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2019年7月刊ベリーズ文庫著者:真彩-mahya-さんリゾート開発企業で働く美羽。ある日、超絶イケメンだけど冷徹な社長・昴から無理難題を言いつけられ、彼の身勝手な戯れに思わずキレてしまう。するとなぜか気に入られ、怒涛の求愛がスタート!? イジワルな昴は天敵だったはずなのに「俺の愛をお前にわからせてやる」と囁き、強引にキスの雨を降らせ、翻弄してくる。独占欲むき出しの甘い捕獲計画に、美羽はいつしか彼の虜になっていて…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 横川美羽=リゾート開発企業に勤める会社員。 実家の画廊を守るため、昴ととある賭けをする。 西明寺昴=大企業の御曹司。美羽に興味を持つ。 松倉=美羽と同じ部署の先輩社員。横川雄一郎=美羽の父。去年アマプラでごそっそり購入した既刊のうちの一冊なんですが、3年くらい前の発売だったんですね。道理でリンクが電子版しかないわけだ(^_^;)リゾート開発企業のホテルの内装デザイン部署で働く美羽。祖父と父が画家なこともあってか、彼女もそれなりの目は持っていると自負している。祖母は祖父亡き後ギャラリーを営んでおり、何となく心配で美羽も週末になるとわざわざ2時間近くかけて実家に顔を出していた。祖父の絵は密かな人気があり、ファンミーティングなども行われる程。それでも、併設している喫茶室の売り上げが無ければ祖母一人食べて行くのがやっとの収入だった。こんな時、せめて父が実家に住んでくれればいいのだが、放浪癖でもあるのか一つ所に落ち着かない。恐らく今取り掛かってる絵が描き終わらなければ連絡すら寄越さないつもりだろう。週末、実家に帰った美羽は祖母から思いがけないことを聞かされた。近所のホテルの廃業が決まり、それを買い取った西明寺ホテルが、このギャラリーの土地を欲しがっているのだと言う。祖母はきっぱり断ったようだけど、相手も仕事、足繁く通ってきているらしい。こうなったら会社を辞めて自分もここに住む、と決意しかけた時、ギャラリーを西明寺昴と名乗る人物が訪れた。どうやら業を煮やして社長自ら説得に訪れたわけか。西明寺と言えば、美羽の勤める企業のトップ。それでも売りたくないものは売りたくない。断固としてその意思を示すと、彼は一枚の書類を差し出した。見ると借用書。5千万もの額をとある人物が借りており、その保証人に父・雄一郎がなっていたようだ。よくある話で当人はドロン。借金は父が返済する羽目に。だが、父は絵を描く旅に出ており、行方知れずの現状、確かに土地でも売らなければ工面できない。それ以前に足りるかどうか。青くなる美羽と祖母に、西明寺は一つの代替え案を出した。土地については今後も交渉するとして、借金については美羽にある依頼をするのでそれを完遂したらチャラにしても良いとのこと。それは、彼女の目利きで近々オープン予定のホテルのエントランスに飾る相応しい絵画を見つけて来て欲しいという何とも難しい課題だった。当のホテルの内装も見なければならないし、後日判ったことだが西明寺自身も相応の目利きらしいのに、そんな彼でも中々決めかねていた案件を美羽が決めていいのだろうか。それでも西明寺は彼女のセンスを信じると言う。そして、何故か彼は美羽に急接近。あちこち散れ回されたけど、これは絶対デートだろうと恋愛慣れしていない彼女も思う程、西明寺の態度が解せない。もしかして好意を持たれているんだろうか、少々女癖の悪い同部署の先輩・松倉に言い寄られていたら嫉妬剥き出しで先輩を牽制していたし。正直、自分に好かれる要素があったのかも謎。まさか先日横取りされたおにぎりの味が気に入ったとか?グルグル悩みながらも、美羽自身も西明寺に惹かれて行き、紆余曲折を経てついに二人は恋人同士に。しかし、彼に頼まれ毎日おにぎりを差し入れる彼女の耳に、美羽との交際は彼女の実家の土地を手に入れるためだとの西明寺と秘書との会話が聞こえ・・・。この話を聞いて絶望した美羽は別れを決意するも、父が滞在先のハンガリーで救急搬送されたとの連絡により有耶無耶に。そして彼女に同行し渡航費用やら入院費を工面してくれたのは西明寺でした。渡航中に彼からあの言葉の後に続きがあったと聞いてモヤモヤも払拭。土地目当てではあったけどそれは切欠で、今はベタ惚れなんだ的な会話をしていたらしい。でもまぁこれは普通に誤解しちゃうし。聞いてられっか!!な気持ちにもなっちゃうよ。あのいけ好かない秘書相手との会話だったし。ネタを明かしてみればただの惚気だったというオチ。取り敢えず誤解が解けて何より。父も無事で帰国となり、例の賭けも美羽の勝利で終わります。その後、二人は婚約してお終い。一応、西明寺が何故美羽のセンスをそこまで信じるのか理由というきっかけは作中に書かれてます、ただそれを書き出すと長くなるので(^_^;)気になる方は、読んでみてください。書下ろしの短編は西明寺視点の美羽のお話でした。相変わらずこの作家さんはキャラが面白い。さくさくテンポ良く読めるのがいいですね。評価:★★★★★
2023.01.31
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2022年12月刊メディアワークス文庫著者:灰ノ木朱風さん士族令嬢の月乃は父の死後、義母と義妹に虐げられながら学園生活を送っていた。そんな彼女の心の拠り所は、学費を援助してくれる謎の支援者・ミスターKの存在。彼に毎月お礼の手紙を送ることが月乃にとって小さな幸せだった。ある日、外出した月乃は異形のものに襲われ、窮地を麗容な異国の男性に救われる。ひとたびの出会いだと思っていたが、彼は月乃の学校に教師として再び現れた。密かに交流を重ね始めるふたり。しかし、突然ミスターKから支援停止の一報が届きーー。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 謡川月乃=士族令嬢。父が亡くなり義母と義妹に虐げられている。 フリッツ=月乃達が通う女学校にやって来た英語教師。 蓮者千代=月乃の親友。 真上暁臣=月乃の幼馴染。 謡川亜矢=月乃の義妹。TL小説ではなくラノベです。不遇ヒロイン+怪異モノ。研究医をしていた父が、留学先の異国で亡くなって早2年。士族である謡川家の屋敷や財産は義母が恣にし、この家の直系の娘・月乃は虐げられる日々。元々、義母とその連れ子の義妹は父が存命中の時から月乃を邪魔者扱いしていたのだが、父の目が無くなった途端それが顕著になった。父の死を嘆き、泣くことすら許されず無体な扱いも受けたが、それより、目下の悩みは義母が月乃を早々に嫁がせようとしていることだ。彼女を追い出し、結納金も貰える。まだ学生の月乃は義母に縋り、せめて学校だけは卒業させてほしいと頼み、何とか聞き入れられた。それと言うのも、月乃の学業支援をしたいととある人物から申し出があったからだ。以降、定期的に学園長宛に学費が送られているらしく、退学にならず済んでいる。だが、義妹の亜矢も同学園にいるため、何かと嫌がらせをしては月乃を困らせていた。そんなある日、いつもの嫌がらせで街へ買い物に行く羽目になった月乃はその帰り道、怪我をしたフクロウを発見。その際、異形の存在に襲われた。それを救ったのは突如現れた異国人の青年。青年とは少し会話をした程度ですぐ別れたが、その翌日、彼が新しい英語教師として赴任して来て驚いた。彼はフリッツ・イエーガーと名乗り、またもや亜矢の嫌がらせで難儀していた月乃をさりげなく助けてくれた。フリッツはたちまち女生徒たちの人気者となったが、月乃は二度も救われたこともあり、彼に礼もしたいしフクロウは無事なのか、そして昨夜のアレは何なのか意を決して尋ねることに。中庭のベンチに一人いたフリッツにからかわれはしたものの割とあっさり事情を話してくれた。英語教師と言うのは仮の姿であり、本来は帝国陸軍から依頼されやって来た「悪魔殺し」なのだそうだ。ここにやって来たのはこの近辺で不可思議な怪異と思われる事件が四件も起きていたかららしい。それ以上は流石に教えてくれなかったが、それよりも彼は学園長から、月乃がミスターKなる篤志家から援助を受けていることを聞いたようで、なのにどうしてそんなみすぼらしい姿なのかを尋ねた。義妹の亜矢は仕立ての良い高そうな着物を着ているのに、長女の月乃は擦り切れた着物と言うのは明らかにおかしい。そもそも援助してもらっているのは学費だけのはずで、余計な額はないはずだ。そう思い込んでいるのか言い淀む月乃にフリッツは思う所があるようだった。それから暫く経ち、新たな事件が起きた。幸い生気を吸われただけで、命は別状ない。フリッツは吸血鬼の仕業と踏んでいるようだ。その間、フリッツは月乃にフクロウを助けた礼と称して、着物を何着か買ってくれたりとさり気ない優しさを見せた。口実を付ければ彼女は遠慮をしないだろうと考えてのことだとすぐに判ったが、そんなフリッツに段々と惹かれて行く月乃。だが、ある日、ミスターKから援助を打ち切る旨の報せが届き・・・・。この援助、実際はかなりの額が毎度送られて来てたんですが、その大部分を学園長が着服しており、月乃には一銭たりとも渡っていませんでした。そして、彼女の実家にも当主の死亡により、その研究に関するものや屋敷の維持費として援助していたようなのだけど、これも義母が使い込んでいたと言うオチ。この大人たちは全くしょうがないな。月乃の現状を知り、篤志家本人が不振に思いお前らへの援助は切るからと連絡してきたわけです。でも、月乃への援助は以降も継続。義母には今までの金は借金扱いにすると返金を迫り、返せないなら屋敷を出て行けと義母と義妹を追い出すことに。学園長は横領がバレてクビ。この辺はいい気味でスッキリ。まぁ、篤志家の正体は当然あの人なわけですが、最初に月乃の扱いを見てビックリしたろうな。義妹の妬みの理由も判らなくもないけど、正直逆恨みの範疇ですからね。そもそも、何で後妻と連れ子が大きい顔をするのか意味が判らん。親だし娘と二人なら正義とか?不遇ヒロインもののセオリーでもあるけれど、前妻の子がいるのを承知で嫁いで来たんだから邪険にせずに仲良くやればいいのに。お父さんもなんでこんな女選んだんだろう。見る目無さすぎる気が。この件に関しては人の好さが災いしたんですかねぇ。その研究については、続編で明かされそう。怪異事件の方も同時展開していき、意外な人物が真犯人で驚きました。ああでも確かに言われて見ると・・・・。ラスト間際のあれは夢オチ?評価:★★★★★
2023.01.30
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2017年10月刊ヴァニラ文庫Miel著者:玉紀直さん社の広報を担当する美桜は社会人二年目。会社の買収に伴い、眉目秀麗な新社長・芹澤拓斗が就任するが、美桜が拓斗の秘密を知ったことをきっかけに彼のマンションで同居することに! 会社では血も涙もない冷徹な男が、プライベートでは料理上手で優しいスーパーダーリンだ。同居生活はエロ甘く、身も心も結ばれるが、二人の身分の違いが壁になり? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 葛城美桜=建築会社の広報に勤める会社員。 芹沢拓斗=美桜の会社を買収した親会社の御曹司。宇佐美玲華=拓斗の秘書。さすがに発行年からして、電子版のリンクしかありませんでした。同出版社にてコミカライズ化もされているようです。ちょっと金欠で下旬発売の新刊が全然買えていないので、積読本の感想と最近読めてなかったkindleの感想が続くと思います。美桜は入社2年目の会社員。アットホームな経営方針と気の良い先輩社員に囲まれ、広報課の一員として頑張って来たのだが、少し前に会社は大企業に買収されることとなった。経営は当然親会社の管理下に置かれ、退任した社長の代わりに新社長としてやって来たのが、親会社の御曹司・芹沢拓斗だった。彼は優秀だが、無駄を嫌う性格らしく、サボり場にしか見えない社員達の憩いの場である喫茶室の存在もあまり良い印象を持ってないようだった。広報部で発行している社内報に、新社長へのインタビュー記事を任された美桜は、どうにもこの新社長の効率重視の考えが気に入らない。それでも、彼の言わんとすることは至極真っ当な意見で、反論もできないのが余計に腹が立つ。何だが質疑応答のような内容になってしまったけれど、一応新社長のインタビューは取れた。しかし、いよいよ新社長がやって来て、それまでのほほんとしていた社員達は戦々恐々だった。リストラの話は何かしてなかったかとインタビューを取って来た美桜にわざわざ聞きに来るほど。そんな話は一切無かったと正直に答えると皆安心したようだけど、実は大卒が入社規定であるのに前社長の善意で専門学校しか出ていない美桜の立場が微妙に。そのことを芹沢に指摘され、喫茶室の閉鎖と共に広報課を秘書課に移す案などオフレコ情報も得ていた。流石に芹沢もそこまで鬼ではないようで飽く迄まだ考案中のため他言無用だと念押しされてもいる。美桜のことも現状クビにする気は無い様だった。それから暫く経ち、再び新社長へのインタビュー記事を上司から任された美桜は、約束の時間を間違え早く着きすぎて、偶然親会社の社長と芹沢との会話を耳にしてしまった。話の内容からしてどうやら、芹沢は複雑な生い立ちらしい。立ち聞きがバレた美桜は激怒する芹沢に口止めを理由に脅すつもりかと勘違いされたようだが、元来お人好しな彼女にそんな気は更々なく、要求は何だと尋ねる彼に、ただ少し優しくしてくださいと溢した。金か昇進でも希望してくるのかと思いきや、予想外の一言に面食らった芹沢は、少し考える素振りの後態度が急変。予定通り行われたインタビューも随分と終始穏やかな雰囲気で有意義なものとなったのだった。日曜日、家事に励もうと思っていた美桜の元に突然芹沢が訪れ、あらかじめ手配していた業者に頼み、彼女の部屋の家財道具を全て自身のマンションへ運び入れると、ここで同居しろと告げた。彼にとって優しくする=一緒に暮らし甲斐甲斐しく世話をする、も含まれているようで突然のことに美桜は驚くばかり。彼は家事全般得意で何もかもが完璧だった。若い男女が一つ屋根の下、すっかり尽くす系男子になった芹沢に、段々惹かれて行く美桜。当初はあれほど苦手だったのに。そして芹沢もまた、細かい気づかいを見せる美桜を愛しく思うようになり二人は想いを通わせ恋人同士に。だが、そんな二人の関係をこころよく思わない者がいた。芹沢の秘書で、親会社・芹沢コーポレーションの重役の娘・宇佐美玲華が、美桜に彼と別れるよう脅してきて・・・。この秘書がマジで性格ブスで、独自に調べた芹沢家の秘密をネタに美桜を脅すんですけど、当然目論見は失敗。そんな性格だから縁談が纏まらないって言う芹沢の言葉に納得。やっぱり、いくら美人でお嬢様でも性格の悪さは透けて見えるものなのね。性格の良さとお人好しな点で美桜は芹沢に信用を得ていたのが幸いし、一度仲が拗れかけるも無事に元鞘に戻り二人は婚約してお終い。結構極端な性格のヒーローでしたけど、スパダリって良いですね。私も髪の毛洗って欲しい。評価:★★★★☆
2023.01.29
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2020年5月刊オパール文庫著者:蒼磨奏さん「俺のこと、身体が覚えているだろ?」記憶にはないけれど恋人を名乗る御曹司・漣に服を脱がされ、むき出しになった肌を強く吸われる。知らないはずの快感が全身を走り、恥ずかしいのにもっと強く求めてしまう。激しく抱かれ愛を囁かれると、なくしたはずの想いがあふれていきー。やがてすべての記憶が戻ったとき、隠された真実が明らかに!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 月城伊織=商社勤務の会社員。事故に遭い記憶喪失となる。 鏑木漣=大手商社の御曹司で伊織の元カレ。 月城美香=伊織の姉。 鏑木梨央=漣の妹。伊織にはつい先日まで恋人がいた。本当に好きな人だったけれど、色々不安要素が重なって別れを選んだ。だが、いまや元カレとなった漣が連絡を寄越し、どうしても話がしたいと言う。気は進まないが、必ず来て欲しいと念押しされているので渋々承諾。待ち合わせ先のカフェへ向かった伊織は、店の窓から見える席にて漣と姉の美香が楽しそうに話している様を見てその場を立ち去った。実は、別れを決意する少し前、漣の妹・梨央に彼の本命は美香の方だと聞かされており、やっぱり二人はとショックを受けた伊織は不運なことに信号無視して突っ込んで来た乗用車に撥ねられてしまったのだった。目を覚ますと、傍には見知らぬ男性が付き添っていた。随分とカッコイイ人だけど誰だろう。外傷自体は大したことがなかったものの、どうやら頭を打ったらしい。伊織は記憶障害を起こしていた。幸い、自分の名前や常識的なことは判る、だが、仕事関連やその他の人間関係についてはまるで思い出せない。担当医が言うには症状は一時的なものかもしれないし長引くかもしれないので、焦らないこととのこと。精神的ストレスが一番良くないらしい。数日の入院だけで一先ず自宅療養で良いそうだが、両親は長年海外に住んでいて実家が無い。さっきまで付き添ってくれていた伊織の婚約者と名乗る鏑木漣が、自分のマンションで面倒を見ると言う。伊織自身、こんな恋人がいたことに内心驚きだったが、結婚間近で同棲もしていたと聞くときっとそうなのだろう。大手商社の営業らしい彼は仕事の方も忙しいのではとも思ったが、姉の美香も承諾していたので、彼の世話になることを決めた。連れられてやって来た漣の部屋は確かに色々見覚えがあるような。仕事は出来ても生活能力は低いと言う漣のために伊織が家事を引き受けていたのだそうだ。厄介になる代わりに引き続き家事を買って出ると、家のことをこなしつつ散歩等で一日を過ごした。漣は何かと彼女を気づかい、伊織が以前欲しがっていたと言う子犬迄もらってきてくれて、今では良い散歩仲間となっている。そうしてゆっくり過ごすうち、徐々にだが記憶も戻って来た。医師からも良い傾向だと言われ、漣に話すと喜んではくれたがどこか不安げでそれがどうにも気になる。彼には言えていないが、思い出した記憶の中で漣に随分と辛らつな態度を取られており、伊織は傷付いていた。そのことを悔やんでいるのかもしれない。あともう一押しあれば、全てを思い出せそうな気がする。それは良い事ばかりではないかもしれないけれど。そんなある日、マンションに漣の妹・梨央が訪ねて来て、彼と姉との仲を話し出し・・・。二人が破局したのも、伊織の勘違いからで、そうと思い込ませたのが根深い姉へのコンプレックスと交際中の漣の素っ気ない態度でした。このお姉ちゃんが顔良し性格良しで、それはもう幼いころからそんな姉に比べられてきた伊織は複雑な心境を抱えていたわけです。そんな姉の紹介で知り合ったのが漣。大学の同級生で友人とは言われたが、彼もきっと最初は姉に好意を寄せていたに違いない。そんな疑念が心の片隅にはあったものの、漣と伊織は交際をスタート。でも、立ち塞がるのは彼の家族。幸い父親の方はウエルカムな感じだったけど、母と妹は伊織が気に入らず冷たい態度。加えて、美香の方なら文句は無かったのに的な事を言われれば心も折れそうにもなる。なのにその頃、漣は仕事関連が大変な時期で恋人のご機嫌取りまでしてられる状態ではなかった。まるで体の良いセフレ兼家政婦みたいな扱いに傷付き追い詰められていたころ、あの妹の言葉で止めを刺されたって経緯。漣も心に余裕が無かったと猛省し、彼女が記憶障害を起こしたを幸いに寄りを戻すことを画策。プロポーズするチャンスを伺ってました。でも、梨央の余計な忠告と言う名の嫌がらせのせいで伊織が記憶を取り戻しておじゃん。再び漣はフラれる羽目に。とはいえ、美香との関係も勿論ただの友人で、そんな気も更々なかったのでそこは気の毒。誤解の決定打となったカフェでのことは単にプロポーズの相談に乗ってもらってたってオチ。そもそも、美香さんにも婚約者がいますしね。でもまぁ、あの回想シーンでの態度は良くないよ。傍から読んでても腹立つくらいに頂けない。でも、誤解も解けて最後は復縁しハッピーエンドで終わっています。終盤の義母と義妹の心変わり後の伊織とのやり取りも可愛かったし、根は悪い人達ではないようなのは良かったかも。評価:★★★★☆ヒロインは頑張ってたよ、うん。
2023.01.28
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2023年1月刊ベリーズ文庫著者:蓮見ちまさん大学の先輩で外交官の拓海から、ドイツ赴任中の期間限定で妻になるよう頼まれた沙綾。始まった夫婦生活は予想外に甘く、やがて妊娠するも、あるハプニングから単身帰国することに。捨てられたと誤解した沙綾はひとりで子を産み育てるがーー彼女を探し出した拓海は「もう一生離さない」と激情あらわに迫ってきて!? 3年越しの極上愛をとめどなく注ぐ彼に、沙綾は身も心も絆されていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 吉川紗綾=彼氏に浮気され傷心中、親友の薦めで参加した婚活パーティーにて拓 海と再会する。城之内拓海=エリート外交官。紗綾の大学の先輩で彼女に契約結婚を申し込む。 横井夕妃=歌劇団で人気の男役で紗綾の親友。契約結婚+シークレットベビーと言う人気ジャンルが合体したお話です。こちらも発売日から一ヶ月経っていないのでざっくり目に。ブラック企業に勤める紗綾は最近、彼氏と破局したばかり。原因は元カレの浮気なのだが、責める紗綾に開き直り、お前が悪いんだと逆ギレした挙句、浮気相手と嘘八百をでっちあげ、紗綾の悪評を社内に広めると言うクズっぷり。お相手がコネ入社の社長の姪と言うのも、紗綾には分が悪かった。落ち込む紗綾を見かねて、親友の夕妃がハイスぺ男子ばかりの婚活パーティーに申し込んでくれた。気は進まないが、せっかくの善意、と参加した彼女はそこで大学時代の先輩である城之内拓海と再会。自己紹介用のパーソナルシートを見るに現在は外交官らしい。サークル活動で一緒だっただけでは向こうは覚えていないだろうと思いきや、しっかり認識されていたようで逆に驚いていると、彼女のシートを見ていた彼は「君に決めた」と呟いた。どうやら、聞き違いではなかったらしく、拓海は並みいる女性陣を全て袖にして紗綾に結婚を申し込んで来た。場所を変えて話を聞くに近々ドイツに赴任が決まっているものの、立場上妻帯者の方が何かと都合が良いのだそうだ。紗綾は帰国子女でドイツ語が堪能で英語も話せる。外見や雰囲気も申し分ないので、赴任期間の3年だけの契約結婚で良いから、引き受けてもらいたいと。突然の申し出に迷いはしたが、会社に居場所も無いし、生活費全て拓海持ちとなればそう悪い話ではない。紗綾はその申し出を受け入れるのだった。拓海はクールな外見に反して、気遣いの人で、某歌劇団オタクの紗綾の話も馬鹿にすることなく聞いてくれる。退職の際もわざわざ元カレの非道さを彼女の勤め先に暴露し、ブラックな業務状況を告発。おかげでスッキリ遺恨なく辞めることが出来、こうして彼と一緒にドイツにまで来ている。対面的には夫婦で通しているが、実際はまだ籍を入れていない。でも一緒に過ごすうち、二人は互いに惹かれ合っていることを自覚し、近々大使館を通して籍を入れることを決めた。拓海との生活は幸せだったが、ある日、彼が電話で紗綾一人を帰国させるとの会話を耳にして大ショック。翌日から拓海が多忙となり話す機会も無いまま、彼から日本への帰国を促され傷心のまま帰って来た紗綾は用意されていた高級マンションにて鬱々とした日々を過ごしていた。両親は数年前に事故で他界しているため頼れるのは夕妃のみ。暫く経って体調不良から妊娠していることに気付いた彼女は、不安に苛まれ、夕妃に連絡を取ってマンションから家出。数か月後、男の子を産んだ紗綾は語学力を生かし、翻訳家の仕事をしながら息子を育てていた。あの帰国から3年、彼女の元に突然拓海が現れ・・・。これもヒロインの勘違いが原因ではあるんですが、状況的にこれは誤解するよなぁと。守秘義務ってホント、大事な事なんだろうけど、こういう場合の時は目を瞑ってくれよ~。常識があれば別に事情聴いたってベラベラ他で喋らないでしょ。とはいえ、それが規則というもの。憎むべきはおかしな騒ぎを起こしたあの外国人。あんな奴のせいで両想いの二人が誤解したまま離れ離れとか気の毒過ぎる。しかも、ヒーローの弟の勘違いでヒロインに新しい男がいるとか報告されちゃったものだから余計に拗れちゃって、勘弁して(^_^;)まぁ、某歌劇団の男役のスターだと遠目に見たら細身の男に見えなくもないか。書下ろしの短編は本編の後日談。延び延びになっていた二人の結婚式のお話と、夕妃の恋バナの2本です。評価:★★★★★結構なじれじれ度ではありましたが、内容は面白かったです。
2023.01.27
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2023年1月刊キャラブン!文庫著者:朝比奈希夜さんかつて死神と契りを結び、死神との子を生んだという女性・竹子の話を聞いた千鶴。だが竹子の子は、死神の頂点に立つ“大主さま”と呼ばれる存在に奪われ、夫である死神は幽閉されてしまったという。それ以来、ひとりきりで生きてきた竹子の苦しみを知った千鶴は、竹子の子を取り戻そうと大主を呼び出すが、その正体は千鶴が友と思っていた者であった。衝撃を受ける千鶴に、大主は「千鶴の腹にはすでに八雲の子が宿っている」と言い、竹子の時と同様に自分がその子を奪うと告げて消える。残酷な大主の言葉に不安をおぼえつつも、腹の子のためにも、八雲とともに試練を乗り越えていこうとする千鶴。一方、自分に幸せというものを教えてくれた千鶴を、そしてふたりの間にできた子を、この手で守り抜くと心に誓う八雲は、幽閉されるかもしれない危険をかえりみず、大主と決着をつけるために行動を起こすことにーー。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 千鶴=旧華族の娘。死神・八雲に嫁いだ。 八雲=死人の魂を黄泉に導く「死神」の一人。 朝彦=八雲の従者で死神見習い。一之助=八雲の屋敷で暮らす人間の少年。 竹子=死神・和泉の妻。 和泉=死神。シリーズ4冊目になります。こちらも発売日から1ヶ月経っていないため、ざっくりと。というか、あらすじが結構内容をバラしているような(^_^;)3巻ラストにて、妊娠が発覚した千鶴。待ち望んでいただけに嬉しいけれど、それ以前に不安もあって、もし子供が産まれたら何としても守り抜こうと夫の八雲と決意を固めていました。そして、前回の騒動にて何かと千鶴に心を砕いてくれていた竹子の家族を取り戻すべく策を練ることに。死神の大主・翡翠は何故、新たに生まれた死神の子を親から引き離すのか。八雲は和泉が懇意にしていた若い死神・穂高とコンタクトを取り、連れ去られた息子を取り戻すために奔走していた当時の和泉の動向と、彼が目前まで真実に迫っていたことを知ります。そして、翡翠に気付かれないよう、ヒントを残していた。和泉の解放と自分たちの子供のために翡翠との話し合いに赴いた八雲と千鶴。翡翠の側近・魁の説得もあり、漸く過ちを認めた翡翠は和泉の解放を承諾。彼女のしてきた行為が実は優しさ故だったり、中盤結構怒涛な展開でした。ってか、翡翠さんも何だかんだと女性なんだなぁって感じ。竹子さんたちも漸く家族が戻って幸せに、と思ったのも束の間、まさかの展開に「ええええええええっ」でした。あんまりっすよ、朝日奈先生。千鶴でなくても、竹子さんの顛末には泣きたくなる。切ないなぁ。1巻の一之助くんのお母さんのエピソードにも涙腺決壊したけれど、今回はそれ以上。涙でページが見えない・・・。この辺、気になる方はコミカライズ版でも良いので是非。恐らくそこまで待たずとも読めるかと。ラストはいよいよ千鶴が産気づいたところで終わってますが、5巻で出産シーンが描かれるのか、それともすでに子育てしてる所から始まるのか。一応、子供が取り上げられる危険は無くなったものの、まだもう少し物語は続くようです。千鶴のお父さんの冤罪事件の真相が気になるので、その辺も描いて欲しい気はします。評価:★★★★★
2023.01.26
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とは言っても、1週間はかからないかと。諸事情で数日更新が難しくなりそうでして。でも、本を読む程度なら出来そうなので、お休み中は積読本消化に励みます。新刊もちょこちょこ購入していますし。次の更新は26日を予定していますが予定は未定。遅くても27日の朝には。取り敢えず、再開一発目は「死神の初恋」の最新刊か、玉紀直さんの新作のどちらかになると思います。
2023.01.21
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2023年1月刊マーマレード文庫著者:若菜モモさん過去の手術費用の取り立てにあい、大金が必要になった穂乃香。そんな時、祖母が病に倒れ、心臓外科医の冬貴と八年ぶりに再会する。とある事情で亡くなった双子の姉のふりをする穂乃香の正体に気づかぬまま、冬貴は借金の肩代わりと引き替えに契約結婚を持ちかけてきて…!?かりそめの結婚のはずが、独占欲剥き出しな旦那様の溺愛を刻み込まれ…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 石田穂乃香=大学病院勤務の管理栄養士。 18歳の時に両親と双子の妹を事故で亡くした。 綾瀬冬貴=心臓外科医。名家の御曹司で穂乃香に契約結婚を持ち掛ける。 川上凪咲=穂乃香の中学生時代からの親友。 石田奈乃香=穂乃香の双子の姉。故人。 西村=会社社長で穂乃香の父の友人。 西村道人=西村の一人息子。若菜モモさんの最新作です。発売からまだ10日くらいしか経ってないので、ざっくり目に。穂乃香は18歳の時に両親と双子の姉・奈乃香を事故で亡くした。身内と呼べるのは父方の祖母のみ。祖母はいっぺんに家族を亡くした彼女を引き取るつもりのようだったが、穂乃香はその申し出を断った。何故なら祖母は彼女のことを奈乃香と思い込んでいたから。穂乃香には先天性心疾患があり、亡き両親はいつも彼女のことを気にかけ大事にしていた。何回も手術を繰り返し、漸く無理をしなければ普通の生活を送れるくらいには回復したものの、妹ばかりを構って放って置かれたと思ったのかその頃には奈乃香がグレてしまい家族と一線を引くように。それでも、歩み寄ろうと努力を続けていた矢先、補導された奈乃香を迎えに行った両親はその帰り道で事故に遭ったのだった。祖母は、奈乃香を不憫に思っていたのだろう。両親に代わり随分と姉を可愛がっていたから。加えて一人息子の死に精神が耐えられず、亡くなったのは穂乃香の方だと思い込むように。今となってはたった一人の大事な肉親にずっと違う名前で呼ばれ、亡くなったのが穂乃香の方で良かったと言われ続けるのは精神的にキツイ。幸い、祖母は料理の腕を買われ、長らく綾瀬と言う資産家の屋敷で働いており、住居用に離れを提供されるなど随分良い待遇を受けているらしい。綾瀬家と言えば、一人息子の冬貴さまは随分聡明な少年で、幼い頃、発作で倒れた穂乃香を助けてくれた命の恩人でもあった。思えば淡い初恋みたいなものだった。彼が大人になってからは会う機会はあまりなかったけれど、家族を亡くした時には弔問の挨拶にも来てくれたっけ。偶然にもそれから7年も経ってから、同じ大学病院で働いていたと知った時には驚いた。勿論、向こうは心臓外科医になっていたので、厨房勤務の管理栄養士とは接点はほぼ無い。たまに食堂で見かけるくらいだ。そんな穂乃香の頭を悩ませるのが、亡き父が残した多額の借金だった。西村と言う会社経営者と父は付き合いの長い友人で、色々工面してくれていたらしい。その中には当然、穂乃香の手術費用等も含まれていて、子に支払い義務はないと判っても無視はできなかった。一先ず両親の保険金でかなりの額を返済したものの、まだ結構な額が残っている。西村も鬼ではないようで以降は催促も無いし無利子にしてくれたのはありがたかったのだが、ある日状況が一変。西村の長男・道人が穂乃香に一目惚れ。彼と結婚するなら借金をチャラにするとトンデモ要求をしてきた。借金返済のためにあくせく働き、恋愛する暇もなかった穂乃香にも、それなりに夢はあった。正直、男慣れしていない彼女から見ても、道人はどうにも好きになれないタイプで、速攻で断ったのだが、それなら残額は一括返金してもらうと言う。譲歩するとして、西村が紹介する高級クラブで働くなら待ってやらなくもないと。馴染みの店のようだし、客として道人に足繁く通わせるつもりなのだろう。ホステスは基本客の意向に逆らえないから。姑息な手段に腹も立ったが、道人との結婚は死んでも嫌。それに、紹介された店自体は高級と言うだけあってホステス含め品が良い。日給3万なのも魅力的だ。頑張れば3年で全額耳を揃えて返済できるではないか。かくして、日中は病院、夜はホステスと言う二足の草鞋生活が始まった。しかし、元々心疾患があった穂乃香は無理は禁物。ダブルワークのせいで早々に体調を崩し、眩暈を起こした所を冬貴に介抱される始末。彼は穂乃香と気付かなかったようだが。道人が週に3日はやってきては穂乃香を指名し、酒の相手をさせるのもかなりストレスになっているようだ。苦渋の決断の末、栄養士の仕事を退職し、ホステスで一先ず稼ぐ方を選び多少は体調もマシになったけど、ストレスの方は相変わらず。そんな折、祖母が家政婦の仕事中、綾瀬家で倒れ怪我をして入院。現在、屋敷で一人でいる冬貴の食事問題を心配した祖母を見かねて、昼なら空いているからと穂乃香が祖母の代理を務めることに。憧れの人の食事を作るのはドキドキしたけれど、作ったものを美味しいと褒められれば嬉しい。でも、彼もまた彼女を奈乃香と思っていることが辛い。自分は穂乃香と打ち明けてもいいのだが、祖母がボケてしまったと誤解されても厄介だ。一ヶ月ほどの代理だし、その程度は我慢して黙っていよう。でも、ある日、穂乃香の働く店に冬貴が接待で訪れ、当然問い質された彼女は、渋々事情を打ち明けた所、彼に提案があるから店を辞めろと説得された。翌日、冬貴が告げたのは残りの借金を肩代わりする代わりに、自分と1年間だけ契約結婚をして欲しいというもので・・・。最初は逡巡していた穂乃香もその提案を受け入れ、二人は早々に入籍。道人のストーカーに近い求愛からも逃げることに成功します。借金完済の際の西村の言い分は、まあ判らなくはない。クズな性質の息子を持ったが故の苦労があるんだろうなと。だからと言って、金で何の罪もない女性に背負わせようとするのはちょっと。最後は謝罪もあったのと穂乃香の父に無利子でポンとお金を貸してくれてたのを思うと、根は悪い人ではないのかも。だが、道人、オメーはダメだ。正直、読んでて気持ち悪くて、早くザマァされないかと心待ちにするくらい。この作家さんは、ページ数の都合もあるのかそこまで徹底的にはやらないので、モヤることも多いんですけど、当人がもう関わりない人だからと思ってるんでそれで良いのかも。当然の如く、終盤はお互い両想いなのが判り、契約ではなく本当の夫婦となってお終い。祖母の思い違いという記憶障害も後に改善しますが、この辺の件がちょっと泣けます。胸糞展開もありましたが、昨今のこの作家さんのお話では結構お気に入りになりました。評価:★★★★★
2023.01.20
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ちょっと新刊読み終わらなかったので穴埋め記事です。今月下旬から3月中旬くらいまでの個人的購入予定作品メモ。1月25日 ジュエル文庫 チョコレート聖女は第二王子に甘く庇護&溺愛される 高岡未来さん2月1日 ビーンズ文庫 妹に婚約者を取られたら見知らぬ公爵様に求婚されました 陽炎氷柱さん2月3日 ソーニャ文庫 愛執の鳥籠 白ヶ音雪さん 堕ちた軍神皇子は絶望の檻で愛を捧ぐ 桃城猫緒さん2月8日 マーマレード文庫 虐げられていましたが、容赦ない熱情を刻まれ愛を注がれています 西條六花さん2月15日 富士見文庫L 侯爵令嬢の嫁入り~その運命は契約結婚から始まる~ 七沢ゆきのさん2月16日 ヴァニラ文庫 死を望む悪役令嬢ですが、王太子に予想外に溺愛されて困惑しています 木登さん2月17日頃 ティアラ文庫 ただ貴方に触れたくて 護衛騎士の秘めやかで蕩ける情熱愛 彼方紗夜さん3月10日頃 ベリーズ文庫 一生かけて、君を取り戻す ~エリート外科医は双子とママを溢れる愛情で包み込む~ 皐月なおみさん プロポーズも二度目なら ~極甘パイロットは離婚予定の妻を手放せない~ 一ノ瀬千景さん3月上旬 角川ブックス 聖女の魔力は万能です 9巻 橘由華さん漸く2月期の購入予定作品は出揃った感じかな?追加があるとしたらオレンジ文庫とメディアワークス文庫くらいかと。3月発売の聖女~の9巻はなろう版も読んでるけど、やっぱり本の方が読み易いので発売が決まって嬉しい。アニメ2期の放送時期も併せて発表されるかもと期待。とはいえ、アルベルト役の某声優さんがやらかしちゃったのもあり、個人的には流石に鎮静化してそうな秋ごろが希望なんですけど、どうなりますやら(^_^;)
2023.01.19
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2022年11月刊ベリーズ文庫著者:宇佐木さんOLの春奈は、カフェで出会った御曹司・雄吾と共通の趣味をきっかけに仲良くなり付き合うことに。順調に愛を育んでいたある日、双子の妊娠が発覚。ところが、彼の婚約者の存在を知り身を引くことを決める。密かに双子を産み育てていたのに、2年後偶然彼と再会し…!? 彼の子だと隠そうとするも、雄吾の独占愛から逃れられない。「もう離さない」--空白の時間を埋めるように、身も心も愛し尽くされて…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 古関春奈=保険外交員の仕事をしながら双子を育てるシングルマザー。 楢崎雄吾=大手不動産会社の御曹司で春奈の元カレ。 古関海斗=春奈の弟。こちらの作品も何とか積読回避。シークレットベビーものです。何か11,12月期のマーマレードとベリーズはシークレットベビーと懐妊ものが異常に多かった気が。コーヒー関連の輸入会社に勤めている春奈は、ある日カフェにて運命的な出会いをした。ただのお節介だったのに、当の相手には随分印象的だったようで、意図的とも取れる再会を果たした彼は楢崎雄吾と名乗った。お礼だと飲み物を奢られ、多少会話した程度の仲。と思っていたのは春奈だけだったようで、休日の予定を聞かれて雄吾と出掛けることに。でも、彼は清潔感のあるハンサムで、碌に知りもしない相手と出掛けるのも嫌な気はしなかった。次の休日の約束まで取り付けられて、二人で出かけること数回。その頃にはもう、春奈は雄吾に夢中になっていた。今までは趣味の合う友人以上の関係だったが、彼の特別になりたい。その日、彼女は想いを告げ、交際に至った二人。毎日幸せだっだが、雄吾は有名な大手企業の御曹司だと知り、春奈は一抹の不安を覚える様に。雄吾は性格も良く驕った所も無い人ではあるがお互いの年齢からして、結婚を考える機会は必ず訪れる。実際どさくさ紛れに結婚を切り出されたので、彼はそれを前提に交際しているのだと思う。しかし雄吾はその気でも楢崎家の方はどう思うか。丁度、社内で家格が違うからと結婚を反対され破局したと泣いている女子社員の嘆きを聞いてからと言うもの思考は空回り。雄吾も仕事が立て込んでいるらしくあまり会えないから寂しいのもあるし、最近体調不良だから余計にしょうもないことを考える。そう思っていた矢先に雄吾の弟・尚吾の友人と名乗る女性から、雄吾が政略結婚を了承しないから尚吾にお鉢が回って来て迷惑してると告げられ衝撃を受けた。つまり、雄吾に縁談なり婚約者がいるってこと?その自称・彼の弟の友人とやらは言いたいことだけ言うとさっさと帰ってしまったし、雄吾とは相変わらず会えていない。おまけに春奈の妊娠が発覚。体調不良の原因は判ったが、何故だかあの女性の言葉が耳から離れず、自分は彼の傍に居ない方が良いのではと思い込むように。子供についても何故だか彼に話していけない気がして黙っていると決めた春奈は、雄吾に別れを告げ姿を消した。あれから2年。雄吾は上手く行っていると思っていた恋が突然終わり、彼女への未練を絶ち切れずにいた。どうしても諦めきれず、あれから仕事に打ち込み漸く春奈を探せる時間をもぎ取った。別れた後、春奈はアパートを引き払い、会社も退職しており、現状行方が分からない。実家は横浜と聞いていたので、立ち寄ったその日、偶然春奈を見つけた。でもその時は子連れで、しかも、短い会話中彼女が言うにはあの後すぐに結婚したと。もう家庭を持っていた時点で諦めるべきなのだろうが、どうしても吹っ切れず、春奈との話し合いを決意。だが、意を決して会いに行けば今度は夫と思わしき男性と歩いている。海斗と名乗った青年は銀行員だそうで、堅実な相手を見つけたようだ。さすがに諦めの境地に陥ったものの、その夜、海斗が春奈ではない女性と親しげにしているのを発見。こいつ、まさか浮気してるのかと思わず海斗に掴みかかると、逆に雄吾の方が彼に責められ困惑。海斗の言い分によればどうやら、春奈は雄吾に婚約者がいると勘違いしているらしい。身に覚えのない事ではあったが、きっと雄吾の為を思い身を引いたのだろう。後に雄吾は海斗に言付けを頼み、春奈との話し合いの席を設けた。春奈もこのままではいけないと、それに応じ正式に雄吾と再会。そこで彼から聞かされたのは予想外の事実で・・・・。まぁ、要は春奈の早とちりってやつでした。とはいえ、雄吾の弟の友人の女性が余計な事言わなけりゃ、ここまで拗れなかったですよね。その人も良かれと思ってしたんだとしても、ぶっちゃけこの主役たちにしてみれば土下座案件なのでは。その代わりに弟夫婦が謝罪してたけど。それにしたって、今回の別れの原因が解せぬ。普通になんか変な女に私らの関係が迷惑とか言われたんだけど?と、話せばいいじゃないの。黙ってるのが美徳と言うわけじゃないですからね。妊娠初期で精神的に不安定だったのと、相手が御曹司というプレッシャー等いろ色重なったとしてもですよ。実際、楢崎家側は全く結婚を反対してなかったからなぁ。完全に杞憂だったと判ってなんだかなと。彼氏は何も悪くないだけに余計に気の毒。どうしたってお前がしっかりしないからと怒られる立場だし。子供の出産にだって立ち会いたかったろうなと思うと切ない。こういうヒーロー側が被る理不尽さもこのジャンルの醍醐味な気もしますが、今作については春奈より雄吾の方に感情移入してしまいました。このお話、実はスピンオフの様で先にマカロン文庫で雄吾の弟・尚吾側のお話が出ているようです。あとがきにその説明があって聞いたことがあるタイトルだなと思ったら、私、結構前にkindleの本棚に入れていてそのままだった(^_^;) 単純にまた読んでないと言う。本編である尚吾の方がトラブルったから、こっちに飛び火したって感じ。お兄さん完全にとばっちりw取り敢えず、そちらの話は他の積読減らして、来週辺りにでも。評価:★★★★☆言うべきことはちゃんと言おう。
2023.01.18
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2022年11月刊マーマレード文庫著者:泉野あおいさん失恋のショックで幼馴染の相談相手・俺様ドSな律と一夜を共にし、初めてを捧げた直後に妊娠発覚した美海。しかも見合いが嫌な律は、美海との契約結婚を強引に決めてしまう。重荷になるのを恐れ、妊娠を隠し始まった新婚生活だけど…律は溺甘旦那様に豹変!熱を孕んだ律に毎日甘く攻め立てられ、封じ込めていた彼への想いが美海の中で疼き出し!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 法上美海=広告会社に勤める会社員。 幼馴染の律に押し切られ契約結婚をした。 夏目律=やり手の弁護士で美海一筋だったが、この度願いが叶い結婚に至る。 大和初美=美海と律共通の幼馴染。 村野裕太=美海の先輩社員で愛子の彼氏。 相馬愛子=律の父が経営する弁護士事務所に勤める秘書。ギリギリ積読から逃れました(^_^;)法上美海は助産師である母の厳しい言いつけにより、貞操観念が異常に高い。おかげで29になるまで恋愛経験ゼロ。でもいつまでもこのままじゃいけない。そうだ、いい加減自分も恋をしよう。そう宣言したのは良いものの、何故か美海は壊滅的に男を見る目が無かった。初めての彼氏は会社の先輩社員・村野の知り合いだったが、手をつなぐことすらできずたった一日でフラれ、合コンで知り合った銀行員はたった数回のデートをしたきりで破局。その後、離島にある支店に転勤したと言う。三度目の正直とばかりに、婚活アプリで漸く理想の人を見つけたと思ったら、つい数時間前、二股を掛けられていたことが判明し、向こうから別れを告げられた。その度に、幼馴染の初美は呆れ、律は慰めてくれていたけれど、どうしてこうも自分は男運が無いのか。それでも三番目の彼氏とは漸くキスまで行けたのだ、失恋の痛手は飲んで忘れて次へ行こう。だが、高々キスの経験談を律はついに美海が非処女になってしまったと勘違い。幼いころから美海に想いを寄せていた彼は一大決心の末、酔いも回った彼女をホテルに連れ込むと、積年の想いを告げるとともに、その夜幼馴染の関係から一線を越えたのだった。だが、焦ったのは翌朝素面に戻った美海。結婚するまでは恋人とは清い関係でいろ(意訳)と常々厳しく母から躾けられている彼女は、何より母の怒りが怖かった。律に余計なことを言わない様口止めしておかなければ。一人ホテルから逃げ帰った美海は久方ぶりに律と距離を置こうと決めた。しかし、そうは問屋は降ろさないとばかりに、律は徐々に外堀を埋めて来る。やり手の弁護士の考える策に彼女が勝てるわけがない。初美にもあの晩二人に起きたことは知られているし、もういい加減腹を決めて律と結婚すれば?と言われる始末。幼馴染と言えど馬が合わず、何かと衝突していた初美と律だったが、今度ばかりは彼女は律の方につくつもりのようだ。味方を得た律に追い詰められた美海はある日、自身が妊娠していることに気付き、頭を抱えた。よりにもよって初体験で妊娠とか、母はどう出るか。思えば、助産師をしている兼ね合いで、のっぴきならない事情の妊婦さんも多く見ている母だからこその言いつけだったのだろう。相手が子供時代から知っている律なのでまだ怒りも抑えてくれるかもだが、それ以前に当の律はどう思うやら。めんどくさいことになったと言われでもしたら立ち直れない。しかし嫌な予感は的中、律によって両親に美海と交際の末に子供が出来たので結婚したいと報告されてしまったのだ。厳しい母もあれほど口を酸っぱく言っていた癖に、デキ婚については言及せず両親共にこの結婚を祝福。納得いかないと怒る美海に、律から激しい見合い攻撃に合って困っている俺を助けてくれと頼まれ、生活費等全て面倒見ると言う条件の元、契約結婚ならと渋々承諾。正直、身重の身ではいずれ産休も必要、金銭面の心配が無くなるのは助かる。彼が妊娠に気付いていたのは意外だったが、どうやらカマを掛けられていただけの様で、挙式後にしっかりバレてしまって万事休す。おかげで子供が産まれるなら契約ではなく本当の夫婦になろうと言う律は嬉しそう。まぁ、おなかの子の父親は彼なのだし、これ程喜んでくれてるならあの心配も杞憂に過ぎなかったのだ。甲斐甲斐しく美海の世話をする律に戸惑いつつも、彼を慕っていた頃を思い出す。多感な時期に起こったあの出来事が無ければ、例え高校から違う学校に行ったとて一時期あんなに距離を置かずに済んだのかもしれない。今はもう、こうして夫婦となっている。素直になってもいいのかなと美海は考え始め・・・。両片想いの幼馴染カップルが、上手く纏まるまでのお話です。なので、タイトルはちょっと誇張気味かなとは思う。酔っぱらってる時に関係持つなんて卑怯だと思われる方もいそうですが、一応素面に戻った彼女に了解はとっています。単に美海が忘れてただけ。契約結婚云々も彼女にあの晩の記憶があればする必要無かったものだし、妊娠がバレてからは契約なんてしなくていいよねと早々に撤回されてしまいます。母の言いつけを律義に守り、気付くとアラサー。モテる幼馴染たちの様に恋愛位経験しなくちゃと張り切ってはみたけれど、恋愛初心者な分、騙されやすい。三番目の彼氏なんて完全に結婚詐欺師でしたからね。律がいなかったら騙されてたことも気付かなかったって言う。一番目と二番目は禄でもない男と判り律が裏から手を回して別れさせてたんですけど、クールに見えて涙ぐましい努力を。それにモテる人はモテるなりの苦労もあるんだなと。美海に惹かれた理由含め、律目線のエピソードでその辺は詳しく描かれています。デキ婚モノではありますが、お話自体はTL小説というよりラブコメに近いかも。評価:★★★★☆
2023.01.17
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2020年12月刊ヴァニラ文庫Miel著者:玉紀直さん「婚約者の俺がそばにいれば、きっとすぐに思い出すから」いやいや、婚約者じゃないです!しかもそのまま同棲なんて!!事故から目覚めた時に覚えていないフリをしたのは、前夜に神崎社長に全身を蕩かされて甘く慰められた記憶があまりに鮮明だったからで…。後ろめたくも幸せな溺愛の毎日だけど、この婚約には会社絡みの思惑があるようで!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 蓮見花菜=電子機器メーカー社長の孫娘。 親代わりの祖父が亡くなり社長業を引き継いだ 神崎譲=アミューズメント施設の企画運営会社の敏腕社長。 自称・花菜の婚約者。 高見沢=蓮見電子の社長秘書。 雨宮=譲の秘書で花菜の元上司。とある事情でプレッシャーに弱く、胃痛とお友達な花菜が、アミューズメント関連会社に勤めてからもう2年になる。頭は良いが、とにかく緊張屋の上にぼんやりした性格のせいで彼氏いない歴年齢の花菜にも密かに想い続けている人がいた。花菜の務め先の会社社長・神崎譲だ。天は二物を与えずとは言うけれど、顔面偏差値は3桁くらい言ってそうだし、高身長に高学歴。御曹司とも聞いている。その上性格も良いとなれば二物どころの話ではない。憧れるなと言う方が無理であろう。それに譲には、入社式での恩がある。あの時彼に会っていなければ、どうなっていたことか。優秀さを認められ、秘書室の配属になったおかげで、毎日のように社長に会える。花菜の譲への懐きぶりは親しい者たちにはバレバレなのか上司で主任の雨宮や、友人の智美からはよくからかわれる始末当の譲はどう思っているのか謎だが、欲しがっていたマスコットをわざわざクレーンゲームで取ってくれたりしてるのを思えば嫌われてはいないはず。だが、彼は基本誰にでも気さくで優しいから、どうにも決め手に欠ける。期待してもいいのかと思い始めていた頃、譲が振袖の美女とホテルで会っていたとの噂が耳に入り、花菜はショックに打ちのめされた。彼の年齢を思えば見合いをしていてもおかしくない。いずれ良家の令嬢と結婚してしまうのだ。失恋確定かと落ち込む彼女に更なる不幸が。両親を失くして以来、親代わりだった祖父が脳卒中で倒れ、そのまま帰らぬ人に。もしもの時の為にと思ったのか、祖父は遺言状を残しており、財産は全て花菜へと記載されていた。会社についても出来れば彼女に引き継いで欲しいとあったが、経営方法については婿を取るなり好きにしていいとも。常々無理に蓮見姓を残さずとも良いと祖父は言ってくれていたが、現状そんな相手はいない。幸い、祖父の秘書を務めていた高見沢がそのままついてくれると言うこともあり、花菜は社長業を引き継ぐことを決意したのだった。良い職場で未練もあったが退職願を出した時、譲と雨宮には引き留められたけれど甘える訳には行かない。今後のことを考えると既に胃が痛いが、祖父の残した会社を盛り立てて行かなければ。高見沢の力を借りて、何とか社長業をこなしてはいるものの、慣れぬ作業にやはり四苦八苦。25歳のお嬢様社長と侮られ、実際見切りをつけたのか退職者も出たと言う。重役たちには侮られ、悔し涙の日々。社長業に奔走する最中、何故か行く先々で譲と遭遇するのが不思議でしょうがないが、そもそも祖父の経営していた蓮見電子は譲の会社の下請けだった。上下の繋がりがある以上、縁は切れていないということ。挨拶代わりに軽口でからかわれるのは彼なりの気遣いだと思う。側で聞いていた高見沢が憤慨しているのは譲の為人を知らないからだろう。社長業を引き継いでからあっという間に3か月。ついには、末端の部品会社の社長にまで舐められ、セクハラされた挙句ホテルに連れ込まれそうになった花菜を救ったのは譲だった。ストレスでボロボロの花菜を彼が景気づけにあちこち連れまわしてくれたおかげで、大分気分は楽になった。やはり良い人だし、好きな気持ちは変わらない。話の流れで、あの頃好き好きオーラを出していたのが本人にも気付かれていたと知って赤面しきりであるが、譲本人はその好意を嬉しく思っていたらしい。その夜、二人は大いに盛り上がり、ホテルに泊まって一線を越えたものの、翌朝目覚めた花菜は真っ青に。お見合い云々については本人が否定していたので、そこは信用しているが、それより現状の自分たちの立場だ。下請け会社の社長と肉体関係なんて譲に悪評が付きかねない。一先ず、彼が起きないうちに早々に帰ろう。だが、そう思い通りに行かず気付いた彼に追いかけられた花菜は、誰かに背中を押されて車にはねられかけた。意識を失った彼女は救急搬送され、目覚めると譲がいてパニックに。つい、記憶障害のフリをしてやり過ごしたら、俺は君の婚約者だと名乗り・・・。気恥ずかしさと立場上拙い関係と思い込んでいる花菜の逃げ道を塞ぐように、婚約者として振舞う譲。既に同居もしているんだと、彼の部屋に住まわされ、新婚夫婦のような生活を送る羽目に。その裏で高見沢が暗躍。花菜は追い詰められます。高見沢さんについては、この人も苦労人なのと、優秀過ぎる故の暴走って感じ。やらかしたことが結構悪質だとは思ったんですが、許しちゃうヒロインは菩薩か何かか。まぁそういう子だから譲も惚れたんでしょうけど、二人の仲も蓮見電子が譲の会社の子会社化することで一件落着。譲と花菜も結婚が決まってお終い。花菜がストレスに弱い理由とか、祖父と譲が交わした約束等、その辺は敢えて割愛しています。気になる方は読んでみてください。実在したらさぞモテるだろうなぁってヒーローでしたけど、こういう鉄板ぶりが良いのです。評価:★★★★★割と万人受けするお話かと
2023.01.16
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2023年1月刊ベリーズ文庫著者:やきいもほくほくさん元はド田舎の子爵令嬢だった聖女・オフィーリア。なんと“食べすぎ”を理由に王太子から婚約破棄されたうえ、国外追放に! 森に捨てられて空腹で意識を失っていたら、隣国の王太子・リーヴァイに拾われてーー。たっぷりの愛で心もお腹も満たされていくオフィーリア。ふと気づくと、母国から大量の精霊が付いてきていて、聖女の力が大覚醒! しかも、リーヴァイからの甘すぎる求婚も始まって…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 オフィーリア=聖女。婚約者である王太子に無実の罪を着せられた挙句国外追放 された。 リーヴァイ=ハリブリア王国の王太子。 料理が趣味で大食いのオフィーリアを気に入る。 アティカス=スーリア王国の王太子でオフィーリアの元婚約者。 ラルート=リーヴァイの友人で側近。 シャーリー=スーリア王国の公爵令嬢。ベリーズ文庫なれどTL小説ではなくラノベになります。名は体を表すばりに、タイトル通りの内容ですが先週末発売の本なので、ざっくり目に。魔獣が存在し、度々人々の生活を脅かす世界。自国の民を鍛え、魔獣を狩る兵団で対処している国が多い中、スーリア王国は精霊と意思を交わし結界を張る存在・聖女を有し、魔獣の脅威とは無縁であった。現在のスーリアでは幾人もの聖女を抱え安泰と思われていたが、その実、他聖女はお飾りでオフィーリアと言う一人の聖女の力によって保たれている。それを知っているのは国王夫妻のみ。オフィーリア本人にも真実は知らされていないため、貴族令嬢揃いの聖女たちからも彼女は田舎者の貧乏子爵令嬢と蔑まれている。そんな彼女の婚約者である王太子・アティカスはこんな芋聖女と結婚せねばならないのかと自らの不幸を嘆き、なんとか婚約破棄をして同じく聖女の公爵令嬢・シャーリーを未来の王妃にしたいと考えていた。そしてシャーリーの方も、地味で下級貴族の娘ながら聖女の力だけは強大なオフィーリアを疎み、国王夫妻が平和会議で揃って留守の間に計画を実行。恋仲の王太子に嘘を吹き込み焚き付け、オフィーリアと婚約破棄させた挙句、国外追放に追い込んだのだった。謂れの無い罪で隣国・ハリブリア王国の国境付近に捨てられたオフィーリアは、魔獣に襲われた所をハリブリアの王太子リーヴァイに救われ保護された。空腹だった彼女は料理を振舞うのが趣味と言うリーヴァイのもてなしを受け漸く満腹感を味わうことができた。スーリア王宮ではずっと遠慮していたから。何故なら、オフィーリアは精霊たちへのエネルギー供給を無意識にしており、加えて結界を張るための力を使っている。それを補う為に食べているならば、大食いになるのも仕方ない。だが事情を知らないアティカスははしたないと感じたろう。王太子に嫌われる原因の一つでもあった。だが、リーヴァイにしてみれば男飯に近い大皿料理を嬉々として平らげるオフィーリアは好ましい対象で、聖女でありながら驕った所の無い彼女を一目で気に入った。魔獣討伐を日常とする生活のせいか、潤いも少なく仏頂面のせいで女性と縁遠かったリーヴァイに漸く春が訪れたと腹心のラルートも大喜び。追放された際、スーリアからほとんどの精霊がオフィーリアに付いて来てしまったらしく、その恩恵は彼女を保護したハリブリア王国にもたらされるように。国に残して来た家族が心配だと嘆くオフィーリアの家族を早々に保護してハリブリアに招き、そのまま住まわせるとあれほど魔獣侵攻に脅かされていたこの国では瞬く間に被害が減少。やはり、オフィーリアの力なのか。これほどの桁外れな聖女、厚遇されて当然のはずなのだが、何故かスーリア王家は彼女を冷遇していた。かなり解せない。ましてや、本来支払われるべきの給金すら払わないとは。ラルートの話では高級な王宮の食事ではあの大食いのせいでかなりの食費だったのではと言うが、だからといってタダ働きさせていい理由にはならない。冷遇と言うより、オフィーリアを逃げない様囲い込むための策だったのだろう。王宮にしか居場所が無いなら留まるしかない。それに王太子と婚約させたのも将来は王妃にして生涯スーリアを守護させるため。そのためには彼女やその家族に下手に金を渡すのは拙い、密に連絡を取り合われてボロが出かねないからだ。王族らしからぬケチな浅知恵にリーヴァイは呆れたが、バカな王太子が追放した彼女を返すつもりは無い。今頃、守りの要であるオフィーリアと精霊がいなくなり、スーリアは混乱をきたしているはず。リーヴァイの予想通り、帰国した国王夫妻からオフィーリアの重要さを聞き、自分の失態を責められたアティカス。スーリアは聖女の守りで生き延びて来ただけに兵士たちはお飾りのようなもので、魔獣に入り込まれたら対処できない。何としても、オフィーリアを連れ戻すべく、スーリア国王はシャーリーを人身御供とし、ハリブリアへ強気な交渉を始め・・・。本来、大事にされてしかるべきヒロインを虐げていた国の王家が見事にしっぺ返しを食らうと言う、展開としてはよくあるパターンなのですが、諸悪の根源たる王太子と国王が結構な罰を受けて正直ビックリ。でもよくよく思えば、それだけヒロインや精霊たちを怒らせていたってことなんでしょうけど、改心すらしない人達ならこれもまた正しい報いなのかなと。下手に許したら図に乗るだけ。逆にヒロインを保護し手厚くもてなしたヒーローの国は、末永く安泰。二人は将来的に結婚して国を守りつつ、盛り立てて行くんだろうなっていうラストでした。元婚約者がクズ(途中自らの浅はかな行いを悔いてはいたものの)だった分、ヒーローの男前っぷりが浮き立つと言う。人柄も良いし、料理上手。そりゃヒロインも惚れますわ。不当な扱いを受け、鬱屈していた頑張り屋で心優しいヒロインが幸せになるお話です。評価:★★★★★
2023.01.15
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2016年7月刊一迅社メリッサノベルス著者:葉月クロルさんシュテラウス国の末の姫君マリエッタは、政略結婚で軍事大国オルタイルの将軍ベルヴァントの元へ嫁ぐことに。ベルヴァントは鬼神のごとく恐れられる戦士。マリエッタは華奢で可憐な姫君。誰もがマリエッタに同情するのだが……実はマリエッタの目には、将軍がとても素敵に見えていた……! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 マリエッタ=シュテラウスの妖精姫と呼び名の高い可憐な王女。ベルヴァント=オルタイル国の将軍でマリエッタの婚約者。 シエラ=シュテラウスから付いてきたマリエッタ付きの侍女。 アドラン=べルヴァントの補佐を務める副将軍。さすがに発行年的に電子版のリンクしかないようで(^_^;)ピッコマでの連載を読んで面白かったのでアマプラにて購入。結構な厚さだったこともあり読み応えがありました。小説投稿サイト・ムーンライトノベルスで掲載されてる(されてた?)ようで、そちらでご覧になった方もいらっしゃるかと。さながら美女と野獣の年の差カップルのエ〇ティックラブコメディ。可憐な容姿と素直な性格で誰からも愛される王女・マリエッタ。いずれ父王は可愛い末娘を然るべき国の王族に嫁がせるつもりだったが、近隣諸国による情勢不安により小国故の心配事も増え、そういうわけにもいかなくなったらしい。軍事大国である隣国・オルタイルの後ろ盾を得るべく、数々の武功を挙げたかの国の将軍・ベルヴァントにマリエッタを降嫁させるとのこと。しかし、オルタイル側が送って来たベルヴァントの姿絵は多少の誇張はあるとしても、さすがは将軍。見事な強面の筋肉男だった。父王始め、彼女を愛する者たちは申し訳なさと我が子可愛さに心を痛めていたのだが、彼の姿絵を一目見たマリエッタは内心で小躍りしたい程喜んでいた。こんなに素敵な方が私の旦那様になるなんて、世界一の幸せ者に違いない。可憐な外見ながら、彼女は筋肉萌え娘だった。しかし、この両国の結びつきを快く思わない国があり、オルタイルへの道中、マリエッタの乗る馬車は暗殺者たちに襲われた。間一髪、未来の妻を迎えに来たべルヴァントの率いる一団によって事なきをえたものの、マリエッタは予定より早い彼との遭遇に感動。姿絵も素敵だったが本物はその何倍もカッコイイ。小柄なマリエッタより頭二つ以上高い身長に、なによりその全身を覆う見事な筋肉。皆が怖いと言っていた顔も彼女の好みにドンピシャ。彼女は元より小説や芝居でも王子様より、竜や魔物を打ち倒す腕っぷしの強い男を推しにしがちだった。ベルヴァントは何もかもが彼女の理想そのもの。そんなマリエッタの内心を知らず、オルタイル王家の人々も、この婚姻を薦めた罪悪感に苛まれていた。だって可憐で小柄な姫がこんな武骨な男の妻になるなんて気の毒過ぎる。国王たちは、この結婚は国家間の重大事、くれぐれも姫を大事にし、式を挙げるまで絶対に一線を越えるなとベルヴァントに厳命。しかし、素敵な婚約者に惚れこんだマリエッタはベルヴァントに懐き、無自覚に煽って来る。彼はこの姫にあっという間に心奪われ、すぐにでも押し倒したい欲と理性で戦っていた。何より国王からの厳命もある。二人は周囲に砂を吐かせるほどのバカップルとなっていったが、ベルヴァントの鉄の意思にて何とかマリエッタの純潔は保たれていた。それでも一線を越えていないだけでアレコレと教え込んでけれどけれど。マリエッタに付き添ってオルタイル入りした侍女・シエラもとある理由から、ベルヴァントの腹心アドランと急接近。こちらは一足飛びに深い関係となりアドランの根回しで早々に婚約まで果たしてしまった。その間、ベルヴァントが婚約者に惚れこんで笑顔を見せる様になったことで、強面の時にはありえなかった貴族令嬢達による将軍争奪戦が勃発。とはいえ、二人のラブラブぶりにライバルたちは土俵にすら上がれず次々と脱落して行ったのだが。ベルヴァント達の腐れ縁である魔術師・リーベルのいたずらによってマリエッタが子猫にされたり、式直前にまたもやとある国の陰謀に巻き込まれたり騒動やトラブルを乗り越えた二人は無事夫婦に。書下ろしの番外編ではその後の二人とシエラとアドランの恋模様が描かれています。ひと回り歳下の可愛い姫君とそれに翻弄される強面将軍とのイチャイチャが主な内容なんですけど、コメディタッチなので終始笑いがw王様からの命もあって理性で何とか抑えるも、婚約者はそんなことは露知らず無自覚に煽って来る。気の毒にと思わないでもないものの、ラブラブ故の贅沢過ぎる悩みなので、周囲もバカップルを生暖かい目で見ていると言う。体格差も凄いので、果たして姫は受け止められるのかと王様の心配も婚礼の祭に降臨した神様の祝福によって無問題に。なるほど、そういうオチか。シエラ&アドランのカップルも可愛いし、やはりこの作家さんの書くお話はキャラが面白くて良いです。個人的に異世界トリップ~よりこちらの方が内容は好みかも。評価:★★★★★
2023.01.14
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2022年4月刊マーマレード文庫著者:古須 界さんホテルで働く遊は、体調を崩したところを容姿端麗な男性に助けられる。後日再会した彼は、新任のホテル支配人・正臣で!?クールな彼が垣間見せる優しさに触れ、遊は恋心を募らせるも、感情表現が下手な自分に自信が持てない。ところがある一夜をきっかけに、二人の距離は急接近!正臣の滾る情熱を教えられ、遊も抑えきれぬ想いを溢してしまい…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 長澤 遊=ホテルのハウスキーピングスタッフ。早くに両親を亡くしている。 氷上正臣=ホテルの新任支配人。 橘 睦月=遊の従弟。同ホテルのバーで働いている。 涼宮世利=チーフコンシェルジュで正臣の友人。多分、大分前の購入作品紹介記事にも載せてたと思うんですが、発行月をご覧になるとお分かりの様に、積読になってました(^_^;)何のことは無い、既読の方の棚に仕舞ってたって言う凡ミス。よく物を失くすのもこういうウッカリな性格のせいだろうなぁ。幸い同じ本を2回買ったとかは無いんだけど。「天国に一番近いホテル」として人気のフルールロイヤルホテル。そうと呼ばれる所以も相俟って、近年若い女性憧れの場所である。このホテルで結婚式を挙げるのは一つのステータスのようで、ハウスキーピング作業中のスタッフも雑談に話を咲かせる程。そんな話題にも乗らず一人黙々と仕事をする遊は、感情の出にくい顔のせいで同僚達からも遠巻きにされており、その表情から、たまに怒られている気になると批難めいたことを言われることも。本人からしてみれば単に自己表現が下手なだけで、怒ってもいない。かと言って、そのような気など更々ないと弁明するには性格上ハードルが高く、誤解は解けぬまま。壊滅的に人付き合いベタな遊の態度にめげず、気安く接してくれるのは同じくハウスキーピングスタッフの香苗くらいだ。そして、同じホテルのバーで働く従弟の睦月。小学生の頃に事故で両親を亡くし、親戚をたらい回しにされた遊が最終的に落ち着いたのが睦月が暮らす叔父の家。厄介者として叔母には随分邪険な態度を取られたが肩身の狭い思いをしていた遊を気遣い、仲良くしてくれたのが睦月だったのだ。彼には感謝してもしきれない。彼女にしてみれば両親と同じく睦月も大事な家族の一人で、肉親のいない彼女の為に毎年誕生日も祝ってくれている。その従弟のいるバーをしょっちゅう訪れては、彼の作るおススメのカクテルを飲む。遊のストレス解消の場だ。だが、今日は少し飲み過ぎた。昼間、また同僚に誤解され投げかけられた言葉が思いの外効いていたらしい。と言うより、それが切欠で過去に言われた心無い一言を思い出したせいなのだが。酔いを冷ますためにテラスに出た遊はそこで一人の男性に出会うも、悪酔いして倒れると言う失態を晒してしまった。しかも、男性は新たに配属されてきた支配人だと言う。ミーティングにて氷上正臣と紹介された彼は、明るい場所で見るとやはりイケメンだった。早速年若い女性従業員たちが騒いでいる。その名字から、このホテルの運営グループの関係者のようだが。氷上は就任早々宿泊部門のスタッフのテコ入れに乗り出すつもりの様で、現状の従業員の質の悪さを指摘。改善案として若手スタッフの士気を高めるためと称し職種ごとに優秀な者を選出、リーダーとして業務を纏めてもらうと言う。働きが認められれば昇進及び給料アップも望めるとのことだが、最初は支配人直々にどれだけ仕事ができるかテストされ、報告書を纏めて持って行くなど作業も増える。誰もやりたがらない学級委員みたいな役回りに、遊が嫌な予感を覚えていると案の定、彼女が選出されてしまった。氷上による作業手順等のテストは真面目で仕事が早いおかげで褒められた。だがやはり指摘されたのはこの誤解されやすい表情と性格。およそホテル勤務に向いていない性分で何故このホテルに就職希望を出したのかと質問され、話し難い内容を根気強く待ち遊の事情を聞いてくれた。初対面時で迷惑をかけた時もそうだが、この人も根は暖かい人なのかもしれない。恋とは無縁の人生ではあったが、大小トラブルを乗り越え氷上の為人を知るうちに心惹かれて行く遊。そして氷上もまた友人の世利の後押しもあり、遊と急接近。不器用で孤独な彼女を気にかけ、好意を寄せる様に。やがて二人は交際に至るも、その頃から睦月の様子がおかしい。なにやら複雑な思いがあるようで・・・。その他、遊の両親が亡くなった原因とか、彼女なりに変わって行こうとする過程、睦月の本心など色々あるんですけど、あんまりネタバレしてもアレなんでそこは敢えて割愛。興味のある方は読んでみてください。氷上に遊が語った睦月との思い出は読んでて何だか泣けました。不遇というか、その原因を招いたのは自分と言う罪悪感を抱えるヒロインが周囲の優しさや恋を知ることで幸せを知っていく良い内容だと思います。評価:★★★★★
2023.01.13
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2022年12月刊ベリーズ文庫著者:立花美咲さん父が倒れ家業が倒産寸前と知った光莉。途方に暮れる彼女の前に現れたのは、幼馴染の御曹司・律樹だった。十数年ぶりに再会した彼は別人のように冷淡で戸惑いを隠せない。さらに彼は家業を救う代わりに政略結婚を提案してきて!? 愛のない結婚生活が始まると、律樹は予想外の激愛で光莉を甘く溶かし尽くす。やがて彼の子を授かるも、義父のとある企みを知った光莉は律樹の前から姿を消し…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 山谷光莉=金沢の中小企業・山谷食品の社長令嬢。 経営が傾いた会社の為に律樹と婚約する。 常盤律樹=大企業・常盤グループの跡取り。光莉とは幼馴染だった。 長澤颯太=常盤の屋敷に出入りする庭師の青年で律樹の異母弟。 山谷葵生=光莉と律樹の息子。 常盤修蔵=常盤グループの当主。 常盤麻美=律樹の異母弟・雄介の妻。ベリーズ文庫のストックが半端なく多いです(^_^;)まだ既刊含め結構な冊数が残ってるので、記事の頻度も増えるかと。金沢に本社を構える食品会社・山谷食品。その社長令嬢である光莉は食べることが大好き。父は元々東京で会社員をしていたが、10数年前、当時社長だった光莉の祖父が亡くなって跡を継いだのだ。主にお土産用の菓子を生産している山谷食品だが、最近あまり業績が良くないらしい。そんなある日、父に頼まれて、大手企業・常盤グループのパーティーに出席した光莉は、そこで幼馴染の高橋律樹と再会。懐かしさに喜ぶ彼女を尻目に、知らん顔をする律樹に戸惑っていると、彼が常盤律樹と紹介され壇上に立上がり挨拶している姿に唖然。彼の挨拶中に招待客達の口さがない噂話が漏れ聞こえた。律樹は常盤会長の愛人の子のうちの一人で、優秀さを認められて本家入りし、現在は本社の常務取締役とのこと。律樹の母は所謂シングルマザーで、もやしみたいにヒョロっとした彼は虐めの標的だった。男勝りで勝気な光莉はよく彼を庇っていじめっ子どもを蹴散らせていたものだ。とはいえ、中学生にもなると律樹も背が伸び、頭の良さも相俟って虐められることも無くなったのだが。それからしばらくして、山谷家は父の実家のある金沢へ引っ越し、彼とはメールのやり取りだけ交わしていたのだがそれも高校生になるとぱったり途絶えたのは、律樹の境遇が変わったせいか。一人胸を痛めていた彼女の元に父が倒れたと連絡が入り、律樹と碌に言葉も交わせず金沢へとんぼ返りをした光莉はそこで衝撃的な事実を知らされた。どうやら自分の想像以上に会社は傾いていたようで、倒産も間近。父はストレスと無理が祟り心筋梗塞を起こしたのだと言う。だが、常盤グループが自社の傘下に入るなら援助をすると申し出ているらしい。渡りに船ではあるものの、常盤グループに従うとなれば山谷食品が代々掲げて来た地域密着型の経営方針は失われる。跡継ぎである光莉も同じ気持ちだ。しかも、律樹との政略結婚も条件に入っている。いくら初恋の相手でも父の気持ちを思うと嬉しい以前にかなり複雑な心境だ。だが、融資も断られ続けている現状では倒産を待つばかり。社員達も困るだろう。わざわざ金沢にまで出向いてきた律樹に説得され、光莉は会社の後継者として傘下入りと彼との結婚を了承したのだった。幸い父は命を取り留めたものの、今後は無理は出来ない。常盤グループのバックアップを受けることになった山谷食品は専務の川岸に頼み、光莉は東京へ。律樹と婚約を交わした彼女は常盤の屋敷で行儀見習いならぬ花嫁修業が課せられると言う。常盤家の嫁代々の習わしなのだそうだ。邸には当主の修蔵と律樹の異母弟・雄介夫妻も同居している。妻の麻美は美人だがキツイ印象に違わず、光莉を敵視。おかげで何かと嫌味を言われる毎日。花嫁修業に苦労する中、律樹は再会時とは態度が変わり光莉を大事にするとともにずっと好きだったと本心を告げた。両想いだったのは嬉しいし、いつか身内と親しい者だけ呼んで素朴な式を挙げようと約束を交わした。それだけで頑張れる。とはいえ、大変なのは変わりなく疲労困憊していたころ、光莉は邸を出入りする庭師見習いの長澤颯太と知り合った。律樹が言うには彼もまた常盤修蔵の子なのだそうだ。一体、当主には何人愛人と子供がいるのやら。そりゃ、麻美もピリピリするはずだ。優秀な律樹が後継者に指名され、既に雄介は見込み無しと宣言されてるのだとか。きっといつ追い出されるか気が気で無いのだろう。光莉への嫌がらせもエスカレートし始め、律樹や颯太が助けてくれなければどうなっていたか。その上、修蔵は律樹のことは買っているが、光莉との結婚は快く思っていないらしく、体よく追い払うべく颯太を使った罠に嵌められ窮地に。このことは他言無用と脅される中、不幸は続くもので静養していた光莉の父の容体が急変、この世を去った。颯太もまた脅されて嫌々従っていたようで、あの時のことを後に謝罪されたが、光莉は父の死もあり精神的に追い詰められて行く。ある日、体調を崩し妊娠に気付いたが、修蔵は律樹の血を引く子供だけ取り上げ彼女を追い出す算段なのを知り、ここに居続けるのは危険と判断。律樹に尤もらしい理由を付け別れを切り出し、修蔵に見つからない様颯太の手を借りて山谷食品に勤めていた顔見知りの社員を頼り輪島へ。数か月後男の子を産んだ光莉はある日ニュースで修蔵が数々の罪状で逮捕されたことを知り・・・。シークレットベビーものです。ヒーローが愛人の子でその家が魔窟。そこに嫁入り予定のヒロインは大変な目に合うと言う。異母弟の嫁がまぁ性悪なんですけど、それに輪を掛けて酷い奴なのがヒーローの父である当主。トップがこれじゃ家も荒れるわな。仕事の方も不正が多く、それを正したいと考えていたヒーローによって暴かれ、退任に追い込まれ追い出されることになるんですけど、金は腐るほど持ってるだろうし権力を失っただだけってのがなんかモヤります。ヒーローの方は実は彼もヒロインを思い続けていて、父の策略によって追い詰められているヒロインの父の会社を救うために尽力。言うことに従うからせめて彼女と結婚させてくれと約束を取り付けていたのでした。その約束もあっさり破られてしまったのだけど。ホントムカつくわあの親父。だから足をすくわれたんやで。遠回りしたけれど、お互い想い合っていた二人は後に復縁。正式に夫婦となってお終い。書下ろしの短編はヒーロー目線の後日談です。評価:★★★★☆これも、途中別れる理由に納得がいく展開でした。
2023.01.12
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2022年12月刊ヴァニラ文庫著者:ちろりんさん弟の後ろ盾になる結婚相手を探すも、相手にされずに悩むレクシーは、突然訪れた美貌の侯爵ハーヴィーに両家の利益のためにと求婚されて受け入れる。冷徹で永久凍土の薔薇と噂される彼は彼女の前ではとろけるような笑顔を見せ甘く溺愛してくる。「君の奥深くに私を刻み付けてあげるよ」とまどいつつも真摯な彼の愛にほだされるレクシーだがー!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 レクシー=ペンフォード伯爵家の長女。 弟が爵位を継げるまでの後ろ盾を得るため結婚相手を探していた。ハーヴィー=ワディンガム侯爵家の当主。レクシーに求婚する。ガブリエラ=レクシーの弟で伯爵家の跡取り。ジャレッド=レクシーの父方の従兄弟。ちろりんさんの最新作です。こちらも12月の末頃の発売なので、ネタバレの方は控えめで。大きな流行り病で当主夫妻もその犠牲となってしまったペンフォード伯爵家。今は長女のレクシーが慣れないながらも家政を受け持ち何とか切り盛りしている。今年11歳の弟ガブリエラが爵位を継げるまで頑張るつもりではあるものの、あの流行り病は甚大な被害を出し、領民も大勢亡くなった。その措置として一先ず税を軽くし、援助も行った。結果、伯爵家はかなりの財政難に陥ってしまったのだった。今は領地経営を信頼できるものに任せているけれど、弟が当主になる前に破綻してしまっては目も当てられない。やはり後ろ盾が必要だ。こうなったら自分が結婚するしかない。レクシーは参加できるパーティーや舞踏会になるべく足を運び、お相手を探した。だが、彼女に声を掛けて来る者は誰一人としておらず、しかも何か避けられてる感が。弟の将来の為に良い家庭教師を付けてやりたいのに。資金繰りや結婚の件含め頭を悩ませるレクシーを更に追い詰めることが一つ。それは従兄弟のジャレッドによる求婚だった。貴族ではあれど爵位の無い彼の家ば商いで収入を得ているのだが、ジャレッドはここ数年と言うもの賭け事にハマり随分散財しているらしい。伯父も体調崩して寝込んでいるそうだし、彼はレクシーの婿に収まってガブリエラが継承する前に伯爵家の財産を食い潰すつもりなのだろう。魂胆は見え見えだ。それ以前にジャレッドがあてにする財産なんてもうペンフォード家には残っていない。散々断っているのに、とにかくしつこい。何と言われようと応じる気は無い。どう追い返そうと思案していたその時、伯爵家をワディンガム侯爵・ハーヴィーが訪れた。子供の頃、何故か先代侯爵家当主からハーヴィーへの接近禁止を命じられていたレクシーは心底驚いた。そして、その用件にも。彼はレクシーに結婚を申し込みに来たのだ。ガブリエラの後見人にもなるし、伯爵家と領地を建て直すための援助も惜しまないと。ブドウが特産のペンフォード領のワインは有名で人気がある。それを侯爵家が営む事業で販売したいと言うのが一番の理由だそうだが、確かに、それならハーヴィー側にも得がある。あの馬鹿らしい命令を下していた先代も既に鬼籍に入っており、今の侯爵家の当主はこのハーヴィーだ。いつまでも従う義理も無く、お互い利害の一致がある結婚である。正直、ジャレッドを婿にするよりは遥かにマシ。多少迷いはあったが、好条件すぎるこの申し出をレクシーは受け入れたのだった。すぐにも同居し、式を挙げたい言うハーヴィーに押し切られ、弟を連れて翌日には侯爵家に移り住むことに。そこでレクシーを出迎えたハーヴィーは昨日とはまるで別人のようであった。彼女に甘い言葉をささやき、微笑みかける彼。ハーヴィーは整った容姿とその冷たい態度に「永久凍土の薔薇」と渾名される程の人物で、勿論レクシーもそう思っていた。しかも、彼女以外の者には確かに冷徹な対応で、飽く迄甘いのはレクシー限定らしい。そもそも、接近禁止命令を出される前は彼はよく笑う子だった。けれど、いつからか氷のような性格に。早々に式を挙げ、夫婦となったハーヴィーとレクシー。侯爵夫人として覚えることも多いが、彼は妻を溺愛。舞踏会で夫婦同伴した際はレクシーに微笑みかけるハーヴィーの姿に周囲がどよめいていたほど。毎日、レクシーを心底愛していると告げる彼に、いつしか彼女も絆されて仲睦まじい関係になって行った頃、当主になるべく勉強をしていたガブリエラが、友人と喧嘩をして傷だらけで帰宅。どうやら、レクシーを酷い中傷で侮辱されたことが原因らしく・・・・。お話自体は非常にシンプル。弟の為に結婚したヒロインが自分限定で優しいヒーローに溺愛されて幸せになると言うもの。接近禁止命令食らってたのもなんで?と思ったんですけど、理由が判ると先代の矮小さぶりが判明するくらいで、その辺に関してはあまり重要性は無い気が。離れ離れにされてた切欠にしては、って感じ。ヒーローのヒロインへの愛情は凄まじく、変な虫がつかない様警戒。舞踏会でヒロインが避けられてたのも実は。こうして外堀を徐々に埋めてたんですね。凄い執念だ。あと、ヒロインの従兄弟がギャンブル中毒そのものな態度で、伯父さん一家が少々気の毒に。ヒーローがこれ以上迷惑を掛けれないようにと対処してくれたのは良かった。ザマァって程ではないけれど、借金返済のためにマグロ漁船に放り込まれる的な仕置きに納得。金を稼ぐ苦労を知れば、多少は思い直すことでしょう。全く、相手にされないからってヒロインの悪口を広めるとか、子供かっ。前述の通りシンプルな展開ですが内容自体は面白いです。と言うか、キャラが。評価:★★★★☆
2023.01.11
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2021年11月刊オパール文庫著者:玉紀直さん「俺の子を産むのが条件だ」職を失い不運続きな志保。信一に救われて衣食住の面倒をみてもらうことに。抱かれる覚悟をしていたのに、なぜか優しく世話を焼かれー。冷たそうに見えて、実は温かい。彼の本質を知るほどに心奪われる。「ずっと我慢していた。抱いていいか?」熱杭を穿たれ、全身に満ちる喜悦に恍惚となって。エリート弁護士との契約から始まる、幸せな恋! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 孤杉志保=養護施設出身の孤児。差別の末に職場をクビになり自暴自棄で自殺し かけた所を信一に救われる 田島信一=法曹一家のサラブレッドで無敗の弁護士。 上松高俊=捜査一係の刑事。 高橋碧=田島法律事務所に勤めるパラリーガル。 高本博=志保がいた施設の副園長。一度ハマると既刊も揃えずにはいられなくて(^_^;)ネタ切れ防止も兼ねて少し発売日が前のお話のネタバレ感想がちょこちょこ合間に入ると思います。孤杉志保は赤ん坊の頃、養護施設の前に捨てられていたと言う。そのまま施設に引き取られた彼女は高校卒業後独り立ちをした。しかし、世間の目は厳しい。未だに施設出身と言うことで謂れのない差別を受けセクハラやパワハラは日常茶飯事。今日も社長からセクハラを受け抵抗したら運悪く手が当たってビンタをかました形となり、逆切れした社長にクビになってしまった。このような理不尽で職を失ったのは今回が初めてではない。だが、昼食も食べそびれた上に解雇理由からして給料は貰えないかもしれない。この手のトラブルで無職になるから家賃も滞りがちで、大家からは次払えないなら追い出すと言われている。精神的に追い詰められ歩道橋の欄干に手を掛けて随分立つ。自分が死んでも悲しむ人はいない、ついにそこから飛び降りようとした瞬間、落ちかかっていた志保を後ろから一人の青年が抱き留めた見るからに理知的で眼鏡をかけた青年は彼女を叱り、のっぴきならない事情があると察したのか、腹が減っているから禄でもない事を考えるのだと、自分用の夕食だと言うコンビニのおにぎりを二つ食べさせてくれた。現金なもので確かに腹がくちたら不思議とただ死にたいという漠然とした気持ちは消えていた。彼は田島信一と名乗り、職業は弁護士だと告げた。落ち着いた志保から事情を聞いた彼は、不当な扱いを受けたのだから社長を訴えることも出来ると話し、何を思ったのか彼女にある契約を持ち掛けた。自分の子供を産んでくれないかと。突拍子のない申し出に戸惑ったが、報酬として衣食住の面倒は見てくれるし、新しい職も世話をすると言う。子供を産んでからは自由。諸々要相談で悪いようにはしないとのこと。どうやら彼は30歳も過ぎ、周囲から結婚を急かされ嫌気がさしていたのだそうだ。結婚にも恋愛にも今のところ興味がないが、自分のDNAを受け継ぐ子供は欲しいから協力を仰ぎたい。契約内容を話しながらもこのバカげた提案もそもそも彼女を死なせないためのものだ。現状どうこうするつもりは無い。真面目そうな子ではあるし、妊娠となると相応の時間もかかる上に生活に不安がなくなれば死にたいなどと言う考えも抱かなくなるだろう。過分なお節介な自覚はあるが信一はクールな外見ながら捨て犬や捨て猫の類も放って置けない性分であった。二人が運命の出会いを果たしていた頃、志保が育った施設・幸星園にてある凶悪な事件が起きた。園長の高本昭雄が殺害されたのである。しかも、その遺体が発見されたのは殺害から10日以上経ってから。刃物でメッタ刺しなことから怨恨か。犯人が返り血よけの為に着たと思われるアウトドアジャケットが脱ぎ捨てられていて、裾の裏面にはシホと名前が記されていた。そんなことは露知らず、信一のマンションに同居することになった志保は、加えて新しい職も得た。信一の父が経営する弁護士事務所の事務員兼雑用だ。優秀な人材揃いのここは、皆気さくで優しく、誰も志保を差別しない。憶えることも多いが、パラリーガルの碧が仕事を教えてくれて何とかやっている。信一の部屋で厄介になってもう2週間近くも経つが、子作りどうこう言ってた割に色っぽい展開にはなっておらず、生活を共にしているだけ。とはいえ、碧や他の弁護士たちが言うには信一がこれほど優しく接する人間は珍しいらしい。ある日、上松と言う刑事が相棒を伴い事務所を訪れた。志保に高野園長の殺害容疑がかかっているとのこと。実は、施設にいる頃、志保は一人だけ園長に特別扱いされており園内ではただならぬ関係と噂されていた。独り立ち後も関係を迫られ殺害したのではとの見立てのようだが、依怙贔屓されていた自覚はあるものの決してそんなやましい関係ではないし、かれこれ2年は会っていない。上松も飽く迄容疑者の一人として接しただけなので、信一の介入により彼女のアリバイは証明されたことで一応の疑いは晴れた。証拠品の名前入りのコートも、持ち出さずにお下がりとして園に残る子に譲っている可能性もあるのだから。幸星園には児童虐待の嫌疑がかかっていることを上松たちが帰った後、信一から聞かされた志保。園は養護施設だけでなく更生施設も担っており、所謂問題児とされる未成年たちも多く暮らしている。そこで躾と称し、園長の息子の博が年頃の少女に性的虐待を加えていたと、その少女たちの里親となった農場主が事情を聞いて事務所に相談に来たのだとか。当然、志保も虐待については知っている。そのせいでストレスから自殺未遂を繰り返す子もおり、いつ自分も目を付けられるかと思うと気が休まらなかった。幸い志保は園長のおかげで難を逃れていたが内心罪悪感で一杯だった。信一に園長との仲を邪推されはしたものの、結局それが嫉妬心に繋がり信一は好ましく思っていた志保と深い関係に。どちらにしろ、志保の為にもあの施設の闇は暴いてやらなければ。調査していくうちに、真犯人の正体、志保の実の親のことも判明し・・・。ミステリー風でどんどん引き込まれる内容でした。園長の意図やそれに付随する事情など、そういうことだったのねと。諸悪の根源はまぁ息子の副園長なんですけど、こいつはマジでクソのクソ(口が悪くてすみません)。今まで被害に遭ってた子達の傷が癒えるのは時間がかかるだろうけど、そこは志保と信一も尽力すると思うので、希望の持てるラストだったと思います。結局、信一が志保に落ちるのも早かったなー。なんだかんだ言っててもぶっちゃけ一目惚れだったんじゃないの?事務所のメンバーも碧さん始め良い人達ばかりだったし、こういう職場憧れます。施設出で差別とか、今だったらバッシング対象なのではと思ってたら、後書きで作家さんが言うには、時代背景が今から30年くらい前なのだそうです。とすると1990年代辺り、なるほど20世紀か。別作品のサブキャラの両親のお話と聞いて納得。その本持ってたっけかな。無ければamazonで注文しなきゃ。評価:★★★★★ヒロインが健気で可愛い
2023.01.10
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2022年12月刊ベリーズ文庫著者:葉月りゅうさん老舗旅館で働く花詠は、海外旅行先でトラブルに巻き込まれたところを現地で働く外交官の悦斗に助けられる。実は幼い頃、ふたりは許嫁だったが親同士が不仲となり婚約を解消。久しぶりの再会に気まずく感じながらも、宿を失った花詠は彼の家に泊まることに。結ばれない相手だと思っていたのに、悦斗は「俺以外を見るな」と独占欲全開で迫ってくる。抗うすべのない花詠は彼のなすがままに溶かされて…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 暮泉花詠=老舗旅館・ひぐれ屋の若女将。 石動悦斗=ホテルグループの御曹司で外交官。 ラヴァル=フランス内閣の最年少環境大臣。悦斗の友人 暮泉祥=花詠の弟。 一柳棗=祥の年上の恋人。実家は旧華族の名家。逆仮面カップルが結婚するまでのお話。花詠は老舗旅館を経営する暮泉家の長女。そんな彼女には昔家族ぐるみで付き合いのあったホテルグループ社長の石動家の次男・悦斗と言う許嫁がおり、子供心にいずれは彼と結婚するものと思っていた。だが、ひぐれ屋の別館を立てようと狙っていた土地を石動グループに取られてしまったことで両家の仲に決定的な亀裂が。当然、花詠と悦斗との結婚の約束も取りやめとなり、両親からは石動の人間とは口を聞くなと言い含められた。当時まだ小学生だった彼女は親の言うことには盲目的で、素直に言いつけを守っていたのだが、花詠にとって悦斗は初恋の人に変わりない。何年か経ち、自我も芽生えると親同士の意地の張り合いが如何に馬鹿らしいかが判って来る。いい加減仲直りすればいいのに。とはいえ、流石に空気は読めるので両親の手前大っぴらに悦斗と仲良くは出来ない。そんな彼女の気持ちを知ってか知らずか、無視しているようで悦斗は花詠が困った状況になるとさり気なく助けてくれる。でも、そのせいで花詠の父を怒らせてしまい彼の評価はダダ下がりだ。せめてこれ以上飛び火しないように距離を置いているうちに、悦斗は猛勉強の末に資格を取り外交官への道に進んだ。家業は兄が継ぐからある程度自由にできるらしい。長男である弟の祥がどうにもフラフラしていて、旅館は自分が継ぐことになりそうな花詠は落ち込んだ。結婚するにしても婿養子を取ることになるだろうし、転勤の多い彼とはどうしたって縁が無かったのだと思うように。それでも初恋を忘れられずに、旅館の改装で休業中海外旅行へ。未練がましいけれど、足を延ばしてフランスのストラスブールを訪れたのは現地の領事館に悦斗が赴任しているからだ。偶然会えたりしないものかと、観光がてらブラついていた彼女は観光客目当ての質の悪いトラブルに巻き込まれかけた所を悦斗に救われたのだった。再会に喜ぶ花詠に飽く迄クールに接する悦斗だったが、火山噴火により帰りの飛行機が運休で足止めを食らった彼女を自宅に止めてくれたりと、以前と変わらぬ気遣いぶりに感動。そもそも、親同士のいがみ合いで破談とはなったが、子供だったとはいえ二人はそれなりに仲は良かったと思う。それでも初恋を引きずっていたのは自分だけかと思いきや、悦斗も花詠に想いを寄せてくれていたらしい。気持ちが盛り上がった二人はその晩一線を越え、翌日別れ際、悦斗は日本に帰ったら会いに行くと約束してくれた。それから一年。音沙汰がないので不安にはなったが、暫く日本での勤務になったと悦斗が会いにやって来た。しかし、母に見つかりせっかくの再会の雰囲気もおじゃん。もういい加減にして欲しい。敵意剥き出しの母に悦斗は、来日するフランスの閣僚のもてなしをひぐれ屋に頼みたいと告げた。日本贔屓の閣僚にここはぴったりだからと。政界人の来訪は久方ぶり、張り切る父母たちだったが、ひぐれ屋は年々業績が右肩下がりで頭を痛めていた。花詠も女将を継ぐ身として色々勉強しているものの、この時代遅れな営業方針ではいずれ立ち行かなくなると思っている。常連客とその口コミだけでは高齢化に伴い訪れも減っていく。もっと若年層を取り込まないと。その点、石動グループはネットを上手く使い、予約方法の簡単さや割引などで業績を伸ばしている。再三、父には時代に合わせるべきだと意見しているものの、聞く耳持たずで話にならない。悦斗とのこともこのままでは一生許してもらえないだろう。棗たちにアリバイを頼んでデートをしたり彼の部屋に泊まったりは出来ている。交際自体は順調だ。両家の長い確執には悦斗も思う所はあるらしい。そこで、彼が提案したのはお互い得意分野で苦手な部分を補い合おうと言うもの。それに伴い、自分が花詠と結婚しより強固な関係になろうと。この提案は予想より功を奏し、たまに意見の衝突もあるけれど業務提携と子供同士の結婚で縁戚関係になることで両家の付き合いが再開することに。そんな折、ストラスブールで大きな地震が起き甚大な被害が出たとの一報があり・・・。報道で外交官と言う仕事の大変さを知り、悦斗の支えになりたいと決心する花詠。でも海外を転々とすることになる彼について行くには、旅館を継ぐのは無理。悩む彼女を後押ししてくれたのは弟の祥で、漸く家業を継ぐ決意を固めてくれたと両親も大喜び。弟が明確な意を示さなかったのは恋人の家のこともあったからで、この辺の経緯やら花詠の決心に至る状況などは気になる方は読んでみてください。悦斗が外交官を目指した理由や、困った人に寄り添いたいと思った切欠とかも素敵なので。エピローグでは、それから5年後の彼らが描かれており3歳になる長女も登場。書下ろしの短編は悦斗目線の新婚旅行のエピソードになっています。評価:★★★★☆
2023.01.09
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2022年12月刊ヴァニラ文庫著者:火崎勇さん大国の王アレウスに嫁いだフィリーナは、毒殺されかけたことで意志の強かった前世の自分を思い出す。気持ちを改め、国や民のために行動していると、今まで冷たかったアレウスが彼女に興味を持ち始める。「震えているのか?あれだけ豪胆な行動を取りながら少女のようだな」熱い腕に流されるも真にわかり合えないうち、謎の男達に命を狙われ…! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 フィリーナ=ラドラス公国の王女。 政略結婚でアレウスに嫁いだが暗殺されかけ前世を思い出す。 アレウス=大国レアリアの王。 女性不信の気がありフィリーナを長らく遠ざけていた。 リンナ=ラドラスから付き添って来たフィリーナの侍女。 ルーグ=フィリーナの護衛騎士の一人 オリーワ=フィリーナの護衛その2 クレイン=フィリーナの護衛その3転生ものです。大国レアリアの属国であるラドラスの王女・フィリーナがアレウスに嫁いでから2年近く経つ。しかし、政略結婚というだけでなく、単に嫌われているのか彼が妃を顧みることは無かった。トップの態度がそうなので、属国の姫だし軽んじても良いと思われているのだろう、侍女や召使たちまでフィリーナの世話を放棄している有様。アレウスの命でラドラスから連れて来た侍女もリンナ一人のみしか認められなかったし、一体何が彼の気に障ったのやら想像もつかない。言いつけの通りに王宮にも出入りせず与えらえた王妃宮に閉じ籠っていると言うのに。そんなある日、珍しくアレウスからの贈り物だとティータイムに出されたお茶を飲んだフィリーナは昏倒。幸い処置が早く命に別状は無かったが意識不明となり、その時彼女は長い夢を見た。見たことも無い不思議な形の建物や馬もいないのに走る乗り物。そして、何故か自分はそこでバリバリ働ているのだ。だが、フィリーナと違い生き生きとした彼女はある時余命宣告をされ、精神的ショックから注意を怠り事故死。きっと彼女はフィリーナの前世に違いない。不慮の死を遂げ、こうして生まれ変わった。そう思うと何だかこうしていないもの扱いされた挙句それを甘んじて受け入れ大人しく過ごしていた自分に嫌気がさした。目が覚めたら、前世の彼女の分も有意義に生きなければ。夫のアレウスは妃が暗殺されかかったと言うのに様子見に訪れただけ。しかもこの件は口外するなと釘を刺していった。彼が立ち去った後、リンナは憤慨していたが、元よりここではこの侍女しか味方がいないのを痛感した。それにしても、アレウスはこの部屋に来るたびにフィレーナを贅沢好きの女と窘めるのは何故なのか。嫁いでからと言うもの、贅沢どころかこの2年近く自分の物は何一つ買っていない。それにアレウスはリンナ以外の侍女たちが職務放棄しているのを知っているのか。何はともあれ、彼が自分を贅沢好きの悪女と見ているにはそれなりの理由があるはず。それと嫁ぐ際に、父がレアリアが戦争と飢饉によりかなり財政がひっ迫していること、本当なら可愛い娘を嫁がせたくないと溢していたのも気になる。それ以外にも属国と侮られフィリーナを金で買うふりがあったのも原因なのだが。アレウスの態度と言い、この国の抱える事情。諸々含めて詳しく調べてみる必要がありそうだ。手始めに王妃宮の状況を調べたフィリーナはここ2年の帳簿から侍女たちによる横領の証拠を発見。王妃のサインを捏造し、高額のドレスを数十着に宝石も多数、王妃の年間予算で購入している。さすがに誰がどれを買ったかまでは不明だが、購入先でデザイン等を聞けば舞踏会やパーティーで見つけられるだろう。高価な物を身に着けるとしたらその手の催しの時と相場は決まっている。邪険にされながらもアレウスに乞うて3人の護衛騎士が付けられたフィレーナは、彼らからも自分が浪費家と思われていたことに内心ショックを受けつつ、この調査によって身の潔白を証明した。アレウス命のクレインは他の二人と違い未だ半信半疑のようだが、多少は疑ってもらった方が忖度無しにアレウスにも報告してくれるだろう。横領以前に職務放棄は由々しき事態。侍女たちを全員クビにして横領を働いた者は責任を持って償わせることとして、アレウスには一応自分への誤解を解いてくれるよう真実を話した。王妃宮にある贅沢品は全てラドラスから持ち込み、家族が持たせてくれた物で嫁いできてからは何一つ購入していないと。そして侍女たちが王妃の名で横領していたことも包み隠さず。だが、アレウスはこれまでの態度を改めもせず謝罪すらなかった。オリーワの話では予想通りアレウスは女嫌いと聞いている。そんな理由で謝罪も出来ないなら業腹だが、その日は珍しくアレウスは大嫌いだった自分の母について語った。傾国の美女と呼ばれ寵愛を恣にしてから人が変わり、贅沢三昧の上男遊びも激しかったと。彼にはフィレーナが母に重なって見えていたらしい。どうやら根深い女性不信が頑なにしているようだけど、フィレーナにしてみれば縁談の打診があった時アレウスの絵姿に一目惚れした自分がバカみたいだ。勇敢な軍人王との呼び名も高い彼に嫁げると胸弾ませて来たのに、2年も放っておかれた。それでも嫌いになれないのは惚れた弱みか。忙しい彼に代わり、財政難なこの国の立て直しを図るため、市井を訪れ改革案をいくつか出して見たら、幾分見直してもらったようで、やっと謝罪してくれた。しかし、多少態度が軟化した程度。相変わらず片思いのままかとしょんぼりしていた中、二人の結婚2周年記念のパーティーが行われた。そこで、フィリーナはアレウスの婚約者候補だったと言う侯爵令嬢に含みを持たせた難癖をつけられ・・・。特に捻ってもいないので、毒殺を図ったのはこの侯爵令嬢です。他にもフィレーナの頭上に花瓶を落としたり、侍女たちの横領も令嬢の指示でした。でも、キャリアウーマンで男勝りに仕事をこなしていた前世を思い出したフィレーナにとって、令嬢など敵にはならず、逆にやり込めます。もうこれでちょっかい掛けて来ないだろうと思いきや、令嬢の親である侯爵が乗り出してきてその手の者に命を狙われる羽目に。それを救ったのは当然アレウス。終盤までこの人の頑なさには読んでて腹が立ちましたが、何だかんだとちゃんとフィレーナを見直し惚れてた様で良かった。素直になるのが遅すぎるwwwオイオイ、ラストまであと何ページだよ、仲直りのラブシーン入れたらそんなに残ってないぞ。ツンもここまで来るとイラつくと再認識したお話でした。ヒロインは強く儚く気高くって感じで、好感持てたので、ある意味バランスはとれているのか。あとがきに書かれてた本編後のざっくり展開はちょっと得した気分。評価:★★★★☆
2023.01.08
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2022年11月刊ビーズログ文庫著者:琴子さん小説の中の強欲な悪女に転生したグレース。悪女として主人公の冷徹公爵を弄んで捨て、ヒロインと出会うきっかけを作らないと、戦争が起きてグレースは死んでしまう。バッドエンド回避を決意してキャラに徹するグレースだけど、真面目な性格のせいで悪女になりきれず「絶対に別れてなんかあげないよ」と逆に振るはずの公爵様から溺愛されてしまい!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 グレース=事故死した主人公が異世界転生した人物。 小説「運命の騎士と聖なる乙女」に登場する悪女。 ゼイン=小説のヒーロー。王国の筆頭公爵家の当主。 エヴァン=グレースの護衛騎士 マリアベル=ゼインの妹 ランハート=侯爵家の跡取りの色男。シャーロット=小説のヒロイン。今回はTLではなくラノベです。悪役令嬢かと思いきや、男心を弄んでは捨てる悪女と言う設定。車にはねられ死亡した主人公は、目覚めると愛読していた小説「運命の騎士と聖なる乙女」の登場人物である強欲悪女・グレースに転生していた。王国でも有数の大金持ちで侯爵令嬢のグレースは類まれな美女で当然モテるが、性格は非常に悪い。ある日、グレースは手酷くフった青年によって窓から突き落とされ意識不明の重体となったのだが、こうして別人の自分の意識が宿っていると言うことは本物は亡くなったのだろう。理由はどうあれこうして生き直すチャンスを得たのは良いものの、問題は物語終盤に起こるグレースの顛末だ。後に起こる戦争で他国に攻め込まれた際、敵兵に襲われて重傷を負うと言う所謂ザマァ展開なのだが、聖女・シャーロット(ヒロイン)の力によって何とか一命をとりとめる。しかし、シャーロットの力は男主人公・ゼインと愛を育まないと目覚めない。そしてゼインがシャーロットと知り合うにはグレースに捨てられると言うイベントを経ないといけないのだった。親が事業に失敗し多額の借金を背負ったことから貧乏生活を余儀なくされた自分にとってこの物語は唯一の癒しであった。当然推しはゼイン。なのに、寄りにも寄ってそんな彼を篭絡し、飽きたからとポイ捨てする悪女・グレースに転生するなんて。でも、この一連の出来事が起きないとグレースに待っているのは死。せっかくこんなに美人で金持ちに生まれ変われたのに、たかだか1年ちょっとで終わってしまうのは何としても避けたい。推しを裏切り傷つけるのは気が引けるけど、これも破滅回避のため。心を鬼にして主役二人の出会いのチャンスを作るため、強欲悪女として振舞わなければ。だが、沁みついた貧乏性はそうそう抜けない。窓から突き落とされたショックで記憶障害なったのだと説明し、護衛騎士のエヴァンとメイドのヤナの協力を仰ぎ、一先ずゼインとお近づきになるための策を講じた。フるにしたってまずはお付き合いしなければ話にならない。ゼインは真面目でお堅い性格のため、グレースのような女は絶対にタイプではないのだが、二人の交際の経緯はとある事件が切欠となる。両親を早くに失くした彼にとって唯一の肉親の妹マリアベルが誘拐された挙句殺害されてしまうと言う痛ましい出来事があり、傷心の彼をこれ幸いとグレースが近づき見事にモノにしたのだった。そんな彼を後にポイ捨てするとか、この女は悪魔か。元来お人よしの彼女には正直できそうもない。だが、幸い、物語の時期的にマリアベルはまだ生きている。彼女を無事自分が救い出せたたなら、そこを恩に着せ交際に持ち込めるかもしれない。かくしてエヴァンの力を借り、連れ去られたマリアベルを助けたグレース。ゼインにも感謝され、お礼をと言われて当初の予定通り、自分を恋人にして欲しいと頼むのだった。当初は強欲悪女と交際なんてとゼインも内心では困っていたが、マリアベルがグレースに懐き楽しそうなのを見れば無碍にも出来ない。それに訳あって拒食の気があった妹が食事できるようになったのはグレースのアイデアが切欠だ。噂程悪女ではないのかもしれない。ゼインは彼女を見直してからと言うもの次第に心惹かれて行くように。グレース本人にしてみれば少々思惑とは外れたけれど、交際は順調。良心は痛むが、後は来るべき日にゼインをこっぴどくフればいい。そして、並行して前世で漠然とした夢であった子ども食堂建設に乗り出すことにした。この王国にも食うに困っている民は沢山いる。孤児たちは言わずもがな。せっかく有り余るほどお金があるのだから有意義に使わないと。大金持ちなのに倹約家でおよそ悪女らしからぬ行動に周囲の人間を驚かせていく中、ゼインは益々彼女に嵌っていく。やがてタイムリミットが近づき、別れる理由として一応浮気のふりもしておくかと、色男のランハートの協力を得て人目の多い所でデートをしてみれば良い具合にゼインは嫉妬してくれている。これで、ひと月後のパーティーで別れを告げれば完璧だ。そうすればゼインはシャーロットと運命の出会いをするはず。しかし、パーティーまであと数日に迫ったその日、子ども食堂のオープン準備をしていたグレースは最近巷を賑わせている誘拐事件に巻き込まれ・・・。本来のグレースとは正反対の人間性のおかげで悪女のフリをするのも一苦労のヒロイン。破滅回避のために嫌われなくてはいけないのに、噂とはまるで違う彼女に心底惚れて行くヒーローは結局本来の小説の主人公などアウトオブ眼中になっていきそうです。それというのも、このお話多分続きがあります。この巻では正式に正ヒロインは関わってきてないし、身元が明かされていないキャラもいるので、その辺含め諸々次巻に持ち越しになるんじゃないかと。コミカライズ化も決まってますし、全2巻か3巻と予想。悪評ばかりだった強欲悪女と言えど、事故で意識不明になってから人が変わったんじゃ、的な評価に変わっていきそうだし、既にヒーローの妹を助けたことで本来の展開は徐々に変わって来てるのが致命的。どう考えてもヒロインの思惑通りには行かなそう。ヒーローから逃げ回っているヒロインは結局絆されて最終的にはくっつきそうですね。評価:★★★★☆はめふらとか好きな方は楽しめるかと
2023.01.07
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2022年12月刊マーマレード文庫著者:砂川雨路さん初心な茜に、老舗呉服商の御曹司・睦月との縁談が舞い込む。跡継ぎのための子作りに緊張しつつ、昔から憧れていた彼に甘いときめきを与えられ…。一方、普段はクールなはずの睦月も、ある出来事をきっかけに、箍が外れたかのように執着愛全開に!?さらに茜の妊娠が発覚。愛の結晶を宿した茜に注ぐ睦月の独占欲と情熱は、ますます溢れて止まらずー。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 夏目茜=商業施設経営会社営業部の若手エース。取引先の社長に気に入られて、 学生時代の憧れの人だった睦月とお見合い結婚をした。夏目睦月=老舗呉服商の御曹司で営業本部長。茜を見初める。興沢葉月=睦月の妹。大井茜は入社5年の会社員。商業施設に出店する企業への営業が主な仕事でやり甲斐を感じている。今日も、新規オープンするショッピングモールでの店舗について、呉服商・なつめ屋に打ち合わせに訪れていた。なつめ屋の営業本部長である夏目睦月は、偶然にも学生時代の茜の憧れの人で、初めて担当として顔を合わせた時は驚いたものだ。とはいえ、飽く迄茜の一方的な片想いで彼は全く覚えていなかった。一応、会話を交わしたこともあったのにな。内心ガッカリはしたものの、彼の記憶に無いのは仕方ない。何せ夏目睦月はその容姿と優秀さから学園では「王子様」と呼ばれており、それそれは人気だったのだから。彼が主役なら自分など大勢いるモブキャラの一人。あれから10年以上経っても、睦月は変わらずカッコイイ。指輪はしていないので独身だとは思うが、きっと美人な恋人がいるんだろう。そう思っていた矢先、上司から茜に見合い話が持ち込まれた。お相手は何とあの夏目睦月と聞いて心底驚いたのだが、どうもなつめ屋の社長に茜が気に入られたかららしい。年回りも丁度良いし、大井さんならと白羽の矢が立ったと言う経緯とは言え、実際は会社同士の政略結婚の様なものだった。引き受けるか否か自由意志で構わないとは言われたけれど、内心では喜んでいる自分がいる。多分、親から言われての見合いだろうから、あちらからお断りされることだろう。しかし、予想に反して睦月は茜と結婚したいと言う。彼女の仕事ぶりは信頼できるし人柄も申し分ないからと。どうせ結婚するなら信用できる人としたい。睦月の言い分は尤もではあるけれど、本当にモブの自分なんかでいいのだろうか。でも、こうして茜を買ってくれているのだから素直に嬉しい。かくして二人の結婚は早々に決まったのだった。交際らしい交際もしないまま、ひと月後に結納を済ませそのまま同居。入籍した二人。彼氏いない歴年齢と言うのが何となく憚られて黙っていたら、初夜に怖がらせてしまったと睦月が気に病み新婚なのに長らくレスが続いた。実は睦月は営業担当になった茜に長らく片思いをしており、告白のチャンスを狙っていたのだが、ずるずる時間だけが過ぎて親に結婚をせっつかれるように。良い相手がいないなら見合いをしろと、候補者の中に茜がいるのを知り、彼女ならと承諾したら父が乗り気になったと言うわけだった。おかげで、違和感なくプロポーズできたと思う。学生時代の茜を覚えていないのは失態だったが、当時は王子なんて言う変なレッテルを貼られてて外面を保つのに必死だったのもある。だが、これからは彼女と夫婦として生きていくのだ。がっついてるつもりはなかったものの、彼女を気遣えず怖い目に合わせてしまったと猛省した睦月は、茜に触れなくなってしまった。そのせいで、やはり仕方なく結婚したのだろうかと茜が気にする結果に。お互い真面目過ぎる性格故にすれ違いの日々が続くも、茜を快く思っていなかった義妹の葉月の暴言に反論しているうちに、本来睦月に対して自分がどう接すれば良いのか思い当たり・・・。生真面目夫婦のじれじれ新婚生活って感じのお話です。このトラブルを切欠にお互いの想いを知り、晴れて両想いのラブラブカップルになって行くんですが、その間に第一子の妊娠発覚、前時代的な義父の考えにより育児か仕事かの二者択一を迫られたりと大小さまざまな騒動が起こります。その度に二人で力を合わせて乗り越えていく。終盤、睦月の元カノが現れて浮気疑惑が持ち上がるも、睦月側の心境も描かれてるおかげで読者は安心して読めるのが良いですね。舅はちょっと時代遅れ感があって未だに好きになれない印象ですが、その代わり姑が良い人でその辺の争いとは無縁っぽいのは何より。義妹の葉月は最初何なのこの性格ブスはと憤慨したものの、突っかかって来てた理由が判り、和解した後は根は良い子と判ってかなり評価が変わりました。正直、この子より元カノの方にムカついたしな。新婚夫婦の2年間を描いた内容で、以降も苦労することはあるだろうけど家族がいれば乗り越えられるねって感じで終わってるのですが、読後感の良い内容でした。評価:★★★★★ヒーロー側の心境が判るから杞憂なくサクサク読めます。
2023.01.06
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2022年12月刊ガブリエラブックス著者:玉紀直さん天才デザイナー善家新の会社で働く沙季は、彼が余命一年の身で、子どもがいれば…と話しているのを聞いてしまう。新の作品で心を救われたことのある沙季は、尊敬する彼の子どもを産むことを決意すると、新に直談判して子作りの為の同棲生活を始める。「真っ赤だ。君はこういうところもかわいいな」つらい事情のはずなのに、新は何故か余裕のある様子で沙季をどろどろに甘やかし溺愛してきて!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 水澤沙季=デザイン会社に勤めるアシスタント社員。 命の恩人である新に心酔している。 善家新=天才デザイナー兼社長。 湯澤愛季=沙季の親友のシングルマザー。湯澤ひまり=愛季の娘の4歳児。 柏木哲太=新のアシスタント。余命モノ(?)です。かと言って悲嘆にくれるような内容ではありません。でも、ヒロインの過去がかなり重いかも。12月末の発売で1週間くらいしか経っていないのでネタバレは控えめに。天才デザイナー・善家新のデザイン会社でアシスタントとして働く沙季は、新を尊敬し心酔していた。この会社に入社できたのも並々ならぬ努力と、新への思いの強さの賜物である。その崇拝ぶりに先輩たちにはよくからかわれるものの、だから何だと言うのだ。彼女にとって新は神にも等しく崇め奉る存在なのだから。だが、ある日、ふとした弾みで新の電話での会話を盗み聞く羽目になってしまった沙季は、彼が余命1年と知りショックを受けた。彼はまだ35歳。精力的に仕事をこなし、その度に賞賛されている素晴らしいデザイナーだと言うのに。話を聞かれていたのを知ってか知らずか、新は何やら現状独身なのを後悔しているようで、せめて子供がいればと自嘲し落ち込んでいる珍しく弱気な新の態度に自分のことのように思い悩んだ沙季は、ならば自分が彼の子を産もうと決意。残された時間を思えばギリギリだけれど、すぐに励めば妊娠できそうな気がする。友人の愛季はシングルマザーでその苦労も身に染みているせいか沙季の決心を諫めたが、最終的には応援してくれると言った。愛季の後押しもあって、新にあなたの子供が産みたいと爆弾発言をした沙季。さすがに最初は考え直せと言われたものの彼女の意志が固いと判るや、彼はその願いを聞き入れた。元々、新は自分への好意を隠そうともしない彼女を好ましく見ていたのだが、一体いきなりなぜ子供が欲しいとか言い出したのだろう。女性に言い寄られることも多いので、もしや沙季までその手の類とは思いたくない。子作りするなら同居をしようと彼女を自宅に住まわせ、それこそ新婚の様に仲睦まじく過ごしていたのだが、ある時、新は沙季の言う余命1年と言う言葉を聞いて衝撃を受けた。まさか彼女は自らが生きていたと言う証が欲しいのかもしれない。余命1年と言えば、自分の母も先日余命宣告されたと話を聞いて落ち込んだばかり。なら、せめて沙季の願いを叶えてやらなければ。二人はお互い余命わずかだと勘違いしていたことに気付いていなかった。沙季は10年前、旅行中の事故で両親を失った。観光バスの運転手の飲酒運転によるもので、乗客乗員含め何十人も亡くなり生き残ったのは両親に庇われた沙季一人。この事件、当時は連日ワイドショーを賑わせ、沙季と彼女を引き取ってくれた祖父母はターゲットとしてマスコミに追い回される日々。しかも、勿論一番叩かれたのは運転手だったが、被害者遺族に生き残りの沙季も妬みもあってかかなり恨まれていたらしい。彼女へ恨み言を言う遺族のインタビューが放送されるたび、沙季は心を病んで行った。どうしようもない自殺衝動に襲われ見知らぬ土地に降り立った彼女が何となく足を向けたのは新の作品展示場。そこで見た彼のとある作品に心打たれて生きる気力を取り戻した沙季が彼に心酔するのは無理からぬこと。恩返しと彼のDNAを残すため、妊活に励む沙季だったが、同居から2ヶ月生理の日以外は毎日のように励んでいるのに一向に妊娠の兆しが無い。このままだと、新に赤ちゃんを抱かせてあげられないではないか。焦る彼女を宥める新は、沙季の余命云々が勘違いだと判明しホッとしていた。彼女を愛しく想いプロポーズしたものの、沙季の方の誤解はまだ解けておらず返事は貰えていない。そんな折、彼女があのバス事故の唯一の生存者だと知り・・・。二人の会話にて新の父親がバスの運転手だったと言うセリフがあって、当然ミスリードっぽい展開になるんですけど、多分違うだろうと思っていたら案の定。もしそうだとしたら余命以前に障害が大きすぎてドロドロしそうですもんね。読み終わって思ったのは世間ってのは想像よりも遥かに狭いってこと。勿論フィクションだからご都合主義なのもあるのだけど、事故の原因が原因だけに加害者家族も被害者で苦労している。現実でもですが、マスコミはホントクソ。沙季を追い詰めたのも、加害者家族を追い込んだのも世論を煽ったマスコミなんですよね。実は沙季が恨まれてたってのもどうやらやらせだったみたいで、この辺は読んでてマジでムカつきました。こういう傾向があるから一昔前のワイドショーは好きになれないんだよなぁ。ともあれ、余命宣告の勘違いから始まる恋でしたが、周囲を巻き込みながらも諸々大団円で終わって何より。初回限定版特典のペーパーは同居したての頃の新目線のお話でした。評価:★★★★★
2023.01.05
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2022年11月刊ソーニャ文庫著者:栢野すばるさん父の借金を肩代わりしてもらうため、前王の遺児アレクセイと結婚したルリーシェ。だがこのアレクセイ、幼い頃に家族を殺された心の傷が癒えず、復讐相手を殺し回っていると噂される、いわくつきの“悲劇の王子様”なのだった。前髪で顔を隠したままの夫との初夜、突然心中を迫られたルリーシェは、殺されてたまるかと反撃し、めちゃくちゃに殴り掛かる。これは完全に離婚だ…と思った翌日、絶世の美貌を晒したアレクセイが、なぜか妙に懐いてきて!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 ルリーシェ=没落貴族の娘。膨れ上がった借金を肩代わりしてもらう代わりに、 悲劇の王子・アレクセイに嫁いだ。 アレクセイ=謀反で殺害された前国王の遺児。 ダクストン=大公。アレクセイの伯父で養父。 エルギーニ=謀反で王位を簒奪した国王。 ザクラート=アレクセイの師匠。 ミーディン=トルギア侯爵の長男でアレクセイの義兄。悲惨な過去を持つ元王子と結婚した没落貴族の娘の恋物語です。設定を書かないと内容が分かり難いので、少々長めになるかと。15年前、このマージェリー王国では大きな悲劇が起こった。国王の従兄弟である公爵が謀反を起こし、王宮を襲撃。たった一人を除いて王家の人々と仕える召使いたちが惨殺された。残忍なやり方で国王を殺害した公爵・エルギーニは簒奪者として新たな王となった。唯一生き残ったのは当時まだ5歳だった王子のアレクセイ。ただ幼いからと言う理由だけで見逃された彼は3年もの間劣悪な石牢に幽閉され、不遇な時を過ごした。だが流石にこの王子への扱いに批判の声が多く、アレクセイの伯父に当たるダクストン大公が彼を解放。後に養子として迎え入れられることになった。世間の目があるから見逃されたとはいえ、アレクセイは幽閉時から常に暗殺の危険に晒されおり、更に目の前で母を殺された光景が脳裏から離れず、エルギーニへの恨みを募らせていた。大公家にて新しい家族にいくら可愛がられてもその薄暗い感情は捨てきれない彼に大公たちもほとほと扱いに困っていたと言う。あれから15年。今年、嫌われ者の王・エルギーニは病気で急逝。これを機に凡庸なエルギーニの子ではなくアレクセイを王位にと推す声が上がり始め、余計な争いを恐れた貴族院は一計を案じた。王位に興味の無いアレクセイを公爵に封じ、エルギーニの親戚の娘と結婚させ和睦を結ばせようというものである。だが、大公一家も手を焼く変人と結婚したいと言う奇特な令嬢はおらず、15人の候補者のうち14人が辞退。最後に残ったのは親戚とは呼べない程の遠縁・メグウェル侯爵の一人娘・ルリーシェであった。人が好すぎて詐欺紛いに領地を横取りされた挙句、悪徳高利貸しから金を借りてしまった侯爵。ルリーシェは幼少時からそれはそれは貧乏で苦労した。花を育てるのだけは天才的な父の花壇の花を売り、その他手仕事によって何とか食いつないでいたものの、バカ高い借金は膨れ上がるばかり。そもそも、利子だけを細々と返しているのだから元金が減る訳ないのだが。そんな彼女の元に、この国の最高位の貴族である大公が訪れ、結婚の打診をされたのだった。エルギーニ王の起こした惨劇は、教科書にも事細かに記載されており、当然彼女も悲劇の王子のことは知っている。そしてその悪評も。エルギーニに加担した者たちを殺して回っていると言うのは本当なのだろうか。大公によるアレクセイの人物像の説明の歯切れの悪さが怖い。やはり相当なヤバイ人物なのだろう。でなければいくら貴族でも、かなり難儀しそうな額のメグウェル家の借金を大公が結婚の条件として肩代わりしてくれるはずがない。大公が言う報酬の代わりに、和睦の証としてアレクセイと必ず子を成して欲しいのだそうだ。末端まで探し当てた未婚の年頃の令嬢達に断られ続け、もうルリーシェしか残っていない。即ち、彼女が断れば後がないと大公はかなり焦っていた。ルリーシェにしても出来れば断りたい。でも借金が無くなるなら後顧の憂いは無くなる。加えて、大公に父の面倒も見てくれると言われ、ルリーシェはこの結婚を承諾したのだった。そして迎えた結婚式の日。初めて顔合わせをした夫となる人は想像以上のヤバさだった。果たしてうまくやって行けるのだろうか、ため息しか出ず、嫌な予感しかしない。身構えていたら予感は的中。初夜にアレクセイに首を絞められたルリーシェは必死の抵抗をし、彼を平手打ちした挙句何発か蹴りもお見舞いした。伊達に荒くれ者揃いの借金取りと対峙していない。だが、この抵抗がアレクセイに彼女への興味を持たせることに。かかあ天下らしい大公家で10年以上暮らしていた彼にとって、妻は夫の舵を取り従えるもの。気丈なルリーシェは正に理想であった。アレクセイは翌日彼女に詫びると、何故この結婚に応じたのか理由を尋ね、侯爵が高利貸しに騙されて借金苦のせいだと知るや、その夜、彼は高利貸しとそれに加担した詐欺師の手首を妻への土産としたのだった。ルリーシェの心中で自分のヤバイ奴度数が爆上がりしているとも知らず、アレクセイは彼女を溺愛。だまし取られた侯爵家の領地の契約書を偽造した弁護士とその仲間を殺すなど、彼の行き過ぎた愛情表現にルリーシェは頭を悩ませるばかり。今まで大公がどれだけ苦労したか察して余りある。初めて人を愛することを知ったアレクセイは舞い上がっていたが、その反面、彼女を好きになるごとに汚れた自分の半生を嫌悪し、無残な死を遂げた家族達への罪悪感に苛まれていった。好きな気持ちに変わりは無いが、自分が傍に居ては彼女が不幸になると、距離を置き始めた彼の態度に嫌われてしまったのかとルリーシェは心を痛めます。そんな折、ルリーシェはアレクセイの義兄・ミーディンに目を付けられ・・・。このミーディン氏、アレクセイの姉・リシアが嫁いだ人なんですが、例の惨劇で彼女もまた暗殺者によって殺されていました。その後、ミーディンは再婚し子宝にも恵まれるも精神を病み、何故だか復讐に加担しないアレクに不満を持つように。巷で噂の謀反の加担者たち暗殺して回っていたのはミーディンが雇った者達でした。アレクだって不遇な子供時代を過ごし、大公家に引き取られた後師匠が営む義賊の組織で暗殺業に携わっていたのでルリに出会うまで心がどこか欠けていました。それに長らくトラウマに悩まされ続けていたと言うのに、そんな考えも及ばないんでしょうね。愛する妻を殺され、納得いかないのは判りますが、恨みの矛先向けるところが違うだろと。その諸悪の根源たる王様も、結局実の子の手にかかってたりするんですが、この辺の経緯や終盤の展開が気になる方は読んでみてください。主役二人のやり取りがコメディチックではあるものの、アレクセイが血生臭いことをしてたり、内容そのものはかなりシビアです。夫の心の傷を知り、借金の為だけでなくやがて彼に惹かれその支えになりたいと奮闘するルリーシェ。何だかんだ良い夫婦だな。評価:★★★★★これは文句なしのおススメ。
2023.01.04
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2022年12月刊ベリーズ文庫著者:皐月なおみさん旧華族で銀行を経営する一族に養子として引き取られた澪は、いきなり自動車メーカーの御曹司・圭一郎との政略結婚を決められてしまう。仕方なく自分が養子であることを隠したまま新婚生活を始めるが…。「君を愛すつもりはない」と冷たく言い放っていた圭一郎が、なぜか初夜から情熱的に求めてきて!? 「俺に全部見せて」--冷血な一面とは裏腹に、甘く激しく愛し尽くされた澪は、ついに妊娠して…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 向坂澪=旧姓・坪井。旧華族の分家の娘で、失踪した又従姉妹の代わりに圭一 郎と結婚した。向坂圭一郎=自動車メーカーの御曹司で副社長。澪の夫 坪井治彦=澪の父親。 坪井康彦=治彦の従兄でメガバンクの頭取。 坪井琴音=康彦の一人娘。身代わり政略結婚ものです。植物学者の父と二人暮らしをしていた澪は、ある日父の従兄・康彦から縁談を命じられた。相手は自動車メーカーの御曹司。康彦にとっては何とか縁戚関係になりたい相手なのだとか。だが、康彦には琴音と言う娘がいるはず。何故、分家の娘に縁談を?と不審に思い尋ねると、どうやら琴音は縁談を蹴って駆け落ちしてしまったらしい。この結婚話は最早覆せることも出来ず、困り果てた康彦は澪の存在を思い出したと言うわけだった。当然、事後承諾にも程がある決定に親子二人は異を唱えたが、父は澪の為に多額の借金をしていたことが判り、その返済を盾に脅されては従わざるを得ない。母の連れ子の自分を養子にし、育ててくれた父。康彦は澪が大人しく嫁げば借金はチャラにしてくれるそうだ。そもそも、本家の意向で例え分家筋でも高額な学費と寄付金が必要なエスカレーター校に通わせろ、などと命じたのが援助を受けた原因なのだが。承諾はしたものの、先方は澪が養子だと知っているのだろうか。調べればすぐバレると言うのに、康彦はお嬢様のフリをしろと無理難題を言う。もう結婚自体は決定事項の為、一先ずの顔合わせとして夫となる向坂圭一郎と会った澪は、彼に結婚するからには幸せになりたいのだと本音を打ち明けた。お互い意に染まぬ政略結婚だとしても歩み寄れば仲の良い家族になれるはず。澪の申し出に圭一郎は面食らっていたが、彼女の言うことは尤もだと納得。自分も努力すると約束してくれた。一ヶ月後に二人は結婚。お嬢様の振る舞いなど根っからの庶民である澪には無理で、彼には早々にバレていた。元々分家の娘なのは承知していたのだから装う必要も無かったわけで、そのままの君で良いと言われ、聊か気は楽になった。しかも、実家の庭の手入れを澪がしていたと聞くや、継続して続ければいいと許してくれた。最初はとっつきにくい仕事人間かと思いきや、圭一郎は優しく気遣いの人だった。実は新婚旅行の時から彼に惹かれ始めていた澪は、せめて良い妻になろうと決意。そして、圭一郎も不仲だった両親とは違い、澪となら自分は温かい家庭を作れると感じていた。政略結婚ではあるけれど、仲睦まじく暮らしていた二人。それから二か月ほど経った頃、向坂自動車のドイツ支社でリコール問題が起き、事の収拾のため圭一郎自らが現地に赴くことに。約一ヶ月ほどの出張となり、体調を崩していた澪は不安ではあったが、夫の帰りを待ちわびていた。だが、数日後体調不良の原因が判明。妊娠が判った澪は、これを機に自分が坪井の血統でないことを圭一郎に話すと決めた。そんな折、失踪していた琴音がマンションを訪れ、澪の幸福が許せないと圭一郎と別れろと命じ・・・。あとがきにて作者さんも書いてらっしゃいますが、お話自体は非常にシンプル。政略結婚の二人がお互い愛し合い幸せになる。そんな内容です。そんな二人の幸せに横槍を入れるのが数名。本家の連中は一体何様なの。駆け落ちしたは良いものの、ヒモみたいな彼氏だったおかげで金が尽きたらポイ捨てされた琴音は、蔑んでいた澪が幸せに暮らしているのが我慢ならず無理難題を言って圭一郎との仲を裂こうとします。康彦も結局澪が養子だとバレたらヤバいと琴音に便乗。二人は引き裂かれてしまいます。でも、結婚前に圭一郎は秘書が勝手に調べた澪の身上調査を見ており、承知の上で結婚したので脅しにもなっておらず、彼女を迎えに行くのでした。その際、妊娠を知り大喜び。向坂側でも悶着あるんですが、終盤の展開は気になる方は読んでみてください。多分、ベリーズカフェでも本編だけなら読めます。書籍の方は書下ろしの後日談が収録されています。じれじれもありましたが、終始良い夫婦だなって感じの二人でした。評価:★★★★☆
2023.01.03
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2018年3月刊夢中文庫クリスタル著者:玉紀直さん毎日、自宅で「彼」が私を癒してくれる──コールセンターに勤める美聡は、ハードワーク気味。気遣ってくれる友人から、「毎日の疲れなんて吹き飛ぶよ」と渡されたシチュエーションCD。どんなに疲れて帰っても、その優しい「彼」の声に包まれることで美聡は日々癒され、いつしか声の主に恋に近い気持ちを抱きはじめていた。仕事の準備のため、取引先の社長である佑基からの直々のレクチャーを受けに定期的に通う美聡であったが、佑基の低くて威圧感ある声は苦手に感じて緊張するばかり。そんなある日、オーバーワークのせいで美聡は倒れてしまう。意識を失う前に耳にしたのは、あの恋い焦がれた声。声の主はこの会社の誰か…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 小堀美聴=コールセンター代行勤務の会社員。 崎野佑基=漢方薬会社・清風堂の社長。1冊読み終わらなかったので、短めの電子書籍です。コールセンター代行会社に勤める美聴は仕事柄ストレスが多い。商品の使用方法の問い合わせより、クレームの方が遥かに多いからだ。同僚が担当している輸入雑貨に不良品があったらしく、その対応に追われている姿を気の毒に思いつつ帰宅した美聴は、早速ここ最近の癒しであるCDをセットした。癒しと言いつつ、ヒーリング系ではなく所謂シチュエーションものと言うこのCDを友人から貰って初めて聞いた時はビックリしたものだ。声優だろうか、イイ声の男性が働く女性を労って甘やかしてくれるそれに、美聴はハマった。「コールセンターで働くあなたに」とピンポイントなシチュなだけに、痒い所に手が届くセリフの数々は既に何百回と聞いて覚えてしまっているけれど、これを聞かないと一日が終わらない。今となってはルーティーンとして欠かせないものになっていた。どうやら調べてみると、このシリーズは一般流通には乗らない同人系の販売のみらしい。それで声優さんも偽名と言うかイニシャル表記なのかな。NOとのみ書かれたその男性の声に、美聴は恋心に似たものを抱くようになっていたのだった。自分は声フェチなのだろうかと思いつつ、現実でもちょっと気になる人物が一人。26歳の時に起業して、良い品物を扱っていると評判で人気の漢方薬会社社長・崎野である。彼もまたNOとは違うが良い声をしていて、当初は威圧感があって苦手だった。商品のレクチャーをして貰っている時も思わずビクビクしてしまう。これで外見も整っていているのだから、世の中は不公平だ。でも、漸く慣れて来て彼の為人も判って来る。実は結構良い人なのでは。意識し出すと気になるものだが、新商品のレクチャーも今日で終わり。暫くは会う機会も無いだろう。風邪気味で少しフラフラするものの、今日無理して出て来たのは彼に会いたいから。だが、帰り際我慢の限界か倒れた美聴の耳に聞こえたのはNOの声で・・・。シチュCDの発売元が同人系ってことで、まぁ正体はそうだろうなと思ってたら案の定。当初は崎野の会社の従業員の誰かかと、美聴は勘違いするものの、焦れて本人の方が種明かし。元々登場人物も少ない内容ですし、消去法使うべくも無かった。理由については本人が説明してるので、気になる方は読んでみてください。こんな偶然ってあるもの?と多少ツッコミ入れたい気もありますが、世の中は狭いってことで。崎野は元々、美聴に好意を持っており、この出来事を切欠に告白。二人は交際をスタート。エピローグにて既に同棲中、結婚も間近って感じで終わっています。100ページくらいの短編なので読み易いですしお話自体も非常にシンプル。サラーっと読みたい方におススメです。評価:★★★★☆
2023.01.02
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2022年9月刊マーマレード文庫著者:有允ひろみさんまひろは合コンで出会ったエリート警察官僚・公貴と、想定外の電撃婚をすることに。「君と子作りがしたい」-天涯孤独なまひろに庇護欲全開な彼の溺愛が加速して、夜ごと甘く抱き尽くされる毎日が始まった。ある日、二人の仲を揺るがす人物が現れるがーそれでも公貴を愛し抜こうとするまひろの健気さに、彼の過保護な激愛もさらに増すばかりで!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 清水まひろ=スーパーマーケット勤務の正社員。 御堂公貴=名家生まれの警視正。 高倉優香=スーパーたかくらの社長令嬢。まひろの友人。 田代=公貴の大学時代からの友人。2023年一発目です。こちらも危うく積読になりかけてました(^_^;)このレーベルにしては少し厚めの内容なのでざっくり目に。育ての親である祖母を失くして以降、天涯孤独のまひろが上京して一人暮らしを始めてから早8年。地域密着型のスーパーたかくらで元気に働くまひろは、客からの評判も良い。そんな彼女の夢は、結婚して温かい家庭を築くこと。だが、同僚の男性はほとんどが既婚者だし、あとはパートのおばちゃん達ばかり。結婚願望はあれど出会いのチャンスがほとんど無いのが目下の悩みだ。おかげで彼氏いない歴年齢を更新し続けている。そんなある日、友人の優香から合コンに誘われたまひろは、そこで運命的な出会いをします。大学の元山岳サークルメンバーだと言う男性陣は日本の最高学府卒なだけあってエリート揃い。優香もちゃっかり、田代と言う青年といい雰囲気になっていた。そこに遅れてやって来たのが、警察庁に勤めていると言う御堂公貴なる人物。がたいは良いのに眼鏡をかけた理知的な顔。まひろは一目で恋に落ちていた。公貴の方もまひろを気に入ったのか、何かと会話が弾み、帰りも送ってくれることに。別れがたかったのはお互い様だったようで、喫茶店でもう少し話すことにした二人。つい色々あの場で言えなかった互いの身の上を話すうち、自らの結婚願望を語ったまひろに公貴は、ならば僕と結婚しようとプロポーズ。数時間前に会ったばかりだと言うのに、まひろも自分も同じ気持ちだと彼の申し出を受け、かくして交際0日のスピード婚となったのだった。とはいえ、公貴は仕事柄多忙なこともあり、一先ず間近に迫ったまひろの誕生日に入籍を決め、式は追々考えることとなった。名家で資産家の御堂家の一員になるのは少々勇気がいったものの、公貴の家族は驕った所が一切なく、それどころか息子が漸く結婚する気になってくれたとまひろを歓迎。正直、交際すらしていないので彼のことはまだ全然知れていないが、この人だと思った自分の勘を信じたい。それ以前に単にお節介おばさん達からのお見合い攻撃に辟易しての結婚かと内心疑ったりもしたけれど、それも早々に誤解だと判って、仲睦まじく暮らしていた。順風満帆に進んでいる結婚生活。それでも彼も仕事の兼ね合いでトラブルもあったりしたが、何とか乗り越え、まひろはそれを機に将来の目標を持つように。そして、とある出来事からまひろと公貴は20年ほど前に出会っていたことが判り・・・。電撃婚の二人が実は会うべくして出会っていたって言う偶然が重なった結果なんですけど、良いお話でした。事情があって祖母が亡くなって以来親戚とは疎遠だったヒロインも、結婚相手が名家の出で警視正だと判ったら手のひらクルクルしてたのには冷めた目で読んじゃいましたけど、人は得てして金と権力には弱いものですからね。よくよく思えば、ヒロインはかなりの玉の輿なんじゃ。登場人物も良い人ばかりだったし、ストレス無く読みたい時におススメしたい本です。評価:★★★★☆
2023.01.01
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