音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2007年01月29日
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カテゴリ: クラシック音楽


以前からその存在は知っていましたが、今まで聞く機会がなかった、盛岡バッハ・カンタータ・フェライン30周年記念の『ヨハネ受難曲』を聴きに行きました。宗教曲はあまり聞いていなくて、実演に接したのも、殆ど初めての状態でした。結論からいうと、大変充実した演奏会だったと思います。福音史家の 五郎部俊朗 氏をはじめとした声楽陣、 東京バッハ・カンタータ・アンサンブル の伴奏、そしてカンタータ・フェラインの合唱と、どれも充実していたと思います。
 指揮はビンシャーマン。カンタータフェラインとは1991年から共演していて、今回で7回目だそうです。

今回の『ヨハネ受難曲』でバッハの4大宗教曲が完成しました。ビンシャーマンは指揮棒なしの指揮で、時折キューを出すだけで大仰な身振りはありません。音楽は生き生きとしていて、引き締まった表情でした。痩身痩躯で、背筋を伸ばした指揮ぶりは、とても今年87歳になる方とは思えませんでした。1部と2部の間で椅子に座って休憩を取っていましたが、あとはずっと立ちっぱなしで、2時間あまりも立ち続けるのは、普通の大人でも大変なのに、あの歳としては、驚異的な体力だと思いました。

 声楽陣の中では、福音史家の五郎部俊朗氏の軽くて、明るく、発音がはっきりしていてとても良かったです。また、 多田羅迪夫 氏のイエスは堂々としていて、あらすじに沿った設定でしたが、その豊麗な声は素晴らしかったです。でも、個人的にはちょっと立派すぎる感じがしました。

 岩手出身の方が4人出演されていました。ピラト、ペテロを歌った小原浄二氏は安定した歌いぶりでした。テノールの鏡貴之氏は芸大大学院在学中で、最初はあまり調子が上がらなかったようですが、後半は調子をあげたようで、軽く柔らかい声が快かったです。バスの佐々木直樹氏は出番が少ないながらも、その深々とした低音が魅力的でした。

 総勢113名からなる合唱は、透明感はいまいちでしたが、ピッチも安定して、堅実に歌っていたと思います。この長い曲は練習するだけで大変な曲だと思います。それを、ここまで仕上げたのは、指揮者の佐々木正利岩手大学教授の指導力と会員の皆さんの努力と鍛錬のたまものだと思います。

 芸大OBからなるバッハ・カンタータ・アンサンブルの伸びやかで、控えめな演奏も良かったですね。個々の奏者の技量が高く、ソロなどでの腕前も確かでした。気に入ったのは、第19曲バスのアリオーソでのヴィオラ・ダモーレの2重奏で、とても美しかったです。また、オーボエ・ダ・カッチャの音色を聞くことが出来たのも、嬉しい体験でした。

 ヨハネ受難曲は馴染みがないので、前もって予習をしておこうと思いました。ところが時間がなくてそのまま行ってしまいました。プログラムを見たら、カンタータ・フェラインのコンサートマスター、佐々木幹雄氏の手になるとても詳しいあらすじの他と、この楽曲の特徴についても書かれてあり、とても参考になりました。それに、佐々木正利氏の思い出話もなかなか興味深かったですね。また、字幕がステージの両側に準備してあり、物語に不案内な私にとって大変有り難かったです。

 休憩なしの2時間。大変充実した時を過ごさせていただきました。バッハの偉大さをあらためて認識させられた演奏会だったと思います。

 定員約2000人の会場は、1700人から1800人くらいは入っていたと思います。こんなに合唱に関心のある方がいらっしゃるとは知りませんでした。これから、この団体の演奏会に注目していきたいと思います。年末には盛岡市民ホール10周年記念でマーラーの『復活』を演奏するようですので、是非行きたいと思います。

五郎部俊朗(福音史家)
多田羅迪夫(イエス)
小原浄二(ピラト、ペテロ)
井上しほみ ヘラー(ソプラノ)
佐々木まり子(アルト)
鏡貴之(テノール)
佐々木直樹(バス)
盛岡バッハ・カンタータ・フェライン
佐々木正利(合唱指揮)
東京バッハ・カンタータ・アンサンブル(蒲生克郷 コンサートマスター)
ヘルムート・ビンシャーマン(指揮)

1月28日 岩手県民会館大ホール3階にて鑑賞







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Last updated  2021年03月10日 16時36分17秒
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