ヒット商品応援団日記 No768
(毎週更新) 2020.7,19
コロナ禍以前の築地場外市場
「日常の取り戻し」を学ぶ
不安を抱えながらの「日常」
危機からの脱却は「自由時間」の取り戻し、その中でも生活に即して言うならば「日常の取り戻し」となる。多くの自然災害は勿論のこと、コロナ禍も同様である。2008年のリーマンショックによる大不況の時は「年越し派遣村」に見られるように非正規労働者の失業が目に見える危機であった。2011年の東日本大震災の時は大津波によって町全体を失い、福島原発事故では放射能汚染によって住むことができない故郷を失うといったことを生み出した。どの危機も失うものは異なっていても、取り戻したいと願うことの第一は「日常の取り戻し」であった。
その日常の中には個々人全て異なるものであるが、共通していることは、危機の先に「自由時間」を持てることにあった。好きな仕事ができる自由、子供との時間、家族との旅行や外食、実家への里帰り、・・・・・・・個々人の年齢や環境によって大切にする時間の使い方は異なる。その自由こそが日常の本質となっている。ライフスタイルの本質はこの日常にあるということを再認識させた。
今回のコロナ禍の特徴は、「ウイズコロナ」「コロナとの共存」といった言葉に代表されるように、ワクチンや治療薬が開発されるまでの「長期間」不安を押し殺したままの日常になるということである。それは事業を行う人も生活者も同じ思いとなっている。リーマンショック後では特に事業者にとって「事業の立て直し」が社会の主テーマとなり、東日本大震災後では生活者も事業者も「街・故郷の復旧・復興」が主テーマとなった。同じ日常の取り戻しでも危機のあり方によって異なる。
非接触業態へと向かう消費
コロナ禍はこの日常を「移動自粛」によって失ってしまったということである。このブログは「消費」が大きなテーマとなっおり、3月からの3ヶ月間はスーパーなど日常生活に必要な商業施設以外は百貨店をはじめほとんどの商店は休業状態となった。楽しみを求めて多くの人が集まるイベントや娯楽施設は勿論のこと、街の人通りはゴーストタウン化したことは周知の通りである。そのゴーストタウンが象徴するように、ネット通販や宅配ビジネスといった非接触流通が生活を補完するものとして好調に推移している。
また以前からシニア世代の必須業態となっている移動販売が再び注目されている。数年前から地方の山間部のみならず、都市近郊のスーパーなどの無い空白地帯の必需業態となっている。また、周知のようにフードデリバリーに人気が集まっている。更にキッチンカーによる移動レストラン業態も生まれている。しかし、こうした業態がコロナ感染が収束した後まで持続していくかどうか、確かなことは言えないが宅配ピザのように固有の流通となり得るかは提供するフードメニューの魅力、他にはない魅力によるであろう。
非接触の反対は接触であり、簡単に言ってしまえば「賑わい」のことである。コロナへの不安心理の変化はこの賑わいの復活度合いを見ていけばわかる。渋谷や新宿など逐の移動データが発表されているが、これも不安心理を見ていく一つの指標となる。
働き方変化のゆくえ
そして、コロナ禍で売れたものは何かといえば、まず巣ごもり消費の定番、つまり内食の食材であり、子供たちであればゲームとなる。また、在宅勤務・テレワークに必要とされる商品である。周知のように新たなパソコン、あるいはWebカメラといったテレワーク必需品である。更に付帯的なものとしてエアコンといった在宅環境整備商品である。こうしたテレワークの経験はコロナ禍が収束した後もそのまま継続するという企業が多いという調査結果もあるが、テレワークだけで「先」を見据えた合理的なビジネススタイルになり得ることはない。
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