bandcampで知ったブラジルのギタリスト、ジアン・コレアの一昨年にリリースされたビッグバンドのアルバム。 qobuz usaから税込み$4.31でダウンロード。 こちらによると、ジアン・コレアは7弦ギタリスト、作曲家、アレンジャー、音楽プロデューサーで、今回のアルバムは3枚目のアルバムで初のビッグ・バンド・アルバムとのこと。 また、ディストリビューターの資料によると、『ピアノとエレキ・ギターの代わりに7弦アコースティックギター、カヴァキーニョ及びバンドラというブラジルのリズムセクションを持ち込んでいるのだ。サンバ、ショーロ、フリーボ、マラカトゥといった伝統的なジャンルに新しい風を吹き込み、新鮮さと現代性を感じさせるサウンドは、聴く人に新しい感覚を与えてくれるだろう』とのこと。 wikiによると、カヴァキーニョは『ポルトガルから渡ってきた移民たちが持ち込んだブラギーニャという民族楽器を起源とする、サンバやショーロ等に使われるブラジルの4本のスチール弦が張られた楽器』 またバンドラは4本のナイロンが張られた楽器で、柔らかい音ながら、ピックを使うのでしゃきっとした音が出るそうだ。 ピアノが入っていないし、ベースもあまり目立たないので、音楽の重心がだいぶ高くなっている。 その代わり、ブラジル音楽の熱狂的な側面が際立っていて、聴いていて大変楽しい。 全曲コレアの作編曲によるもの。 メロディアスでリズミックな曲ばかりで、踊りたくなるほどだ。 アンサンブルが主体で、本人はもちろん他の楽器のソロもそれほど多くはない。 大変難しいスコアのようだが、突き抜けるような明るさとブラジルの哀愁が感じられ、しかもビッグ・バンドの醍醐味も味わえるという大変な優れもの。 通常のラテン・ビッグバンドと言えば、リズムが表に出て来て、ホーンはそれほどでもないという印象が強い。 ところが、このバンドはホーンが半端なく強力で、かなり難しいスコアを涼しい顔でこなしている。 文字通り一糸乱れぬアンサンブルで、スリリングな時が味わえる。 分厚く柔らかなハーモニーも魅力的だ。 なるほど、『ブラジル音楽界の偉大なインストゥルメンタリスト20人がこのアルバムに集結』というコピーは伊達ではない。 ホーンの中ではCesar Roversiのバリトン・サックスが目立っていた。 気になるのは四人のパーカッション。 時々流れている音楽と少し距離を置いたようなプレイに感じたのは、気のせいだったろうか。 「Jazzman no Morro」ではナイロール・プロベータのスインギーなクラリネット・ソロが楽しめる。 「No Boteco do Pará」ではモニカ・サルマーゾの爽やかな歌声が聴かれる。 彼女はサンパウロ出身で、ブラジルでは有名な歌手らしい。 急速テンポの「Trançando as Pernas」はスピード感が堪らない。 最後の「O Tema Tá Chegando」ではサンバなどで使われるクイーカとメストリーニョのアコーディオンが活躍し、熱狂のうちに大団円を迎える。 例によって24bit192kHzにアップコンバートしての試聴でロスレスながらエネルギー感が半端なく素晴らしい。 40分に満たない演奏時間であるが、全曲聴きどころ満載で、文句なしに楽しめる。 是非続編を期待したい。
Gian Correa Big Band
Gian Correa: 1.Jazzman no Morro 2.No Boteco do Pará 3.Trançando as Pernas 4.Gênese 5.Remistura 7 6.O Tema Tá Chegando
all tracks composed by Gian Correa
Gian Correa7 string g) Nailor Proveta(as,ss,cl) Josué dos Santos(as,fl) Vitor Alcântara(ts,fl) Jota P. Barbosa(ts) Cesar Roversi(bs,cl) Paulo Malheiros(tb) Conrado Bruno(tb) Eduardo Johansen(tb) Jaziel Gomes(b.tb) Bruno Soares(tp) Paulo Jordão(tp) Rubinho Antunes(tp) Raphael Sampaio(tp) Henrique Araújo(Cavaquinho) Marcelo Martins(Cavaco bandola) Bruno Migotto(b) Edu Ribeiro(ds) Alfredo Castro(perc.) Rafael Toledo(perc.) Julio Cesar(perc.) Kabé Pinheiro(perc.)