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──カリガリ博士。
その製作はドイツにて、1919年。古い古い、無声映画でございまする。
冒頭、うら悲しい枯れ葉舞う場のベンチにふたりの男が座っている。
「私は見たんだ、あの恐ろしい男、カリガリ博士を!」
「……」
「ほら、彼女。あの彼女をみたまえ!」 「……ッ?」
すると興奮と恐怖を押し殺して語る男と聞き手の男の前に、ふらふらと乙女が虚脱した様で通り過ぎる。「ああ、あれは私の婚約者だ。
可哀想に……。
あの男、カリガリ博士のせいで、ああなってしまった…」頭をかきむしって苦悩する男が、恐ろしいカリガリ博士について語り始め────
こんな感じがカリガリ博士の冒頭シーンでございまする。
くもが観劇したのはかれこれ20年以上前のコト。
当時高田馬場駅から徒歩でとぼとぼと15分ほど、延々一本道を歩いていけば、奇妙な小映画館があったのでございますよ。
そこで上映されるのは無声映画ばかりでして。
カリガリ博士もそこでみた知る人ぞ知る、映画史に残る名画でございまする。
『巨人ゴーレム』『ノスフェラトウ』『プラークの大学生』をふくめ、ドイツ表現主義と称される映画と称される一群の中、一際名高いのがカリガリ博士なのでごさいますね。
さきほどチラッとググってみますとさすがはうぃきうきvペギアさん。
画像がしっかりストックされておりました。
まずはひとつご覧を→
カリガリ博士尊像v
ハイ、どうですか?
とってもステキです。如何にも悪人です、きゃ♪
ですがこの画像はまだ大人しい。
なにしろ『カリガリ博士』の特徴は、すさまじいメーキャップと、歪んだ世界としかいえない、特殊な背景処理でございます。
全ての建物が歪み、鋭角三角形か、異様に高くて座りにくい椅子、白と黒のコントラストが効いた、奇妙奇天烈な世界でもってストーリーが展開されるのでございまする。
ハイ、クリックジャンプ→ ステキな、屋根さんv
この画像は恐怖の悪漢カリガリ博士があやつる謎の怪人『眠り男チューザレ』が乙女を浚って逃走してゆくシーンですが。
ちょっと転んだだけで致命傷になりそうな屋根です(笑)
でも大丈夫、チューザレは怪物ですからっ(@_@)/
ごらんあれ→ 眠り男チューザレさんv
これはカリガリ博士の見せ物小屋で、棺桶に眠り続けていたチューザレが、博士の命令で目覚めた瞬間の画像でございますよ。
このすごいメーッキャップが、『カリガリ博士』の世界での特徴です。
じっさい、映像でチューザレが目をゆっくりっと開いてゆくシーンは、鵺が鳴く夜より、恐ろしいです。恐ろしすぎて目が離せず、しかもうっとりしてしまうという(^_^;
で、様々な怪しい事件を巻き起こしたの末、カリガリ博士はついに追いつめられ、精神病院の一室へと隔離されてしまうのですが……。
が、しかーし!
事の顛末を語り終えた後も興奮してツバを飛ばして喋りまくる男に、聞き手の男もなにかおかしいと悟る。
そこへさきほどの話の精神病院のスタッフたちがわらわらと登場。
男を取り囲み、拘束衣を着せ……。
そう、すべては男の妄想。
そしてここは精神病院の傍らにある空き地だったんですね。
連れ戻され、隔離されたその病院の、院長室で、
「なるほど、興味深い…。
あの患者は私を、『カリガリ博士』だと妄想しておるのか」
そう興味深げにつぶやく老紳士こそ、カリガリ博士でございました。
ま、かなーり、ストーリーをはしょり、ラストに行くに従い、逆転また逆転な、この映画、くりかえしますが、製作は1919年。ドイツ映画史に残る傑作のひとつでございました。
子細ストーリー背景なぞ、もっと詳しく知りたい方がおられたら、やはりこちらをどうぞ→
カリガリ博士 - Wikipedia
映画の世界、まだまだ深いですよ(ニヤリv)
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