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部屋の間近に流れる谷川の音が
一晩中、眠りの中で響いていた様な気がする。
雨の中を、傘もささず歩く僕たちの夢を見た。
一緒に歩く彼女が誰なのか
顔が見えない。
僕の潜在意識が、鮮烈な過去の記憶を
呼び醒ますのを
拒絶しているのかも知れない。
目を覚まして、軒先を見ると、雨はなく
やはり渓谷の流れの音だけが絶え間なく
聞こえていた。
部屋の空気は澄み、暖房が欲しい涼しさだ。
布団の中のぬくもりを求めて
彼女の温かい素足に自分の足を絡ませた。
彼女のかすかな寝息と彼女の匂いに反応して
僕は、思わず彼女の体に手を延ばした。
やがて気づいた彼女は、僕を抱き、激しく僕を求めてきた。
急な興奮のうねりが、僕の五感を覚醒する。
やはり、男には女が必要だ。女にも男が必要だ。
二人の間を熱いものがあふれて、
僕はこの彼女も再び愛していこうと心に思った。
目覚めは、不思議なくらいに爽やかだった。
時計は6時、携帯は相変わらず「圏外」と出ていた。
二人で、朝の露天風呂に出かけた。
外界から隔離されたような湯船の中で
昨晩からの疲れが一挙に軽くなるのが感じられた。
あれほど愛した彼女の死をも乗り越えて
また出直そうと決めたのではなかったか
残された人生は短い。
偽善者として生きることはできない。
所詮!誰に非難されようとも
僕は僕らしく生きていくしかない。