マンハッタン狩猟蟹の逃げ場

マンハッタン狩猟蟹の逃げ場

2008年10月21日
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カテゴリ: 2008年08~12月読書
[1] 読書日記


   < 確かに、わたしが辞職を決意したのは愛美の死が原因です。
    しかし、もしも愛美の死が本当に事故であれば、悲しみを紛らわすためにも、
    そして、自分の犯した罪を悔い改めるためにも、教員を続けていたと思います。
    ではなぜ辞職するのか?
    愛美は事故で死んだのではなく、このクラスの生徒に殺されたからです。


  という、
  中学校三学期、終業式の日のHRで始まった、女教師の「告白」で幕が開く、
  話題の書、

湊かなえ 「告白」(双葉社)



  を遅ればせながら、読了。

  ミステリ。
  年末恒例の「このミステリーがすごい」等のミステリ本ランキングには、
  確実に顔を出してきそうな作品。

  6章の章立てからなる長編作品ながら、
  元は第一章の「聖職者」で、小説推理新人賞を受賞した短編だった、
  というのだから、ネタの膨らませ方、その構成力には驚く。
  全6章の全てが、事件関係者の独白による「告白」という文体も凝っている。

  当初、女教師の独白文をまどろっこしくも思えたが、
  慣れればサクサク進められるし、
  読み出したらその展開に、一気読みせずにはいられなかった。

  非常によくできたミステリでもあるがそれ以上に、
  一見、社会派寄りと見せかけながら、
  実は重いテーマや題材を、メッセージ色をぼかし、
  あくまでプロットの肉付け之為の小道具として、
  巧みに玩びに玩ぶ、エンターテイメント小説。

  多少戯画的でリアリティに欠ける側面はあるが、
  そういった些事には拘泥しない、
  とにかく面白い本を読みたいんだ、という人には是非お薦めしたい一冊。


  何かこのブログの文章だけ見ると、
黒武洋「そして粛清の扉を」(新潮文庫) を彷彿とさせるけれど、
  「バトル・ロワイヤル」的な、かの作品とは、
  全くジャンル違いの作品なので、一応。





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最終更新日  2008年10月22日 05時13分18秒
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