帆によって、突進してくるフロレス艦の艦首をジワジワとかわしはじめた。今や人員無きフロレス艦は、固定された舵の進路を突き進むことしかできない。その上、燃え上がる帆もマストも次々と崩れ落ち、それに比例して艦速も次第に弱まっていく。だが、それでも、ジョンストン艦がフロレス艦を完全にかわすには、両者の距離は既に近くにありすぎた。しかも、ロペス艦長の指示により、スペイン艦隊の巡洋艦たちが、捨て身の覚悟でジョンストン艦を囲むようにして、逃げ道を与えまいとその進路を阻んでいる。そうしている間にも、みるみる両者の距離は縮まっていった。かくして、ついに船体と船体の狭間が消え、僚艦がぶつかり合う瞬間――!二隻の重厚な戦列艦の間に、雷光の如く巨大な火花が飛び散った。と同時に、これまでの砲撃音を数百倍にも増したかのような激烈な衝撃音が、うねり波立つ海面を大きく震わせる。さらに、それに続いて、ガガガガガーーッと、木材と金属が激しく擦れ合い破壊し合う、鼓膜を劈(つんざ)くばかりの轟音が上がる――!!【主要艦の乗員構成】スペイン艦隊:<ベルナルド艦>ベルナルド艦長(旗艦艦長・艦隊総指揮官) ― 副長(艦長補佐)<フロレス艦>フロレス(艦隊副指揮官) ― ロペス艦長(フロレス艦艦長) ― 副長(艦長補佐)英国艦隊:<ジョンストン艦>ジョンストン提督(艦隊総指揮官) ― キーン艦長(旗艦艦長) ― 副長(艦長補佐)<パリア艦>パリア艦長(パリア艦艦長・艦隊副指揮官) ― 副長(艦長補佐)【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪フロレス≫此度の海戦では、ベルナルド旗艦艦長に次ぐスペイン艦隊の副指揮官。本来は陸軍に所属し、ペルー副王領スペイン軍総指揮官アレッチェと並ぶ、ラ・プラタ副王領(現ボリビア周辺)スペイン軍総指揮官(実質的には、アレッチェの部下の身分)。副王の信任も篤く、かつては最高司法院の議長まで務めた文武両道の麗人。植民地生まれであるためか、他のスペイン人高官とは異なり、偏見を持たぬ公明正大な側面を持つ。≪ジョンストン提督≫此度のペルー戦への進軍を行う英国艦隊の総指揮官。英国王室の命により、トゥパク・アマルの反乱に乗じて、敵対するスペインを撃退し、当地を英国の植民地にしようと狙い定めている。◆◇◆◇◆ホームページ(本館)へのご案内◆◇◆◇◆ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます!この度、月1回までだった「ネット小説ランキング」が、週1回までご投票頂けるようになりました。よろしければ、今後とも応援頂けましたら、大変励みになります。宜しくお願いします。(週1回有効) (随時)
2009.07.10
コメント(0)
「この距離となっては、もはや完全には衝突を避け切れまいが、敵艦の真正面から我らの艦尾を突かれるのは、さすがに御免こうむりたい。あの長槍のような切っ先でこちらの船体を貫かれては、敵艦の全体重でのしかかられるにも等しい結果になりかねぬ。その上、火災を当艦の内部まで深く引き込む危険性も高い」「アイ・サー!!では、せめて側面で受け留められるよう、即刻、当艦を回頭します。それに、提督も、ここにおられては危険です!どうぞ艦首の方へご避難をなさっていてください」そう言い残してキーン艦長が慌しく立ち去る足音を背後に感じながら、ジョンストンは、今一度、迫り来るフロレス艦に厳然とした横顔を向けた。眼前直近まで迫り来ているその敵艦は、まるで燃え盛る巨大な隕石の如くである。そのさまを一頻(ひとしき)り見据えた後、ジョンストンは冷徹な一閃と共に踵を返した。(余興であれば、さしずめ、昔、我ら英国海軍に火攻めにされたアルマダの仇討(あだう)ちといったところか。だが、実戦としては、まだまだ詰めが甘い)【主要艦の乗員構成】スペイン艦隊:<ベルナルド艦>ベルナルド艦長(旗艦艦長・艦隊総指揮官) ― 副長(艦長補佐)<フロレス艦>フロレス(艦隊副指揮官) ― ロペス艦長(フロレス艦艦長) ― 副長(艦長補佐)英国艦隊:<ジョンストン艦>ジョンストン提督(艦隊総指揮官) ― キーン艦長(旗艦艦長) ― 副長(艦長補佐)<パリア艦>パリア艦長(パリア艦艦長・艦隊副指揮官) ― 副長(艦長補佐)【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪フロレス≫此度の海戦では、ベルナルド旗艦艦長に次ぐスペイン艦隊の副指揮官。本来は陸軍に所属し、ペルー副王領スペイン軍総指揮官アレッチェと並ぶ、ラ・プラタ副王領(現ボリビア周辺)スペイン軍総指揮官(実質的には、アレッチェの部下の身分)。副王の信任も篤く、かつては最高司法院の議長まで務めた文武両道の麗人。植民地生まれであるためか、他のスペイン人高官とは異なり、偏見を持たぬ公明正大な側面を持つ。≪ジョンストン提督≫此度のペルー戦への進軍を行う英国艦隊の総指揮官。英国王室の命により、トゥパク・アマルの反乱に乗じて、敵対するスペインを撃退し、当地を英国の植民地にしようと狙い定めている。≪キーン艦長≫英国艦隊の旗艦艦長。此度の英国艦隊総指揮官ジョンストン提督の乗艦する僚艦の艦長を務める。◆◇◆◇◆ホームページ(本館)へのご案内◆◇◆◇◆ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます!この度、月1回までだった「ネット小説ランキング」が、週1回までご投票頂けるようになりました。よろしければ、今後とも応援頂けましたら、大変励みになります。宜しくお願いします。(週1回有効) (随時)
2009.07.08
コメント(0)
他方、その間も、英国艦隊旗艦では、総指揮官ジョンストン提督が、炎上するフロレス艦で行われている一部始終を見届けていた。迫り来るフロレス艦が狙い定める彼の僚艦の艦尾楼に、今も超然と立つ、威厳と落ち着きに満ちたその姿は、戦闘開始前と全く変わらない。しかし、その声音には、幾分険しさが増していた。「どうやら、あの敵艦の兵たちは脱出を図ったようだな」「そのようです、提督」そう相槌を打ちながら、キーン艦長は、火船と化したフロレス艦を鋭い眼差しで睨み据えた。それから、素早くジョンストンへと視線を返し、早口で問う。「提督、いかがいたしましょう?もはや無人と化したあの艦の餌食(えじき)となってやることもありますまい」「うむ」と、ジョンストンも頷き返す。そして、頤(おとがい)に強靭な指先を添え、思慮深く目を細めた。【主要艦の乗員構成】スペイン艦隊:<ベルナルド艦>ベルナルド艦長(旗艦艦長・艦隊総指揮官) ― 副長(艦長補佐)<フロレス艦>フロレス(艦隊副指揮官) ― ロペス艦長(フロレス艦艦長) ― 副長(艦長補佐)英国艦隊:<ジョンストン艦>ジョンストン提督(艦隊総指揮官) ― キーン艦長(旗艦艦長) ― 副長(艦長補佐)<パリア艦>パリア艦長(パリア艦艦長・艦隊副指揮官) ― 副長(艦長補佐)【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪フロレス≫此度の海戦では、ベルナルド旗艦艦長に次ぐスペイン艦隊の副指揮官。本来は陸軍に所属し、ペルー副王領スペイン軍総指揮官アレッチェと並ぶ、ラ・プラタ副王領(現ボリビア周辺)スペイン軍総指揮官(実質的には、アレッチェの部下の身分)。副王の信任も篤く、かつては最高司法院の議長まで務めた文武両道の麗人。植民地生まれであるためか、他のスペイン人高官とは異なり、偏見を持たぬ公明正大な側面を持つ。≪ジョンストン提督≫此度のペルー戦への進軍を行う英国艦隊の総指揮官。英国王室の命により、トゥパク・アマルの反乱に乗じて、敵対するスペインを撃退し、当地を英国の植民地にしようと狙い定めている。≪キーン艦長≫英国艦隊の旗艦艦長。此度の英国艦隊総指揮官ジョンストン提督の乗艦する僚艦の艦長を務める。◆◇◆◇◆ホームページ(本館)へのご案内◆◇◆◇◆ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます!この度、月1回までだった「ネット小説ランキング」が、週1回までご投票頂けるようになりました。よろしければ、今後とも応援頂けましたら、大変励みになります。宜しくお願いします。(週1回有効) (随時)
2009.07.06
コメント(0)
その時、ふと視線を感じて顔を上げたフロレスの視線の先に、己の方を見つめる航海長の姿があった。航海長は、サッと、反射的に顔を反らしたが、その年季の入った目尻の端に微かに光るものをフロレスは見逃さなかった。此度の海戦のほんの数日のみを共にした己でさえ、もはや、この艦への愛着は計り知れないというのに、長年に渡ってこの艦と命運を共にしてきた航海長や、そして、あのロペス艦長の心境はいかばかりであろうか。フロレスの胸にも、熱いものが込み上げた。しかし、前方を振り仰げば、英国艦隊旗艦は、今や、ほぼ目前まで肉迫している。彼は唇を噛み締め、振り切るように立ち上がる。そして、肩に抱いた負傷兵を担ぎなおしながら、もう一方の手で、航海長の腕を押さえた。「さあ、航海長、我らも参らねばなりません」男泣きを堪えているのであろう、押さえた相手の腕が微かに震えている。「航海長…!」航海長は顔を反らしたまま頷くと、厳つい肩でグイと目元を拭い去り、彼もまた、逞しいその腕で別の負傷兵を抱き上げる。そして、次の瞬間には、二人は敏捷に身を翻し、負傷兵と共に、高い甲板上から波立つ海面へと飛び込んだ。【主要艦の乗員構成】スペイン艦隊:<ベルナルド艦>ベルナルド艦長(旗艦艦長・艦隊総指揮官) ― 副長(艦長補佐)<フロレス艦>フロレス(艦隊副指揮官) ― ロペス艦長(フロレス艦艦長) ― 副長(艦長補佐)英国艦隊:<ジョンストン艦>ジョンストン提督(艦隊総指揮官) ― キーン艦長(旗艦艦長) ― 副長(艦長補佐)<パリア艦>パリア艦長(パリア艦艦長・艦隊副指揮官) ― 副長(艦長補佐)【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪フロレス≫此度の海戦では、ベルナルド旗艦艦長に次ぐスペイン艦隊の副指揮官。本来は陸軍に所属し、ペルー副王領スペイン軍総指揮官アレッチェと並ぶ、ラ・プラタ副王領(現ボリビア周辺)スペイン軍総指揮官(実質的には、アレッチェの部下の身分)。副王の信任も篤く、かつては最高司法院の議長まで務めた文武両道の麗人。植民地生まれであるためか、他のスペイン人高官とは異なり、偏見を持たぬ公明正大な側面を持つ。◆◇◆◇◆ホームページ(本館)へのご案内◆◇◆◇◆ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます!この度、月1回までだった「ネット小説ランキング」が、週1回までご投票頂けるようになりました。よろしければ、今後とも応援頂けましたら、大変励みになります。宜しくお願いします。(週1回有効) (随時)
2009.07.03
コメント(4)
「これで、行けまさあ!!これだけ頑丈に固定されてりゃあ、敵の爆撃だろうが、何だろうが、そんじょそこらの衝撃じゃ、ビクともしませんぜ!これなら、無人でも、あの敵の親玉の尻にぶちかましてやれる!!」そう叫んで、すっかり本来の気の置けない人柄を取り戻した航海長が、満足気にゴシゴシと顎を擦る。フロレスも目に溜まった汗を拭い、今一度、力強く頷き返した。彼らが見据える先では、敵旗艦艦尾が、いよいよ大きくせり上がって見える。かくして、次の風に艦が応え、さらに加速を増した瞬間、フロレスは、轟々と逆巻く焔にかき消されまいと渾身の力を振り絞って叫んだ。「今だ!!皆、海に飛び込め!!撤退するぞ――!!」さすがの勇兵たちも激炎の中で限界に達していたのであろう、この時を待ち詫びていたかのように、皆、殆ど落下するかの如く海に飛び込んでいく。一方、フロレスは霞む視界の中を懸命に見渡し、負傷兵や彼らを助けようとしている数名の水兵たちの元へと走り寄ると、己自身も負傷兵の一人をズシリと肩に抱えた。そして、その姿のまま、炎の広がる甲板の一隅に跪き、高熱を帯びた艦の板張りに、傷だらけの指先をそっと触れる。(あとは頼んだぞ……!)【主要艦の乗員構成】スペイン艦隊:<ベルナルド艦>ベルナルド艦長(旗艦艦長・艦隊総指揮官) ― 副長(艦長補佐)<フロレス艦>フロレス(艦隊副指揮官) ― ロペス艦長(フロレス艦艦長) ― 副長(艦長補佐)英国艦隊:<ジョンストン艦>ジョンストン提督(艦隊総指揮官) ― キーン艦長(旗艦艦長) ― 副長(艦長補佐)<パリア艦>パリア艦長(パリア艦艦長・艦隊副指揮官) ― 副長(艦長補佐)【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪フロレス≫此度の海戦では、ベルナルド旗艦艦長に次ぐスペイン艦隊の副指揮官。本来は陸軍に所属し、ペルー副王領スペイン軍総指揮官アレッチェと並ぶ、ラ・プラタ副王領(現ボリビア周辺)スペイン軍総指揮官(実質的には、アレッチェの部下の身分)。副王の信任も篤く、かつては最高司法院の議長まで務めた文武両道の麗人。植民地生まれであるためか、他のスペイン人高官とは異なり、偏見を持たぬ公明正大な側面を持つ。◆◇◆◇◆ホームページ(本館)へのご案内◆◇◆◇◆ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます!この度、月1回までだった「ネット小説ランキング」が、週1回までご投票頂けるようになりました。よろしければ、今後とも応援頂けましたら、大変励みになります。宜しくお願いします。(週1回有効) (随時)
2009.07.02
コメント(0)
全14件 (14件中 1-14件目)
1