音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2019年06月04日
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カテゴリ: ジャズ

この前森麻季のコンサートに行ったときに、偶然見つけたチラシで知った川嶋哲郎トリオのライブを聴く。
このところ彼のリーダー・アルバムをレンタルして聞き込んでいたので、ちょうどいいタイミングだった。
場所は盛岡の浜藤ホールというところ。
明治橋の近くにある会場で もりおか町物語館 の中にある施設。
岩手川鉈屋(なたや)町工場跡にあり、岩手川の施設を改装して、昔の風情を楽しむことをコンセプトにしているようだ。
浜藤ホールも高い天井とむき出しの太い梁が特徴的。
ステージもバックが漆喰の壁。
音響的にはいい条件で、サックスとドラムスはアンプを通さない生音を聴けたのは嬉しかった。
ピアノ・レスのトリオは珍しいが、ピアノは備えていないようだし、ステージが狭いのでアップライトでも厳しそうなので、トリオにしたのだろうか。
サウンドが寂しくなるかと思ったら、全くそんなことはなかった。
川嶋は今回のコンサートの実行委員会の長沢さんとは旧知の間柄で、2015年のソロ、2017年の菅原高志とのデュオは長沢さんがプロデュースされたようだ。
最初は映画「Rio Grande」からのスイングナンバー「'm An Old Cowhand」がカリプソのリズムで演奏された。
原曲はスイング・ナンバーだろうが、いちおう挨拶程度の選曲。
これを聞いて、今日は軽い感じで進めるかと思ったが、予測はいい方に裏切られた。
菅原高志がスネアを手で叩いて、ユーモアとトロピカルなムードを醸し出していた。
2曲めは菅原のリーダー・アルバム「ディパーチャー」で発表された川嶋のオリジナル。
激しいプレイで、ドラムスとベースのソロも良かった。
3曲目はマット・デニスの「コートにすみれを」
コルトレーンの最初のプレスティッジ盤で有名だが、今回は息もつけないほど大量の音符を吹いていて圧巻。
コルトレーンの「シーツ・オブ・サウンド」を上回る大迫力。
最後はコルトレーン盤のエンディングを意識したつくり。
最後は「Jクイック」
クイックとは既存のナンバーを下敷きにした、川嶋のグループでの速く演奏するための練習曲みたいな位置づけだそうだ。
J、C、Dとあり、今回はJクイックとアンコールにDクイックが演奏された。
「Jクイック」はクリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテットで有名なブラウン作曲の「ジョイス・プリング」を下敷きにしている。
最初は普通のテンポで始まり、ベースソロのあとで突如として倍テンポになる。
テンポ感としては倍どころではない感じで、疾走していく様を聴いているといい意味で背筋が凍るようなスリルを味合わせてくれる。
今回のハイライト。
後半の最初はデュオが2曲。
よく知られている童謡が素材だが、面白い演奏だった。
最初はフルートとベースのデュオで「故郷」
川嶋のフルートは本職でないので仕方がないが、少し物足りない。
ビブラートが荒いのも気になる。
ソロ自体は面白く、ベースの長いソロも聞かせる。
後半でキラキラ星が演奏されたと思ったら、歌い始めて、最後は冨樫を促して、高いキーで故郷を合唱していた。
ライブならではのパフォーマンスが嬉しかった。
次はドラムスとテナーのデュオ「浜辺の歌」
最初と最後にサックのエオリアンサウンド(空気の音)とブラッシュによる砂の音が入っていて、中々凝った演出だった。
次はピアソラの「オブリヴィオン」
この曲はもともとはイタリア映画『エンリコ4世』の挿入曲で、タンゴ臭はあまりなく、通常の演奏もムード音楽的な演奏が多い。
今回はリズムがゴツゴツいていて中近東当たりのムードが醸し出されていて、異色のアプローチ。
最後は「Take The A Train」
セント・トーマス、虹の彼方になどを引用した、川嶋のロリンズ張りの豪放なテナーが存分に楽しめた。
アンコールはクイックシリーズの中から「Dクイック」
このDはドナ・リーの頭文字のことだろうか。
「ドナ・リー」や「パーカーズ・ムード」などが使われていて、「Jクイック」よりはリラックスして聴けた。
川嶋は体調がすぐれずライブをセーブしていたそうで、最近体調が回復したのでライブも増やしているとのこと。
得意のフラジオ(音域外の高音)や重音、グロートーン(声を出す)も出て、当ブログの彼のイメージそのままの姿で嬉しかった。
楽器が重くて辛いということも漏らしていたが、体をいたわりながら演奏を続けていただきたい。
ドラムスの 菅原 は福岡生まれの今年43才。
有名なジャズ・ミュージシャンとの共演が多く、川嶋とは2001年以来の付き合い。
切れ味が鋭いが、重いコン棒で、がつんと殴られたような衝撃を感じる
それなのに、動きが機敏で、手数が多く、ドラムの皮を肘で止めるなどの裏技も多彩だ。
ところで、トップ・シンバルが円周方向に10度くらいの角度で欠けていているのが目についた。
それに円周に何個か穴が開いていて、クリップか金属のワイヤー吊るされている。
何の効果を狙ったものだろうか。
冨樫は札幌出身の17歳。
茶髪で身長もあまり高くなく、細身で頼りない感じがする。
時々躊躇するような瞬間が感じられるのは若さからだろうか。
ベースは8歳からやっているそうで、テクニックはあるし、なによりサウンドが美しい。
川嶋によると、将来ジャズ・ベースを担っていく逸材で、期待されていることがわかる。
ライブの模様がyoutubeで見ることが出来る。
この歳でリーダーを務めていることも驚きだ。
高校は行っていないのかと勝手に心配してしまったが、余計なお世話だろう。




前半

1.I'm An Old Cowhand
2.川嶋哲郎:One WayTicket
3.マット・デニス:コートにすみれを
4.川嶋哲郎:Jクイック

後半
1.故郷
2.浜辺の歌
3.ピアソラ:オブリビオン
4.ビリー・ストレイホーン:Take The A Train

アンコール

川嶋哲郎:Dクイック

川嶋哲郎(ts、fl )
冨樫マコト(b)
菅原高志(ds)

2019年5月30日でもりおか町物語館浜藤ホールにて観賞





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Last updated  2019年06月05日 19時11分25秒
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