音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2007年01月07日
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カテゴリ: 映画






■細密画のような画面に圧倒される

 まず、感心したのは、風景を初めとして、隅々まで細密に書き込まれている絵の美しさです。美しいと言っても、普通の綺麗な物を美しいというのではなく、汚い物でも緻密に書き込まれているため、その中に美しさと、何とも言えない懐かしさを感じるのです。時代背景が、昭和30年代のようで、あの頃の風景がとても良く描かれていたと思います。いわば、アニメ版「All Ways」の様に感じました。あの様に平和な風景を描いた物ではありませんが。。。

■あらすじ

 物語は、宝町のガード下に棲息する孤児のクロ(二宮和也)とシロ(蒼井優)。宝町を守る警察の藤村刑事(西村知道)と若い沢田刑事(宮藤官九郎)、近所に住むじっちゃ(納谷六朗)と仲がいいです。ここでは、クロが街を仕切っています。宝町を狙っている組長と、ネズミ(田中泯)、手下の木村(伊勢谷友介)もいます。

 そこに、蛇(本木雅洋)が「子供の城プロジェクト」という妖しげな再開発事業を持ち込み、組長と結託します。

 彼らは、宝町の再開発に邪魔な人間を次々に始末していきます。その中には、街を警護するチョコラ達3人組やクロとシロが含まれます。

 クロたちを抹殺しようとする木村は不首尾に終わり、ネズミに休養を言い渡されます。

変わりに、蛇は「蝶・虎・龍」という中国人風の巨人達3人を呼び、クロたちの住処を襲います。

 クロは殺し屋の一人に殺されそうになりますが、シロに助けられます。危険が極限値まで達したとき、シロは警察に匿われます。一人になったクロは残る殺し屋二人との死闘に向かいます。。。

■空間的な広がりが凄い

 登場人物の絵は原作よりもきつい線で描かれています。かえって、その人物の特をよく出していたと思います。クロとシロが空中を飛んだり、逃げたりするシーンの途方もない空間的な広がりが実に見事でした。

■監督はアニメの大ファン

 監督は「アニマトリックス」ほかハリウッドのVFXの第一人者マイケル・アリアスです。彼は約10年ほど前に原作者にクロとシロの30秒ばかりのアニメを送ってよこしたという、熱烈な愛好家です。監督の インタビュー (日本語)が新潟放送のHPで見られます。

 それによると、
 『原作の印象は、自分の人生がそのまま本になっている、宝町も自分が住んでいる町とそっくりで、リアリティのある話だと思う』。作るに当たって、美術の人達とは、『舞台は日本ではなく、日本みたいな国、パラレルワールドみたいにできたらなー』と話あっていた。『昭和の日本ではなくそれらを消化した上での一つの世界を作るアプローチを取った』と言います。また、映像としては、平面的な物にならず、なるべくリアルさを感じるような映像を目指したそうです。

 脚本が良くできているとはいえ、日本人でないのに、日本人の心情をよく理解しているのには驚きます。

■スケールの大きな最後の場面

 時折出てくる、パステル風に描かれる心像風景がその他のシーンとのコントラストが冴えていました。それに、クレヨンで書かれるシロの絵もいい味が出ていましたね。

 終盤に出てくる、クロと自分の心の闇が生み出した「イタチ」との絡みのシーンが、とてもスケールが大きく見応え十分でした。

 それから、クロを思うシロの心理描写や、クロに危険が迫ったときの、一卵性双生児のようなシロの乱れぶりの描写もアニメの次元を越えていますね。。

 終盤近く、ネズミが蛇側に寝返った木村にやられ、木村も組織の人間にやられてしまうところは、やくざ映画の1シーンを思い起こさせるものでした。

■木村に同情してしまった

 個人的には、木村に感情移入してしまいました。もうじき子供が産まれるため、足を洗って、海の近くに引っ越そうと考えている木村。蛇の命令で何から何まで教わった、ネズミを殺さなければならなかった苦悩。いかにもステレオタイプですが、この心理描写は漫画とは思えないほどリアルでした。

 それから、「不感症ですから」が口癖の、沢田刑事の飄々としたキャラも独特でしたね。蛇のいかにも凶悪そうな顔も強烈でした。

■登場人物の顔と声優の顔がそっくり!?

 登場人物と声優の顔が似ているケースが多く、声優を選ぶ基準を顔にしたかと思うほどです。特にネズミの田中泯、木村の伊勢谷友介、沢田刑事の宮藤官九郎はそっくりでビックリしていまいます。

 声優が本職でない人達がかなり出ていたと思いますが、人選が良かったのか、不自然さを感じさせるキャラはいませんでした。特に、蒼井優はシロそのものといっていいほど、役と一体になっていたと思います。

 ということで、これは子供でもなく大人でもない人達から、普通の大人まで、幅広い層の方々に見てもらいたい映画です。まだまだ続くようなので、是非!

公式サイト












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Last updated  2007年03月17日 18時31分27秒
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