音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2024年02月04日
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カテゴリ: ジャズ

いつもの bandcamp からのメールで知った一枚。
最近ビッグ・バンドのサウンドにはまっていて、このアルバムもその一つ。
ピアニストの ゲイリー・ダイアル (1954-)とアレンジャーでドラマーの リッチ・デローザ (1955-)が主導するコラボレーションプロジェクトで、ジャズの教育者であるチャーリー・バナコス(1946-2009)へのオマージュとのこと。
wiki によると、彼はピアニスト、作曲家、著者、そして教育者であり、ボストンのバークリー音楽大学やニューイングランド音楽院から、ニューヨークのニュースクールやマンハッタン音楽学校などの多くの機関で教鞭をとっていた。
バナコスが即興演奏家のために特に考案した耳のトレーニング方法は世界中で使われているとのこと。
教え子の中には、バイオリニストのレジーナ・カーター、ピアニストのマリリン・クリスペル、ギタリストのマイク・スターンなどの有名ミュージシャンを輩出している。
このアルバムでは、ゲイリー・ダイアルとリッチ・デローザにより選ばれた10曲が演奏されている。
パーソネルの全貌は分からないが、マイク・スターン、ジェフ・バーリン、ジェリー・バーゴンジ、ウェイン・クランツなどの教え子たちが参加している豪華なアルバム。
いろいろなスタイルの音楽が並んでいて、聴き手を飽きさせない。
基本はビッグ・バンドのスタイルで、ホーンの鳴りっぷりが素晴らしくいい。
1曲目の「Keep Swingin’」から強烈なスイング感の感じられる曲。
特にトランペットのテレル・スタッフォードのプランジャー・ミュートによるニュー・オーリンズ風なプレイが強烈。
2曲目の「Great Awakening」はジョー・ハバードのベースがフィーチャーされていて、ジャコ・パストリアスの音楽を思い出させる。
続くウェイン・クランツのギター・ソロもいい。
「The Bat Cave」はジェラルド・ダンジェロのパーカッシブなピアノ・ソロが目立つ。
後半倍テンポになってからの疾走感がたまらない。
ここで出てくるゲイリー・スマリアンのプレイがバリトン・サックスとは思えないような急速調のフレーズを軽々とこなして、フットワークの軽さを見せてくれる。
「Pine Needles」はボサノヴァ調の哀愁を帯びたメロディーで惹きつける。
特にフルート・アンサンブルのサウンドがいい。
マイク・スターンのギターがフィーチャーされている。
「Mummy’s Curse」はミディアム・テンポでぐいぐいと進む、ビッグバンドの王道を行くようなサウンド。
ジェリー・バーガンジィの骨太のテナー・ソロ、続くトランペット・ソロもいい。
「Bernie Burnola」は多数のパーカッションを使ったサンバのリズムにのって、ノリノリの音楽が展開される。
アン・ドラモンドのワイルドなフルート・ソロとパウロ・レヴィの端正なソプラノ・サックスのコントラストがいい。
上原ひろみのSonic Bloomのメンバーであるマウリシオ・ソッタレッリのラテンパーカッションも華やかに曲を盛り上げている。
「A-440」はジェフ・バーリンのベース・ギターがフィーチャーされているが、アレンジが平凡。
「Nero」はカントリータッチの素朴な曲を、洗練されたジャズ・ワルツにアレンジしている。
ジェイ・アンダーソンの強靭なウッドベースがいいが、
変拍子の「Pluto Language」はビクトール・プロボストのスティール・パン(ドラム缶で作られた打楽器)のサウンドがユニークだが、そのトロピカルなサウンドはアルバムの中ではちょっと違和感がある。
アン・ドラモンドのフルートはパワフル。
最後は「Pelaghia」
2台のピアノのための作品で、純然たるクラシック音楽。
テュッティでガンガン鳴らす曲が多かったので、最後にほっと一息つける選曲だ。
無調的なイントロから印象派風の音楽が続く。
ダークなムードながら親しみやすい音楽だ。
マーガレットとバーバラというバナコスの娘たちが演奏している。
youtubeもあるが、同一音源かどうかは不明。
左がマーガレットで右がバーバラだ。


コ・リーダーであるリッチ・デローザのアレンジが大変優れていて、ドラムスもソロこそないものの、シャープなドラミングが光っていた。
ということで、全く知らない方のトリビュート・アルバムだったが、作品、演奏とも素晴らしい出来で大満足だった。
去年リリースされていたなら、グラミー賞ノミネート確実だったような気がする。
なお、CDには100ページ余りの書籍が添付されているそうだ。

Dail &DeRosa:Keep Swingin’

1.Keep Swingin’ (feat. Garry Dial, Terell Stafford and Dick Oatts)
2.Great Awakening (feat. Wayne Krantz and Joe Hubbard)
3.The Bat Cave (feat. Gerard D’Angelo, Garry Dial, Gary Smulyan and John Riley)
4.Pine Needles (feat. Mike Stern and Garry Dial)
5.Mummy’s Curse (feat. Jerry Bergonzi)
5.Bernie Burnola (feat. Helio Alves, Anne Drummond, Paulo Levi, Mauricio Zottarelli)
7.A-440 (feat. Jeff Berlin)
8.Nero (feat. Garry Dial and Jay Anderson)
9.Pluto Language (feat. Dick Oatts, Victor Provost, Anne Drummond, Mauricio Zottarelli)
10.Pelaghia (feat. Margaret and Barbara Banacos)

1.Keep Swingin
2.The Great Awakening
3.The Bat Cave
4.Pine Needles
6.Bernie Burnola
7.A-440
8.Nero
9.Pluto Language
10.Pelaghia

Garry Dial(p)
Richard_DeRosa(arr.,ds)





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Last updated  2024年02月04日 12時16分38秒
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